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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04R
管理番号 1229136
審判番号 不服2009-14074  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-06 
確定日 2010-12-22 
事件の表示 特願2008-111710「スピーカ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成20年10月16日出願公開、特開2008-252908〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、特願2006-537652号(国際出願日:平成17年8月29日)の分割出願として平成20年4月22日に出願されたものであって、平成21年3月16日付け拒絶理由通知に対して平成21年5月11日付けで手続補正書が提出されたが、平成21年5月27日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成21年8月6日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。
審判合議体は平成22年8月16日付けで拒絶理由を通知し、これに対し、平成22年10月5日付けで意見書及び手続補正書が提出されている。

2.本願特許請求の範囲

本願の発明は平成22年10月5日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載されたものと認められるところ、請求項1に係る発明は以下のとおりである。
(以下、これを本願発明とする。)

[本願発明]
キャビネットと、
前記キャビネットに取り付けられるスピーカユニットと、
前記キャビネットの内部空間に配置された活性炭とを備え、
前記活性炭は、活性炭繊維を編んで布状に形成され、前記活性炭の比表面積は、500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下であり、
前記布状に形成された活性炭が積層される方向は、前記スピーカユニットから前記布状に形成された活性炭へ向かう方向に対して垂直であることを特徴とするスピーカ装置。

3.審判合議体による拒絶理由通知

当審において平成22年8月16日付けで通知した拒絶理由の内、[理由2]は以下のとおりである。

[理由2]
「 本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

請求項1-4、9-11、13-17に係る発明について 引用文献1-3

引用文献1には、スピーカボックスと、スピーカを備えたスピーカアセンブリであって、ボックス内に粒状の活性炭からなる材料塊を備え、粒状の活性炭はガス・空気を吸着することで容器(ボックス)内の圧力を安定させる発明が記載されている。
また、当該文献は、「粒状物は、好ましくは、支持構造22によって適当に保持される」、「支持構造22は、好ましくは、内容に向くチャネル24を有するような形状とされる。このチャネル24は、第2図に示すように、粒状物に対して空気用の比較的広い通路を提供する。」(公報第3頁左上欄)及び第1図、第2図の記載からみて、材料塊(活性炭)に、スピーカから活性炭へ向かう方向に対して垂直に空気が通過する通路を設ける(換言すれば、空気と活性炭との境界面は凹凸形状とする)点が開示されている。
したがって、本願発明と引用文献1に記載の発明とは、活性炭材料として本願発明が「活性炭繊維を編んで布状に形成」され「布状に形成された活性炭が積層」されているのに対して、引用文献1に記載の発明が「粒状の活性炭」である点で相違する。
しかしながら、上述相違点について検討すると、粒状の活性炭は、性能面・取扱性面において満足すべきものではないという課題を有しており、かわって布状活性炭素繊維を用いることは、例えば引用文献2、3に述べられているように、出願前に周知慣用の技術である。
してみれば、引用文献1に記載の粒状活性炭にかえて、布状活性炭素繊維を用いる構成とする点に格別の技術的困難性は認められない。
また、活性炭の空気・ガス吸着メカニズムを考慮すれば、引用文献1に接した当業者であれば、布状活性炭素繊維の形状として、引用文献1に記載の活性炭の境界面形状(布状素材を凹凸に折り、スピーカから活性炭へ向かう方向に対して垂直に空気が通過する通路を設ける)を採用することは、当然のものである。

よって、本願の請求項1-4、9-11、13-17に係る発明は、引用文献1に記載の発明及び上述周知慣用の技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。

請求項5-8に係る発明について 引用文献1-4

スピーカ装置において、キャビネットに音響ポートやパッシブラジエータを備える点は、例えば引用文献4に見られるように当該技術分野における周知慣用の技術である。

よって、本願の請求項5-8に係る発明は、引用文献1に記載の発明及び上述周知慣用の技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。

引用文献等一覧
1.特表昭60-500645号公報
2.特開昭56-155012号公報
3.特開2003-225564号公報
4.特開平04-3698号公報 」

4.引用刊行物に記載された発明

引用刊行物1(引用文献1:特表昭60-500645号公報)には、図面とともに以下の記載がされている。

(ア)「この発明は定圧装置に関する。
特に、この発明は、本質的に閉じられた容積内の圧力変動を除去するための技術に関する。その変動は、前記容積が減じられる時、発生する傾向にある。たとえば、拡声器ボックスの内部が本質的に閉じられた容積である。この容積は、拡声器のコーンがボックスの内部まで移動するとき、事実上その容積が減じられる。それゆえに、そのような移動は、ボックス内の圧力を増加する傾向にあり、そしてこの発明の技術によって、そのような変動はかなり減じられる。
この発明によれば、拡声器アセンブリが設けられる。この拡声器アセンブリは、スピーカボックスと、スピーカの後方部がボックスの内部に連通するように取付けられた少なくとも1個の拡声器と、ボックス内に位置するガスまたは蒸気と、ボックス内に位置する材料塊とを備える。前記材料は、ガスまたは蒸気の少なくとも1個の成分に吸着し、ある程度その部分圧を左右する。それによって、前記拡声器がボックス内に移動することによって生ずるボックス内のガスまたは蒸気の圧力上昇は、前記材料塊上における前記成分の増加された吸着のために、比較的低い。 」
(第2頁上右欄)

