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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03G |
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管理番号 | 1229048 |
審判番号 | 不服2010-5422 |
総通号数 | 134 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-03-11 |
確定日 | 2010-12-09 |
事件の表示 | 特願2004- 11566「画像形成装置、およびその画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 8月 4日出願公開、特開2005-208105〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成16年1月20日の出願であって、平成21年9月4日付けの拒絶の理由に対して、同年11月5日付けで手続補正書が提出されたが、同年12月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成22年3月11日付けで審判請求がなされたものである。 本願の請求項1?17に係る発明は、上記手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 受信した画像データから印刷用画像データを生成する印刷制御部と、 記録材を搬送させる記録材搬送部と、 印刷用画像データに基づいて画像を形成する画像形成部と、 形成された画像を記録材上に転写させる転写部と、 記録材上に転写された画像を定着させる定着部と、 前記記録材の厚さ寸法を検出する記録材厚検出部と を備え、 前記印刷制御部は、 前記印刷用画像データ上で記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満であるか否かを検出する記録材非印刷領域検出部と、 前記非印刷領域が所定値未満の場合に、前記記録材の厚さ寸法及び前記記録材の縦横搬送方向により前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷が可能であるか否かを判定する先端領域印刷判定部と を有し、 前記非印刷領域が所定値未満で、前記所定値未満の寸法の領域内への印刷が可能である場合に、前記印刷用画像データを画像形成部に送出する ことを特徴とする画像形成装置。」 2.引用刊行物の記載事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された、特開2004-5559号公報(以下、「刊行物1」という。)、及び特開平11-338306号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付した。 (1)刊行物1 (1a)「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、記録用紙上に画像を形成する画像形成装置と、画像データを画像形成装置へ送信する画像送信装置とからなる画像処理システムに関し、特に、記録用紙の一部に画像が形成されないモードによる画像形成を行う機能と、記録用紙の全域に画像が形成されるモードによる画像形成を行う機能とを備え、所定の用件を備えた記録用紙に対しては、用紙全域に対する画像の形成を可能とする画像処理システム及び画像記録方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 電子写真プロセスを用いた画像形成装置においては、記録媒体(記録用紙)上に形成されたトナー像(画像)を加熱定着により定着させて装置外へと排出している。 この方式において、記録用紙上に形成された画像(トナー像)を定着させるには、一対の加熱定着ローラからなる定着装置のローラ間に記録用紙を通過させることにより完成する。 しかし、この方式では、場合によっては、記録用紙が加熱されたトナー(現像剤)により定着ローラに貼り(巻き)付いたりして、記録用紙の搬送異常につながることも考えられる。 【0003】 そこで、従来から電子写真プロセスを採用した画像形成装置では、特許文献1に開示されるように、記録用紙の搬送方向の先端部分に画像が形成されない領域を確保して、記録用紙の定着ローラへの貼り(巻き)付きを防止するような考慮がなされていた。 【0004】 しかしながら最近では、様々な記録用紙への画像の記録が望まれており、多種多様の記録用紙に対する画像の記録再現を可能とするように技術開発が進められている。 そのような中で、最近ではデジタルカメラ等の電子機器が市場に多く出回るようになり、原稿となる画像のデータもカラー化が進み、また、画像の画質も高画質化が進んでいる。そのために、画像を忠実に、また、効果的に再現したいという市場での要望が増えてきているのは確かである。 そこで、インクジェットプリンタの業界では、記録用紙の全域に画像を記録できるフチ無し印字が可能な商品を開発して市場に投入している。 この技術は特許文献2に開示されている。 【0005】 一方、電子写真プロセスを採用した画像形成装置(複写機)でもカラー化が進み、最近ではコンビニエンスストアーでも気軽にコピーが利用できる環境が広がっている。 その中でもやはり、利用者の要望として記録用紙上に画像を忠実に、また効果的に記録再現させてほしいといった要望があるのも確かである。 