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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B41M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B41M
管理番号 1227024
審判番号 不服2009-5331  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-11 
確定日 2010-11-11 
事件の表示 特願2003- 14946「板材に対する印刷方法およびその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月12日出願公開、特開2004-223906〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成15年1月23日の出願であって、平成20年12月12日に手続補正がなされ、平成21年2月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年3月11日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、当審における平成22年4月2日付け審尋に対して、同年6月4日付けで回答書を提出している。

第2 平成21年3月11日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成21年3月11日付け手続補正を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)平成21年3月11日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、明細書全文についてするもので、特許請求の範囲については、本件補正前に、
「 【請求項1】 表面に柄を有する版ロール、この版ロールに塗布されたインクが転写されるオフセットロール、このオフセットロールに印刷用板材を圧接するための送りロールとからなる印刷機構と、この印刷機構に印刷用板材を送り込むための送り込み手段と、この印刷機構の各ロールの回転数および送り込み手段の送り込み速度を制御するための制御装置とからなる印刷装置による板材に対する印刷方法において、印刷用板材に印刷された柄を検出してその柄ピッチを算出し、この算出された柄ピッチの予定の柄ピッチに対する伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて所定のオフセットロールの周速度に対する版ロールの周速度の割合を変更し、印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整することを特徴とする板材に対する印刷方法。
【請求項2】 上記印刷装置には、多重印刷するために他の印刷装置が連設されていることを特徴とする請求項1記載の板材に対する印刷方法。
【請求項3】 上記印刷された柄の柄ピッチを、印刷用板材に印刷されたマークあるいは柄の特定の模様を検出し、それらのマーク間あるいは柄の特定の模様間の間隔から算出することを特徴とする請求項1記載の板材に対する印刷方法。
【請求項4】 上記予定の柄ピッチに対する印刷された柄ピッチの伸縮量を、印刷の際のオフセットロールと送りロールの間隙の大きさを測定し、その間隙の大きさと板材の厚さからオフセットロールの変形量を計算し、この変形量の計算値から柄ピッチの予定の柄ピッチに対する伸縮量を割り出すことを特徴とする請求項1記載の板材に対する印刷方法。
【請求項5】 上記印刷の際のオフセットロールと送りロールの間の間隙の大きさを、隙間ゲージによって測定することを特徴とする請求項4記載の板材に対する印刷方法。
【請求項6】 上記印刷の際のオフセットロールと送りロールの間の間隙の大きさを、両ロールの軸間の間隔の大きさを測定し、その測定値に基づいて算出することを特徴とする請求項4記載の板材に対する印刷方法。
【請求項7】 上記請求項1から6のいずれか1項に記載された方法を実施するための装置であって、表面に柄を有する版ロール、この版ロールに塗布されたインクが転写されるオフセットロール、このオフセットロールに印刷用板材を圧接するための送りロールとからなる印刷機構と、この印刷機構に印刷用板材を送り込むための送り込み手段と、印刷機構のロールの回転数および送り込み手段の送り込み速度を制御するための制御装置とからなる板材に対する印刷装置において、印刷された柄を検出する検出手段を備えるとともに、前記制御装置は、前記検出手段からの信号に基づいて検出された柄の柄ピッチを算出し、予定の柄ピッチに対する算出された柄ピッチの伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて所定のオフセットロールの周速度に対する版ロールの周速度の割合を変更し、印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する制御装置であることを特徴とする板材に対する印刷装置。
【請求項8】 上記印刷された柄を検出する検出手段が、印刷されたマークや柄の特定の模様を検出するための検出手段であることを特徴とする請求項7記載の板材に対する印刷装置。
【請求項9】 上記印刷の際のオフセットロールと送りロールの間の間隙の大きさを測定する手段を有することを特徴とする請求項7または8記載の板材に対する印刷装置。」とあったものを、

