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審決分類 審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B
管理番号 1230532
審判番号 不服2007-20043  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-07-19 
確定日 2011-01-13 
事件の表示 特願2004- 79929「対物レンズ駆動装置」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 8月 5日出願公開、特開2004-220769〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、及び本願発明
本願は、平成14年3月19日に出願された特願2002-75786号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成16年3月19日付けで新たな特許出願としたとされる出願であって、当審において平成22年6月1日付けで拒絶の理由を通知したところ、同年8月2日付けで手続補正がされたものである。
そして、本願の請求項1及び2に係る発明は、前記平成22年8月2日付けで手続補正がされた特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、請求項1に記載された発明は次のとおりである。

「【請求項1】
対物レンズを保持し、当該対物レンズの光軸と略平行な一対の面を有する可動部としてのレンズホルダと、
固定部としてのベースと、
前記レンズホルダを、前記ベースに対し、前記対物レンズの光軸方向、及び前記光軸に略直交する方向の二方向に移動可能に支持する支持手段と、
前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略直交する辺を有するフォーカシングコイルと、
前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略平行な辺を有するトラッキングコイルと、
マグネットと、
前記ベースに取り付けられた磁路形成手段であって、前記対物レンズの光軸と略平行な一対の面を有し、当該一対の面の一方に前記マグネットが固定され、当該マグネットによる磁界を前記フォーカシングコイルの前記辺及び前記トラッキングコイルの前記辺に及ぼさせる磁路形成手段と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに電流を供給する給電手段と
を備え、
前記給電手段の両端部が、前記レンズホルダの、前記対物レンズの光軸と略平行な前記一対の面において、前記二方向と略直交する方向の中心近傍に固定され、
前記給電手段の中央部が、前記磁路形成手段の前記マグネットが固定された面の反対面に取り付けられていること
を特徴とする対物レンズ駆動装置。」
(以下、「本願発明」という。)


2.分割出願の適法性について
本願が適法な分割出願であるか(特許法44条1項に規定する要件を満たすか)について検討する。
本願発明において、給電手段に関して「給電手段の中央部が」「磁路形成手段の」「マグネットが固定された面の裏側に取り付けられ」との特定がある点について、原出願の当初明細書の記載を確認する。
前記特定は、給電手段の他要素への取り付け態様に関するものであるので、関連する記載を参照すると、
段落【0027】に、
「壁状部分1cの長手方向における中心部には、フレキシブルプリント基板7(図3)を固定するための傾斜面1jが形成されている。」
段落【0031】に、
「このフレキシブルプリント基板7は、その両端部7a、7bにおいて、レンズホルダ1の一対の壁状部分1cの各傾斜面1jに固定されている。」
との記載があるが、これらの記載によっても、
(i)給電手段(フレキシブルプリント基板)に関しては、「両端部7a、7b」の言及があるのみで、そもそも原出願の明細書には「中央部」の文言自体記載が無く、また、実質的に「中央部」について言及したと認めるべき記載もない。
(ii)したがって、前記「中央部が」「磁路形成手段の」「マグネットが固定された面の裏側に取り付けられ」ていることを確認することができる記載はない。
(iii)図面については、図1、図3、図6及び図9を参照すると、フレキシブルプリント基板が、固定ヨークのマグネットが取り付けられている面と反対側の面を回り込むような配置となっている点は見て取れるものの、「中央部」が固定ヨークのマグネットが取り付けられている面と反対側の面で取り付けられていると確認することができる根拠はない。
更に付言すると、原出願に記載されたレンズホルダは、支軸3等によりベース9に対してフォーカシング方向に移動可能、及びトラッキング方向に回動可能なように支持され、フレキシブルプリント基板は、その両端が前記レンズホルダに取り付けられているのであるから、「中央部」が固定ヨークに取り付けられていなければならないと解すべき理由もない。
その他に原出願の当初明細書及び図面の全記載を精査しても、「給電手段の中央部が」「磁路形成手段の」「マグネットが固定された面の裏側に取り付けられ」との特定事項の根拠となる記載を見出すことができない。
したがって、本願請求項1及び同請求項を引用する請求項2に係る発明は、その特定事項である「給電手段」の取り付け態様を特定する事項に、原出願の当初明細書及び図面に記載されていない事項を含んでおり、したがって、本願は、原出願の包含する発明の一部を分割したものとすることができない。

