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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D06F
管理番号 1227389
審判番号 不服2009-6664  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-09 
確定日 2010-11-17 
事件の表示 特願2004-278550「業務用クリーニング方法、およびそれに使用可能な磁石内蔵管」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 4月 6日出願公開、特開2006- 87752〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成16年9月24日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年3月9日付の手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。

「【請求項1】
洗浄機に並列状に接続された洗浄用給水管路と濯ぎ洗い用給水管路との中、給水管から分岐させた洗浄用給水管路を通じて供給される浄水を軟水装置に通過させて軟水化した後に、該軟水装置よりも川下側となる洗浄用給水管路中途に介在されていて、管路本体中の水流空間を挟む周壁内の一方側に、その管路本体水流方向の500mm前後に渡って水流空間にN極面を露出するよう規制してN極用永久磁石を配すると共に、当該水流空間を挟んで略対称配置となる周壁内の他方側に、前記N極用永久磁石の露出N極面に対し、同水流空間を挟んでS極面が25ないし35mm前後の距離を隔てて対面、露出するよう規制してS極用永久磁石を配してなる構成とした磁石内蔵管における水流空間を通過させ、その過程で磁化活性水とし、複数台の洗浄機に適時、個別的に供給し、各洗浄機が、洗剤不使用か、洗剤使用量を50%以上削減するかした条件下で洗浄対象物を所定時間に渡って洗浄した後に排水してしまい、その後、洗浄用給水管路用に分岐させた給水管と同一の給水管から分岐させた濯ぎ洗い用給水管路を通じて供給される新たな浄水を、前記と同様の磁石内蔵管を通過させてなる磁化活性水を、各洗浄機に適時、供給して夫々が所定時間に渡り、個別に濯ぎ洗いを行ってから排水した上、引き続き脱水・乾燥工程を適時に実施するようにしたことを特徴とする業務用クリーニング方法。」

2.引用刊行物記載の発明

(2-1)これに対して、当審における、平成22年6月17日付で通知した拒絶の理由に引用した特開平4-20395号公報(平成4年1月23日公開、以下「引用例1」という。)には、「洗濯機」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【特許請求の範囲】
(1)衣類の洗濯を行う洗浄槽と、この洗浄槽内に給水する給水手段とを備え、前記給水手段の給水経路途中に陰イオン除去手段を設けた洗濯機。
(2)衣類の洗濯を行う洗浄槽と、この洗浄槽内に給水する給水手段とを備え、前記給水手段の給水経路途中に陽イオン除去手段を設けた洗濯機。
(3)衣類の洗濯を行う洗浄槽と、この洗浄槽内に給水する給水手段とを備え、前記給水手段の給水経路途中にイオンを除去するイオン除去手段を設け、前記イオン除去手段による除去作用は、あらかじめ設定された工程の給水時においてのみ行われるように構成した洗濯機。」(特許請求の範囲)

・「発明が解決しようとする課題
しかし、たとえば水道水中には雑菌の殺菌を目的とした次亜塩素酸イオンをはじめとして、多くの陰イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等の陽イオンが含まれており、これらのイオンは衣類の洗濯に関して以下のような悪影響を与えることが知られている。
一つは、洗濯のために投入される洗剤中の成分と反応して洗剤の洗浄効果を低下させると言うことである。たとえば、最近の洗剤には、衣類に付着しているたんばく質汚れを分解して除去するプロテアーゼをはじめ、各種の酵素が配合されているのが一般的である。しかし、これらの酵素は水道水中に含まれる次亜塩素酸イオン等の陰イオンが持つ酸化力によって酸化を受け失活することが知られている。また、水道水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンといった2価の陽イオンは、洗剤成分の一つである界面活性剤と反応して水に不溶性の金属せっけんを生成し、この金属せっけんの生成によって界面活性剤本来の働きができなくなることが知られている。」(第(1)頁右下欄第8行から第(2)頁左上欄第8行)

・「このように、水道水中に含まれる陰イオン、陽イオンは洗剤、衣類といっだ洗浄にまつわるものに対して多くの不都合を生じさせるという問題点があった。
そこで、本発明は給水中に含まれる次亜塩素酸イオンのように酸化力を有し、洗剤や窒素を含んだ特定の衣類に悪影響を与える陰イオンの除去を第1の目的としている。
第2の目的は、給水中に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンのような洗剤と反応して、洗剤成分の働きを低下させるような陽イオンを除去することにある。
また、第3の目的は、イオン除去装置の有効活用を図るため、給水中のイオン除去を必要な工程にのみ選択的に行わせることにある。」(第(2)頁左上欄第17行から同頁右上欄第11行)

