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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04B
管理番号 1231893
審判番号 不服2009-14638  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-08-12 
確定日 2011-02-10 
事件の表示 特願2007-162705「携帯型無線電話装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年 9月27日出願公開、特開2007-252001〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成5年3月30日に出願した特願平5-72367号の一部を平成7年11月28日に新たな特許出願とした特願平7-309277号の一部を平成10年6月26日に新たな特許出願とした特願平10-180965号の一部を平成15年5月15日に新たな特許出願とした特願2003-137722号の一部を平成17年10月13日に新たな特許出願とした特願2005-298908号の一部を平成19年4月2日に新たな特許出願とした特願2007-96712号の一部を平成19年6月20日に新たな特許出願としたものであって、特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年7月29日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
なお、平成19年11月7日付け手続補正書及び平成21年8月12日付け手続補正書はいずれも明細書の要旨を変更するものであるという理由により当審において別途却下されている。

(本願発明)
「公衆通信回線に無線によって接続され、前記公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段を経由して前記公衆通信回線から通信信号を入力、又は、前記無線通信手段を経由して前記公衆通信回線に通信信号を送出することで、外部装置とのデータ通信及び音声通信を実現するCPUと、
を備える携帯型無線電話装置であって、
第1ディスプレイと
第1のディスプレイよりも面積の小さい第2のディスプレイと、
スイッチ操作により、第1ディスプレイへの出力を入り切りする切替手段と、
スイッチがオン操作されたとき、当該携帯型無線電話装置の通信状態を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段と、
スイッチの操作にかかわらず、当該携帯型無線電話装置の通信状態を前記第2ディスプレイに表示する第2制御手段と、
スイッチがオン操作されたとき、前記第1のディスプレイにGPS運用中を示す表示を行う第3表示制御手段と、
を備え、
前記通信状態として受信待機中か否かを前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイに表示することを特徴とする携帯型無線電話装置。」

