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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1226217
審判番号 不服2007-13312  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-07 
確定日 2010-11-04 
事件の表示 特願2003-140964「報奨クーポンを電子的に生成しかつ表示する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 7月15日出願公開,特開2004-199645〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成15年5月19日(パリ条約による優先権主張平成14年12月19日米国)の出願であって,平成18年3月9日付けの拒絶理由に対して,同年9月14日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが,平成19年1月29日付けで拒絶査定がなされ,この拒絶の査定を不服として,同年5月7日に審判請求がなされるとともに同年6月6日付けで手続補正がなされ,当審による平成21年5月14日付けの審尋に対して,同年11月19日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成19年6月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年6月6日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
審判平成19年6月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は,本件補正前の
「【請求項1】
装置が電子クーポンを生成するための方法であって,
装置が報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するためのソースを設ける段階と,
装置が前記クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する段階と,
装置が前記クーポン表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する段階と
を具備することを特徴とする方法。
(途中省略)
【請求項8】
電子クーポンを生成するための装置であって,
報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するための信号ソースと,
前記クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する手段と,
前記クーポンコード表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段と
を具備することを特徴とする装置。
(途中省略)
【請求項50】
前記消去手段は,報奨クーポンが商店主による回収のために表示されてから所定期間が経過した後にクーポン表示データを自動的に消去する手段を具備することを特徴とする請求項48に記載の装置。」
から,本件補正後の
「【請求項1】
放送局を含む信号源から放送された報奨クーポンを示す信号を,消費者の用いる装置が受信して,前記装置が電子クーポンを生成するための方法であって,
前記装置が受信した信号から前記報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成する段階と,
前記装置が前記クーポンコード信号を,該クーポンコード信号に対応する画像を表示装置に表示させる信号であるクーポン表示データに変換する段階と,
前記装置が前記クーポン表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する段階と,
前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する段階と
を具備することを特徴とする方法。
(途中省略)
【請求項8】
電子クーポンを生成するための装置であって,
報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するための信号源と,
前記クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する手段と,
前記クーポンコード表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段と,
前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段と
を具備することを特徴とする装置。
(途中省略)
【請求項50】
前記消去手段は,報奨クーポンが商店主による回収のために表示されてから所定期間が経過した後にクーポン表示データを自動的に消去する手段を具備することを特徴とする請求項48に記載の装置。」
に補正された。

2 補正の目的
本件補正前と本件補正後の特許請求の範囲の各請求項の記載からみて,本件補正後の請求項1-50は本件補正前の請求項1-50に対応しており,本件補正後の請求項8は本件補正前の請求項8を補正したものと認められる。
そこで,特許請求の範囲についてする本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正が平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものであるのか否か検討する。

本件補正後の請求項8に「前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段」と記載しているが,該記載事項は本件補正前の請求項8に記載されていない事項である。
そして,本件補正前の請求項8に発明を特定するために必要な事項として「前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段」の上位概念となる事項は記載されておらず,本件補正後の請求項8の上記記載事項は,本件補正前の請求項8に記載された発明を特定するために必要な事項を限定したものではない。
したがって,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正は,「前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段」との事項を新たに追加するものであり,特許請求の範囲を減縮するものであるとしても,発明を特定するために必要な事項を限定するものではないから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものではない。
また,原査定の拒絶の理由は,本件補正前の請求項8に記載された装置について電子表示装置から店側に報奨クーポンを伝達する手段や態様に関して明りょうでない旨を指摘するものではなく,「前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段」との事項を新たに追加する,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第4号に掲げる事項である明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものでもない。
さらに,「前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段」との事項を新たに追加する,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に掲げる事項である請求項の削除,同項第3号に掲げる事項である誤記の訂正を目的とするものでないことは明らかである。
以上のとおり,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではない。

