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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1227595
審判番号 不服2008-273  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-04 
確定日 2010-11-22 
事件の表示 平成 9年特許願第115825号「ソフト・ハイパーリンクを解決することによる検索及びハイパーメディア・ナビゲーション方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月15日出願公開、特開平10-124531〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年5月6日の出願(パリ条約による優先権主張1996年5月6日、アメリカ合衆国)であって、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年2月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】 選択したハイパーリンクを解決することによって検索を行う方法であって、
遠隔サーバからクライアントがハイパーリンク・ドキュメントを受信し、ハイパーリンク・ドキュメントは一つまたは複数のハイパーリンクを有し、ハイパーリンクの少なくとも一つは質問公式を有する、受信ステップと、
ユーザが前記ハイパーリンクを少なくとも一つ選択するのに応答して、前記選択したハイパーリンクから前記クライアントが質問公式を識別するステップと、
一つまたは複数のデータベース・サーバに前記質問公式で前記クライアントが質問を行って、前記質問公式を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置を見つけるステップであって、ハイパーリンク・ターゲットのいくつかは前記一つまたは複数のデータベース・サーバ以外のサーバからのハイパーメディアを指定している、質問を行うステップと、
位置を見つけられたハイパーリンク・ターゲットの一つが指定するハイパーメディア・ドキュメントを、前記一つまたは複数のデータベース・サーバ以外のサーバから前記クライアントが取り出すステップと、
前記取り出したハイパーメディア・ドキュメントを前記クライアントが再現するステップと
から成る選択ハイパーリンク解決方法。」

なお、上記請求項1中の「質問公式」なる語は、一般的に使用されている技術用語ではないにもかかわらず発明の詳細な説明にもそれを定義したと解される記載が見当たらず、その意味するところが必ずしも明確ではないが、本審決では、上記請求項1の「ハイパーリンクの少なくとも一つは質問公式を有する」、「前記選択したハイパーリンクから前記クライアントが質問公式を識別する」、「一つまたは複数のデータベース・サーバに前記質問公式で前記クライアントが質問を行って、前記質問公式を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置を見つける」の記載や、「質問」の語と「公式」の語の一般的な語義等を総合的に勘案し、「検索式によって表される検索条件」といった程度の意味に解した。
また、上記請求項1中の「ハイパーリンクを解決する」なる表現も、一般的に使用されている表現とはいえず、その意味するところが必ずしも明確でないが、請求項1の記載内容全体と「解決する」の語の一般的な語義とを勘案し、「ハイパーリンクのリンク先(ハイパーリンク・ターゲット)を決定する」といった程度の意味に解した。
さらに、上記請求項1中の「一つまたは複数のデータベース・サーバに前記質問公式で前記クライアントが質問を行って、前記質問公式を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置を見つけるステップであって、ハイパーリンク・ターゲットのいくつかは前記一つまたは複数のデータベース・サーバ以外のサーバからのハイパーメディアを指定している、質問を行うステップ」における、「質問を行うステップ」は、当該段落の前半の記載を参酌し、「質問を行って、見つけるステップ」といった程度の意味に解した。


2.引用例記載の発明
原査定の拒絶の理由に引用された「上浦真樹、森下淳也、上島紳一、大月一弘、田中克己,ハイパーメディアデータベースの段階的構造化と多重ビュー,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会,1995年 7月20日,第95巻,第65号,pp.225?232」(以下、「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)
「2.3 システムの概要

