• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F25B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F25B
管理番号 1227481
審判番号 不服2008-22057  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-08-28 
確定日 2010-11-25 
事件の表示 特願2005- 88817号「冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年10月 5日出願公開,特開2006-266636号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件に係る出願(以下,「本願」という。)は,平成17年3月25日の特許出願であって,平成20年7月22日付けで拒絶査定がなされ(発送日:平成20年7月29日),これに対し,平成20年8月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,平成20年9月29日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年9月29日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の結論]

平成20年9月29日付け手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

(1)補正後の本願発明

本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は,次のように補正された。
「容積型膨張機(60)が配管接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えた冷凍装置であって,
上記冷媒回路(20)は,容積型膨張機(60)の出口側配管の途中に,該出口側配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成され,容積型膨張機(60)より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させる流路拡大部(71)を備え,
上記流路拡大部(71)の内部には,容積型膨張機(60)より流出した冷媒のうち液冷媒を微細化して該液冷媒の配管内壁に対する衝突衝撃を緩和させる整流手段(75,76)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。」

(2)補正の目的

本件補正は,液冷媒の整流手段について,「液冷媒を微細化して該液冷媒の配管内壁に対する衝突衝撃を緩和させる」との限定を付加するものである。 そして,補正前の請求項1に記載された発明と,補正後の請求項1に記載される発明の,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下,「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について,検討する。

(3)引用文献

(3-1)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願日前に頒布された刊行物である,特開2004-190938号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。

1a.「【請求項1】
容積型膨張機(10)を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(5)を有する冷凍装置であって,
上記冷媒回路(5)には,容積型膨張機(10)の入口側にアキュムレータ(50)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
容積型膨張機(10)を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(5)を有する冷凍装置であって,上記冷媒回路(5)には,容積型膨張機(10)の出口側にアキュムレータ(50)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
請求項1において,
上記冷媒回路(5)には,容積型膨張機(10)の出口側にアキュムレータ(50)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項4】
請求項1?3の何れか1項において,
上記冷媒回路(5)を循環する冷媒は,二酸化炭素であることを特徴とする冷凍装置。」(【特許請求の範囲】:下線は当審にて付与,以下同様。)

1b.「【発明が解決しようとする課題】
上述した冷凍装置において,膨張機に容積型のものを用いると,膨張機の入口側及び出口側で圧力脈動が生ずるという問題があった。つまり,容積型の膨張機の場合,吸入過程の吸入流量及び吐出過程の吐出流量が一定でないため,圧力脈動が発生するという問題があった。この圧力脈動によって圧力損失が生じると共に,この圧力脈動が振動源となる。この結果,振動によって機器類が破損するという問題があった。本発明は,斯かる点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,膨張機の入口側及び出口側の少なくとも何れかの圧力脈動を低減し,圧力損失の低減及び振動の低減を図ることである。」(段落【0005】-【0007】)

1c.「また,請求項2に係る発明は,容積型膨張機(10)を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(5)を有する冷凍装置(1)を前提としている。そして,該冷媒回路(5)には,容積型膨張機(10)の出口側にアキュムレータ(50)が設けられている。
上記の発明では,容積型膨張機(10)の出口側にアキュムレータ(50)が設けられているので,容積型膨張機(10)の吐出部において,冷媒の吐出流量の断続性により発生する圧力脈動は,上記アキュムレータ(50)の圧力供給又は圧力吸収により緩和される。したがって,圧力脈動により発生する機器全体の振動が抑制される。」(段落【0012】-【0013】)

1d.「図1に示すように,本実施形態の冷凍装置(1)は,圧縮機(2)と冷却器(3)と容積型膨張機(10)と蒸発器(4)とが,各々冷媒配管で接続されて,蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(5)を備えている。そして,上記冷媒回路(5)では,冷媒が図1において反時計回りに循環する。上記冷却器(3)は,上記圧縮機(2)で圧縮された高圧冷媒と空気とを熱交換させて該冷媒を冷却するように構成され,上記蒸発器(4)は,上記容積型膨張機(10)で膨張した低圧冷媒と空気とを熱交換させて該冷媒を蒸発させるように構成されている。
上記容積型膨張機(10)は,ロータリー型膨張機であり,膨張機構部(13)を備えている。」(段落【0019】-【0021】)

