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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1230779
審判番号 不服2007-31027  
総通号数 135 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-15 
確定日 2011-01-20 
事件の表示 平成 9年特許願第187535号「リードフレーム,及び,半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月29日出願公開,特開平11- 26333〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成9年6月27日の出願であって,平成19年10月10日付けで拒絶査定がされ,これに対して同年11月15日に審判請求がされた。
その後当審において,平成22年8月17日付けで拒絶の理由が通知され,これに対して同年10月21日に手続補正書及び意見書が提出された。


第2 当審における拒絶理由

当審において,平成22年8月17日付けで通知した拒絶の理由(以下「当審における拒絶の理由」という。)の概要は,本願発明は,本願の出願の日前に日本国内で頒布された特開平07-335510号公報(以下「引用例1」という。)に記載された発明に,本願の出願の日前における周知技術を適用することにより,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。


第3 本願発明の容易想到性について

1 本願発明について
本願の請求項1?4に係る発明は,平成22年10月21日に提出された手続補正書に記載されたとおりのものであり,その請求項1の記載は,次のとおりである。(以下,本願請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

「【請求項1】
半導体チップを封止する封止樹脂の表面上に,データベースに格納された情報に対応付けたチップID情報が,複数の升目状パターンを第1の方向と該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して構成された二次元パターンとして付加されており,
前記データベースに格納された情報には,封止された前記半導体チップの製造工程履歴情報,及び前記半導体チップと前記封止樹脂とで構成される半導体装置の納入先,出荷日,包装形態が含まれており,
前記封止樹脂の表面に二次元パターンを設けていることを特徴とする,半導体装置。」

2 引用例の記載と引用発明
(1) 引用例1
引用例1には,図1,図3,図8及び図10とともに,次の記載がある。(下線は当審で付加したものである。以下同じ。)

ア 従来の技術
「【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造は,通常ウェハプロセスと呼ばれる製造過程と,組立と呼ばれる製造過程とに分けられる。ウェハプロセスとは,ウェハと呼ばれるシリコンの概略円形の円板の加工であり,ウェハは現在,例えば直径8インチ(約200mm)サイズが用いられ,1枚の円板上に100?300個の半導体装置を同時に製作する方式で生産されている。ウェハプロセスを終了したウェハは,半導体装置(チップ)に切断され,組立工程においては,電気的接触用の導体およびチップを樹脂やセラミックで封止するようにされる。」

イ 発明の概要
「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では,半導体装置に付与した識別子に応じて半導体装置の製造来歴をトレースできるようにすることで,半導体特有の製造方式(ウェハプロセス,切断,組立)での不良発生とその原因究明の期間を短縮し,これにより,歩留りの早期向上を図り,あるいは,顧客からの不良報告に対して早期に原因対策の処置を行うことを可能とする。以下,本発明の概要を簡単に説明する。
【0007】ウェハプロセスでは,識別子(ID)は,ウェハプロセスで多用される写真蝕刻法(ホトエッチング)を用いて,チップ上にチップIDとして付与される。このチップIDには,ロット番号やウェハ番号と関係付けて,前工程ライン名や前工程カレンダー(日付)情報等も記録しておく。
【0008】組立工程では,上記したチップIDを含んだパッケージIDが,組立後の封止材(パッケージ)上に印刷等で付与,もしくは,半導体装置内の専用記録領域に電気的に書き込まれる。このパッケージIDには,ウェハプロセスでの識別子(チップID情報)や,製品に組み立てるまでの製造工程を処理する単位,組立工程ロット番号や,製品の出荷単位,出荷先等の情報も合わせて記憶する。」

