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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B25B
管理番号 1232123
審判番号 不服2008-30179  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-27 
確定日 2011-02-07 
事件の表示 特願2000-503963「手工具」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月 4日国際公開、WO99/04934、平成13年 8月21日国内公表、特表2001-512054〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本件出願の発明
本件出願は、平成10年7月17日(パリ条約による優先権主張1997年7月28日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする特許出願であって、平成19年12月5日付の拒絶理由通知に対する平成20年2月28日付手続補正を経て、平成20年8月22日に拒絶査定がなされ、これに対して同年11月27日に査定を不服とする審判が請求されるとともに明細書を補正対象とする手続補正がなされたものである。
本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項18に係る発明は、願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、請求項1における明らかな誤記を除いて、平成20年2月28日付手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項18に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)及び請求項17に係る発明(以下「本件発明17」という。)は、それぞれ以下のとおりである。

1.1 本件発明1
「それぞれ対面する第1と第2の内面と、前記第1と第2の内面において第1と第2のレバーを通してそれぞれ形成された第1と第2の開口とを有する第1と第2の交差したレバーと、
前記レバーを相互に枢着するよう前記開口を通して延びている枢軸と、
前記内面にそれぞれ形成され、前記開口をそれぞれ囲んでいる第1と第2のくぼみとを含み、
前記第1と第2の開口が異なるサイズと形状とを有し、前記第1と第2のくぼみが異なるサイズと形状とを有し、
前記くぼみの各々が概ね平坦な平面状支持部分を含む周側壁と、前記側壁から関連の開口まで延びている概ね平坦な平面状底壁とを有し、
前記くぼみに配置され、第1と第2の端部がそれぞれ前記レバーを所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧するよう前記支持部分とそれぞれ係合している弾圧ばねを更に含むことを特徴とする手工具。」
(なお、レバーについて、請求項1には「第1と第2に交差したレバー」と記載されているが、それぞれ独立形式で記載されている請求項9及び請求項17では「第1と第2の交差したレバー」と記載されていることからみて、本件発明1も上記のとおり認定した。)

1.2 本件発明17
「それぞれ第1と第2の内面と、前記第2の内面において第2のレバーを貫通して形成された開口とを有する第1と第2の交差したレバーと、
前記第1のレバーに結合され前記レバーを相互に接続する枢軸と、
前記内面にそれぞれ形成され、第2のくぼみが前記開口を囲んでいる第1と第2のくぼみとを含み、
前記第1と第2のくぼみが異なる寸法と形状とを有しており、
前記くぼみの各々が概ね平坦な平面状の支持部分と概ね平坦な平面状の側壁とを有し、前記第2のくぼみの底壁がその側壁から前記開口まで延びており、
更に、前記くぼみに配置され、第1と第2の端部がそれぞれ前記の支持部分と係合し、前記レバーを所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧する弾圧ばねを含むことを特徴とする手工具。」

2.刊行物記載の発明(事項)
これに対して、本件出願の優先日前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用されたた次の刊行物には、以下の記載が認められる。

刊行物1: 実願昭61-22455号(実開昭62-134665号)
のマイクロフィルム
刊行物2: 実願昭50-142085号(実開昭52-54088号)
のマイクロフィルム

