• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1229736
審判番号 不服2009-4095  
総通号数 134 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-02-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-25 
確定日 2011-01-04 
事件の表示 平成11年特許願第353802号「ゲーム装置及びゲームのプレー制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月19日出願公開、特開2001-162048〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成11年12月14日の出願(特願平11-353802号)であって、平成20年4月28日付けで手続補正がなされ、平成21年1月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年2月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同年3月27日付けで手続補正がなされたものである。

第2 平成21年3月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定について

[補正の却下の決定の結論]
平成21年3月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成20年4月28日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「複数のキャラクタが行うプレーの成否判定を行うために各キャラクタに適用する複数のコリジョン領域を用意し、
前記プレーのために入力手段を用いて入力した入力値に応じて適用するコリジョン領域を変更することを特徴とするゲーム装置。」が

「複数のキャラクタが行うプレーの成否判定を行うために各キャラクタに適用する複数のコリジョン領域を用意し、
前記プレーのために入力手段を用いて入力した入力値に応じて適用するコリジョン領域の大きさ又は形状を変更することを特徴とするゲーム装置。」と補正された。

そして、この補正は、本件補正前の請求項1において、コリジョン領域を変更することに関して、その変更の内容について、コリジョン領域の「大きさ又は形状」を変更することと特定して限定する補正であるから、特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮を目的とする補正であるといえる。
すなわち、本件補正は、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「平成18年改正前特許法」という。)第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とするものを含む。

2 独立特許要件違反についての検討
そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(平成18年改正前特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反しないか)について検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成21年3月27日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるものである。(上記「第2 平成21年3月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。)

(2)引用例
ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平10-113471号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている。(後述の「イ 引用例に記載された発明の認定」において発明の認定に直接関係する記載に下線を付した。)

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオゲーム機及びビデオゲームプログラムを記録した媒体に関し、特に、サッカーやバスケットボール等の球技のビデオゲームを行うためのビデオゲーム機及びビデオゲームプログラムを記録した媒体に関する。」

「【0053】本実施形態におけるCD-ROMディスク81に記録されているビデオゲームプログラムは、サッカー場のフィールドを想定したゲーム空間内においてゲームプレーヤが操作する側のサッカーチーム(自チーム)とCPU51が操作する側のサッカーチーム(敵チーム)とがサッカーの試合を行うサッカーゲームプログラムである。このサッカーゲームでは、サッカーの試合中において、自チームを構成する複数のサッカー選手(自キャラクタM(図3参照))は、CPU51によって適宜操作されるとともに、ボールBに最も近い自キャラクタMがCPU51によって自動的に選択され、ゲームプレーヤがその自キャラクタMを操作可能となっている。
【0054】ここに、上述したコントローラ92における十字キー92gは、自キャラクタMをゲーム空間内において前後左右に移動させる方向キーとして設定される。また、自キャラクタMがボールB(図3参照)を保持している場合には、第1ボタン92bは、サッカー場のタッチライン外から場内にボールBを投げ込むスローイングボタンとして設定されるとともに、第2,第3ボタン92c、92dは、ボールBを蹴り出すキックボタン(パスボタン,シュートボタン)として設定される。また、敵チームを構成する複数のサッカー選手(敵キャラクタE(図3参照))のいずれかがボールBを保持し、ゲームプレーヤが操作可能な自キャラクタMが防御を行う場合には、第4ボタン92fは、ボールBを保持している敵キャラクタに対してゲームプレーヤが操作可能な自キャラクタMがタックル動作を行うタックルボタンとして設定される。」

