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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D |
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管理番号 | 1227388 |
審判番号 | 不服2009-6072 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-19 |
確定日 | 2010-11-17 |
事件の表示 | 特願2004- 1846「携帯用飲料容器の栓体」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 7月21日出願公開、特開2005-193944〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成16年1月7日の出願であって、平成21年2月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成21年3月19日に拒絶査定不服審判が請求され、平成21年4月17日付けで手続補正がなされたものである。 2 平成21年4月17日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)についての補正却下の決定 〔補正却下の決定の結論〕 本件手続補正を却下する。 〔理由〕 (1)補正後の本願発明 本件手続補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】容器本体の上部開口に装着される口栓部材と、該口栓部材にヒンジにて開閉可能に連結され、口栓部材の天板に開口する注出口を液密に覆う蓋部材とを備え、前記ヒンジと反対側に、前記蓋部材の閉状態の保持と解除とを行うロック機構を備えた飲料容器の栓体において、前記ロック機構は、前記蓋部材の回動端に設けられた係合片と、前記口栓部材の外面部に設けた軸部材により軸支されて口栓部材の内外方向に回動可能に取り付けられたロックボタンと、口栓部材の外周壁にスライド可能に設けられたスライド式ストッパとを備え、 前記ロックボタンは、上部に前記係合片が係脱可能な係合部を有するとともに、該係合部を前記係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有し、前記スライド式ストッパは、前記ロックボタンの下部と口栓部材の外周壁との間に挿入されたときに前記ロックボタンのロック解除方向への動きを規制するストッパ片と、前記スライド式ストッパの裏面には、前記ストッパ片の挿入位置と非挿入位置とに該スライド式ストッパをそれぞれ保持する係止部とを有していることを特徴とする携帯用飲料用容器の栓体。」 と補正された。 上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面の記載に基づいて、補正前の請求項1に記載された発明を特定する事項である「飲料用容器」について「携帯用」との限定事項を付加するものであり、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではない。 したがって、上記補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件手続補正後の上記請求項1に記載された事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2)引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2003-212258号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の記載がある。 a「本発明は、携帯用魔法瓶や水筒,スポーツドリンク容器を始めとする各種飲料用容器の中栓に係り、特に蓋体をワンタッチで開いて容器本体内の飲料を直接飲むことのできる飲料用容器の中栓に関する。」(1欄37行ないし41行) b「携帯用の魔法瓶に適用した形態例を図面に基づいて詳細に説明する。…魔法瓶1は、金属製の容器本体2と、該容器本体2の上部開口に被着される合成樹脂製の中栓3とを備えている。……中栓3は、めねじ5aを外筒2bのおねじ2cに螺着して容器本体2の上部開口に装着される栓体5と、該栓体5にヒンジ6を用いて開閉可能に連結される蓋体7と、ヒンジ6とは反対側で蓋体7の全閉状態を保持するロック手段8とを備えている。…栓体5は、外筒2bの上部外周を囲繞する筒状部5bの上面に、容器本体2の上部開口を覆う天板5cを設けた逆有底筒状に形成されており、筒状部5bの一側部には、ロック手段8の構成部材であるシーソ式のロックボタン10と係止環11とが設けられている。また、天板5cの一側部側には飲み口5dが…突設され、…蓋体7は、栓体5の筒状部5bの上側に連続する筒状部7aと、該筒状部7aの上面を閉塞する天板7bとの逆有底筒状に形成されており、…筒状部7aは、一側部にロック手段8の構成部材である係止リブ7cと係止片7eとが突設され、…天板7bの内側には、パッキン13と弾性部材14とが…配設されている。……前記ロック手段8は、栓体5のロックボタン10及び係止環11と蓋体7の係止リブ7c及び係止片7dとで構成され、閉位置に回動した蓋体7の係止片7dにロックボタン10が係合し、さらに係止リブ7cに係止環11を掛け止めることによって蓋体7の全閉状態が保持される。