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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05B
管理番号 1230499
審判番号 不服2009-2203  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-02 
確定日 2011-01-14 
事件の表示 特願2003-555860号「制御された発光の方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 7月 3日国際公開、WO03/55273、平成17年 9月22日国内公表、特表2005-528733号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1. 手続の経緯・本願発明
本願は、2002年12月19日(パリ条約による優先権主張2001年12月19日、2002年8月28日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成20年10月23日付けで拒絶査定がされ、この査定に対し、平成21年2月2日に本件審判が請求されるとともに、同年3月4日に手続補正(前置補正)がなされ、これに対して、当審において平成22年1月21日付けで拒絶理由を通知したところ、同年7月26日に意見書が提出されたものである。
本願の請求項1及び22に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1及び22に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、平成21年3月4日に補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりである。
「【請求項1】
ソケットを含む装置であって、
該ソケットは、ソケットに発光ユニットを挿入係合(plug in)または螺合係合(screwed into)する様に構成され、かつ、該ソケットは、発光ユニットのためのデータを処理し、該データに基づいて制御信号を発光ユニットに提供し、発光ユニットが作る光の、色または色温度のうちの少なくとも1つを変化させるために、発光ユニットが発生する複数の異なった色の放射のそれぞれの強度を独立に制御するように構成されたプロセッサと、発光ユニットが作る光の特定の色温度または色を設定するための一組の値を含む発光ユニットのパラメータを記憶するためのメモリと、を備え、ソケットが、通信手段を介して、該ソケットに関連付けたアドレスの割り当てを受けるように通信手段に接続されている装置。」

2. 引用刊行物とその記載事項
(1)当審における平成22年1月21日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である特表2001-514432号公報(以下「刊行物1」という。)には、多色照明を提供する方法及び装置に関して、図面と共に次の技術的事項が記載されている。
(ア)「【0002】
発明の背景
本発明は、LEDのような光源を用いて選択可能な色の光を提供することに関する。詳細には、本発明は、多色照明を提供する方法及び装置に関する。更に詳細には、本発明は、高性能で迅速な色選択及び変更が可能なコンピュータ制御された多色照明ネットワークを提供する装置に関する。
【0003】
・・(略)・・本発明は、異なる原色の少なくとも2つの発光ダイオード(LED)から投射された光を組み合わせることによりこれらの効果を利用する。」
(イ)「【0014】
光モジュール100の電気的構造を記載したことにより、ここで図2に示される電力モジュール200の電気的構造に関心を向ける。図6及び図7は、電力モジュール200の実施形態の電力端子側及び電気的コネクタ側を示す。」
(ウ)「【0020】
一旦スイッチ600がセットされると、マイクロコントローラIC2 400は、その唯一のアドレス(「私は誰か」)を知り、シリアル・ライン520上で、特にそれにアドレス指定されたデータ・ストリームを「聞く」。DMXプロトコルが好ましい高速ネットワーク・プロトコルを用いて、個々にアドレス指定されたマイクロコントローラIC2 400の各々に対してネットワーク・データを中央ネットワーク・コントローラ(図示せず)からアドレス指定する。・・(略)・・DMXプロトコルが好ましい高速ネットワーク・プロトコルを用いて、個々にアドレス指定されたマイクロコントローラIC2 400の各々に対してネットワーク・データを中央ネットワーク・コントローラ(図示せず)からアドレス指定する。・・(略)・・中央コントローラ(図示せず)は、順次データ・パケットから成るネットワーク・データのストリームを生成する。・・(略)・・データ・パケットが光番号15を意図される場合・・(略)・・デバイスはバイト番号15をセーブする・・(略)・・バイトは・・(略)・・所望の強度を直線的に表す。・・(略)・・そのように、LEDの3つの色の各々は、0と255との間の離散的強度値を割り当てられる。これらの各強度値は、マイクロコントローラIC2 400のメモリ(図示せず)内のそれぞれのレジスタに記憶される」
(エ)図1には、光モジュールの様式化した電気回路の概略図が、図2には、電力モジュールの様式化した電気回路の概略図が、図3には、一実施形態のハウジングの分解組立図が、図4には、光モジュールのLEDを含む側の平面図が、図5には、光モジュールの電気的コネクタ側の平面図が、図6には、電力モジュールの電力端子側の平面図が、図7には、電力モジュールの電気的コネクタ側の平面図が示されている。

