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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F21M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F21M
管理番号 1229228
審判番号 不服2008-16001  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-24 
確定日 2010-12-21 
事件の表示 平成10年特許願第267555号「自動車等の可変ビーム式楕円型ヘッドライト」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 8日出願公開、特開平11-154401号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成10年 9月22日(パリ条約による優先権主張 1997年 9月26日、フランス)を出願日とする特許出願であって、平成20年 3月18日付けで拒絶査定がなされ、この拒絶査定を不服として、同年 6月24日に本件審判請求がなされた。これに対し、当審において平成21年12月17日付けで拒絶理由を通知したところ、平成22年 6月22日付けで手続補正書が提出されたものである。
よって本願の請求項1乃至2に係る発明は、上記平成22年 6月22日付けの手続補正に係る特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された事項によって特定されるものと認められるところ、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

【請求項1】
「光源(12)と、光源(12)を受容する楕円形のリフレクタ(10)と、リフレクタ(10)の前方に設置されたレンズ(40)と、リフレクタ(10)およびレンズ(40)の間に設置された遮光装置(50)とを含み、この遮光装置(50)は、2種類の異なったロービームおよび1種類のハイビームを形成しうる3つの回転位置の間を変位しうるようになっている自動車等の楕円型ヘッドライトにおいて、
前記遮光装置(50)は、連結部(56)を介して互いに連なる2つのカットオフライン形成部(52)(54)を有し、
この遮光装置(50)のハイビームを形成しうる回転位置は、前記3つの回転位置における最も端の位置であり、
前記2つのカットオフライン形成部(52)(54)は、互いに鋭角をなしており、
前記2つのカットオフライン形成部(52)(54)の一方は、ハイビーム位置において、前記リフレクタ(10)が反射する光線のわずかしか遮断しないように、前方斜め上方へ延びており、
前記2つのカットオフライン形成部(52)(54)の一方の縁部(53)は、V字形の輪郭を有し、他方の縁部(55)は、直線的な輪郭を有し、
レンズ(40)を支持する手段(30)と前記リフレクタ(10)との間に、前記遮光装置(50)を支持するプレート(20)が設置されており、
前記プレート(20)は、前記遮光装置(50)とともに回転するシャフト(25)を受容する軸受(24)を含み、
前記プレート(20)は、前記リフレクタ(10)よりも横方向に延出し」かつ遮光装置(の)作動装置(60)に固定される耳部(22)を含み、
前記作動装置(60)は、ピニオン(26)を介して、シャフト(25)を回転させるラック(64)を駆動させるようになっていることを特徴とするヘッドライト。」

(審決注:「・・・横方向に延出し」かつ遮光装置(の)・・・」との記載は、「・・・横方向に延出しかつ遮光装置の・・・」の誤記と考えられる)

2.引用例及びその記載事項

(1)当審の拒絶の理由に引用文献1として引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である実願平3-81705号(実開平5-33402号)のCD-ROM(以下、「引用例1」という。)には、「投射型自動車用ヘッドランプ」として以下の事項が記載されている。

A:「【請求項1】略楕円体形状のリフレクターと、前記リフレクターの第1焦点に配置された光源と、前記リフレクターの前方に配置された投射レンズと、前記リフレクターの第2焦点近傍に配置され、リフレクターで反射されて投射レンズに向かう光の一部を遮る配光制御用のシェードと、を備えた投射型自動車用ヘッドランプにおいて、前記シェードは水平支軸回りに回動する構造で、シェードの回動先端部には水平支軸からの距離をそれぞれ異にする複数のシェード領域が放射状に並設され、シェードを水平支軸回りに回動して配光を制御することを特徴とする投射型自動車用ヘッドランプ。」

B:「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は略楕円体形状のリフレクターからの反射光を投射レンズによって前方に投射配光する投射型ヘッドランプに係り、特にシェードを傾動することにより配光を切替ることのできる投射型自動車用ヘッドランプに関する。」