(イ)「第1図に示されている拡声器アセンブリは、拡声器ボックス2を備える。拡声器ボックス2は、後壁4と、底壁6と、天壁8と、側壁10とを有している。
(中略)
この発明に従って、吸着材料20は、ボックス2内に配置され、それによってスピーカボックス内の増加された圧力の影響を少なくとも部分的に無効にする。したがって、スピーカのコーンはほとんど妨害されることがなく、そしてそれゆえに、所定のパワー入力に対してより大きな出力を生じさせることができる。 」
(第2頁下右欄第24行?第3頁上右欄第1行)

(ウ)「この発明の好ましい実施例では、ボックス2の内部には、活性化された木炭または炭素の塊20が粒状に設けられる。粒状物は、好ましくは、支持構造22によって適当に保持される。支持構造22は、網のような表面を有し、好ましくはプラスチック材料から一体成形によって作られる。あるいは、エキスパンドメタルシールから作られる。支持構造22は、好ましくは内方に向くチャネル24を有するような形状とされる。このチャネル24は第2図に示されるように、粒状物に対して空気用の比較的広い通路を提供する。構造物22の内部には、好ましくは、フィルタペーパのような多孔性生地が張られる。この多孔性生地は、かなり小さな木炭または炭素粒状物が支持構造22を通って抜けですのを防止する。」
(第3頁上右欄第2行?同欄第14行)

したがって、これらを総合すると、引用刊行物1には次の(エ)なる発明が記載されている。
(以下、これを「引用発明」とする。)

[引用発明]
(エ)密閉型の拡声器ボックスと、拡声器ボックスに取り付けられる拡声器と、拡声器ボックス内部に配置され拡声器のコーンの振動に起因する拡声器ボックス内部の圧力変動を抑えるための、内方に向くチャネルを有するような形状となる支持構造により保持される活性木炭粒状物を備えた拡声器アセンブリ。

5.本願発明と引用発明との対比

引用発明の「拡声器」が本願発明の「スピーカユニット」に相当し、引用発明の「拡声器ボックス」が本願発明の「キャビネット」の相当することは明らかであるから、本願発明と引用発明とは、次の点で一致、あるいは相違する。

[一致点]
(オ)キャビネットと、
前記キャビネットに取り付けられるスピーカユニットと、
前記キャビネットの内部空間に配置された活性炭とを備えたスピーカ装置。
[相違点]、
(カ)本願発明における活性炭は、活性炭繊維を編んで布状に形成されているものであり、布状に形成された活性炭が積層される方向は、スピーカユニットから前記布状に形成された活性炭へ向かう方向に対して垂直であるのに対し、引用発明は内方に向くチャネルを有するような形状となる支持構造により保持される活性木炭粒状物である点、
(キ)本願発明における活性炭の比表面積が、500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下とされているのに対し、引用発明においては、比表面積に言及されていない点。

6.当審の判断

(1)相違点(カ)について
平成22年8月16日付け拒絶理由通知書において指摘しているように、粒状の活性炭は、性能面・取扱性面において満足すべきものではないという課題を有しており、かわって布状活性炭素繊維を用いることは、例えば引用刊行物(引用文献)2、3に述べられているように、出願前に周知慣用の技術である。
したがって、引用発明における活性炭素粒を活性炭素繊維を編んで布状に形成されているものとすることは、当業者が容易に想到することである。

なお、審判請求人は平成22年10月5日付け提出の意見書において、次の主張をしている。
「高速で吸脱着を繰り返す必要がない溶剤やガスを対象とする引用文献2及び3に記載の技術から、高速で吸脱着を繰り返す必要があるスピーカ内の音を対象とする本発明における「音の吸脱着には、粒状活性炭よりも活性炭繊維が効果がある」という特徴を、当業者であっても容易に導くことはできません。従いまして、活性炭繊維を開示した引用文献2及び3が存在していたとしましても、引用文献1の粒状活性炭を活性炭繊維に置換する動機付けにはなりえません。 」

