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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1226981
審判番号 不服2008-582  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-10 
確定日 2010-11-11 
事件の表示 特願2007-153203「情報処理装置,情報処理方法および情報処理プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成19年11月 8日出願公開、特開2007-293891〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成18年5月11日(優先権主張平成17年6月30日)に出願した特願2006-132345号の一部を平成19年6月8日に新たな特許出願としたものであって、同年12月3日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成20年1月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年2月12日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成20年2月12日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年2月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願補正発明
平成20年2月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、
「【請求項1】
複数のメタ情報を取得する情報取得部と、
前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定したモジュールを複数記憶する記憶部と、
前記記憶された複数のモジュールのうち、1以上のモジュールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部と、
前記メタ情報毎に自動生成されたソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成するソート実行部と、
前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とするイニシャル情報生成部と、
前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる情報出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記ソート用テキスト生成部は、
ユーザにより設定された条件またはユーザが使用している言語の少なくともいずれかに基づいて、前記複数のモジュールから前記各メタ情報をソートするための前記1以上のモジュールを選択し、前記選択された1以上のモジュールに規定されたルールに基づいて前記ソート用テキストを自動生成することを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記記憶されたモジュール毎にそのモジュールに規定されたルールを適用するときの優先順位を記憶し、
前記ソート用テキスト生成部は、
前記複数のモジュールのうち、前記記憶された優先順位の高いモジュールに規定されたルールから順に、前記ソート用テキストを生成するためのルールとして用いることを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項4】
前記ソート実行部は、
複数の前記取得されたメタ情報の文字種がそれぞれ異なるときに、前記文字種毎にメタ情報を分類し、分類された各メタ情報に対応するソート用テキストに基づいて前記分類された各メタ情報をそれぞれソートし、文字種毎のソート済メタ情報をそれぞれ生成することを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項5】
前記イニシャル情報生成部は、
前記文字種毎のソート済メタ情報を合成し、合成されたソート済メタ情報に含まれるメ
タ情報毎に前記イニシャル情報を追加することによりイニシャル情報付きソート済メタ情
報を生成することを特徴とする請求項4に記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記ソート用テキスト生成部は、
前記取得された各メタ情報が日本語である場合、前記複数のモジュールのうち、漢字をかなに変換するモジュールに基づいてメタ情報毎にかなのソート用テキストを自動生成し、
前記ソート実行部は、
前記自動生成されたかなのソート用テキストに応じて前記各メタ情報をあいうえお順にソートし、
前記イニシャル情報生成部は、
前記あいうえお順にソートされたソート済メタ情報にイニシャル情報を追加し、
前記情報出力部は、
前記イニシャル情報に基づいて、ユーザから指定されたイニシャルをもつメタ情報から順にメタ情報をあいうえお順に表示させることを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項7】
前記ソート用テキスト生成部は、
前記取得されたメタ情報が日本語である場合、前記複数のモジュールのうち、漢字をかなに変換するモジュールに基づいてメタ情報毎にかなのソート用テキストを自動生成し、
前記ソート実行部は、
前記自動生成されたかなのソート用テキストを用いて前記各メタ情報をあいうえお順にソートし、
前記イニシャル情報生成部は、
前記あいうえお順にソートされたソート済メタ情報にイニシャル情報を追加し、
前記情報出力部は、
前記イニシャル情報に基づいて、ユーザから指定された行に含まれるメタ情報から順にメタ情報をあいうえお順に表示させることを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項8】
前記情報出力部は、
50音順にかなを表示させ、表示された50音順のかなのうち、いずれかのかなをユーザに指定させ、前記イニシャル情報に基づいて、前記指定させたかなのイニシャルをもつメタ情報から順にメタ情報をあいうえお順に表示させることを特徴とする請求項6に記載された情報処理装置。
【請求項9】
前記情報出力部は、
ユーザの操作に応じて、前記イニシャル情報に基づいて、表示されているメタ情報が含まれる行の前行または後行のいずれかの行に含まれるメタ情報から順にメタ情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項10】
前記複数のモジュールは、
定冠詞抜きモジュール、ザ抜きモジュール、逆変換モジュール、英字変換モジュール、あだな変換モジュール、記号読み変換モジュール、難読名変換モジュール、数字読み変換モジュールまたは姓名反転モジュールのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、
前記表示されたメタ情報により示されるコンテンツを再生可能な装置であることを特徴とする請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項12】
情報取得部が複数のメタ情報を取得し、
記憶部が前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定した複数のモジュールを記憶し、
ソート用テキスト生成部が前記記憶された複数のモジュールのうち、1以上のモジュールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成し、
ソート実行部が前記自動生成されたメタ情報毎のソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成し、
イニシャル情報生成部が前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とし、
情報出力部が前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させることを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
複数のメタ情報を取得する処理と、
前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定した複数のモジュールを記憶部に記憶する処理と、
前記記憶された複数のモジュールのうち、1以上のモジュールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成する処理と、
前記自動生成されたメタ情報毎のソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成する処理と、
前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とする処理と、
前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。」
から、
「【請求項1】
メタ情報をソートする情報処理装置であって、
複数のメタ情報を取得する情報取得部と、
前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定したモジュールを複数記憶する記憶部と、
前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部と、
前記メタ情報毎に自動生成されたソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成するソート実行部と、
前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とするイニシャル情報生成部と、
前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる情報出力部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記記憶されたモジュール毎にそのモジュールに規定されたルールを適用するときの優先順位を記憶し、
前記ソート用テキスト生成部は、
前記複数のモジュールのうち、前記記憶された優先順位の高いモジュールに規定されたルールから順に、前記ソート用テキストを生成するためのルールとして用いる請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項3】
前記ソート実行部は、
複数の前記取得されたメタ情報の文字種がそれぞれ異なるときに、前記文字種毎にメタ情報を分類し、分類された各メタ情報に対応するソート用テキストに基づいて前記分類された各メタ情報をそれぞれソートし、文字種毎のソート済メタ情報をそれぞれ生成する請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項4】
前記イニシャル情報生成部は、
前記文字種毎のソート済メタ情報を合成し、合成されたソート済メタ情報に含まれるメタ情報毎に前記イニシャル情報を追加することによりイニシャル情報付きソート済メタ情報を生成する請求項3に記載された情報処理装置。
【請求項5】
前記ソート用テキスト生成部は、
前記取得された各メタ情報が日本語である場合、前記複数のモジュールのうち、漢字をかなに変換するモジュールに基づいてメタ情報毎にかなのソート用テキストを自動生成し、
前記ソート実行部は、
前記自動生成されたかなのソート用テキストに応じて前記各メタ情報をあいうえお順にソートし、
前記イニシャル情報生成部は、
前記あいうえお順にソートされたソート済メタ情報にイニシャル情報を追加し、
前記情報出力部は、
前記イニシャル情報に基づいて、ユーザから指定されたイニシャルをもつメタ情報から
順にメタ情報をあいうえお順に表示させる請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項6】
前記ソート用テキスト生成部は、
前記取得されたメタ情報が日本語である場合、前記複数のモジュールのうち、漢字をかなに変換するモジュールに基づいてメタ情報毎にかなのソート用テキストを自動生成し、
前記ソート実行部は、
前記自動生成されたかなのソート用テキストを用いて前記各メタ情報をあいうえお順にソートし、
前記イニシャル情報生成部は、
前記あいうえお順にソートされたソート済メタ情報にイニシャル情報を追加し、
前記情報出力部は、
前記イニシャル情報に基づいて、ユーザから指定された行に含まれるメタ情報から順にメタ情報をあいうえお順に表示させる請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項7】
前記情報出力部は、
50音順にかなを表示させ、表示された50音順のかなのうち、いずれかのかなをユーザに指定させ、前記イニシャル情報に基づいて、前記指定させたかなのイニシャルをもつメタ情報から順にメタ情報をあいうえお順に表示させる請求項5に記載された情報処理装置。
【請求項8】
前記情報出力部は、
ユーザの操作に応じて、前記イニシャル情報に基づいて、表示されているメタ情報が含まれる行の前行または後行のいずれかの行に含まれるメタ情報から順にメタ情報を表示させる請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項9】
前記複数のモジュールは、
定冠詞抜きモジュール、ザ抜きモジュール、逆変換モジュール、英字変換モジュール、あだな変換モジュール、記号読み変換モジュール、難読名変換モジュール、数字読み変換モジュールまたは姓名反転モジュールのいずれかである請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、
前記表示されたメタ情報により示されるコンテンツを再生可能な装置である請求項1に記載された情報処理装置。
【請求項11】
メタ情報をソートする情報処理装置における情報処理方法であって、
情報取得部が複数のメタ情報を取得し、
記憶部が前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定した複数のモジュールを記憶し、
ソート用テキスト生成部が前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成し、
ソート実行部が前記自動生成されたメタ情報毎のソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成し、
イニシャル情報生成部が前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とし、
情報出力部が前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる情報処理方法。
【請求項12】
メタ情報をソートする情報処理装置において実行される情報処理プログラムであって、
複数のメタ情報を取得する処理と、
前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定した複数のモジュールを記憶部に記憶する処理と、
前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成する処理と、
前記自動生成されたメタ情報毎のソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成する処理と、
前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とする処理と、
前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。」
と補正された。