ここで、主に上記記載事項及び図面から次のことが明らかである。
・記載事項(ウ)の「マイクロコントローラIC2」は、「DMXプロトコルが好ましい高速ネットワーク・プロトコルを用いて、個々にアドレス指定されたマイクロコントローラIC2 400の各々に対してネットワーク・データを中央ネットワーク・コントローラ(図示せず)からアドレス指定する。・・(略)・・中央コントローラ(図示せず)は、順次データ・パケットから成るネットワーク・データのストリームを生成する。・・(略)・・データ・パケットが光番号15を意図される場合・・(略)・・デバイスはバイト番号15をセーブする・・(略)・・バイトは・・(略)・・所望の強度を直線的に表す。・・(略)・・そのように、LEDの3つの色の各々は、0と255との間の離散的強度値を割り当てられる。」ものであって、記載事項(ア)の「迅速な色選択及び変更が可能なコンピュータ制御された多色照明ネットワークを提供する装置に関する」ものであるので、「データを処理し、該データに基づいて制御信号を光モジュール100に提供し、光モジュール100が作る光の色を変化させるために、光モジュール100が発生する複数の異なった色の放射のそれぞれの強度を独立に制御するように構成されたマイクロコントローラIC2」ということができる。
さらに、「マイクロコントローラIC2 400のメモリ」は、記載事項(ウ)の「LEDの3つの色の各々は、0と255との間の離散的強度値を割り当てられる。これらの各強度値は、マイクロコントローラIC2 400のメモリ(図示せず)内のそれぞれのレジスタに記憶される」メモリであるので、「光モジュール100が作る光の特定の色を設定するための一組の値を含む光モジュール100のパラメータを記憶するためのメモリ」ともいうことができる。

すると、上記の事項を総合すると刊行物1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が開示されているものということができる。
「電力モジュール200は、光モジュール100のためのデータを処理し、該データに基づいて制御信号を光モジュール100に提供し、光モジュール100が作る光の色を変化させるために、光モジュール100が発生する複数の異なった色の放射のそれぞれの強度を独立に制御するように構成されたマイクロコントローラIC2、光モジュール100が作る光の特定の色を設定するための一組の値を含む光モジュール100のパラメータを記憶するためのマイクロコントローラIC2内のメモリを備え、電力モジュール200が、電力モジュール200に関連付けたアドレスの指定を受けてネットワークに接続されている装置。」

(2)同じく当審における、平成22年1月21日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である国際公開第00/76034号(パテントファミリ:特表2003-501797号公報)(以下「刊行物2」という。)には、街路灯の電球をスイッチングする方法に関して、図面とともに次の技術的事項が記載されている。
なお、仏語文字の一部は、表記可能な文字で代用するとともに、文末にパテントファミリである特表2003-501797号公報の対応箇所の記載を仮訳として「( )」をつけて並記した。(以下「対応記載」という。)
(オ)「Le reseau peut avantageusement mettre en oeuvre une methode d'adressage interactive pour affecter une adresse a chaque noeud de la maniere suivante. Le module de controle de chaque noeud du reseau a en memoire, par exemple une memoire EEPROM, un numero d'identification lui servant d'adresse sur le reseau. A sa fabrication, avant installation sur site, il est attribue un mme numero d'identification par defaut a tous les noeuds. Chaque noeud est mis en service un apres l'autre sur le site pour participer au reseau, de la maniere suivante.

Apres mise en service initial d'un noeud sur le site, le routeur 3 ou un poste central de gestion quelconque envoie un message d'interrogation vers ce noeud ayant pour adresse le numero d'identification par defaut. Ce dernier retourne en reponse un accuse de reception. Le routeur 3 ou le poste central lui envoie alors un nouveau message lui indiquant un nouveau numero d'identification specifique qui constituera son adresse dans le reseau. A reception, le noeud en cause remplacera en memoire le numero d'identification par defaut par ce nouveau numero.

