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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01F |
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管理番号 | 1230623 |
審判番号 | 不服2007-15678 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-06-06 |
確定日 | 2011-02-01 |
事件の表示 | 特願2001-532063「コリオリ流量計の本質的に安全な信号調整装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年4月26日国際公開、WO01/29519、平成15年4月2日国内公表、特表2003-512612、請求項の数(50)〕についてした、平成21年12月15日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において、審決取消の判決(平成22年(行ケ)第10124号、平成22年11月30日判決言渡)があったので、更に審理の結果、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
本願は、平成12年9月26日(パリ条約による優先権主張 1999年10月15日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1ないし50に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし50に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 [説明] 原審及び先の審決で、請求項45に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、進歩性を欠くとの判断の根拠となった主たる刊行物である特開平8-166272号公報(以下、「引用例」という。)について検討する。 引用例の段落【0020】?【0025】及び図1、図2の記載から、引用例には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「コリオリ流量計1と特殊ケーブル(多芯)で接続された、コリオリ流量計に適用される変換器回路であって、前記変換器回路は、信号処理部20と、前記信号処理部20に接続された(A/D)変換部29及びCPU30とから成り、前記信号処理部20が、コリオリ流量計1に接続されたスイッチ21,22、ブリッジ回路(R1、R2、R3、PTR9又はPTR10)及び演算増幅器24と、前記(A/D)変換部29及びCPU30に接続されたツェナーバリアユニット25及びヒューズ27、並びにツェナーバリアユニット26及びヒューズ28から成る、コリオリ流量計に適用される変換器回路。」(以下、「引用発明」という。) 本願発明と引用発明との主たる相違点は、以下のとおりである。 ・相違点1:本願発明が、流量計信号処理システムを、信号調整装置(201)と、これに遠隔結合されたホスト・システム(200)とに分離しているのに対し、引用発明では、信号処理部20と、前記信号処理部20に接続された(A/D)変換部29及びCPU30とが、一体のものとして変換器回路を構成していると解される点。 ・相違点2:本願発明は、その信号調整装置(201)が、流量計組立体(10)に結合された流量計組立体保護回路(330)と、ホスト・システム(200)に結合されたホスト側保護回路(320)とを備えるのに対し、引用発明は、その信号処理部20が、(A/D)変換部29及びCPU30に接続されたツェナーバリアユニット25及びヒューズ27、並びにツェナーバリアユニット26及びヒューズ28を備える点。 ・相違点3:本願発明では、その信号調整装置(201)と、ホスト・システム(200)とが、本質的に安全な閾値内で動作するとしているのに対し、引用発明では、変換器回路を構成する信号処理部20と、前記信号処理部20に接続された(A/D)変換部29及びCPU30とが、本質的に安全な閾値内で動作するのか、明らかでない点。 そこで、上記相違点1ないし3について検討する。 ・相違点1について まず、引用発明において、変換器回路(すなわち、信号処理部20とこれに接続された(A/D)変換部29及びCPU30)は、引用例の図2の記載から見ても、コリオリ流量計1に対し、遠隔に配置されることが前提となっているものと解され、してみると、引用発明において、信号処理部20と、(A/D)変換部29及びCPU30とを切り離して、(A/D)変換部29及びCPU30を信号処理部20に対して遠隔に配置することは、ただちに想定されないものと認められる。 さらに、引用発明の信号処理部20を構成する「コリオリ流量計1に接続されたスイッチ21,22、ブリッジ回路(R1、R2、R3、PTR9又はPTR10)及び演算増幅器24」は、専らコリオリ流量計本体1に設けられた内側温度検出素子PTR9と外側温度検出素子PTR10とを切り換えて、PTR9又はPTR10を構成要素に含むブリッジ回路の出力信号を増幅するものであり、PTR9とPTR10との切り換え制御や、ピックオフ信号の調整はCPU30で行っている(引用例の段落【0023】)から、引用発明の「信号処理部20」は、駆動制御やピックオフ信号調整を行っている、本願発明の「信号調整装置(201)」に相当するものではない。同様に、引用発明の「(A/D)変換部29及びCPU30」は、本願発明の「ホスト・システム(200)」に相当するものでもない。 ・相違点2について 引用発明の「ツェナーバリアユニット26及びヒューズ28」は、CPU30から信号処理部20を保護するためのものであり(引用例の段落【0024】の「信号処理部20は本質安全防爆となるため、・・・。このとき、CPU30から出力されるコントロール信号に対してもツェナーバリアユニット26,ヒューズ28が取り付けられる。」)、ツェナーバリアユニットとヒューズの互いの位置関係から、ツェナーバリアユニット25及びヒューズ27も、(A/D)変換部29及びCPU30から信号処理部20を保護するためのものと解される。 してみると、引用発明の信号処理部20を構成する「ツェナーバリアユニット25及びヒューズ27、並びにツェナーバリアユニット26及びヒューズ28」は、(A/D)変換部29及びCPU30に接続されているものの、信号調整装置(201)からホスト・システム(200)を保護する、本願発明の「ホスト側保護回路(320)」に相当するものではない。 ・相違点3について 引用例には、「信号処理部20は本質安全防爆となるため、図2に示す変換器回路を構成して・・・」との記載があるが(引用例の段落【0024】)、この記載が、ただちに、引用発明の変換器回路を構成する、信号処理部20とこれに接続される(A/D)変換部29及びCPU30とが、本質的に安全な閾値内で動作することを示唆することにはならない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-03 |
結審通知日 | 2009-12-04 |
審決日 | 2009-12-15 |
出願番号 | 特願2001-532063(P2001-532063) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 森 雅之 |
特許庁審判長 |
飯野 茂 |
特許庁審判官 |
山川 雅也 越川 康弘 |
発明の名称 | コリオリ流量計の本質的に安全な信号調整装置 |
代理人 | 千葉 昭男 |
代理人 | 小野 新次郎 |
代理人 | 社本 一夫 |
代理人 | 小林 泰 |
代理人 | 富田 博行 |
代理人 | 田中 英夫 |