「【0060】タックル位置判定部40は、ゲームプレーヤによって操作可能な自キャラクタMがボールBを保持している敵キャラクタに対して前方,サイドあるいは後方からタックルをするに適正な位置に存しているか否かを判定する。この位置判定は、以下のようにして行われる。すなわち、図3の説明図に示されるように、敵キャラクタEの中心からボールBの直径の3倍の距離範囲,または、敵キャラクタEの中心からその背面方向へ向けて延出する仮想の軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲であって敵キャラクタEの中心からボールBの直径の9倍の距離範囲内に自キャラクタMが存している場合には、タックル位置判定部40は、自キャラクタMが敵キャラクタEに対してタックルをするに適正な位置に存していると判定し、その旨を敵キャラクタ位置判定部41に対して通知する。これに対し、上述した範囲内に自キャラクタMが存していない場合には、タックル位置判定部40は、その旨を動作決定部44に対して通知する。
【0061】敵キャラクタ位置判定部41(相対位置検出手段に相当)は、タックル位置判定部40からの通知を受けて起動し、自キャラクタMと敵キャラクタとの相対的な位置関係を判定する。この相対位置判定は、以下のようにして行われる。すなわち、図3に示されるように、敵キャラクタEの中心からその背面方向へ向けて延出する仮想の軸線L1を基準とした各45゜の角度範囲であって敵キャラクタEの中心からボールBの直径の3倍の距離範囲内に自キャラクタMが存している場合には、自キャラクタMが敵キャラクタEの後方に存していると判定される。また、軸線L1を基準とした各45゜?120゜の角度範囲であって敵キャラクタEの中心からボールBの直径の3倍の距離範囲内に自キャラクタMが存している場合には、自キャラクタMが敵キャラクタEの側方に存していると判定される。さらに、軸線L1を基準とした120゜?180゜の角度範囲であって敵キャラクタEの中心からボールBの直径の9倍の距離範囲内に自キャラクタMが存している場合には、自キャラクタMが敵キャラクタEの前方に存していると判定される。そして、敵キャラクタ位置判定部41は、上述した判定結果をタックル動作処理部42に対して通知する。
【0062】タックル動作処理部42(動作制御手段に相当)は、敵キャラクタ位置判定部41による判定結果を受け取って起動し、その判定結果に応じて自キャラクタMを敵キャラクタに対して前方,側方又は後方からタックルさせる場合の動作処理や画像処理等を行う。すなわち、自キャラクタMが敵キャラクタEに対して近づきタックルする画像処理命令をGPU62に与える等の処理を行う。」

