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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F04B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F04B
管理番号 1227914
審判番号 不服2008-14146  
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-06 
確定日 2010-12-02 
事件の表示 特願2006-219597「密閉型圧縮機」拒絶査定不服審判事件〔平成20年 2月28日出願公開、特開2008- 45431〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成18年8月11日の特許出願であって、平成20年4月30日付けで拒絶査定がなされ、同年6月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされると共に、同年7月2日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成20年7月2日付けの手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理 由]
(1)補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「環状のモータステータ(8)と、
前記モータステータ(8)の内部空間に回転自在に配置されたモータロータ(9)と、
前記モータステータ(8)およびモータロータ(9)を収納する筒状部(10)を含むケーシング(2)と、
前記モータステータ(8)と前記筒状部(10)との間に隙間(13)を確保した状態で、前記モータステータ(8)と前記筒状部(10)との間を点接合によって固定する複数の点接合部(7)と
を備えており、
前記ケーシング(2)内部に、CO_(2)冷媒が充填されており、
前記点接合部(7)は、前記モータステータ(8)の外周面における周方向に3点以上配置されており、
前記点接合部(7)は、スポット溶接により形成されている、
密閉型圧縮機(1)。」と補正された。

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「密閉型圧縮機」に関し、「ケーシング(2)内部に、CO2冷媒が充填されており」と限定するものであって、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、単に「改正前の特許法」という。)第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-342954号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている。

・「【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電動圧縮機に用いられるDCモータ(電動機)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への固定子の磁気吸引・反発力が大きい。このため、電動機のヨーク部が加振され、電動圧縮機の騒音が増大する要因となっていた。特に、高磁力の希土類永久磁石を用いた電動機や、スロット数の少ない磁極集中巻の電動機では、スロット数の多い電動機より磁束の変化が大きく、騒音低減が大きな課題となっている問題があった。
【0021】また、固定子鉄心の歯部で加振された振動は、固定子のヨーク部を加振しシェル部との当接部でシェル部を直接振動させていた。これによっても、電動圧縮機の騒音が増大してしまう要因となっている問題もあった。
【0022】本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、固定子とシェル部との当接面積を小さくして騒音を大幅に低減させることができる電動圧縮機を提供することを目的とする。」

・「【0030】
【発明の実施の形態】次に、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の電動圧縮機Cの縦断側面図、図2は同電動圧縮機Cの横断上面図をそれぞれ示している。この図において、1は冷凍庫、冷蔵庫、或いはショーケースなどに設けられた冷却装置を構成する密閉容器であり、内部の上側に電動要素として電動機2、下側にこの電動機2で回転駆動される圧縮要素3が収納されている。密閉容器1は、上端が開口する円筒状のシェル部1Aと、このシェル部1Aの上端開口を閉塞するエンドキャップ部1Bとから成る2分割構成であり、シェル部1A内に電動機2及び圧縮要素3を収納した後、エンドキャップ部1Bをシェル部1Aに被せ、高周波溶着などによって密閉することにより構成されている。また、この密閉容器1のシェル部1A内の底部がオイル溜まりSOとなる。
【0031】電動機2は所謂磁極集中巻方式の直巻きDCブラシレスモータであり、密閉容器1の内壁に固定された固定子4と、この固定子4の内側に回転軸6を中心にして回転自在に支持された回転子5とから構成されている。そして、固定子4は略ドーナッツ状の固定子鉄板(珪素鋼板)を複数枚積層して構成された固定子鉄心74と、回転子5に回転磁界を与えるための固定子巻線(駆動コイル)7とから構成されている。
【0032】固定子鉄心74の内周には図示しないが6個の歯部が設けられており、この歯部の間に内方及び上下に開放したスロット部78が形成されている。そして、これらの歯部にスロット部78の空間を利用して前記固定子巻線7を直接巻回することにより、所謂集中直巻方式によって固定子4の磁極を形成して、4極6スロットの固定子4を構成している。
【0033】係る、固定子鉄心74の外周面は密閉容器1のシェル部1Aの内壁に当接して固定されている。この場合、固定子鉄心74が密閉容器1に当接する部分の回転軸6方向の寸法をHとし、当該固定子鉄心74の回転軸6方向の寸法をHoとした場合、H<Hoとなるように構成されている。そして、固定子鉄心74の外周面には円周を弦状に切り欠いた複数の切欠76(実施例では6箇所)が形成され、この切欠76はシェル部1Aの内壁から離間し、そこに後述する如くオイル戻り用の通路77を構成している。
【0034】図3は図1に示した回転子5の一部縦断側面図、図4は平面図(回転軸6に圧入する前の状態)である。各図において、26は回転子鉄心であり、厚さ0.3mm?0.7mmの電磁鋼板から図5の如き形状に打ち抜いた回転子用鉄板27を複数枚積層し、お互いにカシメて一体に積層されている(尚、カシメによらずに溶接にて一体化しても良い)。」

