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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1232312
審判番号 不服2008-11868  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-08 
確定日 2011-02-17 
事件の表示 特願2002- 65271「書籍鑑賞支援装置、鑑賞メディア鑑賞支援装置、書籍鑑賞支援方法、鑑賞メディア鑑賞支援方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年12月13日出願公開、特開2002-358279〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、
平成13年3月30日に出願された特願2001-100817号(以下「先の出願」と記す。)を優先権の基礎とする優先権主張を伴って、
平成14年3月11日付けで出願されたものであって、
平成17年3月9日付けで審査請求がなされ、
平成19年12月26日付けで拒絶理由通知(平成20年1月8日発送)がなされ、
平成20年3月10日付けで意見書が提出されると共に、同日付けで手続補正書が提出され、
同年3月31日付けで拒絶査定(同年4月8日発送)がなされ、
同年5月8日付けで審判請求がされると共に、
同年6月9日付けで手続補正書が提出され、
平成22年10月1日付けで該平成20年6月9日付けの手続補正を却下する旨の補正の却下の決定(同年10月19日発送)がなされると共に、
同日付けで拒絶理由通知(同年10月5日発送)(以下、「当審拒絶理由通知」と記す。)がなされ、
同年12月6日付けで意見書が提出されると共に、同日付けで手続補正書が提出されたものである。

なお、平成20年8月18日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がなされ、平成22年3月1日付けで当該報告に対する意見を求める旨の審尋(同年3月2日発送)がなされ、これに対して同年5月6日付けで回答書が提出されている。


2.本願発明の認定
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」と言う。)は、上記平成22年12月6日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。

<本願発明>
「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報を記憶する記憶手段と、
プロジェクターを制御して、実際の書棚のサイズと同様のサイズの書棚のイメージと、前記記憶手段によって記憶された背表紙情報にかかる背表紙のイメージとを、前記書籍の実物を背表紙を前面に向けて前記書棚に並べたように見えるように、壁に投影する表示制御手段と、
前記壁に投影された前記背表紙のイメージの表示領域が指示されることによって当該背表紙情報にかかる書籍を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された書籍における鑑賞の対象となる本文情報の要求情報を、当該書籍の本文情報が記憶されているサーバーへネットワークを介して送信する送信手段と、
前記サーバーから前記送信手段によって送信された要求情報にかかる書籍の本文情報を前記ネットワークを介して受信する受信手段と、
を備えたことを特徴とする書籍鑑賞支援装置。」


3.国内優先権の主張の適否

本願発明は、上記2.で認定した通りのものであるところ、本願の優先権主張の基礎となる先の出願の願書に最初に添付した明細書には、
「【発明の名称】 データ管理方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 著作物の原本の利用権情報に基づいて、通信回線を通じて前記著作物の内容を鑑賞可能なことを特徴とするデータ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は、データ管理方法に関し、特に『電子書斎事業モデル』におけるデータ管理方法に関する。
【0002】
この発明は、書物や音楽情報等の著作物の電子媒体での普及を推進することを目的としている。
【0003】
上記目的を達するために、この発明は、著作物の原本の利用権情報に基づいて、通信回線を通じて前記著作物の内容を鑑賞可能とする。
【0004】
この発明によれば、電子媒体の著作物であっても、実際の「物」のとして存在する著作物と同様に取り扱うことができ、これによって、著作物の電子媒体での普及を推進することができ、いわゆる「電子書斎」を実現することができるという効果を奏する。」
と記載されているでけで、本願発明は記載も示唆もされていない。
従って、本願発明については、先の出願に基づく優先権の主張を認めることができない。


4.先行技術

(1)引用文献
上記当審拒絶理由通知の<理由1>において引用された、下記引用文献には、それぞれ、下記の引用文献記載事項が記載されている。(下線は当審付与。)

<引用文献1>
特開2000-113047号公報(平成12年4月21日出願公開)

<引用文献記載事項1-1>
「【請求項2】テキスト文書もしくは図表、画像により構成された書籍を、紙ではなく電子情報として購入し取扱う電子書籍システムであって、電子化された電子書籍を電子書店より電子書籍を購入する機能を持ち、その購入手続き・管理・閲覧を行うコンピュータ及び通信機能等により構成される電子書棚によりなる電子書棚に於いて、
電子書店により該書籍専用に用いられる閲覧鍵により暗号化された電子書籍および該書籍専用に用いられる閲覧鍵を受信する通信機能と、
前記閲覧鍵を購入する手続きを行う購入処理手段と、
前記閲覧鍵にて前記暗号化された電子書籍を復号化する機能を有することを特徴とする電子書棚。」

<引用文献記載事項1-2>
「【請求項6】請求項2記載の電子書棚に於いて、前記電子書棚は転送された暗号化された電子書籍をダウンロードし保存する機能を有することを特徴とする電子書棚。」

<引用文献記載事項1-3>
「【0009】図3は、本発明による電子書籍システムの購入及び閲覧の手順を示したチャートである。左の列(30000?30050)は購入者の動作、右の列(30100?30140)は電子書店の動作を示す。購入者はまず、購入する書籍の指定を行い(30000)、書籍指定情報30001を電子書店に送る。電子書店は指定された書籍の閲覧鍵を準備する。次に購入者は、自身のユーザー公開鍵30011を電子書店に送付する(30010)。電子書店はユーザー公開鍵を受信し(30110)、書籍の閲覧鍵を公開鍵を用いて暗号化する(30120)。そして、暗号化閲覧鍵30021を、図2で示した如くインターネットで送付し(30130)、暗号化書籍30141を放送形式にて送付する(30140)。このとき、図2で示したごとく、暗号化閲覧鍵30021と暗号化書籍30141を1セットとして放送形式にて送付してもよく、また購入者が購入時に図示しない速達要求を出した場合には、暗号化閲覧鍵30021と共に暗号化書籍30141をインターネットで送付してもよい。購入者は暗号化閲覧鍵を受信し(30020)、そして暗号化書籍を受信する(30030)。ここで、インターネット等のネットワークで送られる暗号化閲覧鍵は即時購入者の元に届けられるが、放送形式で送られる暗号化書籍は、例えば一つの書籍が一日に一度の割合で放送され、受信する側は放送を常時モニターし、指定した書籍の放送が始まった段階で受信を開始する。結果として購入者の手元には、購入依頼を行ってから24時間以内に書籍が届くことになる。」