ウ 製品IDの内容と付与方法について
「【0012】
【実施例】以下,本発明の詳細を図示した実施例によって説明する。
【0013】まず,図1を用いて本発明の実施例で用いられる製品のID(識別子)について説明する。製品IDは,製品の製造来歴等の情報をコード化したものである。このコードをもとにして,生産管理,進捗度管理,品質管理等が行われるようになっている。
【0014】上記製品IDの付け方について説明する。本発明の実施例では,製品IDは,ウェハID101と,チップID102と,パッケージのID103(以下,これをマーク103と称す)とからなっている。
【0015】ウェハID101は,品種名,前工程ロットNO,ウェハNO,前工程ライン名より構成する。チップID102は,品種名,前工程ロットNO,ウェハNO,チップNO(ウェハ内チップ座標),前工程ライン名より構成する。マーク103は,品種名,前工程ロットNO,ウェハNO,チップNO,前工程ライン名,組立ライン名,組立ロットNO,選別ライン名,選別ロットNO,出荷日(週),出荷日(曜日)より構成する。これらのコード形態は,図1に示した通りである。
(中略)
【0018】また,組立ライン名は,上記した前工程ライン名と同様のルールで表現する。組立ロットNOは,アルファベット3文字で表し,初めの1文字は組立工程にチップを投入した月を示し,A?Jで表現する。また残りの2文字は,各桁アルファベットA?zで表現する。選別ライン名は,チップをアクセス速度と消費電力を基にグレード分けする工程のライン名で,アルファベット1文字で表す。選別ロットNOは,アルファベット3文字で表され,初めの1文字は選別工程にチップを投入した月を示し,A?Jで表現する。また残りの2文字は,各桁アルファベットA?zで表現する。出荷日(週)は,アルファベット1文字(A?z)で表現し,1年を週で表す。例えば,1993年2月20日は,その年の第8週なので,Hで表す。また,出荷日(曜日)は,数字1文字(1?7)で表現する。例えば水曜日ならば,3と表現する。
【0019】以上のルールで,各ID101?103の詳細を表現する。各項目の並べ方は,図1の「コードの意味の欄」に示す。また各項目は,単にアルファベット等で表現してあるだけで,その詳細は,各項目毎に対応表があり,その内容は,データベースに登録されている。例えば,品種名の場合は,図3に示すような対応表になる。
【0020】次に,IDの付与方式として,レーザや電子ビーム等を用いてウェハやチップの表面に刻印する方法,パッケージの表面に印刷する方法,および,チップ(もしくは製品)内に専用記憶領域を持たせ,その領域内にID等の必要な情報を電気的に書き込む方法について説明する。
(中略)
【0028】また前記マーク103は,図8に示すように,製品800のパッケージ(封止材)801の表面に印刷によって付与する。このマーク103の印刷の時期は,各製品800のアクセス速度や消費電力(パワ-)によって製品800を選別した後の,適宜時点とする。印刷は公知の適宜手法が採用可能である。なお,マーク103の付与は,印刷以外にも,場合によってはレーザビーム等を用いたID付与手法も採用可能である。
【0029】このマーク103には,前記したように組立ロットNO,選別ライン名,選別ロットNOが含まれているので,異なるロット間のウェハにまたがって新たにロットを作っても容易に対処可能であり,しかもこの際,同一の選別ロットNO等の製品であっても,前工程の情報が併せてマーク103に含まれているため,不良解析等に際し確実・充分な情報を持つものとなっている。」

エ 製品IDの管理解析システムの構成について
「【0031】次に,本発明の実施例で用いられる前記した製品IDの管理解析システムの構成について説明する。図10は本発明の実施例に係る製品IDの管理解析システムの構成図である。
【0032】図10に示した本システムは,製造条件データベース(以下,DBと略す)1001と,設備条件DB1002と,検査規格値のDB1003と,製造仕様書の情報が入ったDB1004と,各工程で測定したデータが蓄積されているDB1005と,設計情報DB1006と,各製造ラインの記号と実際のライン名の対応をとるための情報が入ったDB1007と,各品種名と品種名を表す記号の対応をとるための情報が入ったDB1008と,各ロットを示す記号と実際のロットNOの対応をとるための情報が入ったDB1009と,各ウェハを示す記号と実際のウェハNOの対応をとるための情報が入ったDB1010と,解析した結果を蓄積しておくノウハウDB1011と,各情報とIDを対応付けかつ各種の解析を行うID管理システム1012とからなる。各種情報は,図10に示すように,おたがいのやり取りが可能である。」

