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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1231976
審判番号 不服2008-870  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-10 
確定日 2011-02-10 
事件の表示 特願2002-191452「物品取引システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年2月5日出願公開、特開2004-38340〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成14年6月28日の出願であって,平成19年9月12日付けの拒絶理由通知に対して,同年11月19日付けで意見書が提出されるとともに同日付けで手続補正がなされたが,同年12月7日付けで拒絶の査定がなされ,この拒絶の査定を不服として,平成20年1月10日に審判請求がなされるとともに,同年2月12日付けで手続補正がなされ,当審による平成21年10月7日付けの審尋に対して,同年12月11日付けで回答書が提出されたものである。

第2 平成20年2月12日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年2月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
平成20年2月12日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)により,特許請求の範囲は,本件補正前の
「【請求項1】
端末装置で物品の入手条件が設定入力されたことにより,ネットワークを介して送受信可能に接続された物品取引装置により物品を売買するための演算処理をする物品取引システムであって,
前記端末装置は,
入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置と,
画像表示する購入側表示装置と,
前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体と,を備え,
前記物品取引装置は,
前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する顧客情報データベース,および,前記物品に関する物品情報を記憶する物品情報データベースを備えた記憶部と,
前記物品情報を前記端末装置の購入側表示装置で開示させる物品情報開示手段と,
前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された前記物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記顧客情報データベースに記憶させる顧客情報格納手段と,
前記端末装置で設定入力された前記物品の入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し前記顧客情報に1つのレコードとして記憶させる入手条件取得手段と,
この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記顧客情報に基づいて前記入手条件に関する情報を設定入力した前記端末装置が設置された所在地を含む地域における前記備蓄機関を選定し,この選定した備蓄機関から前記端末装置の設置された所在地へ前記備蓄機関に備蓄されている物品を共積みして配送させる配送計画を作成し,この配送計画に関する情報を前記ネットワークを介して前記物品を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送計画作成手段と,を備えた
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品取引システムにおいて,
前記配送計画作成手段で作成する配送計画は,前記備蓄機関の地域内に設置された前記端末装置の所在地へ,前記入手条件に基づいて前記物品を配送するための共積み内容および配送ルートである
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物品取引システムにおいて,
前記物品は,合成樹脂原料であり,
前記入手条件取得手段は,前記入手条件に関する情報として前記合成樹脂原料の加工内容に関する情報を前記ネットワークを介して前記端末装置から取得し,
前記物品取引装置は,前記備蓄機関に設置された端末コンピュータへ前記ネットワークを介して前記加工内容に関する情報を送信し,前記配送計画作成手段により前記加工内容に関する情報に基づいて加工された前記合成樹脂原料を前記備蓄機関から配送させる配送計画を作成して送信する
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項4】
請求項3に記載の物品取引システムにおいて,
前記物品情報は,前記配送した物品について実施された試験評価に関する物品評価情報を有し,
前記物品取引装置は,前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記物品評価情報を前記端末装置へ送信して開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の物品取引システムにおいて,
前記物品情報は,前記配送した物品に関する技術情報を有し,
前記物品取引装置は,前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記技術情報を前記端末装置へ送信して開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の物品取引システムにおいて,
前記物品取引装置は,前記取得した入手条件に関する情報に基づいて前記物品を配送する前記備蓄機関に対する手数料を算定し,この算定した手数料に関する情報を前記ネットワークを介して接続する金融付加価値通信網のファームバンキングに送信して前記備蓄機関へ手数料の支払を促す旨の決算処理をする
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の物品取引システムにおいて,
前記物品情報は,前記ネットワークを介して前記物品を生産する販売側に設置された販売側端末コンピュータから取得され前記物品の基準価格に関する基準価格情報を有し,
前記物品取引装置は,前記取得した入手条件に関する情報に基づいて前記基準価格に増減して見積価格を算定する価格設定手段を備え,
前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記見積価格を前記端末装置へ送信して開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項8】
請求項7に記載の物品取引システムにおいて,
前記入手条件取得手段は,前記入手条件に関する情報として,配送する前記物品の量,定期的な取引の間隔,および,入金するまでの期間のうちの少なくともいずれか1つの情報を前記ネットワークを介して前記端末装置から取得し,
前記価格設定手段は,前記配送する物品の量が多くなる条件,前記定期的な取引の間隔が短くなる条件,および,前記入金までの期間が短くなる条件のうちの少なくともいずれか1つの条件が大きくなるに従って,前記基準価格から減算する値段を大きくして前記見積価格を算定する
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の物品取引システムにおいて,
前記物品取引装置の物品情報開示手段は,ウエッブブラウザによる表示画面で前記端末装置で示されるウィンドにより物品情報を開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。」
から,本件補正後の
「【請求項1】
端末装置で合成樹脂原料の入手条件が設定入力されたことにより,ネットワークを介して送受信可能に接続された物品取引装置により合成樹脂原料を売買するための演算処理をする物品取引システムであって,
前記端末装置は,
ウエッブブラウザによる表示画面を画像表示する購入側表示装置と,
この購入側表示装置に画像表示された表示画面に基づいて入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置と,
前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体と,を備え,
前記物品取引装置は,
前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する顧客情報データベース,および,前記合成樹脂原料に関し,前記ネットワークを介して前記合成樹脂原料を生産する販売側に設置された販売側端末コンピュータから取得され前記合成樹脂原料の基準価格に関する基準価格情報を有する物品情報を記憶する物品情報データベースを備えた記憶部と,
前記物品情報を前記端末装置の購入側表示装置で前記ウエッブブラウザによる表示画面で開示させる物品情報開示手段と,
前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された前記物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記顧客情報データベースに記憶させる顧客情報格納手段と,
前記端末装置で設定入力された前記合成樹脂原料の加工内容に関する情報を含む入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し前記顧客情報に1つのレコードとして記憶させる入手条件取得手段と,
この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記合成樹脂原料を提供する物品提供側から提供された前記合成樹脂原料を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記顧客情報に基づいて前記入手条件に関する情報を設定入力した前記端末装置が設置された所在地を含む地域における前記備蓄機関を選定し,この選定した備蓄機関から前記端末装置の設置された所在地へ前記備蓄機関に備蓄されている前記加工内容に関する情報に基づいて加工された合成樹脂原料を共積みして配送させる共積み内容および配送ルートに関する情報を有する配送計画を演算し,この演算した配送計画に関する情報を前記ネットワークを介して前記合成樹脂原料を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送計画作成手段と,前記取得した入手条件に関する情報に基づいて前記基準価格に増減して見積価格を算定する価格設定手段と,を備え,
前記入手条件取得手段は,前記入手条件に関する情報として,配送する前記合成樹脂原料の量,定期的な取引の間隔,および,入金するまでの期間のうちの少なくともいずれか1つの情報を前記ネットワークを介して前記端末装置から取得し,
前記価格設定手段は,前記配送する合成樹脂原料の量が多くなる条件,前記定期的な取引の間隔が短くなる条件,および,前記入金までの期間が短くなる条件のうちの少なくともいずれか1つの条件が大きくなるに従って,前記基準価格から減算する値段を大きくして前記見積価格を算定し,
前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記見積価格を前記端末装置へ送信して開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品取引システムにおいて,
前記物品情報は,前記配送した合成樹脂原料について実施された試験評価に関する物品評価情報を有し,
前記物品取引装置は,前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記物品評価情報を前記端末装置へ送信して開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物品取引システムにおいて,
前記物品情報は,前記配送した合成樹脂原料に関する技術情報を有し,
前記物品取引装置は,前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記技術情報を前記端末装置へ送信して開示させる
ことを特徴とした物品取引システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の物品取引システムにおいて,
前記物品取引装置は,前記取得した入手条件に関する情報に基づいて前記合成樹脂原料を配送する前記備蓄機関に対する手数料を演算し,この演算した手数料に関する情報を前記ネットワークを介して接続する金融付加価値通信網のファームバンキングに送信して前記備蓄機関へ手数料の支払を促す旨の決算処理をする
ことを特徴とした物品取引システム。」
に補正された。