「【0066】次に、上述した本実施形態におけるビデオゲーム機の動作例を、図5?7に示されたフローチャートを用いて説明する。前提として、ゲーム実行部31によって上述したサッカーゲームの通常処理が行われているものとする。
【0067】図5に示されるように、通常処理時におけるボール保持判定部33は、ゲーム実行部31から割り込み処理開始信号を受け付ける状態,すなわちボール奪取動作処理待ち状態となっている〈ステップS101〉。
【0068】そして、自キャラクタMがボールBを保持していない状態において、第4ボタン92f(ボール奪取動作開始ボタン)が押されると、ボール奪取動作開始信号がゲーム実行部31に入力される。続いて、ゲーム実行部31から、割り込み処理開始信号がボール保持判定部33に入力される。ボール保持判定部33は、割り込み処理開始信号を受け取ると、ボールBがフリー状態(敵キャラクタのいずれにも保持されていない状態)であるか否かを判定する〈ステップS102〉。そして、ボール保持判定部33は、ボールBがフリー状態でない(敵キャラクタEのいずれかがボールを保持している)と判定すると、その旨をタックル位置判定部40に通知し、動作をステップS103に進める。これに対し、ボール保持判定部33は、ボールBがフリー状態であると判定すると、その旨をボール位置判定部43に通知し、動作をステップS107に進める。
【0069】ステップS103では、タックル位置判定部40が、自キャラクタMの位置がボールBを保持している敵キャラクタEに対してタックルを行うに適正か否かを判定する。そして、タックル位置判定部40は、自キャラクタMの位置が適正であると判定すると、その旨を敵キャラクタ位置判定部41に通知し、動作をステップS104に進める。これに対し、タックル位置判定部40は、自キャラクタMの位置が適正でないと判定すると、その旨を動作決定部40に対して通知し、動作をステップS105に進める。
【0070】ステップS104では、タックルの処理動作が行われる。このタックルの処理動作は、具体的には以下のように行われる。すなわち、図6に示されるように、ステップS201において、敵キャラクタ位置判定部41が、自キャラクタMと敵キャラクタEとの角度差が120゜以上か,すなわち、図3に示された軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲に自キャラクタMが存しているか否かを判断する。そして、その角度範囲に自キャラクタMが存している場合には、敵キャラクタ位置判定部41は、ステップS202に動作を進める。これに対し、上述した角度範囲に自キャラクタMが存している場合(当審注:「存していない場合」の誤り)には、敵キャラクタ位置判定部41は、ステップS204に処理を進める。
【0071】ステップS202では、敵キャラクタ位置判定部41が、自キャラクタMと敵キャラクタEとの間の距離が以下の式1によって算出される値以内か否かを判断する。
(ボールの直径×9)+(自キャラクタの速度+敵キャラクタの速度)・・・(式1)
そして、敵キャラクタ位置判定部41は、自キャラクタMと敵キャラクタEとの間の距離が式1の算出結果以内であると判断すると、その旨をタックル動作処理部42に対して通知し、動作をステップS203に進める。これに対し、敵キャラクタ位置判定部41は、自キャラクタMと敵キャラクタEとの間の距離が式1の算出結果以内でないと判断すると、その旨を動作決定部44に対して通知し、動作をステップS105に進める。
【0072】ステップS203では、タックル動作処理部42が、敵キャラクタ位置判定部41からの通知を受け取って起動し、自キャラクタMにボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき前方からタックル動作を行わせる処理を行う。なお、ステップS203の動作が終了すると、割り込み処理が終了し、ゲーム実行部31による通常処理に戻る。
【0073】一方、ステップS201からステップS204へ動作が進んだ場合には、敵キャラクタ位置判定部41が、敵キャラクタEが自キャラクタMよりもボールBに近い位置に存し、且つ自キャラクタMと敵キャラクタEとの間の距離がボールBの直径の3倍以内であるという条件を満たすか否かを判断する。このような判断を行うのは、上述した条件を満たさない場合におけるタックル動作が、ファウルとして判定される可能性を回避するためである。敵キャラクタ位置判定部41は、上述した条件が満たされると判断すると、ステップS205へ処理を進める。これに対し、敵キャラクタ位置判定部41は、上述した条件が満たされないと判断すると、その旨を動作決定部44に対して通知し、動作をステップS105に戻す。
【0074】ステップS205では、敵キャラクタ位置判定部41は、自キャラクタMと敵キャラクタEとの角度差が45゜以内か,すなわち、図3に示された軸線L1を基準とした各45゜の角度範囲に自キャラクタMが存しているか否かを判断する。そして、その角度範囲に自キャラクタMが存している場合には、敵キャラクタ位置判定部41は、その旨をタックル動作処理部42に対して通知し、動作をステップS206に進める。これに対し、上述した角度範囲に自キャラクタMが存していない場合には、敵キャラクタ位置判定部41は、その旨をタックル動作処理部42に対して通知し、動作をステップS207に進める。
【0075】ステップS206では、タックル動作処理部42が、敵キャラクタ位置判定部41からの通知を受け取って起動し、自キャラクタMにボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき後方からタックルを行わせる処理を行う。なお、ステップS206の動作が終了すると、割り込み処理が終了し、ゲーム実行部31による通常処理に戻る。
【0076】一方、ステップS207では、タックル動作処理部42が、敵キャラクタ位置判定部41からの通知を受け取って起動し、自キャラクタMにボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき側方(サイド)からタックルを行わせる処理を行う。このステップS207の動作が終了すると、割り込み処理が終了し、ゲーム実行部31による通常処理に戻る。
【0077】次に、ステップS105に動作が進んだ場合には、自キャラクタMが敵キャラクタEの保持するボールBに向かって走る処理動作が行われる。この処理動作は具体的には以下のように行われる。すなわち、図7に示されるように、ステップS301において動作決定部44が、自キャラクタMが図4に示した範囲に存しているか否かを判断する。そして、動作決定部44は、自キャラクタMが上述した範囲に存していると判断した場合には、動作をステップS302に進める。これに対し、自キャラクタMが上述した範囲に属していないと判断した場合には、動作をステップS304に進める。
【0078】ステップS302では、動作決定部44が、ボールの20分の3秒後の位置α(本実施形態では1秒20フレームで構成されるので画像の3フレーム目におけるボールBの位置に相当:図4参照)を算出する。続いて、動作決定部44は、自キャラクタMがステップS302にて算出した位置αへ向かって走るための処理を行う〈ステップS303〉。そして、この処理が終了すると、動作がステップS106に戻る。
一方、ステップS301からステップS304へ動作が進んだ場合には、動作決定部44は、ボールBを敵キャラクタEが保持しているか否かを判断する。そして、動作決定部44は、敵キャラクタEがボールBを保持していると判断すると、動作をステップS305に進める。これに対し、動作決定部44は、敵キャラクタEがボールBを保持していないと判断すると、動作をステップS306に進める。」

