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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する H04L
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する H04L
管理番号 1230298
審判番号 訂正2010-390101  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2010-10-04 
確定日 2010-12-10 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4440265号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4440265号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 請求の要旨
本件審判の請求の要旨は,特許第4440265号発明(日本国への平成16年3月30日付け特許出願に基づいた優先権主張を伴う,平成17年3月29日付け国際出願であって,平成22年1月15日に設定登録がなされた。)の明細書(以下,「特許明細書」という。)を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり,すなわち,以下(1)?(6)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項5における一部記載「前記前記」を「前記」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項6における一部記載「前記前記」を「前記」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項22における一部記載「再送処理を具備しない」を「再送処理を具備する」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項23における一部記載「再送処理を具備しない」を「再送処理を具備する」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項24における一部記載「再送処理を具備しない」を「再送処理を具備する」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項25における一部記載「再送処理を具備しない」を「再送処理を具備する」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項26における一部記載「再送処理を具備しない」を「再送処理を具備する」に訂正する。

なお,上記訂正に係る訂正前の請求項,及び(1)訂正事項1?(7)訂正事項7により訂正された訂正後の各請求項は以下のとおりである。
また,上記訂正に係る請求項で引用している請求項(請求項1),及び上記訂正に係る請求項を引用する形式で記載されている請求項(請求項7,15?21)も摘記した。
(訂正前)
「【請求項1】
第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムであって,
前記第1通信装置は,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え,
前記第2通信装置は,
前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段を備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信システム。
・・・・中略・・・
【請求項5】
前記第2通信装置はさらに,コンテンツを受信したい旨を前記第1通信装置に要求する第2コンテンツ要求手段を備え,
前記第1通信装置はさらに,前記第2通信装置からのコンテンツ要求を受信する第1コンテンツ要求受信手段を備え,
前記第1コンテンツ受信手段は,前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から,前記前記第1コンテンツ要求受信手段が受信したコンテンツ要求に対応するコンテンツを格納したマルチキャストフレームを抽出して受信する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信システムは,複数の前記第2通信装置を備え,
前記第1コンテンツ要求受信手段は,複数の前記第2通信装置からコンテンツ要求を受信し,
前記第1コンテンツ受信手段は,前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から,前記前記第1コンテンツ要求受信手段が受信した複数のコンテンツ要求に対応する複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームを抽出して受信し,
前記変換手段は,前記第1コンテンツ受信手段によって受信された複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換し,
前記第1コンテンツ送信手段は,前記変換手段によって変換されたユニキャストフレームを複数の前記第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1通信装置はさらに,第1コンテンツ受信手段によって受信されたマルチキャストフレームに含まれる複数のコンテンツのうち,複数の前記第2通信装置から要求されたコンテンツを複製する第1コンテンツ複製手段を備え,
前記変換手段は,前記第1コンテンツ複製手段によって複製された複数の同一コンテンツに対応するマルチキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換し,
前記第1コンテンツ送信手段は,前記変換手段によって変換されたユニキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項6記載の通信システム。
・・・・中略・・・
【請求項15】
受信装置にコンテンツを伝送する送信装置であって,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする送信装置。
【請求項16】
送信装置から送られてくるコンテンツを受信する受信装置であって,
無線の第2通信路を介して,前記送信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段と,
前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する変換手段を備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする受信装置。
【請求項17】
前記送信装置は,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,前記第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備えている
ことを特徴とする請求項16記載の受信装置。
【請求項18】
受信装置にコンテンツを伝送する通信方法であって,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信ステップと,
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換ステップと,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信ステップと
を含み,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項19】
航空機内で座席にコンテンツを配信する航空機コンテンツ配信システムであって,
第1通信装置と第2通信装置とから構成され,
前記第1通信装置は,
無線の第1通信路を介して,地上から送信されてくる,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え,
前記第2通信装置は,
前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段と,
前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームに含まれるコンテンツを前記座席に送信する第2コンテンツ送信手段とを備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする航空機コンテンツ配信システム。
【請求項20】
第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムにおける通信方法であって,
前記第1通信装置が,第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信ステップと,
前記第1通信装置が,受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換ステップと,
前記第1通信装置が,変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信ステップと,
前記第2通信装置が,前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信ステップとを含み,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項21】
送信装置から送られてくるコンテンツを受信する受信装置による通信方法であって,
無線の第2通信路を介して,前記送信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信ステップと,
前記第2コンテンツ受信ステップによって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する変換ステップとを含み,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項22】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備しないプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項23】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備しないプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項15記載の送信装置。
【請求項24】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備しないプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項16記載の受信装置。
【請求項25】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備しないプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項18,20又は21記載の通信方法。
【請求項26】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備しないプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項19記載の航空機コンテンツ配信システム。」

(訂正後)
「【請求項1】
第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムであって,
前記第1通信装置は,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え,
前記第2通信装置は,
前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段を備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信システム。
・・・・中略・・・
【請求項5】
前記第2通信装置はさらに,コンテンツを受信したい旨を前記第1通信装置に要求する第2コンテンツ要求手段を備え,
前記第1通信装置はさらに,前記第2通信装置からのコンテンツ要求を受信する第1コンテンツ要求受信手段を備え,
前記第1コンテンツ受信手段は,前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から,前記第1コンテンツ要求受信手段が受信したコンテンツ要求に対応するコンテンツを格納したマルチキャストフレームを抽出して受信する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信システムは,複数の前記第2通信装置を備え,
前記第1コンテンツ要求受信手段は,複数の前記第2通信装置からコンテンツ要求を受信し,
前記第1コンテンツ受信手段は,前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から,前記第1コンテンツ要求受信手段が受信した複数のコンテンツ要求に対応する複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームを抽出して受信し,
前記変換手段は,前記第1コンテンツ受信手段によって受信された複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換し,
前記第1コンテンツ送信手段は,前記変換手段によって変換されたユニキャストフレームを複数の前記第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1通信装置はさらに,第1コンテンツ受信手段によって受信されたマルチキャストフレームに含まれる複数のコンテンツのうち,複数の前記第2通信装置から要求されたコンテンツを複製する第1コンテンツ複製手段を備え,
前記変換手段は,前記第1コンテンツ複製手段によって複製された複数の同一コンテンツに対応するマルチキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換し,
前記第1コンテンツ送信手段は,前記変換手段によって変換されたユニキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項6記載の通信システム。
