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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1227507
審判番号 不服2009-19101  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-07 
確定日 2010-11-25 
事件の表示 特願2007- 92656「内燃機関の排気浄化装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月20日出願公開、特開2007-239752〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成14年7月26日に出願した特願2002-217931号(以下、「原出願」という。)の一部を平成19年3月30日に新たな特許出願としたものであって、平成21年1月23日付けで拒絶理由が通知され、同年3月17日付けで意見書が提出されたが、同年6月30日付けで拒絶査定がなされ、同年10月7日付けで同拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

第2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられ、排気中の粒子状物質を一時捕集可能で且つ尿素加水分解触媒、アンモニア選択還元型触媒、およびアンモニア酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタと、
前記パティキュレートフィルタの上流から尿素を供給する尿素供給手段と、
を備え、
前記アンモニア選択還元触媒は、前記パティキュレートフィルタの中央部に多く担持されており、
前記アンモニア酸化触媒は、前記パティキュレートフィルタの上流側よりも下流側に多く担持されていることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。」

第3 引用文献
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開2002-200413号公報(公開日:平成14年7月16日、以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、尿素の加水分解のため及び選択接触還元のための開始温度未満の排気ガス温度を有している運転条件下でさえ、希薄運転内燃機関からの窒素酸化物の排出を減少させることができる排気ガス処理装置を提供することである。本発明の別の課題は、アンモニアを用いる選択接触還元により、内燃機関からの希薄排気ガスから窒素酸化物を除去する方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この課題は、選択接触還元のための接触活性な成分(SCR成分)を有している少なくとも1つの触媒を含有する希薄排気ガス条件下で、窒素酸化物を選択接触還元するための排気ガス処理装置により達成される。排気ガス処理装置は、触媒が、SCR成分に加えて、窒素酸化物のための少なくとも1つの貯蔵成分(NOx貯蔵成分)を含有することにより特徴付けられる。
【0007】以下において、触媒の開始温度(light-off temperature)は、目的とする接触反応が、触媒上で50%の転換率で進行する温度であると理解される。従って、加水分解触媒は、尿素の加水分解のための開始温度を有し、かつSCR触媒は、窒素酸化物の転換のための開始温度を有する。
【0008】本発明によれば、低い排気ガス温度で排気ガス中に存在する窒素酸化物は、NOx貯蔵成分を用いてSCR触媒上に一時的に貯蔵され、ついで、より高い温度で再び遊離されることになる。窒素酸化物の遊離は、排気ガス中の局所的過剰量のアンモニアにより促進され、その際、貯蔵された窒素酸化物は、SCR反応におけるアンモニアと直接に反応される。このことはまた、アンモニア又は尿素溶液の少しの過量供給がある場合には、これはアンモニアの漏れとしてSCR系ひいては排気ガス装置を去らないが、しかし吸収された窒素酸化物と反応し、かつ窒素に酸化されることを意味する。従って、SCR触媒中のNOx貯蔵成分の機能が、三元コンバータ触媒中の酸素貯蔵材料のそれと比較されることができる。」(【0005】ないし【0008】)