本件補正後の請求項1が,本件補正前の請求項1-3のいずれの請求項を補正したものであるとしても,上記補正は,「物品情報」を「前記ネットワークを介して前記合成樹脂原料を生産する販売側に設置された販売側端末コンピュータから取得され前記合成樹脂原料の基準価格に関する基準価格情報を有する物品情報」と限定するものであり,審判請求人が本件補正について「特許請求の範囲の減縮を目的としたものです。」と主張するとおり(平成21年2月12日付け手続補正書(方式)3頁2-9行),本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

そこで,本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-357316号公報(以下「引用例1」という。)には,以下a.-h.の記載がある。
a.「【0006】本発明による製品販売方法は,第2に,前記顧客の注文製品を,前記顧客の居住地の最も近い製品配送センターから宅配する。」
b.「【0017】ユーザー端末2は,パーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり,注文処理センター端末3が通信ネットワーク1上に提供している製品情報にアクセスし製品情報を画面に表示する機能と,その表示されている製品から顧客が希望して選択した注文情報と宅配先の住所情報とを注文処理センター端末3へ送信する機能とを有する。そして,ここにおける製品情報は,例えば,食品,文房具および本等の情報であり,製品の名称,商品番号および価格等の情報をも含む。」
c.「【0019】注文処理センター端末3は,全国に設置された製品配送センターの宅配担当地域等のデータベースと,宅配先の住所情報から最も適当な製品配送センターを検索する機能と,最も適当な製品配送センターへ注文情報と宅配先住所情報を転送する機能とを有する。そして,注文情報と宅配先との住所情報を受信すると,宅配先の住所情報から最も適当な製品配送センタを検索し,その製品配送センターへ注文情報と宅配先の住所情報とを送出する。」
d.「【0028】顧客は自分のユーザー端末2を使用し,インターネットを介して注文情報処理センター端末3のWebページに接続する。注文情報処理センター端末3はこれに応答し,製品情報をユーザ端末2へ送信する。」
e.「【0029】ユーザー端末2は,注文処理センター端末3から送信された製品情報を図3に示すように端末の画面に表示する。顧客はユーザー端末2の画面に表示された製品情報を参照し購入したい製品を決定して,その製品と購入する個数を画面上から入力する。」
f.「【0030】顧客はここに希望する購入個数を入力する。この操作でフロッピーディスクが注文情報に追加され,ユーザー端末2に一時的に保存される。購入を希望する全ての製品に対して同様の操作を行った後,画面下部にある注文ボタンをクリックすると図4に示す宅配先住所・氏名等の入力画面に移る。この画面で顧客は自分の氏名,宅配を希望する住所,電話番号を入力する。この宅配先情報も一時的にユーザー端末2に保存される。顧客は宅配先情報を入力し終えたら,画面下部にある送信ボタンをクリックする。送信ボタンがクリックされるとユーザー端末2に一時的に保存されている注文情報および宅配先情報が注文情報処理センター端末3に送信される。」
g.「【0031】注文処理センター端末3は,注文情報と宅配先情報とを受信すると,宅配先情報と注文処理センター端末3が持つ製品配送センターの宅配担当地域のデータベースとを比較して,製品の宅配を行う製品配送センターを決定する。注文処理センター端末3は,受信した注文情報と宅配先住所情報とを宅配を行う製品配送センター端末4へ送信する。」
h.「【0032】製品配送センター端末4は,注文処理センター端末3から注文情報と宅配先情報とを受信すると,配送センター内に設置されている製品梱包システムに対して注文された製品を選択し,梱包するように指示する。製品梱包システムは,製品配送センター端末4の指示に従って製品の梱包を行うとともに,配送センター端末4から宅配先情報を受け取って宅配先の住所等の書かれた宛先ラベルを作成し,貼り付ける。その後,製品は直ちに荷積みされ,製品配送センターから配送されて,宅配先の住所に宅配される。そして,顧客は製品の代金を支払い,製品を受け取る。」