本システムの利用者は元のHTML文書群とは別に質問対による仮想リンク情報ファイルを作成する。リンク情報ファイルはアンカーとなる単語を示す質問文とリンク先となるドキュメントを指定する質問文のペアの集合である。WWWサーバに対してあるクライアントからそのHTML文書を参照する要求が来た際、外部プログラムが作動しリンク情報ファイルより得られるアンカーを探し、該当するものに一時的にリンク情報のタグを埋め込んだドキュメントをクライアントに返す。
クライアントがあるアンカーを選ぶと外部プログラムはリンク先を検索し結果をアンカーの埋め込まれたURLのリストとして返す。
クライアントはリストの一つを選択することでリンク先へとたどり着く。
これによって、ユーザは元のHTML文書に埋め込まれているリンクと、質問対リンクによる仮想リンクを意識せず同時に見ることができる。この様な機能によりドキュメント制作者はこのドキュメントに対する様々な視点にもとづく仮想リンクが設定されてもリンク情報の更新を行う必要がなくなる。
質問対リンクはドキュメント内の単語と他のドキュメント間のリンク関係を表し、形式的には以下のように表す。

<uid,query1,query2>

ここで、

・uid:識別子

・query1:リンクの始点となる単語を表す質問文

・query2:リンク先となるドキュメントを表す質問文

query1、query2の質問文は以下のように構成される

<file,dir,title,word,access>

ここで、

・file:ファイル名の指定。指定されたファイルに対して検索を行なう。

・dir:ディレクトリ名の指定。そのディレクトリ内のファイルに対して検索を行う。

・title:指定した単語が文書のタイトルに含まれる。

・word:指定した単語がドキュメント内に含まれる。

・access:これまでのサーバ内のドキュメントに対するアクセス回数、次のアクセスまでの時間の記録より、ドキュメントに対してランク付けを行っておき、そのランクを指定する。

質問文の構成要素はすべてが値を持つ必要はない。検索は値を持つ属性それぞれに対して真となるものとなるドキュメントまたは単語を探し出すことによって行われる。通常、file属性とdir属性はどちらかが値を持ち、ドキュメントを限定するためのものであるが、2つがともに値を持つ場合はfile属性のみを有効とする。title属性とword属性はドキュメントのテキストサーチにより行われ、これによりドキュメントの内容に対する限定を主な目的とする。ここで、リンクの始点を表す質問文で単語を指すためのword属性が必ず必要となる。access属性はドキュメントに対するアクセスの回数、次のアクセスまでの時間によってそのドキュメントの重要度、または主要度を指定するためのものである。ドキュメントへのアクセスの回数はそのドキュメントへ張られているリンクの数に大きく左右され、一概にアクセス数の多少でドキュメントの価値を判断することはできない。そこで、あるドキュメントがアクセスされ後に次のアクセスが起こるまでの時間をそのドキュメントの参照時間と考え、アクセス回数とその参照時間の2つの要素からこれまでのアクセスの記録からみたドキュメントの価値を決定する。」(第227ページ左欄第27行?第228ページ左欄第10行)

(2)
「2.4 システムの実現
多重ビュー機構を実現する為の外部プログラムをプログラミング言語Perlによって構築した。質問対リンク群はLinkfileに格納される。外部プログラムはアンカー生成とリンク検索の2つからなり、前者はLinkfileよりドキュメント内のアンカーを作成し、後者はリンク先となるドキュメントを検索するものである(図2参照)。

(図2略)

2.4.1 データ構造
・HTML文書
本来、質問検索を行う際、HTML文書はデータベースに格納しておくことが望ましいが、現在のWWWの静的リンクと共存させる為、現行のままUNIXのファイルとして置いておき、WWWの対象となるディレクトリ以下のHTML文書に対してUNIXのfindコマンドとPerlによる正規表現のパターンマッチを用いて検索を行っている。

・Linkfile
質問対リンク群は、file1,dir1,title1,word1,access1,file2,dir2,titlel2,word2,access2の10項目のデータ配列に格納され、一つの配列値が1つの質問対リンクとなる。

2.4.2 アンカー生成プログラム
指定されたドキュメントに対し質問対リンクによるアンカーを埋め込む。引数は対象とするドキュメントのURL、出力は与えられたドキュメントのコピーに新しくアンカーを埋め込んだHTML文書である。処理の流れは以下の通り。