【0006】 【特許文献1】 特開平3-232373号公報 【特許文献2】 特開平10?337886号公報 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、特に、記録用紙上に画像を忠実に、また効果的に記録再現してほしいと要求されている厚紙,OHPシート,封筒,特殊紙,はがき,名刺等の特定の特徴/種類の記録用紙の全域に画像を再現することを可能にする画像処理システムを提供するものである。 【0008】 また、本発明の目的は、電子写真プロセスを用いた画像形成装置において、特定の特徴/種類の記録用紙全域への画像の再現、および画像の定着による記録を可能とした画像記録方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】 本発明の画像処理システムは、画像形成装置の第1の画像形成モードまたは第2の画像形成モードの何れかを選択するとともに、選択された画像形成モードの機能を制御する手段を備えた画像送信装置により、記録材(記録用紙)が特定の特徴/種類の場合のみ選択されている第1の画像形成モードによる画像の形成を実行する構成を基本的に備えている。 【0010】 本発明の画像処理システムにおいて、記録材(記録用紙)の特徴/種類となるのが、記録用紙における記録用紙本体の厚み・たわみ・腰の強さである。画像形成装置の第1の画像形成モードは、たとえば通常よりも厚めの厚紙,OHPシート,封筒,特殊紙,はがき,名刺等の記録用紙に対して全域に画像を形成するこが可能となる。 【0011】 本発明の画像処理システムは、記録用紙の全域に対して画像を形成する第1の画像形成モードによる画像形成を行う機能と、記録用紙の所定領域を除く通常領域内において画像を形成する第2の画像形成モードによる画像形成を行う機能とを備えた画像形成装置と、画像形成装置に接続され、画像形成装置の画像形成モードを制御する画像形成制御手段を備えた画像送信装置とを有し、画像形成装置は記録用紙の特徴/種類を検出する検出手段を有し、特徴/種類の検出手段が検出した記録用紙の特徴/種類に応じて、画像形成制御手段は選択された画像形成モードによる画像形成を行う機能を作動させるよう制御することを特徴とする。 【0012】 本発明によれば、使用者がどの特徴/種類の用紙に縁無し印刷が可能か不明な場合や給紙トレイに記録用紙の特徴/種類を設定出来ない画像形成装置であっても画像形成装置の用紙の特徴検出手段で特徴(厚み)を判定する為、誤った操作をしても記録用紙の無効紙排紙等が自動制御され、使用者の設定の手間と用紙の無駄を軽減することが可能である。又、給紙トレイ設定のミスで誤った用紙が給紙されても、定着部での用紙搬送ジャム等を未然に防止できる。」 (1b)「【0024】 【発明の実施の形態】 本発明の実施の形態について、図面に基づいて以下に詳細に説明する。 実施の形態1 図1は本発明の実施の形態における画像処理システムを示す構成説明図である。 本発明の画像処理システムは、記録用紙に画像を形成する画像形成装置100と、画像形成装置100に接続され、画像データを画像形成装置100へ送信する画像送信装置101とからなる。 【0025】 本発明の画像処理システムの画像形成装置100は、記録用紙の全域に対して画像を形成する第1の画像形成モードである縁なし印刷モードによる画像形成を行う機能(以下縁なし印刷モードという)と、記録用紙の所定領域を除く通常領域内において画像を形成する第2の画像形成モードである通常印刷モード(以下通常印刷モードという)による画像形成を行う機能とを備えている。 【0026】 本発明の画像処理システムの画像送信装置101は、画像を記録する記録用紙の特徴/種類(以下単に特徴という)に応じて、画像形成装置100の縁なし印刷モードにおける記録用紙の全域に対する画像の形成を可能とする画像形成制御手段であるドライバー104を備えている。・・図4参照」 (1c)「【0033】発明に係る画像処理システムを実行する画像形成装置を図2を用いて、説明する。 図2は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す説明図である。 【0034】 本発明の画像処理システムの画像形成装置100は、画像送信装置101から送信された画像データに応じて記録用紙に対して画像を形成する画像形成部150と、記録用紙上に形成された画像を定着させる画像定着手段である定着ユニット12を備えている。 【0035】 本発明の画像処理システムの画像形成装置100は、外部の画像送信装置101から伝達された画像データに応じて、記録用紙である所定のシート(記録用紙)に対して多色及び単色の画像(トナー像)を形成するものである。 【0036】 画像形成装置100は、露光ユニット1a,1b,1c,1d、現像器2a,2b,2c,2d、感光体ドラム3a,3b,3c,3d、クリーナユニット4a,4b,4c,4d、帯電器5a,5b,5c,5d、転写搬送ベルトユニット8、転写ベルトクリーニングユニット9、定着ユニット12、用紙搬送路S、厚さ検出器13、給紙トレイ(カセット)10、手差し給紙トレイ11及び排紙トレイ15,33等から構成されている。 画像形成装置100の装置本体には、各種設定を行う操作パネル120が設けられている。 ・・・(中略)・・・ 【0041】 感光体ドラム3a,3b,3c,3dの下部に配置されている転写搬送ベルトユニット8は、転写ベルト7、転写ベルト駆動ローラ20、転写ベルト従動ローラ21、複数の転写ベルトテンションローラ22、転写ローラ6a,6b,6c,6dを備えている。 