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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1228665
審判番号 不服2007-13418  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-09 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 特願2005- 2364「店舗管理システム、店舗制御装置および店舗制御方法、管理サーバおよび管理方法、並びにプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 7月20日出願公開、特開2006-190145〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一 手続の経緯
本願は、平成17年1月7日に特許出願したものであって、平成19年4月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年5月9日に拒絶査定不服審判が請求され、同年5月31日に手続補正がなされたものである。


第二 平成19年5月31日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年5月31日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の概要
平成19年5月31日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲が、
「【請求項1】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御装置と、前記店舗に設けられている機器の動作を管理する管理サーバからなる店舗管理システムにおいて、
前記店舗制御装置は、
前記店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を前記管理サーバに送信する第1の送信手段と、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する第1の受信手段と、
前記機器制御情報を表示する表示手段と、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作手段と、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と
を備え、
前記管理サーバは、
前記店舗より送信されてくる前記店舗の現在時刻における環境情報を受信する第2の受信手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された、前記所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報と、前記店舗の現在時刻における環境情報との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記店舗に設けられた機器の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する機器制御情報生成手段と、
前記機器制御情報生成手段により生成された前記機器制御情報を前記店舗に送信する第2の送信手段と
を備える
ことを特徴とする店舗管理システム。
【請求項2】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御装置において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信手段と、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信手段と、
前記機器制御情報を表示する表示手段と、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作手段と、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と
を備えることを特徴とする店舗制御装置。
【請求項3】
前記店舗の環境情報は、店内照度、店外照度、冷蔵庫温度、冷蔵庫開閉回数、入客数、店内温度、店外温度、店内湿度、店外湿度、並びに照明、冷蔵庫、および前記店舗に設けられている機器の消費電力を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の店舗制御装置。
【請求項4】
前記店舗に設けられている機器は、照明、冷蔵庫、またはエアコンディショナを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の店舗制御装置。
【請求項5】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御方法において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信ステップと、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作ステップと、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含むことを特徴とする店舗制御方法。
【請求項6】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御装置を制御するプログラムにおいて、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信ステップと、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作ステップと、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
店舗に設けられている機器の動作を管理する管理サーバにおいて、
店舗より送信されてくる前記店舗の現在時刻における環境情報を受信する受信手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された、前記所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報と、前記店舗の現在時刻における環境情報との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記店舗に設けられた機器の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する機器制御情報生成手段と、
前記機器制御情報生成手段により生成された前記機器制御情報を前記店舗に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする管理サーバ。
【請求項8】
前記店舗の環境情報は、店内照度、店外照度、冷蔵庫温度、冷蔵庫開閉回数、入客数、店内温度、店外温度、店内湿度、店外湿度、並びに前記店舗に設けられた機器の消費電力を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の管理サーバ。
【請求項9】
前記店舗に設けられている機器は、照明、冷蔵庫、またはエアコンディショナを含む
ことを特徴とする請求項7に記載の管理サーバ。
【請求項10】
前記予測手段は、前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記店外照度の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記店外照度を予測し、
前記機器制御情報生成手段は、前記予測手段により予測された前記店外照度と、前記店舗の現在時刻における前記店外照度との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記照明の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報機器制御情報を生成する
ことを特徴とする請求項8および9に記載の管理サーバ。
【請求項11】
前記予測手段は、前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記冷蔵庫温度、前記入客数、および前記冷蔵庫開閉回数の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記冷蔵庫温度を予測し、
前記機器制御情報生成手段は、前記予測手段により予測された前記冷蔵庫温度と、前記店舗の現在時刻における前記冷蔵庫温度との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記冷蔵庫の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する
ことを特徴とする請求項8および9に記載の管理サーバ。
【請求項12】
前記予測手段は、前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記店外温度の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記店外温度を予測し、
前記機器制御情報生成手段は、前記予測手段により予測された前記店外温度と、前記店舗の現在時刻における前記店外温度との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記エアコンディショナの消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する
ことを特徴とする請求項8および9に記載の管理サーバ。
【請求項13】
前記予測手段は、前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記店外温度、店内気温、店外湿度、および店内湿度の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報のうち、前記店外不快指数および店内不快指数を予測し、
前記機器制御情報生成手段は、前記予測手段により予測された前記店外不快指数および前記店内不快指数の差分絶対値と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記エアコンディショナの動作を制御するための機器制御情報を生成する
ことを特徴とする請求項8および9に記載の管理サーバ。
【請求項14】
店舗に設けられている機器の動作を管理する管理サーバの管理方法において、
店舗より送信されてくる前記店舗の現在時刻における環境情報を受信する受信ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップの処理により蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報を予測する予測ステップと、
前記予測ステップの処理で予測された、前記所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報と、前記店舗の現在時刻における環境情報との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記店舗に設けられた機器の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する機器制御情報生成ステップと、
前記機器制御情報生成ステップの処理で生成された前記機器制御情報を前記店舗に送信する送信ステップと
を含むことを特徴とする管理サーバによる店舗の管理方法。
【請求項15】
店舗に設けられている機器の動作を管理する管理サーバを制御するプログラムにおいて、
店舗より送信されてくる前記店舗の現在時刻における環境情報を受信する受信ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を蓄積する蓄積ステップと、
前記蓄積ステップの処理により蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報を予測する予測ステップと、
前記予測ステップの処理で予測された、前記所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報と、前記店舗の現在時刻における環境情報との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記店舗に設けられた機器の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する機器制御情報生成ステップと、
前記機器制御情報生成ステップの処理で生成された前記機器制御情報を前記店舗に送信する送信ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。」

であったものを、

「 【請求項1】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御装置と、前記店舗に設けられている機器の動作を管理する管理サーバからなる店舗管理システムにおいて、
前記店舗制御装置は、
前記店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を前記管理サーバに送信する第1の送信手段と、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する第1の受信手段と、
前記機器制御情報を表示する表示手段と、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作手段と、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と
を備え、
前記管理サーバは、
前記店舗より送信されてくる前記店舗の現在時刻における環境情報を受信する第2の受信手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積されている過去数日、および過去数年の同日の現在時刻における前記店舗の環境情報の統計処理結果に基づいて、前記現在時刻より所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報を予測する予測手段と、
前記予測手段により予測された、前記所定の時間だけ先の時刻における前記店舗の環境情報と、前記店舗の現在時刻における環境情報との差分を求め、前記差分と所定の閾値とを比較し、比較結果に基づいて、前記店舗に設けられた機器の消費電力を制御するための動作を指示する前記機器制御情報を生成する機器制御情報生成手段と、
前記機器制御情報生成手段により生成された前記機器制御情報を前記店舗に送信する第2の送信手段と
を備える
ことを特徴とする店舗管理システム。
【請求項2】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御装置において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得手段と、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信手段と、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信手段と、
前記機器制御情報を表示する表示手段と、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作手段と、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と
を備えることを特徴とする店舗制御装置。
【請求項3】
前記店舗の環境情報は、店内照度、店外照度、冷蔵庫温度、冷蔵庫開閉回数、入客数、店内温度、店外温度、店内湿度、店外湿度、並びに照明、冷蔵庫、および前記店舗に設けられている機器の消費電力を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の店舗制御装置。
【請求項4】
前記店舗に設けられている機器は、照明、冷蔵庫、またはエアコンディショナを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の店舗制御装置。
【請求項5】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御方法において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信ステップと、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作ステップと、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含むことを特徴とする店舗制御方法。
【請求項6】
店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御装置を制御するプログラムにおいて、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信ステップと、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作ステップと、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム」

とするものであり、

補正前の請求項1の「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と」を「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と」と減縮し、補正前の請求項2の「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と」を「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と」と減縮し、補正前の請求項5の「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと」を「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと」と減縮し、補正前の請求項6の「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと」を「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと」と減縮する補正とを含むものである。

2 補正の適否(新規事項の追加)
本出願当初明細書には、

「 【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した手法においては、機器により消費される電力(需要電力)が予測され、契約料金により設定される消費電力の上限を超えると判断されると、消費電力が、その上限を超えないように消費電力が調整されるように制御されている。
【0007】
しかしながら、電力調整に必要な処理を効率よく制御することはしていないため、例えば、冷蔵庫においては、消費電力の上限を超えないように運転させるために、必要に応じて、設定温度が上昇してしまう恐れがあり、そのような場合、必ずしも管理すべき食品に対して適正な温度を維持することが保証されなくなるという課題があった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、店舗に設けられた機器の動作状況を予測するとともに、さらに、予測される状況に応じて、予め適正な対応を指示することにより、店舗に設けられた各機器を効率よく、かつ、安定的に管理できるようにするものである。」