また、全閉状態の蓋体7を開けるには、係止リブ7cに掛け止めした係止環11を外し、ロックボタン10の下側を押して該ロックボタン10と係止片7dとの係合を解除することにより、蓋体7が自身の持つ弾性部材14の弾発力によって開口方向へ付勢されるようになっている。」(3欄18行ないし4欄20行) 以上の記載並びに図1及び図2によれば、引用例1には、次の発明が記載されていると認められる。 「容器本体の上部開口に装着される栓体と、栓体にヒンジを用いて開閉可能に連結され、栓体の天板に突設された飲み口をパッキンで覆う蓋体と、ヒンジと反対側に蓋体の全閉状態の保持と解除とを行うロック手段を備えた携帯用飲料用容器の中栓において、ロック手段は、蓋体の一側部に突設された係止リブ7cと係止片7eと、栓体の筒状部の一側部に設けられたシーソ式のロックボタン10及び係止環11とを備え、閉位置に回動した蓋体の係止片7eにロックボタン10が係合し、さらに係止リブ7cに係止環11を掛け止めることによって蓋体の全閉状態が保持され、係止リブ7cに掛け止めした係止環11を外し、ロックボタン10の下側を押して該ロックボタン10と係止片7eとの係合を解除して、蓋体の全閉状態の解除を行う、携帯用飲料用容器の中栓。」 同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平11-137420号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の記載がある。 c「従来の電気炊飯器では、ロック解除レバー20のロック解除片20bを下方に押圧操作しさえすれば、ロック状態にある蓋3が自動的に開いてしまう。…しかし、これは便利である反面、例えば炊飯又は保温中に幼児等が不必要にロックレバー20を解操作する問題がある。…本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上記ロック機構のロック状態又はロック機構によるロックとは別に蓋の閉状態を二重にロックするようにすることによって上述のような問題を解消した電気炊飯器を提供することを目的とするものである。」(2欄35行ないし47行) d「符号3は当該電気炊飯器の蓋であり、この蓋3の外カバー10は、前述の従来例の場合と同様に外ケースおよび内ケースの上部に設けた肩部材5の図示しない後端側に対してヒンジ機構およびバネ部材を介して常時開方向に付勢された状態で上下方向に回動自在に取り付けられており、その開放端側(炊飯器本体前面部側)には、図示のように当該外カバー10の前端側前縁部10a上部のロック片係合凹部11に対して係合して当該蓋3の閉状態を維持するロック解除レバー20を備えたロック機構70が設けられている。…このロック機構70は、…ロック解除レバー20を回転可能に支持するとともに、その前端側ロック解除片20b下面にコイルスプリング22を介設することによって上記ロックレバー20後端側のロック片20aが常時上記蓋3側外カバー10の前縁部10a上部に設けたロック片係合凹部11を下方に押圧するように付勢して構成されている。…したがって、上記ロック解除レバー20の前端側ロック解除片20bを押してロック解除レバー20後端側のロック片20aと上記蓋3側外カバー10のロック片係合凹部11との係合を解除しない限り蓋3は閉状態に維持される。」(4欄47行ないし5欄23行) e「上記肩部材5の外周縁部5b裏側には、サブロック手段として、上記ロック解除レバー20のロック解除片20bによるロック解除操作をできなくするためのレバーロック手段13が前後方向に摺動自由に設けられている。…すなわち、このレバーロック手段13は、図示のように前後方向に長いスライダー部13aと該スライダー部13aから上方に所定高さ突出して外部操作可能な操作部13bとからなり、……同操作部13bを図示b方向に操作して上記ガイド穴12の最前端位置まで移動させた時に上記スライダー部13aの先端が上記ロック解除レバー20のロック解除片20bの下方部に侵入せしめられて、当該ロック解除片20bの下方への押圧操作をできないように係止する一方、図示c方向に操作して上記ガイド穴12の最後端位置まで移動させた時には上記スライダー部13a先端の上記ロック解除片20bとの係合が解かれて、上記ロック解除片20bを下方側ロック解除方向に押圧操作できるようになっている。」(5欄31行ないし6欄5行) 以上の記載並びに図1及び図2によれば、引用例2には、次の発明が記載されていると認められる。 「回転可能に支持され、コイルスプリングにより付勢されて蓋の開放端側のロック片係合凹部11に後端側のロック片20aが係合し常時開方向に付勢された蓋の閉状態を維持するとともに、前端側ロック解除片20bが押圧操作されてロック片係合凹部11と後端側のロック片20aとの係合を解除する、ロック解除レバー20を備えた電気炊飯器において、スライダー部13aとスライダー部13aから上方に所定高さ突出して外部操作可能な操作部13bとからなり、スライダー部13aの先端がロック解除レバー20のロック解除片20bの下方部に侵入せしめられて、ロック解除片20bの下方への押圧操作をできないように係止し、ロック解除操作をできなくするレバーロック手段13を摺動自由に設けた、電気炊飯器。」 (3)対比 本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比すると、引用例1記載の発明の「栓体」、「栓体の天板に突設された飲み口をパッキンで覆う」、「蓋体」、「ロック手段」、「中栓」、「蓋体の一側部に突設された係止片7e」及び「栓体の筒状部の一側部に設けられたシーソ式のロックボタン10」は、それぞれ本願補正発明の「口栓部材」、「口栓部材の天板に開口する注出口を液密に覆う」、「蓋部材」、「ロック機構」、「栓体」、「蓋部材の回動端に設けられた係合片」及び「口栓部材の外面部に設けた軸部材により軸支されて口栓部材の内外方向に回動可能に取り付けられたロックボタン」に相当する。 また、引用例1の図1を参照すると、ロックボタン10は、その上部に蓋体の一側部に突設された係止片7eが係脱可能な係合部を有していると認められるので、本願補正発明と引用例1記載の発明とは、 「容器本体の上部開口に装着される口栓部材と、該口栓部材にヒンジにて開閉可能に連結され、口栓部材の天板に開口する注出口を液密に覆う蓋部材とを備え、前記ヒンジと反対側に、前記蓋部材の閉状態の保持と解除とを行うロック機構を備えた飲料容器の栓体において、前記ロック機構は、前記蓋部材の回動端に設けられた係合片と、前記口栓部材の外面部に設けた軸部材により軸支されて口栓部材の内外方向に回動可能に取り付けられたロックボタンとを備え、前記ロックボタンは、上部に前記係合片が係脱可能な係合部を有する、携帯用飲料用容器の栓体」 である点で一致し、次の点で相違する。 相違点1 本願補正発明では、ロック機構は、口栓部材の外周壁にスライド可能に設けられたスライド式ストッパを備え、スライド式ストッパは、ロックボタンの下部と口栓部材の外周壁との間に挿入されたときにロックボタンのロック解除方向への動きを規制するストッパ片と、スライド式ストッパの裏面には、前記ストッパ片の挿入位置と非挿入位置とに該スライド式ストッパをそれぞれ保持する係止部とを有しているのに対して、引用例1記載の発明では、ロック機構は、蓋体の一側部に突設された係止リブ7cと係止環11とを備えている点。 相違点2 本願補正発明では、ロックボタンは、係合部を係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有するのに対して、引用例1記載の発明では、ロックボタンが、係合部を係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有するのか明らかではない点。 (4)相違点の検討 そこで、上記各相違点について検討する。 《相違点1について》 引用例2には、「回転可能に支持され、コイルスプリング22により付勢されて蓋3の開放端側のロック片係合凹部11に後端側のロック片20aが係合し常時開方向に付勢された蓋3の閉状態を維持するとともに、前端側ロック解除片20bが押圧操作されてロック片係合凹部11と後端側のロック片20aとの係合を解除する、ロック解除レバー20を備えた電気炊飯器において、スライダー部13aとスライダー部13aから上方に所定高さ突出して外部操作可能な操作部13bとからなり、スライダー部13aの先端がロック解除レバー20のロック解除片20bの下方部に侵入せしめられて、ロック解除片20bの下方への押圧操作をできないように係止し、ロック解除操作をできなくするレバーロック手段13を摺動自由に設けた、電気炊飯器」の発明が記載されており、ロック解除操作をできなくするレバーロック手段13を設け、蓋の閉状態を二重にロックするようにすることによって、炊飯又は保温中に幼児等が不必要にロックレバー20を解操作してロック状態にある蓋が自動的に開いてしまうという問題を解決する(上記記載c)ことが記載されている。 一方、引用例1記載の発明も、閉位置に回動した蓋体の係止片7eにロックボタンが係合し、さらに係止リブ7cに係止環11を掛け止めることによって蓋体の全閉状態を保持し、係止リブ7cに掛け止めした係止環11を外した後に、ロックボタン10の下側を押してロックボタン10と係止片7eとの係合を解除するものであり、引用例1記載の発明と引用例2記載の発明は、蓋の閉状態を二重にロックすることにより、蓋の閉状態の保持を行う技術に関する点で技術分野が共通しているから、引用例1記載の発明において、蓋の閉状態を二重にロックするための手段である、蓋体の一側部に突設された係止リブ7cと係止環11に代えて、引用例2に記載の「スライダー部13aとスライダー部13aから上方に所定高さ突出して外部操作可能な操作部13bとからなり、スライダー部13aの先端(本願補正発明の「ストッパ片」に相当)がロック解除レバー20(本願補正発明の「ロックボタン」に相当)のロック解除片20bの下方部に侵入せしめられて、ロック解除片20bの下方への押圧操作をできないように係止し、ロック解除操作をできなくするレバーロック手段13(本願補正発明の「スライド式ストッパ」に相当)」を用いて、本願補正発明のように、「ロック機構は、口栓部材の外周壁にスライド可能に設けられたスライド式ストッパを備え、スライド式ストッパは、ロックボタンの下部と口栓部材の外周壁との間に挿入されたときにロックボタンのロック解除方向への動きを規制するストッパ片を有する」との事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、スライドする部材に対して、予期しないスライドを防止するために係止部を設けることは、本願の出願前に周知の技術的事項(例えば、特開2002-330890号公報、特開2000-168857号公報参照。)であり、引用例1記載の発明において、上記のように、蓋体の一側部に突設された係止リブ7cと係止環11に代えて、引用例2に記載の上記レバーロック手段13を用いる際に、上記周知の技術的事項を採用して、本願補正発明のように、「スライド式ストッパの裏面には、前記ストッパ片の挿入位置と非挿入位置とに該スライド式ストッパをそれぞれ保持する係止部とを有している」との事項とすることは、当業者が設計上適宜なし得たことにすぎない。 