C:「【0012】
光投射ユニット20は、放電バルブ22の挿着された略楕円体形状のリフレクター24と、リフレクター24の前方に配置された投射レンズ27とが一体化された構造で、投射レンズ27はリフレクター24にねじ固定された円筒形状レンズホルダー26に支持されている。リフレクター24の内側にはアルミ蒸着処理された楕円反射面25が形成され、この楕円反射面25は周知の第1焦点F1と第2焦点F2とを有し、第1焦点F1位置には放電バルブ22の放電部23が位置し、第2焦点F2付近にはシェード30が設けられている。そしてバルブ22の発光が楕円反射面25で反射されて図1矢印に示すように前方に導かれ、投射レンズ27によってヘッドランプの前方に投射配光される。シェード30は、楕円反射面25で反射して投射レンズ27に向かう光の一部を遮って所望の配光パターンを形成する作用がある。また符号14は放電バルブ22に安定した放電を行なわしめるための点灯回路ユニットで、ランプボデイ10のバルブ着脱用開口部10aに取着固定されている。符号16は点灯回路ユニット14に接続されているバラスト回路ユニットである。
【0013】
シェード30は、図示されるように、回転軸30aから第1のシェード領域31,第2のシェード領域32,第3のシェード領域33および第4のシェード領域34が放射状に延出形成されるとともに、水平支軸30b回りに回動できる構造となっている。水平支軸30bから各シェード領域31?34の端縁部までの高さは、第1のシェード領域31が最も高く、第2のシェード領域32,第3のシェード領域33となる程順次徐々に低く、第4のシェード領域34が最も低くされており、シェード領域31,32は、図3に示されるように左右方向中央部に斜めにカットされた段差が形成された形状で、シェード領域33,34は、図4に示されるように左右方向中央部に円形段差が形成された形状とされている。そして回転軸30aには扇形の歯車35が設けられ、電動モータMの回転駆動軸に設けた歯車がシェード側の歯車35と噛み合って、電動モータMの正逆回転によってシェード30が回動支軸30b回りに正逆回動するようになっている。」

D:「【0016】
図10は本考案の第3の実施例である投射型自動車用ヘッドランプの要部縦断面図を示している。
前記第1の実施例におけるシェード30には、高さの異なる4種類のシェード領域31?34が形成されていたが、本実施例におけるシェード50には、高さの異なる2種類のシェード領域51,52が形成され、シェード領域51,52の形状は図3,4のシェード領域31,34の形状に対応している。即ち、背の高い第1のシェード領域51によって図7に示されるサブビームが形成され、背の低い第2のシェード領域52によって図8に示されるメインビームが形成される。そしてシェード50の回動機構として電磁ソレノイド54が用いられている。その他は前記第1の実施例と同一であり、同一の符号を付すことにより、その説明は省略する。」

E:図10からは、シェード50が「リフレクター24および投射レンズ27の間に設置され」ること、シェード50の2種類のシェード領域51,52が「互いに鋭角をなして」いることが、看取される。

図10と共に、上記摘記事項A?Eを総合すると、引用例1には、

「放電バルブ22と、放電バルブ22の挿着された略楕円体形状のリフレクター24と、リフレクター24の前方に配置された投射レンズ27と、リフレクター24および投射レンズ27の間に設置されたシェード50とを含み、このシェード50は、サブビームおよびメインビームを形成しうるよう水平支軸30b回りに回動できる構造となっている投射型自動車用ヘッドランプにおいて、
前記シェード50は、回転軸30aから高さの異なる2種類のシェード領域51,52が放射状に延出形成され、
前記2種類のシェード領域51,52は、互いに鋭角をなしているヘッドランプ。」
に関する発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)当審の拒絶の理由に引用文献2として引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-35504号公報(以下、「引用例2」という。)には、「車両用前照灯装置」として以下の事項が記載されている。