及び、

「【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以降、図を参照しながら、本発明にかかる店舗管理システムについて説明する。まず、図1,図2を参照して、全体の概要について説明する。
【0035】
図1は、本発明に係る店舗管理システムの一実施の形態の構成を示す図である。
【0036】
管理センタ1は、複数の店舗2-1乃至2-nを管理運営する機関である。より具体的には、管理センタ1は、例えば、全国展開するチェーン店の本社であり、各店舗2-1乃至2-nに対して、各種の指示を送る。尚、以降において、店舗2-1乃至2-nのそれぞれを特に区別する必要がない場合、単に店舗2と称するものとし、それ以外の構成についても同様に称するものとする。
【0037】
管理センタ1の管理サーバ11は、各店舗2のセンサ21より送信されてくる店舗の環境情報に基づいて、店舗2に設けられている各機器23の制御情報を生成し、各店舗2の制御部22に送信する。各店舗2の制御部22は、管理サーバ11より供給される制御情報に基づいて、機器23の動作を制御する。
【0038】
機器23は、例えば、照明、冷蔵庫、または、エアコンなどである。また、ここでいう環境情報とは、例えば、店外照度、店内照度、冷蔵庫温度、冷蔵庫開閉回数、入客数、店外温度、店内温度、店外湿度、店内湿度、並びに、照明、冷蔵庫、またはエアコンの消費電力である。管理サーバ11は、各機器23に応じて、これらの環境情報を適宜利用して、制御情報を生成する。
【0039】
制御情報には、今現在の情報に基づいて、制御情報を生成する、いわゆるフィードバック制御情報と、今現在の情報を含めた過去の環境情報に基づいて、予め所定の時間だけ先の時刻における状況を予測して制御情報を生成するフィードフォワード制御情報がある。管理サーバは、いずれの制御情報も並列に生成する。このような処理により、フィードフォワード制御情報により予想される事態に対応した処理を事前に回避できるようにさせることができ、さらに、フィードフォワード制御情報により回避できなかった事態に対して、フィードバック制御情報で対応させることが可能となる。
【0040】
次に、図2のフローチャートを参照して、店舗2と管理サーバ11とからなる店舗管理システムによる店舗管理処理について説明する。尚、図2においては、図中の左部が、店舗2による店舗管理処理を示し、中央部が、管理サーバ11によるフィードフォワード制御による店舗管理処理を示し、さらに、図中の右部が管理サーバ11によりフィードバック制御による店舗管理処理を示している。
【0041】
ステップS1において、センサ1は、環境情報を計測し、計測結果を管理サーバ11に供給する。
【0042】
ステップS11において、管理サーバ11は、店舗2より送信されてきた環境情報を自らの図示せぬ蓄積部に蓄積させる。すなわち、この処理により、各店舗毎の環境情報が蓄積されていく。
【0043】
ステップS12において、管理サーバ11は、蓄積部に蓄積されている環境情報に基づいて、今現在の時刻よりも所定の時間だけ先の時刻における環境情報を予測する。さらに、ステップS13において、管理サーバ11は、予測結果である環境情報に基づいて、各機器の動作に対して事前にすべき制御の内容を判断する。
【0044】
ステップS14において、管理サーバ11は、判断結果としての各機器の制御情報に基づいて、店舗2の従業員に対して各機器の動作を制御するための指示情報をアナウンス情報として生成し、店舗2に送信する。
【0045】
ステップS2において、店舗2の制御部22は、図示せぬ表示部や音声出力部により店舗2の従業員に対して、予測される環境情報に対応するための指示情報をアナウンスする。
【0046】
ステップS15において、管理サーバ11は、店舗2の機器23を直接制御するための機器制御情報を生成して、店舗2に送信する。
【0047】
ステップS3において、制御部22は、管理サーバ11より送信されてきた機器制御情報に基づいて、機器23の動作を制御させる。
【0048】
以上の処理により、予測される環境情報に対応した処理を機器に予め指示することが可能となる。例えば、予測される環境情報としては、例えば、大量の入店客により冷蔵庫の扉の開閉が多くなり、冷蔵庫温度が上昇してしまうことが予測されるような場合、冷蔵庫温度が上昇し、消費電力が大きくなると予測される時刻の所定の時間だけ前の時刻で、通常の設定温度よりも下げて運転させることにより、扉の開閉回数が増えても食品を維持管理するために必要な温度を維持しつつ、温度上昇に伴う電力消費を低減させることが可能となる。また、予測されるものは環境情報を扱ったものであればよいので、必ずしも環境情報を予測するだけではなく、例えば、機器23の故障(消費電力に比して、設定温度にまで冷却できないといった現象から予測される事象)などを予測し、アナウンスするようにしてもよい。さらに、環境情報としては、上述したものに限らず、店舗2に設けられている機器の制御に影響しそうな要素を加えてもよく、例えば、イベントの期日を蓄積しておき、イベントの催される期日の入店客数の増加を見込んで、環境情報を予測するようにしても良い。
【0049】
また、フィードバック処理としては、ステップS21において、管理サーバ11は、店舗2のセンサ21より送信されてきた今現在の環境情報に基づいて、各機器23の動作に対して今現在すべき制御内容を判断する。
【0050】
ステップS22において、管理サーバ11は、ステップS21の判断結果である制御内容に応じてアナウンス情報を生成し、店舗2に送信する。さらに、ステップS23において、管理サーバ11は、判断結果である制御情報に基づいて、各機器23に対応する機器制御情報を生成し、店舗2に送信する。
【0051】
以上のような処理により、上述したフィードバック制御情報に基づいて、例えば、フィードフォワード制御により予測通りに制御できなかったような場合、その時点での環境情報に基づいて、各機器23に対しての制御情報を補正することが可能となり、予測に反した事態が発生しても対応することが可能となる。」
と記載されていることから、店舗2の制御部22は、表示部や音声出力部により店舗2の従業員に対して、予測される環境情報に対応するための指示情報をアナウンスすること(アナウンス処理S2)、制御部22は、管理サーバ11より送信されてきた機器制御情報に基づいて、機器23の動作を制御させること(機器制御処理S3)により、予測される環境情報に対応した処理を機器に予め指示することが可能となることは開示されているといえる。

そこで、「機器制御情報」および「(アナウンスの後、従業員の操作によって生じる)機器操作情報」に基づいて、機器の消費電力を制御するように機器を動作させる「動作制御手段」に関して、更に、検討すると、本出願当初明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「本出願当初明細書等」という。)には、