「 【請求項1】 表面に柄を有する版ロール、この版ロールに塗布されたインクが転写されるオフセットロール、このオフセットロールに印刷用板材を圧接するための送りロールとからなる印刷機構と、この印刷機構に印刷用板材を送り込むための送り込み手段と、この印刷機構の各ロールの回転数および送り込み手段の送り込み速度を制御するための制御装置とからなる印刷装置による板材に対する印刷方法において、先行する印刷用板材に印刷された柄を検出してその柄ピッチを算出し、この算出された柄ピッチの予定の柄ピッチに対する伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて所定のオフセットロールの周速度に対する版ロールの周速度の割合を変更し、後続の印刷用板材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整することを特徴とする板材に対する印刷方法。
【請求項2】 上記印刷装置には、多重印刷するために他の印刷装置が連設されていることを特徴とする請求項1記載の板材に対する印刷方法。
【請求項3】 上記先行する印刷用板材に印刷された柄の柄ピッチを、印刷されたマークあるいは柄の特定の模様を検出し、それらのマーク間あるいは柄の特定の模様間の間隔から算出することを特徴とする請求項1記載の板材に対する印刷方法。
【請求項4】 上記請求項1から3のいずれか1項に記載された方法を実施するための装置であって、表面に柄を有する版ロール、この版ロールに塗布されたインクが転写されるオフセットロール、このオフセットロールに印刷用板材を圧接するための送りロールとからなる印刷機構と、印刷用板材をこの印刷機構に送り込むための送り込み手段およびこの印刷機構から排出するための排出コンベアと、印刷機構のロールの回転数および送り込み手段の送り込み速度を制御するための制御装置とからなる板材に対する印刷装置において、先行する印刷用板材に印刷された柄を検出する検出手段を排出コンベアの上方に備えるとともに、前記制御装置が、前記検出手段からの信号に基づいて検出された柄の柄ピッチを算出し、予定の柄ピッチに対する算出された柄ピッチの伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて所定のオフセットロールの周速度に対する版ロールの周速度の割合を変更し、後続の印刷用板材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する制御装置であることを特徴とする板材に対する印刷装置。
【請求項5】 上記先行する印刷用板材に印刷された柄を検出する検出手段が、印刷されたマークや柄の特定の模様を検出するための検出手段であることを特徴とする請求項4記載の板材に対する印刷装置。」と補正するものである。(下線は審決で付した。以下同じ。)

(2)本件補正により、本件補正前の、請求項4ないし請求項6及び請求項9は削除され、本件補正後の請求項1ないし請求項5は、それぞれ、本件補正前の、請求項1、請求項2、請求項3、請求項7、請求項8を補正したものであると認められるところ、本件補正後の請求項1に係る発明についての上記(1)の補正内容は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「印刷用板材に印刷された柄を検出」するところの「印刷用板材」及び「『印刷される柄の柄ピッチ』が『予定の柄ピッチに調整』されるところの『印刷』」の相互の関係について、「先行する印刷用板材」について印刷された柄を検出し、「後続の印刷用板材」について印刷される柄の柄ピッチを調整するものであることを限定するものである。

2 補正の目的
本件補正後の請求項1に係る上記1(1)の補正は、上記1(2)に記載したとおり、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3 刊行物の記載
原査定の拒絶の理由に引用された「本願の出願前に頒布された刊行物である特開平4-224031号公報(以下「引用例」という。)」には、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【請求項1】 模様を施すためのアプリケータロール手段及び該アプリケータロール手段に回転を与えるための駆動手段を設け、金属コイルを連続的に進ませてアプリケータロール手段に接触させ、移動するコイル上にアプリケータロール手段によって模様を施し、模様長さを測定し、測定した模様長さを所定の模様長さと比較し、測定した模様長さと所定の模様長さのずれが設定値を超えている場合はアプリケータロール手段の回転速度を調節する、工程から構成されることを特徴とする金属コイルに模様を施す方法。
【請求項2】 ライン速度をモニターする工程を有している請求項1に記載の方法。
【請求項3】 移動するコイル片に基準ロールを当てることによってライン速度を測定する工程を有している請求項2に記載の方法。
【請求項4】 模様長さが所定の模様長さよりも短いときは、アプリケータロールの速度を遅くする請求項3に記載の方法。
【請求項5】 模様長さが所定の模様長さよりも長いときは、アプリケータロールの速度を速くする請求項4に記載の方法。
【請求項6】 測定した模様長さと所定の模様長さとの比較はマイクロプロセッサー手段を用いて行なわれる請求項5に記載の方法。
【請求項7】 ライン速度の測定は、光センサー手段と基準ロールの協同作用によって行なわれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】 模様長さの測定は光センサー手段を用いて行なわれる請求項7に記載の方法。
【請求項9】 駆動手段はモータ手段を備えており、該モータ手段の速度をタコメータ手段によってモニターする工程を有している請求項8に記載の方法。
【請求項10】 模様付けは印刷によって行なわれる請求項9に記載の方法。
【請求項11】 模様付けは金属コイニングによって行なわれる請求項9に記載の方法。
【請求項12】 モータ速度に対応するタコメータからのパルスをマイクロプロセッサーに送る工程を有している請求項8に記載の方法。
【請求項13】 マイクロプロセッサー手段に内蔵したコンパレータ手段によって比較を行ない、アプリケータロール手段の回転速度の調節が必要なときは、コンパレータ手段からの出力信号がマイクロプロセッサー手段内蔵のコントローラ手段に送られる請求項6に記載の方法。
【請求項14】 アプリケータロール手段の速度調節は、コントローラからのモータ速度を調節する出力信号によって行なわれる請求項13に記載の方法。
【請求項15】 金属コイルに対して連続的に模様を施すためのアプリケータロール手段と、アプリケータロール手段に接触するように金属コイルを進ませる手段と、アプリケータロール手段に回転を与える駆動手段と、金属コイルのライン速度をモニターするためのコイルライン速度モニター手段と、模様長さを測定するための模様長さモニター手段と、モータの回転速度を測定するためのモータ速度モニター手段と、コイルライン速度モニター手段、模様長さモニター手段及びモータ速度モニター手段からの情報を受けるマイクロプロセッサー手段を備えており、マイクロプロセッサー手段は、所定の模様長さに関する情報を含んでおり、マイクロプロセッサー手段は前記情報の全てを利用してモータ速度の調節を行なうべきか否かを判断し、所定の模様長さと測定した模様長さのずれが予め設定した値を超えているときに調節を開始させる手段を備えていることを特徴とする金属コイルに模様を施す装置。
【請求項16】 金属コイルのライン速度をモニターするためのライン速度モニター手段を備え、マイクロプロセッサー手段は、該ライン速度モニター手段からの情報を受ける手段を備え、このライン速度情報を受けてモータ速度の調節を行なう必要があるかどうかを判断する手段を備えている請求項15に記載の装置。
【請求項17】 コイルライン速度モニター手段は、基準ロールと光センサー手段を有している請求項16に記載の装置。
【請求項18】 模様長さをモニターする手段は光センサー手段を有している請求項17に記載の装置。
【請求項19】 モータ速度モニター手段はタコメータ手段を備えている請求項18に記載の装置。
【請求項20】 マイクロプロセッサー手段は、ライン速度、模様長さに関する情報を受けるためのコンパレータ手段を備えており、所定の模様長さに関する情報を含み、測定した模様長さと所定の模様長さとの比較を行なうことができるようにしている請求項19に記載の装置。
【請求項21】 模様を施すアプリケータロール手段は、金属コイルに印刷する手段を有している請求項20に記載の装置。
【請求項22】 模様付けを行なう手段は金属のコイニング手段である請求項20に記載の装置。」