2.1 刊行物1
2.1.1 刊行物1の記載事項
ア.(第1頁第20行?第2頁第1行)
「本案は挟持部が常時開口するように発条を装備したウォーターポンププライヤーに関するものである。」
イ.(第3頁第7行?第5頁第15行)
「本案が適用される公知のウォーターポンププライヤーは、把手部1、1’及び嘴状挾持部2、2’を形成した二本の挾持体A、Bを組み合わせてなるもので、一方の挾持体Aには扁平にしたビス孔3に軸部aを扁平とした枢結軸体4を挿着して一体にし、他方の挾持体Bには枢結軸体4の扁平軸部aのみが移動可能な移動部と枢結軸体4が回動可能な回動部を交互に且つ連続的に形成した波型状長孔5を穿設し、枢結軸体4の軸部aを該長孔5に挿通し、挾持体Bの外側面に突出した軸体4の捻子部bにナット6を螺合して両挟持体A、Bを枢結してなるものである。
本案は前記公知構造のウォーターポンププライヤーに於て、挾持体Aの外側面にビス孔3を囲む溝7を穿つと共に、一部を貫通せしめて貫通孔8を設け、別に該溝7内に入る大ささの一部開口したリング状バネ9を形成するもので、バネ9は開口部を閉じる方向に力を加えると反発する作用を有せしめてなり、開口端部に高低の突部c、dを設けたものである。而してバネ9を溝7内に内置すると共に、突部c、dを貫通孔8内に差し入れ、高い突部cを内面側に突出せしめ、然る後挾持体Aに枢結軸体4をビス孔3に挿着して、軸体4の皿部eでバネ9の離脱を防止し、挾持体Aより突出した軸体4の軸部aを挾持体Bの長孔5に挿通すると共に、突出したバネ9の突部cを挾持体Bの適当個所例えば長孔5の側壁等に掛止して、軸体4の捻子部bにナット体6を螺合するものである。
従って挾持部2、2’が適当な開口角度で安定(バネ9に圧縮方向の力が加われていない状態)し、挾持部2、2’で物を挾持するため開口すると、バネ9の突部cが挾持体Bの長孔5の側面に掛止(衝突)され、他方の突部dは貫通孔8の端面に掛止(衝突)されているので、バネ9に圧縮力が加わり把手1、1’への握持力を解放するとバネ9の反発力で自然に挾持部2、2’が開口するものである。また挾持部2、2’の開口度の切換え即ち枢結軸体4の長孔5内での移動に際して、挾持部2、2’の開口角度をより大きくすると、バネ9の各突部c、dが貫通孔8の両側端でその移動が阻止されているので、単に突部cが長孔5の側壁より離脱し、長孔5内に位置するにすぎないため、突部cは挾持部2、2’の開口度切換えの邪魔にならないものである。」
ウ.(第1?3図)
(a)把手部1、1’及び嘴状挾持部2、2’を形成した二本の挾持体A、Bは、それぞれ対面する内面と、各内面において挾持体A、Bを通してそれぞれ形成された扁平にしたビス孔3と波型状長孔5とを有しており、かつ、交差していること。
(b)ビス孔3と長孔5とが異なるサイズと形状とを有していること。

2.1.2 刊行物1記載の発明
刊行物1記載の事項を本件発明1の記載に照らして整理すると刊行物1には以下の発明が記載されていると認められる。
「それぞれ対面する内面と、各内面において挾持体A、Bを通してそれぞれ形成された扁平にしたビス孔3と波型状長孔5とを有する交差した挾持体A、Bと、
前記挾持体A、Bを相互に枢着するよう前記ビス孔3と長孔5とを通して延びている枢結軸体4と、
前記ビス孔3と長孔5とが異なるサイズと形状とを有し、
前記挾持体Aの外側面に前記ビス孔3を囲む溝7を穿つと共に、一部を貫通せしめて貫通孔8を設け、
前記溝7内に内置され、開口端部に設けられた高低の突部c、dを貫通孔8内に差し入れ、低い突部dを貫通孔8の端面に掛止する共に高い突部cを内面側に突出せしめて挾持体Bの長孔5の側面に掛止することにより二本の挾持体A、Bを所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧する一部開口したリング状バネ9を含むウォーターポンププライヤー。」

