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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25D 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25D |
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管理番号 | 1226300 |
審判番号 | 不服2008-4066 |
総通号数 | 132 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2010-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-02-21 |
確定日 | 2010-11-01 |
事件の表示 | 特願2003-507481号「蓄冷型冷凍機」拒絶査定不服審判事件〔平成15年1月3日国際公開、WO03/01127〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2002年6月20日(優先権主張2001年6月21日、日本国)を国際出願日とする出願であって、平成20年1月8日付け(発送日:同年同月22日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成20年2月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、平成20年3月24日に手続補正がなされたものである。 第2 平成20年3月24日の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成20年3月24日の手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。 [理由] 1.補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。 「両端に室温端部と低温端部と有するパルス管と、両端に室温端部と低温端部とを有する蓄冷器と、アクティブバッファを設置し前記パルス管の室温端部に連通して作動ガスの圧力変動と位相差を制御する位相制御手段と、前記蓄冷器の室温端部と連通して圧縮機並びに高圧切換弁および低圧切替弁からなる圧力制御手段とを備えて被冷却対象に熱伝達するパルス管冷凍機であって、 それぞれの軸方向を並列に配置する前記パルス管の低温端部と前記蓄冷器の低温端部とを連結し、かつ両者の軸間距離を超えた位置に設けられた被冷却対象まで延長した作動ガスの流動経路を設け、 前記被冷却対象の冷却を高速化することを特徴とするパルス管冷凍機。」(下線部は補正個所を示す。) 2.補正の目的 本件補正は、補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「位相制御手段」について、「アクティブバッファを設置」していることを限定し、パルス管と蓄冷器の配置について、「それぞれの軸方向を並列に配置する」と限定し、また、被冷却対象の設けられる位置について、「両者の軸間距離を超えた位置」と限定し、さらに、パルス管冷凍機の作用について、「被冷却対象の冷却または昇温再生を高速化する」を「被冷却対象の冷却を高速化する」と限定したものであり、かつ、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか。)について以下に検討する。 3-1.引用例の記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用された、特開平11-351687号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「【従来の技術】従来から、オリフィス型パルス管冷凍機として、図2に示すものがある。このオリフィス型パルス管冷凍機は、オイル潤滑式圧縮機ユニット10と蓄冷器2とコールドヘッド3とパルス管4とバッファタンク5とからなり、オイル潤滑式圧縮機ユニット10にオイル潤滑式圧縮機1と油回収・除去手段11を内包している。そして、圧縮機1の吐出口を高圧バルブ6a付きパイプ6を介して蓄冷器2の上端部に連結するとともに、圧縮機1の戻り口を低圧バルブ7a付きパイプ7を介して蓄冷器2の上端部に連結している。また、蓄冷器2とパルス管4とを左右に並べ、蓄冷器2の下端部とパルス管4の下端部をつなぐパイプ8にコールドヘッド3を設けている。また、パルス管4の上方にバッファタンク5を配設し、パルス管4の上端部をオリフィスバルブ9a付きパイプ9を介してバッファタンク5に連結している。 通常、パルス管冷凍機に用いられるオイル潤滑式圧縮機には、潤滑・シールのための油が使用されているが、この油が作動ガスに混入しないようにオイル潤滑式圧縮機ユニットに油回収・除去手段が内包されている。