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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1232108
審判番号 不服2007-22464  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-08-13 
確定日 2011-02-07 
事件の表示 特願2001-256641「データ管理システム、データ管理方法、及び、プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月21日出願公開、特開2002-175298〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一 手続の経緯
本願は、平成13年8月27日(優先権主張平成12年9月29日)の出願であって、平成19年7月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月13日に拒絶査定不服審判が請求され、同年9月12日に手続補正がなされたものである。


第二 平成19年9月12日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成19年9月12日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の概要
平成19年9月12日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲が、
「 【請求項1】
データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするデータ管理システムであって、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付手段と、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段と、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供手段と、
前記提供手段が提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付手段が受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付手段と、
前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
前記データを検索するための検索条件の入力を受け付ける検索条件受付手段と、
前記検索条件受付手段が受け付けた前記検索条件と、前記保存手段が保存した前記メタデータとに基づいて、前記保存手段が保存した前記データの中から、前記検索条件に関連するデータを検索する検索手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記データ選択受付手段は、前記データを構成する一部のデータであるサブデータの選択を受付可能であり、
前記保存手段は、前記データ選択受付手段が前記サブデータの選択を受け付けた場合に、前記データ選択受付手段が受け付けた前記サブデータと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存することを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記データが動画像のデータであり、前記サブデータが前記動画像のフレーム画像のデータであることを特徴とする請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするために、コンピュータが実行するデータ管理方法であって、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付工程と、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付工程で受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付工程と、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段で受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供工程と、
前記提供工程で提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付工程で受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付工程と、
前記データ選択受付工程で受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存工程と、
を含むことを特徴とするデータ管理方法。
【請求項6】
データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするために、コンピュータを、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付手段、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供手段、
前記提供手段が提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付手段が受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付手段、
前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存手段、
として機能させるプログラム。」

であったものを、

「 【請求項1】
データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするデータ管理システムであって、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付手段と、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段と、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供手段と、
前記提供手段が提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付手段が受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付手段と、
前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
前記データを検索するための検索条件の入力を受け付ける検索条件受付手段と、
前記検索条件受付手段が受け付けた前記検索条件と、前記保存手段が保存した前記メタデータとに基づいて、前記保存手段が保存した前記データの中から、前記検索条件に関連するデータを検索する検索手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記データ選択受付手段は、前記データを構成する一部のデータであるサブデータの選択を受付可能であり、
前記保存手段は、前記データ選択受付手段が前記サブデータの選択を受け付けた場合に、前記データ選択受付手段が受け付けた前記サブデータと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存することを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記データが動画像のデータであり、前記サブデータが前記動画像のフレーム画像のデータであることを特徴とする請求項3に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするために、コンピュータが実行するデータ管理方法であって、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付工程と、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付工程で受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付工程と、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付工程で受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供工程と、
前記提供工程で提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付工程で受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付工程と、
前記データ選択受付工程で受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存工程と、
を含むことを特徴とするデータ管理方法。
【請求項6】
データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするために、コンピュータを、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付手段、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供手段、
前記提供手段が提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付手段が受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付手段、
前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段、
として機能させるプログラム。」

とするものであり、

補正前の請求項1の「前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存手段と」を「前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段と」とし、補正前の請求項5の「前記データ選択受付工程で受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存工程と」を「前記データ選択受付工程で受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存工程と」とし、補正前の請求項6の「前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存手段」を「前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段」とする補正を含むものである。