上記補正のうち、補正前の請求項1を補正後の請求項1とする補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報処理装置」が「メタ情報をソートする情報処理装置であって」と限定するとともに、同じく「前記記憶された複数のモジュールのうち、1以上のモジュールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部」が、「前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部」であると限定したものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。


2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前である平成14年11月15日に頒布された刊行物である「特開2002-328950号公報」(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理対象として文字列を入力し、ソート、検索などのデータ処理を行うシステムに関し、特にアプリケーションが要求する処理に対して所定の機能を付加するプログラムインターフェイスに関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータを用いて文字列のソートや検索を行う場合、何らかの情報をキーとして文字列を認識し、分類することが必要となる。日本語文字列においては、コードポイントを用いたバイナリソートにより文字列を認識することが一般的である。このバイナリソートには、通常、JISコード(シフトJIS、日本語EUCを含む、以下、同じ)が用いられる。
【0003】また、特殊なデータを扱うデータベースその他のアプリケーション・ソフトウェアにおいては、取り扱うデータの種類などに応じて、書き込み日時、金額や数量などの数字製品コードなどをキー情報としてソートや検索などを行うものもある。
【0004】アプリケーション・ユーザは、これらの種々の手法を用いて、文字列やデータのソートを行ったり、文字列やデータベースの中から所望の単語や文を検索したりすることができる。図11は、従来のデータ処理システムを用いたデータのソート結果を例示する図である。図11を参照すると、「社内ニュース」を蓄積したデータベースの「トップニュース」に分類されるデータが日付順でソートされている。このデータベースでは、さらにニュースの種類(図では「カテゴリ別」と表記)に基づいてデータをソートすることができ、また特に図示しないが、所定の文字または文字列を含むニュースのタイトルを、JISコードを用いて検索することもできる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、データの種類によっては、文字列の読みに基づいてソートや検索を行うことが好ましい場合がある。しかし、上述した従来のデータ処理システムでは、通常、文字列の読みに基づくソートや検索を行う機能は用意されていなかった。
【0006】JISコードは一部が該当文字の代表的な読み(以下、代表読み)に対応しているので、上記のコードポイントを用いたバイナリソートにおいてJISコードを用いたソートを行えば、文字の読みによるソートと同様の処理がある程度は可能となる。しかし、コードポイントは文字を単位としているため、単語や文といった単位では正確なソートや検索ができない場合が多い。例えば、「安」の代表読みが“アン”であり、「売」の代表読みが“バイ”である場合、「安売り」は“アンバイリ”として扱われてしまう。このような不都合は、ソートや検索の対象が文のように長くなるとさらに顕著になる。
【0007】さらに、日本語の漢字には、複数の読みを持つものが多数ある。これに対し、代表読みを用いたデータ処理は、処理対象の文字における代表読みのみに基づいてソートや検索を行うこととなる。そのため、高い精度を期待できなかった。
【0008】また、読みに基づくデータ処理の実現手段として、蓄積されたデータに対して読み(読み仮名)を予め入力しておき、この読み仮名を基準としてソートや検索を行う方法が考えられる。しかし、予め読み仮名を入力する作業は大きな手間を要し、コストの上昇やデータベース構築の作業時間の増大を招く。
【0009】そこで、本発明は、アプリケーションが要求するソートや検索といったデータ処理に対して、処理対象である文字列の読みに基づくデータ処理を行う機能を付加することを目的とする。
【0010】また、本発明は、ソートや検索といったデータ処理の対象である文字列が複数の読みを持ち得る場合に、各読みに基づいてこれらのデータ処理を行うインターフェイスを提供することを他の目的とする。
【0011】また、本発明は、ソートや検索といったデータ処理の対象である文字列の読みを自動的に取得し、当該読みに基づいてこれらのデータ処理を行うインターフェイスを提供することをさらに他の目的とする。」(3頁4欄7行?4頁5欄29行)

(イ)「【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成する手段として、処理対象である漢字仮名混じり文字列の読みを生成する手段を用意し、アプリケーションが要求するデータのソートや検索を行う際に、動的に生成された文字列の読みを用いて処理を行うアプリケーション・プログラミング・インターフェイス(API)を提供する。
【0013】上記のように、漢字仮名混じり文字列の読みに基づくデータ処理を行うため、本発明は、コンピュータを制御して、入力データに対する処理結果を出力するプログラムであって、処理対象である漢字仮名混じり文字列を要素とするデータ配列の入力または指定を受け付ける処理と、入力または指定されたこのデータ配列の要素である漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成する処理と、生成された読み情報に基づいてこの漢字仮名混じり文字列をソートし、ソート結果であるデータ配列を出力する処理とをこのコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】また、このプログラムは、処理対象であるデータ配列に対し、要素である漢字仮名混じり文字列をその読み情報に基づいてソートする処理に加え、またはこの処理の替わりに、生成された前記読み情報のカテゴリに基づいて、前記漢字仮名混じり文字列を分類し、分類結果であるデータ配列を出力する処理をこのコンピュータに実行させる構成とすることができる。」(4頁5欄30行?6欄5行)