そうすると、引用例1記載の発明において、蓋の閉状態を二重にロックするための手段である、蓋体の一側部に突設された係止リブ7cと係止環11に代えて、引用例2に記載の上記レバーロック手段13を用い、その際に、スライドする部材に対して、予期しないスライドを防止するために係止部を設けるという周知の技術的事項を採用して、相違点1に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 《相違点2について》 引用例1記載の発明では、ロックボタンが、係合部を係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有するのか明らかではないが、蓋部材の閉状態の保持を行うロックボタンに付勢手段を設けることは、本願の出願前に周知の技術的事項(例えば、引用例2参照。)であり、引用例1記載の発明において、ロックボタンに付勢手段を設けて、相違点2に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 しかも、本願補正発明が奏する効果も、引用例1及び引用例2記載の発明並びに周知の技術的事項から当業者が予測できたものであって、格別顕著なものとはいえない。 したがって、本願補正発明は、引用例1及び引用例2記載の発明並びに周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)まとめ 以上のとおり、本件手続補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3 本願発明について (1)本願発明 上記のとおり、本件手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし請求項3に係る発明は、平成20年6月11日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1は次のとおり記載されている。 「【請求項1】容器本体の上部開口に装着される口栓部材と、該口栓部材にヒンジにて開閉可能に連結され、口栓部材の天板に開口する注出口を液密に覆う蓋部材とを備え、前記ヒンジと反対側に、前記蓋部材の閉状態の保持と解除とを行うロック機構を備えた飲料容器の栓体において、前記ロック機構は、前記蓋部材の回動端に設けられた係合片と、前記口栓部材の外面部に設けた軸部材により軸支されて口栓部材の内外方向に回動可能に取り付けられたロックボタンと、口栓部材の外周壁にスライド可能に設けられたスライド式ストッパとを備え、 前記ロックボタンは、上部に前記係合片が係脱可能な係合部を有するとともに、該係合部を前記係合片との係合方向に付勢する付勢手段を有し、前記スライド式ストッパは、前記ロックボタンの下部と口栓部材の外周壁との間に挿入されたときに前記ロックボタンのロック解除方向への動きを規制するストッパ片と、前記スライド式ストッパの裏面には、前記ストッパ片の挿入位置と非挿入位置とに該スライド式ストッパをそれぞれ保持する係止部とを有していることを特徴とする飲料用容器の栓体。」 (以下、請求項1に係る発明を、「本願発明1」という。) (2)引用例の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記2(2)に記載したとおりである。 (3)対比・検討 本願発明1は、上記2(1)で検討した本願補正発明から、「飲料用容器」について限定する「携帯用」との事項を省いたものである。 そうすると、本願発明1を特定する事項を全て含み、さらに他の特定する事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2(4)に記載したとおり、引用例1及び引用例2記載の発明並びに周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1も、同様の理由により、引用例1及び引用例2記載の発明並びに周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、審判請求人は、平成22年4月30日付けの回答書において、請求項1の補正案を提示し、その理由として、「スライド式ストッパを、挿入位置と非挿入位置に確実に保持するために、スライド式ストッパの下部裏面に、その係止機構が設けられていることを明確にするためであります。」と述べている。 しかし、係止機構をスライド式ストッパの下部裏面に設けることは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎず、補正案について検討しても容易想到性の判断に変わりがないので、補正の必要を認めない。 (4)むすび 以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-09-14 |
結審通知日 | 2010-09-21 |
審決日 | 2010-10-06 |
出願番号 | 特願2004-1846(P2004-1846) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柳本 幸雄、高橋 裕一 |
特許庁審判長 |
栗林 敏彦 |
特許庁審判官 |
熊倉 強 豊島 ひろみ |
発明の名称 | 携帯用飲料容器の栓体 |
代理人 | 牛木 護 |