2 補正の適否(新規事項の追加)
本出願当初明細書には、

「【0042】そこで、本実施形態では、データの内容の種類に応じて、予めメタデータとして付与する候補となるもの作成しておき、データ登録時にこれをユーザに提示して選択等させ、メタデータの付与を簡単且つ効率よく実現できるようにする。また、付与されるメタデータを特定の手法で取り扱うことにより、効率的なデータ検索をも実現せんとする。
【0043】また、本実施形態では、メタデータの候補を作成等するために、まず、管理せんとするデータの内容に即して、その種類毎に分類する。本実施形態では、日常的なイベントを単位として分類する。例えば、結婚式の披露宴や、海外旅行等がイベントとして挙げられる。
【0044】各イベントは、経験則的に、複数のイベントから構成されることが予想できる。例えば、結婚式の披露宴というイベントは、新郎新婦の入場、来賓のスピーチ、乾杯といった個々の小さなイベントから構成される。そこで、本実施形態では、各イベントを複数のイベントから定義し、各イベント単位でメタデータの候補を作成する。
【0045】図3は、イベント間の関係を定義した情報の例であり、あるイベントXに含まれる個々のイベントX-A乃至Iの包含関係を示した図である。図から明らかなように、イベントXは、まず、イベントX-A乃至Cを含み、更に、イベントX-Aは、イベントX-D及びEを含むようになっている。
【0046】例えば、イベントXが、結婚式の披露宴とすると、イベントX-A乃至Cをそれぞれ開宴、食事中、クライマックス等とし、更に、イベントX-Aの下位のイベントとしてイベントX-D及びEを、それぞれ、新郎新婦入場、来賓スピーチ、等とすることができる。
【0047】メタデータの候補は、各イベントにおいて経験則的に登場する人物、物等のオブジェクト、若しくは、シチュエーション等であり、イベントが細分化される程、その設定が容易且つ的確なものとなる。
【0048】図4は、各イベントの種類と、各イベントに設定されたメタデータの候補のテーブルの一例を示した図である。図4において、イベントとして結婚式の披露宴があり、その下位のイベントとして、新郎新婦入場、スピーチ、余興が存在する。また、結婚式の披露宴に登場するオブジェクト等としては、経験則的に新郎新婦があるため、これがメタデータの候補とされている。また、新郎新婦の入場の際のシチュエーションとしては、経験則的にスポットライトが考えられるので、これがメタデータの候補に挙げられていることが分かる。この情報は図1のDISK等に格納することができる。この実施形態では、イベントを単位とすることで、ホームビデオのコンテンツなどに対し、内容を分類してメタデータの付与を行うのに適した例となっている。しかし、本発明は、基準となる単位をコンテンツに応じた単位のものを選ぶことで、ビデオ以外のコンテンツにも利用しやすいように対応することが可能である。」

及び、

「【0049】次に、本実施形態において、イベントの種類やメタデータの候補は、最終的に各データに付されるメタデータとなり、検索時のインデックス情報として活用される。この場合、データ検索の効率化・的確化を図るべく、各イベント間やメタデータの候補間の関係を予め定義することもでき、この情報を図1のDISK等に格納することができる。
【0050】図5は、このようなイベント、メタデータの候補等の相関関係を定義したテンプレートの例を示した図である。一枚のテンプレートが一つのイベントを示しており、そのイベントに含まれる個々のイベントや、メタデータの候補としてのオブジェクト、更に、これらの間の関連性が示されている。
【0051】イベントテンプレートT3-1の中には複数のイベントE3-X(Xは数字)がある。これは、1つのイベントは時間や因果関係をもつ小さなイベントから成り立っているためである。また、その出来事に関連する人物や物等のオブジェクトが存在し、図中、Obj3-X(Xは数字)で表している。
【0052】オブジェクトには、個々のイベントにだけ出現するものと、イベント全体に共通して出現するものがあり、図中ではObj3-1とObj3-2だけが共通に出現するものであるために、特定のイベントの中ではなく、イベントテンプレートT3-1の枠にだけ囲まれるように表されている。
【0053】これに対し、これ以外のオブジェクトは、個々のイベントに囲まれており、そのイベント内にだけ出現することが示されている。各オブジェクト同士にはある種の関係があり、またイベント同士にもある種の関係がある。これを、R3-X(Xは数字)で表している。このイベントテンプレートT3-1におけるイベント、オブジェクトや、それらの関係は、さまざまな属性を持つことができる。
【0054】たとえば、これが結婚式の披露宴を対象としたイベントテンプレートだとすると、新郎という属性を持つObj3-1と、新婦という属性を持つるObj3-2は、この中でほとんどのイベントに出現するオブジェクトとなる。
【0055】新郎の友人関係R3-7にある司会者という属性を持つObj3-11が披露宴の始まりを宣言し、新郎Obj3-1と新婦Obj3-2が会場に入ってくる、いわゆる新郎新婦入場のイベントがE3-1であるといった具合である。
【0056】このようにして、各イベントと各メタデータ候補等の関係が予め定義され、その情報はデータ検索時に利用されることとなる。」
と記載されていることから、「メタデータ候補間の関係を予め定義することができる」ことは開示されているといえる。