「【0053】
図3は、店舗2の詳細な構成を示す図である。
【0054】
店舗2の店舗制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)からなる、いわゆるマイクロコンピュータであり、店舗2の動作の全体を制御する。
【0055】
また、店舗制御部31は、通信部32を介して管理サーバ11より送信されてくる店舗2に設けられている機器の制御内容についてアナウンス情報を取得すると、表示部33に表示する(または、図示せぬスピーカなどで音声によりアナウンスする)。さらに、操作部34が店舗の従業員により操作されると、店舗制御部31は、操作内容に応じた制御信号を各機器(照明36、冷蔵庫37、エアコン38)に対して発生し、機器動作部35に供給する。
【0056】
さらに、店舗制御部31は、通信部32を介して管理センタ1の管理サーバ11より送信されてくる機器制御情報に基づいて、各機器に対して制御信号を各機器(照明36、冷蔵庫37、エアコン38)に対して発生し、機器動作部35に供給する。店舗制御部31は、通信部32より供給される店内照度、店外照度、冷蔵庫温度、冷蔵庫開閉回数、入客数、店内温度、店外温度、店内湿度、店外湿度、並びに照明36、冷蔵庫37、およびエアコン38のそれぞれの消費電力を表示部33に表示させ、現状の店舗の各機器の動作状況、および店舗の状況を表示させる。
【0057】
尚、図3の構成においては、店舗制御部31は、アナウンス情報に基づいて、各機器の制御方法について、表示部33にアナウンスすると共に、機器を制御する制御信号を発生して、機器動作部35に供給する構成であるものとして説明するが、いずれか一方の処理のみ、すなわち、アナウンスのみ、または、機器の制御信号の発生のみを実現するようにしても良いことは言うまでもない。すなわち、店舗制御部31は、アナウンスにより店舗2の各機器について推奨管理方法を提示するように管理しても良いし、アナウンスなどをせず、店舗2の各機器を推奨状態に動作させるように管理してもよい。
【0058】
機器動作部35は、店舗制御部31より供給される制御信号に基づいて、店舗2に設けられている機器である照明36、冷蔵庫37、およびエアコン38の動作を制御する。
【0059】
照明36は、店舗2内の売り場を初めとする全領域を照らす、例えば、Hfインバータ(高周波点灯インバータ)タイプの照明であり、機器動作部35より供給される制御信号に基づいて、最低照度(L-min)乃至最高照度(L-max)までの範囲で照度を変化させ、照度に合わせて消費電力を変化させる。尚、照明36は、上述したHfインバータタイプの他に、一定照度の蛍光灯などから構成されるものであっても良い。ただし、このような場合、照度を調節するため、例えば、蛍光灯の総数のうち、間引いて点灯させるなどして、照度と消費電力を調整できることが前提となる。
【0060】
冷蔵庫37は、店舗2内の売り場などに設けられている陳列用の冷蔵庫や、保管用の冷蔵庫を含むものであり、機器動作部35により供給される制御信号に基づいて、所定の設定温度を維持するように動作する。
【0061】
エアコン38は、店舗2内の売り場などに設けられている空調設備であり、機器動作部35より供給される制御信号に基づいて、所定の設定温度を維持するように動作する。
【0062】
店内照度センサ39、および、店外照度センサ40は、店舗2における店内、および、店外(店舗2の周辺)の照度をそれぞれ計測し、計測した店内照度および店外照度の情報をそれぞれ通信部32に供給する。冷蔵庫温度センサ41は、冷蔵庫37内の温度を冷蔵庫温度として計測し、通信部32に供給する。冷蔵庫開閉センサ42は、時間当たりの冷蔵庫37の扉が開閉された回数を計測し、計測した扉が開閉される冷蔵庫開閉回数を通信部32に供給する。入客数カウンタ43は、店舗2の入口または出口から入店した客数、または出店した客数をカウントし、入客数として通信部32に供給する。店内温度センサ44および店外温度センサ45は、店内、または、店外(店舗2の周辺)の気温を計測し、それぞれ計測結果を通信部32に供給する。店内湿度センサ46、および、店外湿度センサ47は、それぞれ店内および店外の湿度を計測し、計測結果を通信部32に供給する。消費電力計測部48は、照明36、冷蔵庫37、およびエアコン38のそれぞれの消費電力を計測し、計測結果を通信部32に供給する。
【0063】
通信部32は、店内照度センサ39、店外照度センサ40、冷蔵庫温度センサ41、冷蔵庫開閉センサ42、入客数カウンタ43、店内温度センサ44、店外温度センサ45、店内湿度センサ46、店外湿度センサ47、および消費電力計測部48より供給される店内照度、店外照度、冷蔵庫温度、冷蔵庫開閉回数、入客数、店内温度、店外温度、店内湿度、店外湿度、並びに照明36、冷蔵庫37、およびエアコン38のそれぞれの消費電力の情報を管理センタ1の管理サーバ11に送信すると共に、店舗制御部31に供給する。また、通信部32は、管理サーバ11より送信されてくるアナウンス情報、および機器制御信号を受信すると、店舗制御部31に供給する。
【0064】
ドライブ61は、磁気ディスク71、光ディスク72、光磁気ディスク73、或いは半導体メモリ74などが挿入されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。店舗制御部31は、取得されたプログラムやデータは、必要に応じて、図示せぬ記憶部に転送し、記憶する、または、実行する。」

と記載されているように、「操作部34が店舗の従業員により操作されると、店舗制御部31は、操作内容に応じた制御信号を各機器(照明36、冷蔵庫37、エアコン38)に対して発生し、機器動作部35に供給する」こと及び「店舗制御部31は、通信部32を介して管理センタ1の管理サーバ11より送信されてくる機器制御情報に基づいて、各機器に対して制御信号を各機器(照明36、冷蔵庫37、エアコン38)に対して発生し、機器動作部35に供給する」ことは開示されているといえるものの、
「機器制御情報」に関連した、「機器操作情報」の入力の有無に基づく具体的な処理形態について、すなわち、「前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い」、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段についても、「前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い」、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップについても、何ら記載されていないし、該具体的な処理形態について、示唆がされているとはいえない。
また、「機器制御情報」に関連した、「機器操作情報」の入力の有無に基づく具体的な処理形態は、当業者が、自ら見出した課題に基づいて個別に設計すべきものであり、「前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い」、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段も、「前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い」、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップも、選択肢の1形態であるとしても、本出願当初明細書等のすべての記載から、自明であるとまではいえない。

したがって、請求項1、2において、「前記操作手段により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作手段により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い」、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御手段と補正すること、請求項5、6において、「前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い」、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと補正することは、本出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

以上のことから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 補正の適否(独立特許要件)
仮に、本件補正が、本出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないとしても、当審は、本件補正が、特許請求範囲の減縮を目的とするものであると認定するところ、本願補正後の請求項5に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合する。)といえないと判断する。以下に説明する。

1.本願補正発明
本願補正発明は、次のとおりのものである。

「店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御方法において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信ステップと、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作ステップと、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含むことを特徴とする店舗制御方法。」

2.引用例
(1)引用例1
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-295940号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(あ)「【0009】〔1〕店舗内機器監視システムの構成の説明
【0010】図1は、店舗内機器監視システムの構成を示している。
【0011】店舗内機器監視システムは、複数のコンビニエンスストア等の店舗1と、各店舗1へ省電力化アドバイス情報を提供する監視センタ2とからなる。
【0012】店舗1には、店舗内の各機器の運転状態、各種計測器の計測値を総合的に監視するとともに、各機器を制御するためのコントローラ10が設置されている。監視センタ2には、監視用パーソナルコンピュータ(監視用PC)20が設置されている。
【0013】各店舗1内のコントローラ10は、その店舗1内の各機器とネッワーク接続されている。また、各店舗1内のコントローラ10は、公衆回線(アナログ電話回線、ISDN等)3を介して、監視センター2内の監視用PC20に接続されている。
【0014】〔2〕店舗内の機器構成の説明
【0015】図2は、各店舗内の機器構成を示している。
【0016】店舗内の機器としては、この例では、太陽電池31、照明機器32、空調機器(エアコン)33、冷凍機器(冷凍ショーケース、コンプレッサを含む)34、冷蔵機器(冷蔵庫)35、生ゴミ処理機36および店舗出入口用扉(自動扉)37が設けられている。これらの各機器は、コントローラ10にネットワーク接続されている。
【0017】また、計測器としては、この例では、太陽電池31の生成電力計測器41、各機器の消費電力計測器42、店内照度計測器43、店外照度計測器44、店内温度計測器45、店外温度計測器46、冷凍機器34の庫内温度計測器(冷凍ショーケースの庫内温度計測器)47、冷蔵機器35の庫内温度計測器48、自動扉37の開閉回数を計数する扉開閉回数カウンタ48等が設けられている。これらの各計測器は、コントローラ10に接続されている。」(3頁3欄18行?4欄3行)