・・・・中略・・・
【請求項15】
受信装置にコンテンツを伝送する送信装置であって,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする送信装置。
【請求項16】
送信装置から送られてくるコンテンツを受信する受信装置であって,
無線の第2通信路を介して,前記送信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段と,
前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する変換手段を備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする受信装置。
【請求項17】
前記送信装置は,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,前記第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備えている
ことを特徴とする請求項16記載の受信装置。
【請求項18】
受信装置にコンテンツを伝送する通信方法であって,
第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信ステップと,
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換ステップと,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信ステップと
を含み,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項19】
航空機内で座席にコンテンツを配信する航空機コンテンツ配信システムであって,
第1通信装置と第2通信装置とから構成され,
前記第1通信装置は,
無線の第1通信路を介して,地上から送信されてくる,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と,
受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と,
変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え,
前記第2通信装置は,
前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段と,
前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームに含まれるコンテンツを前記座席に送信する第2コンテンツ送信手段とを備え,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする航空機コンテンツ配信システム。
【請求項20】
第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムにおける通信方法であって,
前記第1通信装置が,第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信ステップと,
前記第1通信装置が,受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換ステップと,
前記第1通信装置が,変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信ステップと,
前記第2通信装置が,前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信ステップとを含み,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項21】
送信装置から送られてくるコンテンツを受信する受信装置による通信方法であって,
無線の第2通信路を介して,前記送信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信ステップと,
前記第2コンテンツ受信ステップによって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する変換ステップとを含み,
前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項22】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備するプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項23】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備するプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項15記載の送信装置。
【請求項24】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備するプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項16記載の受信装置。
【請求項25】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備するプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項18,20又は21記載の通信方法。
【請求項26】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは,IP(Internet Protocol)であり,
前記再送処理を具備するプロトコルは,MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項19記載の航空機コンテンツ配信システム。」(下線箇所が訂正箇所である。)

第2 当審の判断
1.訂正の目的の適否,新規事項の有無,及び拡張・変更の存否について

(1)訂正事項1について
訂正前の【請求項5】の「前記前記第1コンテンツ要求受信手段」との記載における「前記前記」は,日本語の語法として明らかに誤記であるから,誤記の訂正を目的としたものである。また,願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものであること,及び実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも,明らかである。

(2)訂正事項2について
上記「(1)訂正事項1について」と全く同様の理由で,訂正事項2も,単なる誤記の訂正というべきであって,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたもので,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正前の請求項22には,a)「前記マルチキャストを規定する通信プロトコル」,とb)「前記再送処理を具備しないプロトコル」との2つのプロトコルが,請求項1を引用する形式で記載されているが,引用されている請求項1の「第1通信路を介して,コンテンツを格納したマルチキャストフレーム」との記載からして,a)に相当するプロトコルは第1通信路の通信の取決めを意味していることは明らかである。
一方,訂正のない請求項1には,他の通信路として「第2通信路」の記載しかなく,そこでは「変換されたユニキャストフレームを,無線の第2通信路を介して,再送処理を具備するプロトコルで,前記第2通信装置に送信する」あるいは「前記第2通信路を介して,前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを,再送処理を具備するプロトコルで受信する」と記載されているように,「再送処理を具備する」旨規定されている。
そして,例えば,当初明細書の実施の形態1である,段落【0055】?【0106】に開示されているように,ユニキャストフレームを伝送する「第2通信路」は「再送処理を具備する」ものであり,その他のどの実施例を見ても,「第2通信路」は「再送処理を具備する」ものとして記載されている。
また,訂正後もそのまま記載されている請求項3の「MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコル」は当初明細書から一貫して,「再送処理を具備する」ものとして開示されている。
したがって,これらの記載事項を総合的に勘案すると,訂正前の特許請求の範囲の請求項22における「再送処理を具備しない」は「再送処理を具備する」の明らかな誤記である。
また,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたことは自明であり,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないことも自明である。

(3)訂正事項4?7について
上記「(3)訂正事項3について」と全く同様の理由で,訂正事項4?7も,単なる誤記の訂正というべきであって,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたもので,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。
以上のとおりであるから,上記訂正事項1?7は,特許法第126条第1項第2号に揚げる事項を目的とし,第2項乃至第4項の規定に適合する。

2.独立特許要件について
訂正後の特許請求の範囲の請求項1?26に係る発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて検討する。
本件特許の出願の審査において,以下の文献1?6を引用して,本願請求項1?26に係る発明は,これらの引用文献に開示された発明に基づいて,容易に発明できるとした,特許法第29条第2項の規定による拒絶理由が通知されている。
1.特開2001-177523号公報
2.特開2002-290400号公報
3.特開2001-244976号公報
4.特開2001-230774号公報
5.特開2002-330469号公報
6.特開2003-198489号公報
しかし,訂正後の特許請求の範囲の請求項1?26は,「前記再送処理は,前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる」と構成を備えており,係る構成は引用文献1?6に見出すことはできず,また,これら引用文献の記載内容を組み合わせても,さらに,この分野で知られた周知技術を参酌しても,容易に発明できたものとすることはできない。
そして,本件特許に対し,無効の審判は請求されておらず,他に特許出願の際独立して特許を受けることができないとすべき理由も見当たらない。
したがって,訂正後の特許請求の範囲の請求項1?26に係る発明は,特許法第126条第5項の規定に適合する。

第3 むすび
したがって,本件審判の請求は,特許法第126条第1項乃至第5項の規定に適合するものである。

よって,結論のとおり審決する
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
通信システム、送信装置、受信装置、通信方法および航空機コンテンツ配信システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが選択した番組およびデータ等のコンテンツを、ネットワーク(通信路)を介して、ユーザの端末に伝送する通信装置および通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、映像番組や音声番組等をサーバから配信し、ネットワーク(通信路)を介してユーザが使用する端末まで配信するシステムが実用化されている(以下、番組配信システムと称す)。そのようなシステムの代表例としては航空機内部で使用される番組配信システムがある(以下、航空機番組配信システムと称す)。航空機番組配信システムでは、航空機内に設置されたビデオサーバから配信される番組を、搭乗者(ユーザ)が各座席に設置された端末で好みの番組を選択して鑑賞することが可能である。
【0003】
ネットワークを利用して多数の番組を配信する技術的な方法として、インターネットプロトコル(IP)を使用したIPマルチキャストがある。IPマルチキャストは、ネットワーク内で、複数の相手を指定して同じデータを送信する仕組みである。以下、本願においてはIPでの仕組みを用いて、ある番組を複数のユーザに配信する仕組みをIPマルチキャストと称し、一般的な意味で、ある番組を複数のユーザに配信することを単にマルチキャストと称す。なお、マルチキャストに対して単一の相手を指定して特定の相手にデータを送信する方法はユニキャストと呼ばれる。
【0004】
IPマルチキャストは、例えばサーバなどの1つの送信ノードから複数の受信端末にフレームを送信する場合に利用される。例えばビデオサーバからのビデオ番組を複数の端末で視聴する場合などに利用する。
【0005】
送信ノードは、ある特定のグループに対してフレームを送信する。マルチキャストの送信ノードは、1つのフレームだけを送信し、そのフレームは、途中のルータによって複製され、受信端末に配送される。途中のルータは、マルチキャストの受信者が異なるインタフェースに存在している場合だけ、フレームの複製を行う。したがって、同一内容のフレームは、必要な場所に1つだけ伝送される。これにより、ネットワーク帯域の効率的利用が可能であり、ネットワーク上に分散されて配置されるルータでフレームを複製するので、負荷が分散される。
【0006】
IPマルチキャストはRFC2236およびRFC1112で規定されており、クラスD(224.0.0.0?239.255.255.255)のIPアドレスがマルチキャストアドレスとして予約されている。これらのアドレスに対してマルチキャストを行うと、当該マルチキャストグループ(アドレス)に参加しているノードに対する一斉送信となる。
【0007】
IPマルチキャストのグループに参加するためには、IGMP(Internet Group Management Protocol)のプロトコルを使用する。IGMPは受信端末ホストがグループに参加・脱退したり、IPマルチキャストルータ間でグループに関する情報をやり取りしたりするのに使われる。IPマルチキャストの仕組みにより、ビデオの番組毎にグループを形成してIPマルチキャストを行い、ユーザは鑑賞したいビデオ番組のマルチキャストグループに参加することにより、好みの番組を視聴できる。