2.2 刊行物2
2.2.1 刊行物2の記載事項
刊行物2には鋏等の刃先開放機構に関連して以下の事項が記載されている。
ア.(第1頁第4?7行(
「2本のテコ(1)(2)の支点に孔をあけ、鋲状軸(3)で交叉して作動する鋏、ペンチ等の軸(3)を中心とした作動摺動面(10)の空間(8)に弾性体(4)を装入し刃先(11)(12)が開放された状態になる機構。」
イ.(第1頁第9,10行)
「この考案は鋏、ペンチ等を使用する時、開放した状態にする機構に関する。」
ウ.(第1頁第15行?第2頁第5行)
「この考案は軸(3)の周囲に内蔵したバネ(4)により開放するように改良したもので、図面にもとづいて説明すると1対のテコ(1)(2)の軸孔の周囲に組合わした時、バネ(4)の入る空間(8)が出来るよう凹み(7)を作ってバネ(4)が作動するようバネ端(5)(6)が止まるストップ部(9)を成形したもので、1対のテコ(1)(2)のストップ部(9)にバネ端(5)(6)をひっかけバネ(4)をきかしながら組付けると、バネ(4)の形状により開放強さをストップ部(9)の位置により開放角度の任意のものが得られる。」
エ.(第2図及び第4図)
(a)1対のテコ(1)(2)の作動摺動面(10)に、鋲状軸(3)の通る軸孔を囲んでそれぞれ概ね同じ寸法と形状の凹み(7)が作られていること。
(b)凹み(7)の各々が概ね平坦な平面状のバネ端(5)(6)を支持するストップ部(9)を含む周側壁と、この周側壁から関連の軸孔まで延びている概ね平坦な平面状底壁とを有していること。

2.2.2 刊行物2記載の発明
刊行物2記載の事項を本件発明1及び17の記載に照らして整理すると刊行物2には以下の事項が記載されていると認める。
「それぞれ対面する作動摺動面(10)と、前記作動摺動面(10)において1対のテコ(1)(2)を通してそれぞれ形成された軸孔とを有する1対の交叉したテコ(1)(2)と、
前記テコ(1)(2)を相互に枢着するよう前記軸孔を通して延びている鋲状軸(3)と、
前記作動摺動面(10)にそれぞれ形成され、前記軸孔をそれぞれ囲んでいる概ね同じ寸法と形状の凹み(7)とを含み、
前記凹み(7)の各々が概ね平坦な平面状のバネ端(5)(6)を支持するストップ部(9)を含む周側壁と、この周側壁から関連の軸孔まで延びている概ね平坦な平面状底壁とを有し、
前記凹み(7)により出来る空間(8)に配置され、バネ端(5)(6)がそれぞれ前記テコ(1)(2)を所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧するよう前記ストップ部(9)とそれぞれ係合しているバネ(4)を更に含む鋏、ペンチ等。」

3.対比
3.1 本件発明1と刊行物1記載の発明との対比
本件発明1と刊行物1記載の発明とを対比すると以下のとおりである。
後者の「挾持体A、B」、「扁平にしたビス孔3と波型状長孔5」及び「枢結軸体4」が、それぞれ前者の「第1と第2のレバー」、「第1と第2の開口」及び「枢軸」に相当することは明白である。
また、後者における、一部開口したリング状バネ9の開口端部に設けられた高低の突部c、dを掛止する「貫通孔8の端面」と「長孔5の側面」は、それぞれバネの第1と第2の端部が係合する支持部分であるという限りで、前者の「支持部分」と共通している。そして、後者の「リング状バネ9」は、第1と第2の端部がそれぞれレバーを所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧するよう支持部分とそれぞれ係合しているばねであるという限りで、前者の「弾圧ばね」と共通している。
さらに、後者は「ウォーターポンププライヤー」として表現されているが、作業者が手に持って操作する工具であるという点からみれば、前者と同様に「手工具」としても表現できるものである。
したがって、本件発明1と刊行物1記載の発明とは以下の一致点と相違点とを有しているということができる。
<一致点>
それぞれ対面する第1と第2の内面と、前記第1と第2の内面において第1と第2のレバーを通してそれぞれ形成された第1と第2の開口とを有する第1と第2の交差したレバーと、
前記レバーを相互に枢着するよう前記開口を通して延びている枢軸と、
前記第1と第2の開口が異なるサイズと形状とを有し、
第1と第2の端部がそれぞれ前記レバーを所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧するよう支持部分とそれぞれ係合している弾圧ばねを含む手工具である点。
<相違点1>
本件発明1では、内面にそれぞれ形成され、開口をそれぞれ囲んでいる第1と第2のくぼみとを含み、前記第1と第2のくぼみが異なるサイズと形状とを有し、前記くぼみの各々が概ね平坦な平面状支持部分を含む周側壁と、前記側壁から関連の開口まで延びている概ね平坦な平面状底壁とを有し、弾圧ばねが前記くぼみに配置されているのに対して、刊行物1記載の発明では、そのようになっていない点。