転写搬送ベルトユニット8の転写ベルト駆動ローラ20,転写ベルト従動ローラ21及び転写ベルトテンションローラ22は、転写ベルト7を張架し、図2の矢印B方向に回転駆動させるものである。 転写搬送ベルトユニット8の転写ローラ6a,6b,6c,6dは、転写搬送ベルトユニット8の内側のフレーム(図示せず)に回転自在に支持されており、転写ベルト駆動ローラ20,転写ベルト従動ローラ21及び転写ベルトテンションローラ22と共に、転写ベルト7を張架している。 転写搬送ベルトユニット8の転写ローラ6a,6b,6c,6dは、感光体ドラム3a,3b,3c,3dの表面上に形成されたトナー像を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシート(記録用紙)に転写するものである。・・・(中略)・・・ 【0048】 さらにまた、画像形成装置100には、給紙トレイ(カセット)10のシート(記録用紙)を転写搬送ベルトユニット8や定着ユニット12を経由させて第一の排紙トレイ15に搬送するSの字形状の用紙搬送路Sが設けられている。 さらに、給紙トレイ(カセット)10から第一の排紙トレイ15及び第二の排紙トレイ33までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16,17、レジストローラ14、定着ユニット12、搬送方向切換えゲート34、搬送ローラ25等が配設されている。 ・・・(中略)・・・ 【0051】 定着ユニット12は、ヒートローラ31、加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31及び加圧ローラ32は、シート(記録用紙)を挟んで互いに反対方向に回転するようになっている。」 ここで、用紙搬送路S、ピックアップローラ16,17、レジストローラ14、搬送ローラ25、転写ベルト7等は、記録用紙を搬送させる記録用紙搬送部を形成しており、また、転写ローラを有する転写搬送ベルトユニット8は、トナー像を記録用紙に転写する転写部を形成しているといえる。 さらに、露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器などは、画像形成部を形成しているといえる。 (1d) 「【0053】 次に、本発明の画像処理システムの処理操作を説明する。 図3は本発明の実施の形態に係る画像処理システムの画像形成装置の操作部(操作パネル)を示す詳細図である。 画像形成装置100の装置本体に配置された操作パネル120は、装置の各種設定状況を確認可能な操作画面121を有している。操作パネル120には操作画面121の下側に「メニュー」キー122、「アップ(▲)」キー123、「ダウン(▼)」キー124、「戻る/クリア」キー125、「OK」キー126、「操作ガイド」キー127が配置されている。 そして、画像形成装置100の装置の各種設定は操作パネル120から行われる。 【0054】 そして、画像形成装置100の操作パネル120の「メニュー」キー122を押すと、画像形成装置100による画像を形成するために必要な各種設定のメニューが操作画面121に表示され、各種設定が可能となる。」 (1e)「【0057】 次に、操作表示画面による操作指示を、図4により説明する。 図4は本発明の実施の形態に係る画像処理システムの画像送信装置の表示部の操作指示画面を示す詳細図である。 画像送信装置101のディスプレイ103の表示画面103aには、画像データを画像形成装置100へ送信するための各種設定を行う操作指示キーや画像データの送信をスタートさせるためのボタンキー等が、ドライバー104のドライバー画面104aとしてWINDOW表示されている。画像送信装置101の表示画面103aにWINDOW表示された操作画面を指示することにより、ドライバー104は指示された内容により画像形成装置100へ画像データの送信を実行する。 ・・・(中略)・・・ 【0061】 ドライバー104のドライバー画面104aの「プリント」キー111は、実際に画像データを画像送信装置101から画像形成装置100へ送信してプリント実行するトリガーキーとなる。「キャンセル」キー112は、プリント実行をキャンセルし、ドライバー104のドライバー画面104aを閉じるためのキーである。 ・・・(中略)・・・ 【0064】 本発明が搭載される装置としては、電子写真プロセス及び加熱定着ローラを採用した画像形成装置である。これらの装置により記録用紙の全域に画像を形成したとしても、定着装置においてスムーズに剥離されて排出される記録用紙としては、ある程度のこしがあるものに限って記録用紙の全域への画像記録が可能となる。例えば、記録用紙の全域への画像記録が可能な用紙タイプとしては、厚紙,OHPシート,封筒,特殊紙,はがき,名刺等である。 そこで、表示画面には「用紙タイプ」キー106により、これら条件に適した記録用紙の用紙タイプを選択した時のみ、ドライバー104のドライバー画面104aに縁なし印刷モードのチェック欄である「縁なし印刷」のチェックボックス110が選択肢として表示されるようになっている。 ・・・(中略)・・・ 【0068】 また、図4に示すように、先に、縁なし印刷モードのチェック欄である「縁なし印刷」のチェックボックス110をドライバー104のドライバー画面104aに表示しておき、「縁なし印刷」のチェックボックス110をクリックしてチェックを入れた場合に、用紙タイプの選択肢として、縁なし印刷モード時における選択可能な用紙タイプのみをドライバー104のドライバー画面104aに表示させるようにすることも可能である。 