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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16B
管理番号 1232140
審判番号 不服2009-21539  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-06 
確定日 2011-02-07 
事件の表示 特願2004-186317「間隙調整装置」拒絶査定不服審判事件〔平成18年1月12日出願公開、特開2006-9902〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成16年6月24日の出願であって、その請求項1?4に係る発明は特許を受けることができないとして、平成21年8月6日付けで拒絶査定がされたところ、平成21年11月6日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
そして、本願の請求項1?4に係る発明は、平成16年6月28日付け、及び平成21年7月17日付けの手続補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。なお、平成21年11月6日付けの手続補正は、当審において平成22年5月11日付けで決定をもって却下された。
「【請求項1】
互いに平行な2面の間に挟持され圧縮荷重を受ける受板、コッター及び座板と、該コッターを前記2面に平行に移動させる押し引き機構とを備え、
前記受板は、前記2面に対し直交する方向にのみ移動可能に支持され、
前記コッターは、受板及び座板との摺動面の少なくとも一方が前記2面に対し移動方向に高さが漸増又は漸減する一定の勾配を有しており、
前記コッターと受板及び座板との間に、ころがり摩擦部材がそれぞれ挟持され、これにより前記コッターと前記受板の間の摺動抵抗と前記コッターと前記座板の間の摺動抵抗の総和が、前記コッターが、前記勾配を有する前記摺動面を介して前記受板から受ける荷重のコッター移動方向の分力より小さく設定されている、ことを特徴とする間隙調整装置。」

2.本願の出願前に日本国内において頒布され、当審において平成22年5月11日付けで通知した拒絶理由に引用された刊行物及びその記載事項
(1)刊行物1:特開昭59-185512号公報

(刊行物1)
刊行物1には、「中央バックアップロールの位置制御機構」に関して、図面(特に、第5及び6図を参照)とともに、下記の技術的事項が記載されている。なお、大文字を小文字で表記した箇所がある。
(a)「本発明は中央バックアップロールの位置制御機構に関し、クラスタ圧延機の各ロールの径が変化しても中央バックアップロールへの負荷を制御し得るように企図したものである。」(第1頁右下欄第3?6行)
(b)「クラスタ圧延機には、第1図に示す如く、一対のワークロール1,2のみならず、中間ロール3,4及びバックアップロール5,6,7,8が備えられている。このうち一対の中間ロール3,4はワークロール1に接触するように配設されている。更にバックアップロール群5,6,7のうち,サイドのバックアップロール5は中間ロール3にまたサイドのバックアップロール6は中間ロール4に接触するように配設されるとともに、中央バックアップロール7は中間ロール3,4双方に接触するように配設されている。そしてこれらロール1?8は圧下装置(図示省略)で圧下されて被圧延材9を圧延する。」(第1頁右下欄第7?20行)
(c)「中央バックアップロール7は軸受10で支承されており、この軸受10は上下移動可能にバックアップロールフレーム11で保持されている。軸受10とバックアップロールフレーム11との間には、断面I字状をなすくさび状棒部材12が挿入されており、このくさび状棒部材12の上面及び下面であるくさび面はそれぞれバックアップロールフレーム11及び軸受10に係合している。しかも両くさび面と、バックアップロールフレーム11ならびに軸受10との間にはニードルベアリング13が介装されており、くさび状棒部材12はその長手方向(第5図の左右方向)にスムーズにスライドできるようになっている。くさび状棒部材12の端には送りねじ14が固定されており、この送りねじ14は、移動装置であるウォーム減速機15のホイール15aに噛合している。したがって図示しない駆動源によりウォーム15bを正逆回転すると、ホイール15aも正逆回転し、くさび状棒部材12がスライドする。