(ウ)「【0017】上述したプログラムにおけるデータ処理、すなわち、ソート、カテゴリ分類、文字列比較及び文字列検索は、データ処理装置(またはデータ処理装置を制御するソフトウェア)に対して個別に提供するだけでなく、複数の処理を利用できるように組み合わせて提供することができる。また、上記のプログラムにおける漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成する処理は、処理対象である漢字仮名混じり文字列に複数の読みがある場合、対応する複数の読み情報を生成することができる。この場合、ソート、カテゴリ分類、文字列比較及び文字列検索の各処理は、生成された複数の読み情報の各々に関して実行する。文字列の比較や検索においては、複数の読み情報のうちの一つでも同一であれば、文字列の一致、検出といった判断をすることができる。
【0018】また、上述したプログラムは、磁気ディスクその他の記憶媒体に格納して配布したり、プログラム伝送装置からネットワークを介して配信したりすることにより提供することができる。
【0019】さらにまた、漢字仮名混じり文字列の読みに基づいたデータ処理を行うユーザインターフェイスを実現する本発明は、次のように構成されたことを特徴とするデータ処理システムを提供する。このデータ処理システムは、漢字仮名混じり文字列を要素とするデータ配列を格納した記憶手段と、このデータ配列のソートを指示する命令を受け付ける入力手段と、記憶手段から処理対象であるデータ配列を取得し、このデータ配列の要素である漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成する読み情報生成手段と、生成された読み情報に基づいて処理対象である漢字仮名混じり文字列をソートする処理手段と、ソート結果であるデータ配列を出力する出力手段とを備える。ここで、この読み情報生成手段は、前記入力手段により命令が受け付けられた後に、前記漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成する構成とすることができる。すなわち、ソート命令を受け付けてから、処理対象である漢字仮名混じり文字列に対して動的に読み情報を生成し、読みに基づくソートを行う。
【0020】また、本発明は、次のように構成されたことを特徴とするデータ処理システムを提供する。このデータ処理システムは、漢字仮名混じり文字列を要素とするデータ配列を格納した記憶手段と、このデータ配列に対する要素の分類を指示する命令を受け付ける入力手段と、記憶手段から処理対象であるデータ配列を取得し、このデータ配列の要素である漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成する読み情報生成手段と、生成された読み情報のカテゴリに基づいて、処理対象である漢字仮名混じり文字列を分類する処理手段と、この処理手段による分類結果に基づいて、この漢字仮名混じり文字列をこの読み情報のカテゴリごとに分けて出力する出力手段とを備える。」(4頁6欄23行?5頁7欄21行)

(エ)「【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて、この発明を詳細に説明する。図1は、本実施の形態によるインターフェイスを実現するデータ処理システムの構成例を説明する図である。本実施の形態のデータ処理システムは、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータ装置、PDA(Personal Digital Assistant)、その他の電子情報機器にて実現される。
【0024】図1を参照すると、データ処理システムは、キーボードやマウスなどの入力装置11と、CPU及び主メモリを備えた処理装置12と、ハードディスク装置などの記憶装置13と、ディスプレイ装置やプリンタなどの出力装置14とを備える。入力装置11は、ユーザにて操作され、データや各種処理の実行命令を入力するために用いられる。処理装置12は、プログラム制御により、種々のデータ処理を行う。また、後述するように、文字列の読み情報に基づくソートや検索を行うインターフェイスを提供する。記憶装置13は、処理対象である文字列を含むデータを格納する。したがって、処理装置12は、入力装置11にて入力された文字列、または入力装置11から入力された命令により記憶装置13から読み出した文字列に対して、読み情報に基づくデータ処理を行うこととなる。出力装置14は、処理装置12による処理結果を出力する。
【0025】図2は、本実施の形態によるインターフェイス提供部の概略構成を示す図である。処理装置12上では、ワードプロセッサやデータベースなどのアプリケーション・ソフトウェアが動作しており、図2に示すインターフェイス提供部20は、これらのアプリケーション・ソフトウェアの機能として、文字列の読みを用いたデータ処理を実行する。
【0026】図2を参照すると、本実施の形態によるインターフェイス提供部20は、読み情報生成部21と、データ処理部22とを備える。なお、図2に示す読み情報生成部21及びデータ処理部22は、コンピュータプログラムにより制御されたCPUにて実現される仮想的なソフトウェアブロックである。CPUを制御する当該コンピュータプログラムは、CD-ROMやフロッピー(登録商標)ディスクなどの記憶媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して伝送したりすることにより提供される。また、当該コンピュータプログラムは、本実施の形態により提供されるインターフェイスを使用するアプリケーション・ソフトウェアに組み込むプログラムモジュールなどの形態で提供することができる。
【0027】読み情報生成部21は、図1に示した入力装置11または記憶装置13から入力した処理対象であるデータ(文字列または文字列を要素とするデータ配列)に対して、必要に応じて読み情報を生成し、付加する。読み情報の生成は、漢字仮名混じり文中の漢字に対して読み仮名(振り仮名)を生成する公知のプログラムを用いて実行することができる。読み情報を生成する手法として、文字列を形態素解析し、形態素ごとに品詞の種類などの情報に基づいて読み情報を生成する手法を用いれば、読み情報の精度を向上させることができる。以下、本実施の形態における処理対象を、漢字仮名混じり文字列またはかかる文字列を要素とするデータ配列として説明する。ただし、漢字のみで構成された文字列や仮名文字のみで構成された文字列も漢字仮名混じり文字列に含まれるものとする。なお、処理対象である文字列には、予めユーザが入力装置11を用いて適切な読み仮名を入力し、付加情報として付加しておくことができる。この場合、文字列の読み情報としては、ユーザによって付加された読み仮名を用いるのが最も正確であるので、読み情報生成部21による読み情報の生成は行う必要はない。以下の説明では、特に区別する必要がない限り、ユーザによって付加された読み仮名を読み情報として説明する。
【0028】データ処理部22は、処理対象である文字列に対して、読み情報生成部21により生成された、またはユーザにより入力された読み情報に基づいて、所定のデータ処理を実行する。本実施の形態では、読み情報を用いたデータ処理として、データのソート、データのカテゴリ分類、文字列比較、文字列検索の4種類の処理について説明する。具体的な処理の詳細については後述する。
【0029】図3は、図2に示したインターフェイス提供部20にて提供されるデータ処理の流れを説明する図である。図3に示すように、ユーザは、種々のアプリケーション・ソフトウェアの要求に応じて漢字仮名混じり文を入力し、インターフェイス提供部20による処理を経て出力された出力結果を取得する。なお、漢字仮名混じり文の入力は、上述したように、入力装置11から文を直接入力することもできるし、記憶装置13に格納されている文を処理対象として指定することによって間接的に入力することもできる。インターフェイス提供部20は、まず、入力された漢字仮名混じり文に読み仮名が付されていなければ、読み情報を生成して付加する。図示の例では、「大和事業所、週末電源工事」という漢字仮名混じり文に、“ヤマトジギョウショ、シュウマツデンゲンコウジ”という読み情報が付加されている。そして、インターフェイス提供部20は、この読み情報を用いてデータ処理を行い、処理の結果を出力する。以上の動作により、本実施の形態によるインターフェイスを用いることで、ユーザは、漢字仮名混じり文に関してその読みを意識することなく入力し、当該漢字仮名混じり文の読みに基づいたデータ処理の結果を得ることが可能となる。
【0030】また、図3に示したように、本実施の形態のインターフェイス提供部20は、ユーザから処理対象である漢字仮名混じり文の入力があった場合に、読み情報生成部21により、動的に読み情報を生成する。なお、一度生成した読み情報を対応する漢字仮名混じり文に付加情報として付加しておくことにより、次に同じ漢字仮名混じり文を処理する場合に、読み情報生成部21により改めて読み情報を生成しなくても、付加されている読み情報を用いて処理することができる。」(5頁7欄41行?6頁9欄47行)