オ 顧客クレームを対処する方法について
「【0052】次に,顧客に渡った製品に不良が発生した場合など,顧客クレームを対処する方法について説明する。
【0053】まず,顧客より不良となった製品およびクレーム内容を回収し,製品のパッケージ上に記載された前記マークを手がかりに,前記図10のシステムにおいて,当該チップの後工程製造来歴情報を,DBから検索して呼び出し,表示装置上に一覧表として表示させる。そして,呼び出した後工程の製造来歴情報より,不良原因と思われる工程の諸項目を抽出し,原因究明を行うようにされる。
【0054】また,前工程に不良原因があると判断した場合は,前記図10のシステムにおいて,前記チップIDをキーとして,前工程の製造来歴情報をDBから検索して呼び出し,表示装置上に一覧表として表示させる。そして,呼び出された情報より不良発生工程および諸項目を抽出し,詳細解析を行い,不良原因および不良発生工程の特定をするようにされる。
【0055】また,不良原因を早期に見つける方法として,クレームのあったチップと同一品種および同一ロット/同一ウェハ内で良品チップがあるかを調べ,この良品チップの製造来歴情報とクレームのあったチップの製造来歴情報とを呼び出して,両者を比較することで相違点の摘出をし,不良原因の究明をすることもできる。
(中略)
【0057】上述したように,本実施例のシステムを用いることによって,前記したIDをキーとして,組立製造ライン,組立条件,組立時期,ウェハプロセス製造ライン,製造時期,製造ロット,製造ウェハ,製造ウェハ位置の情報を順次検索でき,この検索情報から,不良となった製品の製造来歴である処理工程,製造装置,製造条件,製造結果,検査結果を順次検索できる。また,この検索情報から,同一製造ロットの販売先を検索・特定して,不良発生状況を販売先に知らせることができる。」

カ 発明の効果
「【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば,顧客のクレームに対して迅速に不良原因を報告できるので,顧客へのサービスが向上する。また,製造工程内で発生した不良に対しても,早期に原因を解析し対策できるので,歩留りを早期に向上できる。さらに,解析した結果はノウハウとして蓄積できるので,前の工程で製造した途中の検査データや製造データから,最終の歩留りを予測でき,生産量に合わせて製造量を制御できる。総じて,本発明によれば,生産効率の高い製造が可能となり,その産業的価値は多大である。」

(2)引用発明
以上によれば,引用例1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「チップを樹脂で封止したパッケージ(封止材)の表面に,データベースに蓄積された情報に対応付けたチップIDを含むパッケージID(マーク)の情報が,印刷によりアルファベット等として付与されており,
上記データベースに蓄積された情報には,パッケージされた上記チップの製造来歴情報,及び製品の出荷先,出荷日を含み,
上記パッケージ(封止材)の表面に上記アルファベット等を設けている,半導体装置。」

3 本願発明と引用発明との対比
(1)引用発明の「チップ」,「パッケージ(封止材)」,「蓄積」,「チップIDを含むパッケージID(マーク)の情報」及び「付与」は,それぞれ,本願発明の「半導体チップ」,「封止樹脂」,「格納」,「チップID情報」及び「付加」に相当する。また,本願発明の「複数の升目状パターンを第1の方向と該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して構成された二次元パターン」と,引用発明の「印刷により」付与された「アルファベット等」とは,いずれも情報を読み取り可能なパターンとして表示したものであるから,「情報パターン」である点で共通する。
そうすると,本願発明の「半導体チップを封止する封止樹脂の表面上に,データベースに格納された情報に対応付けたチップID情報が,複数の升目状パターンを第1の方向と該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して構成された二次元パターンとして付加されて」いることと,引用発明の「チップを樹脂で封止したパッケージ(封止材)の表面に,データベースに蓄積された情報に対応付けたチップIDを含むパッケージID(マーク)の情報が,印刷によりアルファベット等として付与されて」いることとは,「半導体チップを封止する封止樹脂の表面上に,データベースに格納された情報に対応付けたチップID情報が,情報パターンとして付加されて」いる点で共通する。

(2)引用発明の「パッケージされた上記チップ」,「製造来歴情報」,「製品」及び「出荷先」は,それぞれ,本願発明の「封止された前記半導体チップ」,「製造工程履歴情報」,「前記半導体チップと前記封止樹脂とで構成される半導体装置」及び「納入先」に相当する。
そうすると,本願発明の「前記データベースに格納された情報には,封止された前記半導体チップの製造工程履歴情報,及び前記半導体チップと前記封止樹脂とで構成される半導体装置の納入先,出荷日,包装形態が含まれて」いることと,引用発明の「上記データベースに蓄積された情報には,パッケージされた上記チップの製造来歴情報,及び製品の出荷先及び出荷日を含」むこととは,「前記データベースに格納された情報には,封止された前記半導体チップの製造工程履歴情報,及び前記半導体チップと前記封止樹脂とで構成される半導体装置の納入先,出荷日」「が含まれて」いる点で共通する。