以上のとおりであるから、本願は、適法な分割出願と認めることができないので、出願日については、遡及が認められず、現実の出願日である平成16(2004)年3月19日に出願したものと認める。


3.刊行物、及びその記載事項
(1)引用文献1
当審において通知した拒絶の理由に引用した刊行物である特開2003-272191号公報(以下、「引用文献1」という。)は、前記原出願の出願当初の明細書及び図面を公開した公報である。 引用文献1には、図面とともに以下のような記載がある。

(a)「【請求項1】 対物レンズを保持する可動部としてのレンズホルダと、
前記レンズホルダを、前記対物レンズの光軸方向に移動可能に、且つ前記光軸に平行な軸線を回動中心として回動可能に支持する固定部と、
前記レンズホルダ及び前記固定部のうちの一方に設けられると共に、前記回動中心に向かう方向又はその逆方向に分極着磁されたマグネットと、
前記レンズホルダ及び前記固定部のうちの他方に設けられ、前記光軸方向に略平行な辺を有するトラッキングコイルと、
前記レンズホルダ及び前記固定部のうちの前記他方に設けられ、前記光軸方向及び前記分極着磁方向の何れにも略直交する辺を有するフォーカシングコイルと、
前記マグネットによる磁界を、前記フォーカシングコイルの前記辺及び前記トラッキングコイルの前記辺に及ぼさせる磁路を形成する磁路形成手段と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに電流を供給する給電手段と、
前記マグネットとの間で生じる磁力により、前記レンズホルダを、前記光軸方向の基準位置及び前記回動方向の基準位置に向けて付勢する付勢手段とを有することを特徴とする対物レンズ駆動装置。
【請求項2】 前記マグネットは、前記固定部に設けられており、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルは、前記レンズホルダに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の対物レンズ駆動装置。」