【0008】
図1は従来のIPマルチキャストによる番組配信システムの概略構成を示す。図1において、1000は番組配信手段であり、例えばビデオサーバである。1001は通信路であり、例えばイーサネット(R)である。1002はルータであり、IPマルチキャストに対応している。1003はルータであり、IPマルチキャストに対応している。1004はユーザ端末である。ユーザ端末1004にはaからhの記号を付している。
【0009】
番組配信手段1000は配信可能な番組の全てをIPマルチキャストにより送出する(以下、番組ストリームと称する)。図1の例では番組週が4つの場合(B1,B2,B3,B4)の場合を例とする。
【0010】
一例として、番組B1はマルチキャスト用IPアドレス224.0.0.1を使用し、番組B2はマルチキャスト用IPアドレス224.0.0.2を使用し、番組B3はマルチキャスト用IPアドレス224.0.0.3を使用し、番組B4はマルチキャスト用IPアドレス224.0.0.4を使用する。つまりIPアドレス毎に番組のグループを形成している。
【0011】
通常、IPマルチキャストにはOSIモデルの第4層(トランスポート層)にUDPを使用する。つまり、OSIモデルの第二層(データリンク層)にイーサネット(R)等を用い、OSIモデルの第三層(ネットワーク層)のIPとあわせて、再送処理を行わない、いわゆるストリーム伝送として実現される。
【0012】
通信路1001(X1、X2)では全ての番組が伝送されるので、224.0.0.1から224.0.0.4までのマルチキャストアドレスを使用して、番組B1からB4が伝送される(X2は次のルータ(図示せず)へ番組を伝送する)。
【0013】
ルータ1003aが管理するユーザ端末1004aからdは、番組B1、B2、B3を視聴するので、X3では224.0.0.1から224.0.0.3までのマルチキャストアドレスを使用して、番組B1、B2およびB3が伝送される。ルータ1003aからは各ユーザ端末1004へ個々の番組が伝送される。すなわち、X5では224.0.0.1を使用してユーザ端末1004aに番組B1が伝送され、X6では224.0.0.2を使用してユーザ端末1004bに番組B2が伝送され、X7では224.0.0.3を使用してユーザ端末1004cに番組B3が伝送され、X8では224.0.0.1を使用してユーザ端末1004dに番組B1が伝送される。この時、ルータ1003aではユーザ端末1004aおよびユーザ端末1004dが同一の番組B1を視聴するので、番組データを複製して伝送する。
【0014】
同様に、ルータ1003bが管理するユーザ端末eからhは番組B1、B2、B4を視聴するので、X4では224.0.0.1、224.0.0.2、224.0.0.4のマルチキャストアドレスを使用して、番組B1、B2およびB4が伝送される。ルータ1003bからは各ユーザ端末1004へ個々の番組が伝送される。すなわち、X9では224.0.0.4を使用してユーザ端末1004eに番組B4が伝送され、X10では224.0.0.1を使用してユーザ端末1004fに番組B1が伝送され、X11では224.0.0.4を使用してユーザ端末1004gに番組B4が伝送され、X12では224.0.0.2を使用してユーザ端末1004hに番組B2が伝送される。ルータ1003bではユーザ端末1004eおよびユーザ端末1004gが同一の番組B4を視聴するので、番組データを複製して伝送する。
【0015】
図1では通信路に有線のイーサネット(R)を使用する例を説明した。通常、航空機では通信機器あるいは配線を配置する場所に制限が生じる。例えばルータ1002は航空機の天井部分に配置し、X1,X2は天井づたいに配線を行い、ユーザ端末1004は乗客の各シートに配置し、ルータ1003は一連の座席毎にひとつ配置する。図1の例の場合、4列シートの一部にルータ1003をひとつ配置し、ルータ1003から4個の各ユーザ端末1004までは個々に直接配線する。ルータ1002からルータ1003への配線は、航空機の壁づたいに配線される。
【0016】
なお、図1を用いた説明では、通信路1001、番組通信手段1002はイーサネット(R)を例としたが、同軸ケーブルにQAM(Quadrature Amplitude Modulation)の変調方式を用いて番組配信を行う方式もある。
【0017】
ところで、近年無線によるローカルエリアネットワーク(以下、無線LAN)が普及し、航空機内で無線LANによる通信を行いたいという要望がある。無線LANを用いれば、該区間の航空機内の配線が不要になり配線工事が大幅に削減される。また、番組配信だけでなく乗客が持ち込んだパソコンでインターネットに接続することも可能になる。
【0018】
無線LANの一例としては、IEEE802.11で規定されている通信方式がある。IEEE802.11の詳細については、多数の専門書が発行されているが、例えば「802.11高速無線LAN教科書」(株式会社IDGジャパン発行)が詳しい。
【0019】
IEEE802.11ではIEEE802.11a(最大通信速度54メガビット/秒)、IEEE802.11b(最大通信速度11メガビット/秒)、IEEE802.11g(最大通信速度54メガビット/秒)等がある。実効のIPスループットはそれぞれ約20メガビット/秒、約4メガビット/秒、約20メガビット/秒である。さらにIEEE802.11n等の手法により、より高速化が図られている。
【0020】
本願発明において重要な点は、IEEE802.11等の無線通信においてはデータリンク層(OSIモデル第2層)であるMACレイヤにおいて再送機構が具備されていることである。IEEE802.11においては送信側端末がフレームを送信すると、受信端末が正常に受信した場合はその旨のフレームを返送し(ACKフレーム)、送信端末においては、一定期間内にACKフレームが受信されない場合は再送を行う。通常この再送処理は正常にフレームが伝送されるまで複数回繰り返される。ただし、MACレイヤにおいて再送が行われるのは、ユニキャストの場合だけであり、ブロードキャストやマルチキャストのようなグループアドレスの場合は、どの受信局もACKフレームは返送しない。これを図を用いて説明する。図3はMACフレームの模式図である。
【0021】
図3において、1900はMACヘッダ、1901はフレーム本体、1902はフレームチェックシーケンス(FSC)である。MACヘッダ1900内には、4つのアドレスフィールドがある。1903はアドレス1、1904はアドレス2、1905はアドレス3、1906はアドレス4である。
【0022】
例えば、アクセスポイント(AP)からステーション(STA)へ伝送する場合、アドレス1には宛先アドレスを格納し、アドレス2にはBSSIDを格納し、アドレス4には送信元アドレスを格納する。なお、この時はアドレス4は使用されない。この時アドレス1がユニキャストアドレスの場合は再送処理が行われ、ブロードキャストやマルチキャストアドレスの場合は、再送処理は行われない。
【0023】
なお、フレーム本体には後述する図10Aで示すIPヘッダを含むIPフレームが格納される。つまり、無線のフレームはMACヘッダとIPヘッダを含む。
【0024】
図2は伝送路の途中に無線を用いたIPマルチキャストの模式図である。ルータ1102までの処理は図1と同じである。X700はIEEE802.11の無線LANであり、IPマルチキャストフレームを伝送する。無線は電波の到達範囲内であれば全ての受信端末がフレームを受信可能である。図2においては、ルータ1102が無線アクセスポイント(AP)機能を、ルータ1103aおよびルータ1103bが受信可能なステーション(STA)機能を具備するルータとして図示されている。IPマルチキャストの仕組みをそのまま適応すると、AP1102は複数のSTA1103から同一番組を要求されているので、番組を複製し、MACアドレスにマルチキャストアドレスを使用して、複数のSTAが受信できるようにして伝送しなければならない。
【0025】
ルータ1103からユーザ端末1004までの処理は図1と同じである。このように、無線LANにおいてもIPマルチキャストを適応することは可能であるが、これにより生じる問題点は後述する。
【0026】
図1とは別に、無線LANでマルチキャストを行うシステムの従来例として、例えば特開平11-196041がある(以下、特許文献1と称す)。
【0027】
特許文献1はひとつの送信局(アクセスポイント:AP)がカバーする通信範囲の受信局の内、相互に直接受信可能な受信局同士をグループ化して、グループの中から任意の受信局を代表局として選び、代表局が送信局に返送するACKやNAKがグループ内では受信可能であることを利用して、マルチキャストの通信効率を向上させるものである。
【0028】
また、IPマルチキャストを部分的にユニキャスト通信に変換して再びIPマルチキャストに戻す従来例として、特開2001-244976(以下、特許文献2)、特開2001-244978(以下、特許文献3)、特開2001-230774(以下、特許文献4)がある。これらはトランスポート層にUDPを使用し、ユニキャスト通信を行う区間の通信機機内で交渉を行い、ネットワーク層の仕組みであるIPマルチキャストと、トランスポート層のUDPを関連づけて、通信機機内に「管理表(特許文献2および特許文献3のピア管理表)」や「管理テーブル(特許文献4の管理テーブル)」を具備して、ユニキャストから再びIPマルチキャストに戻す。
【0029】
特許文献2、特許文献3、特許文献4はルータ等がマルチキャストに対応していないインターネット等の通信路において個々のマルチキャストフレームを通過させるための仕組みであり、マルチキャストフレームの複製が必要な部分の技術を開示するものではない。
【特許文献1】特開平11-196041号公報
【特許文献2】特開2001-244976号公報
【特許文献3】特開2001-244978号公報
【特許文献4】特開2001-230774号公報
【非特許文献1】802.11高速無線LAN教科書」(株式会社IDGジャパン発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、図2に示したような無線によるIPマルチキャストは以下のような問題点を有していた。IPマルチキャストをそのまま無線通信においても適応する場合は、MAC層の処理においてもMACアドレスをマルチキャストアドレスにするとそのまま適応できる。すなわちIPアドレスにマルチキャストアドレスを使用し、MACアドレスにもマルチキャスト用のアドレスを使用すれば、各アクセスポイントは自身宛のフレームだと判断するのでフレームの受信処理を行う。一般的には、IPマルチキャストのアドレスの一部をMACアドレスにコピーし、さらにMACアドレスの先頭部分にマルチキャストを示すデータを格納して伝送する変換規則により、IPマルチキャストがそのままMACレイヤにおいてもマルチキャストを行うように変換される。しかし、MACアドレスにマルチキャストアドレスを使用した場合は再送処理は行われない。一般的に無線通信においてはフレームエラー率が高いために再送がなければ高品質な伝送は期待できない。これが無線通信で再送機構が具備されている理由である。すなわち、無線伝送においては各受信端末に一斉にフレームを送信するマルチキャストをすることは可能であるが、通信品質が著しく悪くなるという問題がある。
【0031】
また、上記特許文献1では以下のような問題点を有していた。相互に直接受信可能な受信局同士をグループ化する作業が必要な上、無線通信においては電波状況や設置環境により直接受信可能な範囲が動的に変化する場合があり、設定したグループ内でもACKやNAKの受信に失敗する場合があり、特許文献1の仕組みが正常に動作しない場合がある。
【0032】
また、グループ内の端末のACKやNAKを受信して各端末の動作をさせるアルゴリズム、受信局が代表局にポーリングを行うアルゴリズム等はIEEE802.11で規定されている方式ではないため、汎用の機器を用いることができずコストが高くなるという問題がある。
【0033】
また、特許文献2、特許文献3、特許文献4では、ユニキャストから再びIPマルチキャストに戻すために、通信機機内に「管理表(特許文献2および特許文献3のピア管理表)」や「管理テーブル(特許文献4の管理テーブル)」を具備するため、各表を作成するための通信処理が必要であり、各表の管理も複雑になるという問題がある。
【0034】
また、特許文献2、特許文献3、特許文献4では、基本的にデータリンク層にイーサネット(R)等の再送機構を具備しないプロトコルを前提としているが、上記のように無線通信において再送機構を具備しない場合は通信品質が非常に悪くなるという問題がある。
【0035】
また、特許文献2、特許文献3、特許文献4は、トランスポート層(UDP)の処理を用いた仕組みであり、トランスポート層の伝送プロトコルが限定されるという問題がある。
【0036】
また、一般的なIPマルチキャストでは全てのルータがIPマルチキャストに必要なプロトコルを具備した高価なルータが必要であるという問題がある。
【0037】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、再送処理を行う無線通信において、高品質なマルチキャストを実現する通信システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
前記目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、(a)第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムであって、(b)前記第1通信装置は、(b1)第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と、(b2)受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と、(b3)変換されたユニキャストフレームを、無線の第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え、(c)前記第2通信装置は、(c1)前記第2通信路を介して、前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを、再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段を備え、前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われることとする。
【0039】