「【図3】(敵キャラクタ位置判定部の判定方法の説明図)



イ 引用例に記載された発明の認定
上記【図3】も参酌して総合判断すれば、引用例1には、
「ボールBに最も近い自キャラクタMがCPU51によって自動的に選択され、ゲームプレーヤがその自キャラクタMを操作可能となっているサッカーのビデオゲームに関して、
タックル位置判定部40が、自キャラクタMの位置がボールBを保持している敵キャラクタEに対してタックルを行うに適正か否かを判定するにあたり、
自キャラクタMの位置が
(1)敵キャラクタEにおける軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離が
(ボールの直径×9)+(自キャラクタの速度+敵キャラクタの速度)・・・(式1)
の算出結果以内の距離の範囲内にあれば、ボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき前方からタックル動作を行わせる処理を行い、
(2)上記軸線L1を基準とした各45゜の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離がボールBの直径の3倍以内の距離の範囲内であれば、ボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき後方からタックルを行わせる処理を行い、
(3)上記軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲又は各45゜の角度範囲以外の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離がボールBの直径の3倍以内の距離の範囲内であれば、保持している敵キャラクタEに対して近づき側方(サイド)からタックルを行わせる処理を行い、
(4)上記(1)ないし(3)の範囲にないならば、自キャラクタMが敵キャラクタEの保持するボールBに向かって走る処理動作が行われるサッカーのビデオゲーム。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(3)本願補正発明と引用発明との対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の
「(1)敵キャラクタEにおける軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離が
(ボールの直径×9)+(自キャラクタの速度+敵キャラクタの速度)・・・(式1)
の算出結果以内の距離の範囲内」、
「(2)上記軸線L1を基準とした各45゜の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離がボールBの直径の3倍以内の距離の範囲内」、及び、
「(3)上記軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲又は各45゜の角度範囲以外の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離がボールBの直径の3倍以内の距離の範囲内」
からなる範囲は、「自キャラクタの速度+敵キャラクタの速度」に応じて領域の大きさが変化するのであるから、本願補正発明の「複数のキャラクタが行うプレーの成否判定を行うために各キャラクタに適用する複数のコリジョン領域」に相当する。

引用発明における上記(1)ないし(3)からなる範囲の大きさ又は形状が「自キャラクタの速度+敵キャラクタの速度」によって変化することから、引用発明の
「自キャラクタMが
(1)敵キャラクタEにおける軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離が
(ボールの直径×9)+(自キャラクタの速度+敵キャラクタの速度)・・・(式1)
の算出結果以内の距離の範囲内にあれば、ボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき前方からタックル動作を行わせる処理を行い、
(2)上記軸線L1を基準とした各45゜の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離がボールBの直径の3倍以内の距離の範囲内であれば、ボールBを保持している敵キャラクタEに対して近づき後方からタックルを行わせる処理を行い、
(3)上記軸線L1を基準とした各120゜?180゜の角度範囲又は各45゜の角度範囲以外の角度範囲であって敵キャラクタEからの距離がボールBの直径の3倍以内の距離の範囲内であれば、保持している敵キャラクタEに対して近づき側方(サイド)からタックルを行わせる処理を行」
うことと、本願補正発明の「複数のコリジョン領域を用意し、前記プレーのために入力手段を用いて入力した入力値に応じて適用するコリジョン領域の大きさ又は形状を変更する」こととは、「複数のコリジョン領域を用意し、(ゲーム進行中の)何らかの要因に応じて適用するコリジョン領域の大きさ又は形状を変更する」点で一致する。

イ 一致点
よって、本願補正発明と引用発明は、
「複数のキャラクタが行うプレーの成否判定を行うために各キャラクタに適用する複数のコリジョン領域を用意し、
ゲーム進行中の何らかの要因に応じて適用するコリジョン領域の大きさ又は形状を変更するゲーム装置。」の発明である点で一致し、次の点で相違する。

ウ 相違点
適用するコリジョン領域の大きさ又は形状を変更する「ゲーム進行中の何らかの要因」が、本願補正発明においては、「プレーのために入力手段を用いて入力した入力値」であるのに対して、引用発明においては、そのような限定がない点。