そこで、「前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段」に関して、更に、検討すると、本出願当初明細書又は図面(以下、「本出願当初明細書等」という。)には、

「【0074】領域743は、領域742で選択されたイベントに対して設定されたメタデータの候補に即して定められた入力項目が表示される領域である。図7では、領域742で選択されたイベントに登場すると考えられるオブジェクトの名前が列挙されている。これらをユーザは選択/非選択することで、その名前のオブジェクトが現在選択しているサブデータの画像中に登場するかどうかを指示でき、ユーザは簡単な操作で、登場している人物や物についてのメタデータの付与が行える。 なお、図7中では、領域732に「新郎」と「新婦」が登場しており、「ケーキ」は特に写っていなかったという状態をユーザが示した状態になっている。
【0075】また、領域743の中の「詳細情報」のボタンを押すと、この各オブジェクトについて、さらに詳細な情報が付与できるようになっている。この詳細な情報として付与できる内容は、個々のオブジェクトに対する各種属性の追加/削除/変更や、入力項目として定められていなかった登場人物や物を追加/削除/変更等を挙げることができ、メタデータの候補の編集、設定等をユーザが任意に行えるようにしたものである。
【0076】領域744も領域743と同様に、領域742で選択されたイベントに対して設定されたメタデータの候補に即して定められた入力項目が表示される領域である。図7では、各オブジェクト間の関係や、シチュエーションなどについて項目が列挙されている。ユーザはこれらを選択/非選択することで、その関係やシチュエーションが現在選択しているシーン中に存在するかどうかを指示でき、これにより、ユーザは簡単な操作で、登場している人物や物の関係や状態などのメタデータの付与が行えるようになっている。図7中、「笑い声」は含まれなかったが、「顔のアップ」や「カメラのフラッシュ」や「拍手」が起こったことが、ユーザにより指示されている。また、この中の「詳細情報」のボタンを押すと、この関係や状態について、さらに詳細な内容が付与できる。
【0077】この詳細な情報として付与できる内容は、関係や状態の持つ属性の追加/削除/変更などや、関係の行為者(物)や対象者(物)などのオブジェクトの設定/変更/削除などや、イベントやイベントテンプレートになかった関係や状態を追加/削除/変更等を挙げることができ、メタデータの候補の編集、設定等をユーザが任意に行えるようにしたものである。」

及び

「【0081】次に、図3に戻り、ステップS3では、選択されたデータと入力されたメタデータとを関連付けて保存する。上述した図4の例では、領域732に示された画像のサブデータに対して、入力シートを示す領域74に入力された情報がメタデータとして付与され、該メタデータが該サブデータに対して関連付けられて図1のDISK等の記録媒体に保存されることとなる。
【0082】図8は、データと、これに付されたメタデータとの関係を示したテーブルであり、動画像データAに含まれる複数の一群のフレーム毎に、にぞれぞれ、イベントの種類や、メタデータの候補のうち入力されたものが、メタデータとして付与されたことを示している。ここでは、簡単なキーワードとして扱える文字情報などを主に格納しているが、登場人物間の関係などある種の構造を保有するものや、文字以外の情報も付与可能である。
【0083】また、検索時に用いるため、各メタデータに関連するデータを示すインデックス情報が、作成又は更新される。図9は、インデックス情報の一例を示したものであり、各メタデータに関連するデータがテーブル形式で示されている。このインデックス情報は、図1のDISK等の記録媒体に保存されることとなる。」
と記載されているように、「データ選択受付手段が受け付けたデータとメタデータ選択受付手段が受け付けたメタデータとを関連付けて保存する」ことは開示されているといえるものの、
「前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する」ことについて、記載も、示唆もされているとはいえない。
また、「メタデータ候補間の関係を予め定義した情報」自体は開示されているので、これと、データ選択受付手段が受け付けたデータとを関連付けて保存することも、請求人が、新たな課題に基づいて想到することができる技術の1形態であるとしても、該事項が本出願当初明細書等のすべての記載から、自明な事項であるとまではいえない。

したがって、請求項1において、「前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段」と補正すること、請求項5において、「前記データ選択受付工程で受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付工程で受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存工程」と補正すること、請求項6において、「前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存し、かつ、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータが複数ある場合は、当該メタデータ間の関係を示す予め定義された情報も関連付けて保存する保存手段」と補正することは、それぞれ本出願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。

