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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1228879
審判番号 不服2008-4932  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-02-28 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 特願2003-106878「文章情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年11月 4日出願公開、特開2004-310691〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成15年4月10日の出願であって、平成19年7月24日付けで拒絶理由通知がなされ、同年9月21日付けで手続補正がなされ、平成20年1月22日付けで拒絶査定がなされ、同年2月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年3月19日付けで手続補正がなされ、その後当審において、平成22年7月22日付けで上記平成20年3月19日付けの手続補正を却下するとともに最後の拒絶理由を通知し、同年9月22日付けで手続補正がなされたものである。


第2 平成22年9月22日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成22年9月22日付けの手続補正(以下、「本件後補正」と呼ぶ。)を却下する。

[理由]

1.補正内容

本件後補正は、特許請求の範囲の請求項2を、
「【請求項2】
プレーンな文章及び該プレーンな文章が使用される状況を示す規準情報を入力するプレーン文章入力部と、
形態要素解析及び構文解析に使用する辞書を記憶する辞書記憶部と、
前記プレーン文章入力部から入力されたプレーンな文章を前記辞書記憶部に記憶された辞書を用いて形態要素解析することによりトークンに分解する形態要素解析部と、
前記プレーンな文章の構文に基づき、前記形態要素解析部で得られたトークンの品詞を解析して意味のある語を含む構造化された文章を生成する構文解析部と、
マークアップに使用されるデータを記憶するデータ記憶部と、
前記プレーン文章入力部が入力した規準情報に対応する位置を推定する現在位置推定部と、
前記構文解析部で生成された構造化された文章に含まれる語が、固有名を表す固有名の要素、時刻を表す時間の要素、位置を表す位置の要素、又は行為を表す行為の要素のうちのいずれであるかを解析する要素関係解析部と、固有名の要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う固有名要素処理部と、時間の要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う時間要素処理部と、位置の要素に関係付けて前記現在位置推定部で推定された現在位置を収集して付加するマークアップを行う位置要素処理部と、行為の要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う行為要素処理部とを備えた要素品格処理部と、
前記要素品格処理部により、前記構文解析部で生成された文章に対して、語句の意味を示すデータを付加するマークアップが施され、前記プレーンな文章と前記語句の意味を示すデータとを構造化して生成された、マークアップ文章を出力するマークアップ文章出力部とを備え、
前記要素関係解析部は、意味要素が固有名の要素である場合には前記固有名要素処理部を起動し、意味要素が時間の要素である場合には前記時間要素処理部を起動し、意味要素が位置の要素である場合には前記位置要素処理部を起動し、意味要素が行為の要素である場合には前記行為要素処理部を起動することを特徴とする文章情報処理装置。」
に変更する補正内容を含むものである。

2.本件後補正が、特許法第17条の2第3項の規定に適合するか否かについて
当審は、以下の理由で、本件後補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないものであると判断する。
すなわち、本件後補正後の請求項2には、「時間の要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う時間要素処理部」なる記載があるが、本願の願書に最初に添付した明細書若しくは図面(以下、「当初明細書等」という。)には、それに対応する事項の記載や、それに対応する事項が記載されていると同然であると理解出来るような記載はなく、請求項2を上記補正後の請求項2とすることを含む本件後補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
なお、当初明細書等に上記「時間の要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う時間要素処理部」なる記載に対応する事項の記載や、それに対応する事項が記載されていると同然であると理解出来るような記載がないことは、平成22年7月22日付けでした、平成20年3月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定の理由欄や、同日付けの拒絶理由通知の理由欄でも指摘したが、審判請求人は、平成22年9月22日付けの意見書の「2.補正の要件(理由1)について」の欄で、「この度の補正は、審判官殿のご指摘にともない、平成19年9月21日付けでした手続補正後の請求項(以下、元の請求項)1の記載を明確にするとともに、元の請求項2,3の内容で限定する内容であり、出願当初明細書の段落0029-0033、0044、0053-0059等の記載に基づく補正です。したがいまして、この度の補正は、補正の要件を満たす適法な補正であり、理由1に該当するものではないと思料いたします。」と述べるだけで、上記指摘に対する具体的反論をしていない。
また、上記意見書で請求人が補正の根拠として挙げる出願当初明細書の段落0029-0033、0044、0053-0059の記載を見ても、それ以外の当初明細書等の記載を精査しても、「データ記憶部」に何らかのデータが「時間の要素に関係付けて」記憶されていることを示す記載や、「時間要素処理部」が「データ記憶部」に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行うことを示す記載は、見当たらない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件後補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 上記補正却下の決定を前提とした本願についての検討

