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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1226974
審判番号 不服2007-29817  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-01 
確定日 2010-11-11 
事件の表示 特願2004- 40742「入力装置および情報端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月14日出願公開、特開2004-288172〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成16年2月18日の出願であって、平成18年9月11日付け拒絶理由通知に対して、同年11月17日付けで手続補正がなされたが、平成19年9月26日付けで拒絶査定され、これに対し、同年11月1日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに、同年12月3日付けで手続補正がされたものである。

第2 平成19年12月3日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成19年12月3日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.本件補正の内容
平成19年12月3日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を以下のとおり補正するものである。
「 【請求項1】
情報端末装置の本体の外側面の一部に、表面を長手方向に複数分割して位置センサーが配置され、
上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから上記指を接触させた状態で上方に移動させる上スクロールと、上記指を接触させた状態で下方に移動させる下スクロールと、上記指を接触・離間させる中タップとの何れかを上記位置センサーによって検出し、
上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから、上記上スクロールが検出された場合は画面を上方に切り換える操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給し、上記下スクロールが検出された場合は画面を下方に切り換える操作信号を上記コントローラに対して供給し、上記中タップが検出された場合は機能をする操作信号を上記コントローラに対して供給するようにした入力装置。
【請求項2】
請求項1において、
情報端末装置の本体の筐体によって、位置センサーのセンシング部が覆われ、
上記センシング部を覆う筐体表面に接触する指の位置と、上記筐体表面における上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とを上記位置センサーによって検出することを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記本体に表示部が設けられた入力装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記接触・離間操作がなされる位置が上記筐体表面における所定の場所とされた入力装置。
【請求項5】
請求項1において、
上記筐体が、非導電性材料からなる入力装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記非導電性材料がセラミックあるいはプラスチックである入力装置。
【請求項7】
請求項1において、
上記位置センサーは、上記センシング部がフィルム状の構成とされ、上記指の接触によって生じる静電容量の変化を検知するようになされた入力装置。
【請求項8】
請求項1において、
上記位置センサーは、指の接触によってオンする複数の感圧スイッチが少なくとも一方向に整列して配された入力装置。
【請求項9】
入力装置と入力装置からの操作信号が制御用のコントローラに与えられる情報端末装置において、
上記入力装置は、
本体の外側面の一部に、表面を長手方向に複数分割して位置センサーが配置され、
上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから上記指を接触させた状態で上方に移動させる上スクロールと、上記指を接触させた状態で下方に移動させる下スクロールと、上記指を接触・離間させる中タップとの何れかを上記位置センサーによって検出し、
上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから、上記上スクロールが検出された場合は画面を上方に切り換える操作信号を上記コントローラに対して供給し、上記下スクロールが検出された場合は画面を下方に切り換える操作信号を上記コントローラに対して供給し、上記中タップが検出された場合は機能をする操作信号を上記コントローラに対して供給する構成とされた情報端末装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記入力装置は、
本体の筐体によって、位置センサーのセンシング部が覆われ、
上記センシング部を覆う筐体表面に接触する指の位置と、上記筐体表面における上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とを上記位置センサーによって検出することを特徴とする情報端末装置。
【請求項11】
請求項9において、
上記本体に表示部が設けられた情報端末装置。
【請求項12】
請求項9において、
上記接触・離間操作がなされる位置が上記筐体表面における所定の場所とされた情報端末装置。
【請求項13】
請求項9において、
上記筐体が、非導電性材料からなる情報端末装置。
【請求項14】
請求項13において、
上記非導電性材料がセラミックあるいはプラスチックである情報端末装置。
【請求項15】
請求項9において、
上記位置センサーは、上記センシング部がフィルム状の構成とされ、上記指の接触によって生じる静電容量の変化を検知するようになされた情報端末装置。
【請求項16】
請求項9において、
上記位置センサーは、指の接触によってオンする複数の感圧スイッチが少なくとも一方向に整列して配された情報端末装置。」