2.引用発明および周知技術
(1)当審の拒絶理由に引用された特開平3-235116号公報(以下、「引用例」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
イ.「データの通信手段を有する情報処理装置において、各種の情報を表示する表示画面を開閉自在にした第1の表示手段と、
上記第1の表示手段と独立してデータ通信の状態を表示する第2の表示手段と、
上記表示画面の開閉状態に応じて上記第1表示手段の表示制御を行うとともに、上記第2表示手段の表示制御は上記表示画面の開閉状態と無関係に行う制御手段を有することを特徴とする情報処理装置。」(1頁左下欄、特許請求の範囲)
ロ.「また右のヒンジM39にはディスプレイの開閉を検知するマイクロスイッチM44が配置され、ヒンジの部材M45に取り付けたアクチュエータM46がマイクロスイッチM44をディスプレイの回転位置に応じてON、OFFし開閉状態を検知する。」(3頁右上欄18?左下欄3行目)
ハ.「M48、M49はそれぞれ赤、緑のLEDであって、緑はPOWERを、赤はスタンバイ状態、FAX受信などの表示をするものである。」(3頁左下欄19行目?右下欄1行目)
ニ.「第6図に示すように、デイスプレイ後ろカバーM14には、バツクライト液晶ユニツトM16が固定され、その前面にはタツチパネルM19が2mmの薄いクツシヨンM60を介して取り付けられている。・・・(中略)・・・さらに下方両端には前述のヒンジユニツト部材M40が固定部材M41によって固定され、デイスプレイがヒンジ回りに回転する。」(3頁右下欄9?19行目)
ホ.「E18はスピーカであり、TEL・FAX・音源コントローラE23による音声、音楽、信号等を再生する場合に使用する。」(11頁右下欄19行目?12頁左上欄1行目)
ヘ.「E25はハンドセツトである。本ハンドセツトは、ダイヤルボタン、フツクボタン等を持つ電話機である。」(12頁右上欄14?16行目)
ト.「E26は1200/300BAUDの非同期通信モデムである。本モデムボードを対応するコネクタに挿入することによって、電話/フアクス共用の公衆回線E14をパソコン通信としても使用できるようになる。」(12頁左下欄3?7行目)
チ.「E29は本機器のROMである。512K×8bitsの4Mビツト マスクROMを8個使用している。本装置全体の制御用プログラム(マネージヤ、ドライバ、DOS、アプリケーション)やフオント、辞書等のデータを記憶している。」(12頁右下欄3?7行目)
リ.「E30はRAMであり、本装置全体のデータ、プログラムを記憶するために使用する。」(12頁右下欄10?11行目)
ヌ.「E40は赤と緑の2つのLEDであり、CPU E1からの指示によりON/OFFをすることができる。例えば留守中フアクシミリや電話の状態をしめすランプとしても使用可能である。」(13頁右下欄4?7行目)
ル.「E105はマイクの入力信号MICinである。ハンドセツトをマイクの代わりとして使用するときにこの部分からADPCM回路に入力を行なう。」(14頁右上欄18?20行目)
ヲ.「E116は公衆回線用の端子(モジユラ ジヤツク)である。この端子を用いて本機器を公衆回線に接続する。」(14頁右下欄8?10行目)
ワ.「第28図から第53図は本発明の実施例のCPUE1の制御動作を示した図である。
第28図は本実施例のおけるソフトウエア構造である。S1-3のOS(オペレーテイングシステム)は、FAXの送受信をバツクグラウンドで行えるようにマルチタスクOSである。S1-2のマネージヤと呼ばれる管理プログラムが、S1-3のOSとS1-1のアプリケーシヨンの間に介在し、ユーザとアプリケーシヨンとのインターフエースを取り持っている。その中で特に、タツチパネルへのタツチ、キーボード入力、タイマなどの各種イベントを一括して管理し、発注したイベントを待っているアプリケーシヨンに制御を渡す、いわゆるイベント駆動型システムを制御する機能を持つ。」(15頁右上欄11行目?左下欄5行目)
カ.「アプリケーシヨンは複数メモリ上に常駐し、それぞれイベント待ちの状態にある。イベント待ちとは、制御はマネージヤの中にあり、あるイベントが発生するまでマネージヤが監視している状態を言う。あるイベントが発生すると、そのイベントを待っているアプリケーシヨンを起動する。マネージヤによって起動されたアプリケーシヨンは、制御が渡ると発生したイベントに応じた処理を行い、その後マネージヤに制御を帰しイベントを待つ状態になる。」(15頁左下欄15?右下欄5行目)
ヨ.「また、デイスプレイ自体が蓋の役目をしているので、デイスプレイを閉められると画面を消し、開けるとつける制御をする。」(16頁左上欄19?右上欄2行目)
タ.「第29図はアプリケーシヨンひとつであるメインメニユーの画面である。メインメニユーは、メモリ上に展開されたアプリケーシヨンの一覧を表示して、ユーザによりカレントアプリケーシヨンを選択する機能を持っている。この状態に於いてはカレントアプリケーシヨンはメインメニユーである。」(16頁右上欄3?9行目)
レ.「S2-3はワープロアプリケーシヨンである。第31図はこのワープロの基本画面、第32図は印刷設定画面で、S5-1のフアクス送信スイツチは、印刷することなく、直接送信用フアイルを作成しフアイル送信を行うものである。
・・・(中略)・・・
S2-5はFAXアプリケーシヨンで、第33図はこのFAXアプリケーシヨンの基本画面、第34図は拡張機能画面、第35図はFAX環境画面、第36図は文書取り出し画面である。第33図において、相手の番号をタツチパネルより入力し、原稿を給紙台ユニツト上にセツトしてスタートボタンS6-3をタツチすることで送信できる。」(16頁左下欄10行目?右下欄4行目)
ソ.「第29図のS2-6は電話アプリケーシヨンである。第38図はこの電話アプリケーシヨンの基本画面、第39図は電話帳画面である。本システムにはダイヤリング可能なハンドセットが接続されているので、電話をかける場合、ハンドセットから直接ダイヤルすることができるが、そのとき、第39図の電話帳画面が自動的に表示される。・・・(中略)・・・FAXアプリケーシヨンと電話アプリケーシヨンは、内部ではお互いに呼びあっているので、マネージヤのイベント制御下では、1つのアプリケーシヨンと見なされる。」(17頁左上欄12行目?右上欄7行目)
ツ.「以上の様に本発明によれば、表示画面を開閉自在にした情報処理装置においても表示画面の開閉状態に拘らずデータ通信状態を常時認識可能にできる。」(23頁右上欄2?5行目)