(2)「【0013】完全触媒は一般に、低い強度を有するに過ぎないので、触媒、即ちSCR成分及びNOx貯蔵成分は、有利に、コーティングの形で、ハニカムの形の接触不活性な担体構造体の流路の壁に塗布される。不活性な担体構造体は、有利にコーディエライトからなる。触媒の別の実施態様において、SCR成分及び窒素酸化物のためのNOx貯蔵成分は、2つの別個の層中で不活性な担体構造体に塗布され、その際、NOx貯蔵成分は有利に、不活性な担体構造体上に直接置かれている下部層に配置され、かつSCR成分は、排気ガスと直接接触する上部層に配置される。
【0014】・・・(中略)・・・
【0015】選択接触還元に必要とされるアンモニアを、尿素の加水分解により得ようとする場合には、加水分解触媒は、排気ガス処理装置中で、酸化触媒と選択接触還元のための触媒との間に配置される。加水分解すべき尿素溶液は、適している調量系を用いて、酸化触媒の下流及び加水分解触媒の上流で、排気ガス流に供給される。アンモニアが多く過量供給される場合には、アンモニアの望まれない排出が環境に達しうる。これらの排出を防止するために、アンモニアを窒素及び水に酸化する、いわゆるアンモニアバリヤー触媒(ammonia barrier catalyst)が、SCR触媒の下流で排気ガス処理装置中に導入されてもよい。
【0016】記載された排気ガス処理装置を用いて、アンモニアを用いる選択接触還元により、内燃機関からの希薄排気ガスから窒素酸化物を除去する方法は、次のように実施される。排気ガスは、アンモニアを少なくとも随時供給しながら、選択接触還元のための接触活性な成分(SCR成分)及び窒素酸化物のための貯蔵成分(NOx貯蔵成分)を含有している触媒を通過する。選択接触還元のための成分の開始温度を下回る排気ガス温度を有している機関の運転段階の間に、排気ガス中に存在する窒素酸化物は、NOx貯蔵成分により吸収される。環境へのアンモニア排出を防止するために、アンモニアの導入(直接にか又は前駆物質化合物の形での)は、これらの運転段階の間に停止される。他方では、選択接触還元のための開始温度を上回る排気ガス温度の場合には、アンモニアの供給は再開される。高められた排気ガス温度及び排気ガス中に存在するアンモニアのために、NOx貯蔵成分により貯蔵された窒素酸化物は脱着され、かつ排気ガス中に存在する窒素酸化物と一緒になって、触媒中のSCR成分上でアンモニアと反応されて窒素及び水が得られる。」(【0013】ないし【0016】)

(3)「【0021】図1?3は、本発明の排気ガス処理装置の最も好ましい実施態様を示している。参照数字(1)は、排気管(2)及びコンバータハウジング(3)を含む排気ガス処理装置を示している。コンバータハウジングに組み込まれるのは、SCR成分及び窒素酸化物のための少なくとも1つの貯蔵成分を含有している触媒(4)である。処理装置に入りかつ処理装置から去る排気ガスは、2個の黒矢印により視覚化されている。尿素は、コンバータハウジング(3)の前方で、触媒(4)での加水分解による尿素から発生するアンモニアの前駆物質化合物として噴射される。
【0022】図2は、本発明のより好ましい実施態様を示している。排気ガス処理装置には、第一のコンバータハウジング(3)の上流及び排気ガス流中への尿素の噴射展の上流に配置された第二のコンバータハウジング(5)が追加されている。この実施態様は、活性アルミナ上の白金を含む高度に活性な酸化触媒を用いることにより、二酸化窒素への一酸化窒素の酸化を改善することが可能である。そのような高度に活性な酸化触媒は、触媒(4)中に配合できなかった、それというのも、アンモニアをも酸化するからである。この酸化触媒は、機関の出口近くに配置されていてよい一方で、本発明による触媒を有しているコンバータハウジング(3)は、床下の位置に配置されていてもよい。
【0023】図3の実施態様において、コンバータハウジング(3)は更に、加水分解触媒(7)を触媒(4)の前方に、かつアンモニアバリヤー触媒(8)を触媒(4)の下流に含む。専用の加水分解触媒(7)は、アンモニアへの尿素の加水分解を改善し、ひいては排気ガス処理装置の全排気ガスの清浄効率を改善する。そのような加水分解触媒は十分公知である。該触媒は、二酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム又はそれからの混合酸化物を含有していてよい。この組成物は、SO_(3)、WO_(3)、Nb_(2)O_(5)及びMoO_(3)の混合物により、安定化されることができかつ活性を高められることができる。適している組成物は、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開第4203807号明細書に記載されている。アンモニアバリヤー触媒(8)は、窒素及び水に酸化することにより、雰囲気中へのアンモニアの随時の漏れを防止する。そのためには、活性アルミナ上に白金を有している酸化触媒が使用されてもよい。」( 【0021】ないし【0023】)

