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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1228968
審判番号 不服2009-6779  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-01 
確定日 2010-12-09 
事件の表示 平成11年特許願第362389号「画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月29日出願公開、特開2001-175024〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年12月21日の出願であって、平成21年2月24日付で拒絶査定がなされたものであり、これに対し、同年4月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月24日付で手続補正がされたものである。
さらに、平成21年11月16日付で審尋がなされたところ、審判請求人から平成22年1月13日付で回答書が提出されたものである。

2.平成21年4月24日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成21年4月24日付の手続補正を却下する。

[理由]
2-1.補正内容
本件補正は、平成20年11月14日付手続補正書により補正された本願明細書の特許請求の範囲の請求項1の
(1)「 【請求項1】
少なくともスチレン-(メタ)アクリレート系共重合体である結着樹脂と着色剤と下記一般式(I)で表されるケトン化合物を含有するトナー用樹脂組成物からなり、
体積平均粒径が4?9μmであり、且つ、体積平均粒径の40%以下の粒径を有する粒子数の全粒子数に占める割合が9.0%以下である静電荷像現像用トナーを用い、
トナーをレーザープリンターの現像機内に入れ、1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャート、及び、1200dpiの細線を2ラインずつ黒黒・白白を繰り返し出力する解像度チャートにおいて細線が分離していることを特徴とする画像形成方法。
【化1】
R^(1)-C-R^(2)
?
O
[式(I)中、R^(1)はアルキル基、又はアルコキシ基を示し、R^(2)はアルキル基、又はアルキルカルボニルオキシアルキル基を示す。] 」



(2)「 【請求項1】
少なくともスチレン-(メタ)アクリレート系共重合体である結着樹脂と着色剤と下記一般式(I)で表されるケトン化合物を含有するトナー用樹脂組成物からなり、
体積平均粒径が4?9μmであり、且つ、体積平均粒径の40%以下の粒径を有する粒子数の全粒子数に占める割合が9.0%以下であり、重合法により製造される静電荷像現像用トナーを用い、
トナーをレーザープリンターの現像機内に入れ、1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャートにおいて細線が分離していることを特徴とする画像形成方法。
【化1】
R^(1)-C-R^(2)
?
O
[式(I)中、R^(1)はアルキル基、又はアルコキシ基を示し、R^(2)はアルキル基、又はアルキルカルボニルオキシアルキル基を示す。] 」
と補正しようとする補正事項が含まれている。(以下、「本件補正」という。)
なお、上記請求項1の記載事項において、前記「ケトン化合物」とは、「R^(1)」及び「R^(2)」がともにアルキル基である、「いわゆるケトン化合物」のみを意味するものか、「R^(1)」がアルコキシ基であり、「R^(2)」がアルキル基である、「いわゆるエステル化合物」をも包含するものであるのか、明りょうでないところ、本願明細書の実施例を参照すると、実施例で使用している化合物は「ベヘン酸ベヘニル」のみであり、「ベヘン酸ベヘニル」は脂肪族モノエステルである。
してみると、本願明細書では、前記「ケトン化合物」とは、「いわゆるケトン化合物」のみを意味するものでなく、「R^(1)」がアルコキシ基であり、「R^(2)」がアルキル基である「いわゆるエステル化合物」をも包含するものであると認められる。

本件補正は、請求項1記載の「静電荷像現像用トナー」を「重合法により製造される静電荷像現像用トナー」に限定補正するものであるから、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-2.引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平10-198068号公報(原査定の引用刊行物1。以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電記録法等における静電潜像を現像するための二成分系現像剤、該二成分系現像剤を用いた現像方法及び画像形成方法に関する。」

(1b)「【0011】しかしながら、規制部材が具備されている現像器に、直接重合法で得られたトナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を収納して用いた場合には、従来の粉砕法で得られたトナーとキャリアとからなる二成分系現像剤を用いた場合と比較し、現像剤の流動性が極めてよい為、現像剤が現像剤担持体と規制部材との間をすり抜ける現象が発生する場合があった。この為、現像剤粒子間の帯電量が不均一になり易く、且つ均一なコーティングが得られないことが生じ、地カブリや画像ムラのある不良画像が発生する場合があった。更に、現像剤担持体表面が鏡面形状を有するものの場合には、周方向への搬送力不足の為に、現像剤担持体上に担持される現像剤が現像剤担持体の両端近傍において偏りを生じ、繰り返しの複写耐久において軸受け等に現像剤が入り込み現像剤の融着物が発生するので転写時において転写不良を起こし易く、画像欠陥の原因となる。」

(1c)「【0012】又、一般的に、直接重合法により得られたトナーは、実質的に球形形状を有する為に現像器内でパッキングし易く、場合によっては現像剤が現像器内の規制部材下流部分に密に充填されて現像剤担持体へ強く押しつけられる結果、現像剤がスリーブ表面に融着する所謂スリーブ汚染が発生する。このスリーブ汚染は、画像濃度の低下、地カブリの原因となり好ましくない。特に、多量の低軟化点物質を含有する粉砕法トナーを用いた現像剤ではこの現象が顕著になる。」

(1d)「【0013】特開昭63-247762号公報においては、パラフィン等の低軟化点物質を単量体に対して50乃至3,000重量部含有させた直接重合法で得られたトナーを現像剤に用い、且つ現像剤担持体の表面粗さ(Rzmax値)に着目した出願がなされている。しかし、この方法によれば、現像剤の現像剤担持体上への融着に関しては、繰り返しの複写耐久の初期においての効果が認められたが、繰り返しの複写耐久後には、現像剤担持体上にトナー融着が発生する場合があった。又、スリーブ表面粗さ(Rzmax値)の規制だけでは、上記した様な流動性のよい現像剤を安定して現像剤担持体上に搬送し続けることは困難であった。」

(1e)「【0027】しかしながら、本発明の目的である高精細で階調性に優れたトナー画像を得るためには、上記した樹脂キャリアの改良のみではなく、トナーの改良も重要である。以下、本発明で使用するトナーについて説明する。本発明において使用する、上記した樹脂キャリアと組み合わせて二成分系現像剤を構成するためのトナーとしては、少なくとも、結着樹脂100重量部に対して着色剤が0.1乃至15重量部が含有されており、該トナーの個数平均粒径が0.5乃至10.0μmであって、且つ個数平均粒径(D_(1))の1/2倍径以下の個数分布累積値が10個数%以下、体積平均粒径(D_(3))の2倍径以上の体積分布累積値が10体積%以下、個数基準の粒径分布の変動係数が20%以下のシャープな粒度分布を有し、更に、トナーの形状が、形状係数SF-1が100乃至140であって球形に近く、又、THF可溶成分のGPCによる分子量分布において、分子量1,000以下の成分の含有量がトナーの重量を基準として10重量%以下であり、分子量の最大ピーク(Mp)が分子量3,000乃至100,000の領域にあるトナーを用いる。」

(1f)「【0063】次に、本発明の二成分系現像剤に用いられるトナーの構成について説明する。本発明に用いられるトナーは、結着樹脂100重量部と着色剤0.1乃至15重量部とを含有しており、個数平均粒径が0.5乃至10.0μmであり、個数平均粒径(D_(1))の1/2倍径以下の個数分布累積値が10個数%以下、体積平均粒径(D_(3))の2倍径以上の体積分布累積値が10体積%以下であり、個数基準の粒子径分布の変動係数が20%以下であることが、反転成分のない良好な帯電付与、潜像ドットの再現性を満足するために好ましい。」

(1g)「【0064】更に、トナーの帯電性を良好にし、ドット再現性を高めるためには、本発明で用いるトナーは、個数平均粒径が、1.0乃至6.0μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは3.0乃至6.0μmであり、トナーの個数平均粒径(D_(1))の1/2倍径以下の個数分布累積値が、好ましくは5個数%以下、より好ましくは2個数%以下であり、体積平均粒径(D_(3))の2倍径以上の体積分布累積値が、好ましくは5体積%以下、更に好ましくは2体積%以下であり、個数基準の粒子径分布の変動係数が、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下であることが好ましい。」

(1h)「【0065】即ち、本発明で使用するトナーの個数平均粒径が10.0μmを超える場合には、静電潜像を現像する一個の粒子径が大きくなるために、いくらキャリアの磁気力を下げたとしても潜像に忠実な現像が行われ難く、更に、静電的な転写を行う場合にトナーの飛び散りが生じ易くなるため、好ましくない。一方、トナーの個数平均粒径が0.5μm未満になると、粉体としての取り扱い性に不都合を生じ易い。」