1.クライアントからURLで指定され起動する。
URLがドキュメントURLを引数としたアンカー生成プログラムの指定となったアンカーをクライアントがクリックすることで起動する。

2.引数を与えられ、ドキュメントを決定する。
引数として与えられたURLをディレクトリパスに変換し、ドキュメントへのパイプをオープンする。

3.ドキュメントのソースをコピーし配列として取り込む。

4.HTML内の相対パスを絶対パスに変換する。
URLはドキュメントの指定を相対パスで記述することができる。しかし、ドキュメントのコピーを外部プログラムで出力すると、カレントディレクトリが変化し相対パスでソースを指定できなくなるため相対パスを絶対パスに変換する。

5.Linkfikeよりそのドキュメントに対して条件を満たす質問対を検索する。
Linkfikeのすべてのquery1に対して検索を行う。5つの属性はword属性を除いて値を持つ場合と持たない場合がある。属性が値を持たない場合その属性に対する質問結果はすべてのドキュメントが真となる。5つの属性に対する検索はfile,dir,access,title,wordの順で行い、1つ偽を返した時点でそのqueryの結果は偽となる。

6.質問文が指す単語にアンカーが埋められているか調べる。
アンカーのタグがある単語のリンク先を別に保存しておく。その後に、検索の結果、真となったquery1が指す単語に対してアンカー記述を行うが、その単語が元々アンカーのタグがあるかどうかを判別する。

7.リンク先、引数を決定し、コピーした配列にアンカーを埋め込む。
まず、検索の結果、真となったquery1が指す単語をタグで囲む。記述はコピーした配列に対して行う。タグは、
単語
となり、リンク探索プログラムに配列番号と保存したURLを引数として与えたURLをアンカーとする。
つぎに、リンク先がリンク探索プログラムでないアンカーに対してリンク先をアンカー生成プログラム、引数を元々あったリンク先のドキュメントのURLとして、常に外部プログラムが呼び出されるようにする。

8.クライアントにコピーした配列を返し、終了する。

2.4.3 リンク探索プログラム
指定された質問文よりリンク先を検索し、そのリストを表示する。引数はLinkfileの属性値番号とURL。出力はアンカーを埋め込んだURLのリストのHTML文書。処理の流れは以下の通り。

1.クライアントからアンカーとなる単語を選択され起動する。
リンク探索プログラムの起動はクライアントがアンカーとなる単語を選択することにより行われる。

2.引数に質問文と元々のリンク先のURLを与えられる。

3.質問文より該当するドキュメントを検索する。
指定されたquery2の条件を満たすドキュメントを検索する。属性はAnchor Make Programと同じくfile,dir,access,title,wordの順で検索し、file,dir,accessを満たすドキュメントを決定した後そのドキュメントに対してtitle,wordでテキストサーチする。

4.結果をURLのリストとして表示する。
検索の結果、真となったドキュメントのディレクトリパスをURLに変換し、それをリストとして表示する。その際リストにはリンク先をアンカー生成プログラム、引数をそのURLとしてアンカー記述を行う。

5.元々のリンク先のURLがあればリストに加える。
プログラム起動時に引数URLを与えられていた場合、そのURLもそれと明示してリストに加える。

6.クライアントにリストを表示し、終了する。 」(第228ページ左欄第11行?第229ページ右欄第6行)


ここで、上記記載事項を技術常識に照らせば、以下のことがいえる。

ア.引用例でいう「アンカー」は、「ハイパーリンクの始点(リンク元)」を意味しており、該「アンカー」を選ぶことは「ハイパーリンク」を選択することを意味している。

イ.上記記載事項(1)中の「クライアントがあるアンカーを選ぶと外部プログラムはリンク先を検索し結果をアンカーの埋め込まれたURLのリストとして返す。
クライアントはリストの一つを選択することでリンク先へとたどり着く。」なる記載事項は、引用例のものが、選択したハイパーリンクのリンク先を決定することによって求める情報をさがし出していること、換言すれば、選択したハイパーリンクを解決することによって検索を行っていることを意味している。

