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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1228664
審判番号 不服2007-12336  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-04-27 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 平成 7年特許願第175321号「アンテナ調整方法および調整装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年12月22日出願公開、特開平 7-336673〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
第1 経緯

1 手続
本願は、平成7年6月8日(パリ条約による優先権主張1994年6月9日、米国)の出願である。
本件は、本願についてされた拒絶査定(平成19年1月23日付け)を不服とする平成19年4月27日付けで請求された拒絶査定不服審判であり、その後、当審が通知した拒絶理由(平成21年3月27日付け)に対して、手続補正書(平成21年10月6日付け)が提出された。

2 当審が通知した拒絶理由
当審が平成21年3月27日付けで通知した拒絶理由は概略、下記のとおりである。

理 由
イ.この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない。

請求項2について
最終行の「領域の中間」という用語の定義が不明確である為、「領域の中間が使用される」という記載は、領域内に含まれる何れかの部分が使用されることのみを特定しているのか、或いは、領域の中心(センター)が使用されることを特定しているのかが不明である。
そうすると、請求項2には、特許を受けようとする発明の構成に欠くことのできない事項が記載されていないと認めざるを得ない。

ロ.この出願の請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用例1:特開平2-283128号公報
引用例2:特開平2-97142号公報
引用例3:特表平1-501569号公報(予備的に引用する文献)
引用例4:特開昭62-3536号公報(予備的に引用する文献)

第2 本件発明について

1 本件発明
本件の請求項1ないし2に係る発明は、それぞれ、平成21年10月6日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載されたものであると認められるところ、そのうち、請求項2に係る発明(以下、「本件発明」ともいう。)は、下記のとおりのものである。

「【請求項2】 デジタル形式に符号化された情報成分を有する信号を受信するアンテナを調整するアンテナ調整装置であって、
前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段であって、デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号を発生する前記検出手段と、
前記デジタル・エラー訂正が可能であるか否かを示す信号の遷移に応答し、デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域の境界を決定する手段と、を具備し、
前記アンテナを調整するために前記領域のほぼ中間の位置が使用される、アンテナ調整装置。」

2 引用例1の記載
当審の拒絶の理由に引用された特開平2-283128号公報(以下、「引用例1」ともいう。)には、「衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路」(発明の名称)に関して、図面と共に以下の記載がある。

《特許請求の範囲》
(ア:第1頁左下欄第4行?第2頁右上欄第4行)
「2.特許請求の範囲
(1)衛星放送信号を受信するチューナと、このチューナの出力を増幅する中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力から不要な雑音成分を除去するフィルタと、このフィルタの出力を検波するFM検波器と、このFM検波器で検波された映像およびPSK音声信号から映像信号を分離する映像信号分離回路と、この映像信号分離回路の出力を検出する信号検出回路で構成され、衛星放送受信アンテナの向きを回転させて受信可能な二つの限界点を前記信号検出回路の検出信号により求め、同二つの限界点の略中央に衛星放送受信アンテナの向きを調整することを特徴とした衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路。
……(中略)……
(5)衛星放送信号を受信するチューナと、このチューナの出力を増幅する中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力から不要な雑音成分を除去するフィルタと、このフィルタの出力を検波するFM検波器と、このFM検波器で検波された映像およびPSK音声信号をPSK音声信号分離回路に通してPSK音声信号を分離し、この分離されたPSK音声信号を検波器から成る信号検出回路で信号の検出を行い、衛星放送受信アンテナの向きを回転させて受信可能な二つの限界点を前記信号検出回路の検出信号により求め、同二つの限界点の略中央に衛星放送受信アンテナの向きを調整することを特徴とした衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路。
(6)前記信号検出回路が、前記PSK音声信号分離回路に通して分離されたPSK音声信号をPCM符号列のディジタル信号に復調する4相DPSK復調回路と、この4相DPSK復調回路で復調されたPCM符号列のディジタル信号をディジタル音声信号に復調するPCM復調回路から成る請求項(5)記載の衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路。」

《産業上の利用分野》
(イ:第2頁右上欄第6行?第12行)
「〔産業上の利用分野〕
本発明は衛星放送受信チューナおよびこれを内蔵した機器と衛星放送受信アンテナを組み合わせて使用するシステムにおいて、衛星放送受信アンテナ設置時のアンテナ調整用信号を得るために使用する衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路に関する。」

《従来の技術》
(ウ:第2頁右上欄第13行?左下欄第3行)
「〔従来の技術〕
衛星放送受信のためには、アンテナを衛星のある方向に向けて仰角、方位角を正しく調整する必要があるため、第5図に掲げる衛星放送用受信機要部回路構成図のAGC出力端子(6)にテスターを接続し、テスターの指示が最大となる位置に衛星放送受信アンテナの向きを設定している。
あるいはレベルチェッカーを使用し、衛星放送受信アンテナ部に組み込まれているコンバータの出力が、最大となる位置に衛星放送受信アンテナの向きを設定したりしている。」

《発明が解決しようとする課題》
(エ:第2頁左下欄4行?右下欄第8行)
「〔発明が解決しようとする課題〕
衛星放送用受信アンテナは微弱な電波を受信しているためアンテナから受信される雑音と受信システムの内部より発生する雑音の影響を受け、アンテナ調整用信号として使用しているAGC電圧のアンテナの回転による変化量は第1図に示すように理想の信号変化特性とはならず現実の信号変化特性となり、その変化量は指示値の数%程度と小さい。さらに一般のVHF放送用受信アンテナと比較しアンテナの指向特性が非常に鋭く、第3図に示すように衛星の真の方向からのずれは1度以内に抑えることが安定して衛星放送用受信するためには望ましく、このため受信アンテナの設置が非常にやりにくくなっている。
そこで本発明の方式では図2および図4に示すようにアンテナの指向特性が非常に鋭いのを利用して、受信信号より衛星放送信号の有無を検出してデータ処理を行い、その出力をアンテナ調整用信号として使用することにより雑音の影響を排除し指示計の指針を大きく変化させ、衛星のある方向に向けてアンテナの仰角、方位角を調整する際の受信限界点を明確に描かせ、その中心に衛星放送受信アンテナの向きを設定することにより調整が容易に、しかも正確にできるようにすることが本発明の目的である。」

《課題を解決するための手段》
(オ:第2頁右下欄第9行?第3頁左上欄第4行)
「〔課題を解決するための手段〕
第5図の本発明による回路部分を示す区分線(16)で示したような信号検出回路11,12,13,14,15のいずれかを機器に組み込み、FM検波された後の映像およびPSK音声信号を基にして直接、あるいは映像信号分離回路またはPSK音声信号分離回路を経由して信号を信号検出回路に入力し、その回路出力をアンテナ調整用信号出力としたものである。
各々の信号検出回路は、同期分離回路、フィルタ回路、検波回路、増幅器からなるもの、または同期分離回路、モノマルチ回路、コンパレータ回路からなるもの、または増幅器、検波回路、増幅器からなるもの、または4相DPSK復調回路、PCM復調回路、増幅器からなるものを使用している。」

《作用》
(カ:第3頁左上欄第5行?左下欄第6行)
「〔作用〕
FM検波された後の映像およびPSK音声信号を基にして、同期分離回路、フィルタ回路、検波回路、増幅器からなる信号検出回路、または同期分離回路、モノマルチ回路、コンパレータ回路からなる信号検出回路、または増幅器、検波回路、増幅器からなる信号検出回路を使用しているため従来方式とは異なり雑音の影響を受けずに、第2図に示すようにアンテナの回転角の変化に対応して指示計の指針を大きく変化させるようなアンテナ調整用信号出力を発生させることができる。
第3図に示すようにパラボラアンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、パラボラアンテナの中心線が受信可能な限界点に達すると信号検出回路より第2図に示すような出力電圧を発生する。さらにパラボラアンテナを回転させていき、パラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向を通り抜け反対側の受信可能な限界点に達する迄この出力電圧は一定値を保ち、この限界点を過ぎると出力電圧は急激に減少する。
衛星放送受信アンテナの設置時には、アンテナの向きを変えながらこの二つの限界点の設置角度を求め、その角度を2分する中心にアンテナの中心線を合致させることにより正しい方向にアンテナの向きを設定することことができる。
また前記の信号検出回路として4相DPSK復調回路、PCM復調回路、増幅器を使用し、PCM復調回路より得られたPCMエラー信号を増幅することにより、雑音の影響を受けずに、第4図に示すようにアンテナの回転角の変化に対応して指示計の指針を大きく変化させるようなアンテナ調整用信号出力を発生させることができる。
このPCMエラー信号はパラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向に向いている時は殆どなくなるが、アンテナの向きが衛星の方向よりずれると増大する特性を有しており、この特性を利用することにより前記の二つの限界点を求めることができ、衛星放送受信アンテナの設置時には、アンテナの向きを変えながらこの二つの限界点の設置角度を求め、その角度を2分する中心にアンテナの中心線を合致させることにより正しい方向にアンテナの向きを設定することことができる。」