(い)「【0018】〔3〕店舗監視システムの動作の概要説明
【0019】各店舗1内のコントローラ10は、その店舗1内の各機器に関する情報、各種計測器の計測値を公衆回線3を介して、監視センター2内の監視用PC20に送信する。監視用PC20は、各店舗1内のコントローラ10から送られてきたデータに基づいて、各店舗毎に消費電力を低減させるための省電力化アドバイス情報を作成して対応するコントローラ10に送信する。各店舗1内のコントローラ10は、監視用PC20から送られてきた省電力化アドバイス情報をコントローラ10のモニタに表示する。ユーザは、モニタに表示された省電力化アドバイス情報に基づいてコントローラ10を操作することにより、各機器の消費電力制御を行なう。
【0020】店舗の電力の大部分は、照明機器32、空調機器(エアコン)33、冷凍機器(冷凍ショーケース)34および冷蔵機器(冷蔵庫)35に依存するため、監視用PC20は、これらの機器について次のような省電力化アドバイス情報を生成して、コントローラ10に提供する。
【0021】(1)照明機器32
監視用PC20は、店外照度および天気予報のデータに基づいて1日分の店外照度予測を行ない、店外照度予測結果に基づいて、照明機器32を効率的に駆動するための省電力化アドバイス情報を提供する。
【0022】(2)空調機器(エアコン)33
通常、空調機器は、店内温度および店内湿度のみに基づいて運転制御が行なわれている。監視センター2内の監視用PC20は、店内温度、店外温度、天気予報のデータとともに、店内温度に影響を与える他の要因をも考慮して、空調機器33を効率的に運転するための省電力化アドバイス情報を提供する。
【0023】ここで、店内温度に影響を与える他の要因には、冷凍機器(冷凍ショーケース)34の庫内温度、単位時間当たりの自動扉37の開閉回数がある。
【0024】(3)冷凍機器34または冷蔵機器35
たとえば、冷凍機器34については、監視用PC20は、空調機器33の設定温度、店内温度を考慮して、電磁弁の開閉、コンプレッサの出力を効率的に制御するための省電力化アドバイス情報を提供する。
【0025】なお、太陽電池31および生ゴミ処理機36については、監視用PC20は、運転の監視のみ行い、これらの機器が故障した場合の警報をコントローラ10から受信する。
【0026】〔4〕照明機器32に対する省電力化アドバイス情報の生成方法についての説明
【0027】図3を参照して、照明機器32に対する省電力化アドバイス情報の生成方法について、具体的に説明する。ここでは、所定の1つの店舗1内の照明機器32に対する省電力化アドバイス情報の生成方法について説明する。
【0028】所定の店舗1内において、ユーザは、コントローラ(店内コントローラ)10に対して希望照度(希望店内照度)を設定する(ステップ1)。コントローラ10は、店外照度計測器44から店外照度計測値を取得する(ステップ2)。そして、コントローラ10は、ユーザによって設定されている設定照度、取得した店外照度計測値を監視センター2内の監視用PC20に送信する(ステップ3)。このような処理は、所定時間毎に実行される。
【0029】監視センター2内の監視用PC20は、コントローラ10から設定照度および店外照度計測値データを受信すると(ステップ11)、それらを記憶装置に記憶する(ステップ12)。
【0030】そして、それまでに受信した設定照度および店外照度計測値データと、天気予報データとに基づいて、明日1日分の店内照度調整レベルの算出処理を行なう(ステップ13)。
【0031】店内照度調整レベルの算出処理について説明する。監視用PC20は、天気予報データと、上記所定の店舗1内のコントローラ10から送られてきた店外照度計測値データとに基づいて、図4に示すように、日付、時間、降水確率および店外照度データを記憶した照度予測用データベースを作成する。
【0032】明日の天気予報から明日の降水確率を取得し、照度予測用データベースの中から、降水確率が明日の降水確率と同じである過去の数日分の店外照度データを新しいものから順に抽出する。そして、抽出した数日分の店外照度データのうち、同じ時刻のものどうしの平均値をそれぞれ算出することにより、図5にAで示すように、明日1日分の時間に対する店外照度予測値を算出する。
【0033】次に、明日1日分の時間に対する店外照度予測値と、受信した設定照度とに基づいて、図5にBで示すように、明日の時刻毎の店内照度調整レベル(推奨照度レベル)を決定する。つまり、設定照度を最上の店内照度調整レベル(レベル4)として、4種類の店内照度調整レベル(レベル1?4)を用意する。そして、店外照度予測値が高くなるほど、店内照度調整レベルが低くなるように、店内照度調整レベルを決定する。
【0034】また、設定照度レベルとなるように照明機器を終日運転させた場合と、決定した時刻毎の店内照度調整レベルとなるように照明機器を終日運転させた場合との消費電力の差に応じた電気料金を計算する。
【0035】監視用PC20は、このようにして得られた明日1日分の推奨照度レベル等のデータを、上記所定の店舗1内のコントローラ10に送信する(ステップ14)。コントローラ10は、監視用PC20からの推奨照度レベル等のデータを受信すると(ステップ4)、それらのデータを加工して制御当日に画面表示する(ステップ5)。この画面例を図6に示す。ユーザは、表示された内容を参考にして、コントローラ10を操作することにより、照明機器12を制御する。」(3頁4欄4行?4頁6欄6行)

(う)【0036】〔5〕空調機器33に対する省電力化アドバイス情報の生成方法についての説明
【0037】図7を参照して、空調機器33に対する省電力化アドバイス情報の生成方法について、具体的に説明する。ここでは、所定の1つの店舗1内の空調機器33に対する省電力化アドバイス情報の生成方法について説明する。
【0038】所定の店舗1内において、ユーザは、コントローラ(店内コントローラ)10に対して希望温度(希望店内温度)を設定する(ステップ101)。コントローラ10は、店内温度計測器45、店外温度計測器46および冷凍機器34の庫内温度計測器47から、店内温度計測値、店外温度計測値および庫内温度計測値(冷凍ショーケースの庫内温度計測値)を取得するとともに、扉開閉回数カウンタ49から扉開閉回数を取得する(ステップ102)。そして、コントローラ10は、ユーザによって設定されている設定温度、取得した店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値および扉開閉回数を監視センター2内の監視用PC20に送信する(ステップ103)。このような処理は、所定時間毎に実行される。
【0039】監視センター2内の監視用PC20は、コントローラ10から店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値およ扉開閉回数を受信すると(ステップ111)、それらを記憶装置に記憶する(ステップ112)。
【0040】そして、それまでに受信した店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値および扉開閉回数と、天気予報データとに基づいて、明日1日分の店内温度調整レベルの算出処理を行なう(ステップ113)。
【0041】店内温度調整レベルの算出処理について説明する。監視用PC20は、天気予報データと、上記所定の店舗1内のコントローラ10から送られてきた店内温度計測値データとに基づいて、図8に示すように、日付、時間、店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値、単位時間当たりの扉開閉回数および天気を記憶した温度予測用データベースを作成する。時刻tの間隔Δtは、例えば10分である。
【0042】時間t+1での店内温度予測値(t+1)を、それよりΔtだけ前の時間tでの店内温度(t) 、店外温度(t) 、庫内温度(t)および単位時間当たりの扉開閉回数(t)を用いて、次式(1)のように定義する。
【0043】
時間t+1での予測店内温度予測値(t+1)=a×店内温度(t)+b×店外温度(t)+c×庫内温度(t)+d×単位時間当たりの扉開閉回数(t) …(1)
【0044】上記式(1)において、a、b、c、dは、係数である。過去1年間のデータに基づいて、重回帰分析によって、各係数a、b、c、dを算出する。
【0045】次に、明日の天気予報から明日の天気を取得し、温度予測用データベースから天気が明日の天気と同じである過去の数日分のデータを新しいものから順に抽出する。そして、抽出した数日分のデータから、店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値、単位時間当たりの扉開閉回数毎に、同じ時刻のものどうしの平均値を算出する。これにより、図9に示すように、1日の時刻毎に、店内温度計測値(平均値)、店外温度計測値(平均値)、庫内温度計測値(平均値)および単位時間当たりの扉開閉回数(平均値)のデータが得られる。
【0046】得られた1日の時刻毎のデータ{店内温度計測値(平均値)、店外温度計測値(平均値)、庫内温度計測値(平均値)、単位時間当たりの扉開閉回数(平均値)}を、上記式(1)に代入して、次の時刻での店内温度予測値を算出する。これにより、図10のAに示すように、明日1日分の時間に対する店内温度予測値が得られる。
【0047】次に、明日1日分の時間に対する店内温度予測値と、受信した設定温度とに基づいて、図10にBで示すように、明日1日分の時刻毎の店内温度調整レベル(推奨温度レベル)を決定する。つまり、設定照度を最上の店内温度調整レベル(レベル4)として、4種類の店内温度調整レベル(レベル1?4)を用意する。そして、店内温度予測値が高くなるほど、店内温度調整レベルが低くなるように、店内温度調整レベルを決定する。
【0048】また、設定温度となるように空調機器33を終日運転させた場合と、決定した時刻毎の店内温度調整レベルとなるように空調機器33を終日運転させた場合との消費電力の差に応じた電気料金を計算する。
【0049】監視用PC20は、このようにして得られた明日1日分の推奨温度レベル等のデータを上記所定の店舗1内のコントローラ10に送信する(ステップ114)。
【0050】コントローラ10は、監視用PC20からの推奨温度レベル等のデータを受信すると(ステップ104)、それらのデータを加工して制御当日に画面表示する(ステップ105)。この画面例を図11に示す。ユーザは、表示された内容を参考にして、コントローラ10を操作することにより、空調機器33を制御する。」(4頁6欄7行?5頁8欄6行)


