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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1228688
審判番号 不服2007-30191  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-07 
確定日 2010-12-15 
事件の表示 特願2002-171604「ディスク装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 1月22日出願公開、特開2004- 22005〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本件審判の請求に係る特許願(以下、「本願」という)は、平成14年6月12日の出願であって、平成19年2月13日付けで通知した拒絶の理由に対して同年4月19日付けで手続補正がされたが、同年10月2日付けで上記拒絶の理由により拒絶すべき旨の査定がされ、これに対して、同年11月7日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで明細書について手続補正がされたものである。
その後、平成22年4月19日付けで、前置報告書を利用した審尋をしたところ、同年6月24日付けで回答書が提出された。


II.平成19年11月7日付け手続補正についての補正却下の決定

〔補正却下の決定の結論〕
平成19年11月7日付け手続補正を却下する。

〔理 由〕
1.補正の内容
平成19年11月7日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、
(1)補正前に、
「【請求項1】 記録媒体を装填したディスクトレイをシャーシケース内で前進後退させてロード/アンロードするようにしたディスク装置であり、
前記シャーシケースを構成するベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの前記ディスクトレイの上下方向における最大突出部に対応する位置に開口部を形成するとともに、この開口部の前端に該前端の開放を封止する肉薄の封止部を形成したことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】 プレス加工処理により肉薄の封止部を形成したことを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】 開口部の開口端部を肉薄にして段部を形成し、該段部に別部材を固定し
て一体化することにより肉薄の封止部を形成したことを特徴とする請求項1記載のディス
ク装置。」
とあったものを、

(2)補正後に、
「【請求項1】 記録媒体を装填したディスクトレイをシャーシケース内で前進後退させてロード/アンロードするようにしたディスク装置であり、
前記シャーシケースを構成するベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの前記ディスクトレイの上下方向における最大突出部に対応する位置に開口部を形成するとともに、前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚さより肉薄であり、前記開口部の前端の開放を封止する封止部を、前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚みの範囲内で形成したことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】 プレス加工処理により前記封止部を形成したことを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】 前記開口部の開口端部を前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚さより肉薄にして段部を形成し、該段部に別部材を固定して一体化することにより前記封止部を形成したことを特徴とする請求項1記載のディスク装置。」
としようとするものを含むものである。

2.補正の目的
本件補正は、
(1)補正前の請求項1に係る発明を特定する事項である「前端の開放を封止する肉薄の封止部」について、
「前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚さより肉薄であり、前記開口部の前端の開放を封止する封止部」とするとともに、
「前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚みの範囲内で」形成した、と下線部のように付加するとともに、
(2)補正前の請求項3に係る発明を特定する事項である「開口部の開口端部を肉薄にして」形成された「段部」の厚さについて、「前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚さより肉薄にして」と、下線部のように付加し、
補正前の各請求項に記載した各発明を特定するために必要な事項を限定するものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

3.独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)を補正後の請求項1に係る発明について検討する。

(1)補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)
本願補正発明は、前記1.(2)の【請求項1】に記載されたとおりのものである。

(2)刊行物及びその記載
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-237452号公報(平成9年9月9日公開、以下「刊行物」という。)には、光ディスク再生装置のスライド機構に関する発明について、以下の記載がある。なお、下線は当審が付した。

(ア)「【0004】ノート型パーソナルコンピュータに搭載される光ディスク再生装置のスライド機構にあっては、通常、筐体と該筐体に引出可能にされたスライドトレーとを備え、上記筐体がノート型パーソナルコンピュータの本体に支持される。
【0005】そして、携帯性の見地から光ディスク再生装置も軽量化及び小型化が求められており、筐体の各部材の材質の選択もさる事ながら、その材料の薄肉化が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところがこのような光ディスク再生装置のスライド機構にあっては、上記筐体の各部の材料の薄肉化が図られると、全体が脆弱になるという新たな問題が生じる。
【0007】とりわけ、スライドトレーが挿入される筐体の天板や底板の薄肉化が図られると、該筐体はその内部が空間であるため、コンピュータ本体内において上下方向からのストレスを受け、天板や底板が撓んでしまうという問題が生じる。
【0008】そして、スライドトレーの上面側にはCD-ROMが回転できるように天板との間にクリアランスが設けられているが、天板が撓んでしまうと、CD-ROMの回転に支障が生ずる。これを回避するために、上記クリアランスを大きくとると装置の小型化に反し、また、天板が撓まないように肉厚を厚くすると装置の軽量化に反するという問題がある。
【0009】そこで、本発明は、スライドトレーに搭載される各種装置の機能を損なうことなく、スライドトレーが挿入される筐体の軽量化及び小型化を図ることを課題とする。」