《実施例》
(キ:第3頁左下欄第7行?右下欄第11行)
「〔実施例〕
以下本発明の詳細を一実施例について図面を参照して説明する。
第5図は本発明の実施例を示す要部回路構成図である。衛星放送受信アンテナで受信された信号が同部分に組み込まれているコンバータに導かれ、コンバータで変換された第1中間周波信号が衛星放送用受信機の入力端子(1)に導かれ、チューナ(2)で受信チャンネルが選択され、更に第2中間周波数に変換され、第2中間周波増幅器(3)に出力される。
第2中間周波増幅器(3)でこの信号は増幅され、フィルタ(4)で増幅された信号の雑音成分が除去され、AGC検波回路(5)に出力され、ここで受信信号レベルに応じた直流電圧に変換され、AGC電圧としてチューナ(2)に導かれてゲイン制御用として利用される他、インピーダンス変換増幅器であるバッファ増幅器(7)を通してこの電圧を従来の技術では衛星放送受信アンテナ調整用信号として利用していた。
本発明ではフィルタ(4)で雑音成分が除去された信号をFM検波器(8)で検波を行い、検波され復調された映像およびPSK音声信号を基に各々の信号検出回路で信号の検出を行い、衛星放送受信アンテナ調整用信号を得ている。」

(ク:第4頁左上欄第19行?左下欄第6行)
「第8図は請求項(5)記載の衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路の実施例を示すブロック図である。
FM検波され復調された映像およびPSK音声信号をPSK音声信号を分離するPSK音声信号分離回路(10)に入力し、分離されたPSK音声信号を増幅器(26)で増幅し、増幅した信号をダイオード(27)で検波し、更にコンデンサ(28)により平滑化し直流電圧を発生させる。この直流電圧を増幅器(29)で増幅してアンテナ調整用信号出力として使用する。
第9図は請求項(6)記載の衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路の実施例を示すブロック図である。
前記のPSK音声信号分離回路(10)を通過し、分離されたPSK音声信号を4相DPSK復調回路(30)に導き、ここでPCM符号列のディジタル信号に復調され、この復調された信号がさらにPCM復調回路(31)に導かれ、伝送中に誤ったエラー信号が訂正され送信側の元のディジタル音声信号に復調される。
このエラー信号をPCM復調回路(31)から取り出して増幅器(32)に入力し、必要なレベルに増幅を行いアンテナ調整用信号出力として使用する。
増幅器(21,29,32)はアンテナ調整用信号出力として必要な大きさに増幅するものであって、指示計の指針を充分に振らすことができれば削除することもできる。」

《発明の効果》
(ケ:第4頁左下欄第11行?右下欄第3行)
「〔発明の効果〕
以上のように本発明は、衛星放送受信アンテナの指向特性が非常に鋭いという特徴を利用して、機器に組み込んだ衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路により受信信号中の衛星放送信号の有無を検出してデータ処理を行っているので、雑音の影響を排除し、回路出力により指示計の指針を大きく変化させることが可能であり、衛星放送受信アンテナを回転させることにより受信可能な二つの限界点を明確に描かせ、その限界点を二分する中心に衛星放送受信アンテナを設置することにより、正確に衛星放送受信アンテナの仰角、方位角の設定ができる。」
(引用例1の記載、以上)

3 引用例1に記載された発明
引用例1には、(イ)を産業上の利用分野、(ウ)を従来の技術、(エ)を発明が解決しようとする課題とするものであって、概要、(ア)(オ)(カ)(ケ)である「衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路」(発明の名称)の発明が記載されており、このうち、特に請求項6(ア)に対応するもの(詳細を(キ)(ク)、第9図)から、引用例1に記載された発明(以下、「引用例1発明」ともいう。)を認定する。

(a)アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法
摘示した(ア)?(ケ)、特に(ア)の「(5)……(中略)……衛星放送受信アンテナの向きを回転させて受信可能な二つの限界点を前記信号検出回路の検出信号により求め、同二つの限界点の略中央に衛星放送受信アンテナの向きを調整する」、(イ)の「衛星放送受信チューナおよびこれを内蔵した機器と衛星放送受信アンテナを組み合わせて使用するシステムにおいて、衛星放送受信アンテナ設置時のアンテナ調整用信号を得るために使用する衛星放送受信アンテナ調整用信号検出回路に関する」、(カ)によれば、引用例1には、『衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法』の発明が記載されていることは明らかである。

(b)アンテナを調整するための装置
(1)衛星放送用受信機
摘示した(ウ)の「第5図に掲げる衛星放送用受信機要部回路構成図」、(キ)、(ク)の「FM検波され復調された映像およびPSK音声信号をPSK音声信号を分離するPSK音声信号分離回路(10)に入力し」、及び、第5図、第9図によれば、引用例1には、
「衛星放送受信アンテナで受信された信号がコンバータに導かれ、コンバータで変換された第1中間周波信号が衛星放送用受信機の入力端子(1)に導かれ、チューナ(2)で受信チャンネルが選択され、更に第2中間周波数に変換され、第2中間周波増幅器(3)で増幅され、フィルタ(4)で雑音成分が除去され、FM検波器(8)で検波が行われ、FM検波され復調された映像およびPSK音声信号がPSK音声信号分離回路(10)に入力され、FM検波され復調された映像およびPSK音声信号からPSK音声信号を分離する回路と、
FM検波され復調された映像およびPSK音声信号を基に、衛星放送受信アンテナ調整用信号を出力する信号検出回路E(15)であって、
分離されたPSK音声信号を4相DPSK復調回路(30)に導き、ここでPCM符号列のディジタル信号に復調され、この復調されたPCM符号列のディジタル信号がさらにPCM復調回路(31)に導かれ、PCM復調回路(31)では、伝送中に誤ったエラー信号が訂正され送信側の元のディジタル音声信号に復調されると共に伝送中に誤ったPCMエラー信号が取り出され、PCM復調回路(31)から取り出されたPCMエラー信号を増幅してアンテナ調整用信号出力とする信号検出回路E(15)と、
を備える衛星放送用受信機」
が記載されている。

(2)信号検出回路E(15)と指示計
(カ)の「前記の信号検出回路として4相DPSK復調回路、PCM復調回路、増幅器を使用し、PCM復調回路より得られたPCMエラー信号を増幅することにより、雑音の影響を受けずに、第4図に示すようにアンテナの回転角の変化に対応して指示計の指針を大きく変化させるようなアンテナ調整用信号を出力させることができる。
このPCMエラー信号はパラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向に向いている時は殆どなくなるが、アンテナの向きが衛星の方向よりずれると増大する特性を有しており、この特性を利用することにより前記の二つの限界点を求めることができ」、(ケ)の「回路出力により指示計の指針を大きく変化させることが可能であり、衛星放送受信アンテナを回転させることにより受信可能な二つの限界点を明確に描かせ、その限界点を二分する中心に衛星放送受信アンテナを設置することにより、正確に衛星放送受信アンテナの仰角、方位角の設定ができる。」及び、第4図によれば、
・第9図の信号検出回路E(15)の出力である「アンテナ調整用信号」は、「PCMエラー信号」を増幅したものであるから、「PCMエラー信号」に応じた大きさ(値)を有すること、
・この「アンテナ調整用信号」は、アンテナの回転角の変化に対応してアンテナの向きと衛星の方向の関係により「PCMエラー信号」に応じて増大するか又は殆どなくなっているかの状態となり、これにより、実質上、指示計の指針を大きく振らす状態と指示計の指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態となること、
・アンテナを回転させることにより、指示計は、これら異なる状態間を遷移する境界を「受信可能な二つの限界点」として明確に示すこと、
・「受信可能な二つの限界点」とは、(カ)の「パラボラアンテナの中心線が受信可能な限界点に達すると信号検出回路より第2図に示すような出力電圧を発生する。さらにパラボラアンテナを回転させていき、パラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向を通り抜け反対側の受信可能な限界点に達する迄この出力電圧は一定値を保ち、この限界点を過ぎると出力電圧は急激に減少する。」に記載される「受信可能な限界点」のことと理解されること、
がいえ、これらのことから、
PCMエラー信号が増大している一方の状態のときは、「2個の受信可能な限界点」の外側であるとし、殆どなくなっている他方の状態のときは、「2個の受信可能な限界点」の内側であるとするものといえ、
指示計は、アンテナを回転させることにより、指針を大きく振らす状態と指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態間を遷移する境界を、「2個の受信可能な限界点」として明確に示す手段といえる。