なお、上記構成において、縁なし印刷モード時における記録用紙の用紙タイプの選択肢として限定する条件は、例えば、予めユーザー毎に画像形成装置100の操作パネル120から用紙タイプを設定しておくこともできる。 【0069】 そして、画像形成装置100は、設定された記録用紙の用紙タイプが縁なし印刷可能な用紙タイプかどうかを判別したり、この予め設定されている記録用紙の用紙タイプ情報を、ドライバー側からの用紙タイプ情報の要求に応じて、保持している情報をドライバー側に送信する。 これにより、ドライバー側で、上述のように縁なし印刷が可能かを判定することが可能となる。 条件が設定されると、プリントボタン111を選択することにより、画像形成装置100による記録用紙への画像形成が実行される。」 (1f)「【0070】 実施の形態2 以上の説明は、画像形成システムの選択時の操作に関わる説明をしてきたが、給紙トレイ毎に記録用紙の種類や厚さ等の情報を画像形成装置に記憶させることができる画像形成装置であればよいが、記憶することができない画像形成装置や、使用者が記録用紙の厚さを間違えて厚い記録用紙をセットする給紙トレイに薄手の記録用紙をセットしてしまうことが稀に起こる。また、手差し給紙トレイでは多種/多様の記録用紙を容易にセットできるように設けられたものであり、この手差し給紙トレイに薄手の記録用紙がセットされることも考えられる。 【0071】 そこで、この実施の形態では、厚手の記録用紙だけ縁なし画像形成を可能とするように制御する場合には、記録用紙の厚さを直接検出できればさらに好ましいので、以下は記録用紙を直接に検出手段で検出して制御する形態例を説明する。本実施の形態における画像形成装置においては、図2に示すように、用紙搬送路Sのピックアップローラ16とレジストローラ14との間に記録用紙の特徴の検出手段である厚み検出器13が配置されている。その他の装置の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。 厚み検出器13は、通光孔、光源、受光素子等により構成され、光源からの光は通光孔を通って受光素子で受けられる。そして、光源と受光素子の間を記録用紙が通過したとき、受光素子での受光量を検出することにより、用紙の厚みを判定する構成となっている。 【0072】 その他、特徴の検出手段としては搬送ローラ変移量を歪計や微小変移計などを用いて検出する接触方式の検出器としても良い。この場合にはOHP用紙などの透明な用紙の厚さを検出することができる。 【0073】 次に、ドライバー104(制御装置)による画像形成の操作手順を図7に示すフローチャートで説明する。 ステップST1で、プリンタ、コピーのスタートキーを押すと、プリンタドライバ画面もしくは操作部で、縁なし印刷設定か否かを判別し(ステップST2)、縁なし印刷の設定がなされていない場合は通常画像形成を行って(ステップST3)、印刷を終了する。 ステップST2で縁なし印刷の設定が判定された場合は、画像形成装置の厚み検知器が動作し、搬送路から給紙された用紙の厚みを検出し、一定以上の厚みがあるか否かの判定をする(ステップ4)。記録用紙の厚さが一定以上ある場合は、ステップST5に進み縁なし印刷の画像形成を行って印刷を終了する。 【0074】 ステップST5で「縁なし印刷設定」がなされているにもかかわらず、記録用紙の厚みが設定された厚さ以下の場合は、以下の処理を行う。・・・図8参照 【0075】 処理1 ステップST41でプリンタドライバ画面、もしくは、操作部に「この用紙では縁なし印刷できません、用紙を印刷せずに排紙します。」を表示し、エラーLEDも点灯させる。そして、ステップST42で、用紙は転写・定着を実施せずに排紙する。 処理2 ステップ43でプリンタドライバ画面、もしくは、操作部に「この用紙では縁なし印刷できません、用紙トレイを再設定してください。」を表示し、エラーLEDも点灯させる。そして、ステップST44で、用紙は搬送ローラを逆回転させて、用紙をトレイに戻す。なお、この動作を可能にするためには厚さ検知器の位置をトレイの近傍に位置させておく必要がある。 処理3 ステップ45でプリンタドライバ画面、もしくは、操作部に「この用紙では縁なし印刷できません、縁あり印刷を行います。」を表示し、エラーLEDも点灯させる。ステップST46で縁ありの印刷を実行する。ここで、縁あり印刷については、用紙を転写するタイミングをずらして、用紙先端部分に縁を任意に作成する方法がある。が、従来の縁あり印刷の様に用紙先端部(または外周全部)にボイドを乗せない画像イメージを生成し、印刷する。 ・・・(中略)・・・ 【0082】 なお、本実施例の説明では、記録用紙の種類や厚さのうち厚さを検出する検出器を用いた場合について記載しているが、記録用紙のたわみ性や腰の強さを検出する検出器を用いて同様な制御を行っても良いことは言うまでもないことであり説明は省略している。」 図7は次のとおり。 これら記載によれば、刊行物1には次の発明(以下、「刊行物1記載の発明」という。)が記載されているものと認められる(実施の形態2を中心に認定した)。 なお、刊行物1では、「厚み」「厚さ」という表現が出てくるが、両者は同じ意味であるので、刊行物1記載の発明の認定では「厚さ」という表現を用いた。 