Une fois son nouveau numero memorise, on pourra proceder a la mise en service initial d'un autre noeud de la mme maniere. La procedure peut evidemment tre automatisee en envoyant cycliquement un message d'interrogation a l'attention d'un eventuel noeud ayant le numero d'identification par defaut. En cas de reponse, le routeur 3 ou le poste central saura qu'un nouveau noeud a ete mis en service et pourra alors automatiquement lui attribuer un numero d'identification specifique. Au contraire, le defaut de reponse signifie l'absence de mise en service d'un nouveau noeud ou eventuellement sa defaillance. Cette methode d'adressage interactive peut tre mise en place dans d'autres reseaux que celui de l'invention. Le reseau selon l'invention peut evidemment egalement utiliser une autre methode d'adressage.
(【0038】上記ネットワークは、好適には、以下のような各中継器に対するアドレスを指定(割付)するように、アドレシングの相互作用的方法を実行することができる。ネットワークの各中継器のための制御モジュールは、たとえばEEROM記憶装置のような記憶装置を備えている。ネットワーク上のアドレスとして機能するID番号がその記憶装置のために用いられる。所定位置での据えつけに先立つその製造中には、1またはそれ以上の初期設定(defalt)ID番号がすべての中継器に対して配分(割当て)られている。各中継器は、以下の説明するように、ネットワークに関与できるように、各場所において順次実働に供される。所定の中継器が最初に実働に供された後、ルータ3またはいずれかの中央管理ステーションは、初期設定ID番号をアドレスとして持つその中継器に対して、質問メッセージを送る。後者は、それに応答してその受領確認を返送する。そうすると、ルータ3または中央管理ステーションは、その中継器に対して、ネットワーク上のアドレスを構成する新ID番号を表す新メッセージを送信する。中継器は、それを受け取ると、記憶装置において初期設定ID番号を新ID番号に置き換える。一旦その新ID番号がメモリーに入ると、他の中継器が初期作動に入れられ、同様の手順で手続きが進められる。その手続きは、初期設定ID番号を有するかもしれないいずれかの中継器について質問メッセージを周期的に送ることにより自動的に実行される。応答の場合には、ルータ3 または中央管理ステーションは、新中継器が実働に供されたことを知ることができ、特有のID番号を自動的に割り当てることができる。他方、応答の欠如は新中継器が作動に供されないこと又はそれが故障である可能性を意味している。アドレシングに関する本相互作用方法は、本発明のネットワーク以外のネットワークに提供され得る。本発明にかかるネットワークは、上記とは異なる他のアドレシング方法が用いられ得る。)」(第7頁第31行?第8頁第13行)
(カ)「En relation avec la figure 2, nous allons maintenant decrire une douille gigogne 10 particulierement adaptee pour constituer un noeud 1 du reseau precedemment decrit.
La douille gigogne 10 comprend un boitier 11 ferme par un couvercle 12. Une douille male 13 a vis-similaire a un culot de lampe-est agencee dans le fond 1 la du boitier 11 et fait saillie hors du boitier 11. La douille male 13 est apte a tre connectee dans une douille femelle 20 equipant un candelabre 1 a. Le couvercle 12 tient par enclipsage sur le boitier 11. Il peut en outre tre colle pour assurer une etancheite complete.
Un circuit imprime 14a est agence a l'interieur du boitier. La douille 13 est reliee electriquement au circuit imprime 14a. Un deuxieme circuit imprime 14b est agence dans le boitier 11 entre le couvercle 12 et le circuit imprime 14a. Une douille femelle 15 a vis est agencee dans le couvercle 12. Le circuit imprime 14b comprend des lamelles 16 aptes a assurer le contact electrique avec une ampoule 21 correspondante lorsque celle-ci est vissee dans la douille 15.
En consequence, la douille gigogne 10 est apte a tre montee dans la douille femelle classique d'un candelabre qui habituellement recoit directement l'ampoule qui est maintenant recue par la douille femelle 15 de la douille gigogne 10. Bien evidemment, las douilles 13 et 15 peuvent tre de tout type adapte, autre qu'a vis. En variante, la figure 4 propose une douille gigogne dans laquelle la douille male 13 est remplacee par un bornier de connexion 13a place sur la face exterieure du fond 1 la du boitier 11 et par une tige filetee 13b egalement agencee sur la face exterieure du fond 1 la pour permettre la fixation de la douille gigogne 10 a l'aide d'un ecrou.
Les deux circuits imprimes 14a et 14b sont en liaison electrique l'un avec l'autre et comportent les circuits electroniques suivants, tels que illustres par la figure 4 : -un emetteur/recepteur radiofrequence 17 ; -un module de controle electronique a microprocesseur 18 ; -une alimentation a decoupage 19.
(【0053】同様に、無線メッセージサービスがネットワークを介して放送センターと受信者との間で有効となる。そのネットワークは、固定された状態で、或いは移動電話ネットワーク、たとえば市役所の職員専用のネットワークとして用いられる。
【0054】以下において、前記ネットワークの中継器1を構成するために適用された電球アダプタソケット10を図2を用いて説明する。
【0055】電球アダプタソケット10は、カバー12により閉じられる箱11を含む。電球ベースと同様のねじ形状である雄型ソケット13は、箱11の底11aに配置されている。その雄型ソケット13は、街路灯1aが設けられている雌型ソケット20内に接続されるようになっている。カバー12は箱11の上に止め着け(clip) されている。完全な耐リーク性を確実に得るためにさらに接着されてもよい。
【0056】印刷回路14aは上記箱11内に配置されている。前記雄型ソケット13はその印刷回路14aに電気的に連結されている。第2の印刷回路14bは、カバー12と印刷回路14aとの間に位置した状態で上記箱11内に配置されている。ねじ形状の雌型ソケット15は、そのカバー12に設けられている。上記第2の印刷回路14bは、電球21が雌型ソケット15内に螺合されたとき、その電球21と電気的に接触することができるようなパッド16を備えている。
【0057】それ故、電球アダプタソケット10は、上記電球アダプタソケット10の雌型ソケット15によって受け入れられている電球21が従来は直接的に嵌め付けられていた街路灯の雌型ソケット20に装着される。もちろん、ソケット13および15は、ネジ形状だけでなく、他の適当な形態によって構成されてもよい。1変形として、図3は、接続端子13aが箱11の底11aの外面に配置され且つ箱11の底11aの外面に配置されたネジ軸13bがナットの助けを借りて電球アダプタソケット10を固定することにより、雌型ソケット13が置換された電球アダプタソケットを例示している。
【0058】
上記2つの印刷回路14aおよび14bは、相互に電気的に接続されており、図4に示される以下の電子回路、すなわち無線周波数トランシーバ17と、マイクロプロセッサを主体とする電子制御モジュール18と、チョッパ型電源回路19とを備えている。)」(第11頁第13?38行)
(キ)「L'emetteur/recepteur 17 est interface avec le module de controle 18 qui gere les communications de l'emetteur/recepteur 17. L'emetteur/recepteur 17 et le module de controle 18 sont connus en soi et peuvent avantageusement presenter les caracteristiques et fonctions decrites pour ces elements en relation avec la description des noeuds 1. En particulier, le module de controle 18 pourra comprendre une memoire du type EEPROM pour stocker un numero d'identification servant a l'adressage dans le reseau. II pourra aussi comprendre une cellule photosensible 18a agencee par exemple dans un orifice realise sur le couvercle ou dans une paroi laterale du boitier 11 pour mesurer la luminosite exterieure au boitier. Plus generalement, nous rappelons que le module de controle 18 pourra inclure une unite de controle de candelabre pouvant notamment remplir une ou plusieurs des fonctions suivantes :
-commander l'allumage ou l'extinction de la lampe montee dans la douille 15 de la douille gigogne 10 elle-mme montee sur un candelabre la ou similaire ;
-gerer l'amorcage de cette lampe ;
-varier la puissance d'alimentation delivree a cette lampe ;
-mesurer le courant electrique consomme par cette lampe ;
-determiner le dephasage entre le courant et la tension (cos ?) ; -mesurer la temperature exterieure ou a l'interieur du module electronique.
(【0059】上記トランシーバ17は、そのトランシーバ17の通信を管理(制御)する制御モジュール18に相互接続(interface) されている。そのトランシーバ17および制御モジュール18は、良く知られたものであり、好適には、前記中継器1の構成のために説明された特性および機能を示す。特に、制御モジュール18は、メットワークにおけるアドレシングのために用いられるID番号を記憶するためのEEPROPM型の記憶装置を備えている。また、箱11の外部の明るさを測定するように箱11のカバー12或いは側壁に形成されたオリフィス内に配置された光検知セル18aを備えることができる。さらに、前記制御モジュール18は、以下の機能、すなわち(1) 街路灯1aその他に装着される電球アダプタソケット10の雌型ソケット15に装着された電球のスイッチオン(点灯)およびスイッチオフ(消灯)の制御、(2) その電球を起動させる管理、(3) その電球に供給される電力の調整、(4) その電球によって消費された電流の測定、(5) その電球に供給される電流および伝達の間の位相シフト(cos φ)の決定、(6) 外部温度または電子制御モジュール18の内部温度の測定のうちの1またはそれ以上の機能を実行することが可能な街路灯(電球)制御ユニットを含むことができる。これらの機能は、よく知られた手法により実行される。)」(なお、対応記載の「メットワーク」は「ネットワーク」の誤記と認める。)(第12頁第1?18行)
(ク)「Dans un autre mode de realisation, 1'emetteur/recepteur radio 17 est remplace par un emetteur/recepteur a courant porteur.
(【0065】@ 他の実施例では、前記無線トランシーバ17は、電流トランシーバに置き換えられ得る。)」(第12頁第36?37行)