・「【0042】前記固定子鉄心74には切欠部74Aが設けられており、この切欠部74Aは回転子5の回転軸6延在方向に所定寸法切り欠かれると共に、回転軸6方向に所定深さ切り欠かれている。この場合、固定子鉄心74とシェル部1A内壁との当接長さをH(図中H1+H2)として固定子鉄心74の積厚(この場合、回転子5の回転軸6方向の寸法)をHoとした場合、寸法Hoに対する寸法Hの比率を、0.2≦H/Ho≦0.8となるように構成されている。
【0043】即ち、固定子鉄心74の回転軸6延在方向に設けられた切欠部74Aの両側部H1、H2をシェル部1A内壁に当接させると共に、切欠部74Aをシェル部1A内壁より離間させている。これにより、電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部の加振がシェル部1Aに伝達され難くなる。従って、電動圧縮機Cの騒音を低減させることが可能となる。」

・「【0051】次に、図23に係る電動圧縮機Cを用いた冷却装置の冷媒回路図を示している。電動圧縮機Cの出口側は凝縮器69に接続され、凝縮器69の出口側は図示しないが受液器、液管電磁弁を介して減圧装置としての膨張弁70に接続されている。膨張弁70は蒸発器71に接続され、蒸発器71の出口側はアキュムレータを介して電動圧縮機Cの吸込側に接続された環状の冷媒回路が構成されている。電動圧縮機Cから吐出された高温高圧のガス冷媒は凝縮器69にて放熱し、凝縮液化される。そして、膨張弁70で減圧された後、蒸発器71に入り、そこで周囲から熱を奪って気化するサイクルを繰り返すものである。」

・「【0053】このように、電動圧縮機Cに用いた電動機2(DCモータ)の回転子5を構成する固定子鉄心74の外周面に切欠部74Aを設け、この切欠部74A以外をシェル部1A内壁に当接させているので、電動圧縮機Cに用いた電動機2(DCモータ)は、通常の誘導電動機に比較して半径方向への回転子5の磁気吸引・反発力によって当該回転子5のヨーク部が加振されるが、回転子5を構成する固定子鉄心74の外周面に切欠部74Aを設けて、切欠部74A以外をシェル部1A内壁に当接させているので、固定子4のヨーク部が加振された場合でもシェル部1Aへの振動伝達を減少させることが可能となる。従って、電動圧縮機Cの騒音を大幅に低減させることができるようになる。」

・「【0067】
【発明の効果】以上詳述した如く請求項1の発明によれば、電動要素を、密閉容器の内壁に当接して固定される固定子鉄心を有する固定子と、磁性体を有して回転軸に取り付けられ、固定子の内側において回転自在に支持された回転子とから構成すると共に、固定子鉄心が密閉容器に当接する部分の回転軸方向の寸法をHとし、当該固定子鉄心の回転軸方向の寸法をHoとした場合、H<Hoとしているので、固定子鉄心からシェル部への振動の伝達を少なくすることができるようになる。これにより、例えば固定子のヨーク部が加振された場合でもシェル部への振動伝達を減少させることが可能となる。従って、電動圧縮機の騒音を大幅に低減させることができるようになるものである。」

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「環状の固定子4と、
前記固定子4の内側に回転自在に配置された回転子5と、
前記固定子4および回転子5を収納するシェル部1Aを含む密閉容器1と、
前記固定子4と前記シェル部1Aとの間に隙間を確保した状態で、前記固定子4と前記シェル部1Aとの間を小さい面積で固定する6箇所の当接部と
を備えており、
前記密閉容器1内部に、冷媒が充填されており、
当接部は、前記固定子4の外周面における周方向に6箇所配置されており、
前記当接部は、小さい面積で当接して固定するように形成されている、
電動圧縮機C。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)後者の「固定子4」が前者の「モータステータ(8)」に相当する。