「記録用紙に画像を形成する画像形成装置100と、画像形成装置100に接続され、画像データを画像形成装置100へ送信する画像送信装置101とからなる、画像処理システムであり、 画像形成装置100は、 記録用紙を搬送させる記録用紙搬送部と、 露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器などからなる画像形成部と、 トナー像を記録用紙に転写する転写部と、 定着ユニット12と、 記録用紙の厚さを検出する厚さ検出器13と を備え、 画像送信装置101のドライバー104(制御装置)は、 プリンタ、コピーのスタートキーが押されると、プリンタドライバ画面もしくは操作部で、縁なし印刷設定か否かを判別し、縁なし印刷の設定が判定された場合は、画像形成装置の厚さ検知器が動作し、搬送路から給紙された用紙の厚さを検出し、一定以上の厚さがあるか否かの判定をし、記録用紙の厚さが一定以上ある場合は、縁なし印刷の画像形成を行って印刷を終了する、 画像処理システム。」 (2)刊行物2 (2a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置に、また特に、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の画像形成装置によって得られる複写画像は、一般的に周囲が通常2?5mm程度の余白部があり、その理由は、以下の諸点が挙げられる。 【0003】1)像担持体である感光ドラム上のトナー像に対して所定のタイミングで転写材(複写用紙)を給紙する時に僅かなずれが生じ易い。 【0004】2)特に、転写材が薄い時など、その剛性が低く、いわゆる“紙の腰”が弱い時などの場合、感光ドラム上のトナー像が転写体上に静電的に転写された後感光ドラム上に転写材が吸着されたまま搬送されて画像が乱れたり、感光ドラムのクリーニング装置に先端が突入して“紙詰まり”発生の原因となることがあった。 【0005】(略) 【0006】3)無端状の転写材搬送部材、例えば転写ベルトを使用した画像形成装置の場合は、転写ベルトと転写材とが静電的に吸着されて搬送するために、搬送性は比較的安定する。 【0007】しかしながら、転写材が転写ベルトから分離しようとする時に、上記同様に転写材の腰が弱いと、転写ベルトに吸着されたまま連れ回ってしまい、転写ベルトからの分離不良が発生して複写・画像を得ることができなくなってしまう。 【0008】(略) 【0009】4)像担持体、例えば感光ドラム上のトナー像が転写部で転写材に主として静電的に転写された後、通常ヒートローラ対である定着器を通過することによってトナー像が転写材に定着される。 【0010】この時、前記腰の弱い転写材の場合には、転写材がトナーの介在する側である上ヒートローラに付着し、前記同様に紙詰まりの原因となることがある。 【0011】この場合、転写先端部にトナーが存在しないようにすると上記問題点は改善される。 ・・・(中略)・・・ 【0022】本発明は、以上のような諸局面にかんがみてなされたもので、例えばユーザの好みや原稿画像の種類等に対して、複写画像の全周の余白幅を原稿画像情報の欠落等の可能性なく、常に所望の寸法にすることができ、またこの場合の原稿複写の縮少の有無のいずれをも可能とすると共に、さらにまた、転写材の材質等により例えば“紙詰まり”等の故障を生じないようにするには余白部を強制的に設定すること等の可能な画像形成装置の提供を目的としている。」 (2b)「【0057】(第4の実施例)以上、説明したように、転写材の余白幅をユーザの希望する値に設定可能にする装置について述べてきたが、前記「従来の技術」の1)?3)項に記したように、例えば転写材の剛性が低いいわゆる“紙の腰”が小さい転写材を通紙する場合は、その転写材の種類、大きさ、画像、使用環境(温度湿度など)により“紙詰まり”を生ずる確率が高くなる。 【0058】従って、本実施例では、転写材を収納してそこから給紙するカセットや給紙トレイを複数有する図1に示すような画像形成装置の場合、選択される給紙部によって余白幅を制御できるようにしたものである。」 (2c)「【0063】(第5の実施例)本実施例は、前記第4の実施例に記したものと同様の理由から、転写材の種類に応じて、余白幅、特に先端余白幅を変えるようにしたものである。 【0064】図1の画像形成装置において、給紙する場所が手差し給紙トレイ23が選択された場合に、図8にその一例を示す転写材である用紙のサイズ設定画面に切り替わり、例えばA4Rサイズを入力すると、次は図9にその一例を示す紙種設定画面に移る。 【0065】ここで例えば薄紙が選択されると、先端余白のみ初期設定の値が大きくなる。ここで、図9の紙種設定画面の余白幅表示において、左辺が先端に相当する。先端余白幅は、例えば4.0mm以上、他の辺は0mm以上のように、可変範囲の下限を設けてもよい。 【0066】また、薄紙が選択されたら、先端余白幅は、例えばすべて4.0mmと固定して、紙種設定は図10にその一例を示すように、余白幅表示をしなくても良い。 【0067】以上のように、転写材の材質,厚み,大きさ等の種類により、余白幅を変えることによって搬送不良による画像不良紙詰まり等を防止、あるいはその確率を低減することができる。 【0068】なお、転写材の厚みを自動的に検知して、その結果に基づいて余白幅を制御するようにしてもよい。」 図8,図9は次のとおり。 ここで、【0063】?【0068】の記載から次のことが理解される。 図9の「紙種設定画面」で紙種を選択すると、その後に、先端余白の設定値が適切な値に変更になるが、「紙種設定画面」に先立ってなされる、図8の「用紙のサイズ設定画面」での用紙サイズの選択が、先端余白幅の設定に反映されるかどうかは、明示されていない。 しかし、【0067】には、「以上のように、転写材の材質,厚み,大きさ等の種類により、余白幅を変えることによって搬送不良による画像不良紙詰まり等を防止、あるいはその確率を低減することができる。」