以上のことから、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第三 補正却下の決定を踏まえた検討
1 本願発明
平成19年9月12日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?6に係る発明は、平成19年6月14日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?6に記載されたとおりのものであるところ、該請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするデータ管理システムであって、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付手段と、
予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段と、
前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供手段と、
前記提供手段が提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付手段が受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付手段と、
前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とするデータ管理システム。」

2 引用例
(1)引用例1
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-96194号公報「表示処理装置、表示方法、表示処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録した記録媒体、およびコンピュータ・プログラム・プロダクト」(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。

(あ)「【0041】〔本実施の形態に係る表示処理装置の構成〕図1は,本実施の形態に係る表示処理装置の概略構成例を示す図である。
【0042】図1において、1は表示処理装置を示しており、表示処理装置1は、操作指示を与える入力部11と,表示部12と、表示処理装置全体の制御を司るCPU13と、外部装置とデータ通信をおこなう通信部14と,記録媒体16のデータのリード/ライトを行う記録媒体アクセス装置15と,CPU13を動作させるプログラム等を格納した記録媒体16と、画像ファイル等を格納する管理ファイル17と、表示データ等を印刷する印刷部18と、及びCPU13のワークエリアとして使用されるRAM19と、を備えている。これら表示処理装置の各部は、バスを介して互いに接続されている。
【0043】上記入力部11は,カーソルキー,数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウス、並びに画像を読みとるスキャナ等からなる。この入力部11は、必ずしも表示処理装置にローカルに接続される必要はなく、PHS・リモートターミナル(例えば、Personal Digital Assistant)等のリモート装置や、当該表示処理装置1と双方向でデータ通信が可能な装置等を入力手段として使用しても良い。また、入力部11は、CPU12に操作コマンドを与えて動作させるためのユーザーインターフェースである。なお、入力部11としては、上記したものに限られるものではなく、タッチパネル、トラックボールや音声認識機構等を用いても良い。
【0044】上記表示部12は,CRT(Cathod Ray Tube )LCD(Liquid CrystalDisplay )や、プラズマディスプレイ等により構成され,CPU13から入力される表示データに応じた表示が行われる。
【0045】上記CPU13は,例えば、32ビットマイクロプロセッサ、他のマイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Prosessor)や、プログラマブルロジック等からなる。また、CPU13は、必ずしもシングルプロセッサである必要はなく、分散処理をするタイプのものでも良い。このCPU13は、記録媒体に格納されているプログラムに従って、装置全体を制御する中央制御ユニットであり,このCPU4には,入力部11,表示部12,通信部14,記録媒体アクセス制御装置15,管理ファイル17、印刷部18、及びRAM19が接続されており,データ通信,メモリへのアクセスによるアプリケーションプログラムの読み出しや各種データのリード/ライト,データ/コマンド入力,カラー表示等を制御する。
【0046】上記通信部14は,電話回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)、LAN(Local Area Network)や、WAN(Wide Area Network)等に接続され,内蔵したモデム(図示せず)を経て電話回線を介してデータ通信を行う。また、通信部14は,RS232CインターフェースやIrDAインターフェースを備えており、デジタルカメラ等の外部機器と前述のRS232Cインターフェースを介してケーブル(有線)によるデータ通信や前述のIrDAインターフェースを介して赤外線(無線)によるデータ通信を行う。
【0047】上記記録媒体16は、CPU13が実行可能なOSプログラム(例えば、WINDOWS)やアプリケーションプログラム等の各種プログラムやデータを格納する。アプリケーションプログラムとしては、例えば、ブラウザプログラム(基本アプリケーションとアドインソフトを含む)等がある。記録媒体は、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、CD-ROM、DVD-ROM、MOやPCカード等の光学的・磁気的・電気的な記録媒体から成る。上記各種プログラムは、CPU13が直接又は間接に解釈可能なオブジェクトコードやソースコード等の形態で記録媒体16に格納されている。また、上記各種プログラムは、予め記録媒体に記録されている場合や通信回線を介してダウンロードされて記録媒体に格納される場合等がある。
【0048】上記RAM19は,指定されたプログラム,入力指示,入力データ及び処理結果等を格納するワークメモリと,表示部12の表示画面に表示する表示データを一時的に格納する表示メモリとを備えている。
【0049】上記管理ファイル17には、ブラウザプログラムで使用されるキーワードデーブル17a、検索用テーブル17b、及び複数の画像ファイル17c・音声ファイル・文書ファイル等が格納される。
【0050】図2は、上記キーワードテーブル17aの構成例を示す図である。キーワードテーブル17aは、図2に示す如く、キーワードN0(A、B、・・・)に対応させて操作者により入力されるキーワードを格納するものである。このキーワードテーブル17aは、キーワードの入力や削除がある毎に、データが更新される。論理的な識別子(キーワードN0)を特定のキーワードに割り当てることとしたのは、○1(審決注:丸数字を表記上○1、○2等と表記する。以下同じ。)特定のキーワードに関連するファイルをキーワードや当該キーワードに対応するキーワードNOに基づきグループ化して保存するため(図4参照)、○2データサイズを小さくするため、○3関連する画像を容易に検索して表示するためである。
【0051】図3は、上記画像ファイル17cのデータ構成例を示す図である。画像ファイル17cは、図3に示す如く、画像データの形式や作成日時等のデータを含むヘッダ情報と、画像データと、当該画像ファイルのサムネールが作成された場合にそのサムネールデータと、操作者により当該サムネール(画像ファイル)に設定されるメモ情報と、及び画像がデジタルカメラ20等で作製された場合に画像の撮影角度等を含むその撮影情報と、から構成される。
【0052】尚、上記図3に示す画像ファイルでは、画像データとサムネールデータとを同一のファイルとして扱っているが、サムネールを画像データと別のファイルとして扱って他の記憶領域に格納することとしても良い。その場合、サムネールデータのメモリアドレス又はポインタを画像ファイル若しくは検索用テーブルに記憶しておけば良い。
【0053】図4は、上記検索用テーブル17bの構成例を示す図である。検索用テーブル17bは、図4に示す如く、フォルダ名と、このフォルダに含まれるファイル名と、当該ファイルのメモリアドレスと、当該ファイルの作製日時と、画像ファイルのサムネールの作製の有無(「1」は有りを示し、「0」は無しを示す)と、サムネール(画像ファイル)に設定されるキーワードNo(A、B、・・・)と、サムネール(画像ファイル)に設定されるメモ情報の有無(「1」は有りを示し、「0」は無しを示す)と、撮影情報の有無(「1」は有りを示し、「0」は無しを示す)と、サムネール(画像ファイル)に設定される音声ファイル名(「0」は音声ファイルの設定無しを示す)とを対応づけて格納する。例えば、サムネールを表示する場合には、サムネールが既に作製されているか否かをこの検索用テーブル17bを参照して判断し、既に、サムネールが作製されている場合には、対応するサムネールが画像ファイル17cから読み出される。また、後述する検索処理においては、選択対象となるキーワードが設定されたサムネールがこの検索テーブル17bから検索され、対応するサムネールが画像ファイルから読み出される。この検索テーブル17bは、データの入力・設定・削除等がある毎に更新される。他方、サムネールが存在しない場合には、CPU13(図1参照)は、サムネールを作成して表示するために、画像データを用いてサムネール作成処理を実行する。」(6頁10欄38行?8頁13欄19行)