<引用文献記載事項1-4>
「【0014】図7は、本発明による電子書籍システムの、書籍購入前・購入後を表示する方法の第1の例を示した説明図である。70100?70040は、購入前・購入後の電子書籍の表紙を電子書棚の画面に表示したものである。ここで、70010?70030までは未購入、70040は購入済みであることを示す。すなわち70010?70030にはハッチング70021があり、この電子書籍が未購入であることを示す。本実施例ではハッチングを用いたが、例えば購入前・購入後で表紙の色を変えたり、表紙をフラッシュさせたりといった方法も可能であり、視覚的に購入前と購入後の表紙が異なるようになっていればよい。購入した本を閲覧する際には、電子書籍ビュアーにICカードを差し込むことで、本図の本棚が表示され、購入済みの電子書籍を選択することで、その本の目次の表示とさらに目次内の購入済みの章の選択、もしくは文書が表示され、図示しないページ切換えボタン等の操作により本のページをめくりながら閲覧することが出来る。
【0015】図8は、本発明による電子書籍システムの、書籍購入前・購入後を表示する方法の第2の例を示した説明図である。購入前・購入後の電子書籍の表紙に視覚的な区別を付けることは図7の説明と同様であり、ここでの説明は省略するが、本実施例は、各電子書籍の記事を章単位で購入した場合の、購入状況を示す表示を行う第1の例として説明する。80030及び80040は購入済みの電子書籍を示すが、記載したレベルメーター80041の数で、その書籍のうちいくつの章を購入したかを示している。80040では4章を購入したことになっている。これにさらに追加で購入をしたときに、80061は未購入だったものが2つの章を購入したことを示し、80070は一つの章だけ購入していたものが、さらに3つの章を追加購入したことを示す。そして80080はその本のすべての章を、すなわち全文を購入したことを示す。この場合のレベルメーターは80081となり、購入した章の個数を表示するレベルメーターとは異なる形状とする。
【0016】図9は、本発明による電子書籍システムの、書籍購入前・購入後を表示する方法の第3の例を示した説明図である。本実施例は、各電子書籍の記事を章単位で購入した場合の、購入状況を示す表示を行う第2、第3の例として説明する。90020及び90030は一部の章のみ購入済みの電子書籍を示し、90040は全文購入済みの電子書籍を示す。それぞれ記載したレベルメーターは、全章の数を示す大きな枠の中に、購入した章の数だけ小さなレベルメーターを表示し、その書籍のうちいくつの章を購入したかを示している。90021では2章を購入したことになっているが、これは全体のおよそ半分の数の章を購入したことを示している。また、90041では全章の数を示す枠の中が埋まっており、すべての章を購入したことを示す。また、90060?90080は、全章の数と購入した章の数を数字で表現しており、例えば90061は全部で5章あるうちの2章を購入済み、90081は全部で4章のうち、そのすべてを購入したことを示している」

<引用文献記載事項1-5>
「【0031】
【発明の効果】以上のような本発明により、電子書籍の不法な閲覧を完全に防止することが出来、その版権を確実に守ることが出来る。また、これにともない専用の書棚プログラム上で電子書籍を管理するため。他のワープロや表計算ファイルと同列に管理する必要がなく、通常利用している紙の本を並べる本棚と同じ使用感にて電子書籍を利用することが出来る。さらに電子書籍を章単位で購入することが出来るため、電子的なスクラップブックのような形で、必要な記事のみを購入・保存することが出来るため、利用者の購入コストを低減する効果もある。」

<引用文献記載事項1-6>
縦書きで「平清盛」「八幡太郎義家」「判官・原九郎義経」「奥州藤原氏の歴史」との文字列が記載された縦長の4つの長方形、及び、無地の縦長の長方形が横に並ベられた表示画面を、2つ左右に並べた図面であって、電子書籍システムの書籍購入前・購入後を表示する方法の例を示した説明図(【図7】?【図9】)


<引用文献2>
国際公開第00/08909号(2000年2月24日国際公開。特表2002-522995号公報に対応。)
<引用文献記載事項2-1>「136 When an End-User(s) finds Content 113 that they want to buy, they click on a content icon, such as a music icon, and the item is added to his/her shopping cart which is maintained by the Electronic Digital Content Store(s) 103. When the End-User(s) completes shopping they submit the purchase request to the Electronic Digital Content Store(s) 103 for processing.」(第24頁第15行?第18行)
対応する公表公報の記載:「136 エンドユーザは、購入したいコンテンツ113を見つけた時に、音楽アイコンなどのコンテンツ・アイコンをクリックし、その項目が、電子ディジタル・コンテンツ商店103が維持するエンドユーザのショッピング・カートに追加される。エンドユーザは、ショッピングを完了した時に、処理のために電子ディジタル・コンテンツ商店103に購入要求をサブミットする。」(第43頁第4行?第8行)



<引用文献3>
国際公開第99/34276号(1999年7月8日国際公開。特表2001-517345号公報に対応。)