引用例1の上記記載(あ)?(う)及び図面図1?図11の記載から、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「店舗内の各機器の運転状態、各種計測器の計測値を総合的に監視するとともに、各機器を制御するためのコントローラ10により、店舗に設けられている機器の消費電力制御を行なう方法において、
ユーザは、コントローラ(店内コントローラ)10に対して希望温度(希望店内温度)を設定し(ステップ101)、コントローラ10は、店内温度計測器45、店外温度計測器46および冷凍機器34の庫内温度計測器47から、店内温度計測値、店外温度計測値および庫内温度計測値(冷凍ショーケースの庫内温度計測値)を取得するとともに、扉開閉回数カウンタ49から扉開閉回数を取得し(ステップ102)、そして、コントローラ10は、ユーザによって設定されている設定温度、取得した店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値および扉開閉回数を監視センター2内の監視用PC20に送信し(ステップ103)、監視センター2内の監視用PC20は、コントローラ10から店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値およ扉開閉回数を受信すると(ステップ111)、それらを記憶装置に記憶し(ステップ112)、そして、それまでに受信した店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値および扉開閉回数と、天気予報データとに基づいて、明日1日分の店内温度調整レベルの算出処理を行い(ステップ113)、監視用PC20は、このようにして得られた明日1日分の推奨温度レベル等のデータを上記所定の店舗1内のコントローラ10に送信し(ステップ114)、コントローラ10は、監視用PC20からの推奨温度レベル等のデータを受信して(ステップ104)、それらのデータを加工して制御当日に画面表示し(ステップ105)、ユーザは、表示された内容を参考にして、コントローラ10を操作することにより、空調機器33を制御する方法であって、
上記店内温度調整レベルの算出処理においては、監視用PC20は、天気予報データと、上記所定の店舗1内のコントローラ10から送られてきた店内温度計測値データとに基づいて、日付、時間、店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値、単位時間当たりの扉開閉回数および天気を記憶した温度予測用データベースを作成し、次に、明日の天気予報から明日の天気を取得し、温度予測用データベースから天気が明日の天気と同じである過去の数日分のデータを新しいものから順に抽出し、そして、抽出した数日分のデータから、店内温度計測値、店外温度計測値、庫内温度計測値、単位時間当たりの扉開閉回数毎に、同じ時刻のものどうしの平均値を算出し、これにより、1日の時刻毎に、店内温度計測値(平均値)、店外温度計測値(平均値)、庫内温度計測値(平均値)および単位時間当たりの扉開閉回数(平均値)のデータが得て、これらから、店内温度予測値を算出して、明日1日分の時間に対する店内温度予測値が得て、次に、明日1日分の時間に対する店内温度予測値と、受信した設定温度とに基づいて、明日1日分の時刻毎の店内温度調整レベル(推奨温度レベル)を決定し、また、設定温度となるように空調機器33を終日運転させた場合と、決定した時刻毎の店内温度調整レベルとなるように空調機器33を終日運転させた場合との消費電力の差に応じた電気料金を計算することを含む方法。」


(2)引用例2
また、原査定の拒絶理由で引用された特開2004-325026号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

(え)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各店舗における空調機やショーケース等の機器毎による機器自身による温度等の監視制御を行う店舗管理システムにおいては、温度等の監視制御が個々の機器設備の特性に影響され、管理が一元化できない点や、店舗全体での省エネ効果を考えた場合に効率が低下する。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各店舗に設けられた各設備に関する情報を店舗サーバで一元管理することにより、各店舗の設備を効率的に運転を行うことができ、ひいては省エネ効果をも向上できる店舗管理システムを提供することを目的とする。」(3頁35行?44行)

(お)「【0031】
図3は、店舗サーバ4の構成の一例を示すブロック図である。
店舗サーバ4は、端末通信機能17、センタ通信機能18、店舗管理機能19を具備する。
【0032】
端末通信機能17は、ローカル通信ドライバ17aとローカルインタフェース17bによって機器端末K1?Knとの通信を実現する。センタ通信機能18は、ルータ5を経由してセンタサーバ6と通信するために、センタ通信モジュール18a、ルータ制御機能18bとルータ5の設定を管理する機能18cを有する。
【0033】
また、センタ通信機能18は、センタサーバ6など外部からインストール(店舗サーバ4のソフトウェア入れ替え)を行うための外部インストール機能18d、シャットダウン処理18e、省エネパラメータ管理(省エネアルゴリズムのパラメータ変更)機能18f、端末パラメータ管理(基準アルゴリズム(フェールセーフモード)のパラメータ変更)機能18g、遠隔制御管理(端末のリレーRO出力を遠隔で実行する)機能18h、異常設定管理(温度、湿度等、機器状態の上下限値の変更)機能18iを有する。
【0034】
店舗管理機能19は、省エネ制御機能19aと異常監視機能19bとを有する。省エネ制御機能19aは、省エネ制御のための共通処理19c、ショーケース・冷凍機の省エネ制御を行う冷凍機制御19d、リーチン/ウォークイン扉の防露ヒータ制御19e、ショーケースの除霜ヒータ制御19f、おでん保温器制御、フライヤなどの臭いを換気扇で除去するAQ(エアクオリティ)制御19g、業務用冷蔵庫の省エネ制御19h、空調機を前述したPMV値に基づいて制御するPVM制御19i、協調制御19jなどを並列に実行する。
【0035】
異常監視機能19bは、機器の異常監視のための共通処理19k、例えば業務用冷凍庫、
冷蔵庫、冷凍庫、空調機などのような機器の異常検出19l、例えば冷凍機、ショーケースなどのような機器の現状状態の推移又は空調機の現在状態の推移に基づいて故障予知19mを実行する。
【0036】
このような構成の店舗管理システムにおける各部の具体的動作を順番に説明していく。」(6頁25行?7頁3行)

(か)「【0052】
(c) 設備(機器)が行う省エネ運転(図8?図11)
ショーケースや空調機等の温度制御が必要な設備(機器N)は、店舗サーバ4にて設定された省エネアルゴリズムに基づいて運転を行う省エネ制御モードと自己に設定された基準アルゴリズムに基づいて運転を行う基準制御モードとを有している。
【0053】
基準アルゴリズムは、図8(b)に示すように、目標温度である中心温度の-2℃に制御実行設定値であるON温度Lが設定され、中心温度の+2℃に制御停止設定値であるOFF温度Hが設定されている。このON温度LからOFF温度Hまでの4℃の温度範囲がヒステリシス範囲である。
【0054】
これに対して、省エネアルゴリズムは、図9(b)に示すように、ヒステリシス範囲(0.5℃?1℃)が基準アルゴリズムのヒステリシス範囲(4℃)より狭く設定され、かつ、このヒステリシス範囲が基準アルゴリズムのON温度L近傍に設定されている。
【0055】
すなわち、従来、設備(機器)は、自身の持つ図8(b)に示す基準アルゴリズムに従って、検出された温度がOFF温度Hを上回ったら電磁弁を開制御し、温度がON温度Lを下回ったら電磁弁を閉制御する処理を機械的に行っている。通常、ヒステリシス範囲は目標温度を中心に±2℃に設定されている。その為、平均では目的とする温度となっていたが、庫内温度の上下限幅が大きく保存しているものの、品質維持という面では決して良いものではなく、また冷凍機が扱う全ての電磁弁が閉状態にならない限り冷凍機の運転が停止しない事から、省エネという観点からも効果が低いものであった。
【0056】
そこで、実施形態においては、設備(機器)に基準アルゴリズムの他に店舗サーバ4にて図9(b)に示す省エネアルゴリズムを採用し、各ショーケースから得られる庫内温度に基づいて、下限値のみ或いは、[下限値?(下限値+0.5℃)]の範囲のヒステリシス範囲を設定している。この下限値+0.5℃のヒステリシス範囲は、温度が微小変動する事により、電磁弁がばたつくことを押さえる為に用いている。
【0057】
目的温度と、通常機械制御の中間値、例えば「目的とする温度-1℃」と、設定する事により電磁弁が閉制御する事を早め、また、ON/OFF間の幅(ヒステリシス範囲)を狭く、又は無くす事により、各電磁弁における温度のばらつきを解消する事ができ、全ての電磁弁が閉した状態をより発生させる事が可能となる。この事は結果的に、冷凍機の停止時間を長く保つ事となり、省エネ効果を発生させる。
【0058】
この省エネアルゴリズムに基づいて運転を行う省エネ制御モードと自己に設定された基準アルゴリズムに基づいて運転を行う基準制御モードとを自動的に切換えるために、図8(a)、図9(b)に示すように、ショーケースや空調機等の温度制御が必要な機器23(N)の端末22(K)内には、店舗サーバ4にて省エネアルゴリズムに基づいて機器23(N)の電磁弁をソフト的にオン/オフ制御されるリレー22aと、店舗サーバ4や温度センサの端末等の異常発生に起因して、省エネアルゴリズムの採用を強制的に中止して、基準アルゴリズムに基づいて運転を行う基準制御モードに切換えるフェールセーフ用のリレー22bとが組込まれている。
【0059】
省エネアルゴリズムの省エネ制御モードは、店舗サーバ4や温度センサの端末に異常が発生していない状態のみ実行される。その他の場合は、基準アルゴリズムの基準制御モードが実行される。」(8頁37行?9頁33行)

(3)引用例3
また、原査定の拒絶理由で引用された特開2001-218367号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