2.本件補正の適否の検討
本件補正は、補正前の請求項1,12に係る発明を特定するために必要な事項である「上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作との何れかを上記位置センサーによって検出」を「上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから上記指を接触させた状態で上方に移動させる上スクロールと、上記指を接触させた状態で下方に移動させる下スクロールと、上記指を接触・離間させる中タップとの何れかを上記位置センサーによって検出」と限定し、補正前の請求項1,12に係る発明を特定するために必要な事項である「上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作との何れかに対応する操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給する」を「上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから、上記上スクロールが検出された場合は画面を上方に切り換える操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給し、上記下スクロールが検出された場合は画面を下方に切り換える操作信号を上記コントローラに対して供給し、上記中タップが検出された場合は機能をする操作信号を上記コントローラに対して供給する」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.引用刊行物の記載
刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-354311号公報(平成14年12月6日出願公開。以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

a.「【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に鑑み、機器自体の小型化、薄型化を実現し、かつ操作性を向上させた携帯型電子機器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、表示装置を有する携帯型電子機器であって、線状かつ連続的に配置したタッチ検出センサを含むタッチ入力部を、前記表示装置の周辺に設け、前記タッチ入力部が検出したタッチ位置及びタッチ状態での移動に応じて前記携帯型電子機器の制御操作又は前記表示装置に表示された項目に基づく入力操作が行われるものである。」
(公報第3頁)

b.「【0021】(第1の実施の形態)第1の実施の形態を図1から図7を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態のデジタルカメラの斜視図であり、(a)はその正面を、(b)はその背面を示したものである。図1のデジタルカメラは、電源スイッチ1、レンズ2、光学ファインダー3、シャッターボタン4、補助光発光部5、記録メディア挿入部6、画像モニタ7、タッチパッド8、9を含んで構成される。
【0022】図1のデジタルカメラにおいて、電源スイッチ1は、デジタルカメラの撮影モード/再生モードの切替えスイッチを兼用している。また、補助光発光部5は、低照度時に補助光を発光するもので、ストロボ、LED等が利用される。
【0023】タッチパッド8、9は、操作者の指等の接触を検出するタッチ検出センサであり、タッチパッド8は、画像モニタ7のH方向(水平方向)に略平行に設けられ、H方向の接触位置信号を出力するものであり、タッチパッド9は、画像モニタ7のV方向(垂直方向)に略平行に設けられ、V方向の接触位置信号を出力するものである。すなわち、タッチパッド8、9は、一次元(線状)の接触位置をほぼ連続に検出するものである。したがって、タッチパッド8、9の幅は、指の接触を確実に検出できる大きさで充分である。
【0024】タッチパッド8、9は、画像モニタ7に表示された項目及び被選択候補の選択及び入力を行うタッチ入力部の一部を形成する。また、タッチパッド8、9は、画像モニタ7に表示された画像の表示内容の操作を行うタッチ入力部の一部を形成する。さらに、画像撮影時の撮影倍率の制御を行うタッチ入力部の一部を形成する。これらの入力操作に際しては、タッチパッド8、9の接触位置信号だけでなく、接触した状態での移動操作も利用される。
【0025】図2は、図1のデジタルカメラの概略ブロック構成図である。デジタルカメラは、レンズ2、シャッター・絞り21、撮像デバイス22、補助光発光部5、及び駆動回路23を含む撮像部、アナログ信号処理部24、A/D変換部25、デジタル信号処理部26、出力用メモリ27、及び圧縮伸張処理部28を含む信号処理部、メディアインタフェース32及び画像モニタ8を含む出力部、操作スイッチ30、シャッタースイッチ31、及びタッチパッド8、9を含む操作部、並びにデジタルカメラ全体を制御するCPU29を含んで構成される。 」
(公報第3?4頁)

c.「【0026】撮像部、及び信号処理部の構成は、従来のデジタルカメラと同じであるので簡単に説明する。レンズ2とシャッター・絞り21を通った光は、CCD等の撮像デバイス22の上に焦点を結び、撮影画像信号が取得される。ここでシャッターは撮像デバイス22から信号を読み出すときのスミア発生を防ぐものである。撮像デバイス22は、シャッタースイッチ31のオン操作を契機として、所定のタイミングで駆動回路23によって駆動され、画像信号を出力する。駆動回路23は、撮像デバイス22の駆動電圧条件によっては省略も可能である。
【0027】画像信号は、アナログ信号処理された後、A/D変換され、デジタル信号処理を経て出力用メモリ27に一時的に記録される。ここで、画像モニタ8に表示する場合は、出力用メモリ27の内容を読み出して画像モニタ8に送る。出力用メモリ27の撮影画像は、圧縮伸張処理部28で圧縮処理され、メディアインタフェース32を経て、図示しないメモリカード等の記録メディアに記録される。撮影モードによっては圧縮処理を省略することもできる。
【0028】記録メディアに記録された画像を画像モニタ8に表示させる場合は、記録メディアから読取った画像情報を圧縮伸張処理部28で伸張処理して出力用メモリ27に書込み、画像モニタ8に送る。
【0029】これらの動作は、電源スイッチ1を含む操作スイッチ30、シャッターボタン4によって操作されるシャッタースイッチ31、及びタッチパッド8、9の位置検出信号に応じて、CPU23の制御のもとに行われる。CPU23は、タッチパッド8、9の位置検出信号の変化によって、指を接触させた状態での移動を判断する。 」(公報第4頁)