ここで,上記a.-h.の記載は,製品販売システムに関するものとしても把握できる。
また,情報処理においてデータベースから情報を得て利用することが慣用手段であるから,上記b.の「注文処理センター端末」が,「製品情報」を「提供」するのに,製品情報を記憶する製品情報データベースから製品情報を得て提供することは自明のことである。
さらに,商取引において注文を受けた組織が注文に関する情報を保管することが慣用手段であり,また,情報処理において受信した情報をデータベースと比較するのに受信した情報を記憶手段に格納して比較することは当然のことであるから,上記g.の「注文処理センター端末」が「注文情報と宅配先情報とを受信すると,宅配先情報と注文処理センター端末3が持つ製品配送センターの宅配担当地域のデータベースとを比較して,製品の宅配を行う製品配送センターを決定」するのに,注文情報及び宅配先情報を記憶手段に格納することは自明のことである。

したがって,上記の記載a.-h.及び図面の記載から,引用例1には,
「インターネットを介してパソコン等のユーザー端末に接続され注文情報と宅配先情報とを受信する注文処理センター端末により製品販売のための情報処理を行う製品販売システムであって,
注文処理センター端末は,価格情報を含む製品情報を記憶する製品情報データベースから製品情報を得て提供し,
顧客は,ユーザー端末を使用し,インターネットを介して注文処理センター端末のWebページに接続し,ユーザー端末により受信され画面に表示された価格情報を含む製品情報を参照して,購入希望製品と購入個数を注文情報として入力し,さらに,顧客の氏名,宅配先である顧客の居住地,電話番号を宅配先情報として入力し,
ユーザー端末は,注文情報及び宅配先情報を注文処理センター端末に送信し,
注文処理センター端末は,受信した注文情報及び宅配先情報を記憶手段に格納し,宅配先情報と製品配送センターの宅配担当地域のデータベースとを比較して,宅配先である顧客居住地を宅配担当地域とする製品配送センターを宅配を行う製品配送センターとして決定し,注文情報と宅配先情報とを宅配を行う製品配送センターの製品配送センター端末に送信し,
製品配送センター端末は,注文情報と宅配先情報とを受信すると,製品配送センター内に設置されている製品梱包システムに注文された製品を選択して包装するように指示し,
製品梱包システムは,指示にしたがって,注文された製品を選択して包装し,
製品配送センターは,包装された製品を宅配先に宅配する
製品販売システム。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく引用された特開平5-189451号公報(以下「引用例2」という。)には,
「【0019】例えば,配送情報格納部2に「顧客Z,商品a,20セット,神奈川(横浜)」,「顧客Y,商品b,50セット,埼玉(大宮)」,「顧客B,商品l,60セット,東京(新宿)」,……のように順次並んでいたとすると,これらの情報を最初の情報から10個または最初の情報から20個というように単純にグルーピングしたのでは効率的な配送を行うことができない。
【0020】そこで,積載パターン設定部4は,例えば「顧客A,商品k,30セット,東京(銀座)」,「顧客M,商品m,25セット,東京(銀座)」,「顧客B,商品l,60セット,東京(新宿)」,「顧客P,商品n,15セット,東京(新宿)」,……のように出荷指示情報を配送地区でソートしてグルーピングする。
【0021】積載パターン設定部4は出荷指示情報を配送地区毎にグルーピングすると,車輌情報格納部3から予め格納された車輌毎の属性情報を読込み,1台の車輌の属性情報を読込む毎に出荷指示情報を割当てていく。」,
「【0022】以後,積載パターン設定部4は出荷指示情報を割当てる毎にその容量を算出して積載可能容量から減算するという処理を繰返し行い,車輌の積載可能容量が0を下回る点で割当てを終了する。
【0023】積載パターン設定部4で各車輌への出荷指示情報の割当てが終了すると,配送ルート立案部5が起動される。配送ルート立案部5は車輌毎の配送ルートを知識ベース6を参照しながら立案する。例えば,車輌Aに図2に示すような出荷指示情報が割当られているとすると,出荷指示番号の順に配送したのでは「銀座」→「新宿」→「池袋」→「浅草」→「中野」という配送ルートとなり,冗長な道順が入るために効率が悪い。このため,知識ベース6中の地図情報を参照して「銀座」→「浅草」→「池袋」→「新宿」→「中野」というように並べ換える。」,
「【0025】配送ルート立案部6が配送ルートの立案を終了すると,その配送ルートを配送パターン格納部7に送出して蓄積する。上記の各処理を車輌情報格納部3の車輌すべてのルートが立案されるまで繰返し行う。以上の配送ルート群を1つの配送パターンとして設定する。
【0026】1つの配送パターンが設定されると,再び積載パターン設定部4の処理に戻って車輌に出荷指示情報を割当てる順序を変えて一連の積載パターン設定処理および配送ルート立案処理を実行する。その結果,配送パターン格納部7には複数の配送パターンが蓄積される。」,
「【0028】上記の如く,最適パターン決定部8は配送パターン各々に相対点を付与していき,最終的に配送パターン各々の総合点数を比較して最適な配送パターンを決定する。最適パターン決定部8で決定された最適な配送パターンは表示部9に送出されて表示される。」
と記載されている。