ここで、主に上記記載事項及び図面から次のことが明らかである。
・記載事項(カ)(対応記載【0053】?【0058】)の「電球アダプタソケット10」は、Fig2又はFig3に記載された構成のものであり、電球アダプタソケット10の雌型ソケット15に電球21を螺合係合する様に構成されたものということができると共に、該電球アダプタソケット10は、記載事項(キ)(対応記載【0059】)の記載の様な、無線周波数トランシーバ17と、マイクロプロセッサを主体とする電子制御モジュール18と、チョッパ型電源回路19とを備えている印刷回路14aおよび14bを備えるものであって、その電子制御モジュール18は、記載事項(キ)のEEPROMも備えて、記載事項(キ)の制御を行うものであるので、電球21を制御するように構成されたマイクロプロセッサと、EEPROPM型の記憶装置と、を備えるともいえる。
・記載事項(カ)(対応記載【0054】)の「電球アダプタソケット10」は、ネットワークの中継器1を構成するために適用された電球アダプタソケット10であって、その中継器1は、記載事項(オ)(対応記載【0038】)の「ルータ3または中央管理ステーションは、その中継器に対して、ネットワーク上のアドレスを構成する新ID番号を表す新メッセージを送信する。中継器は、それを受け取ると、記憶装置において初期設定ID番号を新ID番号に置き換える。」旨のものであるので、中継器1、すなわち電球アダプタソケット10に関連付けたアドレスの割り当てを受けるようにネットワークに接続されているといえる。