(2)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属コイルにパターン即ち模様を形成する方法及びこれに関連する装置に関し、より具体的には、金属コイルから製品を作る際、金属コイルの利用効率を高めるために、精密にコントロールしながら模様を形成できるようにしたシステムに関する。
【0002】
【従来技術の説明】金属コイルに印刷物の模様を繰り返して形成し、次に模様単位毎に金属コイルを切断し、これを成形して製品を作ることが従来から行なわれている。このようなコイルは多くの用途を有しているが、その中でも缶のエンドストックやドア等のパッケージ製品や建築用品の製造に広く使用されている。
【0003】このようなコイルに関する問題の1つとして、長手方向の公差又は許容誤差から僅かでも外れると、その累積誤差は大きくなり、最終ユーザーは材料をかなり無駄にせねばならないことが挙げられる。最終ユーザーは、通常の場合、コイルの所定位置の部分を穴あけできるようにパンチプレスを調整するから、欠陥製品ができることになってしまうからである。即ち、模様が所定位置からずれていると、穴あけした金属部分中に、模様が完全な状態で含まれなくなってしまうからである。
【0004】この問題は、母材として比較的短い長さのシート材を用いるようにすれば、模様の穴明け加工を公差内で簡単に行なうことはできるが、長い金属コイルを使用した場合の上記不都合を解消できない。
【0005】
【発明の要旨】本発明は上記の不都合を解消するものである。
【0006】本発明の方法は、模様を施すアプリケータロール手段及び該アプリケータロール手段に回転を与える駆動手段を用いて、金属コイルに所定の模様を作るものである。コイル材は、連続的に繰り出され、アプリケータロール手段に接し、該アプリケータロール手段によって、移動するコイル上の所定位置に模様が施される。コイルの模様長さは、コイルのライン速度と同じように測定される。測定された模様は、所定の模様長さと比較される。比較した結果、所定の模様長さからのずれが予め決められた量を超えているとき、アプリケータロール手段の回転速度を変えて模様長さの調節を行なう。測定した模様長さが所定の模様長さよりも小さいとき、模様を施すアプリケータロール手段の回転速度を遅くする。同じようにして、測定した模様長さが所定の模様長さよりも長いとき、アプリケータロール手段の回転速度を速くする。
【0007】金属コイルに模様を施すための装置は、移動する金属コイルに模様を施すためのアプリケータロール手段、コイルを連続的に移動させてアプリケータロール手段に接触させるための手段、及びアプリケータロール手段に回転を与える駆動手段を備えている。コイルのライン速度をモニターする手段、模様長さをモニターする手段、及びモータ速度をモニターする手段が設けられる。所望の模様長さに関する情報を含むマイクロプロセッサーを設け、種々のモニター手段の二次システムからの情報を受けることができるようにしている。
【0008】本発明は、金属コイル上に所定の模様を正確にコントロールしながら施すことのできる装置を提供することを目的とする。
【0009】本発明は、印刷(printing)、コーティング、コイニング及び金属表面に模様を個々に形成することのできるその他の手段を使用することができるようにした装置を提供することを他の目的とする。
【0010】本発明は、コイルの長手方向及び横方向の両方向における許容誤差をコントロールし得る装置を提供することを他の目的とする。
【0011】本発明は、適当なサーボ機構及び関連するマイクロプロセッサーを有する装置を提供することを他の目的とする。
【0012】本発明は、既存のコイル処理装置に改善を加えることが容易な装置を提供することを更に目的とする。
【0013】本発明のこれらの目的及びその他の目的は、添付の図面に基づく本発明の説明から完全に理解されるであろう。
【0014】
【望ましい実施例の説明】本明細書中で使用する「パターン又は模様」とは、印刷、コーティング、コイニング、又はこれらの組合せにより、又はコイルの局部的な外観又は輪郭を変えることのできるその他の手段を用いることにより、金属コイル上に略同一の相対的な間隔で形成した一連の部分を意味するものとする。
【0015】本明細書中で使用する「パターン単位又は模様単位(pattern unit)」とは、単一の模様部分を意味するものとし、この模様単位が繰り返されて1つの模様が作り出される。
【0016】本明細書中で使用される「形成された模様(registered pattern)」とは、模様単位どうしが予め決められた寸法関係にて繰り返し作られた模様単位、又は模様単位がコイルに対して予め決められた寸法関係にて繰り返し作られた模様単位、又は模様単位が他の模様単位及びコイルの両者に対して予め決められた寸法関係にて繰り返し作られた模様単位を意味するものとする。
【0017】本明細書中で使用される「パターン長さ又は模様長さ」とは、長手方向に隣り合う模様単位どうしの同一部分における距離を意味するものとする。
【0018】図1を参照すると、幅Wの金属コイルの細長い部分(2)を示している。この細長部(2)は、複数の模様単位(4)(6)(8)(10)(12)(14)(16)(18)(20)(22)(24)(26)からなる模様を有している。これらの模様単位は、所望の手段を用いて金属片(30)に任意の形状又は大きさに作ることができる。図示の模様の場合、その模様長さAは、模様単位(6)の端部と模様単位(12)の対応する端部との間の距離として示している。2つの模様の横方向の距離を「模様幅」として表わし、図1では、模様単位(16)と(18)との間の距離Dとして示している。模様単位(8)のエッジ部とコイルの縁部(32)との間の距離を符号Bとして示し、模様単位(4)のエッジ部とコイルの縁部(34)との間の距離を符号Cで示している。模様間の距離、又は模様とコイル縁部間の距離を測定する際、所望の基準点(reference point)を模様上に設けることができることは理解されるべきである。