同じく引用された特開平7-230495号公報(以下「引用例3」という。)には,
「【0022】ここで自動計画作成部19は,例えば人工知能による方法や遺伝的アルゴリズムによる方法で配車計画の少なくとも一部を自動的に作成するものである。これらの方法では,一時に解すなわち配車計画が得られるのではなく,時間の経過とともによりよい解に収束するように,解が逐次生成する。すなわち初期状態では,オーダーデータのみが存在し各トラックには荷物や配送先が割り当てられておらず,その後,配送先ごとにあるいは荷物ごとにトラックが順次割り当て,あるいはトラックごとに配送先や荷物が順次割り当てることによって配車計画の案というべきものが徐々にでき上がってゆき,一応の案が完成した後も,よりよい配車計画を探索することが続けられ,徐々に解である配車計画が改善されるようにして,配車計画の自動生成が行なわれる。」,
「【0026】この表示画面30では,各トラックが1回転目にどこへ行くか,2回転目にどこへ行くかが示され,各回での積載量が,規定積載量を100%として「積載率」の欄にグラフ33で示されている。配送先は文字で表現することも可能であるが,ここでは,配送先を表わすマークからなるアイコン34で表わされている。アイコン34に使用されるマークとしては,配送先の社章などを用いることができる。同じ会社の異なる支店を区別するために,アイコン34に「A店」,「B店」などの支店名を併記するようにしてもよい。また,全トラックの規定積載量の和,1回転目の配送荷物の総量と積載率,2回転目の荷物の総量と積載率が,合計の欄に示されている。所要時間の欄には,グラフ35によって,各配送先への到着予定時刻が点線で,配送基地への帰着予定時刻が実線で,それぞれ示されている。」
と記載されている。

同じく引用された特開2002-83035号公報(以下「引用例4」という。)には,
「【0076】また,車両の塗装色への適用も容易に可能である。この車両の塗装色へ適用する場合を説明する。
【0077】図11に示すように,車両30は,塗装色を有するパーツとして代表的に,フロントボデー32,フロントバンパ34,フロントホイルキャップ36,フロントドア38,リアドア40,リアホイルキャップ42,リアバンパ44,リアボデー46,ドアミラー48を備えている。
【0078】車両に対する配色支援には,ユーザ指定の全塗装や,部分的な塗装すなわちパーツ毎の塗装がある。また,オプション追加例えばエアロパーツの追加による塗装指定等がある。車両の場合には,ユーザが所持している車両について,その配色の支援を要請したり,新車を購入するときの配色の支援を要請したりすることが想定できる。」
と記載されている。

同じく引用された特開2001-338185号公報(以下「引用例5」という。)には,
「【0002】
【従来の技術】インターネット上での電子店舗システムあるいは電子商取引システム等の多くは,WWW(WORLD WIDE WEB)システムをベースにして構築されている。電子店舗で買物や予約などをしたい客の使うクライアントコンピュータでは,WEBブラウザ(あるいは単にブラウザ)と呼ばれるソフトウェアが動作する。客はWEBブラウザからインターネットを介して商品の購入などをしたい電子店舗のショップコンピュータに接続し,商品情報の閲覧や,商品の購入手続きなどを行う。
【0003】ショップコンピュータ上では,電子店舗の機能を実行するプログラムが動作し,例えば,客に対して商品の説明や価格を提示したり,客からの注文を受けて在庫の確認,支払いの処理,配送の手配などの販売処理を行う。また,顧客との過去の取引履歴を管理して,顧客に合った商品提案や優待販売などのサービスをする場合もある。ショップコンピュータは,例えばクレジットカードの決済などを行う際などには,他のサービス会社のコンピュータと通信することもある。」
と記載されている。
「顧客との過去の取引履歴を管理して,顧客に合った商品提案や優待販売などのサービスをする」のに,取引履歴と関連した顧客情報をデータベースに記憶して管理することは自明のことである。

同じく引用された特開2002-133193号公報(以下「引用例6」という。)には,
「【0016】図2は価格スキームの一例を示した図であり,総発注数量に応じた割引率が設定されている数量割引部と,納期までの期間に応じた割引率が設定されている期間割引部とを含んでいる。図2の例は,発注数量xがA1個未満の場合は割引率が0%,発注個数xがA1個以上A2個未満の場合は割引率がα1%,発注個数xがAn個よりも多い場合は割引率がαn%であることを示している。また,図2の例は,納期までの期間yがB1日未満の場合は割引率が0%,納期までの期間yがB1日以上B2日未満の場合は割引率がβ1%,納期までの期間yがBn日よりも長い場合は割引率がβn%であることを示している。」
と記載されている。

当審で周知の事項を示す例として引用する特開2001-331746号公報(以下「周知例1」という。)には,
「【0017】ステップS63において,標準新車価格Cが読み出されると,顧客の情報を顧客データベース71から読み出し,値引率を算出する。たとえば,営業マンの属する会社の作業機を多数保有している顧客ほど値引率を高くし,まったく保有していない顧客には比較的低い値引率が設定される。あるいは,資産内容や業績がよい顧客,購入予定台数が多い顧客には高い値引率を設定することができる。」
と記載されている。

同じく周知の事項を示す例として引用する特開平1-125691号公報(以下「周知例2」という。)には,
「さらに本実施例では,第3図のように,割引率テーブル26は取引種別,および割引率から構成され,例えば現金割引Aという取引は割引率が5%,現金割引Bの割引率は10%というように設定している。」(2頁右下欄1-5行)
と記載されている。
第3図をみると,さらに,取引種別がクレジットAの取引の割引率を3%,クレジットBの取引の割引率を1%に設定している。