3 独立特許要件
上記第2の2の項に記載したように,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではないが,念のため,仮に,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものであるとして,本件補正後の請求項8に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正後の請求項8には「前記クーポンコード表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段」と記載されているが,先行して「クーポン表示データ」と記載され,本願明細書の発明の詳細な説明にも「【0039】段階55においてマッチングが発見されれば,段階59によって,クーポン識別(ID)回路45は,マッチングしたクーポンコード43と関連したクーポンイメージ表示データ39およびバーコードイメージ表示データ41(すなわち,クーポン表示データ)を検索するための出力45a上の信号を送信する。次に,検索されたクーポン表示データは,段階61によって,PDA3に供給される。」と記載されていることから,「前記クーポン表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段」の誤記と認め,本件補正発明は,次のとおりのものと認める。
「電子クーポンを生成するための装置であって,
報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するための信号源と,
前記クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する手段と,
前記クーポン表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段と,
前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段と
を具備することを特徴とする装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-165206号公報(以下「引用例1」という。)には,1つの実施形態の説明として,以下(a),(b)の記載があり,他の実施形態の説明として,以下(c)-(f)の記載がある。
(a)「【0012】【発明の実施の形態】図1は,状況に依存したドキュメント配信システムを実施するシステムの,簡略ブロック図である。放送局10は,たとえば,ケーブルシステム17を通じて,衛星伝送システムを通じて,または何らかの別の伝送媒体を通じて転送する準備ができた,放送データを有する。伝送前に,エンコーダ13によって放送データに更なる情報12が付け加えられて,送信信号16が作成される。更なる情報12には,たとえば,状況に依存したドキュメント配信に用いるオーバーレイアイコンやオーバーレイメニューが含まれる。」
(b)「【0015】するとユーザは,リモートコントロール装置23を用いて,メニューアイテムを選択することができる。このメニューアイテムは,たとえば,印字した資料の要求を表す。スマート受信機21は,この選択を処理して,放送局10内の要求ハンドラ14にメッセージ25を送り返す。要求ハンドラ14は,データベース15にアクセスして,要求されたドキュメントを取得する。エンコーダ13は,このドキュメントを符号化して,送信信号16を作成する。スマート受信機21は,このドキュメントを抽出して,宛先装置24に送る。図1において,宛先装置24はプリンタとして示されている。または,宛先装置は,ディスクドライブなどの記憶装置,携帯情報端末(PDA),eメールアドレス,その他データを受け取る何らかの宛先であってもよい。」
(c)「【0016】図2は,状況に依存したドキュメント配信システムを実施するシステムの,他の実施形態の簡略ブロック図である。放送局30は,たとえば,ケーブルシステム37を通じて,衛星伝送システムを通じて,または何らかの別の伝送媒体を通じて転送される準備がなされた,放送データを有する。伝送前に,エンコーダ33によって放送データに更なる情報32が付け加えられて,送信信号36が作成される。更なる情報32には,たとえば,状況に依存したドキュメント配信に用いるオーバーレイアイコンやオーバーレイメニューが含まれる。エンコーダ33はまた,送信信号36を作成するときにドキュメント35も符号化する。ドキュメント35は,オーバーレイアイコンおよびオーバーレイメニューを用いて要求することができるすべてのデータを表す。データ35は,テキスト,オーディオ,ビデオ,またはその他のタイプのデータであってもよい。」
(d)「【0017】加入者設備40において,スマート受信機41は,放送データおよび更なる符号化した情報を受信する。ドキュメントは,大きなデータバッファ45内に記憶される。ユーザがテレビモニタ42上で見るテレビのチャンネルを選択すると,スマート受信機41は,現在の番組と共に表示される何らかのオーバーレイ情報があるかどうかを判定する。あると判定した場合には,スマート受信機41は,そのオーバーレイ画像をディスプレイ上にオーバーレイする。たとえばこのオーバーレイ情報には,オーバーレイアイコンおよび/またはメニューアイテムが含まれる。」
(e)「【0018】するとユーザは,リモートコントロール装置43を用いて,メニューアイテムを選択することができる。このメニューアイテムは,たとえば,印字された資料の要求を表す。スマート受信機41は,この選択を処理して,データバッファ45から要求されたドキュメントにアクセスし,これをプリンタ44上で印刷する。」
(f)「【0044】たとえば,スナックフードの広告の放送中,テレビディスプレイに,広告製品に関する何らかの更なる情報が印字に利用可能であるということを示すアイコンが現れる。聴視者は,その情報を印字するよう選択する。その製品の栄養価を説明し小売店割引クーポンが付いたページが印字される。」