(イ)「【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図示した実施の一例に従って説明する。
【0013】尚、図示した実施例は、本発明を光ディスク再生装置に適用したものである。
【0014】光ディスク再生装置1は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータのCD-ROM読取装置として使用されるものであり、本体側筐体2にスライドトレー3が引出及び収納自在に設けられている。【0015】そして、スライドトレー3は、引出時には、図1に示すように、該スライドトレー3と本体側筐体2が後述するスライドレールにより連結された状態で本体側筐体2の開口面2aより前方まで引出可能とされている。
【0016】本体側筐体2は金属材料により形成され、前方及び下方に開口されたカバー体4と略平板状の底面板5と上記カバー体4の一部に形成された後述する切欠を覆う覆い板6とから成る。
【0017】カバー体4はアルミ材料により形成され、その壁板7のうち天板7aには、図4に示すように、平面で見てU字状の切欠8が形成され、該切欠8は天板7aの左右方向における中央部においてその前端縁に開口し、前後方向における中央部まで達するように形成されている。切欠8の周縁は稍下方へ変位した段差面として形成された切欠縁部8aとされ、該切欠縁部8aの上面には複数の加締突起8b、8b、・・・が突設されている(図4及び図5参照)。
【0018】覆い板6はステンレス材料により形成され、その形状は上記切欠縁部8aの外形状に対応する形状を為し、また、その厚みは上記天板7aの厚み(図5に示すT1)の約4分の1(図5に示すT2)にされている。
【0019】覆い板6の上記加締突起8b、8b、・・・に対応する位置には小孔6a、6a、・・・が形成されており、覆い板6の小孔6a、6a、・・・に切欠縁部8aに形成された加締突起8b、8b、・・・を挿入することにより、覆い板6を切欠縁部8aに位置決めすると共に、上記切欠8を覆い、そして、加締突起8b、8b、・・・の小孔6a、6a、・・・から上方に突出した上端部を加締めることにより覆い板6がカバー体4に取着される(図5参照)。このように加締突起8b、8bの上端部を加締めると、覆い板6の上面側には加締められた部分としての突部が形成されるが、反対側、即ち、本体側筐体2の内面側は突部を有さず平面のままである。」

(ウ)「【0021】本体側筐体2内の空間のうち切欠8により形成される空間及びその下側の空間は、スライドトレー3が収納され又は引き出されるときにスライドトレー3の中央部上面に突設された後述するセンターガイドが移動する移動空間9とされる。そして、図5に示すように、移動空間9は本体側筐体2内のその余の空間に比し、天板7aの厚みT1と覆い板6の厚みT2との差により高さ方向に広くされている。
【0022】そして、本体側筐体2の高さは上方に突出するセンターガイドの高さにより決定されているため、上記のようにセンターガイドの移動空間9をその余の空間に比し高さ方向に広くすることにより、本体側筐体2の薄型化、延いては、光ディスク再生装置1の薄型化を図ることが出来る。
【0023】尚、本実施例においては切欠8を形成し該切欠8を覆う厚さT2の覆い板6を設けたものを示したが、このようにすれば、本体側筐体2の剛性を高くすることができるが、切欠8を全く覆わずに移動空間9を高さ方向に広くするようにしてもよく、或は、切欠8の形成後にシート部材、例えば、ラベルを天板7aに貼って切欠8を覆うようにしてもよい。」

(エ)「【0028】スライドトレー3は図示しない光学ピックアップ、スピンドルモータ、光学ピックアップの送りモータ等の電気的部材が搭載された本体部10と浅い箱状をした底部11等から成り、底部11の上側に本体部10が取り付けられている。
【0029】本体部10は本体側筐体2内に収納される収納部10aと該収納部10aの前面に取着された前面板10bとから成り、収納部10aの上面の略中央部には光ディスク12を位置決め及び保持するためのセンターガイド13が突出され、該センターガイド13に設けられたチャック手段により光ディスク12がチャキングされる(図5参照)。」