(オ)「【0031】次に、本実施の形態にて提供されるインターフェイスにおけるデータ処理について詳細に説明する。
1.ソート
ソートは、漢字仮名混じり文字列を要素とするデータ配列を受け取り、当該漢字仮名混じり文字列の読みを基準としてソートし、ソート結果である漢字仮名混じり文字列の配列として返すデータ処理である。漢字仮名混じり文字列に対して読み仮名が既に付加されている場合は、当該読み仮名をソートの基準とすることができる。読み仮名が付加されていない場合は、読み情報生成部21により生成された読み情報をソートの基準とする。この種のインターフェイスを用いる例としては、住所録、電話帳、名簿などのデータベース・ソフトウェアにおけるソート処理において、データ配列を氏名の読みに基づいてソートする場合、製品一覧を製品名の読みに基づいてソートする場合、データベースに対して条件検索を行った結果をアイウエオ順にソートする場合などが考えられる。
【0032】本実施の形態によりデータのソートを行う場合、インターフェイス提供部20に入力されるのは、漢字仮名混じりの文字列とその読み情報が対になったデータAを要素としたデータ配列である。ただし、読みは空であっても良い。また、インターフェイス提供部20には、ソートの種類、すなわち、読みの辞書的順序における昇順にソートするか降順にソートするかを指定する命令が入力される。
【0033】これらの入力があると、インターフェイス提供部20は、入力されたデータAの配列に対して、読み情報のチェックとデータのソートという2段階の処理を行う。図4は、インターフェイス提供部20による処理の流れを説明するフローチャートである。図4に示すように、インターフェイス提供部20の読み情報生成部21は、データ配列が入力されると(ステップ401)、まず、データ配列の全ての要素(データA)に対して、読み仮名が付されているかを順次チェックする(ステップ402?404)。そして、読み仮名が付されていないデータAが存在する場合、読み情報生成部21により当該データAの漢字仮名混じり文字列から読み情報を生成し、付加する(ステップ405)。読み情報が生成できれば、次の要素(データA)に対して同様の処理を行い(ステップ406)、読み情報が生成できなかったならば、エラーコードを出力する(ステップ406、407)。全ての要素(データA)に対してチェックまたは必要な読み情報生成処理を行ったならば、ソート処理へ移行する(ステップ402)。次に、データ処理部22は、必要に応じて漢字仮名混じり文字列の読み情報が補完されたデータ配列を入力し、その読み情報をキーとして要素(データA)のソートを行い(ステップ408)、ソート結果を出力する(ステップ409)。このとき、ソートを読みの辞書的順序における昇順とするか降順とするかは、入力時におけるユーザによる指定に従う。
【0034】以上の処理の後、インターフェイス提供部20は、インターフェイス提供部20を使用しているアプリケーション(例えば上述したデータベース・ソフトウェア)へ、ソートにより要素(データA)を並べ替えられたデータ配列及びリターンコードを出力する。リターンコードには、例えば、正しく処理が完了したことを示す「成功」、読み情報生成部21において読み情報の生成に失敗したことを示す「エラー1」、その他のエラーを示す「エラー2」を設定することができる。エラー1の場合、データ配列、リターンコードに加えて、問題の発生した配列要素を特定する情報をさらに出力することができる。インターフェイス提供部20を使用しているアプリケーションは、受け取ったデータ配列及びリターンコードに基づいて、ソート結果やメッセージを出力装置14に出力する。
【0035】図5は、本実施の形態によるソート結果の例を示す図である。図5を参照すると、「社内ニュース」を蓄積したデータベースの「トップニュース」に分類されるデータが、ニュースのタイトルにおける読みの辞書的順序(図では「50音順」と表記)でソートされている。」(6頁9欄48行?7頁11欄21行)

(カ)「【0036】2.カテゴリ分類
カテゴリ分類は、漢字仮名混じり文字列を要素とするデータ配列を受け取り、当該漢字仮名混じり文字列の読み情報を基準として、読みが「ア」で始まる文字列や読みが「タ行」で始まる文字列といったカテゴリに分類し、分類ごとの漢字仮名混じり文字列の配列として返すデータ処理である。この種のインターフェイスを用いる例としては、上述したソートの場合と同様の例が考えられる。かかるソート処理において、要素の数が膨大であり、読みが特定の文字で始まる文字列といった一部のデータのみを取得したい場合などに利用することができる。
【0037】本実施の形態によりデータのカテゴリ分類を行う場合、インターフェイス提供部20に入力されるのは、漢字仮名混じりの文字列とその読み情報が対になったデータAを要素とした配列である。ただし、読みは空であっても良い。また、インターフェイス提供部20には、カテゴリ分類のパターンを指定する命令が入力される。ここで、カテゴリ分類のパターンとしては、例えば、読みが、「ア行」で始まる文字列、「カ行」で始まる文字列、といった分類で分けるパターン、読みが、「ア」で始まる文字列、「イ」で始まる文字列、といった分類で分けるパターンなどが考えられる。
【0038】これらの入力があると、インターフェイス提供部20は、入力されたデータAの配列に対して、読み情報のチェックとデータのカテゴリ分類という2段階の処理を行う。図6は、インターフェイス提供部20による処理の流れを説明するフローチャートである。図6において、ステップ601からステップ607までの処理は、図4に示したソート処理のフローチャートにおけるステップ401からステップ407までの処理と同様であるため、説明を省略する。インターフェイス提供部20のデータ処理部22は、読み情報生成部21により必要に応じて漢字仮名混じり文字列の読み情報が補完されたデータ配列を入力し、その読み情報をキーとして、データ配列の各要素(データA)を入力時にユーザにより指定されたカテゴリごとの配列に振り分け(ステップ608)、分類結果を出力する(ステップ609)。
【0039】以上の処理の後、インターフェイス提供部20は、インターフェイス提供部20を使用しているアプリケーション(例えば上述したデータベース・ソフトウェア)へ、カテゴリごとに要素(データA)を分類し、並べ替えられたデータ配列及びリターンコードを出力する。リターンコードには、例えば、正しく処理が完了したことを示す「成功」、読み情報生成部21において読み情報の生成に失敗したことを示す「エラー1」、その他のエラーを示す「エラー2」を設定することができる。エラー1の場合、データ配列、リターンコードに加えて、問題の発生した配列要素を特定する情報をさらに出力することができる。インターフェイス提供部20を使用しているアプリケーションは、受け取ったデータ配列及びリターンコードに基づいて、カテゴリ分類の結果やメッセージを出力装置14に出力する。
【0040】図7は、本実施の形態によるカテゴリ分類の結果の例を示す図である。図7を参照すると、「社内ニュース」を蓄積したデータベースの「トップニュース」に分類されるデータが、ニュースのタイトルにおける読み情報に基づいてカテゴリ分類されている(図では「あかさたな」と表記されている)。図7において、タイトルが「ア行」の文字で始まるニュースは、「ア行」の欄に、タイトルが「カ行」の文字で始まるニュースは、「カ行」の欄に、タイトルが「サ行」の文字で始まるニュースは、「サ行」の欄に、それぞれ分類されている。なお、処理対象であるデータ配列のデータ量が膨大である場合は、本処理のカテゴリ分類を用いて、特定のカテゴリに属するデータのみを出力するように設定することもできる。」(7頁11欄22行?12欄38行)


