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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B42D
管理番号 1227601
審判番号 不服2008-17434  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-07-08 
確定日 2010-11-22 
事件の表示 特願2003- 87330「複写式ノート集合体及びそれに含まれる複写式ノート」拒絶査定不服審判事件〔平成16年10月21日出願公開、特開2004-291422〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・ 本願発明
1 本願は、平成15年3月27日の出願であって、平成20年3月17日付けで手続補正がなされ、同年5月29日付けで拒絶査定がなされたため、これを不服として同年7月8日付けで拒絶査定不服審判請求がなされ、当審において、平成22年6月17日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対して、同年8月23日に手続補正がなされたものである。

2 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成22年8月23日付け手続補正後の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。
「同一ロット及び異なるロットで製造された複数のノートから成るノートの集合体であって、各ノートは、複写式になった2枚一組の頁を複数組綴じたものであり、各2枚一組の頁のそれぞれに、同一の、かつ、前記集合体に含まれる全てのノートの全ての組において唯一の番号、文字若しくは記号又はこれらの組み合わせが記載されており、該番号、文字若しくは記号又はこれらの組み合わせは、集合体におけるノートの通し番号と、各ノート中での組の通し番号を含み、各2枚一組の頁の2枚目には、該2枚目が複写物であることを示す表示が記載され、かつ、該2枚目をノートから不可逆的に離脱させることを容易にする離脱容易化手段が設けられている、複写式ノート集合体。」

第2 引用刊行物の記載事項
当審拒絶理由で引用した「本願出願前に頒布された刊行物である特開平2-231196号公報(以下「引用例」という。)」には、図とともに次の事項が記載されている。(下線は審決で付した。以下同じ。)

1 「1.ノート紙葉の頁面において、複数の区画スペースを形成し、その紙葉を繰るごとに連続する一連の連続番号を、該区画スペースに附設して構成したことを特徴とする連続番号付ノート」(第1頁左欄第5?9行)

2 「3.附設された一連の連続番号が、多数冊に渡り連続する請求項1又は請求項2記載の連続番号付ノート」(第1頁左欄第14?16行)

3 「また、このような連続番号は、同一様式の頁面により構成されたノートの多数冊に渡り連続するようにする。例えば、紙葉の両面に区画スペースを5個ずつ上下に並べて形成し、該紙葉500枚に形成された5000個の各区画スペースに、1から5000までの連続番号を順次附設し、該連続番号順に100枚ずつとじて5分冊のノートとすると、まず、一冊のノートの区圃スペースにはlから1000まで、次の一冊には1001から2000までと、以下同様に、5冊に渡り連続する一連の連続番号が附設された連続番号付ノートとなる。」 (第3頁右上欄第2?13行)

4 上記1ないし3から、引用例には、
「ノート紙葉の頁面において、複数の区画スペースを形成し、その紙葉を繰るごとに多数冊に渡り連続する一連の連続番号を、該区画スペースに附設して構成した連続番号付多数冊のノート。」の発明(以下「引用発明」という。)が、記載されているものと認められる。

第3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「ノート紙葉の頁面において、複数の区画スペースを形成し、その紙葉を繰るごとに多数冊に渡り連続する一連の連続番号を、該区画スペースに附設」及び「多数冊のノート」は、それぞれ、本願発明の「『頁のそれぞれに、』『集合体に含まれる全てのノート』『において唯一の番号』『が記載』」及び「ノート集合体」に相当する。

2 上記1からみて、本願発明と引用発明とは、
「頁のそれぞれに、集合体に含まれる全てのノートにおいて唯一の番号が記載されているノート集合体」である点で一致し、次の相違点1ないし3で相違する。

相違点1:
ノートの集合体が、本願発明においては、同一ロット及び異なるロットで製造された複数のノートから成るのに対して、引用発明においては、そのようなものか明らかでない点。

相違点2:
本願発明においては、各ノートは、複写式になった2枚一組の頁を複数組綴じたものであり、各2枚一組の頁のそれぞれに、同一の、番号、文字若しくは記号又はこれらの組み合わせが記載され、各2枚一組の頁の2枚目には、該2枚目が複写物であることを示す表示が記載され、かつ、該2枚目をノートから不可逆的に離脱させることを容易にする離脱容易化手段が設けられているているのに対し、引用発明においては、そのようなものでない点。