(b)「【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1及び図2は、本発明の実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置をそれぞれ上方及び下方から見た斜視図である。図3は、実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置の分解斜視図であり、図4は、実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置の可動部の斜視図である。実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置は、図示しない光ディスク装置等に搭載されるものであって、図1に示すように、対物レンズ2を保持するレンズホルダ1と、このレンズホルダ1を支持する固定ベース(固定部)9とを有している。ここで、レンズホルダ1は、対物レンズ2を、その光軸方向(z方向)が記録媒体の記録面に直交するように保持している。以下の説明では、このz方向に直交するxy平面において、記録媒体のトラックを横切る方向に対応する方向をy方向とし、このy方向に直交する方向をx方向とする。
【0021】実施の形態1に係る対物レンズ駆動装置では、レンズホルダ1は、対物レンズ2の光軸に対して平行に固定ベース9に取り付けられた支軸(回動中心)3に沿って移動可能に、且つ支軸3を中心として回動可能に支持されている。レンズホルダ1には、このレンズホルダ1を移動及び回動するための駆動力を発生するコイルが取り付けられており、固定ベース9には、磁気回路を形成するためのマグネット8及び固定ヨーク11が取り付けられている。これらの構成要素につき、順に説明する。
【0022】固定ベース9は、一方向に長い略板状の部材であり、その長手方向における中心部には、対物レンズ2の光軸と平行に延びた貫通孔10が形成されている。この貫通孔10には、レンズホルダ1を支持するための支軸3が圧入又は接着等により固定されている。支軸3には、摩擦係数の小さなフッ素系樹脂等がコーティングされている。
【0023】図2に示すように、固定ベース9の長手方向一端部には、対物レンズ2に入射する光ビームを通過させる開口部9dが形成されている。固定ベース9の貫通孔10に対して開口部9dと反対の側には、長方形断面を有する貫通孔9eが形成されている。さらに、固定ベース9の側端面には、それぞれ球面の一部をなす球面部9a,9b,9cが形成されている。球面9a,9b,9cは、図示しない光ディスク装置等に設けられた球状の凹面を有する部材と係合するもので、固定ベース9の据付け角、すなわち支軸3の傾きの調整に利用される。
【0024】図3に示すように、固定ベース9には、固定ヨーク(磁路形成手段)11が取り付けられている。固定ヨーク11は、磁性材料により構成され、互いに平行に延びた第1及び第2の壁部11a,11b及びこれらを連結する略板状の底部11cを有している。第1及び第2の壁部11a,11bは、いずれも支軸3に対して平行に(すなわち対物レンズ2の光軸方向に)長く形成されている。底部11cは、固定ベース9の底面にネジ12a,12bにより固定されている。底部11cが固定ベース9の底面に固定された状態で、第1の壁部11aは、固定ベース9の開口部9dと反対側の端部9fに対向する。また、第2の壁部11bは、固定ベース9に形成された貫通孔9eを貫通して上方(レンズホルダ1側)に突出し、支軸3と第1の壁部11aとの間に位置している。
【0025】図1及び図3に示したように、第1の壁部11aの内側の面には、板形状のマグネット8が固定されている。マグネット8は、厚さ方向に分極着磁されており、その分極着磁の方向が、支軸3に向かう方向又はその逆方向と一致するようになっている。マグネット8は、レンズホルダ1の対物レンズ2と反対側の端部(後述する固定面)1hに対向するよう配置されている。
【0026】図4に示すように、レンズホルダ1は、軽量で高剛性なプラスチック材等で形成されたものであり、一方向に長い板状部分1aを有している。この板状部分1aの長手方向一端には、対物レンズ2を装着するレンズ装着部1gが形成されている。以下の説明では、レンズホルダ1の対物レンズ2側(レンズ装着部1g側)を「前方」とし、その反対側を「後方」として説明する。板状部分1aの長手方向における中心部には、円筒状部分1bが、下方(固定ベース9側)に向けて突出形成されている。この円筒状部分1bには、円形断面を有する貫通孔である軸受け部1eが形成されている。
【0027】板状部分1aの幅方向における両側端には、この板状部分1aの長手方向における中心部から後端部にかけて延びた一対の壁状部分1cが形成されている。壁状部分1cの長手方向における中心部には、フレキシブルプリント基板7(図3)を固定するための傾斜面1jが形成されている。壁状部分1cの後端面は、次に説明するトラッキングコイル5a,5bを固定するための固定面1hとなっている。円筒状部分1bの後方に隣接して、長方形断面を有する孔部1fが形成された直方体状部分1dが、下側(固定ベース9側)に向けて突出形成されている。この直方体状部分1dの孔部1fには、上述した固定ヨーク11の第2の壁部11bが挿入されるようになっている。
【0028】レンズホルダ1の直方体状部分1dの外周には、フォーカシングコイル4が固定されている。このフォーカシングコイル4は、y方向の2辺とx方向の2辺とを有するように、矩形形状に巻き回されている。このフォーカシングコイル4は、直方体状部分1dの孔部1fに挿入された(固定ヨーク11の)第2の壁部11bの周囲を囲むようになっている。また、このフォーカシングコイル4の一部は、固定ヨーク11の第1の壁部11aに固定されたマグネット8に対向している。
【0029】レンズホルダ1の壁状部分1cの固定面1hには、トラッキングコイル5a,5bが固定されている。このトラッキングコイル5a,5bは、いずれも、y方向の2辺とz方向の2辺とを有するように矩形形状に巻き回されている。トラッキングコイル5a,5bは、固定ヨーク11の第1の壁部11aに固定されたマグネット8に対向している。
【0030】レンズホルダ1の直方体状部分1dには、図3に示すように、フォーカシングコイル4を上下に挟みこむように、一対の磁性板(付勢手段:磁性体)6a,6bが取り付けられている。これら磁性板6a,6bは、ステンレス鋼やニッケル等の磁性材により形成されている。磁性板6a,6bは、支軸3と直交する平面(xy平面)において矩形状であり、支軸3方向における寸法がマグネット8に比して充分に小さくなるように形成されている。磁性板6a,6bのマグネット8に対向する側の各辺の両端には、突出部61,62が形成されている。突出部61,62は、レンズホルダ1の壁状部分1cの固定面1hに固定されたトラッキングコイル5a,5bの中空部分(巻き回されたコイルの内側)に位置し、マグネット8と直接対向するようになっている。
【0031】フォーカシングコイル4及びトラッキングコイル5a,5bは、フレキシブルプリント基板(給電手段)7を介して、光ディスク装置等の固定部に電気的に接続されている。このフレキシブルプリント基板7は、その両端部7a、7bにおいて、レンズホルダ1の一対の壁状部分1cの各傾斜面1jに固定されている。」

