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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1230653 |
審判番号 | 不服2007-34006 |
総通号数 | 135 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-12-17 |
確定日 | 2011-01-19 |
事件の表示 | 特願2002-555571「通信ネットワークでプライバシーを呼び出す方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 7月11日国際公開、WO02/54814、平成16年 6月10日国内公表、特表2004-517573〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成14年1月3日(パリ条約に基づく優先権主張 外国庁受理2001年1月4日 フィンランド共和国)を国際出願日とする出願であって、平成19年9月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成19年12月17日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2.本願発明について 1.本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年6月28日付けの手続補正書の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「 【請求項1】 通信ネットワークのユーザー装置(UE)に関するプライバシーを呼び出す方法であって、 位置サービスクライアント(Client)から位置サービスセンタ(GMLC)へ位置サービス要求を送信する(2-2)ステップを有し、更に 前記位置サービスセンタ(GMLC)は位置決定されるべきユーザー装置(UE)に、該ユーザー装置(UE)のユーザーにその特定の位置サービス要求を受け入れるかあるいは拒絶するかを促すプライバシー要求を直接送信する(2-4)ステップと、 前記ユーザー装置(UE)は前記位置サービスセンタ(GMLC)にプライバシー応答(2-18)を送信するステップと、 前記位置サービスセンタ(GMLC)は、前記位置サービス要求が前記プライバシー応答で受け入れられる場合には前記の要求クライアント(Client)に位置情報を提供し、そうでなければ前記位置サービス要求を拒絶するステップと、 を有することを特徴とするプライバシーを呼び出す方法。」 2.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1(特開平6-189359号公報)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (a)段落番号【0012】-【0018】 「【0012】このように構成された装置の動作は次の通りである。この実施例は公衆電話網の端局1に収容されている加入者装置50が移動通信網内の移動端末5の位置を確認するための位置通知サービスを受ける場合の例である。先ず、公衆電話網内の加入者は、位置通知サービスを受けるためのアクセスコードをダイヤルし、引き続き移動端末5の端末番号をダイヤルする。 【0013】端局1はこのアクセスコードと端末番号とを識別受信し、公衆電話網内のゲートウェイ局2へ接続する。このとき加入者情報、被呼番号(この例の場合は端末番号)等の通常の接続情報と共に位置通知アクセスであるという識別情報を伝達する。 【0014】公衆電話網内のゲートウェイ局2と移動通信網内のゲートウェイ局3はこれらの情報を移動通信網内の基地局4へ伝送する。基地局4はこれらの情報を基に移動端末5に対して位置通知要求信号を送出して移動端末5の呼出を行う。 【0015】移動端末5は位置通知要求信号を受信すると、自機のサービスオン/オフ部32をチェックし、それがオフとなっていれば拒絶信号を返送し、オンとなっていれば自動応答部31で自動応答する。 【0016】このとき、発信情報オン/オフ部33をチェックし、オンとなっていれば発信加入者情報を自機の表示部に表示する。また、アクセス音オン/オフ部34をチェックし、オンとなっていればアクセス音を鳴動させる。 【0017】自動応答を受信した基地局4は位置情報分析部21で移動端末5の位置を分析し、アドレス情報をアドレス情報設定部22で設定する。このアドレス情報は移動通信網のゲートウェイ局3を経由して公衆電話網のゲートウェイ局2へ返送される。