(1i)「【0066】又、トナーの個数平均粒径(D_(1))の1/2倍径以下の小さいトナー粒子の個数分布累積値が10個数%を超える場合には、微粉トナー粒子への摩擦帯電付与が良好に行えずトナーのトリボ分布が広がってしまい、帯電不良(逆極性に帯電する反転成分の生成)や、現像したトナーの粒度の偏在化により、耐久での現像器中のトナーの平均粒径及び粒度分布の変化が生じてしまう。」

(1j)「【0071】更に、本発明の二成分系現像剤においては、該現像剤を構成しているトナーとして、一部又は全体が重合法により形成されたトナーを用いることによって、本発明の効果を高めることを可能としている。特に、トナーの表面部分を重合法により形成したトナーは、分散媒中にプレトナー(モノマー組成物)粒子として存在させて、必要な部分を重合反応により重合させて作製する為、かなり平滑化された表面性を有するものとなる。本発明におけるトナー表面の平滑さの作用効果は、電界がトナーの所謂尖った部分に集中する傾向にあることに集約される。即ち、感光体帯電過程を経たトナーが、所謂凸凹のあるトナーである場合には、凸部分にコロナシャワー或いは放電が集中し、その部分が特異的に劣化されるという特性をもつのに対し、トナー表面が平滑であれば、コロナシャワー或いは放電が集中するところがないので、トナー劣化を引き起こし難いと考えられる。トナー形状SF-1の値が140を超えて不定形になってくると、画像カブリが増えたり、耐久性が若干劣る場合がある。」

(1k)「【0080】本発明で使用するトナーを製造する方法としては、具体的には、特公昭36-10231号公報、特開昭59-53856公報号、特開昭59-61842公報号に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナーを作製する方法や、単量体には可溶で且つ得られる重合体には不溶な水系有機溶剤を用いて直接トナーを生成する分散重合方法、又は、水溶性極性重合開始剤の存在下で直接重合してトナーを生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法等が挙げられる。」

(1m)「【0081】特に、本発明に用いる粒度分布がシャープで、低分子量成分の含有量が少ない球形のトナーは、以下のような製造方法によって得ることが好ましい。即ち、トナーの結着樹脂を合成するための重合性単量体は溶解させるが、重合性単量体を合成することにより得られる結着樹脂は溶解させない有機溶媒、又はこの様な有機溶媒と水とを有する混合溶媒の如き溶媒中に、マトリックスポリマーとしての高分子化合物及び/又は界面活性剤を溶解して溶解液を調製し、窒素雰囲気下でこの溶解液中に、少なくとも、上記の重合性単量体を溶解させた反応系中で重合開始剤の存在下、重合性単量体を重合し、これによりトナー粒子を得る方法がよい。この溶媒中に溶解させる高分子化合物としては、2種以上を併用してもよい。更に、反応系中での重合性単量体の重合時に、反応系中に荷電制御剤や着色剤を溶解又は分散させて重合を行って、この電制御剤や着色剤をトナー粒子中に含有させることもできる。」

(1n)「【0090】上述の方法及び重合体を利用して形成される重合トナーは、更に好適な現像剤特性を付与するために種々の添加剤を含有させることができる。かかる種々の添加剤はあらかじめ重合性混合物に混合、溶解させておくこともできるし、微粒子を合成した後に添加することもできる。本発明のトナーの帯電性を制御する目的で荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては正荷電制御剤、若しくは負荷電制御剤のいずれのものであっても利用できるが、具体的には例えはニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、四級アンモニウム塩、アミン系或いはイミン系化合物、及び重合体、サリチル酸、或いはアルキルサリチル酸の金属化合物、合金モノアゾ系染料、カルボン酸或いはスルフォン酸官能基を有する重合体、ニトロフミン等のフミン酸及び塩類等を挙げることができる。」

(1p)「【0118】
[トナーの製造例A]
・ポリビニルメチルエーテル 20重量部
・メタノール 130重量部
先ず、上記の処方を温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けた反応容器に入れ、窒素気流下、室温で充分撹拌した。
・スチレン 25重量部
・n-ブチルアクリレート 6重量部
・銅フタロシアニン顔料 1.5重量部
・サリチル酸金属化合物 1重量部
・2,2-アゾビスイソブチロニトリル 2重量部
次に、上記の処方を充分撹拌して混合溶解させた後、先の反応容器内に加え、窒素気流下で65℃に加熱して15時間反応させた。そして、得られた反応物を濾過し、濾物をメタノール希釈して充分に撹拌した後、これを再び濾過した。この操作を数回繰り返した。得られた濾物を真空乾燥機で充分に乾燥してトナー粒子を得た。
【0119】上記で得られたトナー粒子は、体積平均粒径(D_(3))約4.5μm、個数平均粒径(D_(1))が3.8μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が0個数%であり、体積平均粒径の2倍径以上の分布累積値が0体積%であった。個数基準の粒子径分布の変動係数は7.8%であった。又、トナーの形状係数SF-1は110であった。トナー粒子のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量のピーク(Mp)は8,200であり、且つ分子量1,000以下の分子の含有量は、トナー粒子の重量を基準として0.0重量%であった。更に、上記で得られたトナー粒子100重量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した個数平均粒径0.04μmのシリカ微粉体2重量部をヘンシェルミキサーにより混合して外添トナーAを得た。外添トナーAの外添剤被覆率は、70%であった。」

(1q)「【0120】・・・
[トナーの製造例B]
・ポリビニルメチルエーテル 20重量部
・メタノール 130重量部
先ず、上記処方を温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けた反応容器に入れ、窒素気流下、室温で充分撹拌した。
・スチレン 27重量部
・n-ブチルアクリレート 3重量部
・サリチル酸金属化合物 1重量部
・2,2-アゾビスイソブチロニトリル 2重量部
次に、上記の処方を充分撹拌して混合溶解させた後、先の反応容器内に加え、窒素気流下で65℃に加熱して15時間反応させた。そして、得られた反応物を濾過し、濾物をオイルレッド6重量部を溶解させたメタノールで希釈して充分に撹拌した後、これを再び濾過した。着色した濾過物をメタノールで希釈し、濾過する操作を数回繰り返した。得られた濾物を真空乾燥機で充分に乾燥してトナー粒子を得た。
【0121】上記で得られたトナー粒子は、体積平均粒径(D_(3))約5.1μm、個数平均粒径(D_(1))が4.5μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が0個数%であり、体積平均粒径の2倍径以上の分布累積値が1体積%であった。個数基準の粒子径分布の変動係数は8.2%であった。又、トナーの形状係数SF-1は115であった。トナー粒子のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量のピーク(Mp)は9,100であり、且つ分子量1,000以下の分子の含有量は、トナー粒子の重量を基準として0.5重量%であった。更に、更に、上記で得られたトナー粒子100重量部に対して、シラン系カップリング剤で疎水化処理した個数平均粒径0.03μmの酸化チタン微粉体2重量部をヘンシェルミキサーにより混合して外添トナーBを得た。外添トナーBの外添剤被覆率は、65%であった。」

(1r)「【0122】
[トナーの製造例C]
・ポリビニルピロリドン 15重量部
・メタノール 150重量部
先ず、上記の処方を温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けた反応容器に入れ、窒素気流下、室温で充分撹拌した。
・スチレン 17重量部
・エチルメタクリレート 17重量部
・銅フタロシアニン顔料 1.5重量部
・サリチル酸金属化合物 1重量部
・2,2-アゾビスイソブチロニトリル 2重量部
次に、上記の処方を充分撹拌して混合溶解させた後、先の反応容器内に加え、窒素気流下で65℃に加熱して15時間反応させた。そして、得られた反応物を濾過し、濾物をメタノールで希釈し充分に撹拌した後、これを再び濾過した。この操作を数回繰り返した。得られた濾物を真空乾燥機で充分に乾燥しトナー粒子を得た。
【0123】この得られたトナー粒子は、体積平均粒径(D_(3))約4.8μm、個数平均粒径(D_(1))が4.2μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が2個数%であり、体積平均粒径の2倍径以上の分布累積値が2体積%であった。個数基準の粒子径分布の変動係数は、16.0%であった。又、形状係数SF-1は129であった。トナー粒子のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量のピーク(Mp)は7,200であり、且つ分子量1,000以下の分子の含有量は、トナー粒子の重量を基準として2.1重量%であった。更に、上記で得られたトナー粒子100重量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した個数平均粒径0.05μmのシリカ微粉体2.5重量部をヘンシェルミキサーにより混合して外添トナーCを得た。外添トナーCの外添剤被覆率は、75%であった。」

