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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G10L |
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管理番号 | 1227161 |
審判番号 | 不服2009-8936 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-04-24 |
確定日 | 2010-11-19 |
事件の表示 | 特願2001- 26906「音声符号列の変換装置および変換方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月16日出願公開、特開2002-229599〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成13年2月2日の出願であって、平成20年11月20日付け拒絶理由に対して平成21年1月22日付けで手続補正書が提出されたが、平成21年3月18日付けで拒絶査定がされたものであり、これに対して平成21年4月24日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成21年5月15日付けで手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明の認定 平成21年5月15日付け手続補正は、平成21年1月22日付けで手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2を削除し、補正前の請求項3-16の内容を新たな請求項1-14とするものであり、当該補正は特許法第17条の2の規定を満たすものである。 よって、本願の発明は、平成21年5月15日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1から請求項14までに記載した事項により特定されるとおりのものと認められる。 そのうち、請求項7に係る発明は、下記のとおりである。 【請求項7】ピッチ周期を含む第1の符号列を、ピッチ周期を含む第2の符号列に変換する符号列変換方法において、前記第2の符号列のピッチ周期を符号化する時間単位であるサブフレーム毎に、前記第1の符号列に含まれるピッチ周期を前記第2の符号列に含まれるピッチ周期とするステップを有することを特徴とする符号列変換方法。 (以下、これを「本願発明」という。) 3.引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1(特開平8-146997号公報)には、以下(ア)?(ウ)に示す事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】音声信号を予め定められた分析時間間隔毎に符号励起線形予測により分析を行い、スペクトル包絡情報とスペクトル微細構造とに分離し、前記スペクトル包絡情報を量子化して符号化した短時間分析符号と、音声信号の電力を量子化して符号化した電力符号と、前記スペクトル微細構造を表し、長期予測ラグフィルタのあらかじめ定められた予測ラグ範囲にしたがって、前記長期予測ラグフィルタのフィルタ係数を量子化して符号化した長期予測ラグ符号と、前記スペクトル微細構造の振幅を量子化して符号化したゲイン符号とを多重化することにより前記音声信号を符号化する第1の音声符号化方法により符号化された多重化符号を、符号励起線形予測符号化方法であって、当該第1の音声符号化方法と量子化値が異なる符号化を行なう第2の音声符号化方法による多重化符号に変換する符号変換装置であって、 前記第1の音声符号化方法により符号化された多重化符号を入力し、前記各々の符号毎に分離する符号分離部と、 前記符号分離部により分離された各々の符号を、前記第1の音声符号化方法による符号と前記第2の音声符号化方法による符号との対応関係にしたがって、前記第2の音声符号化方法による各々の符号に変換する変換部と、 前記変換部により変換された前記第2の音声符号化方法による各々の符号を多重化する多重化部とを有することを特徴とする符号変換装置。」(請求項1) (イ)「【請求項6】請求項1において、前記変換部は、前記第1の音声符号化方法と前記第2の音声符号化方法との前記分析時間間隔が異なる場合に、前記第2の音声符号化方法の前記分析時間間隔ごとに、前記第2の音声符号化により符号を出力するように前記第2の音声符号化による符号の補間を行なう補間手段を備えることを特徴とする符号変換装置。」(請求項6) (ウ)「長期予測ラグ符号対応部830について説明する。長期予測ラグ符号の範囲は、VSELP方式とPSI-CELP方式とにおいて、異なる場合と、同じ場合とがあるので、それぞれの場合を考慮して長期予測ラグ符号の変換を行なう。図7に示すように、長期予測ラグにより制御される長期フィルタは、Z-nのn(長期予測ラグ)が可変であることが特徴である。本実施例においては、VSELP方式である図1に示す音声符号器A200の長期予測ラグ符号の範囲がLaminからLamaxとし、その長期予測ラグ符号をLaとし、PSI-CELP方式である音声復号器B240の長期予測ラグの範囲はLbminからLbmaxとし、その長期予測ラグ符号をLbとする。?(中略)? 上記条件で、VSELP方式の音声符号器A200の長期予測ラグ符号LaからPSI-CELP方式の音声復号器B240の長期予測ラグ,符号Lbnへ変換する場合、次に説明する対応規則に基づき長期予測ラグ符号対応部830を作成する。もしくは、同等な計算を行い符号変換を行う。?(中略)? また、La>Lbmaxではないときは、Lbnの値をLaの値と決定する(ステップ940)。」(段落【0073】?【0081】) したがって、これらを総合すれば、原査定の拒絶の理由で引用された刊行物1には、次の(エ)なる発明が記載されている。(以下、「引用発明」という。) [引用発明] (エ)長期予測ラグを含むVSELP方式にて符号化された多重化符号を、長期予測ラグを含むPSI-CELP方式による多重化符号に変換する符号列変換方法において、PSI-CELP方式の分析時間間隔ごとに、前記VSELP方式にて符号化された多重化符号に含まれる長期予測ラグを前記PSI-CELP方式による多重化符号に含まれる長期予測ラグとするステップを有することを特徴とする符号列変換方法。 4.本願発明と引用発明との対比 引用発明における「長期予測ラグ」、「VSELP方式にて符号化された多重化符号」、「PSI-CELP方式による多重化符号」は、それぞれ本願発明の「ピッチ周期」、「第1の符号列」、「第2の符号列」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、次の(オ)の点で一致し、(カ)の点で相違がある。 [一致点] (オ)ピッチ周期を含む第1の符号列を、ピッチ周期を含む第2の符号列に変換する符号列変換方法において、所定の時間間隔毎に、前記第1の符号列に含まれるピッチ周期を前記第2の符号列に含まれるピッチ周期とするステップを有することを特徴とする符号列変換方法。 [相違点] (カ)本願発明において、ピッチ周期の符号変換を行う所定の時間間隔を「前記第2の符号列のピッチ周期を符号化する時間単位であるサブフレーム毎」としているのに対し、引用発明においては、PSI-CELP方式(第2の符号列に対応した符号化方式)の分析時間間隔としている点。 5.相違点の判断 上記相違点(カ)について検討する。 CELP方式の音声符号化を行う際に、符号化の時間間隔として、線スペクトル対パラメータ(LSP)や反射係数等の短期予測パラメータはフレーム単位に符号化し、ピッチ周期や固定コードベクトル等の励振信号パラメータはフレームより短いサブフレーム単位に符号化する技術は、例示するまでもない当該技術分野における周知慣用の技術である。 一方、符号変換は、変換先の符号化方式に準拠した符号列を生成するものである。このため、上述周知慣用の技術を鑑みれば、CELP方式の符号変換を行う際に、ピッチ周期等の励振信号パラメータに対応する符号は、サブフレーム単位に出力する(換言すればサブフレーム単位で変換する)必要があることは明らかである。 よって、上述引用発明における符号変換を行う際に、ピッチ周期を符号変換する際の所定の時間間隔として、変換先(第2の符号列に対応した符号化方式)のサブフレーム毎とする点に、格別の技術的困難性はない。 したがって、本願発明は当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおりであるから、本願請求項7に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る各発明について特に検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-09-17 |
結審通知日 | 2010-09-22 |
審決日 | 2010-10-05 |
出願番号 | 特願2001-26906(P2001-26906) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G10L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡邊 聡 |
特許庁審判長 |
板橋 通孝 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 涌井 智則 |
発明の名称 | 音声符号列の変換装置および変換方法 |
代理人 | 池田 憲保 |
代理人 | 佐々木 敬 |
代理人 | 福田 修一 |