(い)「【0058】図6は、ブラウザシステムの機能を示す図である。本ブラウザシステムは、図6に示す如く、パソコン上の画像ファイルに対してサムネールを表示し、検索、音声やメモの設定、コピー、移動、削除、補正、印刷等の操作機能を備えている。本システムの機能をより詳細に以下で説明する。
【0059】(1)サムネイル表示:指定したフォルダ内の画像ファイルをサムネイル表示を可能とする機能である。
(2)検索:選択した画像ファイル(サムネール)に対してキーワード設定・キーワード解除をおこない、また、設定したキーワードを選択することによりキーワード検索を可能とする機能である。
(3)設定:選択した画像ファイル(サムネール)に対して音声の設定/消去やメモ設定を可能とする機能である。
(4)利用
○1削除:フォルダ内から選択した画像の削除を可能とする機能である。
○2コピー:画像のコピーを可能とする機能である。
○3スキャナー:新たな画像を基本アプリケーションにスキャンすることを可能とする機能である。
○4データ変換:ファイルのフォーマットを他のデータ形式に変換することを可能とする機能である。
○5印刷:画像ファイルをプリンターに印刷することを可能とする機能である。
(5)ビューワ:操作者が選択した画像を見ることを可能とする機能である。」(8頁13欄39行?14欄16行)