d.「【0030】次に、タッチパッド8、9を利用した設定操作について、図3のフローを用いて説明する。撮影時には、撮影動作モードの設定が可能であり、電源スイッチ1を操作して撮影モードに設定すると、図4に示されるような、明るさ設定メニューマーク34を含む複数の項目メニューマーク33?36が表示される。この状態でメニューマーク34の下部のタッチパッド8に指を接触させる(ステップ301)と、図5に示すような画面となり、項目メニューマーク34に対応する項目の被選択候補37が表示される(ステップ302)。この状態で、タッチパッド上の指を接触させた(ステップ303)まま、ゆびを+H方向又は-H方向に移動させると、被選択候補の内の1つが選択される(ステップ304)。そして、この状態で、指をタッチパッド8から離す(ステップ305)と、選択されていた被選択候補が設定される(ステップ306)。【0031】タッチパッド8と9の両方を用いる場合、タッチパッド8によって、所定の項目を選択して被選択候補を表示させ、タッチパッド9に接触させて被選択候補の内の1つを選択することも可能である。
【0032】続いて、タッチパッド8、9によるデジタルカメラの制御操作について説明する。制御操作の1つの例は、撮影時の撮影倍率の変更操作である。撮影倍率の変更操作は、タッチパッド9に指を接触させた状態で移動させることにより行われる。すなわち、撮影時、指をタッチパッド9に接触させた状態で、+V方向に移動させるとズームイン操作となり、-V方向に移動させるとズームアウト操作となる。
【0033】制御操作の他の例は、画像モニタ7に表示される再生画像の変更操作である。図6に、複数の撮影画像を連続的にコマ送りするときの画像モニタ7の表示例を示す。図6(a)は、水平方向へコマ送りする例であり、図6(b)は、垂直方向へコマ送りする例である。水平方向のコマ送りは、指をタッチパッド8に接触させた状態で+H方向又は-H方向に移動させて、フレーム境界60を+H方向又は-H方向に移動させることにより行う。また、垂直方向のコマ送りは、指をタッチパッド9に接触させた状態で+V方向又は-V方向に移動させて、フレーム境界60を+V方向又は-V方向に移動させることにより行う。
【0034】再生画像の表示倍率の変更を行う場合は、タッチパッド9によって拡大/縮小制御を行い、タッチパッド8によって拡大画像の表示領域の変更を行う。再生画像の拡大/縮小制御時は、撮影時と同様、指をタッチパッド9に接触させた状態で、+V方向に移動させるとズームイン操作となり、-V方向に移動させるとズームアウト操作となる。再生画像を拡大表示させたとき、指をタッチパッド8に接触させた状態で移動させると、拡大画像の表示領域を変更することができる。、
【0035】このように、タッチパッド8、9の接触位置だけでなく、接触状態での移動情報を利用することにより、多くの操作機能を実現することができる。なお、接触移動に割当てる機能は、デジタルカメラの動作モードによって適宜設定可能である。」(公報第4?5頁)

e.図面第1図と段落0021の記載によれば、デジタルカメラの背面に画像モニタ7を設け、画像モニタ7の周辺にタッチパッド8、9を配置し、+H方向が右方向であり、-H方向が左方向であり、+V方向が上方向であり、-V方向が下方向であることが見てとれる。

これらの記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載発明」という。)が開示されていると認められる。