携帯情報端末が入力されたドキュメントを記憶して表示することが例示するまでもなく慣用手段であるから,上記(b)の「携帯情報端末」が受信したドキュメントを記憶して表示することは自明のことである。
また,上記(c)のように「ドキュメント」がオーバーレイメニューを用いて要求することができるすべてのデータを表し,上記(d)のようにオーバーメニューにメニューアイテムが含まれ,上記(e)のようにユーザがメニューアイテムを選択するとスマート受信機はこの選択を処理して要求されたドキュメントにアクセスするのであるから,上記の「オーバーレイメニュー」に含まれる「メニューアイテム」がドキュメントを識別するドキュメント識別子を有することも自明のことである。
さらに,上記(f)の「スナックフードの広告の放送中,テレビディスプレイに,広告製品に関する何らかの更なる情報が印字に利用可能であるということを示すアイコンが現れる。聴視者は,その情報を印字するよう選択する。その製品の栄養価を説明し小売店割引クーポンが付いたページが印字される」ことから,上記の「ドキュメント」を割引クーポンを含むドキュメントとすることも自明のことである。

したがって,上記(c)-(f)の記載及び図面の記載から,引用例1には,
「放送局から放送され,割引クーポンを含むドキュメントと該ドキュメントを識別するドキュメント識別子を有するメニューアイテムを含むメニューとからなる符号化された更なる情報が付加された放送データを受信する手段と,
受信した符号化された更なる情報が付加された放送データから割引クーポンを含むドキュメントを取得してデータバッファメモリに記憶する手段と,
受信した符号化された更なる情報が付加された放送データからメニューを取得してメニュー画像をディスプレイ上に表示する手段と,
ユーザによるメニュー中のメニューアイテムの選択に応じて,該メニューアイテムの有するドキュメント識別子を基にデータバッファメモリから対応する割引クーポンを含むドキュメントを取得する手段と,
取得した割引クーポンを含むドキュメントをプリンタに送信して印刷させる手段と
を具備した受信機。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められ,さらに,上記(a),(b)の記載及び図面の記載から,引用例1には,
放送データに付加された情報を基にドキュメントを取得して,取得したドキュメントをプリンタに送信して印刷させる受信機において,取得したドキュメントをプリンタに送信して印刷させるかわりに,取得したドキュメントを携帯情報端末に送信して記憶させ表示させるようにしてもよいこと
も記載されていると認められる。

同じく引用された特開2002-304564号公報(以下「引用例2」という。)には,
「【0002】【従来の技術】商品やサービスの提供にあたり,予め消費者にクーポン券を配布し,消費者がこのクーポンを店頭で見せると,一定の商品が無償で与えられたり,又は割引になるサービスが行われている。その最もオーソドックスな提供方法は,紙媒体の物理的なクーポン券を介して行うものだが,最近はそのクーポン券をインターネットのwebページからデータとして配布し,これを消費者が印刷して店頭に持参するようにした方法や,携帯電話の表示窓に仮想のクーポンを取り込み,これを店頭で見せると上記の特典が与えられる方法が行われている。」,
「【0055】消費者は,消費者端末2を携帯し,クーポンを有効に利用できる店頭に持参する。そして,消費者端末2に表示させたクーポン識別情報をクーポン取引端末6に読み取らせる。クーポン識別情報がバーコードであればバーコードリーダで読みこむ。クーポン識別情報が番号や文字等であれば,キーボードから入力する。又は,店頭に出向く場合だけでなく,業者がクーポン取引端末6を持参した場合も同様である。」
と記載されている。

