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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H02G
管理番号 1228925
審判番号 不服2008-24663  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-25 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 特願2004-348426「ワイヤハーネスの配索構造」拒絶査定不服審判事件〔平成18年 6月15日出願公開、特開2006-158151〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成16年12月1日の出願であって,平成20年8月21日付けで拒絶査定がなされ,これに対し同年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに,同年10月27日に手続補正がなされ,さらに平成22年5月22日付けで当審より拒絶理由が通知され,同年7月26日付けで,手続補正書と意見書が提出されたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1に係る発明は,平成22年7月26日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されたとおりのものと認められ,その請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】
ワイヤハーネスの幹線が車体パネルに固定された状態で配索され,前記ワイヤハーネスの幹線より分岐された枝線に取付部品が接続され,この取付部品が車体内の所定の収容位置に設置されるワイヤハーネスの配索構造において,
前記枝線を前記取付部品の底面に沿って配索し,前記枝線の先端を該枝線の分岐位置から前記取付部品の底面のコーナ部側の最長位置まで導いて該取付部品の底面のコーナ部側に接続したことを特徴とするワイヤハーネスの配索構造。」

第3 引用刊行物及びその記載事項
当審の拒絶の理由に引用された文献であって,本願出願前に頒布された刊行物である実願昭59-60297号(実開昭60-171768号)のマイクロフィルム(以下,「引用刊行物1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
(1-ア)
「 本考案は,このような従来の問題点に着目してなされたもので,ハーネスを組付やすく,メータユニットを取付けたとき,整然とかつ自然に余長部を収納することができるようにして上記問題点を解決したインストルメントパネルを提供することを目的としている。」(明細書3頁3行?8行)

(1-イ)
「電装部品の背面に対応する部位にハーネス収納凹部を形成し,該ハーネス収納凹部の背面の長手方向の全長にわたってハーネス挿通開口を開設したことを特徴とするインストルメントパネルとし,電装部品の背面に対応して設けられたハーネス収納凹部にハーネスの支線ならびに余長部を収納し,かつ,ハーネス収納凹部の背面の長手方向に開設したハーネス挿通開口から容易にハーネスを電装部品に接続することができるようにしたものである。」(明細書3頁11行?20行)

(1-ウ)
「ハーネス(30)は主線(31)から延びた支線(32)の余長部(33)がハーネス収納凹部(40)の長手方向の長さとほぼ同一にされ,余長部(33)は折り畳まれることなくハーネス収納凹部(40)内に収納され,余長部(33)の先端に設けられたコネクタ(34)がコネクタ挿通孔(26)を通してメーターユニット(10)のコネクタ(11)に結合されている。」(明細書4頁18行?5頁4行)

(1-エ)
「上記構成を有するインストルメントパネルでは,ハーネス(30)を収納部(21)あるいはハーネス収納凹部(40)の後側(B)から組付ける際は,支線(32)をハーネス収納凹部(40)の背面(41)に当接させるようにすると,支線(32)はハーネス挿通開口(42)に案内されて自然にハーネス収納凹部(40)内に入り抜け止め部(43)で抜け止めされて収納される。
メータユニット(10)は,背面部(25)に表側(A)から押し込まれ,コネクタ(34)をコネクタ(11)に結合してから完全に押し込んで固定される。それにより,余長部(33)はメータユニット(10)の背面(10a)により押えられて固定される。」(明細書5頁5行?16行)

(1-オ)
「 本考案に掛るインストルメントパネルによれば,メータユニットを組付け,あるいは外す際,ハーネスの余長部が自然に引き出されかつ収容され,しかも確実に固定されるハーネス収納凹部を設けたから,作業性が著しく改善され,余長部も折畳まれることなく整然と収納されるので余分な長さを要しない。」(明細書7頁15行?8頁1行)

そして,第1図には,ハーネス(30)がインストルメントパネル(20)に固定されている構造が記載されている。

上記刊行物1の記載事項(1-ア)?(1-オ)および第1?3図を総合すると,刊行物1には,次の発明が記載されていると認められる。
「ハーネスの主線と,前記ハーネスの主線から延びた支線に電装部品が接続され,この電装部品がインストルメントパネルに組み付けられるハーネスの組付けであって,前記支線と前記電装部品とを結合し,前記支線を前記電装部品の背面に当接させた状態で,電装部品の背面のハーネス収納凹部(40)に収納し,接続したハーネスの接続構造。」(以下,「引用発明」という。)

