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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L |
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管理番号 | 1229789 |
審判番号 | 不服2010-1580 |
総通号数 | 134 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-01-25 |
確定日 | 2011-01-04 |
事件の表示 | 特願2006-255239「半導体素子用部材の洗浄方法」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 2月 1日出願公開、特開2007- 27783〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件出願は、平成9年7月24日に出願した特願平9-198682号(以下、「原出願」という。)の一部を平成18年9月21日に新たな特許出願としたものであって、平成21年7月13日付けで拒絶理由が通知され、同年9月14日付けで意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月16日付けで拒絶査定がなされ、平成22年1月25日付けで同拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同時に手続補正書が提出されて明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正がなされ、その後、当審において平成22年7月28日付けで書面による審尋がなされ、それに対して同年9月29日付けで回答書が提出されたものである。 第2 平成22年1月25日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)について 1 本件補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲については、本件補正により補正される前の(すなわち、平成21年9月14日付けで提出された手続補正書により補正された)下記(1)に示す特許請求の範囲の請求項1ないし3を下記(2)に示す特許請求の範囲の請求項1及び2と補正するものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし3 「【請求項1】 低分子シロキサンで汚染された半導体素子用部材の洗浄方法において、 半導体素子製造装置内に設けられたゲート酸化膜形成装置を用いて前記半導体素子用部材としてのウェハにゲート酸化膜を形成するに先立ち、 前記半導体素子製造装置内に不活性ガスを充満させた予備バッファ室を設け、該予備バッファ室内において、前記ウェハを加熱処理すること を特徴とする半導体素子用部材の洗浄方法。 【請求項2】 低分子シロキサンで汚染された半導体素子用部材の洗浄方法において、 半導体素子製造装置内に設けられたゲート酸化膜形成装置を用いて前記半導体素子用部材としてのウェハにゲート酸化膜を形成するに先立ち、 前記半導体素子製造装置内に真空予備室を設け、該真空予備室内を真空に保った状態で前記ウェハを加熱処理した後に、不活性ガスを導入することにより前記真空予備室を常圧に戻し、続いて当該真空予備室を排気すること を特徴とする半導体素子用部材の洗浄方法。 【請求項3】 前記加熱処理において、加熱処理温度を700?800℃の範囲の温度とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子用部材の洗浄方法。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2 「【請求項1】 低分子シロキサンで汚染された半導体素子用部材の洗浄方法において、 半導体素子製造装置内に設けられたゲート酸化膜形成装置を用いて前記半導体素子用部材としてのウェハにゲート酸化膜を形成するに先立ち、 前記半導体素子製造装置内に真空予備室を設け、該真空予備室内を真空に保った状態で前記ウェハを加熱処理した後に、不活性ガスを導入することにより前記予備真空室を常圧に戻し、続いて当該予備真空室を排気すること を特徴とする半導体素子用部材の洗浄方法(当審注:「予備真空室」は「真空予備室」の誤記である。)。 【請求項2】 前記加熱処理において、加熱処理温度を700?800℃の範囲の温度とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子用部材の洗浄方法。」 (なお、下線は、補正箇所を示すためのものである。) 2 本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1を削除し、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2を請求項1に繰り上げ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2を引用する請求項3を請求項2に繰り上げるものであるから、平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。 第3 本願発明 本件出願の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明は、平成22年1月25日付け手続補正書、平成21年9月14日付け手続補正書、並びに願書に最初に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1(2)」の【請求項1】のとおりである。 