(1s)「【0124】
[トナーの製造D]
・ポリビニルアルコール 20重量部
・メタノール 120重量部
先ず、上記の処方を温度計、撹拌装置、還流冷却器を取り付けた反応容器に入れ、窒素気流下、室温で充分撹拌した。
・スチレン 18重量部
・エチルメタクリレート 15重量部
・サリチル酸金属化合物 1重量部
・2,2-アゾビスイソブチロニトリル 2重量部
次に、上記の処方を充分撹拌して混合溶解させた後、先の反応容器内に加え、窒素気流下で65℃に加熱して15時間反応させた。そして、得られた反応物を濾過し、濾物をオイルブラック6重量部を溶解させたメタノールで希釈して充分に撹拌した後、これを再び濾過した。着色した濾過物をメタノールで希釈し、濾過する操作を数回繰り返した。得られた濾物を真空乾燥機で充分に乾燥しトナー粒子を得た。
【0125】この得られたトナー粒子は、体積平均粒径(D_(3))約7.1μm、個数平均粒径(D_(1))が6.3μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が4個数%であり、体積平均粒径の2倍径以上の分布累積値が5体積%であった。個数基準の粒子径分布の変動係数は、18.2%であった。又、形状係数SF-1は131であった。トナー粒子のTHF可溶分のGPCによる分子量分布において、分子量のピーク(Mp)は22,000であり、且つ分子量1,000以下の分子の含有量は、トナー粒子の重量を基準として2.0重量%であった。更に、上記で得られたトナー粒子100重量部に対して、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した個数平均粒径0.06μmのシリカ微粉体2重量部をヘンシェルミキサーにより混合して外添トナーDを得た。外添トナーDの外添剤被覆率は、60%であった。」

(1t)「【0155】
【表1】 表1:トナーA?Iの物性



(1u)「【0157】実施例1
トナーAとキャリア1とを用い、トナー濃度が9.0重量%となるようにして実施例1の二成分系現像剤(1)を調整した。この二成分系現像剤(1)を、キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC-500改造機に用いて画像出し試験を行った。この際の現像部周辺の模式図を図1に示した。以下に、図1に従って本実施例の現像方法を説明する。
【0158】現像器の現像剤担持体1(以下、現像スリーブと呼ぶ)と現像剤規制部材2(以下、磁性ブレードと呼ぶ)との距離Aを600μm、又、現像スリーブ1と静電潜像坦持体3(以下、感光体ドラムと呼ぶ)との距離Bを500μmとした。このときの現像ニップは5mmであった。又、現像スリーブ1と感光体ドラム3との周速比は、2.0:1、現像スリーブ1の現像極S1の磁場が1キロエルステッド、更に、現像条件は、交番電界2,000V(ピーク間電圧)、周波数3,000Hzの矩形波であり、現像バイアスは-470Vとなるように設定した。更に、トナー現像コントラスト(Vcont)は350V、カブリ取り電圧(Vback)は80Vとした。又、感光体ドラム3の一次帯電は-560Vとした。
【0159】現像器には、現像スリーブ1(材質:SUS、日立金属製、25φ)の表面をニューマブラスター(不二製作所製)を用いてサンドブラストして、Ra=2.1μm、Sm=29.7μmのブラストスリーブ(Ra/Sm=0.07)を製造して、この現像スリーブ1を有する現像器を用いた。そして、上記の現像条件で、感光体ドラム3上の1,200dpiデジタル潜像を現像した。この際に得られた画像について、下記に挙げる評価項目について、夫々評価を行ったところ、下記の結果を得た。
【0160】先ず、ハーフトーン部におけるドット再現性、ベタ白部におけるキャリア付着を感光体ドラム上で評価したが、非常に良好な結果を示した。又、トナー画像の転写及び定着後の被記録材(普通紙)上での評価においては、得られたベタ画像の濃度が1.55と充分であり、又、キャリア付着による画像部及び非画像部での画像の乱れやトナーカブリは認められなかった。又、上記の現像条件で、10,000枚の画像複写耐久試験を行った結果、耐久後においてのハーフトーン部の再現性も良好であった。耐久後のベタ画像の濃度が1.56と初期と同様に安定して高く、更に、カブリやキャリア付着も認められなかった。又、耐久後のキャリア表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、コート材の剥がれもなく、初期の磁性キャリア表面と同様な表面状態を呈していた。又、耐久後の感光体ドラム表面に、トナーフィルミングは認められなかった。尚、評価方法及び評価基準については後述する。又、表3に、評価結果をまとめて示した。」

(1v)「【0161】実施例2
トナーBとキャリア1とを用いて、実施例2の二成分系現像剤(2)を調製した(トナー濃度9.0%)。実施例1と同様にして評価を行った。その結果、表3に示す通り、実施例1と同様の良好な結果が得られた。」

(1w)「【0162】実施例3
トナーCとキャリア1とを用いて、実施例3の二成分系現像剤(3)を調製した(トナー濃度9.0%)。実施例1と同様にして評価を行った。この結果、ハーフトーン部のドラム上ドット再現性については、実施例1に劣ったが、表3に示す通り、充分なレベルの評価結果が得られた。」

(1x)「【0163】実施例4
トナーBとキャリア2とを用いて、実施例4の二成分系現像剤(4)を調製した(トナー濃度9.0%)。実施例1と同様にして評価を行った。この結果、ハーフトーン部のドラム上ドット再現性について実施例1に劣ったが、表3に示す通り、充分なレベルの評価結果が得られた。」

(1y)「【0174】
【表3】表3:実施例1?9及び比較例1?5の評価結果

注)*1:キャリア表面にトナースペント、及び感光体ドラムにトナーフィルミング発生。
*2:キャリア表面にトナースペント発生。
*3:キャリア表面にトナースペント発生。
*4:キャリア粒子の破壊が生じていた。」

以上の記載事項(特に、(1p)(1u))によれば、引用例1には、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されているものと認められる。

「スチレン25重量部、n-ブチルアクリレート6重量部、銅フタロシアニン顔料1.5重量部、サリチル酸金属化合物1重量部との反応混合物からなる重合法により形成されたトナーAであって、
トナー粒子Aは、体積平均粒径(D_(3))約4.5μm、個数平均粒径(D_(1))が3.8μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が0個数%であり、
トナーAとキャリア1とを用い、トナー濃度が9.0重量%となるようにして二成分系現像剤(1)を調整し、
この二成分系現像剤(1)を 、キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC-500改造機に用いて画像出し試験を行い、感光体ドラム3上の1,200dpiデジタル潜像を現像し、画像評価したところ、非常に良好な結果を示した画像形成方法。」

(2)引用例2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平11-065172号公報(原査定の引用刊行物3。以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2a)「【0007】一方、従来より静電潜像現像用トナーは、少なくとも着色剤および熱可塑性樹脂を混合後溶融混練して一様な分散体にし、これを粉砕装置によって適切な粒径に粉砕してトナー粒子を製造する、いわゆる粉砕法により製造することが一般的であった。
【0008】近年、製造コストの低減や高画質化の観点から、小粒径で形状の揃ったトナー粒子を得ることが可能な製造方法として、懸濁重合法や乳化分散法等に代表される湿式中での造粒法が注目されている。これらの湿式造粒法によれば、概して小粒径のトナー粒子を得ることが容易であることから高画質化に十分対応することが可能である。また収率も良好で製造コストを低減することも可能である。
【0009】しかしながら、懸濁重合法においては使用できるモノマーが限られており、例えばフルカラートナー用のバインダー樹脂として有用なポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を用いたトナーを得ることができないという問題点がある。
【0010】一方、乳化分散法は、バインダー樹脂および着色剤を適当な有機溶剤に溶解あるいは分散させた着色樹脂溶液を調整し、これを水性分散液中に加えて攪拌することにより着色樹脂溶液の液滴を形成し、加熱によってこの液滴から有機溶剤を除去してトナー粒子の造粒を行う方法である。乳化分散法の場合には、有機溶剤にある程度溶解する樹脂であれば使用可能であるため、バインダー樹脂として使用できる樹脂の種類の選択幅が広く、例えばポリエステル樹脂やエポキシ樹脂をバインダー樹脂としたトナー粒子も製造することができる。
【0011】しかしながら、乳化分散法によって着色剤としてイエロー顔料を用いたトナー粒子を製造する場合にも、上述したようにトナー粒子中にイエロー顔料を均一に微分散させることが困難であり、透光性低下を招くという技術課題が依然として存在した。」