なお、自動応答に伴う位置情報分析は周知の手段によって実現できることから、ここではその詳細については記載していない。 【0018】ゲートウェイ局2では情報収集部11でアドレス情報を受信し、その情報を音声情報に変換してアナウンス送出部12から位置情報として発信加入者へ音声によって送出する。」 したがって、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「 公衆電話網の端局1に収容されている加入者装置50が移動通信網内の移動端末5の位置を確認するための位置通知サービスを受ける方法であって、 先ず、公衆電話網内の加入者が、位置通知サービスを受けるためのアクセスコードをダイヤルし、引き続き移動端末5の端末番号をダイヤルするステップ1と、 端局1はこのアクセスコードと端末番号とを識別受信し、公衆電話網内のゲートウェイ局2へ接続し、このとき加入者情報、被呼番号(この例の場合は端末番号)等の通常の接続情報と共に位置通知アクセスであるという識別情報を伝達するステップ2と、 公衆電話網内のゲートウェイ局2と移動通信網内のゲートウェイ局3はこれらの情報を移動通信網内の基地局4へ伝送し、基地局4はこれらの情報を基に移動端末5に対して位置通知要求信号を送出して移動端末5の呼出を行うステップ3と、 移動端末5は位置通知要求信号を受信すると、自機のサービスオン/オフ部32をチェックし、それがオフとなっていれば拒絶信号を返送し、オンとなっていれば自動応答部31で自動応答するステップ4と、 自動応答を受信した基地局4は位置情報分析部21で移動端末5の位置を分析し、アドレス情報をアドレス情報設定部22で設定し、このアドレス情報は移動通信網のゲートウェイ局3を経由して公衆電話網のゲートウェイ局2へ返送されるステップ5と、 ゲートウェイ局2では情報収集部11でアドレス情報を受信し、その情報を音声情報に変換してアナウンス送出部12から位置情報として発信加入者へ音声によって送出するステップ6 とを有する方法。」 3.本願発明と引用発明の一致点・相違点 引用発明の「移動通信網内の移動端末5の位置」は、本願発明の「通信ネットワークのユーザー装置(UE)に関するプライバシー」に相当する。 したがって、引用発明の「移動通信網内の移動端末5の位置を確認するための位置通知サービスを受ける方法」は、本願発明の「通信ネットワークのユーザー装置(UE)に関するプライバシーを呼び出す方法」に相当する。 引用発明の「公衆電話網の端局1に収容されている加入者装置50」は、本願発明の「位置サービスクライアント(Client)」に相当する。 引用発明の「位置通知サービスを受けるためのアクセスコードと移動端末5の端末番号」は、本願発明の「位置サービス要求」に相当する。 引用発明の「公衆電話網内のゲートウェイ局2」は、本願発明の「位置サービスセンタ(GMLC)」に相当する。 したがって、引用発明の「ステップ1とステップ2」は、本願発明の「位置サービスクライアント(Client)から位置サービスセンタ(GMLC)へ位置サービス要求を送信する(2-2)ステップ」に相当する。 引用発明の「位置通知要求信号」は、本願発明の「プライバシー要求」に相当する。 したがって、引用発明の「公衆電話網内のゲートウェイ局2と移動通信網内のゲートウェイ局3はこれらの情報を移動通信網内の基地局4へ伝送し、基地局4はこれらの情報を基に移動端末5に対して位置通知要求信号を送出して移動端末5の呼出を行うステップ3」と、本願発明の「前記位置サービスセンタ(GMLC)は位置決定されるべきユーザー装置(UE)に、該ユーザー装置(UE)のユーザーにその特定の位置サービス要求を受け入れるかあるいは拒絶するかを促すプライバシー要求を直接送信する(2-4)ステップ」とは、「位置決定されるべきユーザー装置(UE)に、該ユーザー装置(UE)のユーザーにその特定の位置サービス要求を受け入れるかあるいは拒絶するかを促すプライバシー要求を送信する(2-4)ステップ」である点において一致している。 引用発明の「拒絶信号または自動応答」は、本願発明の「プライバシー応答(2-18)」に相当する。 したがって、引用発明の「移動端末5は位置通知要求信号を受信すると、自機のサービスオン/オフ部32をチェックし、それがオフとなっていれば拒絶信号を返送し、オンとなっていれば自動応答部31で自動応答するステップ4」は、本願発明の「前記ユーザー装置(UE)は前記位置サービスセンタ(GMLC)にプライバシー応答(2-18)を送信するステップ」と、「前記ユーザー装置(UE)はプライバシー応答(2-18)を送信するステップ」である点において一致している。 引用発明のステップ4において拒絶信号が返送された場合に、位置通知サービスが拒絶されることは明らかである。 