以上の記載及び図面を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下、「引用発明」という)。

「対物レンズを保持し、一対の壁状部分の長手方向における中心部に傾斜面が形成された、可動部としてのレンズホルダと、
前記レンズホルダを、前記対物レンズの光軸方向に移動可能に、且つ前記光軸に平行な軸線を回動中心として回動可能に支持する固定ベースと、
前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略平行な辺を有するトラッキングコイルと、
前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向及び前記分極着磁方向の何れにも略直交する辺を有するフォーカシングコイルと、
固定ベースに取り付けられた固定ヨーク(磁路形成手段)であって、互いに平行に、かついずれも支軸に対して平行に(すなわち対物レンズの光軸方向に)延びた第1及び第2の壁部11a,11bを有し、第1の壁部11aの内側の面には、板形状のマグネットが固定されて、前記マグネットによる磁界を、前記フォーカシングコイルの前記辺及び前記トラッキングコイルの前記辺に及ぼさせる磁路を形成する磁路形成手段と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに電流を供給するフレキシブルプリント基板(給電手段)と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板7は、その両端部7a、7bにおいて、レンズホルダ1の一対の壁状部分1cの各傾斜面1jに固定されている、
対物レンズ駆動装置。」

(2)引用文献2
当審において通知した拒絶の理由に引用した実願昭63-3559号(実開平1-109823号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下のような記載がある。

(c)「本考案は光ディスクプレーヤ等の光学式情報記録再生装置に使用される光ヘッドの対物レンズ保持機構に関する。」(1頁15行?17行)

(d)第1図ないし第3図を参照して、実施例について次のように記載されている。
「図に於いて、21は対物レンズであり、保持部材22に固定されている。保持部材22は、保持部材22に形成した弧状部22aとベース23に形成した弧状部23aとに略円形となる状態で接着剤や両面粘着テープ等により粘着された略帯状の二本のフレキシブルプリント配線基板24,25により、ベース23に取り付けられている。フレキシブルプリント配線基板24,25は周知のごとく、厚さ30μm?100μm程度のポリイミド、ポリエステル等から成るフィルム状のベースに銅薄膜から成る導電箔24a,25aを形成したものであり、可撓性、及び復元性を有する。この作用により、保持部材22は、基台23に対して矢印E方向及びF方向に、図示した姿勢のまま変位可能でかつ、中立位置への復元力を受けた状態に支持される。保持部材22はまた、フォーカスコイル26とトラッキングコイル27とが固定され、これらはフレキシブルプリント配線基板24,25の保持部材22との固定部に設けられた電極部24b、25bにハンダ付けにより接続されている。フレキシブルプリント配線基板24,25の基台23との固定部には導電箔24a,25aにより上記の電極部24b,25bが形成されており、図示しない外部の電気回路tの連絡に供される。(中略)28は各コイル26,27に対向する様、基台23に固定されたマグネットであり、各コイル26,27に対して外部磁界を形成する。」(7頁2行?8頁15行)