【0019】本発明の方式に基づいて形成した模様が所定位置からずれていないかどうかをモニターするために、予め決められた模様長さA及び模様幅Dを、実際に測定した模様長さ又は幅と比較して判断することができる。
【0020】図1に示すように、コイルには更に見当マーク(registration mark)(40)を設けている。これは、コイルと最終ユーザーの処理装置との位置合せを容易ならしめるためのもので、模様が付されたコイルを個々の製品に作り上げる最終ユーザーの段階で形成してもよい。この見当マーク(40)は、コイルの長手方向に所定の間隔をあけて複数位置に設けることもできる。或はまた、模様の一部を基準点として利用して処理装置を調整することもできる。
【0021】図2は、性質の異なる模様単位を複数個有するコイルの一部分を示している。この実施例にかかる模様単位は、外像(44)の中に内像(46)が形成されている。これら2つの像は、異なる形態をとることができる。例えば、模様要素(44)を一の色又は一のグラフィック画とし、模様要素(46)を他の色又は他のグラフィック画にすることができる。或は又、2つの要素(44)(46)の内の1つを、コイニング等の金属変形によって形成し、他方は異なる材料を用い、これにコーティング又は印刷を施して形成することもできる。このような関係にある場合、真ん中の模様間を測った模様長さPを基準として機械の割出し位置を決める(indexing)ことができるし、又は、模様要素(48)の中心と模様要素(50)の外周との間の距離Rを維持する等によって、一方の要素と他方の要素との関係をモニターすることもできる。
【0022】金属コイルに模様を形成するためのコイル処理ラインの代表例を図3に示している。コイル片(60)は、アイドルロール(62)、ステアリングロール(64)(66)に支承されて矢印で示す方向に進む。コイルに模様が付された後、オーブン(70)に入って模様の乾燥が行なわれる。もし、コーティングや金属成形によって模様を形成する場合のように、加熱を必要としないときは、オーブン(70)を省略することができる。
【0023】模様付けを行なう装置部分において、コイル片(60)は、一対の光センサー(72)(74)の間を次々に通過し、このセンサーによって進路調整、即ちロールの横方向の位置決めが行なわれる。光センサー(72)(74)の間を通過させてコイル片の横方向の位置制御を行なうが、このときのステアリング装置は当該分野で公知のものを用いることができる。適当な装置として、ノースアメリカンステアリング又はファイフェコーポレイションのどちらかのものを挙げることができる。これらの装置は、2ロールの側部-側部ステアリング手段から構成され、コイル片の芯出し用光学機器を装置を備えている。光学装置はコイルの横位置を検出し、高速動力ユニットを通じて信号を伝達する。該動力ユニットは、公差範囲から外れる前に、油圧シリンダーを作動させて、コイル片の位置を修正する。
【0024】コイルは次にロール(80)(82)の上を移動する。模様付けを行なうためのアプリケータロール手段は、図示の実施例では、計測ロール(metering roll)(84)を備えており、ピックアップロール(86)と協同作用して、コイル片(60)の適当な位置に適量の材料を施すことができるようにしている。ピックアップロール(86)は材料溜め(90)からの材料を取り、これがアプリケータロール(88)に供給され、その材料はアプリケータロール(88)からコイル(60)に押し付けられてコイルに施される。必要に応じて、追加のロール(92)(94)及び(96)(98)を更に設けて、コイル辺(60)に追加の模様又はコーティングを施すこともできる。このようにして、コイル部分(100)に所定の模様が形成され、次にオーブンの中に入る。
【0025】模様を形成するための本発明の方法を、図4に基づいて説明する。本発明は模様長さの調整を極めて精度良く行なうことができるから、最終ユーザーは、コイルから個々の製品を複数個作り出しても、スクラップ及び不良品を最少にすることができる。
【0026】図示の実施例において、アプリケータロール(88)はモータ(102)によって回転させられる。モータ(102)は、適当なDCモータを使用しており、アプリケータロールとは、ギヤボックス(104)を介し、適当な連結ドライブシャフト(106)(108)を通じて繋がっている。図示の実施例では、説明を簡略化するために、アプリケータロール(88)は直接駆動するようになっている。実際上は、ピックアップロール(86)の如きその他の機構をアプリケータロールに噛合させ、モータ(102)によって駆動する仕組となっている。何れの場合も、モータによってアプリケータロール(88)の応答性回転(responsive rotation)が作り出される。コイル(60)のライン速度は基準ロール(62)によってモニターされる。この基準ロール(62)は、ロール上に固定基準点を有することが望ましい。基準点を、1回転毎に光電管(110)の前を通過させることにより、光電管はコイル(60)のライン速度に対応する出力パルスを発することができる。同じようにして、光電管(114)は、模様を施すアプリケータロール手段(88)からコイルに施される各模様の模様長さを測定し、応答性出力パルスを発する。ライン速度と模様長さのデータは夫々、ライン(120)(122)を通じて、所定の模様長さに関する情報を含むコンパレータ(126)に送られる。ここで、所定の模様長さと、測定された実際の模様長さとが比較される。このとき、一定であるべきライン速度に関する情報も考慮される。実際の模様長さと、所定の模様長さとが異なっており、そしてその差異が設定値を越えている場合、コンパレータ(126)はコントローラ(130)に訂正信号を発する。もし、実際に測定した模様長さが、所定の模様長さよりも短い場合、コンパレータ(126)はライン(132)を通じてコントローラ(130)に信号を発し、模様を施すアプリケータロール手段(88)のロール速度を遅くする。もし、測定した模様長さが所定の模様長さよりも長い場合、コンパレータ(126)は、ライン(134)を通じてコントローラ(130)に信号を発し、模様を施すアプリケータロール手段(88)のロール速度を速くする。…略…。」