ウ.上記記載事項(1)中の「WWWサーバに対してあるクライアントからそのHTML文書を参照する要求が来た際、外部プログラムが作動しリンク情報ファイルより得られるアンカーを探し、該当するものに一時的にリンク情報のタグを埋め込んだドキュメントをクライアントに返す。」なる記載事項でいう「該当するものに一時的にリンク情報のタグを埋め込んだドキュメント」は、「一つまたは複数のハイパーリンクを有するハイパーリンク・ドキュメント」と呼び得るものである。

エ.上記記載事項(1)中の「WWWサーバに対してあるクライアントからそのHTML文書を参照する要求が来た際、外部プログラムが作動しリンク情報ファイルより得られるアンカーを探し、該当するものに一時的にリンク情報のタグを埋め込んだドキュメントをクライアントに返す。」なる記載事項でいう「該当するものに一時的にリンク情報のタグを埋め込んだドキュメント」は、上記記載事項(2)中にある「単語」なるタグを埋め込んだ「コピーした配列」に対応するものであり、該タグ中の「query=配列番号」は、ハイパーリンクが有する情報であって、検索式によって表される検索条件(Linkfile中の質問文であるquery2)を特定する情報である。

オ.引用例において「クライアント」と称されているものは、人であるユーザと該ユーザが操作する装置とからなっている。そして、上記「アンカー」を選ぶこと、すなわち「ハイパーリンク」を選択することは、人であるユーザが行い、ユーザが該選択を行うと、ユーザが操作する装置は、ユーザが選択した「ハイパーリンク」に付随する情報を識別し、識別した「ハイパーリンク」に付随する情報を、リンク探索プログラムが動作するサーバ(WWWサーバ)に送信する。

カ.上記記載事項(1)中の「クライアントはリストの一つを選択することでリンク先へとたどり着く。」は、「ユーザが操作する装置」に表示されたリンク探索プログラムによる検索結果のURLのリストの中の一つのURLにあるドキュメントを、「ユーザが操作する装置」が取り出し、再現することを意味している。

以上によれば、引用例には、以下の発明(以下、「引用例記載発明」という。)が記載されているといえる。
「選択したハイパーリンクを解決することによって検索を行う方法であって、
WWWサーバから『ユーザが操作する装置』がハイパーリンク・ドキュメントを受信し、ハイパーリンク・ドキュメントは一つまたは複数のハイパーリンクを有し、ハイパーリンクの少なくとも一つは『検索式によって表される検索条件を特定する情報』を有する、受信ステップと、
ユーザが前記ハイパーリンクを少なくとも一つ選択するのに応答して、前記選択したハイパーリンクから前記『ユーザが操作する装置』が『検索式によって表される検索条件を特定する情報』を識別するステップと、
前記『ユーザが操作する装置』が識別した『検索式によって表される検索条件を特定する情報』をリンク探索プログラムが動作するサーバ(WWWサーバ)に送信し、該リンク探索プログラムが動作するサーバ(WWWサーバ)が、受信した『検索式によって表される検索条件を特定する情報』により特定される検索条件で質問を行って、該検索条件を満足するドキュメントのURLを見つけるステップと、
見つけられたURLの中の一つのURLにあるドキュメントを『ユーザが操作する装置』が取り出すステップと、
前記取り出したドキュメントを前記『ユーザが操作する装置』が再現するステップと
からなる選択ハイパーリンク解決方法。」