したがって、上記(ア)?(カ)の記載事項、及び、図面【図1】?【図11】を総合的に勘案すると、引用例1には、以下の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されているといえる。
「漢字仮名混じりの文字列を要素とするデータ配列をソートする処理に加え、カテゴリ分類する処理を実行するデータ処理システムであって、
漢字仮名混じり文字列を要素とするデータ配列を格納した記憶手段と、このデータ配列のソートを指示する命令を受け付け、このデータ配列に対する要素の分類を指示する命令を受け付け、データ配列を入力する入力手段と、記憶手段から処理対象であるデータ配列を取得し、このデータ配列の要素である漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成し、文字列に付加する読み情報生成手段と、生成された読み情報に基づいて処理対象である漢字仮名混じり文字列をソートする処理手段と、ソート結果であるデータ配列を出力する出力手段と、生成された読み情報が、「ア」で始まる文字列、「イ」で始まる文字列、といった分類で分けるパターンのカテゴリに基づいて、処理対象である漢字仮名混じり文字列を分類する処理手段と、この処理手段による分類結果に基づいて、この漢字仮名混じり文字列をこの読み情報のカテゴリごとに分けて出力する出力手段とを備え、
読み情報生成手段及び処理手段は、コンピュータプログラムにより制御されたCPUにて実現される仮想的なソフトウェアブロックであり、当該コンピュータプログラムは、CD-ROMやフロッピー(登録商標)ディスクなどの記憶媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して伝送したりすることにより提供され、また、当該コンピュータプログラムは、インターフェイスを使用するアプリケーション・ソフトウェアに組み込むプログラムモジュールなどの形態で提供され、
読み情報のカテゴリごとに分けて出力する出力手段は、処理対象であるデータ配列のデータ量が膨大である場合は、本処理のカテゴリ分類を用いて、特定のカテゴリに属するデータのみを出力するように設定することもできるデータ処理システム。」


(2)原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前である平成16年10月7日に頒布された刊行物である「特開2004-280995号公報」(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。
(キ)「【請求項1】
デジタルの記録媒体に記録されたデジタルコンテンツの補助情報を記憶しておく補助情報記憶部と、前記補助情報記憶部に蓄えられた情報の中でテキストデータで表される情報を表示するための文字表示部と、前記文字表示部に表示したいテキストデータの言語の種類を設定する言語選択部と、前記言語選択部で選択された言語の有効なテキストデータが前記補助情報記憶部に保存されているかを判別し、必要に応じて前記文字表示部に有効なテキストデータを表示すべく制御する制御手段を備えたことを特徴とするデジタルデータ再生装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記言語選択部で選択された言語の有効なテキストデータが前記補助情報記憶部に保存されていない場合には、第2番目の候補となる言語のデータが保存されているかを判別し、必要に応じて前記文字表示部に第2番目の候補となる有効なテキストデータを表示すべく制御するように構成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルデータ再生装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記言語選択部で選択された言語の有効なテキストデータが前記補助情報記憶部に保存されていない場合には、前記補助情報記憶部に保存されているテキストデータを言語変換部に送り、前記言語変換部において前記言語選択部で選択された言語に変換し、必要に応じて前記文字表示部に変換されたテキストデータを表示すべく制御するように構成したことを特徴とする請求項1記載のデジタルデータ再生装置。」(2頁1欄2行?29行)

(ク)「【0012】
(実施の形態1)
はじめに、本発明の第1の実施の形態におけるデジタルデータ再生装置のブロック図である図1を主として参照しながら、本実施の形態の記録再生システムの構成について説明する。1はオーディオ、静止画、ビデオの各種データが記録された光ディスク、2は光ディスクに記録された信号を光学的に読み取るピックアップ、3は読み取った高周波信号の波形を整形する高周波信号波形整形部、4は波形整形後の信号を復調し誤り訂正を行う復調/誤り訂正処理部、5は復調と誤り訂正を行う際に一時的に使用する復調/誤り訂正用メモリ、6は誤り訂正後の信号からオーディオストリームとビデオストリームを分離しそれぞれを復調するオーディオ/ビデオ信号復調部、7は最終出力であるビデオ信号、8は最終出力であるオーディオ信号、9はユーザーのキー入力判断と光ディスク再生装置全体の動作を制御する制御手段、10はデジタルの記録媒体に記録されたデジタルコンテンツの補助情報を記憶しておく補助情報記憶部、11は補助情報記憶部に蓄えられた情報の中でテキストデータで表される情報を表示するための文字表示部、12は文字表示部に表示したいテキストデータの言語の種類を設定する言語選択部を構成している。
【0013】
ここで、図2に示すコンテンツ一覧情報ファイル13、図3に示すメタデータファイル19について詳述する。まず(A)コンテンツ一覧情報ファイル13について説明し、つぎに(B)メタデータファイル19について説明する。
【0014】
(A)図2に示すコンテンツ一覧情報ファイル13は、復調/誤り訂正処理部4と制御手段9によって光ディスク1から読み取られる情報の内、オーディオ、静止画、ビデオの各種デジタルコンテンツそのものを規定する固有のパラメータ情報とそれぞれデジタルコンテンツの言語別メタデータを記録したディレクトリパス情報とその言語識別子を格納している。図5は言語識別子一覧表の一例である。
【0015】
パラメータ情報とは、光ディスク1におけるデジタルコンテンツの再生を実行するために必要な情報である。ここに、デジタルコンテンツの再生を実行するために必要な情報とは、(1)オーディオファイルに関しては、AVI(Audio Video Interleave)ファイル形式やWMA(Windows(R) Media Audio)ファイル形式やASF(AdvancedSystems Format)ファイル形式におけるヘッダ情報として格納されている、そのオーディオファイルを規定するサンプリング周波数情報、チャネル数情報、圧縮方式情報、演奏時間情報、データレート情報などであり、(2)静止画ファイルに関しては、JPEG(Joint Picture Expert Group)ファイル形式におけるヘッダ情報として格納されている、その静止画ファイルを規定する圧縮方式情報、画像サイズ情報などであり、(3)ビデオファイルに関しては、AVIファイル形式やWMV(Windows(R) Media Video)ファイル形式やASFファイル形式におけるヘッダ情報として格納されている、その映像ファイルを規定する画像サイズ情報、フレームレート情報、データレート情報、圧縮方式情報、再生時間情報などである。
【0016】
デジタルコンテンツの言語別メタデータを記録したディレクトリパス情報とは、後で説明するメタデータは言語別に異なるディレクトリに記録されており、それぞれの言語のメタデータがどこのディレクトリパスにあるかを示す情報である。
【0017】
(B)図3に示すメタデータファイル19は、復調/誤り訂正処理部4と制御手段9によって光ディスク1から読み取られる情報の内、オーディオ、静止画、ビデオの各種デジタルコンテンツの言語別メタデータを格納している。
【0018】
メタデータとはオーディオ、静止画、ビデオの各種デジタルコンテンツの内容を補助的に説明するデータであり、(1)オーディオファイルに関しては、音楽のタイトル、アーティスト名、作曲者名、アルバム名、ジャンル名、歌詞、著作権情報などであり、(2)静止画ファイルに関しては、静止画のタイトル、撮影した機器名、撮影日、イベント名、主題、メモ情報、著作権情報などであり、(3)ビデオファイルに関しては、ビデオのタイトル、アーティスト名、制作日、主題メモ情報、著作権情報などである。
【0019】
図4に示すのは光ディスク1に記録されたデータのディレクトリ構造である。ルートディレクトリ22の直下には補助情報を全て含んだ補助情報ディレクトリ23があり、その他に全てのオーディオファイル37を含んだオーディオファイルディレクトリ24、全ての静止画ファイル38を含んだ静止画ファイルディレクトリ25、全てのビデオファイル39を含んだビデオファイルディレクトリ26がある。補助情報ディレクトリ23の直下にはコンテンツ一覧情報ファイル27やその他補助情報ファイル28に加え、例えば日本語漢字メタデータファイル30を含んだ日本語漢字ディレクトリ29、日本語カタカナメタデータファイル32を含んだ日本語カタカナディレクトリ31、英語メタデータファイル34を含んだ英語ディレクトリ33、仏語メタデータファイル36を含んだ仏語ディレクトリ35のような言語別ファイルとディレクトリが複数存在している場合があ
つぎに、コンテンツ一覧情報ファイル13を利用して、光ディスク1に記録されている日本語カタカナメタデータファイルを読み取って文字表示部11にカタカナ文字を表示するための、デジタルデータ再生装置の動作について説明する。
【0020】
制御手段9は、「日本語カタカナでメタデータを表示したい」旨のユーザーの指示が言語選択部12に設定されていることを認識している。制御手段9は光ディスク1が装着されると記録内容を確認する為にファイルシステム情報を読み取るために復調/誤り訂正処理部4を動作させる。そして必要な全ての補助情報を補助情報記憶部10に記憶するように動作させる。次に記憶した補助情報の内のコンテンツ一覧情報ファイル13の解析を行い、メタデータファイルの言語数nを読み取る。そしてn個の言語の言語識別子を確認して、その中から希望する日本語カタカナのメタデータファイルが存在する日本語カタカナディレクトリ31のパス情報を読み取る。このパス情報に従い、光ディスク1から日本語カタカナメタデータファイル32を読み取る。このファイルの中には例えばデジタルコンテンツがオーディオファイルである場合には、音楽のタイトル、アーティスト名、作曲者名、アルバム名、ジャンル名、歌詞、著作権情報が含まれているので、これらの情報をユーザが必要なときに文字表示部11に表示する。
【0021】
以上のように本実施形態によれば、デジタルデータ再生装置で表示できるあるいは表示したい言語をユーザが設定することができ、再生されるデジタルコンテンツの補助情報にユーザが希望したものと同じ言語の情報が存在する場合には、自動的にその情報を選択して再生することができることとなる。」(3頁4欄10行?4頁6欄42行)

