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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01C
管理番号 1232303
審判番号 不服2008-218  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-01-04 
確定日 2011-02-17 
事件の表示 特願2005-149705「バリスタ」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月 7日出願公開、特開2006-332121〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成17年5月23日の出願であって,平成19年11月22日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成20年1月4日に審判請求がなされるとともに,同年1月31日付けで手続補正がなされ,その後,当審において平成22年7月22日付けで審尋がなされ,同年9月27日に回答書が提出されたものである。

第2 平成20年1月31日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成20年1月31日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
平成20年1月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は,補正前の請求項1を補正後の請求項1として,
「【請求項1】 素体と,
前記素体の一の外表面に形成された2つの外部電極と,
前記2つの外部電極に対向するように前記素体内に配された内部電極と,を備えており,
前記2つの外部電極と前記内部電極とは,対向する方向から見て互いに重なり合う領域を有し,
前記素体における前記2つの外部電極と前記内部電極とに重なる領域は,電圧非直線特性を発現し,
前記素体における一方の前記外部電極と前記内部電極とに重なる領域と,前記素体における他方の前記外部電極と前記内部電極とに重なる領域とが,前記内部電極を通して直列接続され,
前記素体が,複数のバリスタ層が積層されることにより構成されると共に,前記複数のバリスタ層の積層方向に平行な4つの外表面を有し,
前記内部電極が,前記複数のバリスタ層のうち一対のバリスタ層に挟まれるように配されており,
前記一の外表面が,前記複数のバリスタ層の積層方向に垂直であり,
前記内部電極は,前記4つの外表面に露出し,
前記2つの外部電極は,前記4つの外表面に露出していないことを特徴とするバリスタ。」と補正するものである。
上記補正は,補正前の請求項1の各構成について,「前記素体が,複数のバリスタ層が積層されることにより構成されると共に,前記複数のバリスタ層の積層方向に平行な4つの外表面を有し,前記内部電極が,前記複数のバリスタ層のうち一対のバリスタ層に挟まれるように配されており,前記一の外表面が,前記複数のバリスタ層の積層方向に垂直であり,前記内部電極は,前記4つの外表面に露出し,前記2つの外部電極は,前記4つの外表面に露出していない」ことを限定するものであるから,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号に掲げる特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。
そこで,補正後の請求項1に記載された事項により特定される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 独立特許要件について
(1)刊行物1の記載と引用発明
原査定の拒絶の理由に引用され,本願の出願前に日本国内において頒布された特開平10-335114号公報(以下「刊行物1」という。)には,「サーミスタ素子」(発明の名称)に関して,図1及び図14とともに,以下の事項が記載されている。(なお,下線は,引用箇所のうち特に強調する部分に付加したものである。以下同様。)
「【要約】
【課題】 煩雑な操作を要することなくバンプ接合によりプリント回路基板やリードフレームに容易にかつ確実に接合し得るサーミスタ素子を提供する。
【解決手段】 サーミスタ素体2の一つの面において対向配置された第1,第2の電極3,4を有し,第1,第2の電極3,4上に,バンプ5,6が形成されているサーミスタ素子1。」
「【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)図1(a)及び(b)は,本発明の第1の実施例に係る負特性サーミスタ素子を示す側面図及び底面図である。サーミスタ素子1は,複数の遷移金属酸化物を用いて構成された負の抵抗温度特性を有する焼結体からなるサーミスタ素体2を有する。サーミスタ素体2は,直方体状の形状を有し,該サーミスタ素体2の下面2aに,第1の電極3及び第2の電極4が形成されている。
【0030】本実施例では,第1の電極3が,下面2aにおいて端面2b側の端縁から中央方向に延びるように形成されている。また,第2の電極4は,端面2c側の端縁から中央方向に延びるように形成されている。下面2aの中央には電極が形成されておらず,従って,第1,第2の電極3,4は下面2aにおいて対向されている。」
「【0039】また,第1,第2の電極3,4が,サーミスタ素体2の下面2aにおいて対向配置されているため,プリント回路基板に,バンプ5,6を用いて実装することにより,容易に表面実装し得る。」
「【0041】次に,上記サーミスタ素子1の製造工程の一例を説明する。Mn酸化物,Ni酸化物及びCo酸化物をバインダと共に混練し,スラリーを調製した。このスラリーを用い,ドクターブレード法によりシート状に成形し,得られた所定の厚みのシートを65×65mmに切断し,複数枚のグリーンシートをを得た。
【0042】次に,複数枚のグリーンシートを積層し,厚み方向に圧着した後,1300℃程度の温度で1時間焼成し,50×50×0.5mmのサーミスタ素体ウエハを得た。
【0043】次に,サーミスタ素体ウエハ上に,真空加熱蒸着により厚さ0.2μmのNi-Cr合金膜を形成し,引き続き,同じく厚さ0.2μmのAu膜を形成した。このようにして,積層金属膜をサーミスタ素体ウエハ上に形成した。
【0044】次に,金属膜上に,スピンコートにより厚さ20μmとなるようにフォトレジストを成膜した。さらに,フォトマスクをフォトレジスト上に配置し,露光し,溶剤を用いてフォトレジストを現像した。
【0045】次に,フォトレジストにより被覆されていない積層金属膜部分を酸を用いてエッチングした。すなわち,まず,積層金属膜のAu膜を酸によりエッチングし,引き続きNi-Cr膜を酸でエッチングし,フォトレジストで被覆されている積層金属膜のみを残した。
【0046】さらに,レジストを剥離することにより,サーミスタ素体ウエハ上にパターニングされた積層金属膜を得た。次に,サーミスタ素体ウエハの表面にフォトレジストをスピンコートにより厚さ20μmとなるように塗工した後,バンプ形成予定部分の積層金属膜を露出させるような形状のフォトマスクを当接させて露光し,フォトレジストを現像し,フォトレジストが覆っていない積層金属膜上に,電解メッキによりAuバンプを形成した。
【0047】次に,上記サーミスタ素体ウエハを切断し,1.6mm×0.8mmの平面形状を有するようにダイシングカットし,図1に示したサーミスタ素子1を多数得た。」
「【0081】図14?図16は,本発明に係るサーミスタ素子のさらに他の変形例を説明するための図であり,ここでは,サーミスタ素体内に少なくとも1つの内部電極が形成されている。なお,図14?図16に示す構造では,内部電極が形成されている点を除けば,図1に示したサーミスタ素子1と同様であるため,同一部分については,同一の参照番号を付することにより,その説明を省略する。
【0082】図14(a)?(c)に示すサーミスタ素子46では,サーミスタ素体2内において,所定の高さ位置に,サーミスタ素体2の外周面に至るように内部電極47が形成されている。内部電極47の形成により,第1,第2の電極3,4間の抵抗値を低めることができ,低抵抗化に対応することができると共に,抵抗値のばらつきも低減し得る。」
「【0087】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば,サーミスタ素体の一面上において第1,第2の電極が対向配置されているので,本発明に係るサーミスタ素子は,第1,第2の電極が対向配置されている面側から,例えばプリント回路基板などに表面実装することができる。」