1.平成19年9月21日付けの手続補正
上記のとおり、本件後補正は却下され、平成20年3月19日付けの手続補正書による補正も平成22年7月22日付けで却下されているので、現時点で有効な明細書についての補正は、平成19年9月21日付けの手続補正書による補正(以下、「本件先補正」と呼ぶ。)である。そしてその補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「 【請求項1】 プレーンな文章を入力するプレーン文章入力部と、
形態要素解析及び構文解析に使用する辞書を記憶する辞書記憶部と、
前記プレーン文章入力部から入力されたプレーンな文章を前記辞書記憶部に記憶された辞書を用いて形態要素解析することによりトークンに分解する形態要素解析部と、
前記プレーンな文章の構文に基づき、前記形態要素解析部で得られたトークンの品詞を解析して意味のある語を含む構造化された文章を生成する構文解析部と、
マークアップに使用されるデータを記憶するデータ記憶部と、
前記構文解析部で生成された構造化された文章に含まれる語が、固有名を表す固有名要素、時刻を表す時間要素、位置を表す位置要素、又は行為を表す行為要素のうちのいずれであるかを解析する要素関係解析部と、固有名要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う固有名要素処理部と、時間要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う時間要素処理部と、位置要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う位置要素処理部と、行為要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う行為要素処理部とを備えた要素品格処理部と、
前記要素品格処理部で生成されたマークアップ文章を出力するマークアップ文章出力部とを備え
前記要素関係解析部は、意味要素が固有名要素である場合には前記固有名要素処理部を起動し、意味要素が時間要素である場合には前記時間要素処理部を起動し、意味要素が位置要素である場合には前記位置要素処理部を起動し、意味要素が行為要素である場合には前記行為要素処理部を起動することを特徴とする文章情報処理装置。」
に変更する補正内容を含むものである。

2.当審が通知した拒絶理由
平成22年7月22日付けで当審が通知した拒絶理由のうち、特許法第17条の2第3項の規定に関するものは、以下のとおりである。
「1.平成19年9月21日付けでした手続補正後の請求項1は、上記「第2」の「[理由]」の「2.」の「(1)」の欄で指摘した記載(審決注:「時間要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う時間要素処理部」なる記載。)を含んでいる。
したがって、平成19年9月21日付けでした手続補正も、上記「第2」の「[理由]」の「2.」の「(1)」の欄に記載したと同じ理由で、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 」

3.当審の判断
当審は、以下の理由(上記「第2」の「2.」の欄に記載したと同様の理由)により、本件先補正も、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に適合しないものであると判断する。
すなわち、本件先補正後の請求項1には、「時間要素に関係付けて前記データ記憶部に記憶されているデータを収集して付加するマークアップを行う時間要素処理部」なる記載があるが、本願の当初明細書等には、それに対応する事項の記載や、それに対応する事項が記載されていると同然であると理解出来るような記載はなく、請求項1を上記補正後の請求項1とすることを含む本件先補正も、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。

4.むすび
以上のとおり、本願は、特許法第17条の2第3項の要件を満たさないものである。
したがって、本願は、他の拒絶の理由について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-14 
結審通知日 2010-10-19 
審決日 2010-11-02 
出願番号 特願2003-106878(P2003-106878)
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (G06F)
P 1 8・ 561- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太成瀬 博之  
特許庁審判長 小曳 満昭
特許庁審判官 池田 聡史
田口 英雄
発明の名称 文章情報処理装置  
代理人 田澤 英昭  
代理人 濱田 初音  

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