(ケ)「【0025】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態におけるデジタルデータ再生装置の動作を説明する。
【0026】
ユーザは優先的に日本語カタカナメタデータを表示させたいが、光ディスク1には日本語漢字のデータしか記録されていないとする。制御手段9は、「日本語カタカナでメタデータを表示したい」旨のユーザーの指示が言語選択部12に設定されていることを認識している。制御手段9は光ディスク1が装着されると記録内容を確認する為にファイルシステム情報を読み取るために復調/誤り訂正処理部4を動作させる。そして必要な全ての補助情報を補助情報記憶部10に記憶するように動作させる。次に記憶した補助情報の内のコンテンツ一覧情報ファイル13の解析を行い、メタデータファイルの言語数nを読み取る。そしてn個の言語の言語識別子を確認して、その中に希望する日本語カタカナのメタデータファイルが存在しないが日本語漢字のメタデータファイルは存在することを認識すると日本語漢字ディレクトリ29のパス情報を読み取る。このパス情報に従い、光ディスク1から日本語漢字メタデータファイル30を補助情報記憶部10に読み取る。このファイルの中には例えばデジタルコンテンツがオーディオファイルである場合には、音楽のタイトル、アーティスト名、作曲者名、アルバム名、ジャンル名、歌詞、著作権情報が日本語漢字で記録されている。この中に含まれるデータの表示が必要になると、日本語漢字データを言語変換部に送り、言語変換部においては言語選択部で設定された日本語カタカナに変換するために日本語漢字の部分をカタカナの読み仮名に、そしてひらがなをカタカナに置き換える。言語変換部は漢字カナ変換に必要な読み仮名辞書のデータベースを含んでいる。こうして日本語カタカナに変換した情報を文字表示部11に表示させる。
【0027】
以上のように本実施形態によれば、デジタルデータ再生装置で表示できるあるいは表示したい言語をユーザが設定することができ、再生されるデジタルコンテンツの補助情報にユーザが希望したものと同じ言語の情報が存在せず、また表示が可能な情報も存在しない場合には、自動的にその情報を表示可能な言語に自動的に変換して再生することにより、確実に読み取れる文字情報を表示することができることとなる。
【0028】
なお、言語別ディレクトリに保存されたデータは各言語のメタデータファイルとしたが、それ以外の情報ファイルであってもよい。具体的にはデジタルコンテンツの再生手順を示したプレイリストファイルの言語別テキスト情報であったり、またはこのプレイリストを検索する為の言語別のメニュー情報であってもよい。
【0029】
また言語別ディレクトリに保存されたデータは各言語別のデータでは無く、各デジタルコンテンツに関連する情報が掲示されたインターネットアドレスへのリンク情報であってもよい。具体的にはば日本語ディレクトリには日本語サイトのアドレス情報があり、また英語ディレクトリには英語サイトのアドレス情報があってもよい。
【0030】
また言語変換部は日本語漢字の読み仮名を日本語カタカナに変換する機能を有すとしたが、読み仮名をローマ字に変換する機能を有していてもよい。さらに、読み仮名に変換するのではなく、日本語を英語に変換するといったような翻訳機能を有していてもよい。」(5頁7欄29行?8欄41行)


(3)原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先権主張日前である平成11年4月9日に頒布された刊行物である「特開平11-95773号公報」(以下、「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。
(コ)「【0019】一方、タイトル画像の表示が終了した時点において、CPU10はディスプレイコントローラ32に対して予約曲の受付モードとなるように指示し、また、マトリックス回路35に対してディスプレイコントローラ32の出力信号を液晶表示装置20に出力するよう指示する。ディスプレイコントローラ32は、予約曲の受付モードが指示されると、図3に示すような表示制御を行う。図に置いて、W1は、曲の先頭文字を表示する枠であり、また、MTは曲名を表示する枠である。ここで、枠W1の表示は、図4に示すような50音表を上下左右にスクロールすることによって選択される文字を表示する。文字の選択は、操作部14およびリモコン16に設けられる上下左右の矢印キー(↑・↓・←・→)と確定キー(図示略)を操作することによって行う。そして、いずれかの文字が選択され、確定キーが押されると、CPU10はその文字を先頭にする曲名データをハードディスク13から検索し、それをディスプレイコントローラ32に供給する。ディスプレイコントローラ32は、その曲名データに従って曲名を示す文字のリスト(以下、単に曲名リストという)をVRAM34に展開し、その画像のうち4曲分を液晶表示装置20に出力する。この結果、液晶表示装置20に表示されている4つの枠MTには4つの曲名が表示される。この場合、4つの曲の1つが反転表示(あるいはその他の識別表示)され、操作者が上下方向の矢印キーを操作すると、反転表示される曲が上下に移動し、その反転表示が最上段または最下段に達した後、さらに上矢印キーまたは下矢印キーが押されると、曲名リストが上下にスクロールする。以上の操作によって、当該文字を先頭にする全ての曲が表示される。」(5頁7欄4行?33行)