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると,
(イ)引用発明の「インターネット」,「パソコン等のユーザー端末装置」は,本願補正発明の「ネットワーク」,「端末装置」に各々相当し,
(ロ)引用発明の「注文処理センター端末」は,本願補正発明の「物品取引装置」に対応し,
(ハ)引用発明の「製品」は,本願補正発明の「合成樹脂原料」と「物品」として共通し,
(ニ)引用発明の「製品販売のための情報処理を行う製品販売システム」は,本願補正発明の「合成樹脂原料を売買するための演算処理をする物品取引システム」と「物品を売買するための演算処理をする物品取引システム」として共通し,
(ホ)引用発明の「パソコン等のユーザー端末装置」は,「インターネットを介して注文処理センター端末のWebページに接続」され,「受信した価格情報を含む製品情報」を「画面に表示」するのであるから,そのための表示装置を備えるといえ,該表示装置は,本願補正発明の「ウエッブブラウザによる表示画面を画像表示する購入側表示装置」に相当し,
(ヘ)引用発明の「パソコン等のユーザー端末装置」は,「顧客」が,「画面に表示された価格情報を含む製品情報を参照して,購入希望製品と購入個数を注文情報として入力し,さらに,顧客の氏名,宅配先である顧客の居住地の住所,電話番号を宅配先情報として入力」するのであるから,そのための入力装置を備えるといえ,該入力装置は,本願補正発明の「この購入側表示装置に画像表示された表示画面に基づいて入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置」に相当し,
(ト)引用発明の「パソコン等のユーザー端末装置」の上記「表示装置」と上記「入力装置」以外の部分は,本願補正発明の「前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体」に相当し,
(チ)引用発明の「注文情報」は,「購入希望製品と購入個数」からなるのであるから,本願補正発明の「入手条件に関する情報」に対応し,
(リ)引用発明の「宅配先情報」は,「顧客の氏名,顧客の居住地,電話番号」からなるのであるから,本願補正発明の「物品入手側に関する顧客情報」に対応し,
(ヌ)引用発明の「記憶手段」の宅配先情報を記憶する部分は,本願補正発明の「前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する顧客情報データベース」と,「物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段」として共通し,
(ル)引用発明の「価格情報を含む製品情報」は,本願補正発明の「前記合成樹脂原料に関し,前記ネットワークを介して前記合成樹脂原料を生産する販売側に設置された販売側端末コンピュータから取得され前記合成樹脂原料の基準価格に関する基準価格情報を有する物品情報」と「物品に関し,前記物品の価格に関する価格情報を有する物品情報」として共通し,
(ヲ)引用発明の「注文処理センター端末」は,「注文情報及び宅配先情報」を「受信」して「記憶手段に格納」するのであるから,そのための受信手段と格納手段を備えるといえ,該受信手段の宅配先情報を受信する機能部分と該格納手段の宅配先情報を記憶手段に格納する機能部分とで,本願補正発明の「前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記顧客情報データベースに記憶させる顧客情報格納手段」と「端末装置で開示される物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された物品入手側に関する顧客情報をネットワークを介して取得して記憶手段に記憶させる顧客情報格納手段」として共通し,上記受信手段の注文情報を受信する機能部分と上記格納手段の注文情報を格納する機能部分とで,本願補正発明の「前記端末装置で設定入力された前記合成樹脂材料の加工内容に関する情報を含む入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し前記顧客情報に1つのレコードとして記憶させる入手条件取得手段」と「端末装置で設定入力された物品の入手条件に関する情報をネットワークを介して取得し記憶手段に記憶させる入手条件取得手段」として共通し,
(ワ)引用発明の「製品配送センター」は,「製品配送センター内に設置されている製品梱包システム」が「注文された製品を選択して梱包」するのであるから,製品を備蓄しており,「物品提供者側から提供された物品を備蓄する備蓄機関」ともいえ,
(カ)引用発明の「注文処理センター端末」は,「宅配先情報と製品配送センターの宅配担当地域のデータベースとを比較して,宅配先である顧客の居住地を宅配担当地域とする製品配送センターを宅配を行う製品配送センターとして決定し,注文情報と宅配先情報とを宅配を行う製品配送センターの製品配送センター端末に送信」するのであるから,そのための情報処理手段を備えるといえ,該情報処理手段は,本願補正発明の「この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記合成樹脂原料を提供する物品提供側から提供された前記合成樹脂原料を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記顧客情報に基づいて前記入手条件に関する情報を設定入力した前記端末装置が設置された所在地を含む地域における前記備蓄機関を選定し,この選定した備蓄機関から前記端末装置の設置された所在地へ前記備蓄機関に備蓄されている前記加工内容に関する情報に基づいて加工された合成樹脂原料を共積みして配送させる共積み内容および配送ルートに関する情報を有する配送計画を演算し,この演算した配送計画に関する情報を前記ネットワークを介して前記合成樹脂原料を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送計画作成手段」と「入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,物品入手側に係る場所を含む地域における前記備蓄機関を選定し,配送に関する情報をネットワークを介して前記物品を配送する機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送情報処理手段」として共通している。