(3)上記(1)及び(2)の記載から、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。
「金属コイルに印刷物の模様を繰り返して形成し、次に模様単位毎に金属コイルを切断し、これの所定位置の部分に穴あけするなどして、缶のエンドストックやドア等のパッケージ製品や建築用品の製品を作る際に、母材として、比較的短い長さのシート材を用いるようにすれば、模様の穴あけ加工を公差内で簡単に行なうことはできるが、長い金属コイルを使用した場合は、長手方向の公差又は許容誤差から僅かでも外れると、その累積誤差は大きくなり、模様が所定位置からずれてしまい、穴あけした金属部分中に模様が完全な状態で含まれなくなり、欠陥製品ができることになってしまって、最終ユーザーは材料をかなり無駄にせねばならないという不都合があったので、この不都合を解消し、精密にコントロールしながら模様を形成できるようにするために、
母材に対して連続的に模様を印刷すための、印刷する手段を有する印刷アプリケータロール手段と、
前記印刷アプリケータロール手段に接触するように母材のコイル片を支承して進ませる、アイドルロール及びステアリングロールを含む複数の搬送ロール手段と、
前記印刷アプリケータロール手段に回転を与えるモータを備えた駆動手段と、
母材のライン速度をモニターするための、基準ロールと光センサー手段を有するコイルライン速度モニター手段と、
長手方向に隣り合う模様単位どうしの同一部分における距離である模様長さを測定するための、光センサー手段を有する模様長さモニター手段と、
前記モータの回転速度を測定するためのモータ速度モニター手段と、
前記コイルライン速度モニター手段、前記模様長さモニター手段及び前記モータ速度モニター手段からの情報を受けるマイクロプロセッサー手段とを備え、
前記マイクロプロセッサー手段は、所定の模様長さに関する情報を含んでおり、
前記マイクロプロセッサー手段は、前記情報の全てを利用してモータ速度の調節を行なうべきか否かを判断し、前記所定の模様長さと前記測定した模様長さのずれが予め設定した設定値を超えているときに調節を開始させる手段を備えている、
母材に模様を印刷する装置を用い、
母材を前記搬送ロール手段により連続的に進ませて前記印刷アプリケータロール手段に接触させ、移動する母材上に前記印刷アプリケータロール手段によって模様を印刷し、
前記光センサー手段を用いて前記模様長さを測定し、
一定であるべきライン速度に関する情報も考慮して、前記測定した模様長さと前記所定の模様長さとを比較し、
前記測定した模様長さと前記所定の模様長さとが異なっており、そしてその差異が前記設定値を超えている場合、前記測定した模様長さが前記所定の模様長さよりも短いときは前記印刷アプリケータロール手段の速度を遅くするように、また、前記測定した模様長さ模様が前記所定の模様長さよりも長いときは前記印刷アプリケータロール手段の速度を速くするように、前記印刷アプリケータロール手段の回転速度を調節する、
各工程から構成して、
模様長さの調整を極めて精度良く行なうことができるようにした、
母材に模様を印刷する方法。」(以下「引用発明」という。)