また、以下の事項を認定することができる。

(4)上記(1)ないし(3)及び図面から、「コンバータハウジング(3)は、内燃機関の排気管(2)に設けられるものであること。」を認定することができる。

(5)上記(2)及び(3)から、「加水分解触媒(7)は、尿素を加水分解する触媒であること。」を認定することができる。

(6)上記(1)ないし(3)から、「触媒(4)は、アンモニアを選択接触還元する触媒であること。」を認定することができる。

(7)上記(2)及び(3)から、「アンモニアバリアー触媒(8)は、アンモニアを酸化する触媒であること。」を認定することができる。

(8)上記(2)ないし(7)及び図面から、「コンバータハウジング(3)は、尿素を加水分解する加水分解触媒(7)、アンモニアを選択接触還元する触媒(4)、およびアンモニアを酸化するアンモニアバリヤー触媒(8)を担持したものであること。」を認定することができる。

(9)上記(2)、(3)、及び図面から、「排気ガス処理装置(1)は、コンバータハウジング(3)の上流から尿素を供給する尿素供給手段を有するものであること。」を認定することができる。

(10)上記(2)、(3)、(6)、(8)、及び図面から、「アンモニアを選択接触還元する触媒(4)は、コンバータハウジング(3)の中央部に多く担持されていること。」を認定することができる。

(11)上記(2)、(3)、(7)、(8)、及び図面から、「アンモニアを酸化するアンモニアバリヤー触媒(8)は、コンバータハウジング(3)の上流側よりも下流側に多く担持されていること。」を認定することができる。

上記(1)ないし(3)の記載事項、(4)ないし(11)の認定事項、及び図面の記載からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用文献1記載の発明」という。)が記載されていると認める。

「内燃機関の排気管(2)に設けられ、尿素を加水分解する加水分解触媒(7)、アンモニアを選択接触還元する触媒(4)、およびアンモニアを酸化するアンモニアバリヤー触媒(8)を担持したコンバータハウジング(3)と、
前記コンバータハウジング(3)の上流から尿素を供給する尿素供給手段と、
を備え、
前記アンモニアを選択接触還元する触媒(4)は、前記コンバータハウジング(3)の中央部に多く担持されており、
前記アンモニアを酸化するアンモニアバリヤー触媒(8)は、前記コンバータハウジング(3)の上流側よりも下流側に多く担持されている内燃機関の排気ガス処理装置(1)。」

2 引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開昭60-56115号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「2.特許請求の範囲
1.互に異なる二種以上の触媒をセラミック担体にそれぞれ排ガス流入側から流出側にかけて順次担持させて、ディーゼル排ガスが順次互に異なる二種以上の触媒と接触するようにしたことを特徴とするディーゼル排ガス微粒子浄化体。」(特許請求の範囲)

(2)「本発明はディーゼル排ガス微粒子浄化体に関し、更に詳述すると排ガスが相異なる複数の浄化触媒と順次接触するように構成されたセラミック担体よりなるディーゼル排ガス微粒子浄化体に関するものである。
ディーゼルエンジンは・・・(中略)・・・である。
従来、このディーゼルエンジンの微粒子排出物浄化対策として、その浄化を図るため、各種のセラミック体からなる捕捉体がディーゼルエンジンに使用されており、またこの捕捉した微粒子を燃焼させるための各種触媒が開発されつつある現状にある。」(第1ページ左下欄第11行ないし右下欄第11行)