上記引用例の記載及び添付図面ならびにこの分野の技術常識を勘案すると、上記「情報処理装置」は「FAXアプリケーシヨンと電話アプリケーシヨン」及び「ワープロアプリケーシヨン」を備え、「公衆回線」に接続され、該公衆回線を経由して音声もしくはFAXデータ、ワードプロセッサデータ等のいわゆる「通信信号」の送受信及びパソコン通信を行うものであり、上記「公衆回線」はいわゆる「公衆通信回線」であるから、前記装置は「公衆通信回線に接続され、該公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う通信手段」を備えた「データ通信機能付き電話装置」である。
また、前記装置は「FAXの送受信をバックグラウンドで行う」OSで動作するイベント駆動型コンピュータ(即ち、前記「通信手段」を経由して前記「公衆通信回線」から前記「通信信号」を入力、又は前記「通信手段」を経由して前記「公衆通信回線」に前記「通信信号」を送出することで、通信先の装置(即ち、外部装置)とのデータ通信及び音声通信を実現するコンピュータ「CPU E1」)を備えている。そして、「イベント駆動型コンピュータ」はイベント待ち(即ち、「タイマイベントを含む各種イベント監視」)を繰り返し、イベントの発生により所定のアプリケーションを制御し、その処理を実行するものである。
また、上記「第1の表示手段」は、「(所定の画像を表示する)第1ディスプレイ」及び「当該所定の画像を前記第1ディスプレイに表示する(第1の)制御手段」を備え、上記「第2の表示手段」は、「前記第1のディスプレイよりも面積の小さいLEDからなる第2のディスプレイ」及び「前記CPUの制御により、スタンバイ状態(即ち、受信待機中)及びFAX受信等の装置の通信状態を前記第2ディスプレイに表示する(第2の)制御手段」を備えている。
また、上記「装置」は「表示画面(即ち、第1ディスプレイ)」の開閉状態を検知するマイクロスイッチを備えており、該スイッチは「スイッチ操作により、表示手段(第1ディスプレイ)への表示制御を行うか否かを切替える切替手段」を構成しており、具体的には「画面の開を検出して(即ち、スイッチがオン操作されたとき)、所定の画像を前記第1ディスプレイに表示し、画面の開閉状態と無関係に(即ち、スイッチの操作にかかわらず)、受信待機中を含む装置の通信状態を前記第2のディスプレイに表示する」構成を備えている。
したがって、上記引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

(引用発明)
「公衆通信回線に接続され、前記公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う通信手段と、
前記通信手段を経由して前記公衆通信回線から通信信号を入力、又は、前記通信手段を経由して前記公衆通信回線に通信信号を送出することで、外部装置とのデータ通信及び音声通信を実現するCPUと、
を備えるデータ通信機能付き電話装置であって、
第1ディスプレイと
第1のディスプレイよりも面積の小さいLEDからなる第2のディスプレイと、
スイッチ操作により、第1ディスプレイへの表示制御を行うか否かを切替える切替手段と、
スイッチがオン操作されたとき、当該電話装置の所定の画像を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段と、
スイッチの操作にかかわらず、当該電話装置の通信状態を前記第2ディスプレイに表示する第2制御手段と、
を備え、
前記通信状態として受信待機中か否かを前記第2ディスプレイに表示するデータ通信機能付き電話装置。」