したがって,両者は,
「端末装置で物品の入手条件が設定入力されたことにより,ネットワークを介して送受信可能に接続された物品取引装置により物品を売買するための演算処理をする物品取引システムであって,
前記端末装置は,
ウエッブブラウザによる表示画面を画像表示する購入側表示装置と,
この購入側表示装置に画像表示された表示画面に基づいて入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置と,
前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体と,を備え,
前記物品取引装置は,
前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段,および,前記物品に関し,前記物品の価格に関する価格情報を有する物品情報を記憶する物品情報データベースを備えた記憶部と,
前記物品情報を前記端末装置の購入側表示装置で前記ウエッブブラウザによる表示画面で開示させる物品情報開示手段と,
前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された前記物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記記憶手段に記憶させる顧客情報格納手段と,
前記端末装置で設定入力された前記物品の入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し記憶手段に記憶させる入手条件取得手段と,
この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記物品入手側に係る場所を含む地域における前記備蓄機関を選定し,配送に関する情報を前記ネットワークを介して前記物品を配送する機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送情報処理手段と,を備えた
ことを特徴とした物品取引システム。」
である点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明は,取引される物品が合成樹脂原料であり,入手条件に関する情報が合成樹脂原料の加工内容に関する情報を含むものであり,配送される物品が該加工内容に関する情報に基づいて加工された合成樹脂原料であるのに対して,引用発明は,そうではない点。
[相違点2]
本願補正発明は,物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段が,顧客情報データベースであり,入手条件を顧客情報に1つのレコードとして記憶させるのに対して,引用発明は,そうではない点。
[相違点3]
本願補正発明は,顧客情報に基づいて,入手条件に関する情報を設定入力した端末装置の設置された所在地を含む地域における備蓄機関を選定しているのに対して,引用発明は,顧客の居住地を含む地域における備蓄機関を選定しており,本願補正発明のようなものではない点。
[相違点4]
本願補正発明は,備蓄機関と物品を配送する配送機関とがあるのに対して,引用発明は,製品配送センターが備蓄機関と物品を配送する機関を兼ねており,本願補正発明のようなものではない点。
[相違点5]
本願補正発明は,配送情報処理手段が,配送計画作成手段であり,選定した備蓄機関から端末装置の設置された所在地へ備蓄機関に備蓄されている合成樹脂原料を共積みして配送させる共積み内容および配送ルートに関する情報を有する配送計画を演算し,この演算した配送計画に関する情報をネットワークを介して前記合成樹脂原料を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させるのに対して,引用発明は,配送情報処理手段が,配送に関する情報として配送計画を配送端末コンピュータへ送信させるものではなく,本願補正発明のようなものではない点。
[相違点6]
本願補正発明は,物品情報がネットワークを介して合成樹脂原料を生産する販売側に設置された販売側端末コンピュータから取得され合成樹脂原料の基準価格に関する基準価格情報を有するものであり,物品取引装置が,取得した入手条件に関する情報に基づいて前記基準価格に増減して見積価格を算定する価格設定手段を備え,入手条件取得手段が,前記入手条件に関する情報として,配送する前記合成樹脂原料の量,定期的な取引の間隔,および,入金するまでの期間のうちの少なくともいずれか1つの情報を前記ネットワークを介して端末装置から取得し,価格設定手段が,前記配送する合成樹脂原料の量が多くなる条件,前記定期的な取引の間隔が短くなる条件,および,前記入金までの期間が短くなる条件のうちの少なくともいずれか1つの条件が大きくなるに従って,前記基準価格から減算する値段を大きくして前記見積価格を算定し,前記端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記見積価格を前記端末装置へ送信して開示させるのに対して,引用発明は,そうではない点。

4 判断
[相違点1]について検討する。
合成樹脂原料も取引可能な物品の1つであり,合成樹脂原料の購入者も顧客といえるから,引用発明において,取引される物品を合成樹脂原料とすることは,当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。
その際に,例えば引用例4にみられるように,顧客の希望する内容の加工をした物品を顧客に提供することが周知の事項であるから,入手条件に関する情報を合成樹脂原料の加工内容に関する情報を含むものとし,配送される物品を該加工内容に関する情報に基づいて加工された合成樹脂原料として,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点2]について検討する。
例えば引用例5にみられるように,取引履歴と関連した顧客情報をデータベースに記憶して管理することが周知の事項であり,関連する複数の事項を1つのレコードとして記憶することも例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段を,顧客情報データベースとして顧客情報を管理し,入手条件を顧客情報に1つのレコードとして記憶させるようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点3]について検討する。
[相違点2]について検討したとおり,引用発明において,物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段を,顧客情報データベースとして顧客情報を管理するようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
そして,顧客の端末装置の所在位置を顧客の所在位置とみなすことが例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,顧客の居住地を含む地域における備蓄機関を選定するのに,顧客情報に基づいて,入手条件に関する情報を設定入力した端末装置の設置された所在地を含む地域における備蓄機関を選定するようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点4]について検討する。
関連する複数の業務を各々別の機関が行うことが例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,備蓄機関と物品を配送する配送機関を別にして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点5]について検討する。
例えば引用例2,引用例3にみられるように,物品を配送するのに共積みして配送する物品の積載の内容および配送ルートに関する配送計画を作成することが周知の事項であり,また,業務を行う者が業務計画を作成するのではなく業務を行う者の上位の者等の関係者が作成して業務を行う者に伝達することも例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,配送情報処理手段を,配送計画作成手段とし,選定した備蓄機関から端末装置の設置された所在地へ備蓄機関に備蓄されている合成樹脂原料を共積みして配送させる共積み内容および配送ルートに関する情報を有する配送計画を演算し,この演算した配送計画に関する情報をネットワークを介して前記合成樹脂原料を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させるようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点6]について検討する。
物品の生産者が物品情報を提供すること,物品の生産者が物品の標準価格を提示することのいずれもが例示するまでもなく周知のことであり,さらに,例えば引用例6,周知例1,周知例2にみられるように,顧客の入手条件に基づいて標準価格から変動した販売価格を算出することが周知の事項であるから,引用発明において,物品情報をネットワークを介して合成樹脂原料を生産する販売側に設置された販売側端末コンピュータから取得され合成樹脂原料の基準価格に関する基準価格情報を有するものとし,物品取引装置に,取得した入手条件に関する情報に基づいて前記基準価格に増減して見積価格を算定する価格設定手段を設け,端末装置からの要求に基づいて,前記ネットワークを介して前記見積価格を前記端末装置へ送信して開示させるようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
その際に,顧客の入手条件に応じて基準価格に増減して見積価格を算定するのに,配送する物品の量や取引の頻度や入金までの期間に応じて基準価格に増減して見積価格を算定することは,当業者が経営戦略に沿って人為的に適宜に決められることであるから,入手条件取得手段が,前記入手条件に関する情報として,配送する前記合成樹脂原料の量,定期的な取引の間隔,および,入金するまでの期間のうちの少なくともいずれか1つの情報を前記ネットワークを介して端末装置から取得し,価格設定手段が,前記配送する合成樹脂原料の量が多くなる条件,前記定期的な取引の間隔が短くなる条件,および,前記入金までの期間が短くなる条件のうちの少なくともいずれか1つの条件が大きくなるに従って,基準価格から減算する値段を大きくして見積価格を算定するようにして,本願補正発明のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