(2b)「【0018】本発明に使用するバインダー樹脂としては、例えばスチレン-アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等を使用することができる。さらに、C.I.ピグメントイエロー180のバインダー樹脂中での分散性を向上させるために、バインダー樹脂として1.0?30.0KOHmg/g、好ましくは1.0?25.0KOHmg/g、より好ましくは2.0?20.0KOHmg/gの酸価を有する樹脂を用いることが好ましい。これは酸価が1.0KOHmg/gより小さいと分散性向上の効果が小さくなり、30.0KOHmg/gより大きくなると負帯電性が強くなるとともに環境変動による帯電量の変化が大きくなるためである。」

(2c)「【0027】また、トナー粒子にはポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス等のワックス類を添加すること好ましい。これは耐オフセット性を向上させるだけではなく、非磁性1成分現像装置における規制部材(ブレード)や現像剤担持体(現像ローラ)等に対するトナーの固着の問題を低減させることができるためである。特に酸価が0.5?30KOHmg/gのワックスを用いることが上記酸価を有するバインダー樹脂に対する分散性の観点から好ましい。このようなワックスの添加量は、バインダー樹脂100重量部に対して0.5?5重量部、好ましくは1?3重量部が好ましい。これは添加量が0.5重量部より少ないと添加による効果が不十分となり、5重量部より多くなると透光性や色再現性が低下するためである。」

(2d)「【0059】(実施例1)ポリエステル樹脂A93重量部、顔料マスターバッチA10重量部、下記式(A)で示されるホウ素化合物1重量部およびトルエン400重量部を超音波ホモジナイザー(出力400μA)を用いて30分間混合して溶解・分散させることにより着色樹脂溶液を調製した。
【0060】
【化1】

【0061】一方、分散安定剤として4重量%の水酸化リン酸カルシウムを含有する水溶液1000重量部に、ラウリル硫酸ナトリウム(和光純薬社製)0.1重量部を溶解させることにより水性分散液を調製した。
【0062】上記の水性分散液100重量部をTKホモミクサー(特殊機化工業社製)により毎分4000回転で攪拌している中に、上記着色樹脂溶液50重量部を滴下し、着色樹脂溶液の液滴を水性分散液中に懸濁させた。この懸濁液を60℃、100mmHgの条件で5時間放置することにより、液滴からトルエンを除去し、着色樹脂微粒子を析出させた。次いで濃塩酸により水酸化リン酸カルシウムを溶解した後ろ過と水洗を繰り返し行った。
【0063】この後、スラリー乾燥装置(ディスパーコート:日清エンジニアリング社製)により80℃で着色樹脂粒子の乾燥を行い、イエロートナー粒子を得た。このイエロートナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(TS-500:キャボジル社製)0.5重量部と、疎水性二酸化チタン(STT-30A:チタン工業社製)1.0重量部とを添加し、ヘンシェルミキサーで混合処理してイエロートナーAを得た。」

(2e)「【0065】(実施例6)実施例1において、酸化型低分子量ポリプロピレンワックス(100TS:三洋化成工業社製、軟化点140℃、酸価3.5KOHmg/g)1重量部を添加して着色樹脂溶液を調整する以外は同様にしてイエロートナーFを得た。」

(2f)「【0075】
【表2】


上記【表2】によれば、実施例1?7のトナーA?Gについて、体積平均粒径D_(50)が、それぞれ、6.0μm,6.1μm,6.0μm,5.9μm,6.1μm,6.4μm,6.0μmであり、体積平均粒径D_(50)の1/3以下の個数%が、それぞれ、3.1%,2.8%,2.7%,3.0%,2.9%,2.3%,0.3%,であることが認められる。

(3)引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平9-190012号公報(原査定の引用刊行物5。以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(3a)「【0019】トナーの製造方法
本発明のトナーは、所望のトナー粒径以下の粒径の重合体一次粒子を複数個会合、融着させ生成するものである。上記重合体粒子は、公知の重合方法を用いて製造される。例えば乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法、分子拡散法、二段階膨潤法等が用いられる。好ましくは、乳化重合法を用いサブミクロンの重合体粒子分散液を得、この分散粒子を複数個会合、融着させる方法である。」

(3b)「【0020】更にトナーとするには、上記重合体一次粒子分散液に凝集剤を添加し、更に水に無限溶解する有機溶媒を添加し、重合体一次粒子のガラス転移温度以上で加熱し、一次粒子間を融着することで製造できる。トナーとして必須の内添剤及び所望に応じて添加される内添剤には、着色剤、定着性改良剤、荷電制御剤等があるが、これらは重合体一次粒子分散液の重合時又は会合時に水分散液の状態で添加される。この場合、特に好ましくは重合時に添加される。これによって、内添剤は重合体粒子と均一に複合化され、トナーとした時の内添剤も同様にトナー粒子内に均一に存在し、安定したトナー特性を得る事ができる。」

(3c)「【0041】本発明のトナーには各種の着色剤、定着性改良剤の如き特性改良剤を使用出来る。使用できる着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック・ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン-銅-アルミニウム、マンガン-銅-錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。これらの着色剤は数平均一次粒子径は、概ね10?200nm程度のものをトナーに分散して用いるのが好ましい。」

(3d)「【0043】さらに、定着性改良剤としての低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1,500?9,000)や低分子量ポリエチレン等を添加してもよい。また、荷電制御剤としてアゾ系金属錯体、4級アンモニウム塩等を用いてもよい。これらの特性改良剤は、着色剤と同じ方法でトナーに添加されるのが通常である。」

(3e)「【0076】(着色粒子)
着色粒子製造例1
カーボンブラック(リーガル330R:キャボット社製)をアルミニウムカップリング剤(プレンアクトAL-M:味の素社製)で処理したものを10.67gをドデシル硫酸ナトリウム4.92gを120mlの純水に溶解した水溶液に添加し、各判しつつ超音波を照射しカーボンブラックの水分散液を調整した。又低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=3200)を熱を加えながら水中に界面活性剤を用い乳化させた固形分濃度=20重量%の乳化分散液を調製した。上記カーボンブラックの分散液に低分子量ポリプロピレン乳化分散液43gを混合し、スチレンモノマー90.0g、ジビニルベンゼン(有効成分=55%)10.9g、n-ブチルアクリレート18.0g、メタクリル酸モノマー6.0g、tert-ドデシルメルカプタン3.3g、脱気済み純水850mlを添加した後、窒素気流下撹拌を行いつつ、70℃まで昇温した。次いで、過硫酸カリウム6.1gを溶解した純水200mlを加え70℃、6時間重合を行った後、室温まで冷却した。得られたカーボンブラック含有着色粒子分散液を『分散液1』とした。尚、この分散液の粒子径は、光散乱電気泳動粒径測定装置ELS-800(大塚電子工業(株))を用い測定し、テトラヒドロフラン不溶分は上記の重合から着色剤及び低分子量ポリプロピレンを除き重合したものを用い測定した。
【0077】加圧反応器にこの『分散液1』600mlに対し2.7mol/lの塩化カリウム水溶液を160ml,更にイソプロピルアルコール94ml,ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(エチレンオキサイド平均重合度は10である)5.4gを純水40mlに溶解した水溶液を添加した。
【0078】更に5kg/cm2の圧力をかけた後、内温を130℃まで昇温し6時間反応を行った後、室温まで冷却し、圧力を解除し反応液を濾過、水洗を行い乾燥し本発明の着色粒子を得た。このものを『着色粒子1』とした。」