そうすると、引用例1の「信号検出回路E(15)」は、アンテナの回転角の変化に対応してPCMエラー信号に応じた大きさ(値)のアンテナ調整用信号を出力するもので、そのアンテナ調整用信号出力により、
PCMエラー信号が増大している一方の状態のときは、「2個の受信可能な限界点」の外側であるとし、指示計の指針を大きく振らし、
PCMエラー信号が殆どなくなっている他方の状態のときは、「2個の受信可能な限界点」の内側であるとし、指示計の指針をほぼ全く振らさない、という異なる2つの状態となるものであり、
引用例1の「指示計」は、「アンテナ調整用信号」を表示する為の手段で、アンテナを回転させることによって指針を大きく振らす状態と指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態間を遷移する境界を、「2個の受信可能な限界点」として明確に示す手段といえる。

以上によれば、引用例1には、
「アンテナの回転角の変化に対応してPCMエラー信号に応じた大きさ(値)のアンテナ調整用信号を出力する信号検出回路E(15)であって、
その出力により、
PCMエラー信号が増大している一方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の外側であるとし、指示計の指針を大きく振らし、
PCMエラー信号が殆どなくなっている他方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の内側であるとし、指示計の指針をほぼ全く振らさない、
信号検出回路E(15)と、
アンテナ調整用信号出力を受けて、アンテナを回転させることによって指針を大きく振らす状態と指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態間を遷移する境界を、2個の受信可能な限界点として明確に示す指示計と、
を備える装置」
が記載されているということができる。

(3)まとめ
以上によれば、引用例1には、
『衛星放送受信アンテナで受信された信号がコンバータに導かれ、コンバータで変換された第1中間周波信号が衛星放送用受信機の入力端子(1)に導かれ、チューナ(2)で受信チャンネルが選択され、更に第2中間周波数に変換され、第2中間周波増幅器(3)で増幅され、フィルタ(4)で雑音成分が除去され、FM検波器(8)で検波が行われ、FM検波され復調された映像およびPSK音声信号がPSK音声信号分離回路(10)に入力され、FM検波され復調された映像およびPSK音声信号からPSK音声信号を分離する回路と、
FM検波され復調された映像およびPSK音声信号を基に、衛星放送受信アンテナ調整用信号を出力する信号検出回路E(15)であって、
分離されたPSK音声信号を4相DPSK復調回路(30)に導き、ここでPCM符号列のディジタル信号に復調され、この復調されたPCM符号列のディジタル信号がさらにPCM復調回路(31)に導かれ、PCM復調回路(31)では、伝送中に誤ったエラー信号が訂正され送信側の元のディジタル音声信号に復調されると共に伝送中に誤ったPCMエラー信号が取り出され、アンテナの回転角の変化に対応してPCM復調回路(31)から取り出されたPCMエラー信号に応じた大きさ(値)のアンテナ調整用信号を出力し、
その出力により、
PCMエラー信号が増大している一方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の外側であるとし、指示計の指針を大きく振らし、
PCMエラー信号が殆どなくなっている他方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の内側であるとし、指示計の指針をほぼ全く振らさない、
信号検出回路E(15)と、
アンテナ調整用信号出力を受けて、アンテナを回転させることによって指針を大きく振らす状態と指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態間を遷移する境界を、2個の受信可能な限界点として明確に示す指示計と、
を備える装置』
が記載されている。

(c)指示計による2つの受信可能な限界点の指示と、アンテナの向きの設定
(カ)には、アンテナの向きの設定方法が記載されている。
アンテナの向きを設定する手法として、第2図、第3図を参照して「第3図に示すようにパラボラアンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、パラボラアンテナの中心線が受信可能な限界点に達すると信号検出回路より第2図に示すような出力電圧を発生する。さらにパラボラアンテナを回転させていき、パラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向を通り抜け反対側の受信可能な限界点に達する迄この出力電圧は一定値を保ち、この限界点を過ぎると出力電圧は急激に減少する。
衛星放送受信アンテナの設置時には、アンテナの向きを変えながらこの二つの限界点の設置角度を求め、その角度を2分する中心にアンテナの中心線を合致させることにより正しい方向にアンテナの向きを設定することことができる。」とする手法が記載されており、
さらに、このような手法に代わる手法として、第9図の信号検出回路E(15)、特に、PCMエラー信号の上記特性を利用してアンテナの向きを設定する手法が、
「また前記の信号検出回路として4相DPSK復調回路、PCM復調回路、増幅器を使用し、PCM復調回路より得られたPCMエラー信号を増幅することにより、雑音の影響を受けずに、第4図に示すようにアンテナの回転角の変化に対応して指示計の指針を大きく変化させるようなアンテナ調整用信号出力を発生させることができる。
このPCMエラー信号はパラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向に向いている時は殆どなくなるが、アンテナの向きが衛星の方向よりずれると増大する特性を有しており、この特性を利用することにより前記の二つの限界点を求めることができ、衛星放送受信アンテナの設置時には、アンテナの向きを変えながらこの二つの限界点の設置角度を求め、その角度を2分する中心にアンテナの中心線を合致させることにより正しい方向にアンテナの向きを設定することことができる。」と記載されている。
この後者の場合は、第4図に示されるメータの振れ及び上記(b)での検討を踏まえれば、信号検出回路E(15)のPCMエラー信号(「アンテナ調整用信号」も同様)は、
・第3図に示すようにパラボラアンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、パラボラアンテナの中心線が受信可能な限界点に達すると、(指示計の指針を大きく振らす)増大している一方の状態から、急激に(指示計の指針をほぼ全く振らさない)殆どなくなっている他方の状態に遷移し、
・さらにパラボラアンテナを回転させていき、パラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向を通り抜け反対側の受信可能な限界点に達する迄この状態は続き、
・反対側の受信可能な限界点を過ぎると、(指示計の指針をほぼ全く振らさない)殆どなくなっている他方の状態から、急激に(指示計の指針を大きく振らす)増大している一方の状態に遷移するものと理解される。

そして、上記(b)のとおり、
指示計は、「アンテナ調整用信号出力を受けて、アンテナを回転させることによって指針を大きく振らす状態と指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態間を遷移する境界を、2個の受信可能な限界点として明確に示す」ものであるから、
アンテナを、次第に衛星の方向に向けて回転させ、衛星の方向を通り抜けるまで回転させていくと、
指示計は、
一方の受信可能な限界点(一方の受信可能な限界点よりも外側領域→2個の受信可能な限界点に挟まれた領域、に変わる境界)と、
他方の受信可能な限界点(2個の受信可能な限界点に挟まれた領域→他方の受信可能な限界点よりも外側領域、に変わる境界)と、
を明確に示す手段といえ、
指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態から、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態に遷移する位置と、
指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態から、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態に遷移する位置とを、
それぞれ「受信可能な限界点」として明確に示すことになる。

一方、(カ)によると、アンテナ調整者は、
アンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、アンテナの中心線が一方の受信可能な限界点そして衛星の真の方向を通り抜け、反対側の受信可能な限界点を過ぎるまで回転させ、
このアンテナの回転に応じ、指示計によって明確に示された2つの受信可能な限界点から、2つの受信可能な限界点の位置を決定し、
決定された2個の受信可能な限界点の位置を使用して2個の受信可能な限界点の中間位置を求め、
求められた2個の受信可能な限界点の中間位置にアンテナの中心線を合致させるように、アンテナの向きを正しい方向に調整している
といえる。