F:「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用前照灯装置に係り、特に断面楕円形をした反射鏡の焦点に光源を有し、反射鏡の第2の焦点付近に焦点を位置させて集光レンズを配設した所謂プロジェクタ型の前照灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の前照灯装置は、第1焦点の光源から出た光を背後の反射鏡が反射して第2焦点に集光した後集光レンズで屈折させて前方に投光するものである。ここで第2焦点近傍の下側を通って集光レンズに向かう光を遮光板で遮断することで上向きに投射する光を除くことができロービームすなわちすれ違いビームを形成することができる。
【0003】そこでかかる遮光板を可動とし、上記のように光の一部を遮断してすれ違いビームを形成し、遮光板を移動し遮光解除することでハイビームすなわち走行ビームを形成する例が既に提案されている。・・・。」

G:「【0013】反射鏡2は、前方が開口して光軸Lを含む面で切断した断面が半楕円形をなしている。かかる反射鏡2の楕円反射面の内側(後側)の第1焦点F1 に光源としてバルブ3が配置されている。反射鏡2の前側の第2焦点F2 の若干前方に集光レンズ4が配設され、同集光レンズ4の焦点は第2焦点F2 より僅かに後方に位置する。
【0014】反射鏡2と集光レンズ4との間に光路からは外れて双安定型ロータリソレノイド5が光軸Lに平行で垂直な支持板6に支持されて設けられており、同ロータリソレノイド5の光軸Lに垂直でかつ水平な回転軸5aが垂直な支持板6から光路側に突出して、同回転軸5aに遮光板7が固着されている。
【0015】遮光板7は垂直姿勢において反射鏡2の円開口の下側の半円に対向しており、同遮光板7の右側縁の中央部分を回転軸5aが掴持して一体に回動できるようになっている。前記支持板6の光路側の側面の所定箇所に第1ストッパー8と第2ストッパー9が突設されている。第1ストッパー8の前方に第2ストッパー9があり、両ストッパー8,9間に遮光板7が位置して遮光板7の回動を規制している。
【0016】後方の第1ストッパー8は、図2に図示するように第2焦点F2 より後側において遮光板7を垂直姿勢で位置決めし、この時遮光板7の上側縁は光軸と交わる水平線をなし、反射鏡2で反射し第2焦点F2 に向かう反射光のうちの一部を遮光している。前方の第2ストッパー9は、図3に図示するように反時計回りに回動して傾斜した遮光板7を位置決めし、反射鏡2で反射し第2焦点F2 に向かう反射光を全て通している。」

H:「【0018】また第2ストッパー9で位置決めされた遮光板7は、反射鏡2から第2焦点F2 に向かう反射光を全て通過させて集光レンズ4を通過して上向きに投射される光も含んでおり、走行ビームを形成することになる(図3参照)。すなわち第2ストッパー9は遮光板7を走行ビーム位置に位置決めする。」

(3)当審の拒絶の理由に引用文献3として引用した、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平1-213901号公報(以下、「引用例3」という。)には、「可変配光パターン補助前照灯」として以下の事項が記載されている。

I:(公報第2頁左下欄第3行?右下欄第1行)
「第1図に符号1で示すものは本発明による可変配光パターン補助前照灯であり、この可変配光パターン補助前照灯1は略最大径の位置で長軸Xとの垂直線で切断された回転楕円面反射鏡2が採用され、該回転楕円面反射鏡2の内部に位置する第一焦点F_(1)に電球のフィラメントなど光源3が配置されている。
同時に前記回転楕円面反射鏡2の前方には一対のスライドレール4、4がこの可変配光パターン補助前照灯1の照射方向に沿うように設けられ、投影レンズ5が前記スライドレール4、4上を摺動自在となるように取付けられている。
また、前記スライドレール4、4の前記回転楕円面反射鏡2と投影レンズ5との中間の位置には軸6を使用するなど適宜な手段で不透明部材によるマスク板7が配設され、駆動モータ8と歯車装置9とにより前記軸6を中心として前記マスク板7は起立位置と前倒位置とに回動自在となっている。」