(2)例えば特開平5-30230号公報(以下、「周知例1」という。)または特開平4-340681号公報(以下、「周知例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
(周知例1)
イ.「電波により送受信を行い回線網を介して通信を行う通信機能部と、該通信機能部に接続され、ボタン部、マイク部、スピーカー部を有し携帯電話として動作する電話機能部と、前記通信機能部に接続され、キー入力部、表示部、記憶部、データ制御部を有する電子手帳機能部とを併せ備えた集合端末装置。」(2頁1欄、【特許請求の範囲】)
ロ.「【0010】
【作用】本発明によれば、通信機能部、電話機能部、電子手帳機能部とを併せ備えることで、無線通信により音声あるいはデータの送受信ができ、また同時に電子手帳の機能を利用でき、ネットワーク・ツールとして使用できる携帯に便利な端末が実現される。」(2頁2欄、段落10)
ハ.「【0013】上記通信機機能部12は、アンテナ12aを介して無線電波の送受信を行う送受信部12bと、この送受信部12bと電話機能部13及び電子手帳機能部14との間にあって、音声及びデータに応じた制御を行う制御部12cとから構成される。そして、この通信機機能部12は、センタ-計算機(ホスト)のリモート端末としての機能を有し、後述の各種電子手帳機能を伴って、無線電子メール、無線掲示板機能、メッセージ交換機能が使用でき、また、、センタ-計算機の一部機能としてリモート使用ができる。」(2頁2欄、段落13)
ニ.「【0015】上記電子手帳機能部14は、通信機能部12との間で送受信されるデータの調整を行う電子手帳インターフェース部14aと、電子手帳としての中央処理装置を含むデータの演算や処理等を行う電子手帳制御部14bと、この電子手帳制御部14bにバスライン等を介してそれぞれ接続される、各種表示を行うための表示パネル14cを制御する表示制御部14d、キーボード14eの制御を行うキー入力制御部14f、ユーザ向けの各種アプリケーションソフト等が使用できるICカード14g、各種プログラムあるいはデータを記憶するためのデータ記憶部14h、及び例えばRS-232Cインターフェースや二線式モジュラージャックが装備された外部インターフェース部14i等から構成される。そして、電子手帳機能部14としては、上記の構成から通常の電子手帳と同様な、例えば、カレンダー機能、スケジュール機能、名刺管理機能、電話帳機能、各種メモ機能、時計機能、計算機能等を使用できるものである。」(2頁2欄?3頁3欄、段落15)
ホ.「電子手帳機能を用いたワープロの文章もメッセージとして送ることが可能になる。また、データの送受信は、テキストファイルだけでなく、バイナリデータも転送すれば、地図情報や手書きデータ等のイメージデータの転送が可能になる。」(3頁4欄、28?32行目)
ヘ.周知例1の図2、図3には「アンテナ12a」が記載されており、図3には「アンテナによって、公衆回線網に無線によって接続され、該公衆回線網を経由して音声あるいはデータの発信、または受信を行う無線通信手段を備えた集合端末装置」が記載されている。

(周知例2)
イ.「【0027】次に、携帯部Bは図3に示すように構成される。すなわち、携帯部インタフェイス(I/F)31は、携帯部B側の本体部Aとのインタフェイスで、たとえば、赤外線あるいは無線などによるワイヤレスインタフェイスである。制御部32(図1の制御部8に相当)は、携帯部Bのみで使用する際、あるいは、本体部Aと携帯部Bとを連結して使用する際に、携帯部Bの各部の動作をそれぞれ制御するもので、たとえば、マイクロプロセッサを主体として構成される。
【0028】位置入力部33(図1の位置入力部7に相当)は、携帯部Bを使用して、指定された位置座標情報を入力するもので、たとえば、透明タブレットなどによって構成され、ペン34(図1のペン6に相当)を使用して手書きでタブレットの上で図形および文字の入力を行なうことが可能であり、後述するディスプレイ部40上に載置される。なお、マウスの代わりにペン34をタブレット上に触れることにより、位置座標情報を入力することもできる(以下、ポインティングと称する)。
【0029】オンライン文字認識部35(図1のオンライン文字認識部4に相当)は、携帯部Bを使用して文字入力するためのものである。イメージ入力部36は、静止画などの各種イメージ情報を入力するもので、たとえば、イメージスキャナや電子カメラなどにより構成される。音声入力部37は、音声情報を入力するもので、たとえば、マイクロフォンなどにより構成される。バスコントローラ38は、バス39を介して行なわれる各部間の情報転送を制御する。バス39は、携帯部Bの各部の間での必要な情報転送を行なうために用いられる。
【0030】ディスプレイ部40(図1の表示部5に相当)は、文字,図形,画像などを表示するもので、たとえば液晶ディスプレイなどからなり、その表示画面上に位置入力部33が載置される。通信部41は、携帯部Bと電話回線、あるいは、ファクシミリ回線などの通信回線を介して他の電話機、ファクシミリ装置、あるいは、個人複合化OA機器や端末装置などとの情報通信を行なう。
【0031】音声出力部42は、音声情報を出力するもので、たとえば、スピーカなどからなる。メモリカード部43は、メモリカードが装着され、メモリカードとの間で必要な情報を入出力する。メモリ部44は、各種処理、データ蓄積のためのメモリである。テキストデータ処理部45は、テキストデータの各種編集処理などを行なう。」(4頁5?6欄、段落27?31)
ロ.「【0068】電話機能の制御も、当然のことながら制御部14において行なわれる。制御部14では、時分割制御や電話機能専用の制御部を持つことにより、たとえば、ワープロなど別の機能を使用しているときでも、電話機能を使用することができるようになっている。電話機能の操作メニューは、「電話」メニューをタッチするか、または、送受話器71が取られた状態をフックスイッチで検知することにより、ディスプレイ部27の表示画面上にマルチウィンドウ表示で、たとえば、図15に示すように表示される。操作メニューをタッチすることにより、主な操作は実行される。」(7頁12欄、段落68)
ハ.「【0073】次に、ファクシミリ機能について説明する。ファクシミリ機能は、イメージ入力部13、イメージ出力部29、イメージ圧縮/伸長部53、メディア変換部22、および通信部30を用いて実現される。ファクシミリ機能の制御も、当然のことながら制御部14において行なわれる。制御部14では、時分割制御やファクシミリ機能専用の制御部を持つことにより、たとえば、ワープロなど別の機能を使用しているときでも、ファクシミリ機能を使用することができるようになっている。ファクシミリ機能の操作メニューは、「FAX]メニューをタッチすることにより、ディスプレイ部27の表示画面上にマルチウィンドウ表示で、たとえば、図16に示すように表示される。操作メニューをタッチすることにより、主な操作は実行される。
【0074】ファクシミリ機能の受信動作は以下のようになされる。通信部30がファクシミリの受信を検知すると、制御部14は受信したファクシミリ情報をとりあえずデータベース部21のイメージ領域に蓄える。ファクシミリ情報ヘッダには、図17に示すように受信日時などの情報が格納される。同時に、制御部14は、ディスプレイ部27の表示画面上の特定領域に、現在行なっている操作の妨げにならないように、たとえば、「ファックス受信中」の表示を行なう。以上の受信動作は、制御部14の制御により自動的に行なわれる。」(8頁13?14欄、段落73?74)