(4)当審の判断
ア 上記相違点について検討する。
まず、本願補正発明における「プレーのために入力手段を用いて入力した入力値」については、その具体的事項が明確でないから、本願の明細書の詳細な説明及び図面の記載を参酌して上記「プレーのために入力手段を用いて入力した入力値」を特定する。
本願の明細書の詳細な説明及び図面には次の事項が記載されている。

「【0014】
本発明の主要部分を説明する前に、まず、このゲーム装置全体の概略を説明する。図1に示したゲーム装置1は、サッカーを小規模化した「フットサル」に特化したものである。フットサルのルールは、人数が少ない点を除くと、サッカーとほぼ同じであり、遊技者は、サッカーと同じ感覚でプレーすることができる。」
「【0018】
ゲーム装置1には、遊技者の目の高さを考慮した位置に、フットサルゲームの内容その他必要な事項を動画や静止画で表示できるCRTのスクリーン10が設けられている。その下の操作部には、4人でプレーする場合を考慮して、四つの操作パネルa、b、c、dが用意され、それぞれにレバー11(11a,11b,11c,11d)、キック入力部12(12a,12b,12c,12d)、ボタン13(13a,13b,13c,13d)が設けられている。各遊技者は、自分用の操作パネルの前に立って、その操作パネルのレバー11、キック入力部12、ボタン13を操作する。各操作パネルは色分けされており、一例として操作パネルaには「赤」、操作パネルbには「黄」、操作パネルcには「青」、操作パネルdには「緑」の各色が割り当てられている。
【0019】
レバー11を操作して行う指示内容は、操作している選手キャラクタが単純に移動する場合や自分でボールをキープしてドリブルしている場合は、選手キャラクタの移動方向及び移動速度である。また、操作している選手キャラクタがボールをキープしている場合は、パスやシュートのために選手キャラクタがボールを蹴ったときにボールが飛んで行く方向である。さらに、後述のように、近くにボールをキープしている相手チームの選手キャラクタがいて、その選手キャラクタに対してスライディングタックルを行ってボールを奪おうとする場合には、レバー11を倒している方向が、スライディングをする方向を示す。」
「【0022】
ゲーム装置1の下部には、キック入力部12が設けられている。キック入力部12で操作する内容は、主として操作している選手キャラクタが行うパス、シュート、スライディングタックルといったプレーの開始の指示、パスやシュートによって蹴り出されるボールの速度の調節である。キック入力部12には、遊技者が実際のフットサルのようにボールを足で蹴るための擬似ボール20が設けられている。擬似ボール20は、半径が実際のフットサル用のボールとほぼ同じ半球で、表面をフットサル用のボールと同じかもしくは類似した素材とし、模様も一目でそれとわかるように同じにしてある。」
「【0029】
次に、スライディングタックルの成否判定を行うための具体的な方法について説明する。図3は、スライディングタックルの成否判定を行うためのコリジョン領域35、36を示した図である。図3において、符号30は、これからスライディングタックルをしようとする選手キャラクタを示しており、矢印31は、この選手キャラクタについて、遊技者がレバーを11を倒している方向を示している。「コリジョン領域」とは、遊技者が擬似ボール20を蹴ってスライディングタックルをする旨の指示を行ったときに、相手チームの選手キャラクタがキープしているボールが当該領域に入っていればスライディングタックルが成功とされ、入っていなければ不成功とされる領域である。
【0030】
図3に示した二つのコリジョン領域35、36は、いずれも選手キャラクタ30を中心とする扇形であり、コリジョン領域35は、半径がr_(1)、中心角がθ_(1)、コリジョン領域36は、半径がr_(2)(<r_(1))、中心角がθ_(2)(≧θ_(1))である。これらのコリジョン領域は、遊技者がレバー11を平面内で回転させると、それに伴って回転する。コリジョン領域35は強タックル用のコリジョン領域であり、特許請求の範囲に記載した「第一のコリジョン領域」に対応する。一方、コリジョン領域36は弱タックル用のコリジョン領域であり、特許請求の範囲に記載した「第二のコリジョン領域」に対応する。
【0031】
強タックルと弱タックルの違いは、遊技者が擬似ボール20を蹴るときの強さもしくは速さの違いであり、ゲーム装置1は、予め設定されている所定レベルを境にして、擬似ボール20をこれ以下の強さで弱く蹴ったときは弱タックル、これを越える強さで蹴ったときは強タックルと判定する。スライディングタックルが弱タックルの場合は、画面上で選手キャラクタがタックル動作を行う再生時間を短くしてあり、このためタックルに失敗した場合でも、次の動作に移行するまでの時間は短い。一方、スライディングタックルが強タックルの場合は、画面上で選手キャラクタがタックル動作を行う再生時間を長くしてあり、タックルに失敗した場合には、起き上がって次の動作に移行するまでの時間は長くなる。
【0032】
図3に示したように、弱タックル用のコリジョン領域36の扇形は、中心角は大きいが半径は小さい。このため、ボールをキープしている相手チームの選手との距離をかなり詰めることができたときに行うスライディングタックルは、弱タックルとなるよう擬似ボール20を前述の所定レベルよりも弱く蹴るとよい。この場合は、扇形の中心角が大きいコリジョン領域36が適用されるため、タックルが成功するのに必要なレバー11を倒す方向の正確さは、それほど高くは要求されない。
【0033】
一方、強タックル用のコリジョン領域35の扇形は、半径は大きいが中心角は小さい。このため、ボールをキープしている相手チームの選手との距離を十分に詰めることはできないがどうしてもスライディングタックルをしたいというときは、そのスライディングタックルが強タックルとなるよう、擬似ボール20を前述の所定レベルを越えるよう強く蹴る。この場合、適用される強タックル用のコリジョン領域35の半径が大きいので、相手チームの選手との距離がかなりあるときでもタックルが成功する可能性はあるが、中心角が小さいので、タックルが成功するためには、レバー11を倒す方向により高い正確さが要求される。」