(う)「【0088】(キーワードの登録処理)図18のフローチャートを参照して、CPU13の制御により実行されるキーワードの登録処理を説明する。図18は、CPU13の制御により実行されるキーワードの登録処理を説明するためのフローチャートである。図19は、キーワードの登録ダイアログボックスを示す図である。
【0089】先ず、操作者により、ブラウザ画面において、メニューバー○1の「ファイル」のプルダウンメニューから「キーワードの登録」が選択されると(ステップS20)、図19に示す如き、キーワードの登録ダイアログボックスを表示する(ステップS21)。次いで、操作者により、この登録ダイアログボックスで、「登録済みキーワード」からキーワードを登録するボタンが選択され(ステップS22)、次いで、キーワードが入力され(ステップS23)、そして、入力内容が正しければ、確認の「OK」が選択されると(ステップS24)、入力されたキーワードをキーワードバー○6に表示すると共に(ステップS25)、キーワードテーブル17a(図2参照)にキーワードを登録する(ステップS26)。例えば、図9に示す例では、キーワードとして「海の写真」、「山の写真」、「海外旅行」が入力され、キーワードバー○6に表示されている。また、この入力されたキーワードは、図2に示す如く、キーワードテーブル17aに格納される。
【0090】(サムネールへのキーワードの登録処理)図20のフローチャートを参照して、CPU13の制御により実行されるサムネールへのキーワードの登録処理を説明する。図20は、CPU13の制御により実行されるサムネールへのキーワードの登録処理を説明するためのフローチャートである。
【0091】先ず、操作者により、ブラウザ画面において、キーワードを設定するサムネイルのキーワード領域がダブルクリックされる(ステップS30)。次いで、操作者により、キーワードバー○6の設定するキーワードが選択され(ステップS31)、確認の「OK」が選択されると(ステップS32)、選択されたサムネイルのキーワード領域に選択されたキーワードを表示すると共に(ステップS33)、検索用テーブル17cに、選択されたサムネールに対応させてキーワードのキーワードNoを設定する(ステップS34)。このサムネールに設定するキーワードは1つに限らず複数設定しても良い。例えば、図4に示す検索テーブル17bにおいては、「dibE333.bmp」のファイルには、「キーワードNo.A(海の写真)」が、「0035.bmp」のファイルには、「キーワードNo.A(海の写真)」及び「キーワードNo.B(山の写真)」が、「0238.JPG」のファイルには、「キーワードNo.C(海外旅行)」がそれぞれ設定されている。尚、図21に示すキーワード設定ダイアログボックスを表示して、サムネールにキーワードを設定することにしても良い。」(10頁18欄32行?11頁19欄32行)


引用例1の上記記載(あ)?(う)及び図面図1?図24の記載から、引用例1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「ブラウザプログラムによりパソコン上の画像ファイルに対してサムネールを表示し、検索(選択した画像ファイル(サムネール)に対してキーワード設定を行い、また、設定したキーワードを選択することによりキーワード検索を可能とする機能である)、音声やメモの設定、コピー、移動、削除、補正、印刷等の操作機能を備えた表示処理装置1であって、該表示処理装置1は、操作指示を与える入力部11と,表示部12と、表示処理装置全体の制御を司るCPU13と、外部装置とデータ通信をおこなう通信部14と,記録媒体16のデータのリード/ライトを行う記録媒体アクセス装置15と,CPU13を動作させるプログラム等を格納した記録媒体16と、画像ファイル等を格納する管理ファイル17と、表示データ等を印刷する印刷部18と、及びCPU13のワークエリアとして使用されるRAM19と、を備えており、上記管理ファイル17には、ブラウザプログラムで使用されるキーワードデーブル17a、検索用テーブル17b、及び複数の画像ファイル17c、音声ファイル、文書ファイル等が格納され、該表示処理装置1のキーワードの登録処理においては、入力されたキーワードをキーワードバーに表示すると共に(ステップS25)、キーワードテーブル17aにキーワードを登録・格納し、サムネールへのキーワードの登録処理においては、操作者により、ブラウザ画面において、キーワードを設定するサムネールのキーワード領域がダブルクリックされ(ステップS30)、次いで、操作者により、キーワードバーの設定するキーワードが選択され(ステップS31)、確認の「OK」が選択されると(ステップS32)、選択されたサムネールのキーワード領域に選択されたキーワードを表示すると共に(ステップS33)、検索用テーブル17bに、選択されたサムネールに対応させてキーワードのキーワードNoを設定する(ステップS34)表示処理装置」