(き)「【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る店舗用エネルギー機器運用システムにおいては、電力系統からの電力の供給を受けて、店舗内の空調、冷凍、照明等を行う複数の電気機器と、この各電気機器に応じた状態量を検出する複数のセンサと、この各センサからの検出信号を受けて電気機器運用アルゴリズムに基づき各電気機器間の状態量に一定の相関をとらせながら管理・制御する制御信号を各電気機器へ出力する管理・制御手段と、この管理・制御手段の電気機器運用アルゴリズムを更新する運用アルゴリズム更新手段とを備えたものである。
【0007】また、前記管理・制御手段に、電話回線または電力線を介して管理・制御データまたは電気機器運用アルゴリズムを送受信する通信手段を備えたものである。
【0008】さらに、前記管理・制御手段に、各電気機器に応じた状態量を検出する各センサの検出信号を受けて一括して管理するセンサ群管理手段を備えたものである。
【0009】また、前記通信手段による通信用制御データとして、電力料金、外気温度、翌日の天気予報、翌日の外気温度予測値、翌日の空調負荷予測値、各電気機器の運用履歴データのいずれかを加工する通信用データ加工手段を備えたものである。
【0010】また、前記通信用制御データ内の運用履歴データを、店舗用各設備機器の消費電力量、ランニングコスト、外気温度、店内温度、店内湿度のいずれかで構成する性能診断用データ加工手段を備えたものである。」(3頁4欄20行?47行)

(く)「【0021】店舗Aでは、管理・制御部1がモデムAを介して電話回線に接続され、本部では、モデムMを介して電話回線に接続される。そこで、店舗Aと本部の間では、電話回線を経由して制御データと電気機器運用アルゴリズムの送受信を行う。同様に店舗Zでは、モデムZを介して電話回線に接続され、本部との間で、制御データと電気機器運用アルゴリズムの送受信を行う。なお、図示していない他の店舗でも同様に本部との間で送受信を行う。
【0022】本部と連帯したサービスセンターは、各店舗から受けたデータにより、予防保全、異常診断、故障診断を行い、メンテナンスを行うことができる。また、エンジニアリングセンターは、電気機器運用アルゴリズムと更新された新しい制御データを本部と連帯して各店舗に送り、店舗用エネルギー機器の省エネルギー、省ランニングコストで快適でしかも食品鮮度維持が可能な最適運用システムを提供できる。さらに、電力会社は、電気機器運用アルゴリズムと更新された新しい制御データを本部と連帯して各店舗に送り、店舗用エネルギー機器を制御する。例えば、電力需要が過大となり、ピークカットが必要な場合に、店舗用エネルギー機器のうち、停止可能な機器を停止する。
【0023】各電気機器は、管理・制御部1からの指示に応じて運転・制御または停止する。そこで、各電気機器について、以下に説明する。空調機3は、冷房・暖房などの運転モードや風量を設定可能であり、リモコンにて温度設定と湿度設定を変更可能である。そのリモコンによる各種設定値は、管理・制御部1へも送られる。また、逆に、管理・制御部1内の運用アルゴリズムのうち空調機3に係わる空調目標温湿度制御手段に対する指示が通信ポート2を経由して空調機3へ送られる。」(5頁7欄20行?50行)

(け)「【0034】運用アルゴリズム1bは、あらかじめ管理・制御部1内に構築しておいて、新規に追加する場合、あるいは削除する場合に、外部、すなわち、本部、サービスセンター、エンジニアリングセンター、電力会社等から電話回線を介して変更が可能となる。さらに、制御データ1cの一部も外部から電話回線を経由して電力料金の改定値などが管理・制御部1内へ送られてくる。
【0035】通信用データ加工手段1dは、制御データ1cのうち外部へ送るデータと、逆に外部から受けるデータを加工して制御データ1cに渡す。このデータは、電力料金、外気温度、翌日の天気予報、翌日の外気温度予測値、翌日の空調負荷予測値、各電気機器の運用履歴データ等を示す。この通信用データ加工手段1dにより、電力会社の電気料金に応じ、最も安い電力系統の選択ができる。また、外気温度と各電気機器の運用履歴データの相関から性能診断と予防保全と故障診断と新しい省エネ運用アルゴリズムの開発ができる。さらに、翌日の天気予報などから前日の夜間蓄熱量予測ができる。
【0036】性能診断用データ加工手段1eは、通信用データ加工手段1dのうち、電気機器単体の状態量から性能診断に必要なデータのみを取り出して外部へ送る。この性能診断用データ加工手段1eにより、初期の電気機器の性能と比較して、性能劣化や予防保全や寿命予測が行え、さらに省エネ運用アルゴリズムの構築が可能となり、電話回線を介して各店舗と本部またはサービスセンター(メンテナンス会社)、エンジニアリングセンターと送受信が可能となる。
【0037】以上のように、管理・制御部1が構成され、運用アルゴリズム1bにより、各電気機器間の状態量に一定の相関を持たせながら管理・制御が行われる。管理・制御部1の運用アルゴリズム1bによる管理・制御動作を、以下の各実施の形態により詳細に説明する。」(6頁9欄40行?10欄21行)

(4)引用例4
また、原査定の拒絶理由で引用された特開2001-306134号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに以下の記載がある。

(こ)「【0032】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の遠隔設備管理システムを示す構成図である。図において、100はビル・店舗等に配置されビル・店舗内の設備を一括管理するマイコンやメモリからなる分散管理装置、200はビル・店舗内の複数の設備が設置されまたは配置された状態を示す設備群、300は分散管理装置100などとは遠隔地である例えば別のビルなどに置かれたマイコンやメモリ、ディスプレィなどからなる中央管理装置、401は設備の保守を担当する別の場所に配置された保守センタ、501はユーザ端末で店舗や店舗を統括するセンタに置かれている。なお分散管理装置100と設備群200は一対一で対応するが、中央管理装置300には複数の分散管理装置100が設けられても良い。この場合、店舗毎に分散管理装置100を設けたり、ビルのフロアー対応で設けても良い。
【0033】101は分散管理装置100におかれ中央管理装置300との通信を行う通信部、102は設備の省エエルギー運用を行う様に設定された運用アルゴリズムを記載したプログラムが収納される運用プログラム収納部、104は設備群200の各設備と通信線220にて接続され各設備を運用するための通信部、105は各設備の制御用のデータが格納された制御部、106は各設備の消費エネルギーや発停回数等の運用データを蓄積する計測値記憶部、107は各設備の消費エネルギーや発停回数等の計画データを蓄積する計画値記憶部、109は計測値記憶部106のデータと計画値記憶部107のデータの差違を算出する差違算出部、201、202、203は各設備である空調機211、照明器具213、電力量計214に通信線んを接続するマイコン、またはリレー回路、またはロジック回路などからなり通信信号を処理するインターフェース、301は実運用データを基に、運用プログラムを更新する運用プログラム更新部、302は運用プログラムの分散管理装置への配信を管理する運用プログラム配信部、303は各分散管理装置の消費電力等の運用計画を記憶する計画値記憶部、304は分散管理装置100単位での、設備200の消費エネルギーを記憶する計測値記憶部、305は設備保守が必要な場合には保守センタに保守を要求する設備保守要求部、306は運用情報をユーザー端末501に配信する運用情報配信部、307は運用データの計画値や実測値などをを表示する表示部、309は計画値記憶部303と計測値記憶部304のデータの差違原因や故障箇所を解析する解析診断部、308は省エネルギー対策により回収された費用を計算する費用計算部、310a、310b、310cは通信用データ加工などを行う通信部である。」(5頁8欄13行?6頁9欄9行)