との記載があり、また、冒頭の【0063】には、「転写材の種類に応じて、余白幅、特に先端余白幅を変える」という記載があるので、用紙のサイズ(これは転写材の大きさを意味することは明らかである。)も、適切な先端余白幅の設定に関係することは、十分に示唆されている。 したがって、刊行物2には次の技術事項が記載されているものと把握することができる。 「腰の弱い転写材は、定着器のヒートローラに付着し紙詰まりし易いので先端余白を設けてこれを防いでいるところ、転写材の材質,厚み,大きさ(用紙のサイズ)等の種類により、上記紙詰まりを防ぐために必要な先端余白の幅が変わってくること」 3.対比・判断 そこで、本願発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると、 刊行物1記載の発明の 「記録用紙」、 「記録用紙を搬送させる記録用紙搬送部」、 「露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器などからなる画像形成部」、 「トナー像を記録用紙に転写する転写部」、 「定着ユニット12」、 「記録用紙の厚さを検出する厚さ検出器13」は、 それぞれ、本願発明1の 「記録材」、 「記録材を搬送させる記録材搬送部」、 「印刷用画像データに基づいて画像を形成する画像形成部」、 「形成された画像を記録材上に転写させる転写部」、 「記録材上に転写された画像を定着させる定着部」、 「前記記録材の厚さ寸法を検出する記録材厚検出部」に相当する。 また、本願発明1の「画像形成装置」については、本願明細書の【0034】や図2には、「図示されない情報処理装置等から画像データを受信する・・・」という記載があるから、その限りでは、刊行物1記載の発明の「記録用紙に画像を形成する画像形成装置100」が、本願発明1の「画像形成装置」に相当するということができる。 ただ、ここでは、刊行物1記載の発明の「記録用紙に画像を形成する画像形成装置100と、画像形成装置100に接続され、画像データを画像形成装置100へ送信する画像送信装置101とからなる、画像処理システム」と、本願発明1の「画像形成装置」とについて、「画像形成装置、または、画像形成装置と画像送信装置とからなる画像処理システム」で共通するという括り方を一応しておく。 さらに、刊行物1記載の発明の「画像送信装置101のドライバー104(制御装置)は、プリンタ、コピーのスタートキーが押されると、プリンタドライバ画面もしくは操作部で、縁なし印刷設定か否かを判別し、縁なし印刷の設定が判定された場合は、画像形成装置の厚さ検知器が動作し、搬送路から給紙された用紙の厚さを検出し、一定以上の厚さがあるか否かの判定をし、記録用紙の厚さが一定以上ある場合は、縁なし印刷の画像形成を行って印刷を終了する」と、 本願発明1の「記印刷制御部は、 前記印刷用画像データ上で記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満であるか否かを検出する記録材非印刷領域検出部と、前記非印刷領域が所定値未満の場合に、前記記録材の厚さ寸法及び前記記録材の縦横搬送方向により前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷が可能であるか否かを判定する先端領域印刷判定部とを有し、前記非印刷領域が所定値未満で、前記所定値未満の寸法の領域内への印刷が可能である場合に、前記印刷用画像データを画像形成部に送出する」とは、 「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合に、前記記録材の厚さ寸法により、前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷または縁なし印刷が可能であるか否かを判定し、前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷または縁なし印刷が可能である場合に、当該印刷の画像形成を行う」点で共通するといえる。 なお、刊行物1記載の発明の「縁なし印刷設定」は、「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法がゼロである」設定に相当するから、上記共通点のごとく認定した。 そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりと認められる。 [一致点] 「記録材を搬送させる記録材搬送部と、 印刷用画像データに基づいて画像を形成する画像形成部と、 形成された画像を記録材上に転写させる転写部と、 記録材上に転写された画像を定着させる定着部と、 前記記録材の厚さ寸法を検出する記録材厚検出部と を備え、 記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合に、前記記録材の厚さ寸法により、前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷または縁なし印刷が可能であるか否かを判定し、前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷または縁なし印刷が可能である場合に、当該印刷の画像形成を行う、 画像形成装置、または、画像形成装置と画像送信装置とからなる画像処理システム。」 [相違点1] 本願発明1は、 画像形成装置であって、 受信した画像データから印刷用画像データを生成する印刷制御部を備え、 この印刷制御部が、「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合に、前記記録材の厚さ寸法により、前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷または縁なし印刷が可能であるか否かを判定し、前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷または縁なし印刷が可能である場合に、当該印刷の画像形成を行う」(これを、以下、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」という。)のに対して、 刊行物1記載の発明は、 画像形成装置と画像送信装置とからなる画像処理システムであって、 「受信した画像データから印刷用画像データを生成する印刷制御部」は明示がなく、 また、「画像送信装置101のドライバー104(制御装置)」が、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」を行う点。 [相違点2] 「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」に関して、 本願発明1は、 前記印刷用画像データ上で記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満であるか否かを検出する記録材非印刷領域検出部と、 前記非印刷領域が所定値未満の場合に、前記記録材の厚さ寸法及び前記記録材の縦横搬送方向により前記搬送方向先端側の前記所定値未満の寸法の領域内への印刷が可能であるか否かを判定する先端領域印刷判定部と を有し、 前記非印刷領域が所定値未満で、前記所定値未満の寸法の領域内への印刷が可能である場合に、前記印刷用画像データを画像形成部に送出する、 のに対して、 刊行物1記載の発明は、 プリンタ、コピーのスタートキーが押されると、プリンタドライバ画面もしくは操作部で、縁なし印刷設定か否かを判別し、縁なし印刷の設定が判定された場合は、画像形成装置の厚さ検知器が動作し、搬送路から給紙された用紙の厚さを検出し、一定以上の厚さがあるか否かの判定をし、記録用紙の厚さが一定以上ある場合は、縁なし印刷の画像形成を行って印刷を終了する点。 相違点について検討する。 (相違点1について) まず、刊行物1記載の発明には、「受信した画像データから印刷用画像データを生成する印刷制御部」が明示されていないが、画像形成装置100は、画像データから印刷用画像データを生成する部分を伴うことは、当然であるから、この点は、実質的に相違点でない。 次に、刊行物1記載の発明は、「画像形成装置と画像送信装置とからなる画像処理システム」であって、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」を行う部分が、「印刷用画像データを生成する印刷制御部」ではなく、「画像送信装置101のドライバー104(制御装置)」である。 しかし、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」を、「画像送信装置101のドライバー104(制御装置)」が担う態様にするか、あるいは、「印刷用画像データを生成する印刷制御部」が担う態様にするかは、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」の機能を担う部分をどこに置くかという程度のことであるから、適宜選択し得ることである。 そして、当業者であれば、本願発明1のように、後者の態様を採用するとともに、刊行物1記載の発明の「画像形成装置と画像送信装置とからなる画像処理システム」から、「画像形成装置」に着目した発明として把握し直すことは、容易になし得ることである。 (相違点2について) 相違点2は、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」の手法等に関するものである。ここでは、相違点2を細分化して検討を加えるものとする。 (a)印刷可否判定を行うときの非印刷領域の寸法について まず、本願発明1は、記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満である場合に、印刷可否判定を行うのに対して、刊行物1記載の発明は、縁なし印刷の設定が判定された場合に、印刷可否判定を行う点で相違する。 縁なし印刷の設定は、本願発明1の「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満である場合」における「所定値」が最小値である「ゼロ」になったときのことを意味する(なお、ゼロ未満になることは物理的にないので、縁なし印刷は、記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法がゼロになったときである)。つまり、本願発明1の「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満である場合」の特殊な態様が、刊行物1記載の発明の縁なし印刷の設定の場合であるといえる。 そして、刊行物1記載の発明は、縁なし印刷の設定の場合に限っているが、縁があるがその縁が小さい場合、すなわち、「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法」が小さい場合にも、刊行物1記載の発明の「印刷可否判定」の手法が応用可能であることは、例えば刊行物2の技術を参考にすれば、当業者に明らかである。 