<引用文献記載事項3-1>
「In a more preferred embodiment of the system for constructing three-dimensional images using camera-based gesture inputs of the preferred embodiment, video display screen 34 is a rear-projection Ikegami TPP 1000/1500(R) projector with a Retroscan RS 125SW(R) screen (six feet in height in the y direction and eight feet in width in the x direction); interaction area 52 is an eleven feet (in the z direction) by twelve feet (in the x direction) area in front of video display screen 54; and video camera 56 is a Sony(R) NTSC video camera.」(ここで「(R)」は「○」内に「R」の記された記号の代替文字である。)(第9頁第26行?第32行)
対応する公表公報の記載:「好適な実施例のカメラ・ベースの身振り入力を使用する3次元映像を構築するためのシステムの一層好適な実施例において:ビデオ表示スクリーン34はRetroscan社製RS125SWスクリーン(y方向に6フィートの高さとx方向に8フイートの幅)を持つ後方投射式の池上社製のTPP1000/1500投射器;相互動作区域52はビデオ表示スクリーン54の前面において(z方向に)11フイートと(x方向に)12フイートであり;且つビデオカメラ56はソニー社製NTSCカメラである。」(第17頁第5行?第10行)

<引用文献記載事項3-2>
「For example, in a shopping mall the information wall would allow shoppers entering the mall to simply stand within a certain distance of the wall to activate it. The information wall then displays an overall map of the mall at the position and height of the person standing in front of it. A number of information icons are displayed around the map from which the shopper can select by pointing. By pointing at the icons, the information wall displays various pieces of information, such as, the location of certain stores and rest-rooms, and so forth. The information wall may also support forms of advertising. For example, by pointing at a store on the map, the shopper could display a short video sequence describing the products and service offered by the store. The information wall may also permit the display to follow the user as he/she walks along its length, pointing in the correct direction to enable a shopper to get where he/she wants to go.」(第14頁第19行?第29行))
対応する公表公報の記載:「例えば、ショッピング・モールにおいて、情報壁はこのモールに入る顧客が壁を活性化するにはそれから或る距離内に立つだけでよいようにする。この情報は、その前に立っている人の位置と高さに、そのモールの全体の地図を表示する。多数の情報アイコンがこの地図の周辺に展示され、顧客はポインティングにより選択できる。アイコンをポインティングすることにより、この情報壁は、或る商店、便所、その他のような情報の各種の断片を表示する。情報壁はまた広告形態を支援するであろう。例えば、地図上の商店をポインティングすることにより、顧客はこの商店により提供される製品およびサービスを述べる短いビデオ片を見せられるでろう。この情報壁はまた利用者が壁に沿って歩くと表示がそれに従うことを可能にして、顧客が行きたい場所に到着できるように正しい方向を指摘する。」(第22頁第19行?第23頁第1行)


<引用文献4>
特開2000-298544号公報(平成12年10月24日出願公開)

<引用文献記載事項4-1>
「【請求項1】 入力操作に応じて処理された結果が表示される入出力装置において、
表示画面及び操作キーを平面上に投影する投影手段と、
平面上に投影された表示画面または操作キーに対して操作者が行う入力操作を撮影する撮像手段と、
前記撮像手段が撮影した画像を解析して、操作者が行った入力操作を識別する画像識別手段と、
識別した入力操作に応じた処理を行い、前記投影手段を制御して前記表示画面の表示に処理結果を反映させる処理手段とを備えることを特徴とする入出力装置。
【請求項2】 前記投影手段が、机上面または壁面上に前記表示画面及び操作キーを投影することを特徴とする請求項1に記載の入出力装置。
・・・<中略>・・・
【請求項36】 前記画像に映る指先の陰の長さが所定長さより短くなったとき、指先に位置するキーまたはアイコンが選択されたと識別することを特徴とする請求項35に記載の入出力方法。
【請求項37】 前記画像に映る指が所定の所作を行ったとき、指先に位置するキーまたはアイコンが選択されたと識別することを特徴とする請求項35に記載の入出力方法。
【請求項38】 入力操作を行う操作者の手を二方向から撮影し、それぞれの撮影方向の画像から、異なる指の動きを解析することを特徴とする請求項35に記載の入出力方法。
【請求項39】 発光素子を有する補助具を使用して入力操作が行われ、前記画像に発光する発光素子が映ったとき、発光位置のキーまたはアイコンが選択されたと識別することを特徴とする請求項35に記載の入出力方法
・・・<中略>・・・
【請求項47】 前記表示画面のアイコンを挟む指先の動きに従って前記アイコンを表示画面中で移動し、この指の一方が折り曲げられた位置に前記アイコンを位置決めすることを特徴とする請求項35に記載の入出力方法。」


<引用文献5>
特開平07-129322号公報(平成7年5月19日出願公開)

<引用文献記載事項5-1>
「【請求項1】 与えられた出力画像データに従って所定の投射画面を拡大表示するディスプレイ手段と、該投射画面上に重ねて所望の位置情報を表示する為に用いられる手動の位置指示器と、該位置情報を含む投射画面を撮像し入力画像データを生成するカメラ手段と、該入力画像データを処理して該位置情報を抽出しこれに基いて元の出力画像データの処理を行ない更新、変更又は編集された新たな出力画像データを該ディスプレイ手段に供給するコンピュータとからなるコンピュータディスプレイシステム。
【請求項2】 前記コンピュータは該入力画像データと該元の出力画像データとの比較処理を行ない該位置情報を抽出する比較手段を含む事を特徴とする請求項1記載のコンピュータディスプレイシステム。
【請求項3】 前記位置指示器は手動操作される指示棒からなり、該ディスプレイ手段の投射光路に介在して投射画面上に写し出される影により所望の位置情報を表示する事を特徴とする請求項1記載のコンピュータディスプレイシステム。
【請求項4】 前記位置指示器は手動操作されるレーザポインタからなり、指向性を有するレーザスポットを該投射画面上に投光して所望の位置情報を表示する事を特徴とする請求項1記載のコンピュータディスプレイシステム。
【請求項5】 前記レーザポインタは可視光成分の他に非可視光成分を含むレーザスポットを投光する一方、前記カメラ手段は該レーザスポットの非可視光像を選択的に撮像し、実質的に位置情報のみを含む入力画像データを生成する事を特徴とする請求項4記載のコンピュータディスプレイシステム。
【請求項6】 前記レーザポインタは所定の手動操作に応じてレーザスポットを変調し少なくとも選択/非選択指示を含む制御信号を送信し、前記コンピュータは該入力画像データから制御信号を復調しこれに応じて出力画像データの処理を行なう事を特徴とする請求項4記載のコンピュータディスプレイシステム。
【請求項7】 前記カメラ手段は、該ディスプレイ手段の分解能より高い撮像分解能を有する事を特徴とする請求項1記載のコンピュータディスプレイシステム。」

