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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01L
管理番号 1226254
審判番号 不服2008-8436  
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-07 
確定日 2010-11-04 
事件の表示 特願2004- 50707「動圧プローブホルダ及び動圧信号を収集する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 9月16日出願公開、特開2004-258039〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、2004年2月26日(パリ条約による優先権主張2003年2月27日、米国)の出願であって、平成19年12月28日付け(発送日平成20年1月8日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年4月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、平成20年5月1日付けで手続補正がなされたものである。


2.本願発明について
本願の請求項1?8に係る発明は、平成20年5月1日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
燃焼器の動圧プローブホルダ(10、110、210)において、
圧力感知通路(18、118、218)を有し、前記圧力感知通路に結合された圧力センサチャンバを規定するホルダ本体(16、116、216)と、
孔を有する管からなる、細長い音響減衰コイル(86、186、286)と
を具備し、
前記音響減衰コイルの孔は、前記圧力感知通路に減衰ライン(28)を介して結合されており、
前記音響減衰コイルは、コイルにおける凝縮物の形成を回避するために前記ホルダ本体に対して熱交換関係で配置されるように前記ホルダ本体の周囲に巻き付けられており、
前記減衰ライン(28)が、前記圧力感知通路の軸に同軸に該圧力感知通路と結合され、前記圧力感知通路から前記減衰コイル(86)まで延出しており、
前記圧力感知通路(18)と前記減衰ライン(28)と前記減衰コイル(86)とが等しい内径を備えることを特徴とするプローブホルダ。」


3.引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前である2003年2月6日に頒布された米国特許出願公開第2003/0024318号明細書(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、

(1-1)「Abstract
The invention pertains to a probe for measuring pressure pulsations. The probe comprises an inner tube (1) functioning as a measurement tube; an outer tube (12) arranged to envelop the measurement tube, and forming a toroidal space (14) between the inner and the outer tube; a pressure transmitter (6) which is in connection with the interior of the measurement tube on a transmitter side of said tube; a semi-infinite tube (8) with a first end in connection with the transmitter side end (3) of the measurement tube, and with a second end (11) in connection with the toroidal space. The semi-infinite tube (8) is arranged as a winding around the inner and/or outer tube, resulting in a compact and robust design of the probe, which is especially suited for a long-duration use for the measurement of combustor pulsations of gas turbines.(FIG. 1)」
(要約
この発明は、圧力変動を測定するプローブに関するものである。このプローブは、測定管として機能する内部管(1);測定管を包むように配置され、内部管と外部管との間に環状スペースを形成する外部管(12);測定管の変換器側で測定管の内部と結合する圧力変換器(6);測定管の変換器側端(3)に結合する第1の端部、及び、環状スペースに結合する第2の端部(11)を有する半無限管(8)より構成される。半無限管(8)は、内部管及び/又は外部管の周りに巻かれたコイルとして配置されており、ガスタービンの燃焼器圧力変動測定のための長期使用に特に適したプローブのコンパクトで丈夫な構成を達成している。(図1))

(1-2)「 In order to hereby avoid interfering seams that again would result in reflections with echo effects, it is also advantageous in this connection that the semi-infinite tube has the same internal diameter as the measuring tube. 」(2頁左欄4?8行)
(反響効果を伴う反射を生じる干渉継ぎ目を避けるために、半無限管が測定管と同じ内径を有することは、この接合において有利である。)

(1-3)「It is especially advantageous that the entire configuration is then designed so that the flushing air is cooled when flowing through the semi-infinite tube to a range of slightly above 100℃., for example, 120℃. to about 200℃., whereby, in particular, temperatures from 150℃. to 180℃. are desired when the flushing air enters the measuring tube. This temperature range has the advantage that, on the one hand, condensation is prevented, but, on the other hand, a pressure transmitter, whose upper acceptable usage temperature is specified, for example, as 200℃., can be easily used.」(2頁左欄34?43行)
(全体形状は、半無限管を流れる高温空気が100℃よりもわずかに高い範囲、例えば、120℃から約200℃に冷却されるように設計されることが特に有利である。高温空気が測定管に流入するとき、150℃から180℃の温度が特に好ましい。この温度範囲は、一方では、凝縮を避ける利点があるし、他方では、上限使用温度が、例えば、200℃である圧力変換器が容易に使用できるという利点がある。)