4 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「母材」と本願補正発明の「印刷用板材」とは、「被印刷材」である点で一致するといえる。

(2)引用発明の「印刷アプリケータロール手段」は、印刷する手段を有するアプリケータロール手段であるから、印刷機構であるといえ、かつ、少なくともアプリケータロールを有していることが明らかである。
したがって、引用発明の「印刷アプリケータロール手段」及び「アプリケータロール」は、それぞれ、本願補正発明の「印刷機構」及び「印刷機構の各ロール」に相当する。

(3)引用発明の「印刷アプリケータロール手段に接触するように母材のコイル片を支承して進ませる、アイドルロール及びステアリングロールを含む複数の搬送ロール手段」と本願補正発明の「この印刷機構に印刷用板材を送り込むための送り込み手段」とは、「この印刷機構に被印刷材を送り込むための送り込み手段」である点で一致する。

(4)引用発明の「模様」、「長手方向に隣り合う模様単位どうしの同一部分における距離である模様長」、「マイクロプロセッサー手段」、「母材に模様を印刷する装置」及び「模様を印刷する方法」は、それぞれ、本願補正発明の「柄」、「柄ピッチ」、「制御装置」、「印刷装置」及び「印刷方法」に相当する。

(5)引用発明において、「長手方向に隣り合う模様単位どうしの同一部分における距離である模様長さを測定するための、模様長さモニター手段」は、「光センサー手段を用いて前記模様長さを測定し」ているから、光センサー手段により模様を検出して、長手方向に隣り合う模様単位どうしの同一部分における距離を算出していることが、当業者に自明である。
したがって、引用発明の「光センサー手段を用いて前記模様長さを測定」する事項は、本願補正発明の「柄を検出してその柄ピッチを算出」する事項に相当する。また、引用発明における、上記「『光センサー手段により検出』する『模様』」は、「『母材上』に『印刷』する『模様』」でもあるから、本願補正発明の「『検出』する『先行する印刷用板材に印刷された柄』」と、「被印刷材の印刷柄」である点で一致する。