第4 引用文献及び周知文献 1 引用文献 原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平1-189911号公報(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (1)「ところで、前記CVDプロセス装置等の成膜装置においては、前記CVD反応等の成膜処理によって基板mに薄膜を形成する前の段階において、薄膜形成をより良好に行う準備として、一般的に基板mを純水等によって洗浄しておく。そして、洗浄により基板mに付着残存している水分をベーキングによって脱離除去しておく。このベーキングの過程では、水分だけでなく、基板mに吸着されている有機溶剤やガスをも脱離除去する。これも成膜処理に悪影響を与えないようにするためである。」(第2ページ右上欄第2ないし12行) (2)「第1図は第1実施例に係るCVDプロセス装置の断面図である。 真空前室AはCVD反応炉Bに連設されている。真空前室Aの底部に形成された排気口1aは、バルブ2aを介してターボ分子ポンプ等の真空ポンプ3aに接続されている。4aは排気パイプである。真空前室Aの前壁には基板搬入・搬出用の開口部5aが形成されている。 真空前室Aの天板は石英板6で構成され、その石英板6の上方に残存物質脱離除去用の熱源としての赤外線ランプ7が列設され、さらにその上方を反射板8で覆ってある。 CVD反応炉B内の上部に配置されたガス導入ヘッダ9は、ガス導入管10を介してガス供給系11に接続されている。反応炉Bの底部に排気口1bが形成され、バルブ2bを介してターボ分子ポンプ等の真空ポンプ3bに接続されている。4bは排気パイプである。反応炉Bの周囲には電熱ヒータ12がコイル状に巻回され、さらにその外周が断熱材13で覆われている。なお、前記電熱ヒータ12は、CVD反応に供するものであり、加熱ランプ等の別の加熱手段で代用してもよく、本発明は反応炉Bの構造を限定するものではない。 反応炉Bにおいて真空前室Aとの隔壁14には基板搬入・搬出用の開口部5bが形成され、この開口部5bを介して反応炉Bと真空前室Aとが連通されている。この開口部5bを閉塞するための閉塞板15が真空前室A側に設けられ、回転軸16の回転によって開口部5bを開閉するように構成されている。 基板保持器(サセプタ)17は、半導体ウェハ,セラミックス基板等の基板mを載置支持するリング状のもので、この基板保持器17を先端に連設した水平方向の保持杆18は、真空前室Aの開口部5aを閉塞する第1閉止板27aに摺動自在に挿通されている。」(第3ページ左上欄第20行ないし左下欄第15行) (3)「この第2図の状態において、バルブ2aを開けて真空前室Aを減圧し、熱源である赤外線ランプ7を点灯し、石英板6を通して赤外線を真空前室A内の基板mに照射して基板mを加熱(ベーキング)すると、基板mに付着している水分、有機溶剤、ガス等のCVD反応にとって有害な残存物質が脱離除去される。 脱離除去されたガス等は真空ポンプ3aによって排気パイプ4aから排気される。」(第4ページ右上欄第18行ないし左下欄第6行) (4)「導入されたガスのCVD反応により基板mの表面に例えばシリコン酸化膜(SiO_(2))等の被膜を形成する。」(第5ページ左上欄第1ないし3行) (5)「なお、脱離除去の過程で発生したガスは、真空前室AへN_(2)ガス等のパージガスを供給(供給管は図示せず)し、パージガスとともに排気するようにした方が好ましい。」(第5ページ左上欄第17ないし20行) (6)「反応炉Bの構造は前記各実施例に限定されない。また、前記各実施例はCVDプロセス装置であるが、例えばスパッタリング装置等のように、本発明はCVDプロセス装置以外の各種成膜装置にも適用できる。」 (第5ページ右下欄第12ないし16行) 上記(1)ないし(6)の記載事項、及び図面の記載からみて、引用文献には次の発明(以下、「引用文献記載の発明」という。)が記載されていると認める。 「水分、有機溶剤、ガス等が付着した半導体ウェハ等の基板mの脱離除去方法において、 CVDプロセス装置内に設けられたCVD反応炉Bを用いて前記半導体ウェハ等の基板mにシリコン酸化膜を形成するに先立ち、 前記CVDプロセス装置内に真空前室Aを設け、該真空前室A内を減圧し前記半導体ウェハを加熱した後に、N_(2)ガス等のパージガスを供給し、当該真空前室Aを排気する 半導体ウェハ等の基板mの脱離除去方法。」 2 周知文献1 原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平9-64146号公報(公開日:平成9年3月7日、以下、「周知文献1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0024】103は、次工程の処理装置であって、例えば不純物導入装置、拡散装置、酸化膜形成炉、CVD装置、スパッタ装置等の不純物拡散や成膜等を行う処理装置である。図1の例では、フォトリソグラフィ装置101と洗浄装置102との間、洗浄装置102と次工程の処理装置103との間で半導体基板は自動搬送され、洗浄装置と次工程の処理装置との間では窒素雰囲気中の搬送を用いれば、クリーンエアからの水分、ハイドロカーボン、シロキサン、自然酸化膜等の表面汚染を抑制できる。クリーンルームエアに半導体基板表面を曝すと、1秒以内に略々3×10^(16)分子/cm^(2)の水分が吸着し、1時間以内で略々1×10^(15)/cm^(2)が吸着し、数時間以内で一原子層自然酸化膜が成長する。」