(3)「本発明の浄化体は、第1図に示すようにセラミック担体1の一種を単独で使用し、これにその排ガス流入側2から排ガス流出側3にかけて互に異なる複数種(第1図では二種)の触媒4,4’を担持させるようにしてもよく、・・・(中略)・・・それ故排ガスの流入側には目の粗いセラミックフォーム、セラミックペレット、セラミックハニカム等の微粒子の捕集に必ずしも好適ではないが排ガス中の炭化水素、一酸化炭素の燃焼に好適な担体を使用し、これに前記(2)、(3)の貴金属あるいは貴金属を主成分とした触媒系を担持させたものを配することが好適であり、排ガス流出側には前記(1)、(4)の微粒子燃焼に有効な触媒系を担持せしめた比較的目の細かい(微粒子の捕集効率に優れた)セラミック担体を配することが好適である。」(第3ページ右下欄第10行ないし第4ページ右上欄第11行)

(4)「なお、本発明に使用されるセラミック担体としては、内部連通空間を有する三次元網状骨格構造をなしたセラミックフォームが好適である」(第4ページ右上欄第16ないし18行)

(5)「なお勿論、単一の担体の排ガス流入側に例えば貴金属を主成分とする前記触媒系(2),(3)等を担持させ、排ガス流出側に例えば触媒系(1),(4)等を担持させ、これらを焼成して複数の触媒を担持させた単一担体からなる浄化体として構成することもできる。」(第4ページ左下欄第6ないし11行)

また、以下の事項を認定することができる。

(6)上記(2)から、「ディーゼル排ガス微粒子浄化体はディーゼルエンジンの微粒子排出物浄化対策に使用するものであること。」を認定することができる。

(7)上記(1)ないし(3)から、「ディーゼル排ガス微粒子浄化体は、互に異なる二種以上の触媒とセラミック担体1とから構成されていること。」を認定することができる。

(8)上記(3)ないし(5)から、「セラミック担体1は、排気中の微粒子を捕集可能なものであること。」を認定することができる。

(9)上記(2)及び(3)から、「捕集された微粒子は燃焼されること。」を認定することができる。

(10)上記(8)及び(9)から、「セラミック担体1は、排気中の微粒子を一時捕集可能なものであること。」を認定することができる。

上記(1)ないし(5)の記載事項、(6)ないし(10)の認定事項、及び図面の記載からみて、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2記載の技術的事項」という。)が記載されていると認める。

「ディーゼルエンジンの微粒子排出物浄化対策に使用するディーゼル排ガス微粒子浄化体を、互に異なる二種以上の触媒を、それぞれ排ガス流入側から流出側にかけて順次、排気中の微粒子を一時捕集可能なセラミック担体1に担持させることによって構成すること。」

第4 対比
本願発明と引用文献1記載の発明を対比する。

引用文献1記載の発明における「排気管(2)」は、その機能、構成、又は技術的意義からみて、本願発明における「排気通路」に相当し、以下、同様に、「尿素を加水分解する加水分解触媒(7)」は「尿素加水分解触媒」に、「アンモニアを選択接触還元する触媒(4)」は「アンモニア選択還元型触媒」に、「アンモニアを酸化するアンモニアバリヤー触媒(8)」は「アンモニア酸化触媒」に、「前記アンモニアを選択接触還元する触媒(4)」は「前記アンモニア選択還元触媒」に、「排気ガス処理装置(1)」は「排気浄化装置」に、それぞれ相当する。

また、引用文献1記載の発明における「コンバータハウジング(3)」は、「尿素を加水分解する加水分解触媒(7)、アンモニアを選択接触還元する触媒(4)、およびアンモニアを酸化するアンモニアバリヤー触媒(8)」を担持したものであり、本願発明における「パティキュレートフィルタ」は「尿素加水分解触媒、アンモニア選択還元型触媒、およびアンモニア酸化触媒」を担持したものであるから、引用文献1記載の発明における「コンバータハウジング(3)」と本願発明における「パティキュレートフィルタ」は、触媒を担持する構造体(以下、「触媒担持構造体」という。)である限りで、一致する。