すると、上記の事項を総合すると刊行物2には、次の構成が開示されているものということができる。
「電球アダプタソケット10を含む装置であって、
該電球アダプタソケット10は、電球アダプタソケット10に電球21を螺合係合する様に構成され、かつ、該電球アダプタソケット10は、電球21を制御するように構成されたマイクロプロセッサと、EEPROPM型の記憶装置と、を備え、
電球アダプタソケット10が、ネットワークを介して、該電球アダプタソケット10に関連付けたアドレスの割り当てを受けるようにネットワークに接続されている装置。」(以下、「刊行物2記載の発明」という。)

(3)同じく当審における,平成22年1月21日付けで通知した拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である特開平7-73973号公報(以下「刊行物3」という。)には、照明装置に関して図面とともに、次の技術的事項が記載されている。
(ケ)「【0018】・・(略)・・制御回路34は、演算手段と、不揮発性メモリとなどを有し・・(略)・・記憶している。」

3. 本願発明と引用発明との対比
(1)両発明の対応関係
(a)引用発明の「光モジュール100」は、本願発明の「発光ユニット」に相当し、同じく、「色を変化させる」は、「色または色温度のうちの少なくとも1つを変化させる」に、「マイクロコントローラIC2」は「プロセッサ」に、「マイクロコントローラIC2内のメモリ」は「メモリ」に、「ネットワーク」は「通信手段」にそれぞれ相当する。
(b)引用発明の「電力モジュール200」と、本願発明の「ソケット」とは、「発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分」である点において共通し、引用発明の「電力モジュール200に関連付けたアドレスの指定を受けてネットワークに接続されている」と、本願発明の「通信手段を介して、該ソケットに関連付けたアドレスの割り当てを受けるように通信手段に接続されている」とは、「発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分に関連付けたアドレスの指定を受けて通信手段に接続されている」点において共通する。

(2)両発明の一致点
「発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分は、発光ユニットのためのデータを処理し、該データに基づいて制御信号を発光ユニットに提供し、発光ユニットが作る光の、色または色温度のうちの少なくとも1つを変化させるために、発光ユニットが発生する複数の異なった色の放射のそれぞれの強度を独立に制御するように構成されたプロセッサと、発光ユニットが作る光の特定の色温度または色を設定するための一組の値を含む発光ユニットのパラメータを記憶するためのメモリと、を備え、発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分が、発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分に関連付けたアドレスの指定を受けて通信手段に接続されている装置。」