(3)本願発明の「前記封止樹脂の表面に二次元パターンを設けている」ことと,引用発明の「上記パッケージ(封止材)の表面に前記アルファベット等を設けている」こととは,「前記封止樹脂の表面に情報パターンを設けている」点で共通する。

(4)以上から,本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりとなる。
ア 一致点
「半導体チップを封止する封止樹脂の表面上に,データベースに格納された情報に対応付けたチップID情報が,情報パターンとして付加されており,
前記データベースに格納された情報には,封止された前記半導体チップの製造工程履歴情報,及び前記半導体チップと前記封止樹脂とで構成される半導体装置の納入先,出荷日が含まれており,
前記封止樹脂の表面に情報パターンを設けている,半導体装置。」

イ 相違点
・ 相違点1
「情報パターン」に関して,本願発明では「複数の升目状パターンを第1の方向と該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して構成された二次元パターン」であり,「前記封止樹脂の表面に二次元パターンを設けている」のに対し,引用発明では「印刷により」付与された「アルファベット等」であり,「上記パッケージ(封止材)の表面に上記アルファベット等を設けている」点。

・ 相違点2
本願発明は,「前記データベースに格納された情報には,封止された前記半導体チップの製造工程履歴情報,及び前記半導体チップと前記封止樹脂とで構成される半導体装置の納入先,出荷日,包装形態が含まれて」いるのに対し,引用発明では,「上記データベースに蓄積された情報には,パッケージされた上記チップの製造来歴情報,及び製品の出荷先,出荷日を含」むが,「包装形態」は含まれていない点。

4 相違点についての検討
(1)相違点1について
ア 周知例1
当審における拒絶の理由に引用され,本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平07-175883号公報(以下「周知例1」という。)には,図1とともに,次の記載がある。

・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,機械によって光学的に読取ることができる2進コード(binary code),特に,動的変動を可能とする2進コードに関する。
【0002】
【従来の技術】光学的に読取ることができるコードは,本技術分野において公知である。かかるコードの1つとして,黒および白の方形(square)の形態で情報を表わす「チェッカーボードシンボル」( "checker board symbol" )として形成されるものがある。チェッカーボードマトリックスに含まれる各方形は,他の方形と同じサイズを有している。更に,マトリックスに含まれる方形の数とサイズは,予め定められているので,データを受け,或いは作るコンピュータは,マトリックスに含まれる,プリセットされたサイズを有する特定数の方形を予測する。(後略)」

・「【0024】
【実施例】以下,本発明を添付図面に示す実施例に関して説明する。先づ,図1aについて説明すると,本発明に従って構成された2進コードが,マトリックス10として全体示されている。2進コードマトリックス10は,実線により形成される側部(side)12を交差させるとともに,交互するパターンをなす暗方形(dark square)16および明方形(lightsquare)18から形成される側部14を交差させることによって形成された周囲部(perimeter)11を備えている。参照番号19で全体示されているデータが,マトリックス10の周囲部11内に記憶される。
【0025】データ19は,記憶しようとする各文字を,2進情報の1および0に相当する暗方形と明方形とにより表わされる目視,即ち,可視の(visual)2進コードに変換することにより,マトリックス10の周囲部内に記憶される。従って,2進コード0001によって表わされる文字または数は,それぞれが暗方形または明方形を含む一連のデータセル(a string of data cells)によって表わすことができる。従って,0001を表わすデータは,一連の,3つの明データセルと1つの暗データセルとして表われる。例えば,0乃至9の数字は,明セル20と暗セル22のパターンとしてマトリックス10に記憶される。」

イ 周知例2
当審における拒絶の理由に引用され,本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平05-315207号公報(以下「周知例2」という。)には,図2とともに,次の記載がある。

「【0014】図2は本発明の半導体装置の他の実施例を説明するためのウェーハに形成される一チップを示す平面図である。この実施例の半導体装置では図2に示すように,前述の実施例で示した位置情報をドットマトリクスのかわりに二次元バーコードで記録することである。
【0015】ここで二次元バーコードとしては,米国特許4939354で開示されたものを使用すると,便利である。即ち,この二次元バーコードを使用すると,通常の1次元バーコードやドットマトリクスに比べさらに多くの情報を小さく収容でき,前記公知例の二次元バーコードを使えば,10×10個のピクセルで9桁の10進数が記録できる。
【0016】この二次元バーコードは前記実施例のようなレーザーマーカを使って印字してもよいし,フォトリソグラフィ工程で焼きつけてもよい。また,読取りは光学的に行ない,デジタル処理することにより容易に行なえる。
【0017】本実施例の場合は前述の実施例に比べ収容できる情報量が多いため,チップ位置だけでなく,ウェーハ番号やその他の製造履歴情報もあわせて記録できるという利点がある。」