しかしながら、粒状の活性炭が取扱性面において満足すべきものではないから布状にするということは、引用刊行物(引用文献)2や3に記載されている布状活性炭素繊維は溶剤やガスの吸着を目的とすることとは関連のない一般的な技術事項であり、「高速で吸脱着を繰り返す必要がない溶剤やガスを対象とする引用文献2及び3に記載の技術」であるから動機付けがないという主張は当を得ていない。
粒状の活性炭が取扱性面において満足すべきものではないから布状にするということ自体に、これを引用発明に適用する動機が存在する。

そして、布状に形成された活性炭が積層される方向が、スピーカユニットから前記布状に形成された活性炭へ向かう方向に対して垂直であることは設計的事項にすぎない。

すなわち、布状に形成された活性炭繊維をスピーカのキャビネット内の所定の箇所に設ける場合、積層するか、巻層するか、不規則に詰め込むかの何れかであり、また、積層するとした場合、その積層方向を垂直とするか水平とするかの何れかであって、どのような状態で設けるかは単なる択一的条件でしかない。

引用発明は、内方に向くチャネル、すなわち、拡声器(スピーカユニット)から活性炭へ向かうようなチャネルを有するような形状となる支持構造により保持される活性木炭粒状物を備えたものであって、そのようなチャネルはスピーカユニットから活性炭へ向かう方向に対して垂直方向に並んで設けられるものであるから、引用発明における活性炭素粒を活性炭素繊維を編んで布状に形成されているものとした場合、布状に形成された活性炭が積層される方向をスピーカユニットから前記布状に形成された活性炭へ向かう方向に対して垂直とすることが最も自然な設置方向である。

また、引用発明は、内方に向くチャネルを有するような形状となる支持構造により保持される活性木炭粒状物を備えたものであって、そのようなチャネルはより広い面積で区間と接するためのものであるから、本願明細書の段落0076に記載されている本願発明における、布状に形成された活性炭が積層される方向が、スピーカユニットから前記布状に形成された活性炭へ向かう方向に対して垂直であることの理由と等価であることを鑑みても、引用発明における活性炭素粒を活性炭素繊維を編んで布状に形成されているものとした場合、布状に形成された活性炭が積層される方向を、スピーカユニットから前記布状に形成された活性炭へ向かう方向に対して垂直とすることは当業者がまず第一に選択する設置方向であると考えられる。

(2)相違点(キ)について

そもそも、活性炭の比表面積とは、単位面積当たりの表面積のことであるから、比表面積が大きいほど吸着効果が大きいこと自体は自明のことであり、比表面積の程度に応じた吸着効果があることは当然のことである。
そして、活性炭の比表面積を単に500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下と限定することについての技術的意義が存在しない。

したがって、活性炭の比表面積を、500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下とすることは単なる設計的事項にすぎない。

本願の明細書の段落0056には次のとおりの記載がある。
「【0056】
図5は、等価容積と音圧周波数特性との関係を計算により求め、グラフ化した図である。計算の条件としては、キャビネット容積が0.5リットルのバスレフ方式を基準とし、これに8cm口径のスピーカを取り付けた場合を条件としている。また、図5において、グラフDはキャビネット内に活性炭繊維がない場合、グラフEは等価容積が1.3倍となった場合、グラフFは等価容積が2倍となった場合の音圧周波数特性をそれぞれ示す。グラフEとグラフDを比較すると、周波数90Hz付近において、グラフEの方が音圧レベルが約3dB高いことがわかる。つまり、比表面積が500m^(2)/gとなる活性炭繊維を用いることで、等価容積が1.3倍に拡大され、音圧レベルが約3dB向上することがわかる。そして、音圧レベルが約3dB違えば、聴感上でも低音感の向上が認知されると予測される。したがって、活性炭繊維の比表面積としては500m^(2)/g以上であることがより好ましいといえる。なお、活性炭繊維による等価容積の拡大効果は使用する繊維材料、ミクロ孔の径の大きさ等でも変化すると考えられるが、このような場合でも容積拡大効果は1.3倍以上であることがより好ましいといえる。 」

しかしながら、当該段落には、キャビネット容積が0.5リットルのバスレフ方式であり、かつ、これに8cm口径のスピーカを取り付けた場合の例が示されているのであって、いかなる容積のキャビネット、任意の大きさのスピーカユニットの場合においても、活性炭の比表面積を、500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/gである場合に、好ましい音圧周波数が得られることは記載されていない。

また、本願発明が、仮にそのような各条件の場合に限定されるものであったとしても、等価容積が1.3倍に拡大することにより音圧レベルが約3dB向上することが、好ましい音圧周波数を得ることの限界を示すことにはならない。

なお、そもそも、図5がどのような計算式で求められたものであるかは明らかでなく、なぜ、比表面積が500m^(2)/gとなる活性炭繊維を用いることで、等価容積が1.3倍に拡大され、音圧レベルが約3dB向上するかについて、発明の詳細な説明には記載がない。