(【0024】) 3 周知文献2 原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平9-141035号公報(公開日:平成9年6月3日、以下、「周知文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0002】 【従来の技術】ガス状シロキサンの発生は、クリーンルームの気密保持を目的として使用されているシリコンシーラント、シリコンゲルなどのシール材からのものが最も多く、クリーンルーム内で生産に用いられているウェハーを親水性から疎水性に変えるという問題があるといわれている。クリーンルームの清浄化には主に空気清浄システムが用いられている。」(【0002】) 4 周知文献3 原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平9-29020号公報(公開日:平成9年2月4日、以下、「周知文献3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0003】このようなクリーンルームにおいて、内装にシリコーンシーリング材を用いている場合には、これから揮発する低分子量のシロキサン類がクリーンルーム内の空気中に拡散するため、当該クリーンルーム内で製造する製品が汚染される可能性があることが指摘されている(藤本、福井;「クリーンルーム空気中の不純物の分析技術」空気清浄、Vol.32,No.3,P.16?25(1994))。特に、半導体製造工場においてはクリーンルーム内の空気中にシロキサン類が存在すると製品の歩留りが低下するとされている。」(【0003】) 5 周知文献4 原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特公昭63-38292号公報(以下、「周知文献4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「本発明はこのような不利を解決した低分子シロキサンを効率よく除去することのできるシリコーンゴム成形体の製造方法に関するもので、これはシリコーンゴム成形体を高真空に加熱し、ついでガス流通下に低真空で加熱して、成形体から低分子シロキサンを除去することを特徴とするものである。 これを説明すると、本発明者らはシリコーンゴム成形体からの低分子シロキサンの除去方法について種々検討した結果、これにはシリコーンゴム成形体を真空加熱することがよく、この真空加熱もガス流通下としてこの真空度を高低に変えると高真空下で発揮された低分子シロキサンがこれを低真空としたときに流動ガスに伴流されて系外に除去されるので低分子シロキサンの除去が効果的に行なわれるということを見出し、ここに使用する流動ガスの種類、真空度、加熱温度などについての研究を進めて本発明を完成させた。」(第2欄第19行ないし第3欄第12行) 6 周知文献5 原査定で提示された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平8-274035号公報(以下、「周知文献5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0007】第二に半導体表面の処理装置である。半導体表面が清浄に保たれたままゲート絶縁膜が形成されることが望ましい。・・・(中略)・・・理想的な方法の第二は超高真空中での表面処理である。例えば10^(-10)Torr、800℃の加熱処理により、単結晶ケイ素表面は超構造(表面特有の構造)を示すようになり、清浄表面が得られることが知られている。・・・(中略)・・・できない。」(【0007】) 7 周知文献6 原査定で提示された、原出願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平4-285171号公報(以下、「周知文献6」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 「【0010】 【作用】プロセスガスの供給配管内が大気にさらされると,配管内の壁面に水分や酸素等が吸着する。 【0011】これらは真空引きしただけで或る程度除去できるが十分ではないので,前記のように配管内壁に比較的に吸着しにくい不活性ガスの封入と真空引きを繰り返し行うことにより吸着物質を除去するパージ作業を行っている。 【0012】パージに用いる不活性ガスは, 比較的安価で高純度のものが得られやすい窒素(N_(2))が主に用いられている。・・・(中略)・・・となる。」(【0010】ないし【0012】) 第5 対比 本願発明と引用文献記載の発明を対比する。 引用文献記載の発明における「半導体ウェハ等の基板m」は、その機能、構成、又は技術的意義からみて、本願発明における「半導体素子用部材」及び「半導体素子用部材としてのウェハ」に相当し、以下、同様に、「脱離除去」は「洗浄」に、「CVDプロセス装置」は「半導体素子製造装置」に、「真空前室A」は「真空予備室」に、「減圧し」は「真空に保った状態で」に、「加熱」は「加熱処理」に、「N_(2)ガス等のパージガス」は「不活性ガス」に、「供給」は「導入」に、それぞれ相当する。 また、引用文献記載の発明における「水分、有機溶剤、ガス等」は、本願発明における「低分子シロキサン」と同様に成膜処理に悪影響を与えるものであるから、引用文献記載の発明における「水分、有機溶剤、ガス等」と本願発明における「低分子シロキサン」は「汚染物質」である限りで一致し、引用文献記載の発明における「水分、有機溶剤、ガス等が付着した」は本願発明における「低分子シロキサンで汚染された」と「汚染物質で汚染された」である限りで一致する。 