(イ)後者の「内側」が前者の「内部空間」に相当し、同様に、
「回転子5」が「モータロータ(9)」に相当する。

(ウ)後者の「シェル部1A」が前者の「筒状部(10)」に相当し、同様に、
「密閉容器1」が「ケーシング(12)」に相当する。

(エ)後者の「6箇所」は前者の「複数」に含まれることは明らかであり、
後者の「固定子4とシェル部1Aとの間に隙間を確保した状態で、前記固定子4と前記シェル部1Aとの間を小さい面積で固定する6箇所の当接部」と
前者の「モータステータ(8)と筒状部(10)との間に隙間(13)を確保した状態で、前記モータステータ(8)と前記筒状部(10)との間を点接合によって固定する複数の点接合部(7)」とは、
「モータステータと筒状部との間に隙間を確保した状態で、前記モータステータと前記筒状部との間を小さい面積で固定する複数の接合部」なる概念で共通する。

(オ)後者の「密閉容器1内部に、冷媒が充填され」た態様と
前者の「ケーシング(2)内部に、CO_(2)冷媒が充填され」た態様とは、
「ケーシング内部に、冷媒が充填され」たとの概念で共通する。

(カ)後者の「6箇所」は前者の「3点以上」に含まれることは明らかであり、
後者の「当接部は、固定子4の外周面における周方向に6箇所配置され」た態様と
前者の「点接合部(7)は、モータステータ(8)の外周面における周方向に3点以上配置され」た態様とは、
「接合部は、モータステータの外周面における周方向に3点以上配置され」たとの概念で共通する。

(キ)後者の「当接部」と
前者の「点接合部(7)」とは、
「接合部」なる概念で共通する。

(ク)後者の「小さい面積で当接して固定するように形成されている」態様と
前者の「スポット溶接により形成されている」態様とは、
「小さい面積で固定するように形成されている」なる概念で共通する。

(ケ)後者の「電動圧縮機C」が前者の「密閉型圧縮機(1)」に相当する。

したがって、両者は、
「環状のモータステータと、
前記モータステータの内部空間に回転自在に配置されたモータロータと、
前記モータステータおよびモータロータを収納する筒状部を含むケーシングと、
前記モータステータと前記筒状部との間に隙間を確保した状態で、前記モータステータと前記筒状部との間を小さい面積で固定する複数の接合部と
を備えており、
前記ケーシング内部に、冷媒が充填されており、
前記接合部は、前記モータステータの外周面における周方向に3点以上配置されており、
前記接合部は、小さい面積で固定するように形成されている、
密閉型圧縮機。」
の点で一致し、以下の各点で相違している。

[相違点1]
小さい面積で固定する複数の接合部に関し、本願補正発明ではモータステータと筒状部との間を「点接合によって」固定する複数の「点」接合部であるのに対し、引用発明では固定子4とシェル部1Aとの間を「小さい面積で当接して」固定する6箇所の当接部である点。

[相違点2]
冷媒に関し、本願補正発明では「CO_(2)」冷媒であるのに対し、引用発明では冷媒の種類は特定されていない点。

[相違点3]
小さい面積の接合部に関し、本願補正発明では 「点」接合部であるのに対し、引用発明ではそのような特定はなされていない点。

[相違点4]
小さい面積で固定する態様に関し、本願補正発明では「スポット溶接により」形成されているのに対し、引用発明ではそのような特定はなされていない点。

(4)判断
[相違点1、3、及び、4]について
本願補正発明において、モータステータと筒状部との間を接合する態様を点接合によって固定する複数の点接合部とし、点接合部は、スポット溶接により形成されているとしたことによる技術的な意義は出願当初の明細書の【0044】の「モータステータ8の振動は、ケーシング2に伝わりにくくなっているので、ケーシング2の筒状部10の振動を抑制することが可能である。このことは、モータステータ8から筒状部10へ振動が伝達する部分の断面積(複数の点接合部7の断面積)が狭いことに起因する。」なる記載、及び、【0046】の「接合部7の周長の合計と、筒状部10の内周面の周長との割合が、10%未満である場合、従来の焼きばめ圧入による固定方法では、接合面積が小さすぎるのでモータステータ8を筒状部10内部に固定することが困難である」なる記載によれば、モータステータの振動をケーシングに伝わりにくくするものであり、そのさい、モータステータと筒状部との間を固定するためにスポット溶接を採用したものであるものと解することができる。
原審の拒絶の理由に引用された特開2001-227468号公報の【0009】に「図3-(b)に示すように、前記サブフレーム3(「モータステータ」に相当)の外径を前記密閉容器1(「筒状部」に相当)の内径より小さく形成し(「隙間を形成」に相当)、同サブフレーム3外周面3cを密閉容器1の内周面1cにスポット溶接することにより、サブフレーム3と前記密閉容器1の内周面1cとの隙間を形成するようにしてもよい」と記載されているように、密閉型圧縮機においてモータステータと筒状部との間を点接合によって固定する複数の点接合部とし、点接合部は、スポット溶接により形成する点は周知慣用技術にすぎない。そして、引用発明も接合部を「小さい面積」とすることにより振動が伝達することを防止するものであり、面積を小さくすることが示唆されている。さらに、固定方法は求められる強度に応じて適宜選択可能であることは明らかである。
そうすると、密閉型圧縮機においてモータステータと筒状部との間を固定するという一般的な課題を解決するために、引用発明に上記周知慣用技術を採用することにより相違点1、3、及び、4に係る本願補正発明の構成とすることも任意であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