以上によると、引用例1には、(第9図の)信号検出回路E(15)のPCMエラー信号の特性(パラボラアンテナの中心線が衛星の真の方向に向いている時は殆どなくなるが、アンテナの向きが衛星の方向よりずれると増大する特性)を利用してアンテナの向きを正しい方向に調整する、『アンテナの向きの設定方法として、
アンテナ調整者は、
アンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、アンテナの中心線が一方の受信可能な限界点そして衛星の真の方向を通り抜け、反対側の受信可能な限界点を過ぎるまで回転させ、
このアンテナの回転に応じ、指示計により明確に示された2つの受信可能な限界点、すなわち、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態から、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態に遷移する位置と、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態から、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態に遷移する位置とから、2つの受信可能な限界点の位置を決定し、
決定された2個の受信可能な限界点の位置を使用して2個の受信可能な限界点の中間位置を求め、
求められた2個の受信可能な限界点の中間位置にアンテナの中心線を合致させるように、アンテナの向きを正しい方向に調整する、アンテナの向きの設定方法』
が記載されているといえる。

(e)引用例1発明(引用例1に記載された発明)
上記(a)?(d)によれば、引用例1には、次の「引用例1発明」が記載されていると認められる。

衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法であって、
A:[衛星放送受信アンテナで受信された信号からPSK音声信号を分離する回路]と、
B:[信号検出回路E]と、
C:[指示計]と、
を備える装置を具備し、
上記装置を用いてアンテナの向きを設定する方法が、
D:[アンテナの向きの設定方法]
である、
衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法
であり、
上記A?Dは、
A:[衛星放送受信アンテナで受信された信号からPSK音声信号を分離する回路]は、
「衛星放送受信アンテナで受信された信号がコンバータに導かれ、コンバータで変換された第1中間周波信号が衛星放送用受信機の入力端子(1)に導かれ、チューナ(2)で受信チャンネルが選択され、更に第2中間周波数に変換され、第2中間周波増幅器(3)で増幅され、フィルタ(4)で雑音成分が除去され、FM検波器(8)で検波が行われ、FM検波され復調された映像およびPSK音声信号がPSK音声信号分離回路(10)に入力され、FM検波され復調された映像およびPSK音声信号からPSK音声信号を分離する回路」であり、
B:[信号検出回路E]は、
「FM検波され復調された映像およびPSK音声信号を基に、衛星放送受信アンテナ調整用信号を出力する信号検出回路E(15)であって、
分離されたPSK音声信号を4相DPSK復調回路(30)に導き、ここでPCM符号列のディジタル信号に復調され、この復調されたPCM符号列のディジタル信号がさらにPCM復調回路(31)に導かれ、PCM復調回路(31)では、伝送中に誤ったエラー信号が訂正され送信側の元のディジタル音声信号に復調されると共に伝送中に誤ったPCMエラー信号が取り出され、アンテナの回転角の変化に対応してPCM復調回路(31)から取り出されたPCMエラー信号に応じた大きさ(値)のアンテナ調整用信号を出力し、
その出力により、
PCMエラー信号が増大している一方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の外側であるとし、指示計の指針を大きく振らし、
PCMエラー信号が殆どなくなっている他方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の内側であるとし、指示計の指針をほぼ全く振らさない、
信号検出回路E(15)」であり、
C:[指示計]は、
「アンテナ調整用信号出力を受けて、アンテナを回転させることによって指針を大きく振らす状態と指針をほぼ全く振らさない状態との異なる状態間を遷移する境界を、2個の受信可能な限界点として明確に示す指示計」であり、
D:[アンテナの向きの設定方法]は、
「アンテナ調整者は、
アンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、アンテナの中心線が一方の受信可能な限界点そして衛星の真の方向を通り抜け、反対側の受信可能な限界点を過ぎるまで回転させ、
このアンテナの回転に応じ、指示計により明確に示された2つの受信可能な限界点、すなわち、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態から、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態に遷移する位置と、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態から、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態に遷移する位置とから、2つの受信可能な限界点の位置を決定し、
決定された2個の受信可能な限界点の位置を使用して2個の受信可能な限界点の中間位置を求め、
求められた2個の受信可能な限界点の中間位置にアンテナの中心線を合致させるように、アンテナの向きを正しい方向に調整する、アンテナの向きの設定方法」
である、衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法。

4 対比
本件発明と引用例1発明とを対比する。

(a)「アンテナ調整装置」

引用例1発明の「衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法」は、アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定するものであるから、“アンテナの調整”といえるところ、本件発明の「アンテナ調整装置」も、受信された信号に基づいて(装置自体が)アンテナを調整するものであるから、“アンテナの調整”といえる。
そうすると、引用例1発明と本件発明とは「アンテナの調整」である点で一致するといえる。
もっとも、
「“アンテナの調整”」が、
本件発明では、「(装置自体がアンテナを調整する)アンテナ調整装置」であるのに対し、
引用例1発明では、「アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定する方法」である点、
では相違が認められる。

(b)「デジタル形式に符号化された情報成分を有する信号を受信するアンテナを調整するアンテナ調整装置」

引用例1発明は、「衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法」であり、そのA:[衛星放送受信アンテナで受信された信号からPSK音声信号を分離する回路]において、「衛星放送受信アンテナで受信された信号」は、「コンバータ」、「入力端子(1)」、「チューナ(2)」、「第2中間周波増幅器(3)」、「フィルタ(4)」、「FM検波器(8)」、「PSK音声信号分離回路(10)」を介して「信号検出回路E(15)」に導かれ、「信号検出回路E(15)」では、「PSK音声信号分離回路(10)」で「分離されたPSK音声信号を4相DPSK復調回路(30)に導き、ここでPCM符号列のディジタル信号に復調され」る。
このことから、引用例1発明の「衛星放送受信アンテナで受信された信号」は、「PCM符号列のディジタル信号」を含む信号といえる。
そして、引用例1発明では、この「PCM符号列のディジタル信号」から「送信側の元のディジタル音声信号」が「復調される」ことから、当該「PCM符号列のディジタル信号」は、「ディジタル音声信号」を符号化したものといえ、“デジタル形式に符号化された(音声)情報”ということもできる。
そうすると、引用例1発明の「衛星放送受信アンテナで受信された信号」は、“デジタル形式に符号化された情報”を成分として含む信号といえる。
一方、上記(a)のとおり、引用例1発明の「衛星放送受信アンテナを調整するための装置を用いてアンテナの向きを設定する方法」は、“アンテナの調整”といえる。
以上によると、引用例1発明も、
『デジタル形式に符号化された情報成分を有する信号を受信するアンテナを調整する“アンテナの調整”』
ということができ、この点において本件発明と相違しない。
もっとも、
「アンテナの調整」が、
本件発明では、「(装置自体がアンテナを調整する)アンテナ調整装置」であるのに対し、
引用例1発明では、「アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定する方法」である点、
では相違が認められることは、上記(a)のとおりである。

(c)「前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段であって、デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号を発生する前記検出手段」

引用例1発明のB:[信号検出回路E]における、「PCMエラー信号」を出力する「PCM復調回路(31)」(又は「PCM復調回路(31)」までの回路)は、本件発明における「検出手段」に対応させることができる。

(1)「前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段」
引用例1発明では、B:[信号検出回路E]の「PCM復調回路(31)」において、「4相DPSK復調回路(30)」で復調された、上記「PCM符号列のディジタル信号」(これが、“デジタル形式に符号化された情報”といい得ることは上記のとおりである。)の「エラー信号」が訂正されるのであるから、「PCM復調回路(31)」でなされる訂正は“ディジタル・エラーの訂正”といえる。
「PCM復調回路(31)」から出力される「PCMエラー信号」は、増幅器32に入力されていることからみてディジタル信号とまではいえないが、「PCM復調回路(31)」の内部で上記「PCM符号列のディジタル信号」のディジタル・エラーが訂正される際のディジタル・エラーに基づいて、そのエラーの程度に応じて出力される信号と理解され、
同「PCMエラー信号」は、「PCM符号列のディジタル信号」の“ディジタル・エラー”の程度に応じた信号と普通に理解される。
また、「PCMエラー信号」が「増大している一方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の外側であるとし、指示計の指針を大きく振らし」、
「殆どなくなっている他方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の内側であるとし、指示計の指針をほぼ全く振らさない」のであるから、
「PCMエラー信号」は、『「PCM符号列のディジタル信号」の“ディジタル・エラー”の多さの程度・状態を示す』ものと普通に理解される。
したがって、引用例1発明の、「PCMエラー信号」を出力する「PCM復調回路(31)」は、“PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラー状態を検出”しているということができる。
すなわち、引用例1発明も、『前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段』を備えている。