4.対比
引用発明と本願発明は、いずれも「対物レンズ駆動装置」である点で一致する。
引用発明の「対物レンズを保持し、一対の壁状部分の長手方向における中心部に傾斜面が形成された、可動部としてのレンズホルダ」は、前記「傾斜面」について図1,図2,図3,図4等を参照すると明らかに垂直方向の面で、すなわち「光軸と略平行」であるから前記引用発明の「レンズホルダ」は、本願発明の「対物レンズを保持し、当該対物レンズの光軸と略平行な一対の面を有する可動部としてのレンズホルダ」に相当する。
引用発明の「固定ベース」は、本願発明の「固定部としてのベース」に相当する。
引用発明の固定ベースは、「レンズホルダを、前記対物レンズの光軸方向に移動可能に、且つ前記光軸に平行な軸線を回動中心として回動可能に支持する」ので、引用発明は本願発明の「前記レンズホルダを、前記ベースに対し、前記対物レンズの光軸方向、及び前記光軸に略直交する方向の二方向に移動可能に支持する支持手段」を備えている。
引用発明の「前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向及び前記分極着磁方向の何れにも略直交する辺を有するフォーカシングコイル」、及び「前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略平行な辺を有するトラッキングコイル」は、それぞれ本願発明の「前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略直交する辺を有するフォーカシングコイル」、及び「前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略平行な辺を有するトラッキングコイル」に相当する。
引用発明の「板形状のマグネット」は、本願発明の「マグネット」に相当する。
引用発明の「前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに電流を供給するフレキシブルプリント基板(給電手段)」は、本願発明の「前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに電流を供給する給電手段」に相当する。
引用発明において、「前記フレキシブルプリント基板7は、その両端部7a、7bにおいて、レンズホルダ1の一対の壁状部分1cの各傾斜面1jに固定されている」との特定は前記傾斜面がレンズホルダにおいて「一対の壁状部分の長手方向における中心部に傾斜面が形成された」ものであることも併せると、本願発明の「前記給電手段の両端部が、前記レンズホルダの、前記対物レンズの光軸と略平行な前記一対の面において、前記二方向と略直交する方向の中心近傍に固定され」との特定に相当する。

以上のことからすると、引用発明は、本願発明と次の(一致点)で一致し、(相違点)で相違する。

(一致点)
「対物レンズを保持し、当該対物レンズの光軸と略平行な一対の面を有する可動部としてのレンズホルダと、
固定部としてのベースと、
前記レンズホルダを、前記ベースに対し、前記対物レンズの光軸方向、及び前記光軸に略直交する方向の二方向に移動可能に支持する支持手段と、
前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略直交する辺を有するフォーカシングコイルと、
前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に略平行な辺を有するトラッキングコイルと、
マグネットと、
前記ベースに取り付けられた磁路形成手段であって、前記対物レンズの光軸と略平行な一対の面を有し、当該一対の面の一方に前記マグネットが固定され、当該マグネットによる磁界を前記フォーカシングコイルの前記辺及び前記トラッキングコイルの前記辺に及ぼさせる磁路形成手段と、
前記フォーカシングコイル及び前記トラッキングコイルに電流を供給する給電手段と
を備え、
前記給電手段の両端部が、前記レンズホルダの、前記対物レンズの光軸と略平行な前記一対の面において、前記二方向と略直交する方向の中心近傍に固定されている
対物レンズ駆動装置。」
である点。

(相違点)
本願発明は、「前記給電手段の中央部が、前記磁路形成手段の前記マグネットが固定された面の反対面に取り付けられている」と特定するのに対し、引用発明には、そのような特定がない点。


5.判断
引用文献2に記載された「レンズ保持機構」は、「レンズ駆動装置」である点で引用発明と共通する。前記レンズ保持機構には、保持部材に設けられたフォーカスコイル及びトラッキングコイルに対向するように、基台23にマグネット28が取り付けられているとともに、前記フォーカスコイル及びトラッキングコイルと電気的に接続されるフレキシブルプリント配線基板の電極部が基台の、前記マグネットが取り付けられた面と反対側の面で電極部において接続、すなわち取り付けられていることが記載されている。
引用文献1には、フレキシブルプリント基板が、磁路形成手段である固定ヨークの外側、すなわちマグネットが取り付けられた面と反対側に回り込むように配置されていることが明らかに見て取れるのであるから、引用文献2に記載された、フレキシブルプリント配線基板の接続位置を参照して、中央部に電極部を形成することにより「当該中央部が、磁路形成手段のマグネットが固定された面の反対面に取り付けられている」ように形成することは当業者が容易に想到しうることである。

また、本願発明の奏する効果についても各引用文献から当業者が十分予測しうるものであって格別な点は認められない。

以上のとおりであるから、本願発明は、各引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.結び
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、各引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-28 
結審通知日 2010-11-09 
審決日 2010-12-01 
出願番号 特願2004-79929(P2004-79929)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G11B)
P 1 8・ 03- WZ (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古河 雅輝山崎 達也  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 早川 学
関谷 隆一
発明の名称 対物レンズ駆動装置  
代理人 山形 洋一  
代理人 前田 実  
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