この構成により、第1通信装置は、コンテンツのマルチキャストフレームを第1通信路から選択し、ユニキャストフレームに変換して第2通信路を介して第2通信装置にコンテンツを伝送し、無線通信を用いた場合でもシステムとして高品質なマルチキャストを実現する。
【0040】
ここで、「コンテンツ」には、番組だけでなく、あらゆる種類のデータが含まれる。また、「無線通信路におけるユニキャスト」は、無線での1対1通信であり、通信に失敗すると再送を行う(MACレイヤのプロトコルとしての再生機構を具備している)ことが前提となっている。一方、マルチキャストは、1対N通信であり、再送は行われない。
【0041】
なお、本発明は、通信システムとして実現されるだけではなく、通信システムを制御する方法(以下、通信方法と呼称する。)として実現されるとしてもよい。
【0042】
また、通信システムを構成する送信装置および受信装置として実現されるとしてもよい。
【0043】
また、送信装置を制御する方法(以下、送信方法と呼称する。)、送信方法をコンピュータシステムなどに実行させる送信プログラム、送信プログラムを記録した記録媒体などとして実現されるとしてもよい。
【0044】
また、送信装置に組み込まれて送信機能が実現されるシステムLSI、システムLSIに送信機能を形成するIPコア(以下、送信コアと呼称する。)、送信コアを記録した記録媒体として実現されるとしてもよい。
【0045】
また、受信装置を制御する方法(以下、受信方法と呼称する。)、受信方法をコンピュータシステムなどに実行させる受信プログラム、受信プログラムを記録した記録媒体などとして実現されるとしてもよい。
【0046】
また、受信装置に組み込まれて受信機能が実現されるシステムLSI、システムLSIに受信機能を形成するIPコア(以下、受信コアと呼称する。)、受信コアを記録した記録媒体として実現されるとしてもよい。
【発明の効果】
【0047】
本発明の通信装置および通信システムによれば、ネットワーク層、データリンク層の処理により、ネットワークのプロトコルとして再送処理を行うプロトコルにおいてもシステムとして高品質なマルチキャストを実現する。すなわち、ユニキャスト伝送を基本とする無線LANを使用して、高品質な映像伝送等が可能なマルチキャストシステムを実現する。また、本願発明はネットワーク層、データリンク層の仕組みを利用して実現するため、トランスポート層のプロトコルを限定しないため、トランスポート層にシステムに応じたプロトコルを使用可能である。また、一般的にはマルチキャストを行う場合にはネットワーク層においてIPマルチキャストを使用するが、マルチキャストを行うプロトコルであればネットワーク層にどのようなプロトコルを用いてもよい。
【0048】
また、IEEE802.11等の汎用無線通信の規格に基づく通信装置をそのまま利用可能であるので、安価にシステムを構築可能である。
【0049】
さらに、帯域が制限された無線LANにおいても伝送帯域を有効に利用して効率的な通信を行うことにより高品質な番組配信を実現する。
【0050】
さらに、伝送路を無線とすることにより配線が不要となり、設置工事等の省力化が可能となる。また、特に航空機等でのシステムにおいては、配線が短い場合はもちろん問題であるが、配線スペースに限りがあるため、長いケーブルを余らせておくスペースもない。さらに、機器間の距離に正確に対応した長さのケーブルで、しかも不要輻射対策もされたケーブルでなければならない。そのため、航空機専用の非常に高価なケーブルを使用することを抑え、配線を少なくすることはコスト的に非常にメリットがある。
【0051】
さらに、無線通信路を使用する部分に置いてマルチキャストのフレームの複製が必要な部分においても本願発明は有効である。
【0052】
さらに、本願発明では無線通信部分のプロトコルに改変を加えるものではないので、標準の無線部品の使用が可能であり、簡易かつ安価なシステムや装置を構築可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を、図面を参照しながら説明する。なお、一般的にはネットワークの伝送単位の呼称として、データリンク層の伝送単位をフレーム、ネットワーク層での伝送単位をIPデータグラムと称するが、本願においてはフレームに統一する。
【0054】
本実施の形態におけるデータ配信システムは、一例として、図4に示されるような航空機1の機内で使用される。航空機内で使用されるデータ配信システム(以下、航空機番組配信ステムと呼称する。)は、図5に示されるように、シート2の背の裏側に配置されたモニタ3に、図6に示されるビデオサーバ10から配信された映像番組などが映し出される。
【0055】
通常、航空機では通信機器あるいは配線を配置する場所に制限が生じる。例えば、図6に示されるように、ADB(Area Distribution Box)12は、航空機1の天井部分に配置する。幹線11は、天井づたいに配線を行う。モニタ3は、乗客の各シート2の背の裏側に配置する。SEB13は、一連のシート毎にひとつ配置する。ここでは、一例として、4列シート2の一部にSEB(Seat Electric Box)13をひとつ配置し、SEB13から4個の各ユーザ端末3までは、配線14によって個々に直接配線する。ADB12からSEB13への配線は、航空機の壁づたいに配線せずに、空中線(無線)で接続されている。
【0056】
なお、現在はSEBから各ユーザ端末へはイーサネット等の通信用ケーブルでデータ伝送が行われており、別途端末用の電源ケーブルが敷設されているが、前述のADB-SEB間の無線伝送に加えて、電源線でデータを伝送する電力線搬送通信(PLC)を用いれば通信用ケーブルを削減できるのでさらに省線化の効果がある。
【0057】
これによって、航空機内で無線LANによる通信を行うことができ、無線LANのセグメントの配線が不要になり、航空機内の配線工事が大幅に削減される。また、航空機用の高価なケーブルを使用しなくてもよいのでコストも削減される。また、番組配信だけでなく乗客が持ち込んだパソコンでインターネットに接続することも可能になる。
【0058】
さらに、天井や床下は見通しがきくので有線で配線することができる。通常は、主に、天井の方に有線で配線する。また、シートは、複数のシートを連結した連結シートであり、物理的に距離が近いことにより、連結シートにおいてシート間を予め配線しておくことができる。また、航空会社では、航空路によって顧客のニーズによって、シート間隔、ビジネス/エコノミー席の割合など、シートレイアウトを煩雑に変更することが行われている。さらに、エアラインにとっては、航空機を運用することで利益を得ていることから、できることなら駐機している時間を短くし、その間にシートレイアウトを変更しなければならない。そして、一般的には、天井裏の有線からのADBから壁の中を配線してシート下に設置されたSEBまで、安全上、外にむき出しにせず有線を配線していては、シートレイアウトを変更する度に、壁中の配線を変更するのは困難であり、予め多数用意しておくと、配線コストがかかると共に機体の重量が重くなり、航空機の燃費が悪くなる。
【0059】
これに対して、本発明に係る航空機データ配信システムは、シートレイアウトを自由に変更することもできる。また、変更しても配線をほとんど変更することもない。さらに、複数のシートレイアウトに合わせて、配線を用意することもないため、配線コストもかからず、機体の重量を増加させることもない。
【0060】
以上の点を踏まえて本実施の形態における航空機データ配信システム(以下、単にデータ配信システムと略す。)について説明する。
【0061】
図7は本願におけるマルチキャスト通信システムの構成図である。図7において、100は番組配信手段であり、本実施の形態においては、コンテンツの一例としてのビデオ番組を配信するビデオサーバを例とする。101は第一の通信路であり、本実施の形態においてはギガビットイーサネット(R)とする。102は第一の通信手段であり、本実施の形態においてはIEEE802.11に準拠する無線のアクセスポイント(以下、AP)を備えるルータとする。103は第二の通信路でありIEEE802.11に準拠する無線通信路である。104は第二の通信手段であり、本実施の形態においてはIEEE802.11に準拠する無線のステーション(以下、STA)機能を備えるルータとする。105はユーザ端末であり、本実施の形態においてはユーザはビデオ番組を鑑賞すると共に、鑑賞を希望するビデオ番組を選択する機能を有している。なお、ユーザ端末105には説明の都合上、添え字a,b,c,d,e,f,g,hをつけている。AP102はひとつあるいは複数のSTA104に対して通信を行うことが可能である。図7においては、AP102aに対して、STA104が2つ(a,b)の例を記載している。AP102bは、例えばAP102aとは別の無線チャンネルを用いて、別の第二の通信手段104(図示せず)に番組配信を行う。
【0062】
また、番組配信手段100は、図6におけるビデオサーバ10に該当する。第一の通信路101は、図6における幹線11に該当する。第一の通信手段102は、図6におけるADB12に該当する。第二の通信路103は、図6における空中線に該当する。第二の通信手段104は、図6におけるSEB13に該当する。ユーザ端末105は、図5におけるモニタ3に該当する。
【0063】
以下、「ユニキャスト」とは、1対1通信をいう。「マルチキャスト」とは、1対N通信をいう。「無線ユニキャスト(無線通信路におけるユニキャスト)」とは、無線通信路における1対1通信をいう。なお、無線ユニキャストでは、通信先からACKフレームが返ってくる。また、所定の時間が経過しても返ってこないと、再送を行う。「無線マルチキャスト(無線通信路におけるマルチキャスト)」とは、無線通信路における1対N通信をいう。なお、無線マルチキャストでは、通信先からACKフレームが返ってこないため、再送を行うことができない。
【0064】
本実施の形態における第一の通信手段102aは、無線マルチキャストの代わりに、複数の送信先ごとに無線ユニキャストでデータを送信する。これによって、複数の相手先に送信されるデータを複数の送信先に送信する場合においても、再送機構によって送信先でデータが受信されたか否かを特定することができ、信頼性の高い通信を実現することができる。
【0065】
具体的には、図7に示されるように、番組配信手段100から第一の通信路101を用いて、全番組を配信する。通信路101での番組配信には例えばIPマルチキャストの技術を使用する。本実施の形態では、番組A1はマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1を使用し、番組A2はマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.2を使用し、番組A3はマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.3を使用し、番組A4はマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.4を使用する。なお、「マルチキャスト用IPアドレス」とは、マルチキャストグループに対して割り当てられたIPアドレスである。
【0066】
第二の通信路は無線LANである。ひとつの番組を複数のSTAに同時に配信するためには、IPマルチキャストがグループ宛のアドレスであるので、MACレイヤの処理としても複数のSTAが受信できるようにマルチキャスト用MACアドレスを使用しなければならないが、すでに説明したようにMACレイヤにマルチキャスト用MACアドレスを使用した場合は再送処理が行われないので、本実施例においては、ネットワークレイヤのIP処理はユニキャストを行い、MACレイヤはユニキャスト通信を行うことにより再送処理を行って高品質な通信を保証する。
【0067】
なお、この方法は一例であり、ネットワーク層においては、マルチキャスト用IPアドレスをそのまま用い、MACレイヤのみ、ユニキャスト用MACアドレスを用いる方法でもよい。
【0068】
なお、APからSTAへの通信においてMACレイヤでマルチキャスト通信を行うためには図3のアドレス1(1903)にマルチキャスト用MACアドレスを用いる。なお、「マルチキャスト用MACアドレス」とは、マルチキャスト用IPアドレスから生成されるMACアドレスである。
【0069】
ユーザ端末105はユーザが視聴を希望する番組を選択し、第二の通信手段104に通知する。図7の場合、ユーザ端末aおよびユーザ端末dは番組A1を選択し、ユーザ端末105bは番組A2、ユーザ端末105cは番組A3を選択する例を図示している。つまり、図7に示した第二の通信手段104が管理する4つのユーザ端末105は、番組数では3個の番組を選択している。
【0070】
各ユーザ端末の番組の選択は第二の通信手段104aを介して、IGMPを用いて、第一の通信手段102aに伝達される。この時、第二の通信手段104aは当然のことながら、各ユーザ端末105がどの番組の視聴を希望するか把握している。第一の通信手段102aはIGMPを解釈し、第二の通信手段104aに対し、第一の通信路101でマルチキャストされている10個の番組から、ユーザ端末105a-dが選択した3番組(番組A1,A2,A3)を第二の通信手段104aに転送する。つまり、Y2では3番組分のストリームのみの帯域が使用される。この時、第二の通信路においては、3つの番組の伝送はマルチキャストではなく個々の番組をユニキャスト通信することにより実現される。
【0071】
具体的には、第二の通信手段104aは、第一の通信路101上の、マルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1のフレーム(番組A1)、マルチキャスト用IPアドレス224.0.1.2(番組A2)、及びマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.3(番組A3)のフレームを第二の通信手段104aへ伝送する。この時、IPアドレスには上記マルチキャスト用IPアドレスを使用するのではなく、ユニキャスト用IPアドレスを使用する。例えば、第一の通信手段102aには133.181.127.200を送信元アドレスとして、第二の通信手段104aには133.181.127.201を受信側アドレスとしてユニキャスト通信を行う。この時、MACアドレスのアドレス1(図3の1903)には、例えば00:80:45:0F:03:00等のユニキャスト用MACアドレスを使用する。つまり、第二の通信手段104aのMACアドレスを宛先とする。無線通信のMACレベルでユニキャスト通信を行うことにより、再送処理が行われ、高品質な伝送が可能となる。なお、「ユニキャスト用MACアドレス」とは、ノードのネットワークインターフェースに割り当てられたMACアドレスをいう。また、「ユニキャスト用IPアドレス」とは、ノードのネットワークインターフェースに設定されたIPアドレスをいう。