くさび状棒部材12がその長手方向にスライドされると、くさび効果により、バックアップロールフレーム11に対して軸受10が上下方向に相対移動する。したがって中央バックアップロール7も上下方向に移動する。この移動量は、くさび状棒部材12のスライド量を検出する位置検出機16により検出される。このようにして中央バックアップロール7の上下方向に亘る位置を制御することにより、中間ロールの脱落や、中央バックアップロール7に過大な分力が作用することが解消される。なお、中央バックアップロール7の上下方向の移動量は、この中央バックアップロール7に作用する分力の大きさにより規定される。つまり中間ロールの脱落を防止できる大きさの分力を下限とし、中央バックアップロール7及びその軸受の強度から許容される最大の大きさの分力を上限とする範囲内で、中央バックアップロール7の移動制御が行なえる。」(第3頁左下欄第11行?第4頁左上欄第9行)
したがって、刊行物1には、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
【引用発明】
一対の中間ロール3,4と圧延機のハウジングの間に挟持され圧縮荷重を受ける軸受10、くさび状棒部材12及びバックアップロールフレーム11と、該くさび状棒部材12をその長手方向にスライドさせる送りねじ14及びウォーム減速機15とを備え、
前記軸受10は、バックアップロールフレーム11に対して上下方向に相対移動可能に支持され、
前記くさび状棒部材12は、軸受10及びバックアップロールフレーム11とのくさび面の両方がその長手方向の相対移動方向に高さが漸増又は漸減する一定の勾配を有しており、
前記くさび状棒部材12と軸受10及びバックアップロールフレーム11との間に、ニードルベアリング13がそれぞれ介装されている中央バックアップロール7の位置制御機構。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、それぞれの有する機能からみて、引用発明の「くさび状棒部材12」は本願発明の「コッター」に相当し、以下同様にして、「バックアップロールフレーム11」は「座板」に、「スライド」は「移動」に、「送りねじ14及びウォーム減速機15」は「押し引き機構」に、「相対移動」は「移動」に、「くさび面」は「摺動面」に、「ニードルベアリング13」は「ころがり摩擦部材」に、「介装」は「挟持」に、「中央バックアップロール7の位置制御機構」は「間隙調整装置」に、それぞれ相当する。また、引用発明の「軸受10」は、その有する機能からみて、「荷重受け部材」である限りにおいて、本願発明の「受板」にひとまず相当するとともに、本願発明の「少なくとも一方」は、引用発明の「両方」の態様を包含しているので、両者は下記の一致点、並びに相違点1及び2を有する。
<一致点>
圧縮荷重を受ける荷重受け部材、コッター及び座板と、該コッターを移動させる押し引き機構とを備え、
前記荷重受け部材は、移動可能に支持され、
前記コッターは、荷重受け部材及び座板との摺動面の少なくとも一方が移動方向に高さが漸増又は漸減する一定の勾配を有しており、
前記コッターと荷重受け部材及び座板との間に、ころがり摩擦部材がそれぞれ挟持されている間隙調整装置。
(相違点1)
本願発明は、前記荷重受け部材、コッター及び座板が、「互いに平行な2面の間に挟持され」、前記押し引き機構が、前記コッターを「前記2面に平行に」移動させ、前記荷重受け部材は、「前記2面に対し直交する方向にのみ」移動可能に支持され、前記コッターが、「前記2面に対し」移動方向に高さが漸増又は漸減する一定の勾配を有しているのに対し、引用発明は、軸受10、くさび状棒部材12及びバックアップロールフレーム11が、「一対の中間ロール3,4と圧延機のハウジングの間に挟持され」、送りねじ14及びウォーム減速機15が、くさび状棒部材12を「その長手方向に」スライドさせ、軸受10が、「バックアップロールフレーム11に対して上下方向に」相対移動可能に支持され、くさび状棒部材12が、「その長手方向の」相対移動方向に高さが漸増又は漸減する一定の勾配を有している点。
(相違点2)
本願発明は、「これにより前記コッターと前記受板の間の摺動抵抗と前記コッターと前記座板の間の摺動抵抗の総和が、前記コッターが、前記勾配を有する前記摺動面を介して前記受板から受ける荷重のコッター移動方向の分力より小さく設定されている」のに対し、引用発明は、そのような構成を具備していない点。
そこで、上記相違点1及び2について検討をする。
(相違点1について)
刊行物1には、「中央バックアップロール7は中間ロール3,4双方に接触するように配設されている。」(上記摘記事項(b)参照)と記載されている。
このことから、引用発明の軸受10、くさび状棒部材12及びバックアップロールフレーム11が、中間ロール3,4からの力を受ける中央バックアップロール7を支承している軸受10の平面部分(刊行物1の第6図で軸受10のハッチング部分の下側平面)と、圧延機のハウジングの基準平面などの、互いに平行な2面(以下、「平行2面」という。)の間に挟持されていることは、技術的に自明の事項(例えば、実願昭56-179264号[実開昭58-85401号]のマイクロフィルムの第3及び4図には、サドル20aの下側平面、及び下部ロールハウジング2の基準平面が記載されている。また、実願昭58-1185号[実開昭59-106604号]のマイクロフィルムの第1及び2図には、サドル11の下側平面、及び下部ハウジング3に設けられたウェッジ式油圧圧下装置7の支持平面が記載されている。)である。