以上の記載を、光ディスク再生装置の本体側筐体(2)をカバー体(4)、底面板(5)、覆い板(6)で構成する点に着目し、特に、【図1】、【図4】、【図5】等の各図面を参照して、整理すると、結局、刊行物には、次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されているものと認める。

「本体側筐体に、スライドトレーが前後方向に引出及び収納自在に設けられている光ディスク再生装置であって、
本体側筐体は、前方及び下方に開口されたカバー体と、略平板状の底面板と、カバー体の一部に形成された切欠を覆う覆い板とから成り、
カバー体は、その壁板のうち天板に、平面で見てU字状の切欠が形成され、
該切欠は、天板の左右方向における中央部において、その前端縁に開口し、前後方向における中央部まで達するように形成されており、
切欠の周縁は、稍下方へ変位した段差面として形成された切欠縁部とされ、
覆い板は、切欠縁部の外径形状に対応する形状を為し、また、その厚みは天板の厚みの約4分の1にされ、切欠縁部の上面に取着され、
本体側筐体内の空間のうち、切欠により形成される空間及びその下側の空間は、スライドトレーが収納され又は引き出されるときにスライドトレーの中央部上面に突設され、光ディスクを位置決め及び保持するためのセンターガイドが移動する移動空間とされ、
移動空間は、本体側筐体内のその余の空間に比し、天板の厚みと覆い板の厚みとの差により高さ方向に広くされている光ディスク再生装置。」

(3)対比
本願補正発明と刊行物発明とを対比する。
刊行物発明の「スライドトレー」、「本体側筐体」及び「光ディスク再生装置」は、本願補正発明の「ディスクトレイ」、「シャーシケース」及び「ディスク装置」に相当する。
刊行物発明の「スライドトレー」は、光ディスクをチャッキングして(【0029】参照)、「本体側筐体に」「前後方向に引出及び収納自在に設けられている」のであるから、刊行物発明は、「記録媒体を装填したディスクトレイをシャーシケース内で前進後退させてロード/アンロードするようにしたディスク装置」である点で本願補正発明と一致する。

刊行物発明において「本体側筐体」を構成する「カバー体」、「底面板」及び「覆い板」と、本願補正発明の「カバーシャーシ」、「ベースシャーシ」及び「封止部」とを比較する。
(i)「カバーシャーシ」について
本願補正発明の「カバーシャーシ」は、「ディスクトレイの上下方向における最大突出部に対応する位置に開口部を形成する」とされている。
一方、刊行物発明の「カバー体」は、壁板のうち天板に形成されたU字状の切欠は、その切欠により形成される本体側筐体内の空間及びその下側の空間が、スライドトレーが収納され又は引き出されるときにスライドトレーの中央部上面に突設され、光ディスクを位置決め及び保持するためのセンターガイドが移動する移動空間とされていること、スライドトレーの中央部上面に突設され、光ディスクを位置決め及び保持するためのセンターガイド部分が、本願補正発明におけるディスクトレイの上下方向における最大突出部に相当していることが明らかであることから、刊行物発明における「U字状の切欠」が、本願補正発明における「開口部」に相当し、前記「U字状の切欠」が「前記シャーシケースを構成する」「カバーシャーシの前記ディスクトレイの上下方向における最大突出部に対応する位置に」形成したものである点においても一致する。
(ii)「ベースシャーシ」について
刊行物発明の「底面板」は、本願補正発明の「ベースシャーシ」に相当する。
(iii)「封止部」について
刊行物発明の「覆い板」は「カバー体の一部に形成された切欠を覆う」板であって、当該切欠の前端を含めて覆っていることが明らかであるから、本願補正発明の「開口部の前端の開放を封止する封止部」に相当する。
刊行物発明の「覆い板」は、(カバー体の壁面のうちの)「天板の厚みの約4分の1にされ」ているので、本願補正発明の「封止部」が、「ベースシャーシ(カバー体)および/またはカバーシャーシの厚さより肉薄」である点に一致する。