さらに,以上の記載も考慮すると,図14(a)?(c)には,
「サーミスタ素体2と,
前記サーミスタ素体2の下面2aに形成された第1,2の電極3,4と,
前記第1,2の電極3,4に対向するように前記サーミスタ素体2内に配された内部電極47と,を備えており,
前記第1,2の電極3,4と前記内部電極47とは,対向する方向から見て互いに重なり合う領域を有し,
前記サーミスタ素体2における前記第1,2の電極3,4と前記内部電極47とに重なる領域は,負の抵抗温度特性を発現し,
前記サーミスタ素体2における一方の前記第1の電極3と前記内部電極47とに重なる領域と,前記サーミスタ素体2における他方の前記第2の電極4と前記内部電極47とに重なる領域とが,前記内部電極47を通して直列接続され,
前記サーミスタ素体2が,複数の負の抵抗温度特性を有するグリーンシートが積層されることにより構成されると共に,前記複数のグリーンシートの積層方向に平行な4つの外表面を有し,
前記内部電極47が,前記複数のグリーンシートのうち一対のグリーンシートに挟まれるように配されており,
前記下面2aが,前記複数のグリーンシートの積層方向に垂直であり,
前記内部電極47は,前記4つの外表面に露出し,
前記第1,2の電極3,4は,前記4つの外表面に露出しているサーミスタ素子46。」が記載されている。

以上によれば,刊行物1には,
「サーミスタ素体2と,
前記サーミスタ素体2の下面2aに形成された第1,2の電極3,4と,
前記第1,2の電極3,4に対向するように前記サーミスタ素体2内に配された内部電極47と,を備えており,
前記第1,2の電極3,4と前記内部電極47とは,対向する方向から見て互いに重なり合う領域を有し,
前記サーミスタ素体2における前記第1,2の電極3,4と前記内部電極47とに重なる領域は,負の抵抗温度特性を発現し,
前記サーミスタ素体2における一方の前記第1の電極3と前記内部電極47とに重なる領域と,前記サーミスタ素体2における他方の前記第2の電極4と前記内部電極47とに重なる領域とが,前記内部電極47を通して直列接続され,
前記サーミスタ素体2が,複数の負の抵抗温度特性を有するグリーンシートが積層されることにより構成されると共に,前記複数のグリーンシートの積層方向に平行な4つの外表面を有し,
前記内部電極47が,前記複数のグリーンシートのうち一対のグリーンシートに挟まれるように配されており,
前記下面2aが,前記複数のグリーンシートの積層方向に垂直であり,
前記内部電極47は,前記4つの外表面に露出し,
前記第1,2の電極3,4は,前記4つの外表面に露出しているサーミスタ素子46。」(以下「引用発明」という。)が記載されている。