<引用文献記載事項5-2>
「【0011】図3はグラッフィックインターフェイスの一例を示す模式図である。図示する様に、拡大投射画面6の一部には模擬的なコマンドボタン16?18が写し出されている。各コマンドボタンに割り付けられたラベル1,2,3は次に選択すべき出力画像データのフレーム番号を表わしている。今、ユーザが手動で位置指示器3を操作しその先端部でコマンドボタン18を2回以上繰り返してアクセスしたとする。この状態はCCDカメラ等により撮像され入力画像データの比較処理及び画像処理を行なう事によりコンピュータ1で認識される。この時コンピュータ1はコマンドボタン18が選択操作されたと判定し、グラッフィックジェネレータ13が選択されたフレーム番号に対応する新たな出力画像データを出力フレームメモリ7に供給する。これにより、ユーザは単独で対話型の情報入力が行なえる様になり、拡大投射画面は出力媒体及び入力媒体として機能する。」


<引用文献6>
特開平05-049074号公報(平成5年2月26日出願公開)

<引用文献記載事項6-1>
「【請求項1】操作対象とする複数の装置及び機器の操作メニューを壁面等に投影するメニュー投影手段1と、
該メニュー投影手段1により投影された操作メニューから特定の項目を選択するメニュー選択手段2と、
該メニュー選択手段2で選択された操作情報を操作対象とする装置又は機器に送る送信手段3と、
を備えたことを特徴とするリモコン装置。」


<引用文献7>
国際公開第01/77778号(2001年10月18日国際公開。特表2003-530742号公報に対応。)

<引用文献記載事項7-1>
「The user can also access additional information about a movie through the video box, such as by mouse-clicking on the box or by selecting a command from a menu. The MovieFly website provides a distinction between selecting a movie for a commercial transaction and for accessing additional information, such as by right-click versus left-click or distinct menu commands. Upon accessing additional information for a movie, the movie website begins playing the trailer for or a clip from the movie. Examples of additional information available include images and audio from the movie, images and text from the video cassette box, reviews of the movie (e.g., by staff of the movie website, by third parties, by users of the movie website), or other links to websites related to the movie (e.g., a page in a movie index website, the official website for the movie sponsored by the owner of the movie, or the official website for the soundtrack of the movie). 」(第10頁第20行?第11頁第2行)
対応する公表公報の記載:「【0029】
ユーザはまた、ビデオケースをマウスでクリックするか、またはメニューから命令を選択する等によって、ビデオケースから映画に関する追加情報にアクセスできる。ムービーフライウェブサイトは、商取引のために映画を選択するのと、追加情報にアクセスするのとを、右クリックと左クリックによって、またはメニュー命令を別にする等によって区別している。映画の追加情報にアクセスすると、映画ウェブサイトは、当該映画の予告編またはクリップを上映しはじめる。利用可能な追加情報の例には、映画の画像および音声、ビデオカセットケースの画像および文章、映画の批評(映画ウェブサイトのスタッフ、第三者、映画ウェブサイトのユーザ等からの批評)、または映画関連の他のウェブサイトへのリンク(映画インデックスウェブサイトのページ、映画の所有者が提供する映画の公式ウェブサイト、または映画のサウンドトラックの公式ウェブサイト等)がある。」


<引用文献8>
特開2000-194635号公報(平成12年7月14日出願公開)

<引用文献記載事項8-1>
「【0077】またデジタル化装置100のデジタル化処理部210は、書籍の原本をイメージデータとしてデジタル化して電子書籍を生成するものとしても良い。この場合にはコンテンツの原本そのままの外観が画像データとして再現されるので、書籍中の文字をテキストデータとして入力し、書籍中の図をイメージデータとして入力した後に前記入力したデキストデータ及びイメージデータを編集して電子書籍とするデジタル化を行った場合と比較して、コンテンツの原本を忠実に再現する為の編集操作を行う必要がなく、またテキストデータとして表現できない文字も表現することができる。
【0078】また販売装置140の選択処理部611で特定の電子書籍を選択する際に、前記生成した表紙や背表紙のイメージデータを商品情報として表示することにすれば、実際の書店に書籍が並べられている様な状態を販売装置140のディスプレイ装置605に再現することが可能となり、顧客は書店で本を選ぶ様な感覚で電子書籍の選択を行うことができる。」


(2)参考文献
本願の出願前に頒布された刊行物である下記参考文献には、下記参考文献記載事項が記載されている。

<参考文献1>
特開07-085151号公報(平成7年3月31日出願公開)

<参考文献記載事項1-1>
「【請求項1】 映像・音楽ソフトのパッケージの表紙等をイメージデータとして取り込むスキャナと、
取り込んだイメージデータおよび作品名データ等を関連付けて格納するデータベースと、
客により操作され、前記データベースを検索して所望の映像・音楽ソフトを選択するモニタおよびキーボード等とを備えたことを特徴とする映像・音楽ソフトのレンタル管理システム。」