同じく引用された特開2001-319132号公報(以下「引用例3」という。)には,
「【0191】図17に示すビジネスモデル例でもメモリカード202などのパッケージソフトを利用者Hjに販売し,その後,ソフトメーカ13の依頼を受けた放送局9から利用者Hjの携帯端末装置14などに,販売促進情報内容D1として,新発売されたメモリカード(新商品)202などの購入時に利用できるサービス情報を一斉に配信するようにしたものである。利用者はパッケージソフトを楽しみながらも,これらのサービス情報を認知することができる。
【0192】このサービス情報には予めキャラクタグッズ引き換え券やキャッシュバッククーポン券が準備されている。このキャラクタグッズ引き換え券はその新商品のゲームソフトの主人公を例えば人形にしたキャラクタグッズをもらえる券である。キャッシュバッククーポン券はその新商品のゲームソフトなどを例えば10%引きで購入できる券である。これらの券は累積するような処理してもよい。何枚か貯まったらサービスを受けるシステムを導入できることによる。
【0193】これらの引き換え券やクーポン券は紙に出力してもよいが,この例では新発売されたメモリカード202を購入するときに,データストレージ75にダウンロードされた引き換え券やクーポン券に関する映像を液晶表示モニタ122に表示して,この映像をソフト販売店で提示することにより,そのゲームの主人公であるキャラクタグッズや,販売代金の10%引きといったキャッシュバックなどのサービス(特典)を受けられるようにしたものである。もちろん,これらのサービスを受けたときはデータストレージ75にダウンロードされた引き換え券やクーポン券に関する映像情報を自動的に消去する機構が予め準備されている。重複したサービスを受けることを排除するためである。」
と記載されている。

当審で周知の事項を示す周知例として引用する特開2001-216450号公報(以下「周知例1」という。)には,
「【0035】本実施形態では,店舗側システムと客の所持する携帯端末との間での電子クーポンの送受信に用いる通信メディアには,いわゆる無線LANを用いるものとしている。以下では,無線LANシステムの一つであるBluetoothを用いた場合を想定して説明するが,もちろん本発明はBluetooth以外の無線LANシステムでも実施可能である。なお,bluetoothは,携帯端末に広く内蔵されることが期待されている無線方式であり,近距離のワイヤレス通信を司るものである(例えば「http://www.bluetoth.com」に詳しく開示されている)。」
「【0045】図3に,会計(レジスタ)周辺の機器とその配置の例を示す。いわゆるスーパーマーケットやコンビニエンスストアのレジ(会計)の机90に,レジスタ201と,無線基地局101が配置され,これらがイーサネット210に接続されている様子を示している。」
「【0047】なお,図3では,レジスタはバーコードによる入力機能を持つものとしているが,バーコード入力機能を持たなくても構わないし,あるいはタッチパネルなどの他の入力デバイスによる入力機能を持つものであってもよい。また,レジスタがいわゆるPOSの機能を備えてもよいし(この場合,情報管理サーバがPOSサーバを兼ねてもよい),POS機能を備えなくてもよい。」
「【0118】なお,携帯端末100は,その液晶画面などに,内部に蓄積されている電子クーポンに付加された情報(例えば,端末表示画面記述部)を表示可能とする機能を持つものとする。例えば,端末表示画面記述部に「このクーポンを用いればジュースが30円引き」あるいは「有効期限は2000年1月1日から2000年1月15日まで」等といった情報を記述しておくことにより,ユーザは,携帯端末100の液晶画面などに該電子クーポンのサービス内容を表示させて閲覧することが可能となる。」
「【0131】図10に,システム側が携帯端末から電子クーポンを回収する際のシーケンスの一例を示す。」
「【0133】まず,客が,「この携帯端末内のクーポンを使いたい」という旨の申し出を行って店員に携帯端末100を渡し,店員がレジ・エリアの無線基地局101にその携帯端末100を近づける(もしくは置くなどする)。あるいは,客が店員に上記申し出を行うとともに,客自らが無線基地局101に携帯端末100を近づける(もしくは置くなどする)。
【0134】ここで,携帯端末の表示画面にその端末表示画面記述部が表示されている電子クーポンを,回収(利用)の対象とするようにしてもよい。
【0135】すなわち,携帯端末内にもいくつかの電子クーポンが蓄積されている場合があると考えられるが,回収(利用)の対象となるのは,携帯端末の表示画面に表示されている電子クーポンとすると,客や店員が確認しやすく,内容も理解しやすい。また,客が,別のクーポンは別の店であるいは別の機会に使おうと考えている場合もあると考えられ,表示されているクーポンのみを回収するようにすれば,(たとえ有効期限内であったとしても)客の意図しない電子クーポンを回収しまうことを防ぐことができるようになる。また,電子クーポンによるサービスを受けていることを客に意識させることができ,宣伝効果も得られる。」
と記載されている。