(2)「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号を発生する前記検出手段」
〈本件発明〉
本件発明でいう「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」について、明細書の記載に照らし検討する。
明細書記載の実施例についての、「QPSKデモジュレータ319」と「FECデコーダ321」に関する下記の記載に照らせば、本件発明でいう「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」とは、実施例における、1ビットのブロックエラー信号であり、このブロックエラー信号は、「QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号の所定ブロック内のエラーの個数」がしきい値より上かまたは下であるかを表すものである。
つまり、「QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号の所定ブロック内のエラーの個数」がしきい値より上かまたは下であるかを表す“ブロックエラー信号”によって、デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを表すものであるから、本件発明でいう「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」とは、「QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号のエラーの個数」に基づくものと考えられる。
ここで、本件発明の「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」とは、「エラーの個数」そのものがしきい値より上かまたは下であるかを表す信号に限定されると認められるものではないが、『QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号のエラーの個数』のような『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいるものと理解できる。

記(本願明細書の記載:
下線は当審で付与。)
「【0024】
サテライト受信機17には局部発振器および混合器(図示せず)を有するチューナ317が設けられており、これによって、アンテナ構体5から受信した複数の信号から適当なキャリア信号を選択するとともに、この選択したキャリアの周波数を低い周波数に変換して、中間周波(IF)信号を発生する。このIF信号は、QPSKデモジュレータ319によって復調され、復調済みデジタル信号が生成される。FECデコーダ321は、この復調済みデジタル信号に含まれているエラー訂正データをデコードし、そして、このエラー訂正データに基づいて、ビデオ,オーディオ、および他の情報を表わす復調済みパケットを訂正する。……(後略)……」
「【0028】
FECデコーダ321は、1ブロックデータ当たり、所定個数のエラーのみを訂正できる。例えば、このFECデコーダ321によって、146バイトのパケット内において、8バイトのエラーのみを訂正することができ、これら146バイト内の16バイトがエラー訂正エンコード用に利用されている。FECデコーダ321によって、1ビットの“ブロックエラー”信号を発生する。このブロックエラー信号は、所定ブロック内のエラーの個数がしきい値より上かまたは下であるかを表わすので、この信号によって、エラー訂正が可能か否かを表わすことができる。このブロックエラー信号は、エラー訂正が可能であるときには第1の論理状態、例えば“0”状態を有し、他方、エラー訂正が不可能であるときには第2の論理状態、例えば“1”状態を有する。このブロックエラー信号を、デジタルデータの各ブロックと共に変更することもできる。」
「【0030】
……(前略)……即ちエラー訂正が不可能である場合には、マイクロプロセッサ337は、次のサーチ周波数を選択するか、あるいは、全てのサーチ周波数のサーチが完了した場合にはトーンバースト、即ちビープ音を発生する。他方、この“ブロックエラー”信号が所定のサンプル数に対して論理“0”状態を有する場合、即ちエラー訂正が可能である場合には、マイクロプロセッサ339は連続音を発生させる。」
(本願明細書の記載、以上)

〈引用例1発明との対比〉
引用例1発明では、「指示計の指針をほぼ全く振らさない状態」は、「PCMエラー信号が殆どなくなっている他方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の内側であるとし、」のときであり、その「2個の受信可能な限界点の内側」とは“受信可能な範囲”に他ならず、
同様に、「指示計の指針を大きく振らす状態」は、「PCMエラー信号が増大している一方の状態のときは、2個の受信可能な限界点の外側であるとし、」のときであり、その「2個の受信可能な限界点の外側」とは“受信可能でない範囲”に他ならないところ、
「PCMエラー信号」は、上記(1)のとおり、『PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示す』ものであるから、
引用例1発明でいう“受信可能”とは、PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号が、殆どなくエラー訂正も十分に行え、衛星放送される映像/音楽等の情報信号を楽しむことができる程度に良好な受信状態のことをいうものと普通に理解でき、“受信状態が良好である”といっても支障はなく、
同様に、引用例1発明でいう“受信可能でない”とは、PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号が、増大していてエラー訂正が十分に行えず、衛星放送される映像/音楽等の情報信号を楽しむことができる程度に良好な受信ができない状態のことをいうものと普通に理解でき、“受信状態が良好ではない”といっても支障はない。
そうすると、引用例1発明の「指示計の指針を大きく振らす状態」である「PCMエラー信号が増大している一方の状態のとき」は、“受信状態が良好ではない”といえ、
同様に、引用例1発明の「指示計の指針をほぼ全く振らさない状態」である「PCMエラー信号が殆どなくなっている他方の状態のとき」は、“受信状態が良好である”といえる。
したがって、「PCMエラー信号」は、PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示す信号であるとともに、受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号であるということができる。
そうすると、引用例1発明の、「PCMエラー信号」を出力する「PCM復調回路(31)」(又は「PCM復調回路(31)」までの回路)は、PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示す信号であるとともに、『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号を発生する検出手段』といえる。

一方、上述のとおり、本件発明の「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」は、『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいるものと理解できるところ、
本件発明でいう『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より下であるとは、エラーが殆どなくエラー訂正が十分に行え、衛星放送される映像/音楽等の情報信号を楽しむことができる程度に良好な受信状態のことをいうものと普通に理解でき、“受信状態が良好である”といっても支障はなく、
同様に、本件発明でいう『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上であるとは、エラーが増大していてエラー訂正が十分に行えず、衛星放送される映像/音楽等の情報信号を楽しむことができる程度に良好な受信ができない状態のことをいうものと普通に理解でき、“受信状態が良好ではない”といっても支障はない。
そうすると、本件発明の「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」とは、受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号ともいい得るものである。

以上によれば、上記(1)で引用例1発明も備えるとした『前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段』は、
『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号を発生する前記検出手段』といい得るものであり、この点において、本件発明と相違しない。

(3)まとめ
引用例1発明と本件発明は、
『前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段であって、受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号を発生する前記検出手段』を具備する点で一致するといえる。
もっとも、
「受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号」が、
本件発明は、「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」(『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいるもの)であるのに対して、
引用例1発明は、「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」である点、
では相違が認められる。

(d)「前記デジタル・エラー訂正が可能であるか否かを示す信号の遷移に応答し、デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域の境界を決定する手段」

(1)本件発明
本件発明の「前記デジタル・エラー訂正が可能であるか否かを示す信号」とは、上記(c)(2)のとおり、『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号』といい得る信号であり、そのようにいうときに『受信状態』の観点から見れば、「デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域」とは、『受信状態が良好であるアンテナ位置の領域』ともいうことができる。
したがって、本件発明の上記手段は、
『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号』の遷移に応答し、『受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界を決定する』ものであるともいうことができる。

(2)引用例1発明
引用例1発明の、上記D:[アンテナの向きの設定方法]を、本件発明の上記手段に対応させることができる。

上記D:[アンテナの向きの設定方法]は、
「アンテナ調整者は、
アンテナを次第に衛星の方向に向けて回転させていき、アンテナの中心線が一方の受信可能な限界点そして衛星の真の方向を通り抜け、反対側の受信可能な限界点を過ぎるまで回転させ、
このアンテナの回転に応じ、指示計により明確に示された2つの受信可能な限界点、すなわち、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態から、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態に遷移する位置と、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態から、指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態に遷移する位置とから、2つの受信可能な限界点の位置を決定し、
決定された2個の受信可能な限界点の位置を使用して2個の受信可能な限界点の中間位置を求め、
求められた2個の受信可能な限界点の中間位置にアンテナの中心線を合致させるように、アンテナの向きを正しい方向に調整する、アンテナの向きの設定方法」
であるところ、
「2個の受信可能な限界点」の間の領域、すなわち、「指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている」アンテナ位置の領域は、「受信可能」なアンテナの回転角の範囲、つまり、『受信状態が良好であるアンテナの位置の領域(回転角の範囲)』ということができる(「受信可能」は「受信状態が良好である」といい得るものであることは、上記(c)(2)のとおりである。)から、
指示計によって『受信状態が良好であるアンテナ位置の領域』およびその『境界』が示され、アンテナ調整者によって『受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界』が決定されることになる。
したがって、上記D:[アンテナの向きの設定方法]は、
指示計の指針を大きく振らす、PCMエラー信号が増大している状態から指示計の指針をほぼ全く振らさない、PCMエラー信号が殆どなくなっている状態への遷移、及び、指示計の指針をほぼ全く振らさない、PCMエラー信号が殆どなくなっている状態から指示計の指針を大きく振らす、PCMエラー信号が増大している状態への遷移に応答し、『受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界を(アンテナ調整者が)決定する』ということもできる。
そして、「PCMエラー信号」は、PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示す信号であるとともに、『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号』であるといい得ることは、上記(c)(2)のとおりである。
そうすると、
引用例1発明の、上記D:[アンテナの向きの設定方法]は、
『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号(PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号)』の遷移に応答し、受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界を決定する』といい得る点において、本件発明の上記手段と相違しない。