3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「検索」、「キーワード」、「画像ファイル(サムネール)」及び「登録」は、本願発明の「データ検索」、「メタデータ」、「管理するデータ」及び「付与」に相当する。
引用発明の「表示処理装置」は、「ブラウザプログラムによりパソコン上の画像ファイルに対してサムネールを表示し、検索(選択した画像ファイル(サムネール)に対してキーワード設定を行い、また、設定したキーワードを選択することによりキーワード検索を可能とする機能である)、音声やメモの設定、コピー、移動、削除、補正、印刷等の操作機能を備え」ており、「画像ファイル(サムネール)」を管理しているシステムといえることから、本願発明の「データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするデータ管理システム」に相当する。
また、引用発明では、操作者により、ブラウザ画面において、キーワードを設定するサムネールのキーワード領域がダブルクリックされることにより、キーワードを登録する「画像ファイル(サムネール)」の選択が受け付けられているから、「データ選択受付手段」を備えているといえる。
引用発明の「キーワードバー」及び「キーワードテーブル17a」は、キーワード候補を提供しているから、「提供手段」といえる。
引用発明では、操作者により、キーワードバーの設定するキーワードが選択されるのであるから、「キーワード選択受付手段」を備えているといえる。
引用発明の「検索用テーブル」は、選択されたサムネールに対応させてキーワードのキーワードNoを設定するものであるから、選択されたサムネールとキーワードとを関連付けて保存する保存手段といえる。
してみると、本願発明と引用発明とには、以下の一致点、相違点がある。

(一致点)
「データ検索のためのメタデータを、管理するデータに個別に付与してデータ管理をするデータ管理システムであって、
前記メタデータを付与する前記データの選択を受け付けるデータ選択受付手段と、
メタデータの候補を提供する提供手段と、
前記提供手段が提供した前記メタデータの候補の中から、前記データ選択受付手段が受け付けた前記データに付与するメタデータの選択を受け付けるメタデータ選択受付手段と、
前記データ選択受付手段が受け付けた前記データと、前記メタデータ選択受付手段が受け付けた前記メタデータと、を関連付けて保存する保存手段と、
を備えたことを特徴とするデータ管理システム」である点。

(相違点)
本願発明は、「予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段」を備えているのに対して、引用発明は、該「種類選択受付手段」を備えていない点。
また、本願発明の「提供手段」は、「前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する」のに対し、引用発明の「提供手段」は、単に「メタデータの候補を提供する」点。

4 判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用発明と同一技術分野において、予め定めた複数の種類の中から画像データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段を備え、予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた画像データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する提供手段を備えることは周知な技術事項である(例えば、特開平10-149369号公報「情報蓄積・検索時のキーワード設定支援方法及びその装置」、特開平7-271806号公報「画像データ管理方法および装置」を参照されたい。)。
また、一般に、管理すべき画像が増加すること、併せて画像の種類が多様になることと、そのためのキーワードが多数になることも普通に考えられ、それへの対応も当業者が普通に考慮すべきことであるから、引用発明において上記周知な技術事項を採用することは、特に困難なく推考できるといえ、また、これを阻害する事由があるとはいえない。
してみると、引用発明に上記周知な技術事項を採用して、「予め定めた複数の種類の中から前記データ選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類の選択を受け付ける種類選択受付手段」を備えること、及び、その「提供手段」が「前記予め定めた複数の種類毎に予め定められたメタデータの候補のうち、前記種類選択受付手段が受け付けた前記データの内容の種類に対応するメタデータの候補を提供する」ことは、当業者が容易に想到できたことである。

また、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、周知の技術事項から、当業者が予想可能な範囲内のものであって、格別のものであるとはいえない。

5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1記載の発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-09 
結審通知日 2010-12-13 
審決日 2010-12-24 
出願番号 特願2001-256641(P2001-256641)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 久保 正典
長島 孝志
発明の名称 データ管理システム、データ管理方法、及び、プログラム  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 永川 行光  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  

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