「画像モニタ7の周辺部において、画像モニタ7のH方向(水平方向)に略平行にタッチパッド8を設け、H方向の接触位置信号を出力し、画像モニタ7のV方向(垂直方向)に略平行にタッチパッド9を設け、V方向の接触位置信号を出力し、タッチパッド8、9は操作者の指等の接触を検出するタッチ検出センサであり、一次元(線状)の接触位置をほぼ連続に検出するものであり、
タッチパッドの位置検出信号に応じて、CPUが動作を制御し、
電源スイッチ1を操作して撮影モードにすると項目メニューが表示され、メニューマークの下部のタッチパッド8に指を接触させると項目メニューに対応する項目の被選択候補が表示され、この状態で、タッチパッド8上の指を接触させたまま、指を+H方向(水平右方向)又は-H方向(水平左方向)に移動させると、被選択候補の内の一つが選択され、タッチパッド8から指を離した時点で選択されていた被選択候補が決定され、
他の制御操作には、画像モニタ7に表示される再生画像の変更操作があり、複数の撮影画像を連続的にコマ送りするとき、水平方向のコマ送りは、指をタッチパッド8に接触させた状態で+H方向又は-H方向に移動させて、フレーム境界60を+H方向又は-H方向に移動させることにより行い、垂直方向のコマ送りは、指をタッチパッド9に接触させた状態で+V方向又は-V方向に移動させて、フレーム境界60を+V方向又は-V方向に移動させることにより行う、
デジタルカメラ。」

4.対比
そこで、本願補正発明と刊行物1記載発明とを対比する。
刊行物1記載発明の「デジタルカメラ」は本願補正発明の「情報端末装置」といえる。
刊行物1記載発明の「タッチパッド」はタッチ検出センサであり、一次元(線状)の接触位置を検出するものであるから、本願補正発明の「位置センサー」に相当する。そして、タッチパッドがデジタルカメラの画像モニタの周辺部にあることから、タッチパッドは筐体表面に設けられているといえる。
刊行物1記載発明の「CPU」は本願補正発明の「コントローラ」に相当する。
刊行物1記載発明には、「タッチパッド上の指を接触させた、指を+H方向又は-H方向に移動させると、被選択候補の内の1つが選択され」ることが記載されているから、刊行物1記載発明においても、本願補正発明の「位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから上記指を接触させた状態で」「移動させる」こと「を上記位置センサーによって検出」しているといえる。
刊行物1記載発明のCPUはタッチパッドの位置検出信号に応じて動作を制御し、指を移動させて被選択候補の一つを選択していることから、指の移動によって表示を切り換えているといえる。よって、刊行物1記載発明と、本願補正発明は、「指の位置と、」「上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから、」「移動させること」が「検出された場合は」「表示を」「切り換える操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給」する点で一致する。
そして指の移動方向は+H方向か-H方向であるから、本願補正発明のスクロール方向とは、「一方」とその逆方向の「他方」がある点で一致する。
したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
「情報端末装置の本体の一部に、位置センサーが配置され、
上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから上記指を接触させた状態で一方に移動させること、上記指を接触させた状態で他方に移動させること、の何れかを上記位置センサーによって検出し、
上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから、上記一方向に移動させることが検出された場合は表示を一方に切り換える操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給し、上記他方向に移動させることが検出された場合は表示を他方に切り換える操作信号を上記コントローラに対して供給するようにした入力装置。」

[相違点1]
本願発明では、位置センサーが情報端末装置の本体の「外側面」に設けられているのに対して、刊行物1記載発明では、タッチパッドがデジタルカメラの画像モニタの周辺部に設けられており、情報端末装置本体の「外側面」に設けられていない点。

[相違点2]
本願発明では、位置センサーが、本体の外側面の一部に「表面を長手方向に複数分割」して配置されているのに対して、刊行物1記載発明では、タッチパッドが一次元状(線状)に設けられることが記載されているのみで、「表面を長手方向に複数分割」して配置するものかどうか不明である点。

[相違点3]
刊行物1記載発明では、指を接触させた状態で左右方向に移動させ、被選択候補を選択し、上下左右に移動させて再生画像をコマ送りすることは記載されているが、本願発明では、指を接触させた状態で「上」方に移動させる「上」スクロールを行い、上スクロールが検出された場合は画面を上方に切り換える操作信号をコントローラに供給し、指を接触させた状態で「下」方に移動させる「下」スクロールを行い、下スクロールが検出された場合は画面を下方に切り換える操作信号をコントローラに供給している点。