1e.「上述したように、容積型膨張機(10)における冷媒の吸入及び吐出は、シャフト(33)の回転角度によって定まる。そのため、容積型膨張機(10)における冷媒の吸入流量及び吐出流量は、周期を通して断続的となる。したがって、容積型膨張機(10)の吸入部及び吐出部において、圧力脈動(圧力変動)が発生してしまう。」(段落【0052】)

1f.「例えば,上記実施形態では,容積型膨張機(10)の入口側にアキュムレータ(50)が設けられている例について説明したが,入口側に代えて,容積型膨張機(10)の出口側にアキュムレータ(50)が設けられていてもよい。その場合,容積型膨張機(10)の吐出部で発生する圧力脈動を抑制することができる。その結果,圧力脈動により生じる機器全体の振動を低減することができる。」(段落【0070】)

そこで,これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されている。

「容積型膨脹機を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を有する冷凍装置であって,
上記冷媒回路は,容積型膨脹機の出口側に,容積型膨脹機の吐出部において,冷媒の吐出流量の断続性により発生する圧力脈動を緩和させるアキュムレータを備えた冷凍装置。」

(3-2)本願の出願前に頒布された刊行物である,特開平10-185363号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の事項が記載されている。

2a.「【従来の技術】図3は一般的な冷凍サイクルの系統図である。図において,1は圧縮機,2は室外熱交換器(凝縮器),3は減圧用キャピラリチューブ,4は室内熱交換器(蒸発器),5はアキュムレータであり,これらは順次冷媒配管6で連結されており,冷凍サイクルを構成している。7は室内熱交換器(蒸発器)4の複数の冷媒流路へ冷媒を分配する分配器,8は分配管である。
上記系統において,圧縮機1により圧縮され吐出された高温高圧のガス冷媒は室外熱交換器2に通る間に室外空気と熱交換することによって凝縮され,高圧の液冷媒となる。次いで減圧用キャピラリチューブ3を通る過程で急激に減圧され膨張し低圧の気液二相冷媒となり,分配器7及び分配管8によって分配されて室内熱交換器4のそれぞれの冷媒流路に送られ,室内空気と熱交換することによって蒸発し,低圧のガス冷媒となる。この低圧のガス冷媒はアキュムレータ5を経て圧縮機1に吸入され,再び圧縮され吐出され,前記と同様の動作をくり返し行うことによって冷凍サイクルを構成する。この冷凍サイクルにおいて,分配器7は低圧の気液二相冷媒を,液部が偏流しないようにして均等に分配するために設置されているものである。」(段落【0002】-【0003】)

2b.「図4は従来の分配器の第1の例の縦断面図である。これは特開平5-322379号に開示されているものである。図において6は冷媒配管,8は分配管,12は分配器ケース,17は複数または単数の貫通孔を有する仕切板,14は第1の分配室,14’は前記仕切板によって仕切られた第2の分配室,18は第2の分配室内に設けられたストレーナーである。
この例は,気液二相冷媒より発生する高周波数の流動音の周波数に合わせた消音特性を持つ仕切板17を消音器として組み込んだ形としたものである。」(段落【0004】-【0005】)

2c.「図5は従来の分配器の第2の例の縦断面図である。これは特開平2-17368号に開示されているものである。図において,6は冷媒配管,8は分配管,12は分配器ケース,16は円錐形オリフィス,19は平板オリフィス,18Aは金網,14は金網18Aで仕切られた第1の分配室,14’は同第2の分配室,15は前記分配管8に連る分配通路である。
この例は分配器内に円錐形オリフィスと平板オリフィスとを設置して,気液二相の冷媒流の急激な圧力降下を防止し,さらに金網18Aを冷媒が通過させることによって液滴を細粒化させている。これによって圧力降下と液滴の衝撃により発生する冷媒流動音の低減を図っている。」(段落【0006】-【0007】)