(3)まとめ
以上によれば、引用例1発明と本件発明は、
『受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号の遷移に応答し、受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界を決定する』といい得る点、
では相違しない。
もっとも、上記(c)のとおり、
「受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号」が、
本件発明では、「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」であるのに対して、
引用例1発明では、「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」である点、
では相違が認められる。
さらに、この相違点に関連して
「受信状態が良好であるアンテナ位置の領域」が、
本件発明では、「デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域」であるのに対して、
引用例1発明では、「指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっているアンテナ位置の領域」である点、
では相違が認められる。

また、上記(a)において相違が認められるとした点に関連して、
「アンテナ位置の領域の境界を決定し」ているのが、
本件発明では、「アンテナ位置の領域の境界を決定する手段」であるのに対して、
引用例1発明では、「アンテナ調整者」である点、
では相違が認められる。

(e)「前記アンテナを調整するために前記領域のほぼ中間の位置が使用される」

引用例1発明は、上記D:[アンテナの向きの設定方法]によると、
「アンテナ調整者は、
・・・決定された2個の受信可能な限界点の位置を使用して2個の受信可能な限界点の中間位置を求め、
求められた2個の受信可能な限界点の中間位置にアンテナの中心線を合致させるように、アンテナの向きを正しい方向に調整する」ものである。
そうすると、引用例1発明と本件発明とは、ともに『アンテナを調整するために領域のほぼ中間の位置が使用される』ものといえる。
もっとも、上記(d)と同様、「前記領域のほぼ中間の位置が使用される」のが、
本件発明では、「アンテナ調整装置」によって使用されるのに対して、
引用例1発明では、「アンテナ調整者」によって使用される点、
では相違が認められる。

5 一致点・相違点
本件発明と引用例1発明とは、

[一致点]
「デジタル形式に符号化された情報成分を有する信号を受信するアンテナを調整する“アンテナの調整”であって、
前記デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段であって、受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号を発生する前記検出手段と、を具備し、
受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号の遷移に応答し、受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界を決定し、 アンテナを調整するために領域のほぼ中間の位置が使用される、“アンテナの調整”。」

である点で一致し、

[相違点1]
受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号が、
本件発明では、
「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」(『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいうもの)
であるのに対して、
引用例1発明では、
「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」
であり、
受信状態が良好であるアンテナ位置の領域が、
本件発明では、
「デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域」
であるのに対して、
引用例1発明では、
「指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっているアンテナ位置の領域」
である点。

[相違点2]
“アンテナの調整”が、
本件発明では、
「(装置自体がアンテナを調整する)アンテナ調整装置」
であるのに対し、
引用例1発明では、
「アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定する方法」
であり、
アンテナ位置の領域の境界を決定しているのが、
本件発明では、
「アンテナ位置の領域の境界を決定する手段」
であるのに対して、
引用例1発明では、
「アンテナ調整者」
であり、
「前記領域のほぼ中間の位置が使用される」のが、
本件発明では、
「アンテナ調整装置」によって使用される
のに対して、
引用例1発明では、
「アンテナ調整者」によって使用される点。

で相違する。

6 相違点についての検討

(1)相違点1について
(a)[相違点1の克服]
引用例1発明における、(デジタル形式に符号化された情報のデジタル・エラー状態を検出する検出手段が発生する信号であって、その遷移に応答し、受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界を求めるとする信号で、)受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号、すなわち、
「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」を、
「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」(『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいうもの)とし、
引用例1発明における、受信状態が良好であるアンテナ位置の領域、すなわち、
「指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっているアンテナ位置の領域」を、
「デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域」
とすれば、
上記相違点1は克服される。

具体的には、
(i)引用例1発明の前記検出手段、すなわち、B:[信号検出回路E]における「PCMエラー信号」を出力する(が取り出される)「PCM復調回路(31)」(又は「PCM復調回路(31)」までの回路)が発生するとする、
4相DPSK復調回路で復調されたPCM符号列のディジタル信号が入力される(導かれる)PCM復調回路から出力する『PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示す』PCMエラー信号であって、
増大している一方の状態のときは2個の受信可能な限界点の外側であるとし、指示計の指針を大きく振らし、殆どなくなっている他方の状態のときは2個の受信可能な限界点の内側であるとし、指示計の指針をほぼ全く振らさないとするPCMエラー信号を、
「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」(PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度を示す値がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいうもの)とし、
(ii)引用例1発明の、
指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態から指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態への遷移、及び、指示計の指針をほぼ全く振らさないPCMエラー信号が殆どなくなっている状態から指示計の指針を大きく振らすPCMエラー信号が増大している状態への遷移に応答して示された『受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界』を、
「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」の遷移に応答して決定された「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域の境界」
とすることで、上記相違点1は克服される。

(b)[相違点1の克服]の容易想到性
(i)上記4(c)(2)のとおり、本件発明でいう「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」は、『QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号のエラーの個数』に限定されるものではないが、『QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号のエラーの個数』のような『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含んでいるものと理解できるところ、
引用例1発明の「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」も、『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』といい得るものである。

このことについて、引用例1発明と本件発明{4(c)(2)で上記した実施例}とを対応させてみてみると以下のとおりである。
引用例1発明は、4相DPSK復調回路(30)で、PSK音声信号をPCM符号列のディジタル信号に復調し、次段のPCM復調回路(31)で、この復調されたPCM符号列のディジタル信号から、伝送中に誤ったエラー信号を訂正して送信側の元のディジタル音声信号に復調すると共に、伝送中に誤ったエラーに対応する「PCMエラー信号」を出力し、
この「PCMエラー信号」は、前記のとおり、PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すものと言え、これに応じた大きさのアンテナ調整用信号が出力され、その出力により指示計の指針を大きく振らす状態にする、若しくは全く振らさない状態にするものである。
この「PCMエラー信号」は、4相DPSK復調回路(30)で復調されたPCM符号列のディジタル信号における訂正すべきエラーの多寡(多少)を示すものといえ、
引用例1発明の、4相DPSK復調回路(30)、復調されたPCM符号列のディジタル信号、PCMエラー信号は、
本件発明の実施例における、QPSKデモジュレータ319、復調済みデジタル信号、エラーの個数に、それぞれ対応させることができる。
そうすると、4相DPSK復調回路(30)で復調されたPCM符号列のディジタル信号における訂正すべきエラーの多寡(多少)を示すものといい得る、引用例1発明の「PCMエラー信号」は、
本件発明(実施例)の(『QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号のエラーの個数』に限定されるものではないが、『QPSKデモジュレータ319で復調された復調済みデジタル信号のエラーの個数』のような)『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』と変わりはない。

(ii)特開平2-97142号公報(引用例2)
一方、当審の拒絶の理由に引用された特開平2-97142号公報(以下、「引用例2」ともいう。)には、図面と共に以下の記載がある。

(ア:第1頁右下欄第13行?第2頁左上欄第19行)
「〔発明が解決しようとする課題〕
従来のデータ受信装置は以上のように構成されているので、受信データを誤りのないデータとしてデータ処理することができるが、受信状態の良否を知ることができず、特に、受信データがないのか、あるいは受信状態が悪いために受信不可能なのかが分からないなどの問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、受信データの誤り訂正の結果にもとづいて受信状態の良否を報知できるデータ受信装置を得ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
この発明に係るデータ受信装置は、誤り訂正装置で訂正を行った受信データをデータ処理装置で処理可能とし、上記誤り訂正装置による受信データの訂正結果にもとづいて、受信データ判定装置により受信状態の良否を判定し、この判定結果を表示装置で表示するようにしたものである。
〔作用〕
この発明における受信状態判定装置は、誤り訂正装置で訂正する訂正ビット数が、予め設定した基準値を超えたか否か、または誤り訂正を行ったか否か、あるいは誤り訂正ができたか否かなどのデータにもとづいて、その受信データの状態つまり受信状態の良否を判定するように作用し、一方、表示装置はその判定結果を視覚的または聴覚的に報知するように動作する。」