<参考文献記載事項1-2>
「【0012】図1において、本システムは、データベース検索処理,貸出処理,データメンテナンス等を行うパーソナルコンピュータ(PC),ワークステーション(WS)等のコンピュータ本体1と、ビデオテープ,CD等の映像・音楽ソフトのパッケージの表紙(ジャケット),背表紙等のイメージデータと作品名(タイトル)等とを対応付けて蓄積したデータベース2と、レンタル店側のオペレータが貸出処理やデータベース2のメンテナンス時に操作するキーボード4,マウス5およびモニタ3と、映像・音楽ソフトのパッケージの表紙,背表紙等のイメージデータを取り込むスキャナ6と、貸出票や管理情報の印刷を行うプリンタ7と、店内の客に自由に操作できる位置に複数配置され、映像・音楽ソフトの検索の操作を行うコンピュータ8,モニタ9,キーボード10,マウス11とを備えている。なお、スキャナ6とプリンタ7は両機能を兼用できる機種を利用することもできる。」


<参考文献2>
国際公開第99/34303号(1999年7月8日国際公開)

<参考文献記載事項2-1>
「第3階層には個々の小分類の書籍メニューページが表示されており、書籍コードと分類名が記載されている。分類コードと分類名の下には同様にしてガイダンスが表示されている。第4階層の書籍ページには個々の書籍が紹介されており、メニュー、書籍名、著者名、ISBNナンバー、コピー、解説などが記載されており、その書籍のカバー写真がイメージデータとして取り込んである。」(第12頁第18行?第23行)

<参考文献記載事項2-2>
「(3)第3実施例
本発明の第3実施例においては、第1実施例の書籍の電子カタログを作成する場合について、個々の小分類書籍メニューページの構成を変えて表示する。この実施の形態に係るシステムにおいて、上述した第1の実施の形態に係るシステムと同一の構成は、同一の符号を付して記し、重複した説明は省略する。
本実施例においては、システムの構成は第1実施例と同様であるため、第1実施例の図1を参照する。従ってシステム1からHTTPD13までの構成は同一であるため、説明を省略する。
自動編成プログラム14において、大分類のメニューページ、さらに小分類のメニューページ、またさらに個々の小分類に属する書籍のメニューページを作成し、一挙に3階層のメニューページを編成できるようになっている。ここで個々の小分類に属する書籍のメニューページは、図37に示すように書店に書籍が並んだような書棚イメージがはめこまれており、個々の書籍の背表紙をクリックすることによって次の階層の書籍ページへリンクするようになっている。書店に書籍が並んだような書棚イメージによって書籍を探すことにより、1冊1冊の書籍が見やすく、一段と書籍を探しやすくすることができる。 書籍データベース検索システム15から公衆回線19A、19Bの構成は同一であるため説明を省略する。
第3の実施の形態においても同様にして自動編成プログラム14は、複数のプロトコルに対応でき、HTMLと共にRIP、その他のコンテンツも作成する機能を持っている。
以上のように、第3実施例では、書籍の詳細な情報を提供する書籍ページを基礎として、WWW又はパソコン通信からアクセスしたユーザーに対して2通りの方法でめざす書籍を検索する方法が提供されている。第1は、大分類と小分類の階層メニューを順次選択していき、書籍一覧メニューで検索する方法である。(階層メニュー検索法)ただし本実施例では個々の小分類に属する書籍のメニューページには、書店に書籍が並んだような書棚イメージがはめこまれており、書籍を探しやすくなっている。
以上の構成において、自動編成プログラム14は、書籍ページ、メニューページを作成し、インターネット7又は電話網を介して書籍の電子カタログをオンライン上の端末機器に提供する。
自動編成プログラム14によって作成される各階層のページは第1実施例と同様にして4つである。第1階層は大分類メニューページ、第2階層は小分類メニューページ、第3階層には個々の小分類書籍メニューページが表示されている。図37はこの第3階層の個々の小分類書籍メニューページの画面レイアウトを示す。このページには、まずどの分野に属する書籍かを示すタイトルが表示され、その下には書店に書籍が並んだような書棚イメージがはめこまれている。この書棚には、図37に示すように様々な幅、高さの書籍が並び、各々の書籍の背表紙はいろいろなフォント、色の題名が記載されており、ユーザーの視覚に訴えるような構成になっている。この画面はそれぞれのイメージの大きさ(縦、横)のデータを使用して、各イメージが左側より密着し、かつ下辺が一直線上に並ぶようにHTML又はRIPファイルを記述することにより作成される。第3階層の個々の書籍の背表紙をクリックすると第4階層の書籍ページが表示されるようになっている。 第3実施例では第1実施例と同様にして自動編成プログラム14によって書籍ページを作成する。次いで自動編成プログラム14の中のメニューページ編成プログラムを走らせてメニューページを作成する。メニューページは大分類、小分類、さらに個々の小分類の書籍のメニューページで構成されている。
第1実施例と同様にして同様のフローチャートにより大分類、小分類、個々の小分類書籍のメニューページが作成される。
以上の構成によれば、所定のデジタルコンテンツを作成する情報処理システムは、HTML、RIP及びその他のプロトコルの記述言語を使用しメニューページの自動編成手段、ならびに商品ページの自動編成手段を備えることにより、メニューページ及び商品ページを自動編成することができる。また個々の小分類書籍のメニューページが書棚のイメージであることにより、書籍を容易に探すことができるようになっている。また自動編成処理によって、更新が最小限の時間で可能であり、訴求力を高めることができ、リンクミスも避けることができ、人手や労力を削減することができる。さらにサーバーに対する負荷が少なく、プロトコルの互換性もよい、といった効果がある。」(第31頁第13頁?第33頁第25行)


<参考文献3>
特開2001-273355号公報(平成13年10月5日出願公開)