3.対比
本願発明と引用例記載発明を対比すると、以下の対応関係が認められる。
(1)引用例記載発明の「WWWサーバ」は、本願発明の「遠隔サーバ」に相当する。
(2)引用例記載発明の「ユーザが操作する装置」は、本願発明の「クライアント」に相当する。
(3)引用例記載発明の「検索式によって表される検索条件を特定する情報」と本願発明の「質問公式」(前述したように、「検索式によって表される検索条件」といった程度の意味に解釈。)とは、「検索条件を特定する情報」である点で共通する。
(4)引用例記載発明の「『検索式によって表される検索条件を特定する情報』により特定される検索条件を満たすドキュメントのURL」と本願発明の「質問公式を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置」とは、「検索条件を特定する情報により特定される検索条件を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置」である点で共通する。
(5)引用例記載発明の「見つけられたURLの中の一つのURLにあるドキュメント」と本願発明の「位置を見つけられたハイパーリンク・ターゲットの一つが指定するハイパーメディア・ドキュメント」とは、「位置を見つけられたハイパーリンク・ターゲットの一つが指定するドキュメント」である点で共通する。

したがって、本願発明と引用例記載発明の間には、以下の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「選択したハイパーリンクを解決することによって検索を行う方法であって、
遠隔サーバからクライアントがハイパーリンク・ドキュメントを受信し、ハイパーリンク・ドキュメントは一つまたは複数のハイパーリンクを有し、ハイパーリンクの少なくとも一つは『検索条件を特定する情報』を有する、受信ステップと、
ユーザが前記ハイパーリンクを少なくとも一つ選択するのに応答して、前記選択したハイパーリンクから前記クライアントが『検索条件を特定する情報』を識別するステップと、
前記『検索条件を特定する情報』により特定される検索条件で質問を行って、該検索条件を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置を見つけるステップと、
位置を見つけられたハイパーリンク・ターゲットの一つが指定するドキュメントを、前記クライアントが取り出すステップと、
前記取り出したドキュメントを前記クライアントが再現するステップと
から成る選択ハイパーリンク解決方法。」である点。

(相違点1)
本願発明における「検索条件を特定する情報」は、「『検索式によって表される検索条件』といった程度の意味に解される『質問公式』」であり、本願発明においては、「クライアント」が、該「『検索式によって表される検索条件』といった程度の意味に解される『質問公式』」で質問を行うのに対し、引用例記載発明における「検索条件を特定する情報」は、「『検索式によって表される検索条件』を特定する情報」であって、「検索式によって表される検索条件」そのものではなく、引用例記載発明においては、「クライアント(ユーザが操作する装置)」は、「『検索式によって表される検索条件』を特定する情報」を送信するものの、「検索式によって表される検索条件」での質問を行うわけではない(引用例記載発明においては、「『検索式によって表される検索条件』を特定する情報」を受信したリンク探索プログラムが動作するサーバ(WWWサーバ)が、「検索式によって表される検索条件」での質問を行う。)点。

(相違点2)
本願発明において「検索条件を特定する情報(質問公式)」により特定される検索条件を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置を見つけるのは、「一つまたは複数のデータベース・サーバ」であるのに対し、引用例記載発明において「検索条件を特定する情報(検索式によって表される検索条件を特定する情報)」により特定される検索条件を満足する1つまたはそれ以上のハイパーリンク・ターゲットの位置を見つけるのは、「一つまたは複数のデータベース・サーバ」とは限らない点。

(相違点3)
本願発明においては、ハイパーリンク・ターゲットのいくつかが前記一つまたは複数のデータベース・サーバ以外のサーバからのハイパーメディアを指定しているのに対し、引用例記載発明ではハイパーリンク・ターゲットのいくつかが前記一つまたは複数のデータベース・サーバ以外のサーバからのハイパーメディアを指定しているとは限らない点。