3.対比

本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「投射型自動車用ヘッドランプ」は本願発明における「自動車等の楕円型ヘッドライト」に相当し、以下同様に、「放電バルブ22」は「光源(12)」に、「放電バルブ22の挿着された略楕円体形状のリフレクター24」は「光源(12)を受容する楕円形のリフレクタ(10)」に、「リフレクター24の前方に配置された投射レンズ27」は「リフレクタ(10)の前方に設置されたレンズ(40)」に、「シェード50」は「遮光装置(50)」に、及び「回転軸30aから高さの異なる2種類のシェード領域51,52が放射状に延出形成され」ることは「連結部(56)を介して互いに連なる2つのカットオフライン形成部(52)(54)を有」することに、それぞれ相当する。
そして、引用発明の「サブビームおよびメインビーム」は、どちらも遮光装置(シェード50)のカットオフライン形成部(シェード領域51,52)により遮光されるものであるから、本願発明における「2種類の異なったロービーム」に相当し、よって引用発明の「サブビームおよびメインビームを形成しうるよう水平支軸30b回りに回動できる構造となっている」と、本願発明における「2種類の異なったロービームおよび1種類のハイビームを形成しうる3つの回転位置の間を変位しうるようになっている」とは、少なくとも「2種類の異なったロービームを形成しうる回転位置の間を変位しうるようになっている」という限りにおいて一致する。
そうすると、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりであると認められる。

<一致点>
「光源と、光源を受容する楕円形のリフレクタと、リフレクタの前方に設置されたレンズと、リフレクタおよびレンズの間に設置された遮光装置とを含み、この遮光装置は、2種類の異なったロービームを形成しうる回転位置の間を変位しうるようになっている自動車等の楕円型ヘッドライトにおいて、
前記遮光装置は、連結部を介して互いに連なる2つのカットオフライン形成部を有し、
前記2つのカットオフライン形成部は、互いに鋭角をなしているヘッドライト。」

<相違点1>
本願発明では、遮光装置が「2種類の異なったロービームおよび1種類のハイビームを形成しうる3つの回転位置の間を変位しうるようになって」おり、「この遮光装置のハイビームを形成しうる回転位置は、前記3つの回転位置における最も端の位置」であって、さらに「前記2つのカットオフライン形成部の一方は、ハイビーム位置において、前記リフレクタが反射する光線のわずかしか遮断しないように、前方斜め上方へ延びて」いるのに対し、引用発明では、ハイビームについては記載がない点。

<相違点2>
本願発明では、2つのカットオフライン形成部が、「一方の縁部は、V字形の輪郭を有し、他方の縁部は、直線的な輪郭を有し」ているのに対し、引用発明では、2つのカットオフライン形成部が上記輪郭を有していない点。

<相違点3>
本願発明では、「レンズを支持する手段と前記リフレクタとの間に、前記遮光装置を支持するプレートが設置されており、前記プレートは、前記遮光装置とともに回転するシャフトを受容する軸受を含み、前記プレートは、前記リフレクタよりも横方向に延出しかつ遮光装置の作動装置に固定される耳部を含み、前記作動装置は、ピニオンを介して、シャフトを回転させるラックを駆動させるようになっている」のに対し、引用発明では、遮光装置を支持する「プレート」について記載がなく、且つ作動装置の構造も異なる点。