(さ)「【0034】また、図2は上記構成を食品店舗で実施した場合の構成を説明する構成図で、100a、100b、100c、100dは各店舗の設備群200a、200b、200c、200dと接続される分散管理装置、300は各管理装置とインターネットやイントラネットで情報交換される電話網で接続された電力会社やコンビニ地域管理センターなどに設けられた中央管理装置である。217はショーケース、218は冷凍機である。図1および図2の動作について説明する。先ず、改修、施工時の処理について説明すると、設備の改修時に定めた分散管理装置100単位のエネルギー消費計画値が、計画記憶部303に記憶された後、通信部310aを経由して各分散管理装置100の計画値記憶部107に記憶される。また、各分散管理装置毎に運用プログラムが作成され運用プログラム配信部302から通信部310a、101を経て、運用プログラム収納部にプログラムが収納される。また、空調機211や照明器具213、ショーケース217、冷凍機218などの各設備にはI/F201、202、203が装着され分散管理装置100の制御部105からの制御信号を受ける、さらに、電力量計214が設備の管理単位毎に設置される。
【0035】設備の運用時の処理について次に説明する。設備の運用は運用プログラム収納部102に収納されたプログラムを制御部105で実行し、制御指示を通信部104経由インタフェース201、202等により各設備211,213等に伝達することにより、実施される。この運用によって使用された各設備211,213等毎の消費電力、発停回数、各種センサ値等は、計測値記憶部106に蓄積される。なお中央管理装置は地域センターやESCO事業会社等独立して設けられる例で説明したが、設備やビル全体などの保守を行う保守センター401や保守を含めたエンジニアリングを行うエンジニアリングセンターなどに設けることにより保守センター401等との間の通信機器や通信部310cを除けるとともに早い対応が可能になる。
【0036】図3は分散管理装置100の運用プログラム配信の手段を示す説明図で、ネットワーク経由で安全に配信できるJava等のプログラム言語で運用プログラムを作成し、運用プログラム収納部をJava言語のインタープリター等で構成することにより、安全なプログラムの配信が可能になる。図3は分散管理装置100へ中央管理装置300からプログラム交換他を行うとともに、分散管理装置100から中央管理装置300へデータの吸い上げなどを行う状況を示しており、中央管理装置300から各設備の省エネルギー運用を記載した機器運転制御プログラムJavaを運用プログラム配信部302から分散管理装置100へ配信する。分散管理装置100にはWEBサーバ機能(データサーバ(HTML,XMLデータ供給))を有するとともに、設備サーバへのプログラム遠隔ダウンロードが可能である。また分散管理装置内では冷凍機、遮断機、電力計など各設備に関する機器データベースを自動生成しており、表示プログラムJavaAppletを中央管理装置へ送信するとともに、各種データXMLを同様に送信する。中央管理装置300ではWEBサーバ機能(ブラウザ表示書式(GUI表示書式)サーバ)を有するとともに、ブラウザプラグインツールによる各種情報処理、すなわちサーバーデータの遠隔での情報処理が行われる。」(6頁9欄10行?10欄17行)

(し)「【0037】図4,5は中央管理装置300の表示部307やユーザー端末501の表示例説明図である。図4は例1を示し、左側には初期画面アナンシェータ表示、例えば共用部照明がついているかどうかを画面上で絵で点灯させたり消したりして表示したり分電盤トリップも同様に絵で形などを変えて表示したり、空調機に対し運転状態を○や×で表示させれば良い。またビル内のレイアウトである地図表示画面でどんな設備がおかれているかの例を示している。右側の絵は機器故障診断の例で、機器名として各冷凍機の存在を説明し、現在状態で運転中か停止かを示し、診断結果で正常な動作か、消費電力が多いか、又は、やや異常か等を示している。修理頻度で保守センターからのメインテナンスを受け手状況を頻度データとして表示している。図5の左側の図では、消費電力量の月報を説明しており、各日付に対し電力値、電流値、電力量を示している。図5の右側には各月毎の電力量のトレンドのグラフを昨年度実績との比較で示しており、このような消費エネルギーや動作、運転状況をユーサー端末501に表示させることにより、ユーザーに運用情報を適確に知らしめて、ユーザーの喚起を促し、不適切な操作によるエネルギーの無駄を防ぐことが可能となる。特に、機器故障診断画面(図4右)のやや異常の表示は計画のエネルギー消費に比較し実測値の差違が大きく、使い方または運用プログラム、または機器に問題があることを示し、解析診断部の解析を行う必要が画面上で表示されている。図5の電力使用量のトレンドグラフは一日毎でも毎週比較することも出来るし、設備対応や電源の種類や契約種類毎でも表示出来る。また店舗毎のトレンドを相互に比較することも出来、設備の運用状況の違いによる分析や地域性などによる影響他経営に益するデータを得ることも出来る。
【0038】次に計画と実運用の差違の算出について図1にて説明する。差違算出部109は計画値記憶部107に蓄積された当初の各設備毎の計画値と計測値記憶部106に記憶された実計測値の差違を算出し、記憶する。この差違は使用消費電力のみならず運用状況、例えば空調機の温度設定値など各機器の設定状態や外気の温度や照明器具近傍の温度や照明の明るさなどのデーター値等である。ついで、計測値記憶部106のデータと、差違算出値109のデータは通信部101を経由し、中央管理装置300内の計測値記憶部304に送られる。解析診断部309では、計画値記憶部303のデータと計測値記憶部304のデータの差違原因を解析し、差違がある場合に、たとえば、次の3種類の処理から1以上選択し実施する。
【0039】第1に差違が外気温度の状態や使用エネルギー源の種類などの運用方法にある場合には運用プログラム更新部301により外気温度に応じた設備の設定温度値の設定状態を変更したり、使用エネルギー源の適用条件を変更するなどの更新をし、運用プログラム配信部302経由で運用プログラム収納部102に配信し、新規な運用プログラムにより運用方法を変更することにより、所望のエネルギー削減を得る。この場合解析診断部309では外気温度があらかじめ設定してある温度範囲の中かどうか、又は外気温度の時間変化が本システムを運用する設定時間ないかどうかなどを記憶されたデータと比較するし、又、使用エネルギー源の種類がカレンダー機能を備えた解析診断部309にて適用がシミュレートされて演算された費用が比較される。又負荷状況がシミュレートされた状況と所定以上はなれた計測値であるか等が比較される。第2に差違原因が例えば運用プログラムで使用しているカレンダー機能などのソフト上のミス、設備の摩耗劣化や、空調機のフィルター詰まりなどの設備のハードウェア故障または保全不備に依存する場合には、305設備保守要求部305経由で保守センタ401に保守指示を行ない、上記の原因を除去する。この場合解析診断部309では個々の設備に対し、運転条件と計画と計測の差異からあらかじめ記憶させておいた軸受潤滑の劣化、換気扇の吸気フィルターのつまり、基板の配線接合不良などの想定故障個所を表示部307へ表示することになる。第3に計画と実績の差違は運用情報配信部306を経由し、ユーザー端末に送られる。これにより、運用情報を原因が顧客ユーザーの不適切な操作、設定など当初予期されていない人的な不具合によるものである場合には注意を喚起し原因を除去する。この第1、第2、第3の処理については、あらかじめ決められている優先順位、たとえば、第1の処理で所定時間内に運用プログラム更新の指令が出ない場合は、第2と第3の処理を行うなどが指令される。」(6頁10欄18行?7頁11欄46行)

(す)「【0044】店舗A31では、分散管理装置100がモデムAを介して電話回線に接続され、中央管理装置300では、モデムMを介して電話回線に接続される。そこで、店舗A100と中央管理装置300の間では、電話回線を経由して制御データと電気機器運用アルゴリズムの送受信を行う。同様に店舗Zでは、モデムZを介して電話回線に接続され、中央管理装置との間で、制御データと電気機器運用アルゴリズムの送受信を行う。なお、図示していない他の店舗でも同様に中央管理装置との間で送受信を行う。
【0045】中央管理装置とインターネットなどで情報連絡を行うサービスセンターは、各店舗から受けたデータを端末に表示させ、予防保全、異常診断、故障診断を行い、メンテナンスを行うことができる。また、エンジニアリングセンターは、電気機器運用アルゴリズムと更新された新しい制御データを中央管理装置と同様に情報交換してコンビニのような食品店舗にたいし各店舗に送り、店舗用エネルギー機器の省エネルギー、省ランニングコストで快適でしかも食品鮮度維持が可能な最適運用システムを提供できる。さらに、中央管理装置300は、電気機器運用アルゴリズムと更新された新しい制御データを各店舗に送り、店舗用エネルギー機器を制御する。例えば、電力需要が過大となり、ピークカットが必要な場合に、店舗用エネルギー機器のうち、ピークカットが必要な種類の電力を他のエネルギー源に切り替えたり、エネルギー量を減らす方向の設備運用によりまたは運用プログラムのあらかじめ設定された順序により停止可能な機器を停止することも可能である。図6では電力融通制御盤11の回路を切り替えて屋外照明の電力を低圧電力動力と伝統系統とを切り替えるようにしてあるが、これにとらわれるものではない。電力として、電池からの直流を交流に変換して使うなどもでき、又負荷として屋外照明以外の屋外照明やその他の電気機器などを切り替えてもよい。
【0046】各設備である電気機器は、分散管理装置100からの指示に応じて運転・制御または停止する。そこで、各電気機器について、以下に説明する。空調機3は、リモコンなどにより冷房・暖房などの運転モードや風量を設定可能であり、温度設定や湿度設定を変更可能である。そのリモコンによる各種設定値は、分散管理装置100へも送られる。また、逆に、分散管理装置100内の運用アルゴリズムのうち空調機3に係わる空調目標温湿度制御手段に対する指示が通信部104を経由して空調機3へ送られる。」(8頁13欄27行?14欄20行)