<参考文献記載事項3-1>
「【請求項1】 配送部と、ここで前記配送部は、在庫製品を在庫し、
製品情報保持部と、ここで前記製品情報保持部は、前記在庫製品の外観を示す在庫製品映像ライブラリを含み、
顧客情報を生成する販売端末と、ここで前記顧客情報は、前記在庫製品のうち、顧客により購入する候補として選択された候補製品を示す購入候補情報を含み、
情報処理部とを具備し、
前記情報処理部は、前記顧客情報と、前記在庫製品映像ライブラリとに基づいて、前記候補製品の外観を示す候補製品映像データを生成し、
前記販売端末は、前記候補製品映像データに基づいて、前記候補製品の外観である前記候補製品外観を前記顧客に示し、
前記配送部は、前記在庫製品のうち、前記顧客により選ばれた購入製品を前記顧客に配送する製品販売システム。
【請求項2】 請求項1において、
前記候補製品外観は、前記候補製品の実物大の外観である製品販売システム。


<参考文献記載事項3-2>
「【0033】小売店端末3は、図2に示されているように、情報処理装置31、デジタルカメラ32、表示装置33及び入力装置34を含む。情報処理装置31は、デジタルカメラ32に接続する。情報処理装置31は、更に表示装置33に接続する。表示装置33は、プロジェクタモニタ33aと、スクリーン33bとを含む。プロジェクタモニタ33aは、情報処理装置31に接続する。プロジェクタモニタ33aは、スクリーン33bに映像を映し出す。スクリーン33bは、人及び衣服を実物大で映し出すことができる程度の大きさを有する。スクリーン33bは、120インチ相当の大きさを有する。
【0034】プロジェクタモニタ33aは、在庫製品11を実物大でスクリーン33bに映し出すように調整されている。また、プロジェクタモニタ33aは、それが在庫製品11をスクリーン33bに映し出す際に現れる色彩と、在庫製品11が実際に有する色彩とが、積極的に同一になるように調整されている。」


<参考文献4>
特表2001-517344号公報(平成13年10月2日公表)

<参考文献記載事項4-1>
「好ましい実施例のカメラ・ベースの身振り入力を使用する3次元映像を構築するためのシステムの一層好ましい実施例において:ビデオ表示スクリーン34はRetroscan社製RS125SWスクリーン(y方向に6フィートの高さとx方向に8フイートの幅)を持つ後方投射式の池上社製のTPP1000/1500投射器;相互動作区域52はビデオ表示スクリーン54の前面において(z方向に)11フイートと(x方向に)12フイートであり;且つビデオカメラ56はソニー社製NTCSカメラである。」(第17頁13行?18行)

<参考文献記載事項4-2>
「利用者がバーチャル環境の実物大の表現を眺め且つ表示が該利用者の視野の大きな部分をカバーするように、大型のスクリーン表示が使用されるのが好ましい。」(第20頁2行?4行)


5.引用発明

(1)引用文献1には「電子書棚」が記載されているところ、上記引用文献記載事項1-1からみて、該「電子書棚」は、
「テキスト文書もしくは図表、画像により構成された書籍を、紙ではなく電子情報として購入し取扱う電子書籍システムであって、電子化された電子書籍を電子書店より」「購入する機能を持ち、その購入手続き・管理・閲覧を行うコンピュータ及び通信機能等により構成され」、
「電子書店により該書籍専用に用いられる閲覧鍵により暗号化された電子書籍および該書籍専用に用いられる閲覧鍵を受信する通信機能と、
前記閲覧鍵を購入する手続きを行う購入処理手段と、
前記閲覧鍵にて前記暗号化された電子書籍を復号化する機能を有する」ものである。

(2)上記引用文献記載事項1-2記載のとおり該「電子書棚」は「転送された暗号化された電子書籍をダウンロードし保存する機能を有する」。

(3)上記引用文献記載事項1-3記載のとおり前記「購入」は、
「購入者」が「購入する書籍の指定を行い」、「書籍指定情報」を「電子書店に送」り、「電子書店」が「指定された書籍の閲覧鍵を準備」し、「購入者」が「自身のユーザー公開鍵」を「電子書店に送付」し「電子書店」が「ユーザー公開鍵を受信し」、「書籍の閲覧鍵を公開鍵を用いて暗号化」する。
そして、その後、「暗号化閲覧鍵」と「暗号化書籍」が「購入者」に届けられるが、上記引用文献記載事項1-3には、「暗号化閲覧鍵」と共に「暗号化書籍」を「インターネットで送付」する例も記載されている。そして、「購入者」が「暗号化閲覧鍵」と「暗号化書籍を受信」する。
すなわち、前記「購入」は
「購入者が、購入する書籍の指定を行い、書籍指定情報を電子書店に送り、
電子書店が指定された書籍の閲覧鍵を準備し、
購入者が、自身のユーザー公開鍵を電子書店に送付し、
電子書店が、ユーザー公開鍵を受信し、書籍の閲覧鍵を公開鍵を用いて暗号化し、
電子書店が、暗号化閲覧鍵と共に暗号化された電子書籍をインターネットで送付し、
購入者が、暗号化閲覧鍵と暗号化された電子書籍を受信する」ことでなされる。

(4)引用文献記載事項1-4記載の如く「電子書棚」の「画面」は「本棚」と「電子書籍」の「表紙」が表示されるものであるところ、引用文献記載事項1-6から見て、該「表紙」は「背表紙」に他ならないものであり、これらは該「本棚」内に表示される。すなわち、前記「電子書棚」は「本棚と該本棚内の電子書籍の背表紙を画面に表示」する。