3.2 本件発明17と刊行物2記載の発明との対比
本件発明17と刊行物2記載の発明とを対比すると以下のとおりである。
後者の「それぞれ対面する作動摺動面(10)」及び「1対の交叉したテコ(1)(2)」が、それぞれ前者の「第1と第2の内面」及び「第1と第2の交差したレバー」に相当することは明白である。
そして、後者の「作動摺動面(10)において1対のテコ(1)(2)を通してそれぞれ形成された軸孔」は、前者の「第2の内面において第2のレバーを貫通して形成された開口」を含んでいる。
また、後者の「鋲状軸(3)」は、レバーを相互に接続する枢軸であるという限りで、前者の「枢軸」と共通している。
また、後者における、凹み(7)の周側壁に含まれる「バネ端(5)(6)を支持するストップ部(9)」は、バネ(4)、すなわち、弾圧ばねの第1と第2の端部がそれぞれ係合する支持部分であり、前者の「支持部分」に相当する。
そして、後者における、作動摺動面(10)にそれぞれ形成された「凹み(7)」は、内面にそれぞれ形成され、第2のくぼみが開口を囲んでいる第1と第2のくぼみであって、くぼみの各々が概ね平坦な平面状の支持部分と概ね平坦な平面状の側壁とを有し、前記第2のくぼみの底壁がその側壁から前記開口まで延びており、弾圧ばねが配置されるくぼみであるという限りで、前者の「第1と第2のくぼみ」と共通している。
さらに、後者は「鋏、ペンチ等」として表現されているが、作業者が手に持って操作する工具であるという点からみれば、前者と同様に「手工具」としても表現できるものである。
したがって、本件発明17と刊行物2記載の発明とは以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
それぞれ第1と第2の内面と、前記第2の内面において第2のレバーを貫通して形成された開口とを有する第1と第2の交差したレバーと、
前記レバーを相互に接続する枢軸と、
前記内面にそれぞれ形成され、第2のくぼみが前記開口を囲んでいる第1と第2のくぼみとを含み、
前記くぼみの各々が概ね平坦な平面状の支持部分と概ね平坦な平面状の側壁とを有し、前記第2のくぼみの底壁がその側壁から前記開口まで延びており、
更に、前記くぼみに配置され、第1と第2の端部がそれぞれ前記の支持部分と係合し、前記レバーを所定の状態まで弾力的に枢動可能に弾圧する弾圧ばねを含む手工具である点。
そして、本件発明17と刊行物2記載の発明とは以下の2点で相違している。
<相違点2>
前者では、枢軸が第1のレバーに結合されているのに対して、後者では、そのようになっていない点。
<相違点3>
前者では、第1と第2のくぼみが異なる寸法と形状とを有しているのに対して、後者では、第1と第2のくぼみが概ね同じ寸法と形状である点。