また、刊行物1には、「中央バックアップロール7は軸受10で支承されており、この軸受10は上下移動可能にバックアップロールフレーム11で保持されている。」、「くさび状棒部材12はその長手方向(第5図の左右方向)にスムーズにスライドできるようになっている。」、及び「くさび状棒部材12がその長手方向にスライドされると、くさび効果により、バックアップロールフレーム11に対して軸受10が上下方向に相対移動する。したがって中央バックアップロール7も上下方向に移動する。」(いずれも、上記摘記事項(c)参照)と記載されていることからみて、引用発明の送りねじ14及びウォーム減速機15がくさび状棒部材12を上記平行2面に平行に移動させ、軸受10が上記平行2面に対し直交する方向にのみ移動可能に支持され、くさび状棒部材12が上記平行2面に対し移動方向に高さが漸増又は漸減する一定の勾配を有していることは、技術的に自明の事項にすぎない。
したがって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。
仮に、上記相違点1が実質的な相違点であるとしても、圧縮荷重を受ける互いに平行な2面間の間隙を調整する間隙調整装置は、本願明細書の段落【0002】以降に従来技術としてレベリングブロックが記載されているように、従来周知の技術手段であるから、引用発明の構成に、従来周知の技術手段を適用して、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、技術的に格別の困難性を有することなく当業者が容易に想到できるものであり、これを妨げる格別の事情は見出せない。
(相違点2について)
刊行物1の上記摘記事項(c)、並びに第5及び6図の記載からみて、ニードルベアリング13の摺動抵抗、すなわち、ころがり摩擦係数は非常に小さいので、くさび状棒部材12と軸受10及びバックアップロールフレーム11との摺動抵抗をニードルベアリング13がない場合と比べて大幅に低減できるのであるから、引用発明において、くさび状棒部材12と軸受10の間の摺動抵抗とくさび状棒部材12とバックアップロールフレーム11の間の摺動抵抗の総和を、くさび状棒部材12が、勾配を有するくさび面を介して軸受10から受ける荷重のくさび状棒部材12移動方向の分力より小さく設定して、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、技術的に格別の困難性を有することなく当業者が容易に想到できるものであり、これを妨げる格別の事情は見出せない。

また、本願発明が奏する効果についてみても、引用発明が奏する効果以上の格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、審判請求人は、当審における平成22年5月11日付けの拒絶理由に対する平成22年7月7日付けの意見書において、「3.相違点2について」として、刊行物2(特開平8-19752号公報)に記載された技術的事項について主張している。
しかしながら、上記(相違点1について)及び(相違点2について)において記載したように、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものであるところ、刊行物2は、当審において平成22年5月11日付けで通知した拒絶理由において、本願の請求項4に係る発明(本願発明4)に対する(相違点3について)の検討に際して引用された刊行物であって、本願の請求項1に係る発明(本願発明)の進歩性の判断において、引用された刊行物ではないので、審判請求人の主張は採用することができない。

4.むすび
結局、本願の請求項1に係る発明(本願発明)は、その出願前日本国内において頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の請求項2?4に係る発明について検討をするまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-09-10 
結審通知日 2010-09-13 
審決日 2010-12-27 
出願番号 特願2004-186317(P2004-186317)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長屋 陽二郎  
特許庁審判長 川本 真裕
特許庁審判官 常盤 務
藤村 聖子
発明の名称 間隙調整装置  
代理人 堀田 実  
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