(2)本願補正発明と引用発明との対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(a)引用発明の「サーミスタ素体2」と,本願補正発明の「素体」とは,「素体」である点で共通する。
(b)引用発明の「素体2の下面2a」,「第1,2の電極3,4」は,それぞれ,本願補正発明の「素体の一の外表面」,「2つの外部電極」に相当する。
(c)引用発明の「負の抵抗温度特性を発現」することと,本願補正発明の「電圧非直線特性を発現」することとは,「所定特性を発現」する点で共通する。
(d)引用発明の「複数の負の抵抗温度特性を有するグリーンシート」と,本願補正発明の「複数のバリスタ層」とは,共に「複数の層」である点で共通する。
(e)引用発明の「サーミスタ素子46」と,本願補正発明の「バリスタ」とは,共に「抵抗素子」の一種である点で共通する。

そうすると,両者は,
「素体と,
前記素体の一の外表面に形成された2つの外部電極と,
前記2つの外部電極に対向するように前記素体内に配された内部電極と,を備えており,
前記2つの外部電極と前記内部電極とは,対向する方向から見て互いに重なり合う領域を有し,
前記素体における前記2つの外部電極と前記内部電極とに重なる領域は,所定特性を発現し,
前記素体における一方の前記外部電極と前記内部電極とに重なる領域と,前記素体における他方の前記外部電極と前記内部電極とに重なる領域とが,前記内部電極を通して直列接続され,
前記素体が,複数の層が積層されることにより構成されると共に,前記複数の層の積層方向に平行な4つの外表面を有し,
前記内部電極が,前記複数の層のうち一対の層に挟まれるように配されており,
前記一の外表面が,前記複数の層の積層方向に垂直であり,
前記内部電極は,前記4つの外表面に露出していることを特徴とする抵抗素子。」である点で一致し,以下の点で相違する。

[相違点1]本願補正発明は,複数の層が「バリスタ層」であり,「前記素体における前記2つの外部電極と前記内部電極とに重なる領域は,電圧非直線特性を発現」する「バリスタ」であるのに対して,引用発明は,複数の層が「負の抵抗温度特性を有するグリーンシート」であり,「前記サーミスタ素体2における前記第1,2の電極3,4と前記内部電極47とに重なる領域は,負の抵抗温度特性を発現」する「サーミスタ素子46」である点。
[相違点2]本願補正発明は,「前記2つの外部電極は,前記4つの外表面に露出していない」のに対して,引用発明は,「前記第1,2の電極3,4は,前記4つの外表面に露出している」点。

そこで,上記相違点について検討する。
[相違点1について]
(a)サーミスタもバリスタも抵抗の一種であり,サーミスタの構造をバリスタにも適用できることは,以下の周知例1?4にも示されるように周知技術である。
周知例1:特開平11-283804号公報(「【0041】第1?第6の実施例では,チップ型NTCサーミスタに応用した例を示したが,本発明は,チップ型正特性(PTC)サーミスタに適用してもよく,あるいは固定抵抗やバリスタなどの他の抵抗器にも広く適用することができる。」)
周知例2:特開昭64-65825号公報(「本発明は好適には積層コンデンサに関するが,これはPTC・サーミスタ又はバリスタにも使用することができる。」(8頁左上欄6?8行))
周知例3:特開平4-177703号公報(「なお,上記実施例においては半導体素子が正特性を示すサーミスタ用半導体素子(いわゆるPTC素体)である場合について説明したが,この発明は半導体素子が負特性を有するサーミスタ用半導体素子などのいわゆるNTC素体である場合や,バリスタである場合などにも同様に適用することができる。」(4頁右上欄4?10行))
周知例4:特開平6-314602号公報(「【0011】【実施例】図1は本発明に係るセラミック電子部品の正面断面図である。セラミック電子部品には,NTCサーミスタ,PTCサーミスタ,コンデンサまたはバリスタ等が含まれる。」)
(b)そうすると,引用発明の構造をバリスタに適用し,本願補正発明のように,層を「バリスタ層」とし,「前記素体における前記2つの外部電極と前記内部電極とに重なる領域は,電圧非直線特性を発現」する「バリスタ」とすることは,当業者が適宜なし得たことである。