例えば上記周知例1、2に記載されているように「公衆通信回線に無線によって接続され、該公衆回線回線を経由して音声あるいはデータの発信、または受信を行う無線通信手段を備え、電話機能、FAX機能、ワープロ機能を備えた携帯型端末装置」は周知である。(ここで、上記周知例1に記載された「地図情報や手書きデータ等のイメージデータの転送」が「FAX機能」を指すこと、上記周知例2に記載された「無線などによるワイヤレスインタフェイス」と「電話回線、あるいは、ファクシミリ回線などの通信回線」の組合せが例えば上記周知例1の第3図のネットワーク構成を指すこと、該ネットワーク中の「公衆回線網」はいわゆる「公衆通信回線」であること等は当業者であれば自明のことである。)
また上記周知例2に開示されているように「ディスプレイ部の表示画面上の特定領域に、現在行なっている操作の妨げにならないように、たとえば、「ファックス受信中」の表示を行なう」ことも周知である。

(3)例えば特開平4-17450号公報(以下、「周知例3」という。)又は特開平4-247487号公報(以下、「周知例4」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
(周知例3)
イ.「1.緊急情報を検知する検知手段と、現在位置情報を出力するGPS受信機と、基地局に情報を送出する信号送出手段とを有し、
前記検知手段により検知した前記緊急情報を送出する際に、前記現在位置情報を重畳して送出することを特徴とするセキュリティ端末装置。」(1頁左下欄、特許請求の範囲第1項)
ロ.「本発明のセキュリティシステムは、第2図に示すようにセキュリティ端末装置1およびセキュリティ端末装置1と有線または無線で結ばれた警備保障会社、警察署あるいは消防署等の基地局11、基地局11に地図情報を出力するマツプシステム12、基地局11からの無線による指令により誘導されて行動する緊急車両13により構成されている。」(3頁左上欄7?13行目)
ハ.「第3図は本発明のセキュリティ端末装置1を家庭用の電話機9に応用した第二の実施例である。一般家庭では、火事等の緊急事態が発生した場合、通報者が動転してしまい正確な位置情報および緊急情報を警察署あるいは消防署に通報できない場合が多い。本発明はそのような切迫した状況でも正確な位置情報および緊急情報を警察署あるいは消防署に通報できるようにしたもので、電話機9の内部にメモリ3(図示せず)を、電話機9の外部に入力端子6を設け、GPS受信機7で得られた電話機9が備えつけられている家庭の位置情報を入力端子5から直接メモリ3に入力し、位置情報とすることもできるし、電話機9がボタン電話の場合、そのボタンを利用して、GPS受信機7から得られた緯度情報の入力は*ボタンと番号ボタンで、経度情報の入力は#ボタンと番号ボタンでメモリ3に入力することもできる。」(3頁右上欄13行目?左下欄9行目)