(4)引用例4
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平10-198070号公報(原査定の引用刊行物6。以下「引用例4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(4a)「【0003】前記現像剤には、トナー粒子及びキャリア粒子を含有してなる二成分系現像剤と、磁性トナー粒子又は非磁性トナー粒子を含有してなる一成分系現像剤とが知られている。前記現像剤におけるトナー粒子は、通常、混練粉砕法により製造される。この混練粉砕法は、熱可塑性樹脂等を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤等と共に溶融混練し、冷却後にこの溶融混練物を微粉砕し、これを分級して所望のトナー粒子を製造する方法である。なお、前記混練粉砕法により製造されたトナー粒子には、流動性やクリーニング性等を改善する目的で、さらに必要に応じてその表面にさらに無機及び/又は有機の微粒子が添加されたりする。
【0004】前記混練粉砕製法により製造されるトナー粒子の場合、通常、その形状は不定型であり、その表面組成は均一でない。使用材料の粉砕性や粉砕工程の条件により、トナー粒子の形状や表面組成は微妙に変化するものの、意図的にこれらを所望の程度に制御することは困難である。また、特に粉砕性の高い材料を用いて前記混練粉砕法により製造されたトナー粒子の場合、現像機内での種々の剪断力等の機械力等により、さらに微粉化されたり、その形状が変化されたりすることがしばしば起こる。その結果、前記二成分系現像剤においては、微粉化されたトナー粒子がキャリア表面へ固着して前記現像剤の帯電劣化が加速されたり、前記一成分系現像剤においては、粒度分布が拡大し、微粉化されたトナー粒子が飛散したり、トナー形状の変化に伴い現像性が低下し、画質の劣化が生じたりするという問題が生ずる。
【0005】トナー粒子の形状が不定型である場合、流動性助剤を添加しても流動性が十分でなく、使用中に剪断力等の機械力により、前記流動性助剤の微粒子がトナー粒子における凹部へ移動してその内部への埋没し、経時的に流動性が低下したり、現像性、転写性、クリーニング性等が悪化したりするという問題がある。また、このようなトナーをクリーニング処理により回収して再び現像機に戻して再利用すると、画質の劣化が生じ易いという問題がある。これらの問題を防ぐため、さらに流動性助剤の量を増加することも考えられるが、この場合、感光体上への黒点の発生や流動性助剤の粒子飛散を招くという問題が生ずる。
【0006】一方、ワックスなどの離型剤を内添してなるトナーの場合、熱可塑性樹脂との組み合せによっては、トナー粒子の表面に前記離型剤が露出することがある。特に高分子量成分により弾性が付与されたやや粉砕されにくい樹脂と、ポリエチレンのような脆いワックスとを組み合せてなるトナーの場合、トナー粒子の表面にポリエチレンの露出が多く見られる。このようなトナーは、定着時の離型性や感光体上からの未転写トナーのクリーニングには有利であるものの、トナー粒子の表面のポリエチレンが、現像機内での剪断力等の機械力により、トナー粒子から脱離し容易に現像ロールや感光体やキャリア等に移行するため、これらの汚染が生じ易くなり、現像剤としての信頼性が低下するという問題がある。」

(4b)「【0021】以下に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法における各工程について説明する。
【0022】(混合液調製工程)混合液調製工程は、極性を有する分散剤中に樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、極性を有する分散剤中に着色剤粒子を分散させてなる着色剤粒子分散液とを少なくとも混合して混合液を調製する工程である。」

(4c)「【0023】前記樹脂粒子分散液は、少なくとも樹脂粒子を、極性を有する分散剤中に分散させてなるものである。前記樹脂としては、例えば熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】これらの樹脂の中でもビニル系樹脂が特に好ましい。ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマーが挙げられる。本発明においては、前記樹脂粒子が、前記ビニル系モノマーをモノマー成分として含有するのが好ましい。本発明においては、これらのビニル系モノマーの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマーが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。」

(4d)「【0026】前記着色剤粒子分散液は、少なくとも着色剤粒子を、極性を有する分散剤中に分散させてなるものである。前記着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、磁性粉、キナクリドン系顔料などが挙げられる。これらの具体例としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、 ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレレートなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料;などが挙げられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。」

(4e)「【0029】前記混合液調製工程においては、前記樹脂粒子分散液及び前記着色剤粒子分散液の外、極性を有する分散剤中に適宜選択した粒子を分散させてなる粒子分散液更に混合してもよい。
【0030】前記粒子分散液に含まれる粒子としては、特に制限はなく目的に応じ適宜選択することができ、例えば、離型剤粒子、内添剤粒子、帯電制御剤粒子、無機粒子、滑剤粒子、研磨材粒子などが挙げられる。なお、本発明において、これらの粒子は、前記樹脂粒子分散液中や前記着色剤粒子分散液中に分散させてもよい。」

(4f)「【0031】前記離型剤粒子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;及びそれらの変性物などの粒子が挙げられる。」

(4g)「【0042】前記樹脂粒子分散液における前記樹脂粒子の含有量としては、通常5?60重量%であり、好ましくは10?40重量%である。また、凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中における前記樹脂粒子の含有量としては、50重量%以下であればよく、2?40重量%程度であるのが好ましい。
【0043】さらに、前記混合液に前記離型剤粒子等をも分散させる場合、前記粒子分散液における前記離型剤粒子等の各粒子の含有量としては、本発明の目的を阻害しない程度であればよく、一般的には極く少量であり、前記凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中において、0.01?5重量%程度であり、0.5?2重量%程度が好ましい。前記含有量が前記範囲外であると、前記離型剤粒子等を分散させたことの効果が十分でなかったり、粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。」

(4h)「【0071】前記静電荷像現像用トナーの平均粒径としては、2?9μmが好ましく、3?8μmがより好ましい。前記平均粒径が、2μm未満であると、帯電性が不十分になり易く、現像性が低下する場合があり、9μmを越えると、画像の解像性が低下する場合がある。」

(4i)「【0078】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0079】--樹脂粒子分散液1の調製--
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・370g
nブチルアクリレート・・・・・・・・・ 30g
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 6g
ドデカンチオール・・・・・・・・・・・ 24g
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・ 4g
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6g及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10gをイオン交換水550gに溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が155nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が12,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液(アニオン性)1を調製した。
【0080】--樹脂粒子分散液2の調製--
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・280g
nブチルアクリレート・・・・・・・・・120g
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・ 8g
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6g及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)12gをイオン交換水550gに溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が105nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量(Mw)が550,000である樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液(アニオン性)2を調製した。」

(4j)「【0081】--離型剤粒子分散液1の調製--
パラフィンワックス・・・・・・・・・・ 50g
(日本精蝋(株)製:HNP0190、融点85℃)
アニオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 5g
(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・200g
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤を分散させてなる離型剤粒子分散液(アニオン性)1を調製した。」

(4k)「【0085】(実施例1)
<混合液調製工程>
樹脂粒子分散液(アニオン性)1・・・180g
樹脂粒子分散液(アニオン性)2・・・ 80g
着色剤分散液(アニオン性)1・・・・ 30g
離型剤分散液(アニオン性)1・・・・ 50g
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて混合し、分散して混合液を調製した。この混合液においては、粒子が均一に分散していた。
【0086】<凝集粒子形成工程>この混合液に凝集剤としてのカチオン性界面活性剤(花王(株)製、サニゾールB50)を1.5g添加し、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら50℃まで加熱した。50℃で1時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると平均粒径が約5.9μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
【0087】<融合工程>その後、ここにアニオン製界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3gを追加した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら105℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させることにより、静電荷像現像用トナーを得た。
【0088】<評価>得られた静電荷像現像用トナーにつき、コールターカウンターを用いてその平均粒径を測定してみると、6.0μmであった。また、体積粒度分布の指標である体積GSDを測定したところ、1.22であった。更に、透過型電子顕微鏡を用いて得られた静電荷像現像用トナーの断面を観察したところ、着色剤(カーボンブラック)の分散度は良好で構造的な凝集物は観察されなかった。走査型電子顕微鏡を用いてその表面状態を観察すると、静電荷像現像用トナーの表面への着色剤(カーボンブラック)及びワックス状物の露出は観察されたが、遊離しているものは観られなかった。」

(5)引用例5
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平9-96920号公報(原査定の引用刊行物8。以下「引用例5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(5a)「【請求項1】 バインダー樹脂、着色剤、およびDSC測定において50?130℃の範囲に吸熱ピークを有し、かつ、該吸熱ピークの半値幅が15℃以下である滑剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【請求項2】 滑剤が一般式(1) 【化1】
R^(1)-C-R^(2) (1)
?
O
(式中、R^(1)は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R^(2)は-X-COOR^(3)(Xはアルキレン基を示し、R^(3)は炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)で示される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】 バインダー樹脂が、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムにおける重量平均分子量が5万以上であり、かつ、1×10^(4)以下と1×10^(5)?1×10^(7)の範囲にそれぞれ1個以上の分子量ピークを有するスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】 滑剤の含有量がバインダー樹脂100重量部に対して0.5?30重量部であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の静電荷像現像用トナー。」