したがって、引用発明の「自動応答を受信した基地局4は位置情報分析部21で移動端末5の位置を分析し、アドレス情報をアドレス情報設定部22で設定し、このアドレス情報は移動通信網のゲートウェイ局3を経由して公衆電話網のゲートウェイ局2へ返送されるステップ5と、ゲートウェイ局2では情報収集部11でアドレス情報を受信し、その情報を音声情報に変換してアナウンス送出部12から位置情報として発信加入者へ音声によって送出するステップ6」は、本願発明の「前記位置サービスセンタ(GMLC)は、前記位置サービス要求が前記プライバシー応答で受け入れられる場合には前記の要求クライアント(Client)に位置情報を提供し、そうでなければ前記位置サービス要求を拒絶するステップ」に相当する。 したがって、本願発明と引用発明の一致点・相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「 通信ネットワークのユーザー装置(UE)に関するプライバシーを呼び出す方法であって、 位置サービスクライアント(Client)から位置サービスセンタ(GMLC)へ位置サービス要求を送信する(2-2)ステップを有し、更に 位置決定されるべきユーザー装置(UE)に、該ユーザー装置(UE)のユーザーにその特定の位置サービス要求を受け入れるかあるいは拒絶するかを促すプライバシー要求を送信する(2-4)ステップと、 前記ユーザー装置(UE)はプライバシー応答(2-18)を送信するステップと、 前記位置サービスセンタ(GMLC)は、前記位置サービス要求が前記プライバシー応答で受け入れられる場合には前記の要求クライアント(Client)に位置情報を提供し、そうでなければ前記位置サービス要求を拒絶するステップと、 を有することを特徴とするプライバシーを呼び出す方法。」 [相違点1] 本願発明では、位置サービスセンタがユーザー装置にプライバシー要求を直接送信するのに対して、引用発明では、基地局がユーザー装置(移動端末5)にプライバシー要求(位置通知要求信号)を送信する点。 [相違点2] 本願発明では、ユーザー装置は位置サービスセンタにプライバシー応答を送信するのに対して、引用発明では、ユーザー装置(移動端末5)は基地局にプライバシー応答(拒絶信号または自動応答)を送信する点。 4.相違点の検討 [相違点1について] 引用発明のステップ2において、端局1はアクセスコードと端末番号とを識別受信し、公衆電話網内のゲートウェイ局2へ接続し、このとき加入者情報、被呼番号(この例の場合は端末番号)等の通常の接続情報と共に位置通知アクセスであるという識別情報を伝達している。したがって、公衆電話網内のゲートウェイ局2は、位置通知アクセスであることを認識しており、加入者情報、被呼番号(この例の場合は端末番号)等の通常の接続情報も得ている。したがって、公衆電話網内のゲートウェイ局2から、移動通信網内のゲートウェイ局3及び基地局4を介して、移動端末5へ位置通知要求信号を直接送信することは可能であり、このようにして公衆電話網内のゲートウェイ局2から、移動端末5へ位置通知要求信号を直接送信するか、それとも移動端末5に直近の基地局4から移動端末5へ位置通知要求信号を送信するかは、設計的事項に過ぎないと認められる。 [相違点2について] 上記[相違点1について]で指摘したように、公衆電話網内のゲートウェイ局2から、移動端末5へ位置通知要求信号を直接送信するように構成するならば、公衆電話網内のゲートウェイ局2と移動端末5との間の直接の経路が存在しているのであるから、移動端末5からの拒絶信号または自動応答が、公衆電話網内のゲートウェイ局2に送信されることは、構成から明らかである。 また、本願発明が奏する効果も、引用発明から当業者が十分に予測可能なものである。 したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2010-08-18 |
結審通知日 | 2010-08-24 |
審決日 | 2010-09-06 |
出願番号 | 特願2002-555571(P2002-555571) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 関川 雄介 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
清水 稔 中野 裕二 |
発明の名称 | 通信ネットワークでプライバシーを呼び出す方法 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 水谷 好男 |
代理人 | 下道 晶久 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 島田 哲郎 |