(周知例4)
イ.「【請求項1】 非常事態発生現場の観測者の位置を測定するGPS部と、地図データを記憶している地図記憶部と、画像処理部と、及びファックス部とを設け、前記、地図記憶部から観測者の位置を含む地図データを抽出し、その地図データとGPS部によって測定した観測者の位置データとを合成データして、上記ファックス部により非常連絡所に送信することを特徴とするセキュリティシステム装置。」(2頁1欄、請求項1)
ロ.「【0011】この合成地図データはファックス部4に入力されて変調部4aにより必要な変調の後、伝送部4bにより、官公庁または民間の非常連絡所5に、無線または有線等の適宜な伝送方法によって送信され、受信部5a、復調部5bを経て表示部5cに、非常事態発生地を表示した地図を表示させる。」(2頁2欄、段落11)

例えば上記周知例3、4に開示されているように「有線又は無線により接続される音声又はデータの送受信が可能な電話機又はファクシミリ機能付き装置とGPSを組合せ、前記GPSで取得した位置情報を外部装置に通報するシステム」は周知である。

(4)例えば特開平3-138516号公報(以下、「周知例5」という。)又は実願昭61-159541号の願書に添付した明細書と図面を撮影したマイクロフィルム(実開昭63-67887号参照、以下、「周知例6」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
(周知例5)
イ.「移動体に搭載され、移動体の進行方位を検出する方位センサと、移動体に搭載され、移動体の移動距離を検出する距離センサと、方位センサの出力及び距離センサの出力から移動体の位置を測定する自立航法手段と、各衛星から距離データ信号及び各衛星の位置データ信号を受信する受信部と、3個以上の衛星からの上記各信号に基づいて移動体の位置を測定する衛星航法手段と、自立航法手段により測定された移動体の位置を衛星航法手段により測定された移動体の位置により修正する手段と、地図と移動体の位置を表示すると共に位置計測に衛星航法手段を使用したことを表示する表示手段を備えたことを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。」(1頁左下欄、特許請求の範囲)
ロ.「一方、受信衛星の数が2個以下で衛星航法を使用できない場合、あるいは受信衛星の数が3個以上あっても衛星航法を使用しない場合にはステップ34では位置計測手段1から衛星航法の使用信号がアンド回路10?12に出力されないので、いずれにせよ受信衛星数は2個までしか表示されない。従って、運転者は受信衛星の表示マークが2個以下の場合には衛星航法は用いられなかったと判断し、表示マークが3個以上の場合には衛星航法が用いられたと判断する。このような動作は繰り返し行われる。」(2頁右下欄9?20行目)

(周知例6)
イ.「衛星電波を受信する電波受信手段と、最適選択された衛星の受信電波に基いて車両の現在位置を測定する測位手段と、測位位置を適宜表示する位置表示手段と、前記測位手段が測位可能のとき測位状況を報知する第1報知手段と、前記測位手段が測位不可能のとき測位不可能の状況を報知する第2報知手段と、測位状況に応じ前記第1及び第2の報知手段を切換える切換え手段と、を備えて構成されるGPS位置計測装置。」(明細書1頁実用新案登録請求の範囲第1項)
ロ.「6は表示制御装置で、前述の位置演算装置5による測位演算結果及び受信機2の衛星の受信状態等を道路地図等と共にCRT8上に表示すべくビデオRAM7を介してCRT7を表示制御する。」(明細書6頁19行目?7頁2行目)
ハ.「以上の構成のGPS位置計測装置G1では、アンテナ1、受信機2、最適衛星選択装置3,同期装置4、位置演算装置5によって、逐次所定数の衛星(3又は4)が捕捉され、2次元又は3次元の測位が行われ、CRT8の画面に測位された自車位置(P)が表示される。
又、表示制御装置6は、スイッチ11の操作に応じ位置演算装置5を介して所定情報を入力し、CRT8の測位状況エリアQに第3図(a)ないし(c)に示した表示を行わせることができる。」(明細書9頁4?13行目)