(イ:第2頁左上欄第20行?左下欄第7行)
「〔発明の実施例〕
以下に、この発明の一実施例を図について説明する。第1図において、1は受信データの入力端子、2は受信データの誤り訂正装置、3はデータ処理装置で、これらは第4図に示したものと同様のものである。4は受信状態判定装置で、誤り訂正装置2による誤り訂正結果にもとづき受信状態の良否を判定する。5はCRTなどのディスプレイからなる表示装置であり、その受信状態の判定結果を表示する。
次に動作について説明する。
まず、無線回線により伝送されたデータは、アンテナや受信機を介してディジタルデータに復調され、これが受信データとして、入力端子を通じ誤り訂正装置2に入力される。この誤り訂正装置2では、その受信データに雑音として重畳されている誤りを訂正して、正しい受信データをデータ処理装置3に入力する。
一方、受信状態判定装置4は、誤り訂正装置2で行った訂正結果にもとづいて誤り訂正ビット数を検出し、この誤り訂正ビット数が設定値を超えたか否かを判定し、この判定結果に従って受信状態の良否を判定する。例えば、誤り訂正ビット数が設定値を超えた場合には、受信状態が不良であると判定する。そして、この判定結果は表示装置5に入力されて、文字や画像などでディスプレイ表示され、オペレータ等にその受信状態の良否を知らせることができる。」

(ウ:第2頁左下欄第19行?右下欄第15行)
「なお、上記実施例では無線呼出信号の受信の場合について説明したが、その他の無線データの受信の場合にも適用でき、上記実施例と同様の効果を奏する。
また、上記実施例では受信状態を視覚的に認識できる表示装置に表示する場合について説明したが、聴覚的に認識できるアラームや振動を発生する発生装置を上記表示装置として用いることもでき、上記実施例と同様の効果を奏する。
さらに、上記実施例では、受信状態判定装置4は、誤り訂正装置2で訂正する訂正ビット数が設定値を超えたとき、受信状態を不良と判定する場合について説明したが、誤り訂正装置2において誤り訂正を行ったか否か、あるいは誤り訂正ができたか否かによって、受信状態の良否を判定するようにしてもよく、上記実施例と同様の効果を奏する。」
(引用例2の記載、以上)

〈引用例2に記載された発明〉
上記(ア)?(ウ)によれば、引用例2には、「受信データの誤り訂正の結果にもとづいて受信状態の良否を報知」する「ことを目的とする」「データ受信装置」(ア)であって、「データ受信装置」は、「復調され」た「ディジタルデータ」を「誤り訂正装置2に入力」し、「受信状態判定装置4は、誤り訂正装置2で行った訂正結果にもとづいて誤り訂正ビット数を検出し、この誤り訂正ビット数が設定値を超えたか否か」(イ)「のデータにもとづいて、その受信データの状態つまり受信状態の良否を判定するように作用し、一方、表示装置はその判定結果を視覚的または聴覚的に報知するように動作する」(ア)ことが記載されており、
この受信状態判定装置は、誤り訂正ビット数が設定値を超えなかった場合に受信状態が良好であることを示す状態となり、誤り訂正ビット数が設定値を超えた場合に受信状態が不良であることを示す状態となる判定結果を出力するものといえる。

上記「誤り訂正」は、ディジタルエラーの訂正といえ、
誤り訂正(ディジタルエラーの訂正)によって検出された「誤り訂正ビット数」は、復調されたディジタルデータのエラーの個数に対応するものであり、『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』といっても差し支えなく、
これらのことから、引用例2に記載された発明は、『ディジタルエラーの多さの程度を示す値』といい得る「誤り訂正ビット数」が設定値を超えたか否かのデータに基づいて、受信状態の良否を判定するものであるから、ディジタル的に受信状態の良否を判定するものといえる。

以上によれば、引用例2には、受信状態の良否を判定するという目的のために、復調されたディジタルデータを対象にして、そのエラー個数に対応し、エラーの多さの程度を示す値が設定値を超えたか否かのデータに基づいて、ディジタル的に受信状態の良否を判定する発明が記載されている。

(iii)引用例2に記載された発明の適用の容易性
引用例1発明は、「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」に基づいて受信状態の良否を示すものであるから、引用例1発明も引用例2に記載された発明も、共に、無線受信における受信状態の良否をディジタルエラーに基づいて検出し表示するものである。
引用例1発明は、受信状態の良否をディジタルエラーに基づいて検出するものではあるが、これをディジタル的に判定するものではないところ、引用例2には、引用例1発明と同様の目的である、受信状態の良否を判定するという目的のために、引用例1発明と同様の対象である、復調されたディジタルデータを対象にして、そのエラー個数に対応し、エラーの多さの程度を示す値が設定値を超えたか否かのデータに基づいて、ディジタル的に受信状態の良否を判定する技術が示されていて、引用例2に接した当業者は、「ディジタル的に判定する」点で、引用例1発明よりその良否を明確・直接的に示すことができると考え得ることから、容易にその技術を引用例1発明に適用することを想起するものである。

そして、引用例2発明を引用例1発明に適用しようとする当業者にとって、上記相違点1を克服することは容易である。
すなわち、引用例1発明の「受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号」は、「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」であって、上記(i)のとおり「ディジタルエラーの多さの程度を示す値」といい得るものであるところ、
この「ディジタルエラーの多さの程度を示す値」といい得る引用例1発明の「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」に引用例2に記載された発明を適用して、「ディジタルエラーの多さの程度を示す値」がしきい値より上かまたは下であるかによって受信状態の良否を判定するようにすればよく、このことは当業者にとって容易に想到し得る事項である。

そうすると、本件発明でいう「ディジタルエラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」とは、「ディジタルエラーの多さの程度を示す値」がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号を含むものであるから、引用例1発明の「受信状態が良好であるのか、受信状態が良好ではないのかを示す信号」として、「PCM符号列のディジタル信号のディジタル・エラーの多さの程度・状態を示すPCMエラー信号」に代えて、ディジタルエラーの多さの程度を示す値がしきい値より上かまたは下であるかを表す信号、すなわち、「デジタル・エラーの訂正が可能であるか否かを示す信号」とすることは、当業者が容易になし得ることといえ、
そのようにするとき、引用例1発明の「受信状態が良好であるアンテナ位置の領域の境界」として、「PCMエラー信号が殆どなくなっているアンテナ位置の領域の境界」に代えて、ディジタルエラーの多さの程度を示す値がしきい値より下であるアンテナ位置の領域の境界、すなわち、「デジタル・エラーの訂正が可能であるアンテナ位置の領域の境界」とすることは、当業者にとってごく自然なことである。

以上によれば、上記[相違点1の克服]は、引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得ることである。

(2)相違点2について
(a)[相違点2の克服]
引用例1発明の、“アンテナの調整”、すなわち、
「アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定する方法」を、
「(装置自体がアンテナを調整する)アンテナ調整装置」とし、
引用例1発明の、アンテナ位置の領域の境界を決定(し)するとする
「アンテナ調整者」を、
「アンテナ位置の領域の境界を決定する手段」とし、
引用例1発明の、「アンテナ調整者」によって、「前記領域のほぼ中間の位置が使用される」を、
「アンテナ調整装置」によって、「前記領域のほぼ中間の位置が使用される」とすれば、
上記相違点2は克服される。

(b)[相違点2の克服]の容易想到性
引用例1発明は、「アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定する方法」であり、アンテナ調整者がアンテナを調節するものであるところ、一般的に、装置の自動化は周知の課題であるから、アンテナ調整者がアンテナを調節することに代えて、装置自体がアンテナを自動で調節するようにすることは、何ら困難なく当業者が想起することである。
また、アンテナを調整するための装置において、受信した信号に基づいてアンテナ位置を決定する手段を備え、決定されたアンテナ位置にアンテナの向きを装置自体が自動で調整するアンテナ調整装置は、周知なものに過ぎない{例えば、周知例1:米国特許第5,287,115号(審判請求人が本願明細書中で提示)、周知例2:特開平3-92002号公報、周知例3:特開平4-268474号公報、周知例4:実願昭57-192650号(実開昭59-97488号)のマイクロフィルム、等参照。}ことからみても、引用例1発明において、アンテナ調整者がアンテナを調節することに代えて、装置自体がアンテナを自動で調節するようにすることは、当業者が容易に想到することである。