同じく引用する特開2001-282796号公報(以下「周知例2」という。)には,
「【0136】〔第1の実施形態〕図1は,本発明に係るサービス提供システムの第1の実施形態である,ポイントサービス提供システムを示すブロック構成図である。」
「【0138】図1において,本実施形態のサービス提供システムは,サービスサーバ11と,モバイル端末13と,サービス提供端末15とを備えて構成されており,各々が,有線または無線による公衆電話回線や専用線,衛星通信回線などによって構成された通信ネットワークに接続されている。」
「【0140】また,モバイル端末13は,例えば携帯電話機であり,無線または有線で通信ネットワークに接続された持ち運び可能な移動端末である。また,モバイル端末13は,サービス提供端末15と赤外線通信(IrDA)や近距離用無線(例えば,Bluetooth)で通信可能な通信手段,または可搬型の小型メモリーカード等に記録されたデータを読み書き可能な手段を備えている。なお,本実施形態ではモバイル端末を携帯電話機としたが,PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)やノートパソコン等としても良い。」
「【0144】(第1実施例)図3は,サービス提供システムの第1の実施形態としてのポイントサービス提供システムに関する第1実施例を示すブロック構成図である。本実施例のポイントサービス提供システムは,サービスサーバ31と,サービス提供端末15としてのコンビニまたはFF店等に設置されたPOS端末35と,モバイル端末13としての携帯電話機33とを備え,ユーザが携帯電話機33を使用する場合を想定している。」
「【0180】〔第2の実施形態〕図15は,本発明に係るサービス提供システムの第2の実施形態である,クーポンサービス提供システムを示すブロック構成図である。同図の構成および構成要素は,図1(第1の実施形態)と重複するので,同一の符号を附して説明を省略する。」
「【0182】(第1実施例)図17は,サービス提供システムの第2の実施形態としてのクーポンサービス提供システムに関する第1実施例を示すブロック構成図である。同図において,図3(第1の実施形態の第1実施例)と重複する部分には,同一の符号を附して説明を省略する。」
「【0188】まず,ユーザが,携帯電話機33を用いてサービスサーバ151が提供する会員専用ページにアクセスして電子クーポンを要求すると,サービスサーバ151はこれに応答して,要求に基づいた電子クーポンを発行し,携帯電話機33にダウンロードする。次に,ユーザがコンビニやFF店等で買い物をするとき,代金支払いの際にユーザが携帯電話機33を用いて,POS端末155に電子クーポンを送信する。POS端末155は,受信した電子クーポンに応じて購入金額の値引き処理を行う。」
と記載されている。

