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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47J 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47J |
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管理番号 | 1228044 |
審判番号 | 不服2008-20526 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-08-11 |
確定日 | 2010-12-08 |
事件の表示 | 平成11年特許願第 12505号「感触位置突き止め用起伏部付きガラスセラミック板」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月 5日出願公開、特開平11-267019〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成11年1月20日(パリ条約による優先権主張、平成10年1月20日フランス国)の出願であって、平成19年7月20日付けで拒絶の理由が通知され、平成20年5月2日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年8月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、同年9月10日に明細書についての手続補正(以下「本件補正」という。)がなされ、平成21年10月29日に審尋がされ、指定期間内に応答がなかったものである。 第2.本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について補正をするものであって、請求項1について、補正前後の記載は、以下のとおりである。 (1)補正前 「一つまたは複数の制御手段(7、8、9、10)に結合する一つまたは複数の調理用加熱手段または保温手段(2、3、4、5)を含むガラスセラミック板(1)であって、ガラスセラミック板(1)の所定の領域及び/または機能の感触位置突き止めを可能にするような寸法の、凸形及び/または凹形の起伏部(6)を有することを特徴とするガラスセラミック板(1)。」 (2)補正後 「一つまたは複数の制御手段(7、8、9、10)に結合する一つまたは複数の調理用加熱手段または保温手段(2、3、4、5)を含むガラスセラミック板(1)であって、ガラスセラミック板(1)の所定の領域及び/または機能の感触位置突き止めを可能にするような寸法の、凸形及び/または凹形の起伏部(6)を有し、起伏部(6)の高さが少なくとも0.2mmに等しく、且つ50mm以下であることを特徴とするガラスセラミック板(1)。」 2.補正の適否 本件補正の特許請求の範囲の補正後の請求項1についての補正は、起伏部について「起伏部(6)の高さが少なくとも0.2mmに等しく、且つ50mm以下である」という事項を付加するものであり、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか否か(いわゆる独立特許要件)について検討する。 (1)補正発明 補正発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、上記1.(2)のとおりのものと認める。 (2)刊行物に記載された発明 これに対し、原査定の拒絶理由で引用された本件優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平6-147497号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。 ア.特許請求の範囲の請求項1 「【請求項1】 隣り合って並んでいる1組の加熱源(5)と、平滑で厚さが一様で、特に調理盤の表面全体を覆っているセラミックガラスのシート(2)を有する調理器の加熱源のために特に調理盤に設けられ、使用者の指(11)が前記シートの表面に接触し、またはそのすぐ近くに接近することによって作動する複数の感知キー(10)を有する、調理器の加熱源用制御装置において、 各々の感知キー(10)は、特定の加熱源(5)と組合っていて、シートの上面に対して反対側の、シートの下側に取り付けられたプリント配線板(17)によって担持される1つの蓄電器を構成し、かつ実質的に同じ面内に配置されている2つの金属の電極板(15,16)で形成されており、その蓄電器の第1の電極板(15)はパルス発生器(22)に、そして第2の電極板(16)は、差動コンパレータ(23)に接続されており、指を、該蓄電器のすぐ上で、しかもシートの他方の側においてシートの上面に向かって、または該上面に接触して接近させることによって、その蓄電器のキャパシタンスを変化させ、それによって、そのキーと組合っている加熱源に供給される電圧を変化させる機能をもつ差動コンパレータの出力の状態が変わるように、外側の第1の電極板は、中央の第2の電極板を包囲する全体的プロフィルを有することを特徴とする調理器の加熱源用制御装置。」 イ.段落0021 「【実施例】第1図において、参照番号1で調理盤が示されている。調理盤の全体的配置それ自体は従来通りである。この調理盤は、セラミックガラスの上側シート2を有する。