(1-4)「 The bushing 21 is positioned axially movable with a close sliding fit in a sheath 23 and in this way also fixes the measuring tube radially. The sheath 23 is connected in a fixed manner via the plate 18 with the outer tube. A second sheath 24 also extends axially movable over sheath 23. This sheath radially supports the transmitter carrier 25 wherein, on the one hand, the transmitter 6 is held, and, on the other hand, the measuring tube is positioned in a fixed manner.」(4頁左欄35?43行)
(ブッシング21は、シース23の中を接触状態でスライドして軸方向に移動できるように位置している。そして、このようにして、測定管を半径方向に固定している。シース23は、固定状態でプレート18を経由して外部管に接続されている。第2のシース24は、シース23の上に軸方向に動けるように広がっている。このシースは、軸方向に変換器支持体25を支持している。ここには、一方に、変換器6が支持され、他方に、測定管が固定状態で位置している。)

が記載されている。

したがって、これらの記載によると、引用例1には、次のとおりの発明、

「燃焼器(燃焼器に相当。)のプローブ(動圧プローブホルダ(10、110、210)に相当。)において、
測定管1の内部(圧力感知通路(18、118、218)に相当。)を有する、変換器支持体25、シース24,23及びプレート18(ホルダ本体(16、116、216)に相当。)と、
半無限管8のコイル部分(孔を有する管からなる、細長い音響減衰コイル(86、186、286)に相当。)と
を具備し、
前記半無限管8のコイル部分は、前記測定管1に第1の端部を介して結合されており(音響減衰コイルの孔は、前記圧力感知通路に減衰ライン(28)を介して結合されておりに相当。)、
前記半無限管8のコイル部分(音響減衰コイルに相当。)は、コイル部分(コイルに相当。)における凝縮(凝縮物の形成に相当)を回避するために前記変換器支持体25、シース24,23及びプレート18(ホルダ本体に相当。)に対して 前記変換器支持体25、シース24,23及びプレート18の周りに巻かれており(熱交換関係で配置されるように前記ホルダ本体の周囲に巻き付けられておりに相当。)、
前記第1の端部(減衰ライン(28)に相当。)が、前記測定管1の内部(圧力感知通路に相当。)の軸に同軸に該測定管1の内部(圧力感知通路に相当。)と結合され、前記測定管1の内部(圧力感知通路に相当。)から前記半無限管8のコイル部分(減衰コイル(86)に相当。)まで延出しており、
前記測定管1の内部(圧力感知通路(18)に相当。)と前記第1の端部(減衰ライン(28)に相当。)と前記半無限管8のコイル部分(減衰コイル(86)に相当。)とが同じ内径(等しい内径に相当。)を備えることを特徴とするプローブ(プローブホルダに相当。)。」(以下、これを「引用例1に記載の発明」という。)

が記載されていると認める。


4.対比・判断
本願発明と引用例1に記載の発明とを対比する。
引用例1に記載の発明における「燃焼器」、「プローブ」は、それぞれ、
本願発明における「燃焼器」、「動圧プローブホルダ(10、110、210)」
に相当する。
また、引用例1に記載の発明における「測定管1の内部」、「変換器支持体25、シース24,23及びプレート18」、「半無限管8のコイル部分」、「半無限管8のコイル部分は、前記測定管1に第1の端部を介して結合されており」、「半無限管8のコイル部分」、「コイル部分」、「凝縮」、「変換器支持体25、シース24,23及びプレート18」は、それぞれ、
本願発明における「圧力感知通路(18、118、218)」、「ホルダ本体(16、116、216)」、「孔を有する管からなる、細長い音響減衰コイル(86、186、286)」、「音響減衰コイルの孔は、前記圧力感知通路に減衰ライン(28)を介して結合されており」、「音響減衰コイル」、「コイル」、「凝縮物の形成」、「ホルダ本体」
に相当する。
さらに、引用例1に記載の発明における「前記変換器支持体25、シース24,23及びプレート18の周りに巻かれており」は、半無限管8のコイル部分が、変換器支持体25、シース24,23及びプレート18の周りに巻かれていること、及び、変換器支持体25、シース24,23及びプレート18側がより高温になることを考え合わせると、両者には熱交換関係があると認められるから、
本願発明における「熱交換関係で配置されるように前記ホルダ本体の周囲に巻き付けられており」
に相当する。
そして、引用例1に記載の発明における「第1の端部」、「測定管1の内部」、「半無限管8のコイル部分」、「測定管1の内部」、「同じ内径」、「プローブ」は、それぞれ、
本願発明における「減衰ライン(28)」、「圧力感知通路」、「減衰コイル(86)」、「圧力感知通路(18)」、「等しい内径」、「プローブホルダ」
に相当する。