(5b)「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点を解決して、定着性(低温定着性、定着強度)、耐オフセット性、耐ブロッキング性に優れたトナーを提供すべく鋭意検討の結果、上記性能を満足するトナーを完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、バインダー樹脂、着色剤、およびDSC測定において50?130℃の範囲に吸熱ピークを有し、かつ、該吸熱ピークの半値幅が15℃以下である滑剤を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナーに存する。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いられる滑剤はDSC(示差走査型熱量計)測定において50℃?130℃の範囲に吸熱ピークを有することが必要である。吸熱ピークが、50℃より低いと、耐ブロッキング性が悪化し、130℃よりも高いと定着性の向上が見られない。DSC測定における吸熱ピークは、60℃?120℃であることがより好ましい。特に好ましくは65℃?90℃である。また、吸熱ピークの半値幅が、15℃より大きいと耐ブロッキング性に問題が生じる。特に好ましくは10℃以下である。本発明においては、DSC7000(真空理工(株)製)を用いて、昇温速度10℃/minで測定した。該滑剤としては、上記条件を満たし、さらに好ましくは、下記一般式(1)で示される構造を有するものが挙げられる。
【0007】
【化2】
R^(1)-C-R^(2) (1)
?
O
【0008】(式中、R1は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R^(2)は-X-COOR^(3)(Xはアルキレン基を示し、R^(3)は炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)
R^(1)はアルキル基またはアルコキシル基であり、炭素数はそれぞれ10以上、好ましくは16以上、更に好ましくは20以上である。R^(1)の炭素数は40以下が好ましい。R^(2)は-X-COOR^(3)、好ましくはXが
【0009】
【化3】
-(CH_(2))_(n)-
【0010】で示され、nが6以上の直鎖アルキレン基であり、R^(3)が炭素数20以上のアルキル基である。R^(3)の炭素数は40以下が好ましい。あるいは、R^(2)は炭素数10以上、好ましくは16以上のアルキル基である。特に好ましくは炭素数20以上のアルキル基である。R^(2)のアルキル基の炭素数は40以下が好ましい。R^(2)が-X-COOR^(3)のときはR^(1)はアルコキシル基である(すなわちジエステル)ことが好ましい。具体例としては、ジ-n-デシルケトン、ジ-n-ドデシルケトン、ジ-n-ステアリルケトン、ジ-n-イコシルケトン、ジ-n-ベヘニルケトン、ジ-n-テトラコシルケトン等の脂肪族ケトン類;セバシン酸ジドデシル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジベヘニル等の脂肪酸ジエステル類;ラウリン酸ステアリル、ラウリン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ステアリン酸ミリシル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ミリシル、リグノセリン酸ステアリル、リグノセリン酸ベヘニル、リグノセリン酸ミリシル等の脂肪酸モノエステル類などが挙げられる。これらの混合物も好適であるが、この時、DSCの吸熱ピークの半値幅が15℃以下であることが必要である。中でも分子中の全炭素数が36?70であるものが特に好ましく、さらに上記具体例の中でも脂肪族ケトン類が特に良好である」

(5c)「【0011】滑剤をトナー中へ添加する方法は、バインダー中に予じめ溶解または分散しておいてもよいし、また、着色剤等を混練する際に同時に添加してもよい。滑剤を予じめ添加する方法としては、バインダー樹脂と滑剤を有機溶媒中に溶解又は懸濁した後、減圧蒸留等により溶媒を除去する方法あるいはバインダー樹脂の重合過程でモノマー中に滑剤を添加、重合する方法等がある。
【0012】本発明の滑剤はバインダー樹脂100重量部に対し、通常、0.5?30重量部、好ましくは、1?15重量部、特に好ましくは、2?10重量部である。滑剤が少なすぎると滑剤の添加効果が得られにくく、滑剤が多すぎると耐ブロッキング性が悪くなりやすい。これらは、バインダー樹脂などに化学的結合、たとえば、グラフト化などはなされておらず、単に混合しているだけである。本発明に用いられるバインダー樹脂は、特に制限はなく、公知のバインダー樹脂が使用できる。例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン誘導体の構造単位を30重量%以上有するもの)、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。好ましくは、スチレン系樹脂である。特に好ましくは、スチレンの単独重合体またはスチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体またはこれらの混合物である。特に好ましくは、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラムにおける重量平均分子量が5万以上であり、かつ、5×10^(4)以下(好ましくは2×10^(4)以下、更に好ましくは1×10^(4)以下)と1×10^(5)?1×10^(7)の範囲にそれぞれ1個以上の分子量ピークを有するスチレン系樹脂である。上記バインダー樹脂に対して本発明の滑剤を組合せると相乗効果で定着性が特に良好となる。」

(5d)「【0023】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は、「重量部」を表す。
実施例1
架橋タイプのスチレン/n-ブチルアクリレート樹脂(組成80/20重量比、テトラヒドロフランに対する不溶分30wt%、可溶分の分子量分布は、分子量7.0×10^(3)と2.0×10^(5)にピークがある重量平均分子量8×10^(4)の樹脂)100部、ジステアリルケトン(DSCにおける吸熱ピーク87.5℃、半値幅6℃)5部、ポリアルキレンワックス(三洋化成(株)製、ビスコール550P)3部、カーボンブラック(三菱化成(株)製、#30)6部、ニグロシン染料(オリエント化学製、ボントロンN-04)2部を分散混合した後、二軸押出機を用いて溶融混練した。冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、次いで超音速ジェットミル粉砕機にて微粉砕した。得られた粉体を風力分級機で分級し、平均粒径10.3μmのトナーAを得た。このトナーを用いて以下の試験を行なった。
【0024】定着テスト:未定着のトナーを400mm/secの定着ローラーに通紙し、定着する下限温度とホットオフセットが発生する温度を調べた。
こすり残存率テスト:種々の付着量を有する未定着トナーを135℃、400mm/secの定着ローラーに通紙後、こすり試験を行った。こすり残存率を下式より求め、その最小値を最低こすり残存率と定義した。
【0025】
【数1】
こすり試験後の画像濃度
こすり残存率(%)=-------------- × 100
こすり試験前の画像濃度

【0026】耐ブロッキングこすり試験替えの画像濃度
テスト:トナーに一定荷重を加え、50℃の環境下に5時間放置した後、目視により凝集の有無を確認し、ブロッキング性の良否を判定した。結果を表1に示す。」

(6)引用例6
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された特開平10-309531号公報(原査定の引用刊行物9。以下「引用例6」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(6a)「【請求項1】 少なくとも1種類の熱可塑性樹脂からなる粉体あるいは少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含有する粉体を気体に分散せしめ選別する分級方法において、該熱可塑性樹脂に一般式(1)で示される化合物を含有させ、開口を有する回転部材の開口に粉体を分散した気体を通過させ、通過する粉体と通過しない粉体とに選別することを特徴とする粉体分級方法。
【化1】
R^(1)- C -R^(2)
?
O
(式中、R^(1)は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R^(2)は-X-COOR^(3)(Xはアルキレン基を示し、R^(3)炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)」

(6b)「【0013】
【化3】
【0014】(式中、R^(1)は炭素数10以上のアルキル基またはアルコキシル基を示し、R^(2)は-X-COOR3(Xはアルキレン基を示し、R^(3)は炭素数10以上のアルキル基を示す。)または炭素数10以上のアルキル基を示す。)
該化合物の離型効果により、回転部材への付着が軽減される。R^(1)はアルキル基またはアルコキシル基であり、炭素数はそれぞれ10以上、好ましくは16以上、更に好ましくは20以上である。R^(2)は-X-COOR3好ましくはXが
【0015】
【化4】-(CH2)n-
【0016】で示され、nが6以上の直鎖アルキレン基であり、R^(3)が炭素数20以上のアルキル基である。あるいは、炭素数10以上、好ましくは16以上のアルキル基である。特に好ましくは炭素数20以上のアルキル基である。R^(2)が-X-COOR3のときはR_(1)はアルコキシル基である(すなわちジエステル)ことが好ましい。具体例としては、ジ-n-デシルケトン、ジ-n-ドデシルケトン、ジ-n-ステアリルケトン、ジ-n-イコシルケトン、ジ-n-ベヘニルケトン、ジ-n-テトラコシルケトン等の脂肪族ケトン;セバシン酸ドデシル、セバシン酸ジステアリル、セバシン酸ジベヘニル等の脂肪酸ジエステル類;ラウリン酸ステアリル、ラウリン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等の脂肪酸モノエステル類等が挙げられる。これらの混合物も好適である。さらに、融点が50℃以上100℃以下であることが特に好ましい。」