【0072】
これにより、MACアドレスにおいても第二の通信手段104bは自身宛のフレームとは解釈せず、また、第二の通信手段104bには133.181.127.202のIPアドレスが割り振られている。したがって、ユーザ端末105fが番組A1、ユーザ端末105hが番組A2の視聴を希望しているが、第二の通信手段104bは第二の通信手段104aへの伝送は、自身宛の伝送とは解釈しないので第一の通信手段102aに対して再送処理を行うことはない。
【0073】
これに対して、第一の通信手段102aは、ユーザ端末105f、およびユーザ端末105hへ番組A2を伝送する場合には、第二の通信手段104bに割り振られたIPアドレスを使用して、第二の通信手段104bとユニキャスト通信を行う。そして、番組A2を第二の通信手段104bを介して、ユーザ端末105f、およびユーザ端末105hへ伝送する。なお、他の番組についても同様である。また、第二の通信手段104a、および第一の通信手段104b以外で、第一の通信手段102aにおける無線ノード側のセグメントに参加している他のSTAまたはAPに対しても同様に、マルチキャストで配信された番組を、STAまたはAPのMACアドレス、すなわち、転送先のMACアドレスを使用してユニキャスト通信を行う。また、同時に複数の転送先に同一の番組を転送する際には、その番組を複写しながら、複写したものを転送先に転送する。
【0074】
第二の通信手段104aは、番組A1をユーザ端末aおよびユーザ端末dに転送し、番組A2をユーザ端末bに転送し、番組A3をユーザ端末cに転送する。当然のことながらY3,Y4,Y5,Y6では1番組分のデータが転送される。この時、再びマルチキャスト用IPアドレスに変換してもよいし、ユニキャスト用IPアドレスを使用してもよい、またIP以外のプロトコルを使用してもよい。
【0075】
つまり、本実施の形態の形態では、ビデオサーバ100から第一の通信路へは、IPマルチキャスト通信を行い、第一の通信手段102から第二の通信手段104へは、ネットワークレイヤにおいてもデータリンクレイヤにおいてもユニキャスト通信に変換し、最終的に第二の通信手段104から各ユーザ端末105へは再びマルチキャスト通信を行う。第二の通信手段104においては、複数のユーザ端末が同一番組の視聴を希望している場合に、番組の複製を行うことはIPマルチキャストの仕組みと同じであるが、第二の通信手段104から各ユーザ端末105へは必ずしもIPを使用する必要はなく、PLCや専用線などの独自プロトコルでもよい。また、トランスポート層のプロトコルは限定されない。
【0076】
第一の通信手段102aから第二の通信手段104bへの通信は、第一の通信手段102aには133.181.127.200を送信元アドレスとして、第二の通信手段104aには133.181.127.202を受信側アドレスとしてユニキャスト通信を行う。この時、MACレイヤのMACアドレスもユニキャスト用MACアドレスとする。すなわち、番組A1,A2,A4をユニキャスト通信で伝送する。この時、第二の通信手段104b宛のフレームは、第二の通信手段104aは自身宛と解釈しないので再送処理を行わない。
【0077】
図8は本願発明の処理手続きの一例を示す図である。図8においては第二の通信手段104a側の処理のみを説明する。
【0078】
まずユーザ端末105aは番組要求200において、第二の通信手段104aに対して、番組A1を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求200の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求210で番組A1の配信を要求する。
【0079】
次にユーザ端末105bは番組要求201において、第二の通信手段104aに対して、番組A2を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求201の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求211で番組A2の配信を要求する。
【0080】
さらに、ユーザ端末105cは番組要求202において、第二の通信手段104aに対して、番組A3を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求202の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求212で番組A3の配信を要求する。
【0081】
さらに、ユーザ端末105dは番組要求203において、第二の通信手段104aに対して、番組A1を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求203の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求213で番組A1の配信を要求する。
【0082】
IGMP要求で番組A1、A2、A3の配信要求を受け付けた第一の通信手段102aは、第一の通信路101上にIPマルチキャストで伝送されている全ての番組フレームの中から、番組A1、A2、A3のフレームのみを選択して第二の通信手段104aに配信する。これを図8において説明する。第一の通信手段102aは、第一の通信路101上でマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1で伝送されている番組フレーム220(番組A1)を取得し、番組配信230で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.201のユニキャストフレーム(MACアドレスもユニキャスト用MACアドレスを使用)として、第一の通信手段102aから第二の通信手段104aへ伝送する。番組A1は、ユーザ端末105aおよび105dが視聴を希望しているので、第二の通信手段104aは伝送されたフレームを複製して、番組配信240でユーザ端末105aに番組配信し、番組配信241でユーザ端末105dに番組配信する。
【0083】
同様に、第一の通信手段102aは第一の通信路101上にマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.2で伝送されている番組フレーム221(番組A2)を取得し、番組配信231で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.201のユニキャストフレーム(MACアドレスもユニキャスト用MACアドレスを使用)として、第一の通信手段102から第二の通信手段104aへ伝送する。番組A2は、ユーザ端末105bが視聴を希望しているので、第二の通信手段104aは、番組配信242でユーザ端末105bに番組配信(A2)する。
【0084】
同様に、第一の通信手段102aは、第一の通信路101上でマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.3で伝送されている番組フレーム222(番組A3)を取得し、番組配信232で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.201のユニキャストフレーム(MACアドレスもユニキャスト用MACアドレスを使用)として、第一の通信手段102から第二の通信手段104aへ伝送する。番組A3は、ユーザ端末105cが視聴を希望しているので、第二の通信手段104aは、番組配信243でユーザ端末105bに番組配信(A3)する。
【0085】
つまり、第一の通信手段102aは、第一の通信路101から第二の通信手段104aが管理するユーザ端末105a-dが視聴を希望する番組のフレームを検出する毎に、該フレームを取得し、第二の通信手段104aへ番組配信し、第二の通信手段104aから各ユーザ端末105へ番組配信する手順を繰り返すことにより、ユーザ端末が希望する番組のフレームが伝送される。
【0086】
なお、図8においては、ユーザ端末105a-dの番組要求200-203は時間的にほぼ同時に行われる場合を図示しているが、これはあくまでも一例であり、番組要求される時間はユーザの番組視聴意図に依存しており、時間的には必ずしもほぼ同時に行われるわけではない。
【0087】
また、第一の通信路101を流れる各番組のフレームも必ずしも図8に示したように、番組A1、A2、A3のフレームが整然と繰り返されて伝送されるわけではなく、各番組によってフレームの多い少ないなどがあり、フレーム順序はこの限りではない。しかし、第二の通信手段102aにおいては、配信すべき番組のフレームを検出する毎に該フレームを取得して、ネットワーク層、データリンク層のユニキャストの仕組みにより第二の通信手段104aに伝送することにより本願発明は容易に実現される。
【0088】
図9は本願発明の処理手続きの一例を示す図である。図9において、図8で説明した方法とは別の方法を説明する。図9で説明する方法が図8で説明する方法と異なるのは、第二の通信手段104aから第一の通信手段102aへのIGMP要求において、ユーザ端末105が同一の番組の視聴を要求した場合、図8で説明した方法ではユーザ端末105からの番組要求をそのままIGMP要求として、第二の通信手段104aから第一の通信手段102aへIGMP要求したが、図9で説明する方法では第二の通信手段104aでユーザ端末105からの番組要求を吸収して、同一の番組要求があった場合は第二の通信手段104aから第一の通信手段102aへのIGMP要求は1回しか行わない。以下、詳細に説明する。
【0089】
まずユーザ端末105aは番組要求300において、第二の通信手段104aに対して、番組A1を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求300の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求310で番組A1の配信を要求する。
【0090】
次にユーザ端末105bは番組要求301において、第二の通信手段104aに対して、番組A2を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求301の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求311で番組A2の配信を要求する。
【0091】
さらに、ユーザ端末105cは番組要求302において、第二の通信手段104aに対して、番組A3を要求する。第二の通信手段104aは、番組要求302の受信を受け、第一の通信手段102に対してIGMP要求312で番組A3の配信を要求する。
【0092】
さらに、ユーザ端末105dは番組要求303において、第二の通信手段104aに対して、番組A1を要求する。ここで第二の通信手段104aは、既に番組要求300でユーザ端末105aから番組A1の要求を受け付け、第一の通信手段102に対して、番組A1のIGMP要求を発行しているので、再度番組A1のIGMP要求を行うことはしない。つまり番組要求303は第二の通信手段104aがユーザ端末105dが番組A1を番組要求していることを管理するために使用される。
【0093】
番組配信320以降の処理は図8と同じである。すなわち番組配信320は番組配信220に相当し、番組配信330は番組配信230に相当し、番組配信340は番組配信240に相当し、番組配信341は番組配信241に相当し、番組配信321は番組配信221に相当し、番組配信331は番組配信231に相当し、番組配信342は番組配信242に相当し、番組配信322は番組配信222に相当し、番組配信332は番組配信232に相当し、番組配信343は番組配信243に相当する。
【0094】
ここで、ポイントは、番組要求303に対してIGMP要求は行われなかったが、第二の通信手段104aはユーザ端末105dがユーザ端末105aと同じく番組A1を要求していることを把握しているので、第二の通信手段104aは番組配信341において、番組配信330で配信された番組A1のフレームをユーザ端末105dに配信していることである。
【0095】
図14は第一の通信手段の内部構成の模式図である。図14において、第一の通信路101および第二の通信路は図7および図12に示したものと同じである。8000は第一の通信路インタフェースであり、本実施の形態ではイーサネット(R)のインタフェース処理を行う部分である。8001は第二の通信路インタフェースであり本実施の形態では再送処理を行うIEEE802.11に準拠した無線インタフェースである。8002はCPUである。8003はメモリである。8004は上記構成部分間のデータのやりとりを行うバスである。
【0096】
第一の通信路インタフェース8000はイーサネット(R)等の汎用部品を使用可能である。また、第二の通信路インタフェース8001は汎用の無線通信の部品を使用可能である。無線通信の汎用部品は無線の再送処理を行う。CPU8002およびメモリ8003も汎用部品を使用可能である。
【0097】
本願発明を特徴づけるのは、メモリ8003に格納されCPU8002で処理されるソフトウェア部分である。具体的には第一の通信路から第一の通信路インタフェース8000を介して必要な番組のフレームを受信し、一旦メモリ8003に格納した後に、上記で説明したようにユニキャストのIPアドレスおよびユニキャストのMACアドレスを付与して第二の通信路インタフェース8001を介して第二の通信路103に送信する。
【0098】
なお、番組の要求を行うIGMPの処理もCPU8002が行うがIGMP処理のソフトウェアは、IGMPv1(RFC 1112)、IGMPv2(RFC 2236)、IGMPv3(RFC 3376)に準拠するものである。
【0099】
また、通信相手先のMACアドレスを取得する処理は、一般的に無線通信でも行われている。
【0100】
以上説明したように、再送処理が行われる無線通信部分をユニキャスト通信することにより、無線通信区間では再送を行って高品質な伝送を行うと共に、システムとしてはマルチキャストを実現可能となる。つまり、本来再送を行わずに放送型でサービスを行うマルチキャストにおいて、信頼性の低い(エラー率の高い)無線通信部分に再送機構を利用することで、信頼性が向上している。
【0101】
また、無線の使用により、配線が不要となることで設置工事等の省力化が可能となる。
【0102】
なお、本実施の形態では番組の要求にIGMPを使用したが、必ずしもこれに限らず、番組要求することができればどのような形式でもよい。