2d.「図6は従来の分配器の第3の例の縦断面図である。これは実開昭58-158276号に開示されているものである。20は連続気泡の円板であり,分配通路15の入口部に上記連続気泡の円板20によって仕切られた分配室14を設けたものである。これによって冷媒流の液滴を粗粒化させている。」(段落【0008】)

2e.「上記いずれの従来技術も気液二相の冷媒流の液滴細粒化を図り,分配管8への適正配分と液滴の衝突による冷媒流動音の低減を狙った構成となっている。」(段落【0009】)

そこで,これらの記載事項及び図面の図示内容を総合すると,引用文献2には,次の事項(以下,「引用発明2」という。)が記載されている。

「減圧用キャピラリチューブの出口側の配管途中において,気液二相の冷媒流の液滴を細粒化させ,液滴の衝撃により発生する冷媒流動音の低減を図るための金網や連続気泡の円板が設けられている冷凍サイクル。」

(4)対比

本件補正発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「容積型膨脹機を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を有する冷凍装置」は,本件補正発明の「容積型膨張機が配管接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置」に相当し,同様に,「容積型膨脹機の出口側」は「容積型膨脹機の出口側配管の途中」に相当する。

また,本件補正発明の「流路拡大部」と,引用発明1の「アキュムレータ」は,ともに,容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための「振動緩和手段」である点で共通している。

そうしてみると,両者は,

「容積型膨脹機が配管接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を有する冷凍装置であって,
上記冷媒回路は,容積型膨脹機の出口配管の途中に,容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための振動緩和手段を備えた冷凍装置。」

である点で一致し,以下の点で相違している。

<相違点>

容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための「振動緩和手段」が,本件補正発明は,出口側配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成され,内部には,容積型膨張機より流出した冷媒のうち液冷媒を微細化して液冷媒の配管内壁に対する衝突衝撃を緩和させる整流手段が設けられている流路拡大部であるのに対して,引用発明1は,「アキュムレータ」である点。

(5)判断

上記相違点について検討する。

圧力変動(圧力脈動)を緩和する手段として,「冷媒配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成された流路拡大部と当該流路拡大部の内部に液冷媒の整流手段を設けること」は,本願出願前周知の技術である(例えば,特開平6-101794号公報,特開平11-325655号公報参照。)。

そして,本件補正発明と引用発明2とを対比すると,引用発明2の「気液二相の冷媒流の液滴」は,本件補正発明の「冷媒のうち液冷媒」に相当し,以下同様に,「冷凍サイクル」は「冷媒回路」に,「液滴を細粒化」は「液冷媒を微細化」に,「液滴の衝撃により発生する冷媒流動音の低減を図る」は「液冷媒の配管内壁に対する衝突衝撃を緩和させる」に,「金網や連続気泡の円板」は「整流手段」に,それぞれ相当する。
また,本件補正発明の「容積型膨脹機の出口側配管の途中」と引用発明2の「減圧用キャピラリチューブの出口側の配管途中」は,ともに「膨脹手段の出口側配管の途中」である点で共通する。

そうしてみると,引用発明2は,次のように言い換えることができる。

「膨脹手段の出口側配管の途中において,気液二相の冷媒流の液滴となった液冷媒を微細化し,液冷媒の配管内壁に対する衝突衝撃を緩和させるための整流手段が設けられている冷媒回路。」

また,液冷媒の装置に対する衝突衝撃を緩和させることは,本願出願前周知の課題である(例えば,引用文献2,特開2003-202167号公報の段落【0091】参照。)。