第3 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,その機能・構造からみて,引用発明における「ハーネス」,「主線」,「支線」,「電装部品」,「組み付けられる」及び「ハーネスの接続構造」が,それぞれ,本願発明の「ワイヤハーネス」,「幹線」,「枝線」,「取付部品」,「所定の収容位置に設置される」及び「ワイヤハーネスの配索構造」に相当するのは明らかである。
引用発明の「インストルメントパネル」と本願発明の「車体パネル」は,共に「パネル」である点で共通する。
そして,第1,3図の記載から,引用発明の「ハーネスの主線」は,「インストルメントパネル」に「固定された状態で配索され」ているといえる。 また,本願発明,引用発明とも,車両に電気部品を組み付ける際の,取り付けや取り外し作業等を容易であるワイヤーハーネスの提供を課題とするものであり(本願明細書【0004】,引用刊行物(1-ア)の記載等参照),その効果としては,ワイヤーハーネスを最短ではない余長を持たせた状態で接続したことによる,取付部品の自由な移動が可能になる点(本願明細書【0009】,引用刊行物(1-オ)の記載等参照)で共通する。
さらに引用発明の「前記支線を前記電装部品の背面に当接させた状態で接続」とは,第3図の記載からして「ハーネスの支線を電装部品の背面に沿って配索」することといえる。
そして,引用発明の「電装部品の背面」と,本願発明の「取付部品の底面」とは,「取付部品の一面」である点で共通する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「ワイヤハーネスの幹線が車体パネルに固定された状態で配索され,前記ワイヤハーネスの幹線より分岐された枝線に取付部品が接続され,この取付部品が車体内の所定の収容位置に設置されるワイヤハーネスの配索構造において,
前記枝線を,前記取付部品の一面に沿って配索することによって接続した,ワイヤハーネスの配索構造」
である点で一致し,以下の点で相違する。

(相違点1)
取り付け部品を組み付ける「パネル」について,本願発明は「車体パネル」であるのに対し,引用発明では「インストルメントパネル」である点。

(相違点2)
本願発明は,ワイヤハーネスの枝線を「取付部品の底面に沿って配索」すなわち固定されない状態で配索しているのに対し,引用発明では「背面に沿って」,「取付部品の背面のハーネス収納凹部に収納」している点。

(相違点3)
本願発明では,ワイヤハーネスの枝線を「枝線の先端を該枝線の分岐位置から前記取付部品の底面のコーナ部側の最長位置まで導いて該取付部品の底面のコーナ部側に接続」しているのに対し,引用発明では当該構成をとっていない点。

上記(相違点1)?(相違点3)について検討する。
取り付け部品の取り付け先が,「車体パネル」であるのかまたは「インストルメントパネル」であるか,ワイヤーハーネスの枝線を取付部品に接続する際に,「取付部品の底面に沿って配索」するか「取付部品の背面に沿って配索」するか,及び,取付部品のどの位置で接続するかは,幹線の配置で決まる事項であり,当業者が適宜設計すべき事項であるといえる。
さらに,ワイヤーハーネスの枝線に取付部品を接続する際に,特別な「ハーネス収納凹部」を設けないで,すなわち固定しない状態で,直接配線を取り回すことは当該技術分野においては周知の事項である。
例えば,原査定の拒絶の理由でも引用された刊行物である特開2000-118327号公報には,自動車用電装部品の組み付け構造として,以下の事項が記載されている。
「【0002】
【従来の技術】従来,この種の自動車用電装品はインスツルメントパネル等のパネルの所要位置に設置されて,自動車に配索されるワイヤハーネスとされており,電装品の交換,補修等に備えて,ワイヤハーネス幹線から分岐して電装品に接続される支線の長さは最短寸法より長尺して余長を持たせ,電装品が交換等のために引き出された時,支線も引き出されるようにしている。
【0003】例えば,図4に示す自動車に搭載するオーディオ1は,インスツルメントパネル(図示せず)の取付穴に表面を露出させた状態で配置され,インスツルメントパネルの内部で左右に配管されるインスツルメントパネル・メンバーパイプ3より上向きに突設されたブラケット4に,オーディオ1の裏面側が固定されている。このオーディオ1の背面側の電線接続部1aに,ワイヤハーネスW/Hの幹線10から分岐した支線11の先端が接続されており,幹線10は上記メンバーパイプ3の裏面に沿って配索されクリップ5でメンバーパイプ3に固定されている。上記支線11の幹線10から分岐位置P1は上記ブラケット4の左右一端側であり,該分岐位置P1からメンバーパイプ3を越えて引き出され,ブラケット4で支持されたオーディオ1の電線接続部1aに接続されている。
【0004】上記支線11の長さは,オーディオ1の取付位置までの最短長ではなく,オーディオの交換,補修に備え,引き出し代を考慮して余長を持たせている。即ち,オーディオの交換時に,オーディオ1をインスツルメントパネル2より引き出す前に支線11との接続を外すことが出来ないため,引き出されるオーディオ1に追従して支線11が引き出されるようにする必要があり,よって,余長を持たせている。」

そうすると,引用発明における(相違点1)?(相違点3)の構成について,上記周知の事項を適用して,本願発明のような構成とすることは,当業者にとって容易に想到しうるものであるといえる。
そして,本願明細書に記載された効果も,引用発明,上記周知の技術及び技術常識から,当業者が予測し得る範囲のものであり,格別顕著なものといえない。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,引用発明,周知の事項,及び設計事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして,その余の請求項の発明ついて言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-05 
結審通知日 2010-10-12 
審決日 2010-10-29 
出願番号 特願2004-348426(P2004-348426)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H02G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神田 太郎  
特許庁審判長 岡田 孝博
特許庁審判官 信田 昌男
竹中 靖典
発明の名称 ワイヤハーネスの配索構造  
代理人 三好 秀和  

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