【0103】
なお、APがルータ機能を備えることは必須ではなく、ブリッジ機能だけを有するAPでもよい。
【0104】
また、本実施の形態では、ネットワーク層およびMACレイヤのフレームの両方をユニキャストフレームに変換した。しかし、本願の要点は、無線のMACレイヤの再送機構を利用して信頼性を向上させることにあるので、ネットワーク層では、必ずしもユニキャストフレームに変換する必要はない。例えば、ネットワーク層では、マルチキャストフレームのままにして、MACレイヤのユニキャストフレームとして再送させても、本願発明を実現できることは言うまでもない。従って、そのような場合でも、本願発明の範囲から排除するものではない。
【0105】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図7を用いて説明したシステム構成の別の場合について説明する。図12は本願におけるマルチキャスト通信システムの構成図である。図12において、番組配信手段100、第一の通信路101、第一の通信手段102は図7と同じである。図12においては図7とは異なり、ユーザ端末605が無線のステーション(STA)機能を具備している。すなわち無線アクセスポイントである第一の通信手段(AP)102aとユーザ端末605a-hが直接無線通信を行う。
【0106】
図13は本願発明の処理手続きの一例を示す図である。以下、図12及び図13を用いて本実施の形態を詳細に説明する。なお、図13においてIGMPの処理はユーザ端末と第一の通信手段a間ですでに行われているものとして図示していない。
【0107】
第一の通信手段102aは、第一の通信路101上でマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1で伝送されている番組配信700(番組A1)を取得し、番組配信701で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.210のユニキャストフレームとしてユーザ端末105aに番組配信を行う。さらに、番組を複製し、番組配信702で、受信側アドレス133.181.127.213のユニキャストフレームとしてユーザ端末105dに番組配信を行う。さらに、番組を複製し、番組配信703で、受信側アドレス133.181.127.215のユニキャストフレームとしてユーザ端末105fに番組配信を行う。
【0108】
次に、第一の通信手段102aは、第一の通信路101上でマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.2で伝送されている番組配信704(番組A2)を取得し、番組配信705で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.211のユニキャストフレームとしてユーザ端末105bに番組配信を行う。さらに、番組を複製し、番組配信706で、受信側アドレス133.181.127.217のユニキャストフレームとしてユーザ端末105hに番組配信を行う。
【0109】
次に、第一の通信手段102aは、第一の通信路101上でマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.3で伝送されている番組配信707(番組A3)を取得し、番組配信708で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.212のユニキャストフレームとしてユーザ端末105cに番組配信を行う。
【0110】
次に、第一の通信手段102aは、第一の通信路101上でマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.4で伝送されている番組配信709(番組A4)を取得し、番組配信710で、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.214のユニキャストフレームとしてユーザ端末105eに番組配信を行う。さらに、番組を複製し、番組配信712で、受信側アドレス133.181.127.216のユニキャストフレームとしてユーザ端末105gに番組配信を行う。
【0111】
以降、番組配信713および番組配信714に示したように、第一の通信手段102aは自身が管理するユーザ端末が視聴を希望する番組のIPマルチキャストのフレームが、第一の通信路101上に、伝送される度に、第二の通信路103の無線通信区間において、ネットワーク層では、ユニキャストフレームに変換して伝送を行う。
【0112】
なお、この時、実施の形態1と同様にMACレイヤの処理でMACアドレスにもユニキャスト用IPアドレスが使用される。これにより無線部分の再送処理が行われ、高品質な伝送が実現される。
【0113】
上記の場合の第一の通信手段102の処理は、実施の形態1で図14を用いて説明したのと同じように実現される。すなわち、IPアドレス、MACアドレスの付け替えのソフトウェア処理が、第二の通信手段からユーザ端末にかわっただけである。
【0114】
以上説明した処理により、システム全体としてマルチキャストの仕組みを実現可能となる。
【0115】
なお、図13において、番組配信の順序は一例であり、バッファ等を用いて伝送順序は適宜変更可能であり、図13以外の伝送手順でも本願発明の範囲から排除するものではない。
【0116】
また、本実施の形態では、ネットワーク層およびMACレイヤのフレームの両方をユニキャストフレームに変換した。しかし、本願の要点は、無線のMACレイヤの再送機構を利用して信頼性を向上させることにあるので、ネットワーク層では、必ずしもユニキャストフレームに変換する必要はない。例えば、ネットワーク層では、マルチキャストフレームのままにして、MACレイヤのユニキャストフレームとして再送させても、本願発明を実現できることは言うまでもない。従って、そのような場合でも、本願発明の範囲から排除するものではない。
【0117】
(実施の形態3)
本実施の形態では、ネットワーク層のIPマルチキャストのフレームをそのままにして、さらに無線通信区間では、再送処理を行い高品質な伝送を実現する方法を説明する。
【0118】
具体的には、無線通信区間では、宛先のIPアドレスにマルチキャスト用IPアドレスをそのまま使用し、宛先のMACアドレスにユニキャスト用MACアドレスを使用することにより再送処理を行う。
【0119】
本実施の形態では、図7を用いて説明した実施の形態1、図12を用いて説明した実施の形態2の両方に適応可能である。なお、IPアドレス等は実施の形態1と同じものを使用する。
【0120】
まず、図7のシステム構成に示されるように、ユーザ端末105aおよびユーザ端末105dは番組A1の視聴を希望しているので、第一の通信手段102aはIPアドレスにマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1を使用し、MACアドレスのアドレス1に第二の通信手段104aのMACアドレスを指定してユニキャスト通信を行う。同様にユーザ端末105bは番組A2の視聴を希望しているので、IPアドレスにマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.2(番組A2)を使用し、MACアドレスのアドレス1に第二の通信手段104aのMACアドレスを指定してユニキャスト通信を行う。さらに、ユーザ端末105cは番組A3の視聴を希望しているので、IPアドレスにマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.3(番組A3)を使用し、MACアドレスのアドレス1に第二の通信手段104aのMACアドレスを指定してユニキャスト通信を行う。なお、このときのネットワーク層のマルチキャスト用IPアドレスは、番組配信手段(ビデオサーバ)100において設定されるとすればよい。
【0121】
第二の通信手段104aにおいて、MACレイヤの処理では自身宛のフレームと判断するので、上位レイヤであるネットワーク層の処理に移行し、ネットワーク層では、IPアドレスはマルチキャスト用IPアドレスがそのまま伝送されるので、第二の通信手段104aから各ユーザ端末への伝送にはIPマルチキャストの仕組みがそのまま使用可能である。
【0122】
なおこの時、第二の通信手段104bでは、送信されてきたフレームのIPアドレスはマルチキャスト用であり、例えばユーザ端末105fが視聴を希望している番組A1のマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1のフレームは検知するが、MACアドレスが自身宛ではないので再送処理を行わず、第一の通信手段102aに再送処理の負荷をかけることはない。
【0123】
本実施の形態の第一の通信手段102aは、実施の形態1および2で図14を用いて説明したのと同じ構成で実現される。ただし、本実施の形態の場合は、MACアドレスの付け替えのソフトウェア処理を行うだけであり、IPアドレスの付け替えは行わないのでより簡易な構成で実現可能である。
【0124】
以上のように、ネットワーク層の処理の変更なく、無線通信区間では再送処理を行って高品質な伝送を保証することが可能となる。
【0125】
また、無線通信区間以降の処理においてもマルチキャスト用IPアドレスがそのまま保持されるので、第一の通信手段および第二の通信手段等の無線通信区間の通信手段に特殊なマルチキャスト用IPアドレスに対して管理用の表を保持することなく簡易な構成の装置でIPマルチキャストの処理をそのまま継承可能である。
【0126】
なお、図12の構成では、第一の通信手段102aからは各ユーザ端末へはマルチキャスト用IPアドレスを使用し、MACアドレスは各ユーザ端末のMACアドレスを使用することにより、実現可能である。
【0127】
また、他の実施の形態と同様に、図15に示される構成において、通信路Y1が有線であり、この通信路Y1ではマルチキャスト用MACアドレスを使用して、マルチキャストグループによって特定される多数の送信先に同一の内容をマルチキャストで送信する。さらに、通信路Y2が無線であり、この通信路Y2ではユニキャスト用MACアドレスを使用して、マルチキャストグループによって特定される多数の送信先に同一の内容をユニキャストで送信する。なお、通信路Y3が有線であり、この通信路Y3ではマルチキャスト用MACアドレスを使用して、マルチキャストグループによって特定される多数の送信先に同一の内容をマルチキャストで送信するとしてもよい。
【0128】
なお、第二の通信手段104aの代わりに、図15に示されるように、イーサネット(R)の接続ポートが一つである第二の通信手段104xを用いるとしてもよい。この場合においても、通信路Y1(有線)ではマルチキャスト用MACアドレスを使用してマルチキャストで送信する。さらに、通信路Y4(無線)ではユニキャスト用MACアドレスを使用してユニキャストで送信する。そして、通信路Y5(有線)ではマルチキャスト用MACアドレスを使用してマルチキャストでユーザ端末105xに番組A1を送信する。
【0129】
例えば、ユーザ端末105xは、番組A1の視聴を希望すれば、番組A1を含むフレームに対して、第一の通信手段102aは、IPアドレスにマルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1を使用し、MACアドレスのアドレス1に第二の通信手段104xのMACアドレスを設定してユニキャスト通信を行う。
【0130】
そして、第二の通信手段104xは、番組A1を含むフレームを第一の通信手段102aから受信すると、受信したフレームに対するMACレイヤの処理では自身宛のフレームと判断するので、上位レイヤであるネットワーク層の処理に移行する。さらに、ネットワーク層では、IPアドレスにマルチキャスト用IPアドレスがそのまま使用されているので、そのマルチキャスト用IPアドレスを用いて再びマルチキャスト通信を行う。
【0131】
すなわち、第二の通信手段104xは、実施の形態1および2で図14を用いて説明した第二の通信手段104aと同じ構成で実現されつつ、MACアドレスの付け替えを行うだけであり、IPアドレスの付け替えは行わない。このように、ネットワーク層の処理の変更がなく、無線通信区間では再送処理を行って高品質な伝送を保証することが可能となる。また、無線通信区間以降の処理においてもマルチキャスト用IPアドレスがそのまま保持されるので、第一の通信手段102aおよび第二の通信手段104x等の無線通信区間の通信手段に特殊なマルチキャスト用IPアドレスに対して管理用の表を保持することなく簡易な構成の装置でIPマルチキャストの処理をそのまま継承可能である。
【0132】
なお、図15に示されるネットワーク構成以外にも、図16に示されるように、第二の通信手段104xの有線側の接続口は、イーサネット(R)を介して、ルータ、ブリッジ、ハブなどのネットワーク機器に接続され、第二の通信手段104xは、ネットワーク機器の後続のユーザ端末105xにマルチキャストで番組A1を配信するとしてもよい。つまり、番組配信手段100からマルチキャストで配信されたフレームが、無線通信路Y4では、無線マルチキャストの代わりに無線ユニキャストを用いて第二の通信手段104xに配信され、第二の通信手段104xにおいて、再度、マルチキャストで後続のネットワーク機器106xに配信されるとしてもよい。
【0133】
なお、図16においては、ユーザ端末105xがネットワーク機器106xに直接接続される形態を図示しているが、ユーザ端末105xは、ネットワーク機器106xのさらに後段のネットワーク機器(図示せず。)に接続されるなどとしてもよい。
【0134】
また、図16では、ユーザ端末は、1台のみを図示しているが、ネットワーク機器106xに直接あるいはその後段のネットワーク機器に複数のユーザ端末が接続される変形も考えられる。複数のユーザ端末により、複数の番組の視聴が希望された場合には、複数のマルチキャストストリームが無線通信路において、個々に無線ユニキャストに変換されて伝送され、第二の通信手段104xにおいて再度マルチキャストに変換されて伝送されることは言うまでもない。
【0135】
なお、本実施の形態では、第一の通信手段102aにおいて、本来なら無線マルチキャストで伝送するフレームを転送先毎に無線ユニキャストで伝送し、転送先のSTAまたはAPにおいて、再度、マルチキャストに変換して伝送するネットワーク構成であれば、転送先のSTAまたはAPからマルチキャストで伝送される機器が、ユーザ端末およびネットワーク機器のいずれであってもよいし、これら以外の通信機器であってもよいことは言うまでもない。
【0136】