[相違点4]
本願発明では、「機能をする操作信号」の「コントローラ」への供給を、「中タップが検出された場合」に行うのに対して、刊行物1記載発明では、指がタッチパッドから離れたことを検出した場合に被選択候補の決定を行う点。

5.判断
上記相違点について検討する。

[相違点1]について
位置センサーを装置の本体の「外側面」に設けることは周知の技術である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-194863号公報の段落【0021】,図17(d),(e),(f),図18(b)を参照。)から、刊行物1記載発明に上記周知技術を適用して、相違点1の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点2]について
位置センサーとして、「表面を長手方向に複数分割」して配置したものは周知である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-194863号公報の段落【0018】【0021】,図8,図17(d),(e),(f),図18(b)を参照。)。
そうすると、刊行物1記載発明に上記周知技術を適用して、相違点2の構成とすることは当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点3]について
刊行物1記載発明には、「画像モニタ7に表示される再生画像の変更操作」において「複数の撮影画像を連続的にコマ送りするとき、水平方向のコマ送りは、指をタッチパッド8に接触させた状態で+H方向又は-H方向に移動させて、フレーム境界60を+H方向又は-H方向に移動させることにより行い、垂直方向のコマ送りは、指をタッチパッド9に接触させた状態で+V方向又は-V方向に移動させて、フレーム境界60を+V方向又は-V方向に移動させることにより行う」と記載されているようにタッチパッドの操作により上下方向へ再生画像をコマ送りすることが記載されており、また、複数のメニュー表示等を選択する場合に画面表示を切り替えることは一般に行われているから、接触した指の上方への移動を検出すると上スクロールとして検出し、画面を上方に切り換え、接触した指の下方への移動を検出すると下スクロールとして検出し、画面を下方に切り換えるようにすることは、当業者が容易に想到することができたものである。

[相違点4]について
タップ動作により操作入力をすることは周知の技術である(例えば、特開2000-155646号公報の段落【0011】を参照。)から、刊行物1記載発明のように指が離れたことにより操作入力とすることに代えて、タップにより行うようにすることは、当業者が容易に想到することができたものである。また、本願明細書の段落0017によれば、中タップの意味は、情報入力面を高さ方向に3分割したタップ位置の中央の部分と解されるが、当該タップの位置を中タップとすることについて明細書等を参酌しても特に技術的意義はないから、タップ位置を中タップとすることは当業者が適宜為し得る事項である。

以上、本願補正発明は、刊行物1記載発明及び周知技術に基づき当業者が容易に発明することができたものである。
そして、本願補正発明の効果も、刊行物1記載発明及び周知技術等から予測できる範囲のものである。

6.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成19年12月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年11月17日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
情報端末装置の本体の外側面の一部に、表面を長手方向に複数分割して位置センサーが配置され、
上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作との何れかを上記位置センサーによって検出し、
上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作との何れかに対応する操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給するようにした入力装置。」

2.刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1の記載事項は、前記「第2 3.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は「第2」で検討した本願補正発明の限定事項、つまり、「上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作との何れかを上記位置センサーによって検出」を「上記位置センサーに接触する指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから上記指を接触させた状態で上方に移動させる上スクロールと、上記指を接触させた状態で下方に移動させる下スクロールと、上記指を接触・離間させる中タップとの何れかを上記位置センサーによって検出」と限定し、補正前の請求項1,12に係る発明を特定するために必要な事項である「上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作との何れかに対応する操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給する」を「上記指の位置と、上記指の接触・離間操作と、上記指を接触させた状態での上記筐体表面上における指の移動操作とから、上記上スクロールが検出された場合は画面を上方に切り換える操作信号を情報端末装置を制御するコントローラに対して供給し、上記下スクロールが検出された場合は画面を下方に切り換える操作信号を上記コントローラに対して供給し、上記中タップが検出された場合は機能をする操作信号を上記コントローラに対して供給する」と限定する事項を省いたものである。
そうすると本願発明を特定する事項をすべて含む本願補正発明が、前記「第2 4.」、「第2 5.」に記載したとおり、刊行物1記載発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1記載発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-15 
結審通知日 2010-09-21 
審決日 2010-09-28 
出願番号 特願2004-40742(P2004-40742)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 圓道 浩史  
特許庁審判長 江嶋 清仁
特許庁審判官 清水 稔
鈴木 重幸
発明の名称 入力装置および情報端末装置  
代理人 杉浦 正知  

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