(6)引用発明の「測定した模様長さ」、「所定の模様長さ」、「差異」、「前記測定した模様長さが前記所定の模様長さよりも短いときは前記印刷アプリケータロール手段の速度を遅くするように、また、前記測定した模様長さ模様が前記所定の模様長さよりも長いときは前記印刷アプリケータロール手段の速度を速くするように」及び「模様長さの調整を極めて精度良く行なう」は、それぞれ、本願補正発明の「算出された柄ピッチ」、「予定の柄ピッチ」、「伸縮量」、「割り出した伸縮量に応じて」及び「印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する」に相当する。

(7)上記(1)ないし(6)によれば、本願補正発明と引用発明とは、
「印刷機構と、この印刷機構に被印刷材を送り込むための送り込み手段と、制御装置とからなる印刷装置による被印刷材に対する印刷方法において、被印刷材の印刷柄を検出してその柄ピッチを算出し、この算出された柄ピッチの予定の柄ピッチに対する伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて、被印刷材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する、被印刷材に対する印刷方法。」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記印刷機構が、本願補正発明では、「表面に柄を有する版ロール、この版ロールに塗布されたインクが転写されるオフセットロール、このオフセットロールに印刷用板材を圧接するための送りロールとからなる」のに対して、引用発明では、印刷アプリケータロール手段、すなわち、印刷する手段を有するアプリケータロール手段である点。

相違点2:
本願補正発明では、割り出した伸縮量に応じて「所定のオフセットロールの周速度に対する版ロールの周速度の割合を変更」して印刷される柄の柄ピッチを調整するのに対して、引用発明では、割り出した伸縮量に応じて「印刷アプリケータロール手段の回転速度を調節」して印刷される柄の柄ピッチを調整する点。

相違点3:
本願補正発明では、前記「被印刷材」は「印刷用板材」であり、「先行する印刷用板材」について印刷される柄を検出し、「後続の印刷用板材」について印刷される柄の柄ピッチを調整するのに対して、引用発明では、前記「被印刷材」は母材であって、「先行する被印刷材」について印刷される柄を検出し、「後続の被印刷材」について印刷される柄の柄ピッチを調整するところの「被印刷材」は、同じ母材である点。

相違点4:
検出する「先行する被印刷材の印刷柄」が、本願補正発明では、「印刷された柄」であるのに対して、引用発明では、「印刷された後の柄」なのか「印刷される前の柄」なのかが明確でない点。

5 判断
上記相違点1ないし4について検討する。
(1)相違点1及び2について
ア 版ロール、オフセットロール、バックアップロールとからなる印刷機構は、本願の出願前に周知である(以下「周知技術1」という。例.特開平11-78201号公報(図3参照。「版胴21」、「ゴム胴22」及び「圧胴23」が、それぞれ「版ロール」、「オフセットロール」及び「バックアップロー」に相当する。)、特開2000-79677号公報(図1参照。「版胴28」、「オフセットロール29」及び「バックアップロール30」が、それぞれ「版ロール」、「オフセットロール」及び「バックアップロー」に相当する。)、特開2000-246881号公報(図2参照。)、特開2002-127358号公報(図4参照。))。

イ 被印刷体に印刷されるパターンを、版胴上のパターンに対して、伸長又は縮小させるために、被印刷体走行速度に同調させてオフセットロールを回転して、オフセットロールの周速度と被印刷体の速度とを一致させ、かつ、オフセットロールの周速度に対して版胴の周速度を異ならせることは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術2」という。例.特開昭62-284754号公報(3頁左下欄13行?同頁右下欄11行及び第3図参照。「ウエブ60」、「拡大」及び「スリップ」が、それぞれ「被印刷体」、「伸長」及び「周速度を異ならせる」に相当する。)、原査定の拒絶の理由で引用された特開昭57-89988号公報(2頁右上欄15行?同頁左下欄3行、2頁左下欄6?16行及び第2図参照。「画像」、「印刷板」及び「被印刷体の流れの方向に拡大」が、それぞれ「パターン」、「版胴」及び「伸長」に相当する。))。

ウ 引用発明の「被印刷材に対する印刷方法」は、「印刷装置」により「柄(模様)」を印刷するものであって、かつ、「割り出した伸縮量に応じて、被印刷材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する」ものであるから、引用発明において、前記「印刷機構(印刷アプリケータロール手段)」を、表面に柄を有する版ロール、この版ロールに塗布されたインクが転写されるオフセットロール、このオフセットロールに被印刷材を圧接するためのバックアップローとからなるものとし、そのオフセットロールの回転を被印刷材の走行速度に同調させてオフセットロールの周速度と被印刷材の走行速度とを一致させるとともに、割り出した伸縮量に応じて、オフセットロールの周速度に対して版ロールの周速度を調節することにより、被印刷材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整することことは、当業者が周知技術1及び2に基づいて容易になし得た程度のことである。