そして,本願補正発明の作用効果も,引用発明及び周知の事項の作用効果から,当業者が容易に予測し得たことである。

したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知の事項から,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり,本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成20年2月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成19年11月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて,その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「端末装置で物品の入手条件が設定入力されたことにより,ネットワークを介して送受信可能に接続された物品取引装置により物品を売買するための演算処理をする物品取引システムであって,
前記端末装置は,
入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置と,
画像表示する購入側表示装置と,
前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体と,を備え,
前記物品取引装置は,
前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する顧客情報データベース,および,前記物品に関する物品情報を記憶する物品情報データベースを備えた記憶部と,
前記物品情報を前記端末装置の購入側表示装置で開示させる物品情報開示手段と,
前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された前記物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記顧客情報データベースに記憶させる顧客情報格納手段と,
前記端末装置で設定入力された前記物品の入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し前記顧客情報に1つのレコードとして記憶させる入手条件取得手段と,
この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記顧客情報に基づいて前記入手条件に関する情報を設定入力した前記端末装置が設置された所在地を含む地域における前記備蓄機関を選定し,この選定した備蓄機関から前記端末装置の設置された所在地へ前記備蓄機関に備蓄されている物品を共積みして配送させる配送計画を作成し,この配送計画に関する情報を前記ネットワークを介して前記物品を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送計画作成手段と,を備えた
ことを特徴とした物品取引システム。」

2 引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例及び該引用例に記載された発明は,上記第2の2の項に記載したとおりである。

3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると,
(イ)引用発明の「インターネット」,「パソコン等のユーザー端末装置」は,本願発明の「ネットワーク」,「端末装置」に各々相当し,
(ロ)引用発明の「注文処理センター端末」は,本願発明の「物品取引装置」に対応し,
(ハ)引用発明の「製品」は,本願発明の「物品」に相当し,
(ニ)引用発明の「製品販売のための情報処理を行う製品販売システム」は,本願発明の「物品を売買するための演算処理をする物品取引システム」に対応し,
(ホ)引用発明の「パソコン等のユーザー端末装置」は,「顧客」が,「購入希望製品と購入個数を注文情報として入力し,さらに,顧客の氏名,宅配先である顧客の居住地の住所,電話番号を宅配先情報として入力」するのであるから,そのための入力装置を備えるといえ,該入力装置は,本願発明の「入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置」に相当し,
(ヘ)引用発明の「パソコン等のユーザー端末装置」は,「受信した価格情報を含む製品情報」を「画面に表示」するのであるから,そのための表示装置を備えるといえ,該表示装置は,本願発明の「画像表示する購入側表示装置」に相当し,
(ト)引用発明の「パソコン等のユーザー端末装置」の上記「表示装置」と上記「入力装置」以外の部分は,本願発明の「前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体」に相当し,
(チ)引用発明の「注文情報」は,「購入希望製品と購入個数」からなるのであるから,本願発明の「入手条件に関する情報」に対応し,
(リ)引用発明の「宅配先情報」は,「顧客の氏名,顧客の居住地,電話番号」からなるのであるから,本願発明の「物品入手側に関する顧客情報」に対応し,
(ヌ)引用発明の「記憶手段」の宅配先情報を記憶する部分は,本願発明の「前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する顧客情報データベース」と,「物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段」として共通し,
(ル)引用発明の「価格情報を含む製品情報」は,本願発明の「前記物品に関する物品情報」に相当し,
(ヲ)引用発明の「注文処理センター端末」は,「注文情報及び宅配先情報」を「受信」して「記憶手段に格納」するのであるから,そのための受信手段と格納手段を備えるといえ,該受信手段の宅配先情報を受信する機能部分と該格納手段の宅配先情報を記憶手段に格納する機能部分とで,本願発明の「前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記顧客情報データベースに記憶させる顧客情報格納手段」と「端末装置で開示される物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された物品入手側に関する顧客情報をネットワークを介して取得して記憶手段に記憶させる顧客情報格納手段」として共通し,上記受信手段の注文情報を受信する機能部分と上記格納手段の注文情報を格納する機能部分とで,本願発明の「前記端末装置で設定入力された前記物品の入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し前記顧客情報に1つのレコードとして記憶させる入手条件取得手段」と「端末装置で設定入力された物品の入手条件に関する情報をネットワークを介して取得し記憶手段に記憶させる入手条件取得手段」として共通し,
(ワ)引用発明の「製品配送センター」は,「製品配送センター内に設置されている製品梱包システム」が「注文された製品を選択して梱包」するのであるから,製品を備蓄しており,「物品提供者側から提供された物品を備蓄する備蓄機関」ともいえ,
(カ)引用発明の「注文処理センター端末」は,「宅配先情報と製品配送センターの宅配担当地域のデータベースとを比較して,宅配先である顧客の居住地を宅配担当地域とする製品配送センターを宅配を行う製品配送センターとして決定し,注文情報と宅配先情報とを宅配を行う製品配送センターの製品配送センター端末に送信」するのであるから,そのための情報処理手段を備えるといえ,該情報処理手段は,本願発明の「この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記顧客情報に基づいて前記入手条件に関する情報を設定入力した前記端末装置が設置された所在地を含む地域における前記備蓄機関を選定し,この選定した備蓄機関から前記端末装置の設置された所在地へ前記備蓄機関に備蓄されている物品を共積みして配送させる配送計画を作成し,この配送計画に関する情報を前記ネットワークを介して前記物品を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送計画作成手段」と「入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,物品入手側に係る場所を含む地域における前記備蓄機関を選定し,配送に関する情報をネットワークを介して前記物品を配送する機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送情報処理手段」として共通している。