そうすると、引用例1発明における“アンテナの調整”として、「アンテナを調整するための装置を用いて(アンテナ調整者が)アンテナの向きを設定する方法」に代えて、「(装置自体がアンテナを調整する)アンテナ調整装置」とすることは、当業者が容易になし得ることといえる。
そして、このとき、引用例1発明の「アンテナ位置の領域の境界を決定(し)」するとする「アンテナ調整者」を、「アンテナ位置の領域の境界を決定する手段」とすることは、ごく自然であり、さらに、引用例1発明の、「アンテナ調整者」によって、「前記領域のほぼ中間の位置が使用される」を、「アンテナ調整装置」によって、「前記領域のほぼ中間の位置が使用される」とすることも、ごく自然である。

以上によれば、上記[相違点2の克服]は、前記周知技術に基づいて当業者が容易になし得ることである。

(c)周知例(下線は当審にて付与)
周知例1:米国特許第5,287,115号(翻訳文を併記)
「The present invention generally pertains to broadcast signal receiving systems and is particularly directed to a system for automatically adjusting an apparatus for receiving a broadcast communication signal while the broadcast signal is being received. (本発明は、放送信号の受信装置に係り、特に放送通信信号を受信する受信装置を放送信号が受信されている期間中に調整する自動調整装置に関する。)」
(第1欄第6行?第10行)
「Such fine alignment is achieved by measuring the amplitude of the received signal and realigning the antenna and/or the polarizer from an initial position until the measured signal amplitude is maximized. However, when interference and/or noise also are received over the communication channel, optimum signal reception is not always achieved at the maximum measured signal amplitude.(このような微調整は、受信信号の振幅を測定すると共に、この測定された信号の振幅が最大になるまでアンテナと偏波器の少なくとも一方を初期セッティングから再調整することにより達成される。しかし、通信チャネルに混信とノイズの少なくとも一方が発生したとき、信号受信の最適化が最大の信号振幅により達成されるとは限らない。)」
(第1欄第61行?第2欄第2行)
「Once a signal that has been forward-error-correction coded is received by the receiver 11 on line 32 from the polarizer 16, the processor 22 executes a measurement-and-readjustment processing routine 34 of processing the received signal to measure the channel-bit-error-rate affected parameter of the received signal and causes the controller 10 to provide control signals on line 28 to the actuator 12, on line 30 to the polarizer 16 and on line 31 to the receiver 11 to realign the antenna 14 and the polarizer 16 and to retune the receiver 11 until the measured bit-error-rate-affected parameter is minimized. (前方誤り訂正符号化信号が偏波器16からライン32を介して受信器11により受信されると直ちに、プロセッサ22は、受信された信号を処理して、この受信された信号のチャネルビット誤り率パラメータを測定する測定および再調整の処理ルーチン34を実行する。またプロセッサ22は、アクチュエータ12へのライン28、偏波器16へのライン30および受信器11へのライン31上に制御信号を供給し、アンテナ14と偏波器16を再調整し、測定されたビット誤り率パラメータが最小になるまで受信器11を再同調することをコントローラ10に実行させる。)」
(第3欄第16行?第27行)
「The counter 36 responds to each reset signal 38 by providing the accumulated count of normalizations and resetting the count to zero. Utilization of the path metric normalization rate as the measured channel-bit-error-rate-affected, parameter rapidly provides accurate measurements over a wide range of C/N values for enabling rapid accurate automatic alignment of the antenna 14.(カウンタ36は、リセット信号38毎に、正規化の累積計数値を出力すると共に、この計数値をゼロにリセットする。経路距離正規化率を、測定されたチャネルビット誤り率に関するパラメータとして利用することは、C/N値の広範囲にわたる正確な測定を速やかに実現し、アンテナ14の速やかで正確な自動調整を可能にする。)」
(第3欄第47行?第54行)

周知例2:特開平3-92002号公報
「本発明の目的は、アンテナによる衛星の位置発見が自動的に行われるようにした衛星放送受信アンテナ調整装置を提供することである。」
(第1頁左下欄第7行?第9行)
「制御部44によりギヤボックス39内のモータM1、M2を駆動して、アンテナ1の指向する方向を第3図に示すようにうずまき状に変化させて、衛星のあると思われる方向の範囲全面を走査する。この走査の間、制御部44のカウンタ(図示せず)により方位角と仰角をカウントしながら、各カウント値における受信信号のレベルを取り込み、最大レベルが得られる方位角と仰角をその電圧と共に、更新しながらメモリ(図示せず〉に記憶する。この結果、第3図における開始点Aから終了点Eまでの間に、例えば第5図に示すようにC点で最大電圧が検出された場合には、そのC点の方位角と仰角のデータがメモリに最終的に格納されて残ることになる。よって、この後に、その方位角と仰角のデータで示される方向にギヤボックス39内のモータM1、M2を再度駆動すると、正確に放送衛星を指向するようアンテナが合わせられる。」
(第2頁右上欄第18行?左下欄第15行)

周知例3:特開平4-268474号公報
「この発明は、衛星放送を受信する衛星放送用アンテナの仰角と方位角の設定装置に係り、さらに詳しく言えば、受信地点に応じてアンテナの仰角と方位角を自動的に設定する衛星放送用アンテナ装置に関するものである。」
(段落【0001】)
「アンテナ5にて受信された信号はダウンコンバータ104およびアンプ105を介して電波強度検出する検波器106に入力される。この場合、検波器106はその検波出力の最大値を検出する最大検出部107を含み、同最大検出部107の出力を受けて制御信号発生部108から切替部109を介してアンテナ駆動部101(モータ6,7)に制御信号が供給されるようになっている。」
(段落【0021】)

周知例4:実願昭57-192650号(実開昭59-97488号)のマイクロフィルム
「本考案は自動的にアンテナの方位を電波の最強到来方向に向けるアンテナ方位自動制御装置に関する。」
(第2頁第2行?第4行)
「まず、アンテナローテータ1はある定められたステップ角度でアンテナ11を回転させてゆく。このアンテナ11の回転角度は角度検出器により検出されその角度はA/D変換器2でディジタル信号に変換されてマイクロプロセッサ3に入力される。また、同時にそのアンテナ角度における受信電波信号を受信機20の復調回路16の出力から取り出してA/D変換してマイクロプロセッサ3に入力する。このマイクロプロセッサ3はあらかじめメモリ4に書き込まれた制御プログラムに従って、入力信号を処理し、メモリ4にアンテナ回転角度とそれに対応する信号強度をデータとして記憶してゆく。このアンテナローテータ1が一回転すると、マイクロプロセッサ3は格納した信号強度のデータの中から最強の信号強度に対するアンテナ回転角度を探し出して、読み出し、D/A変換後、アンテナローテータ1を駆動し、アンテナの方向を目的電波の最強到来方向に向ける。」
(第4頁第15行?第5頁第13行)

(3)まとめ(相違点についての検討)
以上のように、[相違点1の克服]も[相違点2の克服]も当業者が容易になし得ることであるところ、これらを合わせて克服することも、当業者が容易になし得ることである。

7 効果等
以上、引用例1発明を出発点として、上記[相違点1の克服]、[相違点2の克服]の克服を行うことで、本件発明の構成に達することになるところ、その克服は当業者が容易になし得ることである。
そして、本件発明の構成は、上記のとおり当業者容易想到であるところ、本件発明の効果は、その容易想到である構成から当業者が予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものでもない。

8 まとめ
したがって、本件発明は、引用例1、2に記載された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第三 むすび
以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は、引用例1、2に記載された発明、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、請求項1について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-13 
結審通知日 2010-07-14 
審決日 2010-07-27 
出願番号 特願平7-175321
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川崎 優矢野 光治  
特許庁審判長 乾 雅浩
特許庁審判官 奥村 元宏
佐藤 直樹
発明の名称 アンテナ調整方法および調整装置  
代理人 青山 耕三  
代理人 木越 力  

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