3.対比
そこで、本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比する。
(a)引用例1記載の発明の「データ処理システム」、「記憶手段」、「入力手段」及び「プログラムモジュール」は、それぞれ、本願補正発明の「情報処理装置」、「記憶部」、「情報取得部」及び「モジュール」に相当する。
(b)引用例1記載の発明の「漢字仮名混じりの文字列」を上位概念化すると「情報」といえ、本願補正発明の「メタ情報」も上位概念化すると「情報」といえる。そして、引用例1記載の発明の「漢字仮名混じりの文字列を要素とするデータ配列」は、複数の「漢字仮名混じりの文字列」を備えているから、「複数の情報」といえる。
(c)引用例1記載の発明の「読み情報」は、生成されるとソート用の情報となること、また、仮名文字列からなる文字データであるテキストデータであることから、本願補正発明の「読みであるソート用テキスト」に相当する。そうすると、引用例1記載の発明の「読み情報生成手段」は、「漢字仮名混じりの文字列」毎に「ソート用テキスト」を生成するものといえるから、本願補正発明の「ソート用テキスト生成部」に相当する。
(d)また、引用例1記載の発明の「読み情報生成手段」は、「コンピュータプログラムにより制御されたCPUにて実現される仮想的なソフトウェアブロック」であり、「当該コンピュータプログラムは、インターフェイスを使用するアプリケーション・ソフトウェアに組み込むプログラムモジュールなどの形態で提供され」るのであるから、引用例1記載の発明の「読み情報生成手段」の「モジュール」は、データ配列に基づいて、このデータ配列の要素である漢字仮名混じり文字列の読み情報を生成するための「モジュール」といえる。そして、上記(c)を参酌すると、引用例1記載の発明の該[モジュール」は、「各情報に基づいて前記情報の読みであるソート用テキストを生成するためのモジュール」といえ、引用例1記載の発明の「読み情報生成手段」は、該「モジュール」に基づいて、ソート用テキストを生成するといえる。
(e)引用例1記載の発明の「生成された読み情報に基づいて処理対象である漢字仮名混じり文字列をソートする処理手段」は、文字列毎に生成された読み情報に基づいて、各読み情報に対応する文字列をソートすることにより、ソートされた複数の文字列と複数の読み情報からなるソート済文字列を生成をするものといえるから、本願補正発明の「ソート実行部」に相当する。
(f)引用例1記載の発明の「生成された読み情報が、「ア」で始まる文字列、「イ」で始まる文字列」の「ア」、「イ」は、「生成された読み情報」の頭文字であるので、本願補正発明の「イニシャル情報」に相当する。そうすると、引用例1記載の発明の「生成された読み情報が、「ア」で始まる文字列、「イ」で始まる文字列、といった分類で分けるパターンのカテゴリに基づいて、処理対象である漢字仮名混じり文字列を分類する処理手段」は、「生成された読み情報」に基づいて「イニシャル情報」を生成することを内在しているといえるから、上記(c)の「読み情報」が「ソート用テキスト」に相当することを参酌すると、「ソート用テキストに基づいて、ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成するイニシャル情報生成部」といえる。
(g)引用例1記載の発明の「読み情報のカテゴリごとに分けて出力する出力手段」は、「この処理手段による分類結果に基づいて、この漢字仮名混じり文字列をこの読み情報のカテゴリごとに分けて出力する」ものであるとともに、「カテゴリ分類を用いて、特定のカテゴリに属するデータのみを出力するように設定することもできる」ものであるから、「イニシャル情報に対応する情報を表示させる情報出力部」といえる。

したがって、本願補正発明と引用例1記載の発明とには、以下の一致点、相違点1?4がある。
(一致点)
「情報をソートする情報処理装置であって、
情報取得部と、
記憶部と、
各情報に基づいて前記情報の読みであるソート用テキストを生成するためのモジュールに基づいて前記情報毎にソート用テキストを生成するソート用テキスト生成部と、
前記情報毎に生成されたソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済情報を生成するソート実行部と、
前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成するイニシャル情報生成部と、
イニシャル情報に対応する情報を表示させる情報出力部と、を備える情報処理装置。」である点。

(相違点1)
本願補正発明の「情報」は、「メタ情報」であるのに対し、引用例1記載の発明では、「漢字仮名混じりの文字列」である点。
また、本願補正発明は、「複数のメタ情報を取得する情報取得部」を備えているのに対し、引用例1記載の発明では、該構成を備えていない点。

(相違点2)
本願補正発明の「記憶部」は、「ルールをそれぞれ規定したモジュールを複数記憶する」ものであるのに対し、引用例1記載の発明は、該構成ではない点。
そして、本願補正発明の「ソート用テキスト生成部」は、「前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成する」のに対して、引用例1記載の発明では、「前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し」、「前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて」、「自動生成する」との構成ではない点。
さらに、本願補正発明の「ソート実行部」は、「前記情報毎に自動生成されたソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済情報を自動生成する」のに対して、引用例1記載の発明では、「自動生成されたソート用テキストに基づいて」、「ソート済情報を自動生成する」との構成ではない点。

(相違点3)
本願補正発明の「イニシャル情報生成部」は、「前記ソート済メタ情報に含まれるソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報としている」のに対して、引用例1記載の発明では、「前記ソート済メタ情報に含まれるソート用テキストに基づいて」、「前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報としている」との構成ではない点。

(相違点4)
本願補正発明の「情報出力部」は、「前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる」のに対して、引用例1記載の発明では、該構成ではない点。


4.判断
(相違点1)について
引用例1記載の発明のソートやカテゴリ分類の対象となる「漢字仮名混じりの文字列」の具体例は、その実施の形態に示された上記(オ)、(カ)にあるように、「ニュースのタイトル」である。また、引用例1の段落番号0041には「同様に、楽曲や映画のタイトルのデータベースに対して、同じ読みのタイトルを取得したい場合にも用いることができる。すなわち、ユーザが、つづり字は明確でないが読みは覚えているという場合の検索に用いることができる。」との他の具体例を示唆する記載がある。
なお、本願補正発明の「メタ情報」については、本願明細書の発明の詳細な説明中の段落番号0008に「ここで,メタ情報とは,たとえば,音楽コンテンツのタイトル(コンテンツ名),アルバム名,アーティスト名など,各コンテンツの属性情報をいい,各メタ情報の読みとは,各コンテンツの属性情報の名称の文字列を構成する各文字の読みを意味する。」と定義付けされている。
また、コンテンツの属性情報である漢字仮名混じり文字列を含む「メタ情報」を利用する技術は、引用例2(上記(ク))に記載されている。
そして、「メタ情報」を利用するために、「複数のメタ情報を取得する情報取得部」を備えることは、周知な技術事項である。
してみると、引用例1記載の発明に、上記引用例2に記載されている技術事項、上記周知な技術事項を採用し、「漢字仮名混じりの文字列」を「メタ情報」とし、また、「複数のメタ情報を取得する情報取得部」を備えることとすることは、当業者が、容易に想到したことである。