4.相違点の検討

上記各相違点について検討する。

<相違点1>について
上記2.(2)の引用例2(摘記事項F及びH等参照)及び本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭62-202402号公報(第2頁右下欄第2?7行、第3頁左上欄第4?11行及び第14図等を参照のこと)等に示すように、回転変位する遮光装置を有するヘッドライトにおいて、ハイビームを形成するために、遮光装置が光をほとんど遮らない回転位置に変位することは周知であり、上記2.(2)の引用例2の摘記事項Gの記載から、引用発明に記載の遮光装置を、引用例1の図10に示す位置から反時計回りにさらに回動させ、第3の回転位置である最も端の位置で1種類のハイビームを形成しうるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。
そして、上記2.(2)の摘記事項H及び引用例2の図3の記載からみて、引用発明において遮光装置を上記ハイビームを形成しうる位置に回動させた際には、2つのカットオフライン形成部(シェード領域51,52)の一方が、リフレクタが反射する光線のわずかしか遮断しないような、前方斜め上方へ延びた配置となるものと認められる。

<相違点2>について
遮光装置を有するヘッドライトにおいて、遮光装置のカットオフライン形成部の縁部形状を、直線的な輪郭とすること(参考として、引用例1の段落【0015】及び第9図の例、引用例3の第1図等参照)は周知であり、V字形の輪郭とすること(参考として本願の出願前に頒布された刊行物である実願昭61-25117号(実開昭62-137502号)のマイクロフィルムの第1?4図等を参照のこと)も知られているから、引用発明における2つのカットオフライン形成部(シェード領域51,52)の一方の縁部をV字形の輪郭とし、他方の縁部を直線的な輪郭として、本願発明に係る相違点2の構成とすることは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
なお、上記2つのカットオフライン形成部(シェード領域51,52)の縁部をV字形の輪郭及び直線的な輪郭とすることにより、格別の効果が得られるものとも認められない。

<相違点3>について
上記2.(2)の摘記事項G及び引用例2の図1等の記載からみて、引用例2には、レンズとリフレクタとの間に、遮光装置を支持するプレート(支持板6)が設置され、該プレート(支持板6)が、前記遮光装置とともに回転するシャフト(回転軸5a)を受容する軸受を含み、且つ該プレート(支持板6)に前記遮光装置の作動装置(ロータリソノレイド5)が固定されることが記載されている。
一方、上記2.(3)の摘記事項I及び引用例3の第1図等の記載からみて、引用例3には、ピニオンを介して、遮光装置とともに回転するシャフト(軸6)を回転させるラックを駆動させるようになっている、前記遮光装置の作動装置(歯車装置9)が記載され、該作動装置(歯車装置9)がリフレクタ(反射鏡2)よりも横方向外側に設けられることも記載されている。
そして、引用発明における遮光装置の作動装置として、上記引用例3に記載のようなリフレクタよりも横方向外側に設けられるラックピニオン式の作動装置を採用することは、当業者が適宜なし得ることである。
さらに引用発明において、遮光装置を支持する部材及び遮光装置とともに回転するシャフト(水平支軸30b)を受容する軸受を有する部材が必要であることは明らかであるから、該部材として、引用発明におけるレンズを支持する手段(円筒形状レンズホルダー26)とリフレクタとの間にプレートを設置し、該プレートに上記作動装置を固定すること、そのために該プレートにリフレクタよりも横方向に延出した耳部を設ける程度のことは、上記引用例2の記載及び本願の出願前に頒布された刊行物である特開平9-63308号公報(図17に記載の、レンズ(d)を支持する手段(レンズホルダーf)とリフレクタ(a)との間で、リフレクタ(a)よりも横方向に延出する取付片部hを参照)の記載からみて、当業者が容易に想到し得たことである。

そして、上記相違点1?3を併せ備える本願発明の作用・効果について検討しても、引用発明、各引用例及び周知技術から当業者が予測し得る範囲を超えるものではない。

したがって、本願発明は引用発明、各引用例及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび

以上のとおりであるから、本願発明(請求項1に係る発明)は、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-07-12 
結審通知日 2010-07-20 
審決日 2010-08-03 
出願番号 特願平10-267555
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (F21M)
P 1 8・ 121- WZ (F21M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塚本 英隆  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 小関 峰夫
植前 津子
発明の名称 自動車等の可変ビーム式楕円型ヘッドライト  
代理人 竹沢 荘一  

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