(5)引用文献記載事項1-5記載のとおり、前記「電子書棚」は「通常利用している紙の本を並べる本棚と同じ使用感にて電子書籍を利用することが出来る」ものである。

(6)以上(1)?(5)をまとめると、引用文献には下記の引用発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「テキスト文書もしくは図表、画像により構成された書籍を、紙ではなく電子情報として購入し取扱う電子書籍システムであって、電子化された電子書籍を電子書店より購入する機能を持ち、その購入手続き・管理・閲覧を行うコンピュータ及び通信機能等により構成され、
電子書店により該書籍専用に用いられる閲覧鍵により暗号化された電子書籍および該書籍専用に用いられる閲覧鍵を受信する通信機能と、
前記閲覧鍵を購入する手続きを行う購入処理手段と、
前記閲覧鍵にて前記暗号化された電子書籍を復号化する機能を有する電子書棚であって、
転送された暗号化された電子書籍をダウンロードし保存する機能を有し、
前記購入は
購入者が、購入する書籍の指定を行い、書籍指定情報を電子書店に送り、
電子書店が指定された書籍の閲覧鍵を準備し、
購入者が、自身のユーザー公開鍵を電子書店に送付し、
電子書店が、ユーザー公開鍵を受信し、書籍の閲覧鍵を公開鍵を用いて暗号化し、
電子書店が、暗号化閲覧鍵と共に暗号化された電子書籍をインターネットで送付し、
購入者が、暗号化閲覧鍵と暗号化された電子書籍を受信することでなされ、
本棚と該本棚内の電子書籍の背表紙を画面に表示し、
通常利用している紙の本を並べる本棚と同じ使用感にて電子書籍を利用することが出来るものである
電子書棚」


6.対比
以下に、本願発明と引用発明とを比較する。

(1)引用発明は「テキスト文書もしくは図表、画像により構成された書籍を、紙ではなく電子情報として購入し取扱う電子書籍システムであって、電子化された電子書籍を電子書店より購入する機能を持ち、その購入手続き・管理・閲覧を行うコンピュータ及び通信機能等により構成される」「電子書棚」であり、本願発明と同様に「書籍鑑賞支援装置」と言えるものである。

(2)引用発明は「本棚と該本棚内の電子書籍の背表紙を画面に表示」するものであるから、該表示のための「表示制御手段」を有することは明らかであるところ、引用発明は「通常利用している紙の本を並べる本棚と同じ使用感にて電子書籍を利用することが出来る」ものであり、その表示は「前記書籍の実物を背表紙を前面に向けて前記書棚に並べたように見えるように」デザインされたものであることは明らかであるから、該「表示制御手段」は、「書棚のイメージと、」「背表紙のイメージとを、前記書籍の実物を背表紙を前面に向けて前記書棚に並べたように見えるように」表示「する表示制御手段」と言えるものである
一方、本願発明における「表示制御手段」も、「書棚のイメージと、」「背表紙のイメージとを、前記書籍の実物を背表紙を前面に向けて前記書棚に並べたように見えるように、」表示「する表示制御手段」と言える。
従って、引用発明と本願発明とは、「書棚のイメージと、」「背表紙のイメージとを、前記書籍の実物を背表紙を前面に向けて前記書棚に並べたように見えるように、」表示「する表示制御手段」を備えたものである点で一致する。

(3)引用発明においては、「購入者が、購入する書籍の指定を行」うのであるから、引用発明が該「指定を行」うための手段を備えていることは明らかであり、該手段は「書籍を」指定「する」指定「手段」と言えるものである。
一方、本願発明における「選択手段」による「書籍」の「選択」は、「書籍」の「指定」とも言えるものであり、該「選択手段」も「書籍を」指定「する」指定「手段」と言えるものである。
従って、引用発明と本願発明とは、「書籍を」指定「する」指定「手段」を備えたものである点で一致する。

(4)引用発明は「購入者が、購入する書籍の指定を行い、書籍指定情報を電子書店に送り」、「電子書店が、暗号化閲覧鍵と共に暗号化された電子書籍をインターネットで送付し」「購入者が、暗号化閲覧鍵と暗号化された電子書籍を受信する」ものであるところ、前記「電子書籍」には「本文」の「情報」が含まれていることは明らかであるから、前記「書籍指定情報」は「前記」指定「手段によって」指定「された書籍における鑑賞の対象となる本文情報の要求情報」と言えるものである。
そして、引用発明における「電子書店」は、「購入者」に対して「暗号化閲覧鍵と共に暗号化された電子書籍をインターネットで送付」すると言うサービスを提供するのであるから、「サーバー」とも言えるものであり、そこには前記「電子書籍」が「記憶」されていることも明らかである。
従って、引用発明も本願発明も
「前記」指定「手段によって」指定「された書籍における鑑賞の対象となる本文情報の要求情報を、当該書籍の本文情報が記憶されているサーバーへネットワークを介して送信する送信手段」を備えたものである点で一致する。

(5)引用発明においては「購入者が、購入する書籍の指定を行い、書籍指定情報を電子書店に送り」、「電子書店が、暗号化閲覧鍵と共に暗号化された電子書籍をインターネットで送付し」「購入者が、暗号化閲覧鍵と暗号化された電子書籍を受信する」のであるから、引用発明も本願発明も「前記サーバーから前記送信手段によって送信された要求情報にかかる書籍の本文情報を前記ネットワークを介して受信する受信手段」を備えたものである点で一致する。

(6)上記(1)?(5)より、本願発明は、下記一致点で引用発明と一致し、下記相違点を有する点で引用発明と相違する。

<一致点>

「書棚のイメージと、」「背表紙のイメージとを、前記書籍の実物を背表紙を前面に向けて前記書棚に並べたように見えるように、」表示「する表示制御手段と、」
「書籍を」指定「する」指定「手段と、
前記」指定「手段によって」指定「された書籍における鑑賞の対象となる本文情報の要求情報を、当該書籍の本文情報が記憶されているサーバーへネットワークを介して送信する送信手段と、
前記サーバーから前記送信手段によって送信された要求情報にかかる書籍の本文情報を前記ネットワークを介して受信する受信手段と、
を備えた」「書籍鑑賞支援装置。」。