そうすると、刊行物1記載の発明において、縁なし印刷の設定の場合に限らず、本願発明1のごとく、「記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満である場合」に「印刷可否判定」を行うようにすることは、当業者が容易に想到しうることである。 (b)非印刷領域の寸法の把握の仕方について 次に、本願発明1は、印刷用画像データ上で記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法が所定値未満であるか否かを検出するのに対して、刊行物1記載の発明は、プリンタ、コピーのスタートキーが押されると、プリンタドライバ画面もしくは操作部で、縁なし印刷設定か否かを判別する点で相違する。 ここで、刊行物1記載の発明は、プリンタドライバ画面もしくは操作部という、縁なし印刷の設定や余白の設定を行う箇所で判別するものである。 しかし、一般に、画像形成装置において、印刷用画像データには、余白等、記録材の搬送方向先端側の非印刷領域の寸法を把握することができるデータが含まれていることが多い。 したがって、刊行物1記載の発明において、プリンタドライバ画面もしくは操作部での判別に換えて、印刷用画像データから非印刷領域の寸法を把握するように変更することは、当業者が適宜なし得ることである。 (c)印刷可否判定のために考慮する事項について さらに、「非印刷領域の寸法が所定値未満またはゼロである場合の印刷可否判定」のために考慮する事項が、本願発明1は、記録材の厚さ寸法及び記録材の縦横搬送方向であるのに対して、刊行物1記載の発明は、記録材の厚さ寸法(搬送路から給紙された用紙の厚さ)だけである点で相違する。 そこで、刊行物2を参照すると、刊行物2には、「腰の弱い転写材は、定着器のヒートローラに付着し紙詰まりし易いので先端余白を設けてこれを防いでいるところ、転写材の材質,厚み,大きさ(用紙のサイズ)等の種類により、上記紙詰まりを防ぐために必要な先端余白の幅が変わってくること」という技術事項が記載されており、転写材の材質や厚みに加えて、転写材の大きさ(用紙のサイズ)が、転写材の剛性(紙の腰)に関係することが示唆されている。また、刊行物2の図8では、例えば、「A4」と「A3」の区別だけでなく、縦横方向が異なる「A4」と「A4R」も区別して、用紙のサイズが設定できるようになっている(これ自体は普通のことであるが)。 そして、一般に、小さいサイズの転写材(記録材)は、概して腰がある程度強いことや、幅が狭い転写材は幅の広い転写材よりも概して腰が強いことは、よく知られており、自明な事項といえる。例えば、特開平3-88672号公報(第1頁右下欄20行?第2頁左上欄第1行、第3頁左上欄第16?20行)、特開平8-76606号公報(【0002】【0009】)を参照。なお、転写材の剛性(紙の腰)の程度は、パルプ繊維の抄紙方向や配列なども影響するものといえる。 一方、本願発明1は、記録材の縦横搬送方向を考慮するものであるが、例えば、A4サイズの記録材の場合、搬送方向でみると、A4縦方向になるときと、A4横方向になるときがあるところ、その意義は、本願明細書の【0046】、【0049】?【0053】や図6の記載を参照するならば、A4縦方向のときは、搬送方向に直交する方向が小さい(幅が狭い)寸法となり、記録材の剛性が高まり、A4横方向のときは、搬送方向に直交する方向が大きい(幅が広い)寸法となり、記録材の剛性が相対的に低くなる、というものと認められる。つまり、本願発明1で、発明の詳細な記載を参酌するすると、記録材の縦横搬送方向を考慮するとは、記録材の幅の大小を考慮するということをねらっているといえる。 ただし、記録材の縦横搬送方向を考慮すると規定するだけでは、不十分であって、例えば、同じ縦方向でも、A4縦方向とA3縦方向では、記録材の幅が異なるものであり、また、A4横方向とA3縦方向では、縦横搬送方向が異なるが、記録材の幅は同じであるから、正確には、記録材の縦横搬送方向と記録材の全体サイズ(記録材の縦横サイズ)の両方を考慮する必要があることは明らかである。 とはいえ、本願発明1で、記録材の縦横搬送方向を考慮するとは、不十分な規定であるものの、記録材の幅の大小を考慮するという思想を一応読み取ることはできる。 以上のことを勘案すると、刊行物1記載の発明において、刊行物2の技術や当業者に自明な事項を参考にして、印刷可否判定のために、本願発明1のごとく、記録材の厚さ寸法に加えて、記録材の縦横搬送方向を考慮すること は、当業者が容易に想到し得ることである。 (本願発明1の効果について) そして、全体として、本願発明1によってもたらされる効果も、刊行物1,2の記載事項や当業者に自明な事項から当業者であれば予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。 (まとめ) したがって、本願発明1は、刊行物1,2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-10-04 |
結審通知日 | 2010-10-05 |
審決日 | 2010-10-25 |
出願番号 | 特願2004-11566(P2004-11566) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G03G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 松本 泰典 |
特許庁審判長 |
木村 史郎 |
特許庁審判官 |
伏見 隆夫 一宮 誠 |
発明の名称 | 画像形成装置、およびその画像形成方法 |
代理人 | 篠原 昌彦 |
代理人 | 山形 洋一 |
代理人 | 前田 実 |