(6c)「【0017】本発明に用いられる化合物の添加量は粉体の組成や粒径や添加方法により異なり、適度な離型効果を有する範囲で特に限定されないが、1?20重量%の範囲が好ましく、さらに好ましくは3?10重量%の範囲である。粉体中に潤剤を添加し、効果を発現するには少なくとも粉体に含有される熱可塑性樹脂中に該化合物が分散もしくは溶解していなければならない。この場合、熱可塑性樹脂中に該化合物の他に他の添加剤が同時に分散もしくは溶解していても良い。該条件が満たされる限り添加方法に特に制限はない。例えば、各種添加物とバインダー樹脂の混練粉砕物である電子写真用トナーの場合、バインダー樹脂の重合製造段階で添加しても良いし、バインダー樹脂と該化合物を溶媒中で溶解混合した後に溶媒を留去しても良い。また、トナー混練段階で添加しても良い。」

(6d)「【0031】<実施例>以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
スチレン-ブチルアクリレート共重合体樹脂 100重量部
(フローテスター軟化点130℃ ガラス転移点60℃)
ポリプロピレン 2重量部
帯電制御剤(4級アンモニウム塩) 2重量部
ベヘン酸ベヘニル(融点:76.0℃) 5重量部
を配合し、2軸混練機で混練し、粗砕を行い、トナー原料粗砕物を得た。
【0032】本トナー原料粗砕物をホソカワミクロン社製カウンタージェットミル400AFGを用い、粉砕分級を行った。本装置は粉砕された粉体がスリット状の開口を有する回転ローター部で分級され、所望の粒径より大きい粒子は回転ローターを通過せず、粉砕ゾーンへ落下し再度粉砕される構造になっている。約30kg/時のフィードレートで約10時間で約300kgの粉砕分級物(平均粒径約8.7μmで5μm以下の微粉末を25?35体積%含む。)を連続で得ることができた。」

2-3.対比
本願補正発明と引用例発明とを対比する。
引用例発明における用語「銅フタロシアニン顔料」、「反応混合物」、「重合法により形成されたトナーA」、「画像形成方法」、「キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC-500改造機」は、本願補正発明における用語「着色剤」、「トナー用樹脂組成物」、「重合法により製造される静電荷像現像用トナー」、「画像形成方法」、「レーザープリンター」に相当する。

引用例発明において「スチレン25重量部」と「n-ブチルアクリレート6重量部」との反応物は、スチレン-n-ブチルアクリレート共重合体であり、本願補正発明の「スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体」に相当する。
引用例発明の「スチレン25重量部、n-ブチルアクリレート6重量部、銅フタロシアニン顔料1.5重量部、サリチル酸金属化合物1重量部との反応混合物」は、本願補正発明の「スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体である結着樹脂」と「着色剤」を含有する「トナー用樹脂組成物」に相当する。

引用例発明のトナーAの体積平均粒径が約4.5μmであることは、本願補正発明において、体積平均粒径が4?9μmであることに相当する。

引用例発明のトナーAの「個数平均粒径の1/2倍径以下」とは、「3.8μm×1/2倍径以下」すなわち「1.9μm以下」である。引用例発明のトナーAの「体積平均粒径の40%以下」とは、「4.5μm×0.40以下」すなわち「1.8μm以下」である。
引用例発明において「1.9μm以下」の分布累積値が0個数%であることは、粒径1.9μm以下のトナーが存在しないことを意味するから、当然に「1.8μm以下」の分布累積値(「体積平均粒径の40%以下」の分布累積値)も0となる。
してみると、引用例発明において、トナー粒子Aが、体積平均粒径(D_(3))約4.5μm、個数平均粒径(D_(1))が3.8μmであり、個数平均粒径の1/2倍径以下の分布累積値が0個数%であることは、本願補正発明において、体積平均粒径の40%以下の粒径を有する粒子数の全粒子数に占める割合が9.0%以下であることに相当する。

引用例発明において、「トナーA」が、キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC-500改造機に用いて画像出し試験を行い、感光体ドラム3上の1,200dpiデジタル潜像を現像し、画像評価したところ、非常に良好な結果を示したことは、本願補正発明において、「静電荷像現像用トナー」が、「レーザープリンター」の画像出し試験において、「1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャートにおいて細線が分離している」ことにほぼ同等の効果を奏することに相当する。

以上のことから、両者は
「少なくともスチレン-(メタ)アクリレート系共重合体である結着樹脂と着色剤を含有するトナー用樹脂組成物からなり、体積平均粒径が4?9μmであり、且つ、体積平均粒径の40%以下の粒径を有する粒子数の全粒子数に占める割合が9.0%以下であり、重合法により製造される静電荷像現像用トナーを用い、トナーをレーザープリンターの現像機内に入れ、1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャートにおいて細線が分離している、画像形成方法」
で一致し、以下の点で相違する。

(相違点)
「トナー用樹脂組成物」に関して、
本願補正発明では、「トナー用樹脂組成物」が、「一般式(I)で表されるケトン化合物」を含有するものであるのに対し、
引用例発明では、「反応混合物」が、「一般式(I)で表されるケトン化合物」を含有するものでない点。

なお、一般式(I)とは以下のようなものである。
「【化1】
R^(1)- C-R^(2)
?
O
[式(I)中、R^(1)はアルキル基、又はアルコキシ基を示し、R^(2)はアルキル基、又はアルキルカルボニルオキシアルキル基を示す。]」

2-4.判断
(1)相違点について
本願明細書によれば、前記「一般式(I)で表されるケトン化合物」は、「離型剤」としての「ワックス類」のなかで、好ましい化合物であると説明されているもの(本願明細書【0017】?【0022】参照)である。
ここで、引用例1に記載のトナーは、トナーの構成として、結着樹脂100重量部と着色剤0.1乃至15重量部とを含有するものであるが(前記(1f)参照)、更に好適な現像剤特性を付与するために種々の添加剤を含有させることが記載され(前記(1n)参照)、「低軟化点物質」を含有させた粉砕法トナーや、「パラフィン等の低軟化点物質」を含有させた直接重合法トナーが記載されている(前記(1c)(1d)参照。)。
そして、重合法により製造される静電荷像現像用トナーにおいて、離型剤を含有させることは、従来周知の技術(引用例2(2a)?(2e)、引用例3(3a)?(3e)、引用例4(4a)?(4k)参照。)である。そして、引用例2に離型剤として例示されている「カルナバワックス」(前記(2c)参照。)、引用例4に離型剤として例示されている「カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス」(前記(4f)参照。)、「ミツロウ等の動物系ワックス」(前記(4f)参照。)は、エステル系ワックスであり、いずれも、「一般式(I)で表されるケトン化合物」に属すワックスである。
さらに、 静電荷像現像用トナーの離型剤として、「一般式(I)で表されるケトン化合物」が好ましいものであることは、従来周知の技術(引用例5(5a)?(5d)、引用例6(6a)?(6d)参照。)である

したがって、引用例発明の「トナー用樹脂組成物」である、「スチレン25重量部、n-ブチルアクリレート6重量部、銅フタロシアニン顔料1.5重量部、サリチル酸金属化合物1重量部との反応混合物」において、好適な現像剤特性を付与するために種々の添加剤の一つとして、「一般式(I)で表されるケトン化合物」を含有させて本願補正発明のように構成することは、当業者が容易に想到しうるものである。

(2)作用効果
本願明細書には、本願発明の効果として、次のようにされている。
「【0042】
【発明の効果】本発明によれば、高解像度化及び高階調化に対応し得る静電荷現像用トナーを提供することができる。」
しかしながら、引用例発明も、1,200dpiデジタル潜像を現像し、画像評価したところ、非常に良好な結果を示すものであり、高解像度化及び高階調化に対応し得るものである。
してみると、本願補正発明によってもたらされる効果も、引用例発明の効果と比較して、格別のものではない。