[相違点2について]
(a)刊行物1には,「【0087】【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば,サーミスタ素体の一面上において第1,第2の電極が対向配置されているので,本発明に係るサーミスタ素子は,第1,第2の電極が対向配置されている面側から,例えばプリント回路基板などに表面実装することができる。」との記載がされていることから,引用発明が,フリップチップ実装されていることは,当業者にとって明らかな事項である。
(b)チップ部品において,フリップチップ実装の際に,はんだが端面からはみ出さないように,一対の電極を端面から離隔させることにより,実装密度の向上を図ることは,以下の周知例5?9にも示されるように周知技術である。
周知例5:特開2003-7501号公報(図7及び「0005】かかる構造を有するチップ型部品1の有利な点は,一対の電極5,6がチップ型部品1の端面1b,1cから距離α離隔しているため,はんだ10,11がチップ型部品1の端面1b,1cから外側にはみ出さないことにある。したがって,チップ型部品1を密集配置する際に,その隣接間隔を極限まで狭めることができ,それだけ実装密度の向上を図ることができる。」)
周知例6:特開平8-335528号公報(図3及び「【0002】【従来の技術】近年,プリント基板上における実装密度を上げるため,ランド寸法を,取り付けられる電子部品の側面から極力はみ出さないようにすることが考えられている。このため,図3に示すように,電子部品の外部電極20が部品素子10の一側面に並んで形成されたものが案出されている。」)
周知例7:特開2002-314029号公報(図3及び「【請求項4】 前記半導体チップが前記部品実装面にフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモジュール電子部品。」)
周知例8:特開2000-58584号公報(図1及び「【0021】また,回路基板にICチップをフリップチップ実装し,封止樹脂を注入するICの実装構造において,前記ICチップの中央付近に突起電極があることを特徴とするものである。」)
周知例9:実願昭57-70375号(実開昭58-173238号)のマイクロフィルム(第1図及び「第1図はフェイスダウンボンディングの実施例を示すもので,フリップチップ1の表面をひっくり返して面(フェイス)を下に(タウン)付ける構成を為している。フリップチップ1表面の突起部2はバンプと呼ばれるもので,アルミニウム電極3・・・」(1頁末行?2頁5行))
(c)そして,引用発明においても,フリップチップ実装の実装密度の向上を図ることは当然に求められることであるから,引用発明において,上記周知技術の電極を採用して,本願補正発明のように,「前記2つの外部電極は,前記4つの外表面に露出していない」ようにすることは,当業者が適宜なし得たことである。

したがって,本願補正発明は,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
以上のとおり,請求項1についての補正を含む本件補正は,平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
平成20年1月31日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,平成19年8月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。
「【請求項1】 素体と,
前記素体の一の外表面に形成された2つの外部電極と,
前記2つの外部電極に対向するように前記素体内に配された内部電極と,を備えており,
前記2つの外部電極と前記内部電極とは,対向する方向から見て互いに重なり合う領域を有し,
前記素体における前記2つの外部電極と前記内部電極とに重なる領域は,電圧非直線特性を発現し,
前記素体における一方の前記外部電極と前記内部電極とに重なる領域と,前記素体における他方の前記外部電極と前記内部電極とに重なる領域とが,前記内部電極を通して直列接続されていることを特徴とするバリスタ。」

第4 刊行物に記載された発明
刊行物1の記載事項及び刊行物1に記載された発明は,上記「第2 2(1)」で認定したとおりである。

第5 本願発明と引用発明との対比・判断
本願発明は,前記第2で検討した本願補正発明から「前記素体が,複数のバリスタ層が積層されることにより構成されると共に,前記複数のバリスタ層の積層方向に平行な4つの外表面を有し,前記内部電極が,前記複数のバリスタ層のうち一対のバリスタ層に挟まれるように配されており,前記一の外表面が,前記複数のバリスタ層の積層方向に垂直であり,前記内部電極は,前記4つの外表面に露出し,前記2つの外部電極は,前記4つの外表面に露出していない」との構成を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が,前記「第2 2(2)」で検討したとおり,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由(ただし,相違点2を除く。)により,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり,本願発明は,刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができず,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-14 
結審通知日 2010-12-21 
審決日 2011-01-06 
出願番号 特願2005-149705(P2005-149705)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01C)
P 1 8・ 121- Z (H01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 匡明久保田 昌晴  
特許庁審判長 橋本 武
特許庁審判官 松田 成正
小野田 誠
発明の名称 バリスタ  
代理人 寺崎 史朗  
代理人 長谷川 芳樹  

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