3.対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明は、「店舗に設けられている機器の動作を制御する方法」であり、店舗(含む機器)を制御しているといえるから、引用発明の該「方法」は、本願補正発明の「店舗制御方法」に相当する。
引用発明の「店内温度計測値、店外温度計測値および庫内温度計測値(冷凍ショーケースの庫内温度計測値)」は、「店舗」の「現在時刻」における「環境情報」であるといえる。このため引用発明の「(これら)計測値を取得する(ステップ102)」は、本願補正発明の「環境情報取得ステップ」に相当する。
引用発明の「監視センター2内の監視用PC20」は、上位概念化すると「外部のコンピュータ」であるといえ、本願補正発明の「管理サーバ」も上位概念化すると「外部のコンピュータ」であるといえる。
引用発明の「送信し(ステップ103)」は、本願補正発明の「送信ステップ」に相当する。
引用発明の「推奨温度レベル等のデータ」は、店舗に設けられている空調機器33を制御するための情報といえるから、本願補正発明の「店舗に設けられている機器の機器制御情報」に相当する。そして、引用発明において、「明日1日分の時刻毎の店内温度調整レベル(推奨温度レベル)」のデータは、「予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報」といえる「明日1日分の時間に対する店内温度予測値」と、受信した設定温度とに基づいて、決定されたものであるから、「予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報」であるといえる。
引用発明の「受信して(ステップ104)」は、本願補正発明の「受信ステップ」に相当する。
引用発明の「それらのデータを加工して制御当日に画面表示し(ステップ105)」は、上位概念化すると、推奨温度レベル等のデータを表示する「表示ステップ」であるといえる。
引用発明は、店舗に設けられている機器の消費電力制御を行なう方法であって、その最後の方の手順として「ユーザは、表示された内容を参考にして、コントローラ10を操作することにより、空調機器33を制御する」ものであるから、該コントローラ10は、空調機器33の動作指示として、「推奨温度レベル等のデータ」を参考としたユーザによる操作を受け付けるといえるとともに、該操作に基づいて、空調機器33の消費電力を制御するものといえる。そうすると、引用発明の該「推奨温度レベル等のデータ」を参考としたユーザによる操作を受け付ける手順は、本願補正発明の「操作ステップ」に相当し、引用発明の該操作に基づいて、空調機器33の消費電力を制御する手順は、本願補正発明の「前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップ」に相当する。
してみると、本願補正発明と引用発明とには、以下の一致点、相違点1?3がある。

(一致点)
「店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御方法において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を外部のコンピュータに送信する送信ステップと、
前記外部のコンピュータにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
操作ステップと、
前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含むことを特徴とする店舗制御方法。」である点。

(相違点1)
本願補正発明の「外部のコンピュータ」は、「管理サーバ」であるのに対して、引用発明では「監視センター2内の監視用PC20」である点。

(相違点2)
本願補正発明の「操作ステップ」は、「前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける」ステップであるのに対して、引用発明の「操作ステップ」はそのようなステップであるとされていない点。

(相違点3)
本願補正発明の「動作制御ステップ」は、「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、」機器を動作させるステップであるのに対して、引用発明の「動作制御ステップ」はそのようなステップであるとされていない点。

4.判断
そこで、上記相違点1?3について検討する。
(相違点1)について
引用発明では「外部のコンピュータ」が「監視センター2内の監視用PC20」であり、サーバと名付けられていないが、その役割は、ネットワークを介して各店舗のコントローラに対して、「推奨温度レベル等のデータ」というサービスを提供しているものである。そして、そのことにより、該「監視センター2内の監視用PC20」は、店舗を管理しているといえる。
また、情報処理技術分野において、ネットワークを介してクライアントコンピュータにサービスを提供するコンピュータとして、サーバを用いることは、周知な技術事項である。
そして、管理を行うサーバ等を管理サーバ等と呼称することは普通に行われていることである。
してみると、引用発明に上記周知な技術事項を採用して、「監視センター2内の監視用PC20」に代え、「管理サーバ」を用いることは、当業者が容易に想到できたことである。

(相違点2)について
引用発明においては、ユーザは、表示された内容を参考にして、コントローラ10を操作するものであるが、該表示された内容は、引用例1図11を見ると推奨される設定温度についてのデータであること、該コントローラ(店内コントローラ)10に対する具体的操作として、ユーザは、希望温度(希望店内温度)を設定する(ステップ101)ものであることから、引用発明の「表示された内容を参考にして、コントローラ10を操作」とは、表示された推奨される設定温度を参考にして、該コントローラ10に希望温度を設定することを意味していると認められる。
そして、当該技術分野においては、一般に、コントローラの操作により空調機器等の機器の動作を制御する場合、コントローラに設定する「希望温度」などのデータは、その役割から空調機器等の機器の動作指示として入力される「機器操作情報」と呼ぶことができる。
また、コントローラにおける「希望温度」などのデータを設定する構成として、該データの入力を受け付ける処理を行うことは周知な技術事項である。
してみると、引用発明の「操作ステップ」において、上記一般的な事項、周知な技術事項を採用して、「前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける」ステップとすることは、当業者が容易になし得たことである。

(相違点3)について
引用発明における「コントローラに設定する「希望温度」などのデータ」は、「機器操作情報」と呼ぶことができるものであるから、引用発明の「該操作に基づいて、空調機器33の消費電力を制御する手順」は、「機器操作情報」に基づいて、機器を動作させるものと同義であるといえる。
また、店舗制御方法において、機器を制御する情報、即ち「機器制御情報」に基づいて、機器を動作させることは、上記引用例2?4にそれぞれ記載されている。
機器を制御する技術分野において、機器を自動制御することとマニュアル制御することとが併用されるものにおいて、マニュアル制御する方を優先とすることは周知な技術事項である(例えば、特開平4-195667号公報、特開平8-79165号公報、実願平4-67605号(実開平6-25603号)のCD-ROM参照。)。ここで、「マニュアル制御することを優先する」とは、マニュアルによる入力がない場合は、自動制御の入力に従って機器を制御しているが、マニュアルによる入力がある場合は、該マニュアルによる入力に従って機器を制御することである。
そして、引用発明における「機器操作情報」に基づいて、機器を動作させることは、「機器をマニュアルによる入力に従って機器を制御すること」に相当し、引用例2?4にそれぞれに記載された「機器制御情報」に基づいて、機器を動作させることは、「自動制御に従って機器を制御すること」に相当することは明らかなことである。
また、引用発明に、「機器制御情報」および「機器操作情報」に基づいて、機器を動作させる技術事項を採用すること、及び、上記「機器を自動制御することとマニュアル制御することとが併用されるものにおいて、マニュアル制御する方を優先とする」周知な技術事項を採用することに格別困難性があるとは認められない。
してみると、引用発明の「動作制御ステップ」に上記諸事項を採用し、「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、」機器を動作させるステップとすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2?4に記載された事項及び周知の技術事項から、当業者が予想可能な範囲内のものであって、格別のものであるとはいえない。

5.まとめ
よって、本願補正発明は、引用発明、引用例2?4に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第三 補正却下の決定を踏まえた検討

1 本願発明
平成19年5月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明は、平成18年12月15日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?15に記載されたとおりのものであるところ、該請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「店舗に設けられている機器の動作を制御する店舗制御方法において、
店舗の現在時刻における環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記店舗の現在時刻における環境情報を管理サーバに送信する送信ステップと、
前記管理サーバにより予測される所定の時間だけ先の時刻における環境情報に基づいた、前記店舗に設けられている機器の機器制御情報を受信する受信ステップと、
前記機器制御情報を表示する表示ステップと、
前記機器の動作指示として機器操作情報の入力を受け付ける操作ステップと、
前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと
を含むことを特徴とする店舗制御方法。」

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「第二」「3 」「2.」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、前記「第二」「3 」「1.」で検討した本願補正発明から、その発明特定事項である「前記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと」において、「前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がない場合、前記機器制御情報に従い、前記操作ステップの処理により前記機器操作情報の入力がある場合、前記機器操作情報に従い、」との限定部分を省き、「記機器制御情報および前記機器操作情報に基づいて、前記機器の消費電力を制御するように前記機器を動作させる動作制御ステップと」としたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに構成要件の一部を限定したものに相当する本願補正発明が、前記「第二」「3 」「4.」に記載したとおり、引用発明、引用例2?4に記載された事項及び周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明、引用例2?4に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2?4に記載された事項及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-20 
結審通知日 2010-10-21 
審決日 2010-11-04 
出願番号 特願2005-2364(P2005-2364)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06Q)
P 1 8・ 121- Z (G06Q)
P 1 8・ 561- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 貝塚 涼  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 小曳 満昭
池田 聡史
発明の名称 店舗管理システム、店舗制御装置および店舗制御方法、管理サーバおよび管理方法、並びにプログラム  
代理人 稲本 義雄  

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