・「次にイオン除去手段9が陽イオン除去手段の場合について第5図を用いて説明する。陽イオン除去の場合に用いられる具体的な除去手段としては陽イオン交換樹脂がある。陽イオンの場合は衣類を変色させるといった衣類への悪影響はほとんど認められないが、先に記したように洗剤成分に対して悪影響を及ぼすことが知られている。特にこのような現象はカルシウムイオンやマグネシウムイオンのような2価の陽イオンを多く含んだ硬水といわれる水を用いた場合に顕著に現われてくる。」(第(3)頁右上欄第10行から同欄第19行)

・「次にイオン除去手段を有効に活用するための選択的な陰イオン除去の実施例について以下に説明する。
第6図において10は給水手段Aであり洗浄槽11までの経路途中に陰イオン除去手段12が設けられている。この給水手段Aを作動させた場合には洗浄槽11に陰イオン除去を行なった洗濯水が供給される。13は給水手段Bであり、前記給水手段Aと並列な回路を構成し、これを作動させた場合は直接洗浄槽11に洗濯水が供給される。さきに陰イオン除去手段の一例としてあげた繊維状活性炭は、次亜塩素酸イオンを吸着する働きを有していることを示したが、この吸着能力には限界があり、限界に達した場合は繊維状活性炭を交換しなければならない。しかし、このような陰イオン除去手段のメンテナンスといったものは使用者にとっては煩雑な作業であり、また、ランニングコストとしても高くなってしまう。そこで、このようなメンテナンスの回数はできるだけ少なくする必要がある。そのためには、陰イオン除去手段12を必要な工程においてのみ作動させるような構成にしてやればよい。
通常、一槽式の全自動洗濯機での標準的な洗濯としては、洗濯工程、すすぎ1工程、すすぎ2工程、脱水工程といった4つの工程からなるのが一般的であり、その中でも脱水工程をのぞいた残り3つの工程には洗濯および、すすぎのための洗濯水の供給が行なわれる。このような洗濯機で、水道水を用いてたとえば、絹のような窒素を含んだ繊維からなる衣類を洗濯しようとするならば、次亜塩素酸イオンの除去を3つの工程の給水時において実施しなければならない。なぜならば、水道水中に含まれる次亜塩素酸イオンの酸化力によって絹は酸化され黄変してしまうからである。しかし、絹のように窒素を含んでいて黄変を生じ易いような衣類を洗浄するとき以外は、次亜塩素酸イオンによる洗剤成分中の酵素破壊のみを防止すれば良いので、この場合は、洗濯工程のみに陰イオン除去手段12を働かせてやれば良いということになる。したがってその場合は洗濯工程に先立つ給水時において、第6図で示した給水手段A10を作動させイオン除去を行なう。その後のすすぎ工程では洗剤に対して配慮する必要がないので給水手段B13を作動させて陰イオン除去手段11を通過しない給水を行なえばよい。」(第(3)頁左下欄第13行から第(4)頁左上欄第17行)

これらの記載事項によると、引用例1には、

「洗浄槽までの経路途中にイオン除去手段が設けられている給水手段Aと、該給水手段Aと並列な回路を構成し、これを作動させた場合は直接洗浄槽に洗濯水が供給される給水手段Bとを有し、洗濯工程に先立つ給水時において、給水手段Aを作動させ、洗剤成分の働きを低下させるようなイオンを除去し、洗濯工程を行い、その後のすすぎ工程では給水手段Bを作動させて給水を行ない、続いて脱水工程を実施する洗濯方法。」の発明(以下「引用例1記載の発明」という。)が記載されていると認められる。

(2-2)同じく、当審における拒絶の理由に引用した特開平11-57275号公報(平成11年3月2日公開、以下「引用例2」という。)には、「パーティクル・クラスター洗濯機」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 楕円形の孔を無数に穿設した外周壁、および該外周壁との間に空隙を介在させて線条を格子状に形成した内周壁とで構成され、高速回転する円筒形の洗濯槽と、該洗濯槽を浸漬する水を放出させるノズルと、環状に形成された磁路に設けられた空隙を適宜の間隔を介在させて前記ノズルへの水通路中に設けたコイル・リンクと、前記洗濯槽を収容して洗濯液を貯留する外槽とを備えたことを特徴とするパーティクル・クラスター洗濯機。」

・「【0008】本発明は前述の実情に鑑み、衣類の洗い・濯ぎに使用する水のクラスターを磁界と機械的な粉砕との組み合わせで細分化し、濯ぎに主点を置いて細分化された水を衣類の織り・編み組織の微細な部分をも通過させることで、一般的な汚れは勿論、油じみや黄ばみなどを洗剤の使用量を減じて取り除くことが可能なパーティクル・クラスター洗濯機を提供することを目的とする。」