エ 上記ウにおける「バックアップロール」、「『被印刷材の走行速度とを一致させ』た『オフセットロールの周速度』」及び「オフセットロールの周速度に対して版ロールの周速度を調節すること」は、それぞれ、本願補正発明の「送りロール」、「所定のオフセットロールの周速度」及び「所定のオフセットロールの周速度に対する版ロールの周速度の割合を変更すること」に相当するから、引用発明において、上記相違点1及び2に係る本願補正発明の構成となすことは、上記ウからみて、当業者が周知技術1及び2に基づいて容易になし得た程度のことである。

(2)相違点3について
ア 被印刷材として板状物を用い、印刷機構に複数の板状物を次々に送り込んで印刷する方法は、本願の出願前に周知である(以下「周知技術3」という。例.上記特開平11-78201号公報(【0001】、【0018】?【0020】及び図3参照。)、原査定の拒絶の理由で引用された特開平6-91851号公報(【0027】?【0029】及び図1参照。「板状体」が「板状物」に相当する。))。

イ 引用発明の「被印刷材の印刷柄を検出してその柄ピッチを算出し、この算出された柄ピッチの予定の柄ピッチに対する伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて、被印刷材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する、被印刷材に対する印刷方法」における「被印刷材」は、母材であって、これに印刷物の模様を繰り返して形成し、次にこれを模様単位毎に切断し、これの所定位置の部分に穴あけするなどして、缶のエンドストックやドア等のパッケージ製品や建築用品の製品を作るためのものであるところ、この母材として、比較的短い長さのシート材を用いることもできるものであるから、引用発明において、前記「被印刷材」を「板状物」とし、板状物である被印刷材の印刷柄を検出してその柄ピッチを算出し、この算出された柄ピッチの予定の柄ピッチに対する伸縮量を割り出し、割り出した伸縮量に応じて、板状物である被印刷材に印刷される柄の柄ピッチを予定の柄ピッチに調整する際に、「先行する板状物である被印刷材」について印刷される柄を検出し、「後続の板状物である被印刷材」について印刷される柄の柄ピッチを調整するようにすることは、当業者が周知技術3に基づいて容易に想到することができた程度のことである。

ウ 上記イにおける「板状物である被印刷材」は、本願補正発明の「印刷用板材」に相当するから、引用発明において、上記相違点3に係る本願補正発明の構成となすことは、上記イからみて、当業者が周知技術3に基づいて容易になし得た程度のことである。

(3)相違点4について
ア 被印刷物上に印刷手段で印刷したマークなどを検出器で検出して印刷ピッチを測定することは、本願の出願前に周知である(以下「周知技術4」という。例.特開平5-104701号公報(【0024】、【0025】、【0027】、【0028】、図1及び図7参照。「印刷ユニット7」及び「見当マーク検出器51」が、それぞれ「印刷手段」及び「検出器」に相当する。)、特開平2-152857号公報(1頁左下欄5行?2頁左下欄5行、7頁左上欄下から4行目?同頁下左欄2行、図7参照。「グラビア印刷」手段、「特定印刷情報間のピッチ」及び「光学読取り手段」が、それぞれ「印刷手段」、「印刷ピッチ」及び「検出器」に相当する。))。

イ 引用発明において、被印刷材の印刷柄を検出してその柄ピッチを算出する際に、被印刷材に「印刷された柄」を検出するようになすこと、すなわち、引用発明において、上記相違点4に係る本願補正発明の構成となすことは、当業者が周知技術4に基づいて容易になし得た程度のことである。

(4)効果について
本願補正発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術1ないし4のそれぞれの奏する効果から、当業者が予測できた程度のものである。

(5)まとめ
したがって、本願補正発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 小括
以上のとおり、本願補正発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成20年12月12日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの上記「第2〔理由〕1(1)」に本件補正前の請求項1として記載したものであると認められる。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、前記「第2〔理由〕3」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2〔理由〕2」で述べたとおり、本願補正発明は、本願発明を特定するために必要な事項について限定を付加したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに限定を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕5」に記載したとおり、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-08 
結審通知日 2010-09-14 
審決日 2010-09-29 
出願番号 特願2003-14946(P2003-14946)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B41M)
P 1 8・ 121- Z (B41M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 東 裕子  
特許庁審判長 小牧 修
特許庁審判官 藏田 敦之
鈴木 秀幹
発明の名称 板材に対する印刷方法およびその装置  
代理人 鈴木 憲七  
代理人 古川 秀利  
代理人 梶並 順  
代理人 曾我 道治  

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