[相違点2]について
上記の「[相違点1、3、及び、4]について」を踏まえて相違点2について検討する。
冷媒に関し、本願補正発明では相違点2に係る「CO_(2)」冷媒であることを特定しているが、この特定は、審判請求時に初めて特許請求の範囲において特定された事項である。
一方、圧縮機の冷媒としてCO_(2)冷媒を使用し、その際に、溶接による固定を採用することは技術常識にすぎない(必要があれば、特開2005-146937号公報の背景技術として記載されている【0004】の「二酸化炭素冷媒を使用した冷凍サイクル等のような高圧や高圧縮比を要求される用途の密閉型圧縮機では、密閉容器1内の圧力が高圧となる為、耐圧強度を確保する必要があり、そのために密閉容器1の胴シェル4や上、下シェル5a,5bの板厚を厚くするとともに、密閉容器1となる胴シェル4等と各部材の接合部を確実に強固に溶接等で接合、固定する必要がある」なる記載を参照されたい。)ことから、冷媒としてCO_(2)冷媒を選択することは環境保護の観点から当業者が当然考慮する事項であり、さらに、上記の「[相違点1、3、及び、4]について」で検討したように密閉型圧縮機においてモータステータと筒状部との間を点接合によって固定する複数の点接合部とし、点接合部は、スポット溶接により形成する点は周知慣用技術にすぎないこと、上記の技術常識を踏まえればCO_(2)冷媒のものにおいては接合部を確実に強固に溶接等で接合、固定する必要があるとしても接合部の強度を必要な程度とすることは通常の設計において考慮される事項であり、必要とされる固定方法をどのようなものとするのかは設計事項にすぎないといえる。
そうすると、引用発明において、上記周知慣用技術の「CO_(2)」冷媒を採用することにより、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者にとって容易であり、また、そのために格別の技術的困難性が伴うものとも認められない。

そして、本願補正発明の全体構成により奏される作用効果も引用発明、上記周知慣用技術、及び、上記技術常識から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎない。

したがって、本願補正発明は、引用発明、上記周知慣用技術、及び、上記技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、改正前の特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下を免れない。

3.本願発明について
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年2月28日付けの手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲、及び、図面によれば、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「環状のモータステータ(8)と、
前記モータステータ(8)の内部空間に回転自在に配置されたモータロータ(9)と、
前記モータステータ(8)およびモータロータ(9)を収納する筒状部(10)を含む
ケーシング(2)と、
前記モータステータ(8)と前記筒状部(10)との間に隙間(13)を確保した状態で、前記モータステータ(8)と前記筒状部(10)との間を点接合によって固定する複数の点接合部(7)と
を備えており、
前記点接合部(7)は、前記モータステータ(8)の外周面における周方向に3点以上配置されており、
前記点接合部(7)は、スポット溶接により形成されている、
密閉型圧縮機(1)。」

(1)引用例
引用例、及び、その記載内容は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・検討
本願発明は、「2.」で検討した本願補正発明から「密閉型圧縮機」に関し、「ケーシング(2)内部に、CO_(2)冷媒が充填されており」といの限定を省いたものに相当する。
したがって、本願発明を構成する事項の全てを含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が上記「2.(4)」に記載したとおり、引用発明、上記周知慣用技術、及び、上記技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も相違点2の検討が不要となるほかは、同様の理由により引用発明、及び、上記周知慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおりであるから、本願発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-30 
結審通知日 2010-10-05 
審決日 2010-10-19 
出願番号 特願2006-219597(P2006-219597)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F04B)
P 1 8・ 121- Z (F04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 秀之  
特許庁審判長 仁木 浩
特許庁審判官 片岡 弘之
大河原 裕
発明の名称 密閉型圧縮機  
代理人 小野 由己男  

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