4.当審の判断

(1)上記相違点について

ア.(相違点1)について
以下の事項を勘案すると、引用例記載発明の「『検索式によって表される検索条件』を特定する情報」を、「検索式によって表される検索条件」に変更し、「クライアント」が、該「検索式によって表される検索条件」で質問をするようにすること、換言すれば、引用例記載発明において相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易に推考し得たことというべきである。
(ア)一般に、情報伝達元から情報伝達先へ何らかの情報を伝達する際、情報伝達元にある情報をそのまま情報伝達先へ送ることも、情報伝達元にある情報に対して何らかの符号化を施し、符号化した情報を送ることも、共にごく普通に行われていることであり、そのいずれを採用するかは、当業者が、種々の得失を考慮して、適宜決定し得る事項である。
(イ)引用例記載発明において、情報伝達元である「WWWサーバ」から情報伝達先である「ユーザが操作する装置」に伝達される情報のうち、「検索式によって表される検索条件を特定する情報」は、情報伝達元にある情報である「検索式によって表される検索条件」を符号化したものということができるが、そのような引用例記載発明において、情報伝達元にある情報である「検索式によって表される検索条件」をそのまま送るようにしても何ら問題がないことは当業者に自明であり、引用例記載発明においても、「WWWサーバ」から「ユーザが操作する装置」へ「検索式によって表される検索条件を特定する情報」を送るようにするか、「検索式によって表される検索条件」そのものを送るようにするかは、当業者が適宜決定し得た事項であるといえる。
(ウ)「WWWサーバ」から「ユーザが操作する装置」へ「検索式によって表される検索条件を特定する情報」を送るようにした場合と、「検索式によって表される検索条件」そのものを送るようにした場合とでは、伝達すべき情報量や、「検索式によって表される検索条件」を利用した検索をどのサーバに行わせ得るかというシステム構成の柔軟性といった点に相違が生じ得るが、そのような構成に応じた得失も当業者に自明であることや、本願発明も引用例記載発明の「WWWサーバ」に対応する「遠隔サーバ」に「検索式によって表される検索条件」を利用した検索を行わせるものを含んでいると解されること等、の事情を勘案すると、上記相違が生じ得ることをもって、「WWWサーバ」から「ユーザが操作する装置」へ「検索式によって表される検索条件」そのものを送るようにすることが当業者に困難であったということはできない。
(エ)引用例記載発明における「WWWサーバ」と「ユーザが操作する装置」の間で伝達される情報のうちの「検索式によって表される検索条件を特定する情報」を「検索式によって表される検索条件」そのものに替えた場合には、当然に、「クライアント」が、該「検索式によって表される検索条件」で質問することになる。

イ.(相違点2)について
検索対象のデータを「データベース・サーバ」と呼び得るものに格納することはごく普通に行われていることであり、引用例記載発明においてそのようにできない理由もないから、引用例記載発明における「リンク探索プログラムが動作するサーバ(WWWサーバ)」 を「一つまたは複数のデータベース・サーバ」とすること、換言すれば、引用例記載発明において相違点2に係る本願発明の構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たことである。

ウ.(相違点3)について
ハイパーリンクのリンク先を種々のサーバ上のハイパーメディアとすることはごく普通に行われていることであり、引用例記載発明に上記相違点2に係る本願発明の構成を採用したものにおいて、ハイパーリンク・ターゲットのいくつかが「一つまたは複数のデータベース・サーバ」以外のサーバからのハイパーメディアを指定しているようにすることができない理由もないから、そのようにすること、換言すれば、引用例記載発明において相違点3に係る本願発明の構成を採用することも、当業者が容易に推考し得たことである。

(2)本願発明の効果について
本願発明の構成によってもたらされる効果は、引用例の記載事項や周知の事項から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。


5.むすび
以上によれば、本願発明は、引用例記載発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-06-18 
結審通知日 2010-06-25 
審決日 2010-07-07 
出願番号 特願平9-115825
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅本 達雄紀田 馨  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 田口 英雄
池田 聡史
発明の名称 ソフト・ハイパーリンクを解決することによる検索及びハイパーメディア・ナビゲーション方法  
代理人 谷 義一  
代理人 阿部 和夫  
復代理人 窪田 郁大  
復代理人 濱中 淳宏  

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