さらに、引用文献記載の発明における「シリコン酸化膜」は本願発明における「ゲート酸化膜」と「酸化膜」である限りで一致し、引用文献記載の発明における「CVD反応炉B」は、「シリコン酸化膜」を形成する装置であるから、引用文献記載の発明における「CVD反応炉B」と本願発明における「ゲート酸化膜形成装置」は「成膜装置」である限りで一致する。 したがって、本願発明と引用文献記載の発明は、以下の点で一致する。 「汚染物質で汚染された半導体素子用部材の洗浄方法において、 半導体素子製造装置内に設けられた成膜装置を用いて前記半導体素子用部材としてのウェハに酸化膜を形成するに先立ち、 前記半導体素子製造装置内に真空予備室を設け、該真空予備室内を真空に保った状態で前記ウェハを加熱処理した後に、不活性ガスを導入し、当該真空予備室を排気する半導体素子用部材の洗浄方法。」 そして、以下の3点で相違する。 <相違点1> 洗浄する対象が、本願発明では、「低分子シロキサンで汚染された」「半導体素子用部材」であるのに対し、引用文献記載の発明では、「水分、有機溶剤、ガス等が付着した」「半導体素子用部材」である点(以下、「相違点1」という。)。 <相違点2> 本願発明では、「酸化膜」が「ゲート酸化膜」であり、「成膜装置」が「ゲート酸化膜形成装置」であるのに対し、引用文献記載の発明では、「酸化膜」が「シリコン酸化膜」であり、「成膜装置」は「CVD反応炉B」である点(以下、「相違点2」という。)。 <相違点3> 本願発明では、「不活性ガス」を「導入」することにより「真空予備室」を「常圧に戻し、続いて」「真空予備室」を排気するものであるのに対し、引用文献記載の発明では、「不活性ガス」を「導入」し、「真空予備室」を排気しているものの、「真空予備室」を「常圧に戻し、続いて」排気しているか不明な点(以下、「相違点3」という。)。 第6 当審の判断 そこで、上記相違点1ないし3について、以下に検討する。 1 相違点1について 周知文献1ないし3に記載されているように、シロキサンにより半導体素子用部材が汚染されることは周知(以下、「周知技術1」という。)であり、周知文献4に記載されているように、真空に保った状態で加熱することにより低分子シロキサンが除去されることも周知(以下、「周知技術2」という。)である。 したがって、引用文献記載の発明において、周知技術1及び2を適用し、洗浄する対象を、「低分子シロキサンで汚染された」「半導体素子用部材」とすることによって、相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到したことである。 2 相違点2について 上記「第4 1(6)」に記載されているように、引用文献に記載されたものは「CVDプロセス装置」以外の各種成膜装置に適用できるものである。 また、周知文献5に記載されているように、ゲート酸化膜を形成する際にも半導体表面が清浄に保たれたままにすることが望ましいことは周知(以下、「周知技術3」という。)である。 したがって、引用文献記載の発明において、周知技術3を適用し、「酸化膜」である「シリコン酸化膜」を「ゲート酸化膜」とし、「成膜装置」である「CVD反応炉B」を「ゲート酸化膜形成装置」とすることによって、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到したことである。 3 相違点3について 流体で被洗浄体を洗浄する際に、流体を流しながら洗浄するか、流体を一旦被洗浄体周囲に滞留させてから流すことによって洗浄するかは、どちらも一般的に行われている常套手段であるから、当業者が適宜決めるべき設計的事項にすぎない。 また、周知文献6に記載されているように、被洗浄体内部に、パージに用いる不活性ガスを導入し、続いて排気することによって被洗浄体を洗浄することは周知(以下、「周知技術4」という。)でもある。 そして、被洗浄体内部に、パージに用いる不活性ガスを導入し、続いて排気するに際し、どの程度まで不活性ガスを導入するかは当業者が適宜決めるべき設計的事項であり、常圧に戻るまで導入することを想到することに格別困難性はない。 したがって、引用文献記載の発明において、周知技術4を適用し、「真空予備室」を「常圧に戻し、続いて」排気することによって、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到したことである。 4 本願発明の効果について そして、本願発明を全体としてみても、本願発明のようにしたことにより奏するとされる効果は、引用文献記載の発明及び周知技術1ないし4からみて格別のものともいえない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献記載の発明及び周知技術1ないし4に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず、このような特許を受けることができない発明を包含する本件出願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-10-28 |
結審通知日 | 2010-11-02 |
審決日 | 2010-11-15 |
出願番号 | 特願2006-255239(P2006-255239) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H01L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 越本 秀幸、今井 拓也 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
加藤 友也 田中 永一 |
発明の名称 | 半導体素子用部材の洗浄方法 |
代理人 | 大垣 孝 |