(3)両発明の相違点
(ア)本願発明は「ソケットを含む装置」であって、「該ソケットは、ソケットに発光ユニットを挿入係合(plug in)または螺合係合(screwed into)する様に構成され」ており、発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分が「ソケット」であるのに対して、引用発明の電力モジュール200は、「ソケット」ではない点。
また、そのことにともない、本願発明は「ソケットは、・・(略)・・プロセッサと・・(略)・・メモリと、を備え」たものであるのに対して、引用発明は、プロセッサ、メモリを備える電力モジュール200が「ソケット」ではない点。(以下「相違点(ア)」という。)
(イ)また、本願発明は「ソケットは、・・(略)・・プロセッサと・・(略)・・メモリと、を備え」たものとされているのに対して、引用発明では、メモリが「マイクロコントローラIC2内のメモリ」であって、「プロセッサ」と「メモリ」とが並列の関係で記載されるものではない点。(以下「相違点(イ)」という。)。
(ウ)本願発明は「ソケットが、通信手段を介して、該ソケットに関連付けたアドレスの割り当てを受けるように通信手段に接続されている」のに対して、引用発明の電力モジュール200のアドレスは、「通信手段を介して・・(略)・・アドレスの割り当てを受け」たものではない点(以下「相違点(ウ)」という。)。

4. 容易想到性の検討
(1)相違点(ア)について
刊行物2記載の発明における「電球アダプタソケット10」「電球21」「マイクロプロセッサ」「EEPROPM型の記憶装置」「ネットワーク」は、それぞれ本願発明の「ソケット」「発光ユニット」「プロセッサ」「メモリ」「通信手段」に相当するものであるので、刊行物2記載の発明は、本願発明の「ソケットを含む装置であって、
該ソケットは、ソケットに発光ユニットを螺合係合する様に構成され、かつ、該ソケットは、発光ユニットを制御するように構成されたプロセッサと、メモリと、を備え、ソケットが、通信手段を介して、該ソケットに関連付けたアドレスの割り当てを受けるように通信手段に接続されている装置」に相当する構成を有するものである。
そして、引用発明と刊行物2記載の発明は、共に通信手段に接続されて照明装置の発光ユニットを制御する装置である点で共通するものであるので、引用発明の発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分のを、上記刊行物2記載の発明の様に構成して、引用発明の電力モジュール200(本願発明の「ソケット」と「発光ユニットと通信手段の間に接続されている部分」である点で共通するもの。)を、刊行物2記載の発明の様に「ソケット」として、相違点(ア)に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。

(2)相違点(イ)について
刊行物2の記載事項(キ)(対応記載【0059】)に「制御モジュール18は、メットワークにおけるアドレシングのために用いられるID番号を記憶するためのEEPROPM型の記憶装置を備えている。」旨記載され、また、刊行物3の記載事項(ケ)に「制御回路34は、演算手段と、不揮発性メモリとなどを有し」と記載されている様に、メモリとして、マイコン内のメモリを使用するか、独立したものとするかは当業者が、メモリに要求する特性やコスト等を考慮して適宜選択する回路設計上の選択事項であり、引用発明のメモリを独立したものとして相違点(イ)に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。

(3)相違点(ウ)について
上記(1)に記載したように、引用発明と刊行物2記載の発明は、共に通信手段に接続されて照明装置の発光ユニットを制御する装置である点で共通するものであるので、刊行物2記載の発明の構成を採用して、引用発明の電力モジュール200に関連付けたアドレスを、刊行物2記載の発明の様に通信手段を介してアドレスの割り当てを受けるものとして、相違点(ウ)に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことと認められる。

(4)総合判断
そして、本願発明の作用効果は、引用発明、刊行物2?3に記載の事項、及び周知技術から当業者であれば予測できた範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用発明、刊行物2?3に記載の事項、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5. むすび
したがって、本願発明については、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-08-17 
結審通知日 2010-08-23 
審決日 2010-09-03 
出願番号 特願2003-555860(P2003-555860)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鳥居 稔  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 中川 真一
金丸 治之
発明の名称 制御された発光の方法および装置  
代理人 宮崎 昭彦  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 津軽 進  

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