すなわち、上記油が圧縮機から吐出ガス(作動ガス)とともに排出されると、パルス管冷凍機の配置や構造によっては上記油が内部に溜まることがある。例えば、図2に示すオリフィス型パルス管冷凍機において、油回収・除去手段11がない場合には、圧縮機1の吐出口から吐出ガスとともに排出された油は、パイプ8,コールドヘッド3を通過する際にパイプ8,コールドヘッド3に溜まる。また、パイプ6?9,蓄冷器2,パルス管6内に付着した油も、重力により流下してパイプ8,コールドヘッド3に溜まる。このようにして、内部に溜まった油はパルス管冷凍機の寒冷で固化し、コールドヘッド3の流路を狭くしたり、閉塞したりするため、寒冷の発生能力が低下し、もしくは寒冷が発生しなくなる。そこで、上述したように、オイル潤滑式圧縮機ユニット10には、油回収・除去手段11が内包されており、吐出ガスに油が混入しないようにしている。」(段落【0002】、【0003】、下線は当審で付与。) イ.「この発明のパルス管冷凍機としては、図2に示すようなオリフィス型パルス管冷凍機に限定されるものではなく、例えば、ベーシック型,ダブルインレット型,アクティブバッファ型等各種のパルス管冷凍機に適用される。」(段落【0008】) ウ.パルス管冷凍機において、コールドヘッドは被冷却対象に当接して寒冷を伝熱するものであるから、コールドヘッドの位置と被冷却対象の位置はほぼ同じであり、「蓄冷器2の下端部とパルス管4の下端部をつなぐパイプ8にコールドヘッド3を設けている」ということは「蓄冷器2の下端部とパルス管4の下端部を被冷却対象まで延長したパイプ8でつないでいる」ということができる。 上記記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「上端部と下端部と有するパルス管4と、上端部と下端部とを有する蓄冷器2と、バッファタンク5をオリフィスバルブ9a付きパイプ9を介して前記パルス管4の上端部に連結し、圧縮機1の吐出口を高圧バルブ6a付きパイプ6を介して蓄冷器2の上端部に連結するとともに、圧縮機1の戻り口を低圧バルブ7a付きパイプ7を介して蓄冷器2の上端部に連結し、被冷却対象に熱伝達するオリフィス型パルス管冷凍機であって、 蓄冷器2とパルス管4とを左右に並べ前記パルス管4の下端部と前記蓄冷器2の下端部を被冷却対象まで延長したパイプ8でつないでいるオリフィス型パルス管冷凍機。」 (2)新たに引用する、特開平6-313645号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 ア.「図1に示す物体冷却装置10は、ギフォードマクマホン冷凍機11(以下、GM冷凍機と称する。)で発生する冷凍により冷却すべき物体15を冷却するものである。物体冷却装置10は、GM冷凍機11と、冷凍搬送通路12及び熱搬送通路13からなる循環通路106と、ポンプ手段14とを備えている。」(段落【0018】) イ.「前述の循環通路106の途中には、冷凍機11の膨張空間24の周囲に位置するように熱交換器30が配設され、この熱交換器30には、冷凍搬送通路12及び熱搬送通路13が連通している。又、冷凍搬送通路12及び熱搬送通路13は、冷却すべき物体15に熱接触させた熱交換部31に連通している。尚、循環通路106内には、ガス状ヘリウム等のガス状媒体(以下、ガス状ヘリウムと称する。)が封入されている。ここで、冷凍機11で発生する冷凍が熱交換器30内を経由するガス状ヘリウムに伝達され、冷凍搬送通路12によって熱交換部31まで搬送される。又、熱交換部31にて冷却されたガス状ヘリウムが冷却すべき物体15から熱を奪い、その熱が熱搬送通路13によって熱交換器30に搬送される。尚、ガス状ヘリウムは、冷凍機11内のヘリウムガスと混合することはない。」(段落【0022】) ウ.「インバータ42a内には、例えば図3に示すように、温度とモータ34の回転数の最適値との関係がメモリされている。ここで、図3は、ガス状ヘリウムの質量1g?5g,搬送距離10m,冷凍搬送通路12の内径12mm及び熱搬送通路13の内径12mmの時の冷凍搬送通路12内を流れるガス状ヘリウムの温度T1とモータ34の回転数の最適値との関係を示している。」(段落【0028】) エ.「尚、第1及び第2実施例においては、GM冷凍機を採用しているが、本発明においてはこれに限定される必要は全くなく、冷凍を発生する冷凍機(例えば、スターリング冷凍機,パルス管冷凍機等)であれば何でもよい。」(段落【0059】) 3-2.対比 本願補正発明と引用発明とを対比すると、機能または作用等からみて、引用発明の「パルス管4」は本願補正発明の「パルス管」に相当し、同様に、「蓄冷器2」は「蓄冷器」に、「上端部」は「室温端部」に、「下端部」は「低温端部」に、それぞれ相当する。