上記周知例5の「運転者は受信衛星の表示マークが2個以下の場合には衛星航法は用いられなかったと判断し、表示マークが3個以上の場合には衛星航法が用いられたと判断する。このような動作は繰り返し行われる。」という構成は「GPSが用いられたか否か(即ち、運用中か否か)の調査」を繰り返し行い、「前記調査によってGPSが運用中であるとされた場合にディスプレイにGPS運用中を意味する3個以上の表示マークを表示する」ものである。
また上記周知例6の「前記測位手段が測位可能のとき測位状況を報知する第1報知手段」及び「逐次」という構成は「GPSが測位状況の調査」を繰り返し行い、「前記調査によってGPSが測位可能であるとされた場合にディスプレイにGPS運用中を意味する測位状況を表示する」ものである。
したがって、例えば上記周知例5、6に開示されているように「GPSが運用中であるとされた場合にディスプレイにGPS運用中を表示する手段を備えたGPSナビゲーション装置」は周知である。

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、本願発明の「公衆通信回線に無線によって接続され」という構成と引用発明の「公衆通信回線に接続され」という構成はいずれも「公衆通信回線に接続され」という構成である点で一致しており、本願発明の「無線通信手段」、「携帯型無線電話装置」と引用発明の「通信手段」、「データ通信機能付き電話装置」はいずれも、それぞれ「通信手段」、「電話装置」であるという点で一致している。
また、引用発明の「第2のディスプレイ」は「LEDからなる」ものではあるものの「ディスプレイ」であることにかわりはなく、その表示内容も「受信待機中」であるから、引用発明の当該構成と本願発明の「第2のディスプレイ」はいずれも「第2のディスプレイ」である点で一致しており、かつ実質的な差異もない。
また、引用発明の「スイッチ操作により、第1ディスプレイへの表示制御を行うか否かを切替える切替手段」は具体的には「画面の開を検出して(即ち、スイッチがオン操作されたとき)、所定の画像を前記第1ディスプレイに表示する」ものであるから、引用発明の当該構成と本願発明の「スイッチ操作により、第1ディスプレイへの出力を入り切りする切替手段」との間にも実質的な差異はない。
また、本願発明の「通信状態を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」と引用発明の「所定の画像を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」は、いずれも「所定の内容を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」である点で一致している。
また、本願発明の「前記通信状態として受信待機中か否かを前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイに表示する」構成と引用発明の「前記通信状態として受信待機中か否かを前記第2ディスプレイに表示する」構成はいずれも「前記通信状態として受信待機中か否かを少なくとも前記第2ディスプレイに表示する」構成である点で一致している。
また、引用発明が本願発明の「GPS」に関する構成を備えているかどうかは不明である。
したがって、本願発明と引用発明は以下の点で一致ないし相違している。

<一致点>
「公衆通信回線に接続され、前記公衆通信回線を経由して発信、または受信を行う通信手段と、
前記通信手段を経由して前記公衆通信回線から通信信号を入力、又は、前記通信手段を経由して前記公衆通信回線に通信信号を送出することで、外部装置とのデータ通信及び音声通信を実現するCPUと、
を備える電話装置であって、
第1ディスプレイと
第1のディスプレイよりも面積の小さい第2のディスプレイと、
スイッチ操作により、第1ディスプレイへの出力を入り切りする切替手段と、
スイッチがオン操作されたとき、当該電話装置の所定の内容を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段と、
スイッチの操作にかかわらず、当該電話装置の通信状態を前記第2ディスプレイに表示する第2制御手段と、
を備え、
前記通信状態として受信待機中か否かを少なくとも前記第2ディスプレイに表示する電話装置。」

<相違点>
(1)「通信手段」と「電話装置」に関し、本願発明の「通信手段」は「公衆通信回線に無線によって接続され」る「無線通信手段」であり、「電話装置」は、「携帯型無線電話装置」であるのに対し、引用発明のそれらはそれぞれ単に「公衆通信回線に接続され」る「通信手段」、「データ通信機能付き電話装置」である点。
(2)「所定の内容を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」に関し、本願発明は「通信状態を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」であるのに対し、引用発明は「所定の画像を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」である点。
(3)本願発明は「スイッチがオン操作されたとき、前記第1のディスプレイにGPS運用中を示す表示を行う第3表示制御手段」を備えているのに対し、引用発明はその点の構成が不明である点。
(4)「前記通信状態として受信待機中か否かを少なくとも前記第2ディスプレイに表示する」構成に関し、本願発明は「前記通信状態として受信待機中か否かを前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイに表示する」構成であるのに対し、引用発明は「前記通信状態として受信待機中か否かを前記第2ディスプレイに表示する」構成である点。