(3)請求人の主張
請求人は、回答書において、次のように主張している。
「 刊行物1(特開平10-198068号公報)は、審査官殿のご指摘の通り、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体である結着樹脂と着色剤を含有したトナー用樹脂組成物からなり、体積平均粒径が4?9μmであり、且つ、体積平均粒径の40%以下の粒径を有する粒子数の全粒子数に占める割合が9.0%以下であり、フルカラーレーザー複写機(キャノン製CLC-500改造機)を用い感光体上の1200dpiの潜像を現像したことが記載されている。
しかし、本願発明のケトン化合物及び離型剤についての記載や示唆はない。
一方、刊行物8(特開平9-96920号公報)、刊行物9(特開平10-309531号公報)には、ケトン化合物の記載はあるものの粉砕法により製造されたトナーが記載されており、本願発明の重合トナーとは異なるものであり、本願発明のような高解像度や高階調化には必ずしも適していない(本願明細書段落番号:0004参照)。
上記刊行物8に記載の滑剤の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対し、0.5?30重量部と広い範囲が記載されているが、実際実施例1においては3重量部しか用いられていない。また、上記刊行物9に記載のケトン化合物の含有量は、1?20重量%と広い範囲が記載されているが、実際実施例1においては5重量部が用いられている。
本願及び刊行物出願当時またはその後においても、刊行物8、9の発明ようなトナーでは、含有されたワックス界面での破砕が起こりやすく、ワックスを多く添加すると、ワックスの露出、遊離が発生しやすく、高画質化を阻害することは当業者の常識であった(参考文献の7頁12行目を参照 尚当該参考文献は、物件提出書にて別途提出する)。
従って、刊行物8及び9に記載された粉砕トナーから本願発明のような重合トナーで多くのケトン化合物をトナー中に含有する発明に想到するすることは容易ではなく、また粉砕トナーの技術が記載された刊行物8及び9と重合トナーの刊行物1とを組み合わせることには想到しないものと思料する。」

しかしながら、前述したように(前記2.4(1)参照)、重合法により製造される静電荷像現像用トナーにおいて離型剤を添加剤として含有させることは、従来周知であり、このような離型剤としてエステル系ワックスが、すなわち「一般式(I)で表されるケトン化合物」に属すワックスが、使用されているものである。そして、引用例4には、重合法により製造される静電荷像現像用トナーの場合、混練粉砕製法により製造されるトナー粒子のように、トナー粒子の表面にワックスの露出、遊離が発生しやすくないことが記載されているところである。
してみると、請求人の上記主張は、採用できない。

(4)請求人の用意する補正案
請求人は、回答書において、次のような補正案を提示している。
「 なお、補正の機会を与えて頂ければ、本願請求項1のケトン化合物の含有量を「結着樹脂100重量部に対して5?15重量部」又は「10?15重量部」と限定する用意がある。
当該ケトン化合物の含有量を「結着樹脂100重量部に対して5?15重量部」の限定根拠は本願明細書段落番号:0023の記載に基づくものであり、又「10?15重量部」の10重量部の下限限定根拠は本願明細書段落番号:0035の記載に基づくものである。」
しかしながら、請求人も認めるように、引用例5(刊行物8)では滑剤の含有量が、バインダー樹脂100重量部に対し、0.5?30重量部と広い範囲が記載されており、引用例6(刊行物9)ではケトン化合物の含有量が、1?20重量%と広い範囲が記載されているところである。してみると、当該ケトン化合物の含有量を、結着樹脂100重量部に対して「5?15重量部」又は、「10?15重量部」に限定しても、引用例5又は引用例6に記載された含有量と比較しても、格別の効果の差異を認めることができない。
なお、重合トナーを記載する引用例4には、凝集粒子分散液中における樹脂粒子の含有量として2?40重量%程度であるのが好ましく、離型剤粒子の含有量として0.5?2重量%程度が好ましいことが記載されている(前記(4g)参照)。引用例4における、離型剤の含有量は、樹脂粒子100重量部に対して、離型剤粒子が1.25重量部から100重量部の範囲である。
以上のことから、補正案のケトン化合物の含有量は、重合法トナーにおける離型剤の含有量からみても、格別のものではない。

したがって、仮に審判請求時に補正案のような手続補正がなされたとしても、当該手続補正は、独立特許要件に違反するものである。

(5)まとめ
以上のとおりであるから、本願補正発明は、引用例発明、引用例1に記載された技術事項ならびに従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

2-5.むすび
したがって、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
3-1.本願の請求項1に係る発明
平成21年4月24日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?5に係る発明は、平成20年11月14日付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?5に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりである。

「 【請求項1】
少なくともスチレン-(メタ)アクリレート系共重合体である結着樹脂と着色剤と下記一般式(I)で表されるケトン化合物を含有するトナー用樹脂組成物からなり、
体積平均粒径が4?9μmであり、且つ、体積平均粒径の40%以下の粒径を有する粒子数の全粒子数に占める割合が9.0%以下である静電荷像現像用トナーを用い、
トナーをレーザープリンターの現像機内に入れ、1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャート、及び、1200dpiの細線を2ラインずつ黒黒・白白を繰り返し出力する解像度チャートにおいて細線が分離していることを特徴とする画像形成方法。
【化1】
R^(1)-C-R^(2)
?
O
[式(I)中、R^(1)はアルキル基、又はアルコキシ基を示し、R^(2)はアルキル基、又はアルキルカルボニルオキシアルキル基を示す。] 」
なお、上記請求項1の記載事項において、前記「ケトン化合物」とは、「R^(1)」及び「R^(2)」がともにアルキル基である、「いわゆるケトン化合物」のみを意味するものか、「R^(1)」がアルコキシ基であり、「R^(2)」がアルキル基である、「いわゆるエステル化合物」をも包含するものであるのか、明りょうでないところ、本願明細書の実施例を参照してみると、実施例で使用しているこの化合物として示されているのは「ベヘン酸ベヘニル」のみである。「ベヘン酸ベヘニル」は脂肪族モノエステルである。
してみると、本願明細書では、前記「ケトン化合物」とは、「いわゆるケトン化合物」のみを意味するものでなく、「R^(1)」がアルコキシ基であり、「R^(2)」がアルキル基である「いわゆるエステル化合物」をも包含するものである。

3-2.引用例の記載事項
引用例には、前記「2-2」に記載したとおりの事項が記載されている。
3-3.対比
本願発明1は、本願補正発明(上記「2-1」参照)の「重合法により製造される静電荷像現像用トナー」における「重合法により製造される」という限定事項を省いて、「静電荷像現像用トナー」という構成に戻したものに相当する。
そして、本願発明1は、本願補正発明では、解像度チャートについて、「1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャート」において細線が分離しているという試験結果を示すものであるところ、「1200dpiの細線を2ラインずつ黒黒・白白を繰り返し出力する解像度チャート」においても細線が分離している試験結果を示すものである。
本願発明1と引用例発明を対比すると、
引用例発明において、「トナーA」が、キヤノン製フルカラーレーザー複写機CLC-500改造機に用いて画像出し試験を行い、感光体ドラム3上の1,200dpiデジタル潜像を現像し、画像評価したところ、非常に良好な結果を示したことは、本願発明1において、「静電荷像現像用トナー」が、「レーザープリンター」の画像出し試験において、「1200dpiの細線を1ラインおきに黒・白を繰り返し出力する解像度チャート、及び、1200dpiの細線を2ラインずつ黒黒・白白を繰り返し出力する解像度チャートにおいて細線が分離している」ことにほぼ同等の効果を奏することに相当する。

してみると、本願発明1と引用例発明とは、上記「2-3」で示した相違点で相違するものである。

3-4.判断
この相違点について、検討する。
上記「2-3」で示した相違点は、前記「2-4」で検討したとおり、当業者が容易に想到しうるところである。
以上のことから、本願発明1は、引用例発明、引用例1に記載された技術事項ならびに従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
よって、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-16 
結審通知日 2010-09-21 
審決日 2010-10-27 
出願番号 特願平11-362389
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03G)
P 1 8・ 575- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 阿久津 弘  
特許庁審判長 柏崎 康司
特許庁審判官 伊藤 裕美
紀本 孝
発明の名称 画像形成方法  
代理人 特許業務法人志成特許事務所  

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