・「【0011】
【発明の実施の形態】本発明は洗濯に対してアクティブに働く水を供給しようとするもので、そのためのコイル・リンクは図5?図8のように構成される。即ち、環状の一側に空隙を形成した強磁性材11の前記空隙形成側とは反対側の中央に磁化用コイル12を嵌装したリンクを2個、前記の空隙が一定の間隔を介在して合成樹脂管13で形成された水通路中に突出するように設置する。」

(2-3)同じく、当審における拒絶の理由に引用した特開平10-295987号公報(平成10年11月10日公開、以下「引用例3」という。)には、「洗濯機」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【特許請求の範囲】
【請求項1】 洗濯槽の洗濯水及び/若しくはすすぎ水を循環させる循環経路を洗濯槽の外側に設け、循環ポンプを作動させて、洗濯水及び/若しくはすすぎ水を循環させる洗濯機において、前記循環経路を2つの磁石で異極が対向するように挟み、洗濯水及び/若しくはすすぎ水を磁気処理することを特徴とする洗濯機。」

・「【0002】
【従来の技術】従来のこの種の洗濯機において、洗濯機の洗濯性能の向上のため水質を改善する方法が、特開平7-24176号公報に開示されている。この特開平7-24176号公報に開示されている洗濯機は、洗濯水及びすすぎ水を連続的に磁気処理することにより、洗濯時間の短縮、洗剤使用量の削減、及び細菌の繁殖抑制が図れるようになっている。すなわち、水の磁気処理の原理は磁石の異極間に生じる磁界を水が直角に横切ることによるものである。従って、異なる磁極を対向させ、その間を一定流速以上の水流を通過させることにより、前記の各種効果が得られることが分かる。」

・「【0015】循環ポンプ12によって洗濯水及び/若しくはすすぎ水19は水槽2の下方から吸い込まれ矢印20の如く移動し、給水口15から再び洗濯槽兼脱水槽3に吐出されるようになっている(糸くずフィルターは図示せず)。循環水路13の直線部に磁気処理用の磁石17,18が設けられている。磁石17、及び18は異極を対向させ、例えば、約3mmの隙間で固定してある。」

(2-4)同じく、当審における拒絶の理由に引用した特開平2-157087号公報(平成2年6月15日公開、以下「引用例4」という。)には、「水活性化装置」に関する発明が開示されており、そこには、図面とともに次の事項が記載されている。

・「【特許請求の範囲】
(1)送水管に接続可能で、あり且つ空気吸込手段を備えた第一水管部分、及び該第一水管部分に接続され且つ磁界を形成する磁石を配設した放水口を有する第二水管部分から成ることを特徴とする水活性化装置。」

3.対比
本願発明と引用例1記載の発明を対比すると、後者における「洗浄槽までの経路途中にイオン除去手段が設けられている給水手段Aと、該給水手段Aと並列な回路を構成し、これを作動させた場合は直接洗浄槽に洗濯水が供給される給水手段B」は、前者における「洗浄機に並列状に接続された洗浄用給水管路と濯ぎ洗い用給水管路」に相当する。
また、後者においては、「洗濯工程に先立つ給水時において、給水手段Aを作動させ、洗剤成分の働きを低下させるようなイオンを除去し、洗濯工程を行」うことは、カルシウムイオンやマグネシウムイオンのような2価の陽イオンを多く含んだ硬水からカルシウムイオンやマグネシウムイオンを除去することは軟水化していることにほかならないから、前者における「給水管から分岐させた洗浄用給水管路を通じて供給される浄水を軟水装置に通過させて軟水化した後に、」「洗浄機に適時、供給し、」「洗浄対象物を所定時間に渡って洗浄」することに相当するといえる。
また、後者において「その後のすすぎ工程では給水手段Bを作動させて給水を行な」うことは、前者における「その後、洗浄用給水管路用に分岐させた給水管と同一の給水管から分岐させた濯ぎ洗い用給水管路を通じて供給される新たな浄水を、」「洗浄機に適時、供給して夫々が所定時間に渡り、濯ぎ洗いを行」うことに相当する。
また、後者において、「続いて脱水工程を実施する」ことは、前者において、「引き続き脱水を適時に実施する」ことに相当する。
また、洗濯において、洗濯工程、濯ぎ工程のあとに排水を行うことや、脱水のあとに乾燥させることは普通に行われることである。
また、後者における「洗濯方法」は、前者における「クリーニング方法」に相当する。

したがって、両者は、
「 洗浄機に並列状に接続された洗浄用給水管路と濯ぎ洗い用給水管路との中、給水管から分岐させた洗浄用給水管路を通じて供給される浄水を軟水装置に通過させて軟水化した後に、洗浄機に適時、供給し、洗浄対象物を所定時間に渡って洗浄した後に排水してしまい、その後、洗浄用給水管路用に分岐させた給水管と同一の給水管から分岐させた濯ぎ洗い用給水管路を通じて供給される新たな浄水を、洗浄機に適時、供給して所定時間に渡り、濯ぎ洗いを行ってから排水した上、引き続き脱水・乾燥工程を適時に実施するクリーニング方法。」である点で一致し、次の各点において相違する。