ウ 検討
二次元バーコードのような,複数の升目状パターンを第1の方向と該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して構成された,光学的に読み取り可能な二次元パターンで情報の記録及び読み取りを行うことは,周知例1及び2にみられるように周知の技術であり,また,それによって,記録可能な情報量を増大できることも,当業者には自明である。
そして,引用発明における「チップを樹脂で封止したパッケージ(封止材)(本願発明の「半導体チップを封止する封止樹脂」に相当。)の表面に」「印刷により」「付与(本願発明の「付加」に相当。)され」た「アルファベット等」は,光学的に読み取り可能な情報パターンの一形態であり,また,引用発明において,「チップを樹脂で封止したパッケージ(封止材)の表面に」「データベースに蓄積された情報に対応付けたチップIDを含むパッケージID(マーク)の情報(本願発明の「データベースに格納された情報に対応付けたチップID情報」に相当。)」を「印刷により」「付与」する際に,「付与」できる情報量を可能な限り多くすることは,当業者が当然に考慮することである。
そうすると,引用発明において,「チップを樹脂で封止したパッケージ(封止材)の表面に」「付与され」る,上記「データベースに蓄積された情報に対応付けたチップIDを含むパッケージID(マーク)の情報」の情報量を増大するために,上記「アルファベット等」に代えて,「複数の升目状パターンを第1の方向と該第1の方向と垂直な第2の方向に配列して構成された二次元パターン」を「チップを樹脂で封止したパッケージ(封止材)の表面に」「付与」することは,上記周知の技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得るものである。
したがって,相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

(2)相違点2について
上記2(1)オ及びカによれば,引用発明は,「顧客に渡った製品に不良が発生した場合など,顧客クレーム」があった場合,「IDをキーとして,組立製造ライン,組立条件,組立時期,・・・の情報を順次検索でき,この検索情報から,不良となった製品の製造来歴である処理工程,製造装置,製造条件,製造結果,検査結果を順次検索」することにより,製品の不良原因を早期に発見し,それによって,「顧客のクレームに対して迅速に不良原因を報告できるので,顧客へのサービスが向上する」という作用効果を奏するものであるから,引用発明において,「データベースに蓄積された情報」(本願発明の「データベースに格納された情報」に相当。)である「パッケージされたチップ」(本願発明の「封止された前記半導体チップ」に相当。)の「製造来歴情報」(本願発明の「製造工程履歴情報」に相当。)として,製品である上記「パッケージされたチップ」の不良発生原因となり得る処理工程に関する情報を収集し,「データベースに蓄積」することは,当業者に普通に期待できることである。
そして,製品である上記「パッケージされたチップ」の処理工程の一つとして上記「パッケージされたチップ」を包装する工程があり,包装材の材料,包装方法等の包装形態によっては,搬送時,外力による上記「パッケージされたチップ」の破損,温度や湿度による上記「パッケージされたチップ」の劣化及び静電気による上記「パッケージされたチップ」内の回路の電気的破壊等が発生し,上記「パッケージされたチップ」の包装形態が,上記「パッケージされたチップ」の不良発生原因となり得ることは,当業者には技術常識である。
そうすると,引用発明において,「データベースに蓄積」する上記「パッケージされたチップ」の「製造来歴情報」を設定する際に,上記「パッケージされたチップ」の不良発生原因となり得る上記「パッケージされたチップ」の包装形態のデータも含めるようにすることは,当業者が適宜なし得たものである。
したがって,相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たものである。

5 以上のとおり,本願発明は,従来周知の技術を勘案することにより,引用例1に記載された発明(引用発明)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


第4 結言

以上のとおりであるから,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-17 
結審通知日 2010-11-24 
審決日 2010-12-07 
出願番号 特願平9-187535
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北島 健次大嶋 洋一  
特許庁審判長 河口 雅英
特許庁審判官 相田 義明
松田 成正
発明の名称 リードフレーム,及び,半導体装置  
代理人 金本 哲男  
代理人 亀谷 美明  
代理人 萩原 康司  
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