なお、第二の通信手段104aまたは第二の通信手段104xは、STAではなく、APであってもよい。このとき、AP間通信の用途の一例として、オフィス等が2つのビルにまたがる場合、ビル内は有線で配線を行い、ビル間は無線でAP間通信を行うことができる。
【0137】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、より効率的な伝送方法を説明する。既に説明したように、例えば図8において、第一の通信手段102aから第二の通信手段104aへの番組配信は番組毎のフレーム伝送で実現される。図10Aは番組配信フレームの模式図である。図10Aにおいて、400は図8の番組配信230、401は図8の番組配信231、402は図8の番組配信232を示している。400、401、402では番組毎に構成されたIPフレームが時系列に伝送される。なお、図8においてはネットワーク層のヘッダであるIPヘッダ(IP Header)のみ図示しているが、実際には無線のユニキャスト通信を指定するMACレイヤ以下のヘッダも付加される。
【0138】
例えば、IEEE802.11で規定される無線通信においては、アクセス制御に自律分散制御(DCF:Distributed Coordination Function)による無線チャンネルアクセス方式を使用する場合は、フレームが伝送される毎に、受信端末(図7の場合、第二の通信手段104)が送信端末(図7の場合、第一の通信手段102)にACKフレームを送信し、送信端末において、送信後の一定時間内にACKフレームが受信されない場合は再送処理を行うというプロトコルである。図10Aにおいて、450、451、452がACKフレームである。
【0139】
また、集中制御によるアクセス制御(PCF:Point Coordination Function)による伝送の場合もフレームを伝送する場合にポーリング処理を行うことが必要である。
【0140】
すなわち、無線伝送においてはフレームを伝送する毎に、伝送したいフレーム(本実施の形態の場合は番組データ)の伝送だけでなく、無線アクセス制御用のフレームも伝送する必要があるため、そのフレームを送信する期間も伝送帯域が消費されるため伝送効率が悪い。具体的には、図10Aにおいては460,461,462の伝送帯域を消費している。またアクセスポイント(第一の通信手段102)およびステーション(第二の通信手段104)の処理負荷が発生すという問題もある。
【0141】
本実施の形態においては図10Bに示すような効率的な伝送を説明する。本発明のポイントは、無線伝送においては伝送フレームの個数を減らすことにより無線アクセス制御用のフレームを削減し、効率的な伝送を行うことである。図10Bにおいては、3つの番組のデータをひとつのフレーム内に重畳して伝送する。
【0142】
403において、440はIPヘッダ、441は次に続く番組データの番組情報が番組A1であることを示す情報であり、411と同一のものである。442は番組A1のデータであり412と同一である。443は次に続く番組データの番組情報が番組A2であることを示す情報であり、421と同一である。444は番組A2のデータであり422と同一である。445は次に続く番組データの番組情報が番組A3であることを示す情報であり、431と同一である。446は番組A3のデータであり432と同一である。3つの番組を重畳したフレーム403の後には、ACKフレーム452が伝送される。
【0143】
図11は本願発明の処理手続きの一例を示す図である。図11において、第一の通信路101上でIPマルチキャストで伝送される番組は図9と同じとする。第一の通信手段102aは第一の通信路101上から、マルチキャスト用IPアドレス224.0.1.1で伝送されている番組フレーム520(番組A1)、マルチキャスト用IPアドレス224.0.1.2で伝送されている番組フレーム521(番組A2)、マルチキャスト用IPアドレス224.0.1.3で伝送されている番組フレーム522(番組A3)を順次取得する。次に番組配信530において、送信元アドレス133.181.127.200、受信側アドレス133.181.127.201のユニキャストフレームとして、第一の通信手段102aから第二の通信手段104aへ伝送する。この時のフレームの構造は図10Bの403に示す構造となる。番組配信フレーム530を受信した第二の通信手段104aは、番組配信530のフレーム内から、番組A1のデータを抽出し、ユーザ端末105aに番組配信540で配信する。さらに番組A1のデータは複製され、番組配信541でユーザ端末105dにも配信される。
【0144】
さらに、第二の通信手段104aは、番組配信530のフレーム内から、番組A2のデータを抽出し、ユーザ端末105bに番組配信542で配信する。さらに、第二の通信手段104aは、番組配信530のフレーム内から、番組A3のデータを抽出し、ユーザ端末105cに番組配信543で配信する。
【0145】
以降、番組配信523から番組配信547までの処理も同様である。
【0146】
なお、図11においては、第一の通信路101上での番組A1,A2,A3は520,521,522に示すように整然と伝送される場合を例としたが、このような順序でない場合でも本願発明の本質は複数の番組のデータをまとめてひとつのフレームとすることにより、無線LANでの処理低減を行い帯域を有効に利用することにあるので、図11に示す限りではない。
【0147】
本実施の形態の場合の第一の通信手段102の処理は、実施の形態1、2および3で図14を用いて説明したのと同じ構成で実現される。この場合のCPU8002のソフトウェア処理の動作は、まず、第一の通信路101から第一の通信路インタフェース8000を介して、図10Aに示した複数の番組のフレーム(400,401,402)を受信してメモリ8003に一旦格納する。次に、メモリ8003から番組情報および番組データを一度に読み出して重畳し、第二の通信手段あるいはユーザ端末のIPアドレスの相手先IPアドレス440を付加して403の構成とし、第二の通信路インタフェース8001を介して第二の通信路103に送信する。
【0148】
以上、説明したように複数の番組のフレームをまとめることにより、ACKフレームが使用する帯域を削減し、帯域を有効に利用した無線通信が可能となる。また、図10Bで明らかなようにIPヘッダおよび無線のMACフレーム以下のヘッダ(図10Bには図示せず)のデータ数が削減されることも明らかであるので、削減されたデータ数分の通信帯域が有効に利用されることも言うまでもない。
【0149】
なお、本願の実施の形態1,2,3、4においては、再送処理を行う通信方式として、無線LANを例として説明を行ったが、これに限らず、再送処理を行う他の通信方式においても、本願発明は適応可能であり、他の通信方式に適応した場合でも本願発明の範囲から排除するものではない。
【0150】
なお、STAまたはAPなどの通信装置において実行されて通信装置の各機能を実現するプログラムを通信プログラムとし、通信プログラムを、コンピュータシステム、組み込みシステムなどのようなハードウェアシステムに読み出され得るように、光学記録媒体(例えば、CD-ROM等。)、磁気記録媒体(例えば、ハードディスク等。)、光磁気記録媒体(例えば、MO等。)、半導体記録媒体(例えば、メモリカード等。)などのようなコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておくとしてもよい。
【0151】
また、ネットワーク上のハードウェアシステムに通信プログラムを保持しておき、ネットワークを介して通信プログラムをダウンロードした他のハードウェアシステムにおいて実行されるとしてもよい。
【0152】
なお、STAまたはAPなどの通信装置を構成する1以上の機能は、不揮発性の記憶装置に格納されているプログラムによって通信装置に実現されるとしてもよいし、ネットワークプロセッサなどのようなシステムLSIに組み込まれているとしてもよい。さらに、システムLSIは、フルカスタムLSI(Large Scale Integration)によって実現されるとしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのようなセミカスタムLSIによって実現されるとしてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)などのようなプログラマブル・ロジック・デバイスによって実現されるとしてもよい。また、動的に回路構成が書き換え可能なダイナミック・リコンフィギュラブル・デバイスとして実現されるとしてもよい。
【0153】
さらに、STAまたはAPなどの通信装置を構成する1以上の機能を、これらのLSIに形成する設計データは、VHDL(Very high speed integrated circuit Hardware Description Language)、Verilog-HDL、SystemCなどのようなハードウェア記述言語によって記述されたプログラム(以下、HDLプログラムと呼称する。)としてもよい。また、HDLプログラムを論理合成して得られるゲート・レベルのネットリストとしてもよい。また、ゲート・レベルのネットリストに、配置情報、プロセス条件などを付加したマクロセル情報としてもよい。また、寸法、タイミングなどが規定されたマスクデータとしてもよい。
【0154】
さらに、コンピュータシステム、組み込みシステムなどのようなハードウェアシステムに読み出され得るように、光学記録媒体(例えば、CD-ROM等。)、磁気記録媒体(例えば、ハードディスク等。)、光磁気記録媒体(例えば、MO等。)、半導体メモリ(例えば、RAM等。)などのようなコンピュータ読み取り可能な記録媒体に設計データを記録しておくとしてもよい。そして、記録媒体を介して他のハードウェアシステムに読み取られた設計データが、ダウンロードケーブルを介して、プログラマブル・ロジック・デバイスにダウンロードされるとしてもよい。
【0155】
または、ネットワークなどのような伝送路を経由して他のハードウェアシステムに取得され得るように、伝送路上のハードウェアシステムに設計データを保持しておくとしてもよい。さらに、ハードウェアシステムから伝送路を介して、他のハードウェアシステムに取り込まれた設計データが、ダウンロードケーブルを介して、プログラマブル・ロジック・デバイスにダウンロードされるとしてもよい。
【0156】
または、論理合成、配置、配線された設計データを、通電時にFPGAに転送され得るように、シリアルROMに記録しておくとしてもよい。そして、シリアルROMに記録された設計データは、通電時に、直接、FPGAにダウンロードされるとしてもよい。
【0157】
または、論理合成、配置、配線された設計データは、通電時に、マイクロプロセッサによって生成されてFPGAにダウンロードされるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本願発明にかかる通信装置および通信システムは、ユニキャストが基本である無線通信等の通信手段を用いる場合でも、システムとしてマルチキャストを実現可能であるので、例えば航空機等で多数の乗客の端末にビデオを配信するシステム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、従来のIPマルチキャストによる番組配信システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、伝送路の途中に無線を用いたIPマルチキャストの模式図である。
【図3】図3は、MACフレームの模式図である。
【図4】図4は、本発明に係る実施の形態1における番組配信システムが搭載された航空機示す図である。
【図5】図5は、本発明に係る実施の形態1における番組配信システムが搭載された航空機の機内を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る実施の形態1における番組配信システムが搭載された航空機内の配線を示す図である。
【図7】図7は、本願におけるマルチキャスト通信システムの構成図である。
【図8】図8は、本願発明の処理手続きの一例を示す図である。
【図9】図9は、本願発明の処理手続きの一例を示す図である。
【図10A】図10Aは、番組配信フレームの模式図である。
【図10B】図10Bは、番組データが重畳された配信フレームの模式図である。
【図11】図11は、本願発明の処理手続きの一例を示す図である。
【図12】図12は、本願におけるマルチキャスト通信システムの構成図である。
【図13】図13は、本願発明の処理手続きの一例を示す図である。
【図14】図14は、第一の通信手段の内部構成の模式図である。
【図15】図15は、変形例における通信システムの構成を示す図である。
【図16】図16は、変形例における通信システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0160】
100 番組配信手段(ビデオサーバ)
101 第一の通信路
102 第一の通信手段(無線アクセスポイント)
103 第二の通信路
104 第二の通信手段
105 ユーザ端末
【図面】

















(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムであって、
前記第1通信装置は、
第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と、
受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と、
変換されたユニキャストフレームを、無線の第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え、
前記第2通信装置は、
前記第2通信路を介して、前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを、再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段を備え、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記マルチキャストフレームは、IPマルチキャストフレームであり、
前記変換手段は、前記IPマルチキャストフレームを、前記第2通信装置のMACアドレスをデータリンク層のアドレスとするユニキャストフレームに変換する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記変換手段は、前記IPマルチキャストフレームを、前記IPマルチキャストフレームに含まれるIPアドレスをネットワーク層のアドレスとし、かつ、前記第2通信装置のMACアドレスをデータリンク層のアドレスとするユニキャストフレームに変換する
ことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
前記変換手段は、前記IPマルチキャストフレームを、前記第2通信装置のIPアドレスをネットワーク層のアドレスとし、かつ、前記第2通信装置のMACアドレスをデータリンク層のアドレスとするユニキャストフレームに変換する
ことを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項5】
前記第2通信装置はさらに、コンテンツを受信したい旨を前記第1通信装置に要求する第2コンテンツ要求手段を備え、
前記第1通信装置はさらに、前記第2通信装置からのコンテンツ要求を受信する第1コンテンツ要求受信手段を備え、
前記第1コンテンツ受信手段は、前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から、前記第1コンテンツ要求受信手段が受信したコンテンツ要求に対応するコンテンツを格納したマルチキャストフレームを抽出して受信する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項6】
前記通信システムは、複数の前記第2通信装置を備え、
前記第1コンテンツ要求受信手段は、複数の前記第2通信装置からコンテンツ要求を受信し、
前記第1コンテンツ受信手段は、前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から、前記第1コンテンツ要求受信手段が受信した複数のコンテンツ要求に対応する複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームを抽出して受信し、
前記変換手段は、前記第1コンテンツ受信手段によって受信された複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換し、
前記第1コンテンツ送信手段は、前記変換手段によって変換されたユニキャストフレームを複数の前記第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項5記載の通信システム。
【請求項7】
前記第1通信装置はさらに、第1コンテンツ受信手段によって受信されたマルチキャストフレームに含まれる複数のコンテンツのうち、複数の前記第2通信装置から要求されたコンテンツを複製する第1コンテンツ複製手段を備え、
前記変換手段は、前記第1コンテンツ複製手段によって複製された複数の同一コンテンツに対応するマルチキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換し、
前記第1コンテンツ送信手段は、前記変換手段によって変換されたユニキャストフレームを要求元の複数の前記第2通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項6記載の通信システム。
【請求項8】
前記通信システムはさらに、前記第2通信装置に接続された第3通信装置を備え、
前記第2通信装置はさらに、前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームに含まれるコンテンツを前記第3通信装置に送信する第2コンテンツ送信手段を備え、
前記第3通信装置は、前記第2通信装置から送信されてくるコンテンツを受信してユーザに提示する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項9】
前記第2コンテンツ送信手段は、前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する
ことを特徴とする請求項8記載の通信システム。
【請求項10】
前記第2通信装置はさらに、
前記第3通信装置からのコンテンツ要求を受信する第2コンテンツ要求受信手段と、
前記第2コンテンツ要求受信手段が受信したコンテンツ要求に対応するコンテンツを受信したい旨を前記第1通信装置に要求する第2コンテンツ要求手段とを備え、
前記第1通信装置はさらに、前記第2通信装置からのコンテンツ要求を受信する第1コンテンツ要求受信手段を備え、
前記第1コンテンツ受信手段は、前記第1通信路を介して送信されてくるマルチキャストフレームの中から、前記第1コンテンツ要求受信手段が受信したコンテンツ要求に対応するコンテンツを格納したマルチキャストフレームを抽出して受信する
ことを特徴とする請求項8記載の通信システム。
【請求項11】
前記通信システムは、複数の前記第3通信装置を備え、
前記第2通信装置はさらに、前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたマルチキャストフレームに含まれる複数のコンテンツのうち、複数の前記第3通信装置から要求されたコンテンツを複製する第2コンテンツ複製手段を備え、
前記第2コンテンツ送信手段は、前記第2コンテンツ複製手段によって複製された複数の同一コンテンツを要求元の複数の前記第3通信装置に送信する
ことを特徴とする請求項10記載の通信システム。
【請求項12】
前記通信システムは、複数の前記第3通信装置を備え、
前記第2コンテンツ要求手段は、複数の前記第3通信装置から要求されるコンテンツが同一である場合に、それら複数の前記第3通信装置からの全てのコンテンツ要求を受信した後に、前記コンテンツを受信したい旨を前記第1通信装置に要求する
ことを特徴とする請求項10記載の通信システム。
【請求項13】
前記第1コンテンツ受信手段は、複数のコンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信し、
前記変換手段は、1つのユニキャストフレームに複数のコンテンツが含まれるように、前記第1コンテンツ受信手段によって受信された複数のコンテンツに対応するマルチキャストフレームをユニキャストフレームに変換する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項14】
前記第1通信路は、有線であり、
前記第1コンテンツ受信手段は、前記第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを、再送処理を具備しないプロトコルで受信する
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項15】
受信装置にコンテンツを伝送する送信装置であって、
第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と、
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と、
変換されたユニキャストフレームを、無線の第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする送信装置。
【請求項16】
送信装置から送られてくるコンテンツを受信する受信装置であって、
無線の第2通信路を介して、前記送信装置から送信されてくるユニキャストフレームを、再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段と、
前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する変換手段と
を備え、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする受信装置。
【請求項17】
前記送信装置は、
第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と、
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と、
変換されたユニキャストフレームを、前記第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備えている
ことを特徴とする請求項16記載の受信装置。
【請求項18】
受信装置にコンテンツを伝送する通信方法であって、
第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信ステップと、
受信されたマルチキャストフレームを前記受信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換ステップと、
変換されたユニキャストフレームを、無線の第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記受信装置に送信する第1コンテンツ送信ステップと
を含み、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項19】
航空機内で座席にコンテンツを配信する航空機コンテンツ配信システムであって、
第1通信装置と第2通信装置とから構成され、
前記第1通信装置は、
無線の第1通信路を介して、地上から送信されてくる、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信手段と、
受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換手段と、
変換されたユニキャストフレームを、無線の第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信手段とを備え、
前記第2通信装置は、
前記第2通信路を介して、前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを、再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信手段と、
前記第2コンテンツ受信手段によって受信されたユニキャストフレームに含まれるコンテンツを前記座席に送信する第2コンテンツ送信手段とを備え、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする航空機コンテンツ配信システム。
【請求項20】
第1通信装置と第2通信装置とから構成される通信システムにおける通信方法であって、
前記第1通信装置が、第1通信路を介して、コンテンツを格納したマルチキャストフレームを受信する第1コンテンツ受信ステップと、
前記第1通信装置が、受信されたマルチキャストフレームを前記第2通信装置宛てのユニキャストフレームに変換する変換ステップと、
前記第1通信装置が、変換されたユニキャストフレームを、無線の第2通信路を介して、再送処理を具備するプロトコルで、前記第2通信装置に送信する第1コンテンツ送信ステップと、
前記第2通信装置が、前記第2通信路を介して、前記第1通信装置から送信されてくるユニキャストフレームを、再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信ステップとを含み、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項21】
送信装置から送られてくるコンテンツを受信する受信装置による通信方法であって、
無線の第2通信路を介して、前記送信装置から送信されてくるユニキャストフレームを、再送処理を具備するプロトコルで受信する第2コンテンツ受信ステップと、
前記第2コンテンツ受信ステップによって受信されたユニキャストフレームをマルチキャストフレームに変換する変換ステップとを含み、
前記再送処理は、前記マルチキャストを規定する通信プロトコルのレイヤよりも下位のレイヤで行われる
ことを特徴とする通信方法。
【請求項22】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは、IP(Internet Protocol)であり、
前記再送処理を具備するプロトコルは、MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項23】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは、IP(Internet Protocol)であり、
前記再送処理を具備するプロトコルは、MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項15記載の送信装置。
【請求項24】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは、IP(Internet Protocol)であり、
前記再送処理を具備するプロトコルは、MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項16記載の受信装置。
【請求項25】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは、IP(Internet Protocol)であり、
前記再送処理を具備するプロトコルは、MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項18、20又は21記載の通信方法。
【請求項26】
前記マルチキャストを規定する通信プロトコルは、IP(Internet Protocol)であり、
前記再送処理を具備するプロトコルは、MAC(Media Access Control)レイヤのプロトコルである
ことを特徴とする請求項19記載の航空機コンテンツ配信システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2010-12-02 
出願番号 特願2006-519462(P2006-519462)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (H04L)
P 1 41・ 856- Y (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉田 隆之  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 萩原 義則
宮田 繁仁
登録日 2010-01-15 
登録番号 特許第4440265号(P4440265)
発明の名称 通信システム、送信装置、受信装置、通信方法および航空機コンテンツ配信システム  
代理人 新居 広守  
代理人 新居 広守  

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