また、引用発明の「圧縮機1」、「高圧バルブ6a」、「低圧バルブ7a」は、それぞれ本願補正発明の「圧縮機」、「高圧切換弁」、「低圧切換弁」に相当し、引用発明の「圧縮機1」、「高圧バルブ6a」、「低圧バルブ7a」は圧力制御手段ということができるから、引用発明の「圧縮機1の吐出口を高圧バルブ6a付きパイプ6を介して蓄冷器2の上端部に連結するとともに、圧縮機1の戻り口を低圧バルブ7a付きパイプ7を介して蓄冷器2の上端部に連結」することは、本願補正発明の「蓄冷器の室温端部と連通して圧縮機並びに高圧切換弁および低圧切替弁からなる圧力制御手段とを備え」ることに相当する。さらに、引用発明において「蓄冷器2とパルス管4とを左右に並べ」ることは本願補正発明の「それぞれの軸方向を並列に配置する」ことに相当し、引用発明の「パイプ8」は本願補正発明の「作動ガスの流動経路」に相当するから、「前記パルス管4の下端部と前記蓄冷器2の下端部を被冷却対象まで延長したパイプ8でつないでいる」ことは本願補正発明の「前記パルス管の低温端部と前記蓄冷器の低温端部とを連結し、被冷却対象まで延長した作動ガスの流動経路を設け」ることに相当する。 そして、引用発明は「バッファタンク5をオリフィスバルブ9a付きパイプ9を介して前記パルス管4の上端部に連結」することで、作動ガスの圧力変動と位相差を制御するものであり、引用発明の「オリフィス型パルス管冷凍機」と本願補正発明の「アクティブバッファを設置し」た「パルス管冷凍機」は「パルス管冷凍機」として共通する。 なお、請求人は、「刊行物1には、効率的な熱エネルギーの移動を意図するものではなく、被冷却対象までの熱伝達を、コールドヘッドを用いた固体伝熱に代えて、作動ガス用の流動経路を設けて、直接、作動ガスを流動させることを記載も示唆もするものではありません。」(平成20年4月7日受付手続補正書(方式)、以下「請求の理由」という。4ページ19?21行)及び「刊行物1の文脈に沿って、段落[0002]の記載を理解すれば、到底、かかる認定をなすことはできないものと思慮します。本願発明の知識を得た上で、刊行物1に記載の発明を理解することから、刊行物1に記載の技術事項を本願発明の構成に近いものと錯覚し、上記認定に飛躍が生じることとなり、本願発明の特徴を看過することになっております。」(請求の理由4ページ28?32行)旨主張しているが、「圧縮機1の吐出口から吐出ガスとともに排出された油は、パイプ8,コールドヘッド3を通過する際にパイプ8,コールドヘッド3に溜まる」(「3-1.(1)」の「ア.」参照。)との記載のとおり、引用発明のパルス管冷凍機は、圧縮機1から吐出される吐出ガス、すなわち、作動ガスは油をともなうにしろ、パイプ8を通過するのであるから、引用例1の「パイプ8」は、本願補正発明の「作動ガスの流動経路」に相当することは明らかであり、請求人の主張は失当である。 そこで、本願補正発明の用語を用いて表現すると、両者は次の点で一致する。 (一致点) 「両端に室温端部と低温端部と有するパルス管と、両端に室温端部と低温端部とを有する蓄冷器と、前記パルス管の室温端部に連通して作動ガスの圧力変動と位相差を制御する位相制御手段と、前記蓄冷器の室温端部と連通して圧縮機並びに高圧切換弁および低圧切替弁からなる圧力制御手段とを備えて被冷却対象に熱伝達するパルス管冷凍機であって、 それぞれの軸方向を並列に配置する前記パルス管の低温端部と前記蓄冷器の低温端部とを連結し、かつ被冷却対象まで延長した作動ガスの流動経路を設けたパルス管冷凍機。」 そして、両者は次の点で相違する。 (相違点1) パルス管の室温端部に連通して作動ガスの圧力変動と位相差を制御する位相制御手段が、本願補正発明は、アクティブバッファを設置しているのに対し、引用発明はバッファタンク5をオリフィスバルブ9a付きパイプ9を介して前記パルス管4の上端部に連結している点。 (相違点2) 被冷却対象について、本願補正発明は、パルス管と蓄冷器の軸間距離を超えた位置に設けられているのに対し、引用発明はそのようになっていない点。 (相違点3) 本願補正発明は、被冷却対象の冷却を高速化するものであるのに対し、引用発明はこの点が明らかでない点。 3-3.相違点の判断 上記相違点について検討する。 (相違点1について) パルス管冷凍機において、パルス管の室温端部に連通して作動ガスの圧力変動と位相差を制御する位相制御手段としてアクティブバッファを設置するものは周知(上記「3-1.(1)」の「イ.」、特開2000-46426号公報(段落【0023】、図5)、特開2000-310458号公報(段落【0034】、図7)参照。)であり、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点2について) 本願補正発明の「パルス管と蓄冷器の軸間距離を超えた位置に設けられた被冷却対象まで延長した作動ガスの流動経路」について、「軸間距離を超えた位置に設けられた被冷却対象」とした技術的意義は、本願明細書に何ら記載はなく、また、意見書、審判請求書をみても「軸間距離を超えた位置に設けられた被冷却対象」とした点の技術的意義について何ら記載されておらず、その根拠として、本願明細書の「本発明例として作動ガスの流動経路に配管(以下、クライオコイルという)を使用したパルス管冷凍機を用い・・・本発明例として使用したパルス管冷凍機を『配管型冷凍機』という。