相違点3:
集合体に含まれる全てのノートにおいて、頁のそれぞれに記載された唯一の番号が、本願発明においては、集合体におけるノートの通し番号と、各ノート中での組の通し番号を含んでいるのに対して、引用発明においては、多数冊に渡り連続する一連の連続番号である点。

第4 判断
上記相違点1ないし3について検討する。
1 相違点1について、
ノートを多年にわたり継ぎ足し使うことは慣用的に行っており、当該場合に多数冊のノートを同一ロット及び異なるロットで製造された複数のノートとすることは、当業者が適宜行う設計事項にすぎず、よって、引用発明において上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは、当業者が適宜行う設計事項にすぎない。

2 相違点2について
(1)複写式になった2枚一組の頁を複数組とじた複写紙付ノートは、本願出願前に周知である(実願昭56-1806号(実開昭57-116472号)のマイクロフィルム(第2頁第4?9行及び図1参照。)、実願昭56-1807号(実開昭57-116473号)のマイクロフィルム(第2頁第5?9行及び図1参照。)、特開2001-341466号公報(請求項1参照。「練習帳」が「ノート」に相当する。)及び実願昭48-052692号(実開昭50-1012号)のマイクロフィルム(第1頁第5?13行及び第4頁第2?7行参照。)、以下「周知技術1」という。)。

(2)2枚一組の頁を備えた複写式の記録を行う際に、それぞれの頁に同一の番号を記載すること及び複写した頁を離脱容易にするためのミシン目を設けることも、本願出願前に周知である(特開平7-266749号公報(【0014】、【0028】、【0030】、図1及び2参照。)、実願昭59-18489号(実開昭60-130065号)のマイクロフィルム(第7頁第5?9行及び図3参照。)及び実願昭59-18490号(実開昭60-130066号)のマイクロフィルム(第6頁第20行?第7頁第4行及び図3参照。)、以下「周知技術2」という。)。

(3)複写であることが容易にわかるように、複写物に複写であることを示す表示を付すことも、本願出願前に周知である(上記特開平7-266749号公報(【0015】、「領収証2の表面には、「この領収証は、記載されている金額が、紫もしくは赤と青のまだらの色で記載されていなければ無効とします。」との記載が予め印刷」が、「複写物に複写であることを示す表示」に相当する。)及び上記特開2001-341466号公報(【0019】、「『複写用紙2は、この実施形態では、その上面全面が』『青色発色』」が、「複写物に複写であることを示す表示」に相当する。)、以下「周知技術3」という。)。

(4)ノートに複写を必要とする事項を記載することは慣用的に行われており、してみれば、引用発明の多数冊のノートに上記周知技術1ないし3を採用して、各ノートは、複写式になった2枚一組の頁を複数組綴じたものとし、各2枚一組の頁に同一の番号を記載し、該2枚目には複写物であることを示す表示を記載し、複写した頁を離脱容易にするためのミシン目等の不可逆的に離脱させることを容易にする離脱容易化手段を設けることは、当業者が容易に想到することにすぎない。
よって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知技術1ないし3に基づいて容易になし得た程度のことである。

3 相違点3について
複数のノートに各々通し番号を記載するとは慣用技術にすぎず、引用発明においては、多数冊に渡り連続する一連の連続番号を記載しているので、ノートの通し番号と各ノート中での連続する一連の連続番号とすること、すなわち、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到することにすぎない。

4 効果について
本願発明の奏する効果は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3の奏する各々の効果から当業者が予測することができた程度のものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、当業者が引用発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基づいて容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明、周知技術1、周知技術2及び周知技術3に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-15 
結審通知日 2010-09-21 
審決日 2010-10-05 
出願番号 特願2003-87330(P2003-87330)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B42D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 荒井 隆一  
特許庁審判長 長島 和子
特許庁審判官 野村 伸雄
鈴木 秀幹
発明の名称 複写式ノート集合体及びそれに含まれる複写式ノート  
代理人 谷川 英次郎  

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