(相違点2)について
上記3.(d)で述べたように、引用例1記載の発明の「モジュール」は、「各情報に基づいて前記情報の読みであるソート用テキストを生成するためのモジュール」といえるものであるが、これに関連して、引用例1の段落番号0027の「読み情報の生成は、漢字仮名混じり文中の漢字に対して読み仮名(振り仮名)を生成する公知のプログラムを用いて実行することができる。読み情報を生成する手法として、文字列を形態素解析し、形態素ごとに品詞の種類などの情報に基づいて読み情報を生成する手法を用いれば、読み情報の精度を向上させることができる。」との記載からすると、該「モジュール」は読み情報を生成するためのルールを規定したものということができる。
データ処理システムにおいて、提供された「プログラム」、「モジュール」を、記憶手段に記憶することは、普通のことである。
データ処理装置を複数言語対応とすること、複数言語対応のデータ処理装置において、使用言語を設定すること、そして、該使用言語に基づいて、表示での言語が選択されることはそれぞれ周知な技術事項である。例えば、引用例2(上記(ク)、(ケ))には、文字表示部11に表示したいメタデータ(テキストデータ)の言語の種類を設定する言語選択部12が示されるとともに、図面【図4】、【図5】にて言語として日本語漢字、日本語カタカナ、英語、仏語が示されている。加えて、複数言語間の言語変換部についても開示がある。そして、複数言語対応のデータ処理装置において、読み情報を生成するには、各言語毎に、あるいは言語相互間にルールを定めた「モジュール」が必要となる、即ち、複数の「モジュール」が必要となるといえる。
本願の明細書、背景技術で上げられている特開2004-206648号公報には、「読み」に関して、システムをグローバルに展開する際に対応が必要な使用言語に日本語の他に、韓国語、中国語があることが挙げらており、そのための韓国語、中国語「モジュール」は当業者が適宜設計できる事項といえる。
また、歌手名の「読み」として、正式名、別名(愛称)、「ざ」「じ」省略読み等は一般に知られていることである(例えば、特開2005-43654号公報参照)。そして、そのための各正式名、別名(愛称)、「ざ」「じ」省略読み等の「モジュール」は当業者が適宜設計できる事項といえる。
してみると、引用例1記載の発明に、上記各事項を採用し、「記憶手段」が、「ルールをそれぞれ規定したモジュールを複数記憶する」構成とすること、「読み情報生成手段」が、「記憶された複数のモジュールのうち、データ処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて取得されたメタ情報毎にソート用テキストを生成する」構成とすることは、当業者が容易に想到したことである。
さらに、データ処理装置において、各生成処理をマニュアル操作で行う代わりに、人手を介することなく連続して自動的に行うようにすることは、普通に行われていることであること、引用例1記載の発明において、「読み情報生成手段」が「ソート済情報を自動生成する」との構成とすること、「生成された読み情報に基づいて処理対象である漢字仮名混じり文字列をソートする処理手段」が「自動生成されたソート用テキストに基づいて」、「ソート済情報を自動生成する」との構成とすることに格別困難性は認められないこと、それら構成による本願補正発明の効果が格別といえないことから、引用例1記載の発明において、「読み情報生成手段」が「ソート済情報を自動生成する」との構成とすること、「生成された読み情報に基づいて処理対象である漢字仮名混じり文字列をソートする処理手段」が「自動生成されたソート用テキストに基づいて」、「ソート済情報を自動生成する」との構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点3)について
情報処理の技術分野において、ソート済メタ情報に含まれるソート用テキストに基づいて、イニシャル情報を生成することは、周知の技術事項である(例えば、特開2005-4891号公報段落番号0024参照。)。
そして、引用例1において、上記(イ)の「読み情報に基づいてソートする処理に加え、・・・生成された前記読み情報のカテゴリに基づいて、前記漢字仮名混じり文字列を分類」ことや、上記(カ)の「カテゴリ分類は、・・・データ配列を受け取り、・・・カテゴリに分類し、分類ごとの漢字仮名混じり文字列の配列として返すデータ処理である。・・・かかるソート処理において、要素の数が膨大であり、読みが特定の文字で始まる文字列といった一部のデータのみを取得したい場合などに利用することができる」という記載から、ソートする処理と、カテゴリ分類の処理の順序としては、「ソートする処理」の後に、「カテゴリに基づいて、漢字仮名混じり文字列を分類」することが記載されているといえ、また、カテゴリ分類の入力データとしては、「ソート処理において、要素の数が膨大であり、読みが特定の文字で始まる文字列といった一部のデータのみを取得したい場合などに利用することができる」ことから、「ソートにより要素(データA)を並べ替えられたデータ配列」である「ソート結果」をカテゴリ分類の「入力されたデータAの配列」とすることは自然なことであるといえる。
また、情報処理の技術分野において、入力データのテキスト情報に基づいて、テキスト情報の頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を入力データの文字列(メタ情報)に追加することは、周知の技術事項である(例えば、特開平10-308810号公報段落番号0022、0023、特開2003-59237号公報段落番号0046参照。)。
そして、引用例1記載の発明において、検索の手間を軽減することを目的として、上記周知の技術を用いて、入力データのテキスト情報である「読み情報」について、「カテゴリ分類のパターン」としての頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を入力データの「漢字仮名混じり文字列」に追加し、カテゴリ分類のパターンとしてのイニシャル情報と、漢字仮名混じり文字列とを対応付ける構成とすることに格別困難性は認められず、該構成による本願補正発明の効果が格別とはいえない。
してみると、引用例1記載の発明に上記周知な技術事項を採用し、「生成された読み情報が、「ア」で始まる文字列、「イ」で始まる文字列、といった分類で分けるパターンのカテゴリに基づいて、処理対象である漢字仮名混じり文字列を分類する処理手段」を、「ソート済メタ情報に含まれるソート用テキストに基づいて」、「生成されたイニシャル情報を各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とする」構成とすることは、当業者が容易に想到したことである。

(相違点4)について
引用例1記載の発明の「読み情報のカテゴリごとに分けて出力する出力手段」は、「この処理手段による分類結果に基づいて、この漢字仮名混じり文字列をこの読み情報のカテゴリごとに分けて出力する」ものであり、「カテゴリ分類を用いて、特定のカテゴリに属するデータのみを出力するように設定することもできる」ものである。
また、引用例1記載の発明と同一技術分野に属する引用例3には、上記(コ)の記載事項、及び、関連する図面【図3】、【図4】によれば、イニシャル情報である「先頭文字」を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報である「曲名」を表示することが記載されている。
そして、上記引用例3記載の技術的事項が、利用者の利便に供する有用なものであることは当業者が認識でき、該引用例3記載の技術的事項を引用例1記載の発明に適用することに格別困難性は認められない。
してみれば、引用例1記載の発明において、上記引用例3記載の技術的事項を採用し、「読み情報のカテゴリごとに分けて出力する出力手段」を、「生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(まとめ)
よって、本願補正発明は、引用例1?引用例3記載の発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。


5.むすび
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 補正却下の決定を踏まえた検討
1.本願発明について
平成20年2月12日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年11月12日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「複数のメタ情報を取得する情報取得部と、
前記取得された各メタ情報に基づいて前記メタ情報の読みであるソート用テキストを生成するためのルールをそれぞれ規定したモジュールを複数記憶する記憶部と、
前記記憶された複数のモジュールのうち、1以上のモジュールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部と、
前記メタ情報毎に自動生成されたソート用テキストに基づいて前記各ソート用テキストに対応する各メタ情報をソートすることにより、ソートされた複数の前記メタ情報と複数の前記ソート用テキストからなるソート済メタ情報を自動生成するソート実行部と、
前記ソート済メタ情報に含まれる前記ソート用テキストに基づいて、前記ソート用テキストの頭文字であるイニシャル情報を生成し、前記生成されたイニシャル情報を前記各メタ情報に追加して、イニシャル情報付きソート済メタ情報とするイニシャル情報生成部と、
前記生成されたイニシャル情報付きソート済メタ情報に基づいて、イニシャル情報を表示させ、指定されたイニシャル情報に対応するメタ情報を表示させる情報出力部と、
を備える情報処理装置。」

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第2」「2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から、「メタ情報をソートする情報処理装置であって」との限定を省き、また、「前記記憶された複数のモジュールのうち、前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部」において、「前記情報処理装置における使用言語に基づいて、前記各メタ情報をソートするためのモジュールを選択し、前記選択されたモジュールに規定されたルールに基づいて」との限定を省き、「前記記憶された複数のモジュールのうち、1以上のモジュールに基づいて前記取得されたメタ情報毎にソート用テキストを自動生成するソート用テキスト生成部」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに構成要件の一部を限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第2」「4.」に記載したとおり、引用例1?引用例3記載の発明及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用例1?引用例3記載の発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1?引用例3記載の発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-07 
結審通知日 2010-09-14 
審決日 2010-09-27 
出願番号 特願2007-153203(P2007-153203)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 波内 みさ廣瀬 文雄  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 長島 孝志
池田 聡史
発明の名称 情報処理装置,情報処理方法および情報処理プログラム  
代理人 亀谷 美明  

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