この配管型冷凍機では、クライオコイルとして外径9.52mm、長さ8mの銅製配管を使用した。」(段落【0035】?【0037】)及び、図3,図4をあげているのみである。そうすると、被冷却対象をパルス管と蓄冷器の軸間距離を超えた位置に配置することは、必要に応じて当業者が容易に成し得たことと言わざるをえない。また、明細書の上記記載からは、配管の径に比して配管の長さが十分長いものであることが窺われるが、例えば、引用例2に記載されているように、冷凍機において冷凍搬送通路及び熱搬送通路を各搬送通路の径(12mm)に比較して長距離(10m)とすることも、当業者が容易に成し得ることにすぎない。 したがって、相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のようにすることは当業者が容易に想到し得たことである。 (相違点3について) 本願補正発明は、被冷却対象の冷却を高速化するものであると特定されているが、ここで冷却を高速化するという作用は、請求人が主張するように「冷凍機の寒冷発生部から被冷却対象までの熱伝達を、従来の銅で一体構成されたコールドヘッドを用いた伝熱に代えて、低温の作動ガス用の流動経路を被冷却対象、またはその近傍まで設けて、直接、作動ガスを流動させることによって、効率的な熱エネルギーの移動を図る」(請求の理由3ページ30?33行)ことにより奏するものと認められるが、低温の作動ガス用の流動経路を被冷却対象まで設けることは本願補正発明と引用発明の一致点であるから、引用発明も同様の作用を奏するものであり、相違点3は実質的な相違点ではない。 そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び引用例2に記載された事項から当業者が予測し得た程度のものであって、格別のものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 3-4.むすび 以上のとおり、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、同項記載の発明を、「本願発明」という)は、平成19年11月16日の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「両端に室温端部と低温端部と有するパルス管と、両端に室温端部と低温端部とを有する蓄冷器と、前記パルス管の室温端部に連通して作動ガスの圧力変動と位相差を制御する位相制御手段と、前記蓄冷器の室温端部と連通して圧縮機並びに高圧切換弁および低圧切替弁からなる圧力制御手段とを備えて被冷却対象に熱伝達するパルス管冷凍機であって、 前記パルス管の低温端部と前記蓄冷器の低温端部とを連結し、かつ前記被冷却対象まで延長した作動ガスの流動経路を設け、 前記被冷却対象の冷却または昇温再生を高速化することを特徴とするパルス管冷凍機。」 第4 引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及び、その記載事項は、前記「第2」の「3-1.(1)」に記載したとおりである。 第5 対比・判断 本願発明は、前記「第2」の「1.」の本願補正発明から、「位相制御手段」の限定事項である「アクティブバッファを設置」との事項を省き、「パルス管と蓄冷器の配置」についての限定事項である「それぞれの軸方向を並列に配置する」との事項を省き、また、「被冷却対象の設けられる位置」についての限定事項である「両者の軸間距離を超えた位置」との事項を省き、さらに、パルス管冷凍機の作用について「被冷却対象の冷却を高速化する」を「被冷却対象の冷却または昇温再生を高速化する」と限定事項を省いたものである。 ところで、上記の限定事項のうち「被冷却対象の設けられる位置」についての限定事項である「両者の軸間距離を超えた位置」との事項については、前記「第2」の「3-2.」及び「3-3.」で検討した(相違点2)に関する事項である。 そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」の「3-3.」に記載したとおり、引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-07-12 |
結審通知日 | 2010-08-03 |
審決日 | 2010-08-18 |
出願番号 | 特願2003-507481(P2003-507481) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F25D)
P 1 8・ 121- Z (F25D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山村 秀政 |
特許庁審判長 |
森川 元嗣 |
特許庁審判官 |
豊島 唯 松下 聡 |
発明の名称 | 蓄冷型冷凍機 |
代理人 | 森 道雄 |