「【図1】(本発明の実施の一形態に係るスポーツゲーム装置の全体の外観を示した斜視図)



「【図3】(スライディングタックルの成否判定を行うためのコリジョン領域35、36を示した図)



上記記載から、ゲーム装置1の疑似ボール20を所定レベルを超える強さで蹴ったときに半径r_(1)、中心角θ_(1)のコリジョン領域35が生じ、上記所定レベル以下の強さで弱く蹴ったときに半径r_(2)(<r_(1))、中心角θ_(2)(≧θ_(1))のコリジョン領域36が生じ、そして、その方向はレバー11を倒す方向によって決められることがわかり、この点を根拠として請求項1においては「プレーのために入力手段を用いて入力した入力値に応じて適用するコリジョン領域の大きさ又は形状を変更する」と特定しているものと認められる。
よって、請求項1におおける「プレーのために入力手段を用いて入力した入力値」は、上記においては「疑似ボール20」を蹴る強さや「レバー11」を倒す方向のこと、すなわち、操作手段によってなされた操作によって規定される値のことである。
これに対し、引用発明(引用例1)においては「ゲームプレーヤがその自キャラクタMを操作可能となっている」ものであることは明記されているから、技術常識を踏まえれば、「自キャラクタM」の動き(すなわちその位置、速度)についてもプレーヤが操作するものと認められる。そして、引用発明においては、上記の「プレーヤが操作した自キャラクタMの動き」によって規定される「自キャラクタの速度」が上記(1)から(3)からなる範囲の大きさ又は形状を変更する要因となっているのであるから、「プレーのために入力手段を用いて入力した入力値」として「ゲームプレーヤの操作によって規定される値(自キャラクタの速度)」を用いるとすることにより、上記相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

イ 本願補正発明の奏する作用効果
そして、本願補正発明によってもたらされる効果は、引用発明から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ まとめ
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3 むすび
したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、平成18年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成21年3月27日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年4月28日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成21年3月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び引用発明については、上記「第2 平成21年3月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
上記「第2 平成21年3月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「1 本件補正について」に記載したように、本願発明に対して、コリジョン領域を変更することに関して、その変更の内容について、コリジョン領域の「大きさ又は形状」を変更することと特定して限定したものが本願補正発明である。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、本願発明をさらに限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 平成21年3月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定について」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明との対比」及び「(4)当審の判断」において記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-26 
結審通知日 2010-11-01 
審決日 2010-11-17 
出願番号 特願平11-353802
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 神 悦彦
特許庁審判官 樋口 信宏
森林 克郎
発明の名称 ゲーム装置及びゲームのプレー制御方法  
代理人 半田 昌男  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