また、段落0055には、次のとおりの記載がある。
「【0055】
以下、比表面積が500m^(2)/g以上であることがより好ましい根拠について説明する。上述したように、活性炭繊維のミクロ孔は表面に存在する。このため、活性炭繊維の比表面積が大きいものほど、ミクロ孔の個数も多いと考えられる。図4は、比表面積別の容積拡大効果について測定した結果を示す図である。なお、図4は、容積が0.5リットルあるキャビネット内に比表面積が異なる活性炭繊維を入れて測定した結果である。また、測定には、フェノール系樹脂を材料とした活性炭繊維を用いている。また、図4において、縦軸は活性炭繊維がないときのキャビネット容積に対する等価的に拡大した容積(等価容積)を、横軸は比表面積をそれぞれ示している。図4に示すように、比表面積が500m^(2)/gとなる活性炭繊維を用いた場合、等価容積は約1.3倍になることがわかる。比表面積が1700?1800m^(2)/g以上となる活性炭繊維を用いた場合には、等価容積が2倍以上になることがわかる。」

しかしながら、当該段落には、「図4は、容積が0.5リットルあるキャビネット内に比表面積が異なる活性炭繊維を入れて測定した結果」、また、「また、測定には、フェノール系樹脂を材料とした活性炭繊維を用いている」と記載されているから、これは容積が0.5リットルあるキャビネットの場合の結果であり、そもそも、図4における測定結果としての「等価容積」は、どのように測定されたものであるかも明らかではない。

したがって、発明の詳細な説明には、活性炭の比表面積を、500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下と数値限定することによって格別の効果を奏することの根拠が記載されているものとはいえず、種々の容積のキャビネット、種々の大きさのスピーカを用いた場合の、多様のスピーカ装置において、そのような範囲に数値限定することの技術思想は存しないから、活性炭の比表面積を該数値の範囲とすることは単なる設計的事項にすぎないものと判断される。

なお、上述のように、図4、図5、及び段落0055、0056による説明では、単に「活性炭繊維を用いた場合」としているのみで、キャビネットの大きさ、形状、スピーカユニットの大きさに言及されていないが、更に、「活性炭繊維」の太さ、編み方、布状に編んだ場合のメッシュ密度、また、これを積層する場合の積層間隔、積層する各層毎の配置(活性炭繊維の方向、重ね位置等)等について言及されていない。
本来、適切な活性炭の比表面積は、それらの諸条件に応じても当然変わるべきものであって、活性炭の比表面積を、500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下と数値限定することによって、いかなる構造のスピーカキャビネットにおいても、最も効率良く音の吸脱着が可能となり、低音再生に優れたスピーカを実現することができるという格別の効果を奏するということにはならない。

相違点(カ)である活性炭を布状にして積層することと、相違点(キ)である比表面積の数値限定との関係は、本来相互に関係するものであろうが、本願明細書においては、別個の説明がなされており、どのような布状に形成したかに無関係に比表面積を数値限定している。
したがって、相違点(カ)と(キ)を総合することにより、本願発明と引用発明を対比して本願発明の進歩性を論ずることはできない。

よって、相違点(カ)と相違点(キ)が上述したように、個々に格別の進歩性がないと判断されれば、本願発明は引用発明に基づいて容易に想到したものということになる。

審判請求人は平成22年10月5日付け提出の意見書において、
「引用文献1?4には、スピーカにおいて音を吸脱着する上で、最も望ましい活性炭の比表面積に関する記載は一切ありません。
本願の明細書段落0056及び図4等から明らかでありますように、活性炭の比表面積が500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下の範囲をとるとき、スピーカにおいて最も効率良く音の吸脱着が可能となり、低音再生に優れたスピーカを実現することができます。」
と主張をしているが、上述のとおりであるから、「活性炭の比表面積が500m^(2)/g以上かつ2000m^(2)/g以下の範囲をとるとき、スピーカにおいて最も効率良く音の吸脱着が可能となり、低音再生に優れたスピーカを実現することができ」ることが、本願の明細書段落0056及び図4等から明らかであるとはいえない。

7.むすび

以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、刊行物1及び刊行物2、3に示されるような周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、残る請求項2から17に係る発明について特に検討するまでもなく本願は拒絶をすべきものである。

よって、原査定を取り消す、この出願の発明は特許すべきものであるとする審判請求の趣旨は認められないから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-27 
結審通知日 2010-10-28 
審決日 2010-11-10 
出願番号 特願2008-111710(P2008-111710)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 境 周一小宮 慎司  
特許庁審判長 板橋 通孝
特許庁審判官 溝本 安展
吉村 博之
発明の名称 スピーカ装置  
代理人 桑原 薫  
代理人 高田 猛二  
代理人 小笠原 史朗  

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