そして,引用発明1と引用発明2は,ともに,冷凍サイクルにおける振動緩和に関する同一の技術分野に属するものである。

してみると,容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための「振動緩和手段」として,引用発明1の「アキュムレータ」に代えて,上記周知の技術及び引用発明2を適用して,「出口側配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成され,内部には,容積型膨張機より流出した冷媒のうち液冷媒を微細化して液冷媒の配管内壁に対する衝突衝撃を緩和させる整流手段が設けられている流路拡大部」とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本件補正発明の奏する効果も,引用発明1,引用発明2及び上記周知の技術から当業者が予測し得た程度のものであって,格別なものとはいえない。

よって,本件補正発明は,引用発明1,引用発明2及び上記周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

したがって,本件補正発明は,引用発明1,引用発明2及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(6)むすび

以上のとおり,本件補正は,改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明

平成20年9月29日付け手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成20年6月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,次のとおりのものである。

「容積型膨張機(60)が配管接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備えた冷凍装置であって,
上記冷媒回路(20)は,容積型膨張機(60)の出口側配管の途中に,該出口側配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成され,容積型膨張機(60)より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させる流路拡大部(71)を備え,
上記流路拡大部(71)の内部には,容積型膨張機(60)より流出した冷媒のうち液冷媒の整流手段(75,76)が設けられていることを特徴とする冷凍装置。」

(2)引用文献

原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である,引用文献1,引用文献1の記載事項及び引用発明1は,前記「2.[理由](3)引用文献」に記載したとおりである。

(3)対比

本願発明と引用発明1とを対比すると,引用発明1の「容積型膨脹機を備えて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を有する冷凍装置」は,本願発明の「容積型膨張機が配管接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置」に相当し,同様に,「容積型膨脹機の出口側」は「容積型膨脹機の出口側配管の途中」に相当する。

また,本願発明の「流路拡大部」と,引用発明1の「アキュムレータ」は,ともに,容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための「振動緩和手段」である点で共通している。

そうしてみると,両者は,

「容積型膨脹機が配管接続されて蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う冷媒回路を有する冷凍装置であって,
上記冷媒回路は,容積型膨脹機の出口配管の途中に,容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための振動緩和手段を備えた冷凍装置。」

である点で一致し,以下の点で相違している。

<相違点>

容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための「振動緩和手段」が,本願発明は,出口側配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成され,内部には,容積型膨張機より流出した冷媒のうち液冷媒の整流手段が設けられている流路拡大部であるのに対して,引用発明1は,「アキュムレータ」である点。

(4)判断

上記相違点について検討する。

圧力変動(圧力脈動)を緩和する手段として,「冷媒配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成された流路拡大部と当該流路拡大部の内部に液冷媒の整流手段を設けること」は,本願出願前周知の技術である(例えば,特開平6-101794号公報,特開平11-325655号公報参照。)。

してみると,容積型膨脹機より流出する冷媒の断続流れによる圧力変動を緩和させるための「振動緩和手段」として,引用発明1の「アキュムレータ」に代えて,「出口側配管より冷媒の流路横断面積が大きく形成され且つ冷媒の流れ方向に沿って延びる筒状に形成され,内部には,容積型膨張機より流出した冷媒のうち液冷媒の整流手段が設けられている流路拡大部」とすることは,上記周知の技術に倣って,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願発明の奏する効果も,引用発明1及び上記周知の技術から当業者が予測し得た程度のものであって,格別なものとはいえない。

したがって,本願発明は,引用発明1及び上記周知の技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび

以上のとおりであるから,本願発明は,引用発明1及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

したがって,本願のその他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-16 
結審通知日 2010-09-21 
審決日 2010-10-14 
出願番号 特願2005-88817(P2005-88817)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F25B)
P 1 8・ 575- Z (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山村 秀政  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 冨岡 和人
豊島 唯
発明の名称 冷凍装置  
代理人 竹内 祐二  
代理人 嶋田 高久  
代理人 藤田 篤史  
代理人 原田 智雄  
代理人 杉浦 靖也  
代理人 前田 弘  
代理人 今江 克実  
代理人 井関 勝守  
代理人 竹内 宏  
代理人 二宮 克也  
代理人 関 啓  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