4.相違点についての検討
4.1 <相違点1>について
相違点1について検討するために、上記2.2.2で認定した刊行物2記載の発明を参照すると以下のとおりである。
刊行物2記載の発明の「それぞれ対面する作動摺動面(10)」、「1対の交叉したテコ(1)(2)」及び「鋲状軸(3)」は、それぞれ本件出願の発明Aの「第1と第2の内面」、「第1と第2の交差したレバー」及び「枢軸」に相当する。
また、刊行物2記載の発明における、凹み(7)の周側壁に含まれる「バネ端(5)(6)を支持するストップ部(9)」は、バネ(4)、すなわち、弾圧ばねの第1と第2の端部がそれぞれ係合する支持部分であり、本件出願の発明Aの「支持部分」に相当する。そして、刊行物2記載の発明における、作動摺動面(10)にそれぞれ形成された上記「凹み(7)」は、内面にそれぞれ形成され、軸孔、すなわち、開口を囲んでいる第1と第2のくぼみであって、くぼみの各々が概ね平坦な平面状支持部分を含む周側壁と、前記側壁から関連の開口まで延びている概ね平坦な平面状底壁とを有し、弾圧ばねが配置されるくぼみである。
さらに、刊行物2記載の発明は「鋏、ペンチ等」として表現されているが、作業者が手に持って操作する工具であるという点からみれば、本件出願の発明Aと同様に「手工具」としても表現できるものである。
そうしてみると、刊行物2記載の発明を同じ手工具に関する刊行物1記載の発明に適用して、内面にそれぞれ形成され、開口をそれぞれ囲んでいる第1と第2のくぼみとを含み、前記くぼみの各々が概ね平坦な平面状支持部分を含む周側壁と、前記側壁から関連の開口まで延びている概ね平坦な平面状底壁とを有し、弾圧ばねが前記くぼみに配置されているように構成することに格別の困難性は見当たらない。
そして、刊行物1記載の発明では、第1と第2の開口が異なるサイズと形状とを有していることから、開口をそれぞれ囲んでいる第1と第2のくぼみも異なるサイズと形状とを有するように構成することは、上記適用に当たって当然になされる設計にすぎない。

4.2 <相違点2>について
二つの部材を枢軸を介して枢着するに当たって、枢軸を一方の部材に結合するように構成することは、特に例示するまでもない周知・慣用の技術事項であり、必要に応じて適宜なし得る単なる設計的事項にすぎない。

4.3 <相違点3>について
本件発明17において、第1と第2のくぼみが異なる寸法と形状とを有していることによる顕著な作用効果が見当たらず、このように構成したことによる格別の技術的意義を見出すことができない。
そうしてみると、上記のように構成することも必要に応じて適宜なし得る単なる設計的事項であるといわざるを得ない。
なお、請求項17では、第2の内面において第2のレバーを貫通して形成された開口の寸法と形状とについては何等言及していないことを指摘しておく。

4.4 本件発明1及び17の作用効果について
本件出願の発明A及びBの採用する構成によってもたらされる作用効果も、刊行物1記載の発明ないし刊行物2記載の発明から当業者であれば予測できる程度のものであって格別のものではない。

4.5 回答書の補正案について
当審の審尋に対する平成22年7月26日付回答書で補正案を示しているのでこれについても一応検討しておくと、補正案の請求項1では、主として弾性ばね(70)の構成と第2のくぼみ(55)の支持部分(57)の長さとについて限定がなされているが、弾性ばね(70)については、刊行物2の第4図に示されており、また、支持部分(57)の長さについては、単なる設計的事項であるから、補正案の請求項1に係る発明に格別の特許性を見出すことはできない。

5.むすび
したがって、本件発明1は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の発明に基づいて、また、本件発明17は、刊行物2記載の発明に基づいて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、いずれも特許法第29条第2項の規定により特許をすることができない。
よって、本件出願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきであるから、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-06 
結審通知日 2010-09-07 
審決日 2010-09-27 
出願番号 特願2000-503963(P2000-503963)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 今関 雅子  
特許庁審判長 豊原 邦雄
特許庁審判官 菅澤 洋二
遠藤 秀明
発明の名称 手工具  
代理人 浅村 肇  
代理人 岩本 行夫  
代理人 浅村 皓  
代理人 森 徹  

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