したがって,両者は,
「端末装置で物品の入手条件が設定入力されたことにより,ネットワークを介して送受信可能に接続された物品取引装置により物品を売買するための演算処理をする物品取引システムであって,
前記端末装置は,
入力操作されて各種情報を設定入力する購入側入力装置と,
画像表示する購入側表示装置と,
前記購入側入力装置および前記購入側表示装置が接続されるとともに,前記ネットワークを介して送受信可能に前記物品取引装置に接続される購入側コンピュータ本体と,を備え,
前記物品取引装置は,
前記物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段,および,前記物品に関する物品情報を記憶する物品情報データベースを備えた記憶部と,
前記物品情報を前記端末装置の購入側表示装置で開示させる物品情報開示手段と,
前記端末装置で開示される前記物品情報に基づいて前記端末装置で設定入力された前記物品入手側に関する顧客情報を前記ネットワークを介して取得して前記記憶手段に記憶させる顧客情報格納手段と,
前記端末装置で設定入力された前記物品の入手条件に関する情報を前記ネットワークを介して取得し記憶手段に記憶させる入手条件取得手段と,
この入手条件取得手段にて取得した入手条件に関する情報に基づいて,所定の地域毎に設置され前記物品を提供する物品提供側から提供された前記物品を備蓄する複数の備蓄機関のうち,前記物品入手側に係る場所を含む地域における前記備蓄機関を選定し,配送に関する情報を前記ネットワークを介して前記物品を配送する機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させる配送情報処理手段と,を備えた
ことを特徴とした物品取引システム。」
である点で一致し,以下の点で相違している。

[相違点1]
本願発明は,物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段が,顧客情報データベースであり,入手条件を顧客情報に1つのレコードとして記憶させるのに対して,引用発明は,そうではない点。
[相違点2]
本願発明は,顧客情報に基づいて,入手条件に関する情報を設定入力した端末装置の設置された所在地を含む地域における備蓄機関を選定しているのに対して,引用発明は,顧客の居住地を含む地域における備蓄機関を選定しており,本願発明のようなものではない点。
[相違点3]
本願発明は,備蓄機関と物品を配送する配送機関とがあるのに対して,引用発明は,製品配送センターが備蓄機関と物品を配送する機関を兼ねており,本願発明のようなものではない点。
[相違点4]
本願発明は,配送情報処理手段が,配送計画作成手段であり,選定した備蓄機関から端末装置の設置された所在地へ備蓄機関に備蓄されている物品を共積みして配送させる配送計画を作成し,この配送計画に関する情報をネットワークを介して前記物品を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させるのに対して,引用発明は,配送情報処理手段が,配送に関する情報として配送計画を配送端末コンピュータへ送信させるものではなく,本願発明のようなものではない点。

4 判断
[相違点1]について検討する。
例えば引用例5にみられるように,取引履歴と関連した顧客情報をデータベースに記憶して管理することが周知の事項であり,関連する複数の事項を1つのレコードとして記憶することも例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段を,顧客情報データベースとして顧客情報を管理し,入手条件を顧客情報に1つのレコードとして記憶させるようにして,本願発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点2]について検討する。
[相違点1]について検討したとおり,引用発明において,物品入手側に関する顧客情報を記憶する記憶手段を,顧客情報データベースとして顧客情報を管理するようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
そして,顧客の端末装置の所在位置を顧客の所在位置とみなすことが例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,顧客の居住地を含む地域における備蓄機関を選定するのに,顧客情報に基づいて,入手条件に関する情報を設定入力した端末装置の設置された所在地を含む地域における備蓄機関を選定するようにして,本願発明のようにすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点3]について検討する。
関連する複数の業務を各々別の機関が行うことが例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,備蓄機関と物品を配送する配送機関を別にして,本願発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。
[相違点4]について検討する。
例えば引用例2,引用例3にみられるように,物品を配送するのに共積みして配送する物品の積載の内容および配送ルートに関する配送計画を作成することが周知の事項であり,また,業務を行う者が業務計画を作成するのではなく業務を行う者の上位の者等の関係者が作成して業務を行う者に伝達することも例示するまでもなく周知の事項であるから,引用発明において,配送情報処理手段を,配送計画作成手段とし,選定した備蓄機関から端末装置の設置された所在地へ備蓄機関に備蓄されている物品を共積みして配送させる配送計画を作成し,この配送計画に関する情報をネットワークを介して前記物品を配送する配送機関に設置された配送端末コンピュータへ送信させるようにして,本願発明のようにすることは,当業者が容易になし得たことである。

そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知の事項の作用効果から,当業者が容易に予測し得たことである。

5 むすび
したがって,本願発明は,引用発明及び周知の事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-01 
結審通知日 2010-12-07 
審決日 2010-12-20 
出願番号 特願2002-191452(P2002-191452)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川口 美樹  
特許庁審判長 手島 聖治
特許庁審判官 山本 穂積
小林 義晴
発明の名称 物品取引システム  
代理人 特許業務法人樹之下知的財産事務所  
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