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると,
(イ)引用発明の「受信機」は,「割引クーポンを含むドキュメント」をプリンタに送信して印刷させるのであるから,本願補正発明の「電子クーポンを生成するための装置」と「クーポンを生成するための装置」として共通し,
(ロ)引用発明の「割引クーポン」は,本願補正発明の「報奨クーポン」に相当し,
(ハ)引用発明の「割引クーポンを含むドキュメントを識別するドキュメント識別子」は,本願補正発明の「報奨クーポンに対応するクーポンコード信号」と「報奨クーポンに関連する識別信号」として共通し,
(ニ)引用発明の「受信した符号化された更なる情報が付加された放送データからメニューを取得してメニュー画像をディスプレイ上に表示する手段」の「受信した符号化された更なる情報が付加された放送データからメニューを取得」する機能部分は,「割引クーポンを含むドキュメントを識別するドキュメント識別子」を有するメニューアイテムを含むメニューを取得するのであるから,本願補正発明の「報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するための信号源」と「報奨クーポンに関連する識別信号を生成するための信号源」として共通し,
(ホ)引用発明の「割引クーポンを含むドキュメント」は,プリンタに送信され印刷されるのであるから,紙媒体に表示されるといえ,割引クーポンもドキュメントの一部分として表示されるといえるから,本願補正発明の「クーポン表示データ」と「クーポンに関連する表示データ」として共通し,
(ヘ)引用発明の「ユーザによるメニュー中のメニューアイテムの選択に応じて,該メニューアイテムの有するドキュメント識別子を基にデータバッファメモリから対応する割引クーポンを含むドキュメントを取得する手段」は,本願補正発明の「クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する手段」と「識別信号を,クーポンに関連する表示データに変換する手段」として共通している。

したがって,両者は,
「クーポンを生成するための装置であって,
報奨クーポンに関連する識別信号を生成するための信号源と,
前記識別信号を,クーポンに関連する表示データに変換する手段と
を具備することを特徴とする装置。」
である点で一致し,次の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明は,識別信号がクーポンコード信号であり,表示データがクーポン表示データであるのに対して,引用発明は,識別信号が報奨クーポンを含むドキュメントを識別する識別子であり,表示データが報奨クーポンを含むドキュメントであり,本願補正発明のようなものではない点。
[相違点2]
本願補正発明は,クーポンが電子クーポンであり,クーポン表示データを,報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段と,前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段とを具備するのに対して,引用発明は,報奨クーポンを含むドキュメントの表示データをプリンタに送信して印刷させるものであり,本願補正発明のようなものではない点。

(4)判断
[相違点1]について検討する。
例えば引用例2に従来の技術として「【0002】【従来の技術】商品やサービスの提供にあたり,予め消費者にクーポン券を配布し,消費者がこのクーポンを店頭で見せると,一定の商品が無償で与えられたり,又は割引になるサービスが行われている。その最もオーソドックスな提供方法は,紙媒体の物理的なクーポン券を介して行うものだが,最近はそのクーポン券をインターネットのwebページからデータとして配布し,これを消費者が印刷して店頭に持参するようにした方法や,携帯電話の表示窓に仮想のクーポンを取り込み,これを店頭で見せると上記の特典が与えられる方法が行われている。」と記載されているように,クーポン自体のデータを配布することが周知の事項であるから,引用発明において,クーポン自体のデータを配布するべく,報奨クーポンを含むドキュメントを報奨クーポン自体の表示データであるクーポン表示データとし,報奨クーポンを含むドキュメントを識別する識別子をクーポンコード信号として,本願補正発明のようにすることは,当業者が格別に思考することなく推考し得たことである。
[相違点2]について検討する。
[相違点1]について検討したとおり,引用発明において,報奨クーポンを含むドキュメントをクーポン表示データとし,報奨クーポンを含むドキュメントを識別する識別子をクーポンコード信号とすることは,当業者が格別に思考することなく推考し得たことである。
そして,引用例1には,放送データに付加された情報を基にドキュメントを取得して,取得したドキュメントをプリンタに送信して印刷させる受信機において,取得したドキュメントをプリンタに送信して印刷させるかわりに,取得したドキュメントを携帯情報端末に送信して記憶させ表示させるようにしてもよいことも記載されており,例えば引用例2,3にみられるように,クーポン表示データを携帯端末に入力して記憶させ店頭で表示させることが周知の事項であり,さらに,例えば周知例1,2にみられるように,クーポンを示すデータを携帯端末に入力して記憶させ携帯端末に一体に形成されている送信ユニットにより店側装置に送信させ店側装置に受領してもらうことも周知の事項であって,クーポンのデータを店側装置に送信させるときに送信するクーポンのデータの内容を表示させてユーザに確認させることは,周知例1に「【0135】すなわち,携帯端末内にもいくつかの電子クーポンが蓄積されている場合があると考えられるが,回収(利用)の対象となるのは,携帯端末の表示画面に表示されている電子クーポンとすると,客や店員が確認しやすく,内容も理解しやすい。」と記載されているように,当業者が自然に考えることであるから,引用発明において,クーポン表示データを,報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段と,前記電子表示装置に前記報奨クーポンが表示されたとき,前記表示された報奨クーポンを回収する商店の装置によって該報奨クーポンを受領させるために,前記電子表示装置に一体に形成されている送信ユニットにより,前記報奨クーポンを示す信号を送信する手段とを設けて,クーポンを電子クーポンとし,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用発明及び周知の事項の作用効果から,当業者が容易に予測し得たことである。

したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
上記第2の2の項に記載したとおり,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものではなく,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また,上記第2の3の項に記載したとおり,仮に,本件補正前の請求項8を本件補正後の請求項8にする補正が,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項である特許請求の範囲の減縮(第36条第5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一のものに限る。)を目的とするものであるとしても,本願補正発明は,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成19年6月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項8に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成18年9月14日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,次のとおりのものと認める。
「電子クーポンを生成するための装置であって,
報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するための信号ソースと,
前記クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する手段と,
前記クーポン表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段と
を具備することを特徴とする装置。」
なお,特許請求の範囲の請求項8には「前記クーポンコード表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段」と記載されているが,先行して「クーポン表示データ」と記載され,本願明細書の発明の詳細な説明にも「【0039】段階55においてマッチングが発見されれば,段階59によって,クーポン識別(ID)回路45は,マッチングしたクーポンコード43と関連したクーポンイメージ表示データ39およびバーコードイメージ表示データ41(すなわち,クーポン表示データ)を検索するための出力45a上の信号を送信する。次に,検索されたクーポン表示データは,段階61によって,PDA3に供給される。」と記載されていることから,「前記クーポン表示データを,前記報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段」の誤記と認め,上記のように認定した。

2 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例及び引用例に記載された発明は,上記第2の3の(1)の項に記載したとおりである。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると,
(イ)引用発明の「受信機」は,「割引クーポンを含むドキュメント」をプリンタに送信して印刷させるのであるから,本願発明の「電子クーポンを生成するための装置」と「クーポンを生成するための装置」として共通し,
(ロ)引用発明の「割引クーポン」は,本願発明の「報奨クーポン」に相当し,
(ハ)引用発明の「割引クーポンを含むドキュメントを識別するドキュメント識別子」は,本願発明の「報奨クーポンに対応するクーポンコード信号」と「報奨クーポンに関連する識別信号」として共通し,
(ニ)引用発明の「受信した符号化された更なる情報が付加された放送データからメニューを取得してメニュー画像をディスプレイ上に表示する手段」の「受信した符号化された更なる情報が付加された放送データからメニューを取得」する機能部分は,「割引クーポンを含むドキュメントを識別するドキュメント識別子」を有するメニューアイテムを含むメニューを取得するのであるから,本願発明の「報奨クーポンに対応するクーポンコード信号を生成するための信号ソース」と「報奨クーポンに関連する識別信号を生成するための信号ソース」として共通し,
(ホ)引用発明の「割引クーポンを含むドキュメント」は,プリンタに送信され印刷されるのであるから,紙媒体に表示されるといえ,割引クーポンもドキュメントの一部分として表示されるといえるから,本願発明の「クーポン表示データ」と「クーポンに関連する表示データ」として共通し,
(ヘ)引用発明の「ユーザによるメニュー中のメニューアイテムの選択に応じて,該メニューアイテムの有するドキュメント識別子を基にデータバッファメモリから対応する割引クーポンを含むドキュメントを取得する手段」は,本願発明の「クーポンコード信号を,クーポン表示データに変換する手段」と「識別信号を,クーポンに関連する表示データに変換する手段」として共通している。