この上側シート2は支持フレーム3の上に載っており、その支持フレーム3は、所望ならば、例えば調理用具または類似のもの(図示せず)を調理盤の下方において保管するためにトラップドアまたはアクセスドア4を備えていてよい。調理盤1は、ここに示す例においては、全体として参照番号5で示されている4つの個々の加熱源を有し、各々の加熱源は、特に、ハロゲンランプで構成されている放射要素6を含んでいる。・・・。」 これら事項を、技術常識を考慮しながら補正発明に照らして整理すると、刊行物1には以下の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されていると認める。 「複数の感知キー10に組合う複数の加熱源5を含む平滑なセラミックガラスのシート2。」 (3)対比 補正発明と刊行物発明とを対比する。 刊行物発明の「感知キー10」、「組合う」、「加熱源5」、「平滑なセラミックガラスのシート2」は、それぞれ補正発明の「制御手段(7、8、9、10)」、「結合する」、「調理用加熱手段または保温手段(2、3、4、5)」、「ガラスセラミック板(1)」に相当する。 したがって、補正発明と刊行物発明とは、次の点で一致している。 「複数の制御手段に結合する複数の調理用加熱手段を含むガラスセラミック板。」 そして、補正発明と刊行物発明とは、以下の点で相違している。 補正発明は、「ガラスセラミック板の所定の領域及び/または機能の感触位置突き止めを可能にするような寸法の、凸形及び/または凹形の起伏部を有し、起伏部の高さが少なくとも0.2mmに等しく、且つ50mm以下である」が、刊行物発明は、起伏部を有しない点。 (4)相違点の検討 相違点について検討する。 視覚障害者が所定の領域や機能部位を特定しやすくするため、案内のための起伏部を設けることは、原査定の拒絶理由で引用された特開平8-255279号公報の段落0010?0011の「突起部19」、実願平4-6674号(実開平5-59563号)のCD-ROMの段落0016の「突条体4」にみられるごとく周知である。 刊行物発明においても、視覚障害者の利用がありうることから、視覚障害者のためにかかる周知技術を適用し、「ガラスセラミック板の所定の領域及び/または機能の感触位置突き止めを可能にするような寸法の、凸形及び/または凹形の起伏部」を設けることは、必要に応じてなしうる事項にすぎない。 その際、「起伏部の高さ」については、指の接触による感知の観点から、適宜なしうる設計的事項にすぎない。 請求人は、審判請求理由において、「再度言うが、ガラスセラミックは加工が大変難しいのである。・・・。従って、どんな分野のどんな形状でも、ガラスセラミックに「そのように」適用できると考える理由はない。この種の形状を有するガラスセラミック板が前もって考えられていなかったという事実をもってしても、そうすることが実現可能だとは考えられていなかったことが分かる。これらの事情は、例え視覚障害者が領域の位置を特定するため起伏部を設けることが知られていたとしても、ガラスセラミック板にそのような起伏部を設けることに想到することを阻害するものであり、ガラスセラミック板の当業者であれば、起伏部を設けようとは通常考えなかったのである。」と、主張している。 しかし、特開平6-64937号公報の段落0007、特開平8-40746号公報の段落0036にみられるごとく、ガラスセラミックに種々の形状を形成しうることは周知であるから、請求人の主張は採用できない。 以上のことから、補正発明は、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際、独立して特許を受けることができないものである。 3.むすび したがって、本件補正は、改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1ないし12に係る発明は、願書に最初に添付された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2.1.(1)に示す請求項1に記載されたとおりである。 2.刊行物等 これに対して、原査定の際にあげられた刊行物及びその記載内容は、上記第2.2.(2)に示したとおりである。 3.対比・検討 本願発明は、補正発明において付加された事項を削除するものである。 そうすると、本願発明も、上記第2.2.(4)と同様の理由により、刊行物発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび したがって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-07-05 |
結審通知日 | 2010-07-06 |
審決日 | 2010-07-27 |
出願番号 | 特願平11-12505 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A47J)
P 1 8・ 121- Z (A47J) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 氏原 康宏 |
特許庁審判長 |
野村 亨 |
特許庁審判官 |
千葉 成就 遠藤 秀明 |
発明の名称 | 感触位置突き止め用起伏部付きガラスセラミック板 |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 渡邉 千尋 |
代理人 | 川口 義雄 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 大崎 勝真 |
代理人 | 金山 賢教 |