[相違点1]
本願発明においては、浄水を軟水装置に通過させて軟水化した後に、「該軟水装置よりも川下側となる洗浄用給水管路中途に介在されていて、管路本体中の水流空間を挟む周壁内の一方側に、その管路本体水流方向の500mm前後に渡って水流空間にN極面を露出するよう規制してN極用永久磁石を配すると共に、当該水流空間を挟んで略対称配置となる周壁内の他方側に、前記N極用永久磁石の露出N極面に対し、同水流空間を挟んでS極面が25ないし35mm前後の距離を隔てて対面、露出するよう規制してS極用永久磁石を配してなる構成とした磁石内蔵管における水流空間を通過させ、その過程で磁化活性水とし」て、洗浄機に供給し、「洗剤不使用か、洗剤使用量を50%以上削減するかした条件下で」洗浄を行っているのに対し、引用例1記載の発明においては、単に、浄水を軟水化した後に、洗浄槽に給水し、洗濯工程を行っている点。

[相違点2]
「濯ぎ洗い」について、本願発明においては、「浄水を、同様の磁石内蔵管を通過させてなる磁化活性水を、洗浄機に適時、供給」して行っているのに対し、引用例1記載の発明においては、そのようにされていない点。

[相違点3]
本願発明においては、洗浄機が複数台であり、業務用であるのに対し、引用例1記載の発明においては、洗浄槽は一台である点。

4.判断
上記相違点1、2について検討すると、引用例2には、「衣類の洗い・濯ぎに使用する水のクラスターを磁界と機械的な粉砕との組み合わせで細分化し、濯ぎに主点を置いて細分化された水を衣類の織り・編み組織の微細な部分をも通過させることで、一般的な汚れは勿論、油じみや黄ばみなどを洗剤の使用量を減じて取り除くことが可能」となることが、引用例3には、「洗濯水及びすすぎ水を連続的に磁気処理することにより、洗濯時間の短縮、洗剤使用量の削減」などを図れることが記載されており、引用例1記載の発明においても、洗濯水及びすすぎ水を磁気処理することにより、洗剤使用量の削減を図ろうとすることは、該引用例2、3の記載より、当業者が容易に想到し得ることである。磁気処理のための構成として、「管路本体中の水流空間を挟む周壁内の一方側に、その管路本体水流方向の500mm前後に渡って水流空間にN極面を露出するよう規制してN極用永久磁石を配すると共に、当該水流空間を挟んで略対称配置となる周壁内の他方側に、前記N極用永久磁石の露出N極面に対し、同水流空間を挟んでS極面が25ないし35mm前後の距離を隔てて対面、露出するよう規制してS極用永久磁石を配してなる構成とした磁石内蔵管」を用いた点については、引用例3に、「異なる磁極を対向させ、その間を一定流速以上の水流を通過させること」が、引用例4に、水管内に磁界を形成する磁石を配設することが、それぞれ記載されていることを考慮すると、異なる磁極を対向させた磁石を水管内に配設したものを用いることが、当業者にとって格別想到困難なことであるとは認められず、また寸法についても、必要な水量、磁石の磁力、などに応じて適宜設定し得るものと認められ、当業者にとって格別なものであるとは認めることができない。さらに、「洗剤不使用か、洗剤使用量を50%以上削減するかした条件下で」洗浄を行った点については、引用例1記載の発明が、「洗剤成分の働きを低下させるようなイオンを除去する」ものであることや、引用例2、3に、洗濯水及びすすぎ水を磁気処理することにより、洗剤使用量の削減が図れることが記載されていることを考慮すれば、洗剤使用量を削減することが、当業者にとって想到困難なことであるとは認められず、また、どの程度削減するかは、当業者にとって、適宜設定し得る事項にすぎない。

相違点3について検討すると、洗浄機を複数台とすることや、業務用と限定することに格別な意味が認められない上、業務用クリーニングにおいて洗濯機を複数台用意することは周知であるので(一例として、特開平4-353000号公報参照)、該相違点が、当業者にとって格別なものであるとは認めることができない。

そして、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明、引用例2?4の記載、及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用例1記載の発明、引用例2?4の記載、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-08 
結審通知日 2010-09-14 
審決日 2010-09-27 
出願番号 特願2004-278550(P2004-278550)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (D06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五十嵐 康弘中川 隆司  
特許庁審判長 丸山 英行
特許庁審判官 金丸 治之
小関 峰夫
発明の名称 業務用クリーニング方法、およびそれに使用可能な磁石内蔵管  
代理人 佐々木 實  

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