したがって,両者は,
「クーポンを生成するための装置であって,
報奨クーポンに関連する識別信号を生成するための信号ソースと,
前記識別信号を,クーポンに関連する表示データに変換する手段と
を具備することを特徴とする装置。」
である点で一致し,次の点で相違している。

[相違点1]
本願発明は,識別信号がクーポンコード信号であり,表示データがクーポン表示データであるのに対して,引用発明は,識別信号が報奨クーポンを含むドキュメントを識別する識別子であり,表示データが報奨クーポンを含むドキュメントであり,本願発明のようなものではない点。
[相違点2]
本願発明は,クーポンが電子クーポンであり,クーポン表示データを,報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段を具備するのに対して,引用発明は,報奨クーポンを含むドキュメントの表示データをプリンタに送信して印刷させるものであり,本願発明のようなものではない点。

4 判断
[相違点1]について検討する。
例えば引用例2(特開2002-304564号公報)に従来の技術として「【0002】【従来の技術】商品やサービスの提供にあたり,予め消費者にクーポン券を配布し,消費者がこのクーポンを店頭で見せると,一定の商品が無償で与えられたり,又は割引になるサービスが行われている。その最もオーソドックスな提供方法は,紙媒体の物理的なクーポン券を介して行うものだが,最近はそのクーポン券をインターネットのwebページからデータとして配布し,これを消費者が印刷して店頭に持参するようにした方法や,携帯電話の表示窓に仮想のクーポンを取り込み,これを店頭で見せると上記の特典が与えられる方法が行われている。」と記載されているように,クーポン自体のデータを配布することが周知の事項であるから,引用発明において,クーポン自体のデータを配布するべく,報奨クーポンを含むドキュメントを報奨クーポン自体の表示データであるクーポン表示データとし,報奨クーポンを含むドキュメントを識別する識別子をクーポンコード信号として,本願発明のようにすることは,当業者が格別に思考することなく推考し得たことである。
[相違点2]について検討する。
[相違点1]について検討したとおり,引用発明において,報奨クーポンを含むドキュメントをクーポン表示データとし,報奨クーポンを含むドキュメントを識別する識別子をクーポンコード信号とすることは,当業者が格別に思考することなく推考し得たことである。
そして,引用例1(特開2002-165206号公報)には,放送データに付加された情報を基にドキュメントを取得して,取得したドキュメントをプリンタに送信して印刷させる受信機において,取得したドキュメントをプリンタに送信して印刷させるかわりに,取得したドキュメントを携帯情報端末に送信して記憶させ表示させるようにしてもよいことも記載されており,例えば引用例2(特開2002-304564号公報),引用例3(特開2001-319132号公報)にみられるように,クーポン表示データを携帯端末に入力して記憶させ店頭で表示させることが周知の事項であるから,引用発明において,クーポン表示データを,報奨クーポンを表示するための電子表示装置に入力する手段を設けて,クーポンを電子クーポンとし,本願発明のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知の事項の作用効果から,当業者が容易に予測し得たことである。
したがって,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-04 
結審通知日 2010-06-08 
審決日 2010-06-21 
出願番号 特願2003-140964(P2003-140964)
審決分類 P 1 8・ 572- Z (G06Q)
P 1 8・ 574- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 575- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川口 美樹谷口 信行  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 小林 義晴
山本 穂積
発明の名称 報奨クーポンを電子的に生成しかつ表示する方法および装置  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 村山 靖彦  
代理人 実広 信哉  

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