<相違点1>
本願発明は「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報を記憶する記憶手段」を有し、表示制御手段は「前記記憶手段によって記憶された背表紙情報にかかる」背表紙のイメージを表示する点。
(これに対し、引用文献1には、表示される背表紙の情報を記憶する記憶手段の開示は無い。)

<相違点2>
本願発明における、表示制御手段は「プロジェクターを制御して、実際の書棚のサイズと同様のサイズの」書棚のイメージと、前記背表紙のイメージとを、「壁に投影」するものである点。
(これに対し、引用文献1には、「電子書棚」が如何なる表示器によって表示されるのかの明示はなく、表示のサイズに関する言及も無い。)

<相違点3>
本願発明における、書籍を指定する指定手段は、「前記壁に投影された前記背表紙のイメージの表示領域が指示されることによって当該背表紙情報にかかる書籍を選択する選択手段」である点。
(これに対し、引用文献1には、「電子書籍を選択する」ことが如何なる操作でなされるのかの明示はない。)


7.判断
以下に、上記相違点について検討する。

<相違点1について>
情報の表示を行うためには、当該表示されるイメージに対応する情報を記憶する記憶手段が必要となることは技術常識に他ならず、引用発明においても、「電子書籍の背表紙を画面に表示」するために該「電子書籍の背表紙」に対応する情報を記憶する手段を有することは明らかである。
また、本願発明における「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報」なる事項における「関する」が如何なる関連を意味するのかは、その記載のみからは明確なものではなく、また、本願発明の詳細な説明においても「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報」なる事項を説明する記載は見当たらない。しかしながら、本願発明の詳細な説明の段落【0037】の「ここで、背表紙情報は、文字情報やイメージ情報(写真、グラフィック等を含む)などであり、さらに音声情報や音楽情報などが含まれていてもよい。さらに、背表紙情報には、予告編などの動画情報が含まれていてもよい。」との記載などを参酌すれば、「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報」は、「書籍の実物の背表紙のイメージ」そのものを意味するのではなく、当該イメージに関連した何らかの情報を意味すると解すべきものであると認められる。従って、引用発明における「電子書籍の背表紙」に対応する情報と「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報」とは、実質的には何ら相違しないものと認められる。
してみると、引用発明を「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報を記憶する記憶手段」を有するものとし、表示される背表紙のイメージを「前記記憶手段によって記憶された背表紙情報にかかる」ものとすることは、当業者であれば当然の如く採用する技術常識的な構成に他ならない。

なお、表示に際して当該表示対象の実物のイメージデータを用いることは、従来から適宜に採用されている周知慣用技術に過ぎないものである(必要があれば、引用文献8(特に引用文献記載事項8-1)、参考文献1(特に参考文献記載事項1-1、1-2)、参考文献2(特に参考文献記載事項2-1、2-2)等参照)から、仮に本願発明における「書籍の実物の背表紙のイメージに関する背表紙情報」を「書籍の実物の背表紙のイメージ」データそのものと解釈したとしても、相違点1は格別なものではない。

<相違点2について>
表示情報を壁等に投影するプロジェクターは、当業者ならずとも周知慣用の表示器である(必要があれば引用文献3(特に引用文献記載事項3-1)、引用文献4(特に引用文献記載事項4-1)、引用文献5(特に引用文献記載事項5-1)、引用文献6(特に引用文献記載事項6-1)、参考文献3(特に参考文献記載事項3-2)、参考文献4(特に参考文献記載事項4-1)等参照)。
また、表示を実物大で表示することも、必要に応じて適宜に採用されている設計事項である(必要があれば参考文献3(特に参考文献記載事項3-1、3-2)、参考文献4(特に参考文献記載事項4-2)等参照。)。
してみると、引用発明における「背表紙を電子書棚の画面に表示」する手段としてプロジェクタを採用し、実物大で表示するように構成すること、即ち、「プロジェクターを制御して、実際の書棚のサイズと同様のサイズの」書棚のイメージと、前記背表紙のイメージとを、「壁に投影」するものとすることは、当業者であれば必要に応じて適宜に採用し得た設計事項に他ならない。

<相違点3について>
指定操作を、指定の対象となる情報の表示領域を指示することで該指定がなされるようにするマンマシンインタフェースも、当業者にとっては常套手段に他ならないものであり(必要があれば、引用文献2(特に引用文献記載事項2-1)、引用文献3(特に引用文献記載事項3-2)、引用文献4(引用文献記載事項4-1等)、引用文献5(引用文献記載事項5-2等)、引用文献6(引用文献記載事項6-1等)、引用文献7(特に引用文献記載事項7-1)、参考文献2(特に参考文献記載事項2-2)等参照)、これを引用発明における「電子書籍」の「指定」に採用することで、書籍を指定する指定手段を、「前記壁に投影された前記背表紙のイメージの表示領域が指示されることによって当該背表紙情報にかかる書籍を選択する選択手段」とすることも当業者が適宜に採用し得た設計事項に過ぎないものである。

してみると、本願発明の構成は引用発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
また、本願発明の効果は、当業者であれば容易に予測し得る程度のものであって、格別顕著なものではない。
よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


8.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項についての検討、他の拒絶理由についての検討をするまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-14 
結審通知日 2010-12-21 
審決日 2011-01-05 
出願番号 特願2002-65271(P2002-65271)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 桑原 雅子間野 裕一  
特許庁審判長 山崎 達也
特許庁審判官 鈴木 匡明
清木 泰
発明の名称 書籍鑑賞支援装置、鑑賞メディア鑑賞支援装置、書籍鑑賞支援方法、鑑賞メディア鑑賞支援方法およびその方法をコンピュータに実行させるプログラム  
代理人 酒井 昭徳  

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