以上のことからすると、本願補正発明と刊行物発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「記録媒体を装填したディスクトレイをシャーシケース内で前進後退させてロード/アンロードするようにしたディスク装置であり、
前記シャーシケースを構成するベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの前記ディスクトレイの上下方向における最大突出部に対応する位置に開口部を形成するとともに、前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚さより肉薄であり、前記開口部の前端の開放を封止する封止部を形成したディスク装置。」 である点。

[相違点]
封止部の高さ(厚さ)方向の形成位置について、本願補正発明では、「前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚みの範囲内で形成した」としているのに対して、刊行物発明では、【図5】からみて、カバー体(2)の天板(7a)の上面から突出して形成されている点。

(4)判断
刊行物発明では、【図5】からみて、覆い板(6)は、天板(7a)の上面から突出し、天板自体が覆い板より高さが低く構成されていることが見てとれる。
一方、本願補正発明では、【図10】からみて、封止部(2c)の上面の高さは、カバーシャーシ(2)の上面と同じ高さで構成されていることは明らかである。
本願補正発明では、カバーシャーシ自体の高さが、刊行物発明における天板の高さより高く設定されていることは明らかである。
両発明は、いずれも、ディスク装置全体の高さが、ディスクトレイの最大突出部の高さ寸法に、移動空間として介在する隙間の高さ寸法と封止部(覆い板)の厚さの和が加算されたものである点で、ディスク装置全体としての高さ(厚さ)において、特段、相違しない。
即ち、本願補正発明において、封止部を、「ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚みの範囲内で形成する」とした点は、刊行物発明において、天板の高さを覆い板の高さまで高く(厚く)して、天板と覆い板の両者の上面を面一にしたものに相当し、当業者であれば、格別の発明力を要すことなく、適宜に選択、設定し得る設計的事項の範囲内のことにすぎない。

なお、本願補正発明の「封止部」については、「開口部の前端の開放を封止する」と特定されているので、少なくとも前端の開放さえ封止されていれば足りるのであり、前端以外の部分については何ら特定されていないから、上記のとおり、本願補正発明の「封止部」と刊行物発明の「覆い板」との間に相違を認める必要がないが、本願補正発明の実施の形態に配慮して、「開口部の前端のみ開放を封止した」封止部の場合についても、見解を示す。
刊行物発明において、覆い板で切欠(の全面)を覆う意義については、前記(2).(ウ)の【0023】に「尚、本実施例においては切欠8を形成し該切欠8を覆う厚さT2の覆い板6を設けたものを示したが、このようにすれば、本体側筐体2の剛性を高くすることができる・・・。」と記載され、カバー体に形成したU字状の切欠による強度の低下を、覆い板を設けることで補償しようとしていることは明らかである。
一方で、刊行物発明は、スライドトレーが挿入される筐体の軽量化、小型化を図るとしてなされたものである(【要約】【課題】、【0009】など参照)から、切欠部を全面的に覆う覆い板に代えて、一部のみを覆う板を採用することで、強度を高めつつ軽量化を図ることは当業者が当然試みる程度のことであり、その際、切欠の開放端において変形が大きくなることは自明な事項であるから、開口部の前端のみに覆い板(封止部)を設けることは、当業者であれば、格別の発明力を要すことなく、適宜に採用し得る範囲内のことである。

以上のとおり、補正後の請求項1に係る発明は、刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.補正についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


III.本願発明について
1.本願発明
平成19年11月7日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年4月19日付けで手続補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められるところ、本願発明は、前記「II.1.(1)」に補正前の請求項1として記載したとおりである。

2.刊行物及びその記載
これに対して原査定の理由に引用された刊行物及びその記載は、前記「II.3.(2)刊行物及びその記載」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「II.3.独立特許要件について」において検討した本願補正発明に対して、開口部の前端に形成された「肉薄の封止部」について付加された、
「前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚さより肉薄であり、前記開口部の前端の開放を封止する封止部」、及び
「前記ベースシャーシおよび/またはカバーシャーシの厚みの範囲内で」形成した、
との特定事項を削除したものに相当する。
すると、本願発明の特定事項を全て含み、さらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「II.3.独立特許要件について」で検討したとおり、刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


IV.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-16 
結審通知日 2010-09-28 
審決日 2010-10-21 
出願番号 特願2002-171604(P2002-171604)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 達也  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 井上 信一
月野 洋一郎
発明の名称 ディスク装置  

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