したがって、両者は、

【一致点】
「燃焼器の動圧プローブホルダ(10、110、210)において、
圧力感知通路(18、118、218)を有する、ホルダ本体(16、116、216)と、
孔を有する管からなる、細長い音響減衰コイル(86、186、286)と
を具備し、
前記音響減衰コイルの孔は、前記圧力感知通路に減衰ライン(28)を介して結合されており、
前記音響減衰コイルは、コイルにおける凝縮物の形成を回避するために前記ホルダ本体に対して熱交換関係で配置されるように前記ホルダ本体の周囲に巻き付けられており、
前記減衰ライン(28)が、前記圧力感知通路の軸に同軸に該圧力感知通路と結合され、前記圧力感知通路から前記減衰コイル(86)まで延出しており、
前記圧力感知通路(18)と前記減衰ライン(28)と前記減衰コイル(86)とが等しい内径を備えることを特徴とするプローブホルダ。」

で一致し、

【相違点1】
「本願発明では、ホルダ本体(16、116、216)が、圧力感知通路に結合された圧力センサチャンバを規定するのに対して、
引用例1に記載の発明では、変換器支持体25、シース24,23及びプレート18(ホルダ本体に相当。)が、測定管1の内部(圧力感知通路に相当。)に結合された圧力センサチャンバを規定するかどうか不明である点」、

で相違する。

そこで、上記【相違点1】について検討する。
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張の日前である昭和55年9月6日に頒布された特開昭55-116237号公報(以下、「引用例2」という。)には、

(2-1)「本発明は、圧力測定装置に関し、特に、圧力感知点から離れた所においてガス中の動圧を測定する為の装置に関する。」(2頁左上欄8?10行)、

(2-2)「トランスデューサ7は隔壁10(第6図)を有し、隔壁10は、その周辺が輪形唇部11に接するように保持され、トランスデューサ8(トランスデューサブロック8の誤記と認める。)が基部5上に組立てられた時に管1の壁中の孔4と連通する小室11Aを形成し、よって、隔膜10は、管1の内部から孔4を経て伝達される圧力変動にさらされる。」(3頁右上欄11?16行)、

と、

「離れた所においてガス中の動圧を測定する為の装置において、基部5及びトランスデューサブロック8のような、ホルダ本体が、管の内部に連通する小室11Aを形成する。」

ことが記載されている。

したがって、引用例1に記載の発明において、その変換器支持体25、シース24,23及びプレート18(ホルダ本体に相当。)が、測定管1の内部(圧力感知通路に相当。)に連通する(結合されたに相当。)小室11A(圧力センサチャンバに相当。)を形成(規定に相当。)するように構成することは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明の効果は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が予測可能な範囲のものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願発明が、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項2?8に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-02 
結審通知日 2010-06-08 
審決日 2010-06-21 
出願番号 特願2004-50707(P2004-50707)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 櫻井 健太  
特許庁審判長 江塚 政弘
特許庁審判官 山川 雅也
松浦 久夫
発明の名称 動圧プローブホルダ及び動圧信号を収集する方法  
代理人 小倉 博  
代理人 荒川 聡志  
代理人 黒川 俊久  

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