したがって、本願発明と引用文献1記載の発明は、以下の点で一致する。

「内燃機関の排気通路に設けられ、尿素加水分解触媒、アンモニア選択還元型触媒、およびアンモニア酸化触媒を担持した触媒担持構造体と、
前記触媒担持構造体の上流から尿素を供給する尿素供給手段と、
を備え、
前記アンモニア選択還元触媒は、前記触媒担持構造体の中央部に多く担持されており、
前記アンモニア酸化触媒は、前記触媒担持構造体の上流側よりも下流側に多く担持されている内燃機関の排気浄化装置。」

そして、以下の点で相違する。

<相違点>
「触媒担持構造体」が、本願発明では、「排気中の粒子状物質を一時捕集可能」な「パティキュレートフィルタ」であるのに対し、引用文献1記載の発明では、「コンバータハウジング(3)」である点(以下、「相違点」という。)。

第5 当審の判断
そこで、上記相違点について、以下に検討する。

本願発明と引用文献2記載の技術的事項を対比する。

ディーゼルエンジンは内燃機関の一種であり、エンジンの微粒子排出物浄化対策に使用する装置は排気浄化装置であると言うことができるから、引用文献2記載の技術的事項における「ディーゼルエンジンの微粒子排出物浄化対策に使用するディーゼル排ガス微粒子浄化体」は、「内燃機関の排気浄化装置に使用する排ガス微粒子浄化体」であると言うことができる。
また、引用文献2記載の技術的事項における「微粒子」は、その機能、構成、又は技術的意義からみて、それぞれ本願発明における「粒子状物質」に相当する。
さらに、引用文献2記載の技術的事項における「セラミック担体1」は、排気中の微粒子を一時捕集可能なものであるから、本願発明における「パティキュレートフィルタ」に相当する。

したがって、引用文献2記載の技術的事項は、以下のとおり言い換えることができる。

「内燃機関の排気浄化装置に使用する排ガス微粒子浄化体を、互に異なる二種以上の触媒を、それぞれ排ガス流入側から流出側にかけて順次、排気中の粒子状物質を一時捕集可能なパティキュレートフィルタに担持させることによって構成すること。」

したがって、引用文献1記載の発明において、「触媒担持構造体」に相当する「コンバータハウジング(3)」に引用文献2記載の技術的事項を適用して、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到したことである。

そして、本願発明を全体としてみても、本願発明のようにしたことにより奏するとされる効果は、引用文献1記載の発明及び引用文献2記載の技術的事項からみて格別のものともいえない。

なお、内燃機関の排気浄化装置の技術分野において、触媒を担持する構造体である「触媒担持構造体」を「排気中の粒子状物質を一時捕集可能」な「パティキュレートフィルタ」とすることは、周知(たとえば、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特表2000-510215号公報(第7ページ第17ないし21行、第10ページ第11ないし13行、第17ページ第19ないし27行、及び図面等を参照。)、同じく特開2000-8833号公報(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項3】、【0012】、及び図面等を参照。)、同じく特開2002-4844号公報(平成14年1月9日公開、【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項2】及び図面等を参照。)、及び同じく特開2002-30924号公報(平成14年1月31日公開、【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項6】、【0022】、【0028】、及び図面等を参照。)を参照。)でもある。

第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1記載の発明及び引用文献2記載の技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-16 
結審通知日 2010-09-28 
審決日 2010-10-14 
出願番号 特願2007-92656(P2007-92656)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 大紀  
特許庁審判長 深澤 幹朗
特許庁審判官 八板 直人
加藤 友也
発明の名称 内燃機関の排気浄化装置  
代理人 宮下 文徳  
代理人 和久田 純一  
代理人 関根 武彦  
代理人 世良 和信  
代理人 坂井 浩一郎  
代理人 川口 嘉之  
代理人 遠山 勉  

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