4.当審の判断
(1)相違点(1)の「通信手段」と「電話装置」について
例えば上記周知例1、2に開示されているように「公衆回線網に無線によって接続され、該公衆回線網を経由して音声あるいはデータの発信、または受信を行う無線通信手段を備え、電話機能、FAX機能、ワープロ機能を備えた携帯型端末装置」は周知であり、引用発明の「データ通信機能付き電話装置」は電話機能、FAX機能、ワープロ機能を備えたいわゆる「端末装置」であるから、当該周知技術を適用する上での阻害要因は何ら見あたらない。したがって、当該周知技術に基づいて引用発明の「通信手段」を本願発明のような「公衆通信回線に無線によって接続され」る「無線通信手段」とする程度のことは、当業者であれば、適宜成し得ることであり、前記通信手段の無線化に伴い、引用発明の「データ通信機能付き電話装置」を本願発明のような「携帯型無線電話装置」とする程度のことも、当業者であれば、適宜成し得ることである。

(2)相違点(2)の「所定の内容を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」及び相違点(4)の「前記通信状態として受信待機中か否かを少なくとも前記第2ディスプレイに表示する」構成について
例えば上記周知例2に開示されているように「ディスプレイ部の表示画面上の特定領域に、現在行なっている操作の妨げにならないように、たとえば、「ファックス受信中」の表示を行なう」ことは周知であり、当該周知技術を引用発明に適用する上での阻害要因は何ら見あたらないから、当該周知技術に基づいて、第1ディスプレイに表示する内容として「ファックス受信中」等の通信状態を追加すること自体は当業者であれば適宜なし得ることであり、当該内容を追加することにより、引用発明の「所定の画像を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」における「所定の画像」を本願発明のような「通信状態」を含む構成とし、その制御手段を例えば「通信状態を前記第1ディスプレイに表示する第1制御手段」とする(相違点2)程度のことは当業者であれば適宜なし得ることである。
また第2ディスプレイで表示している「受信待機中」は前記「通信状態」の一種であるから、当該自明な事項に基づいて、第1ディスプレイに表示する「通信状態」を例えば「受信待機中」に限定することにより、第2のディスプレイばかりでなく、第1ディスプレイにも「受信待機中」を表示するように構成し、結果として引用発明の「前記通信状態として受信待機中か否かを前記第2ディスプレイに表示する」構成を本願発明のような「前記通信状態として受信待機中か否かを前記第1ディスプレイ及び前記第2ディスプレイに表示する」構成に変更する(相違点4)程度のことも当業者であれば適宜成し得ることである。

(3)相違点(3)の『本願発明は「スイッチがオン操作されたとき、前記第1のディスプレイにGPS運用中を示す表示を行う第3表示制御手段」を備えているのに対し、引用発明はその点の構成が不明である点』について
例えば上記周知例3、4に開示されているように「有線又は無線により接続される音声又はデータの送受信が可能な電話機又はファクシミリ機能付き装置とGPSを組合せ、前記GPSで取得した位置情報を外部装置に通報するシステム」自体は周知であり、また例えば上記周知例5、6に開示されているように「GPSが運用中であるとされた場合にディスプレイにGPS運用中を表示する手段を備えたGPSナビゲーション装置」も周知である。そして、電話装置にGPS機能を付加するか否かはユーザの希望や製造コスト等の兼ね合いで決まる単なる設計的事項であるから、これらの周知技術ないしは設計的事項に基づいて、引用発明にGPS機能を付加するとともに、所望に応じて「GPSが運用中であるとされた場合にディスプレイにGPS運用中を表示する手段」を追加し、更に表示のための前記ディスプレイはオン状態である必要があることを加味して、本願発明のような「スイッチがオン操作されたとき、前記第1のディスプレイにGPS運用中を示す表示を行う第3表示制御手段」を備えるように構成する程度のことも当業者であれば適宜成し得ることである。

以上のとおり、本願発明は、引用例や周知例に開示されている技術を単に寄せ集めたに過ぎないものであり、その作用効果も寄せ集め前の個々の作用効果から予想される範囲内のものである。したがって、このような単なる技術の寄せ集めは当業者であれば適宜なし得ることである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-06 
結審通知日 2010-12-07 
審決日 2010-12-21 
出願番号 特願2007-162705(P2007-162705)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 勝広  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 新川 圭二
猪瀬 隆広
発明の名称 携帯型無線電話装置  
代理人 名古屋国際特許業務法人  
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