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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F17D
管理番号 1232480
審判番号 不服2009-8892  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-23 
確定日 2011-02-18 
事件の表示 特願2002-236443「搬送管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成16年 3月11日出願公開、特開2004- 76835〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年8月14日の出願であって、平成20年12月11日付で拒絶の理由が通知され(発送日:平成20年12月17日)、これに対し、平成21年2月13日付で意見書及び手続補正書が提出されたが、平成21年3月12日付で拒絶査定がなされ(発送日:平成21年3月25日)、これに対し、平成21年4月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


2.本願発明
本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成21年2月13日付手続補正書で補正された、特許請求の範囲の請求項3に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「各種搬送対象の送受部位間の搬送を管理する搬送管理システムであって、
各種データを表示する画像表示デバイスと、
作業者が各種データを前記搬送管理システムに入力し、および前記搬送管理システムの各種データを操作するための入力操作デバイスと、
テキストデータで設定されている、搬入元および搬送先の送受部位の識別データ、搬入および搬出される対象の識別データを少なくとも含む搬送管理データを更新自在に記憶する管理記憶手段と、
前記送受部位ごとのノード画像データを記憶しているノード記憶手段と、
前記ノード画像データが前記搬送に対応したリンク画像データで連結された搬送画像データを更新自在に記憶する画像記憶手段と、
前記搬送画像データを前記画像表示デバイスに表示させて前記入力操作デバイスによる編集操作を受け付ける画像操作手段と、
前記画像操作手段による前記搬送画像データの編集操作に対応して、前記管理記憶手段に記憶されている前記搬送管理データを自動編集する管理処理手段と、
を有する搬送管理システム。」


3.引用例
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された特開2000-346299号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。

1-a「石油オフサイトなどのプラントで石油などの物資を所定設備まで輸送するための配管構成を管理するとともに、各配管ごとにその配管に接続されている設備を示すコネクション情報に基づき所定設備間を結ぶ配管経路を自動的に選択するオートラインアップ機能を有するプラント管理装置において、
所定操作に応じて各設備や配管を示すパーツを画面上に配置して各設備間の接続形態を表示するパス画面を編集し、各パーツ間の論理的接続情報を含むオブジェクト情報を作成するパス画面編集手段と、
このパス画面編集手段により作成されたオブジェクト情報に基づき、各配管とそれぞれの配管に接続されている設備との対応関係を示すコネクション情報を自動作成するコネクション情報作成手段とを備えることを特徴とするプラント管理装置。」(【請求項2】)

1-b「請求項2記載のプラント管理装置において、
パス画面編集手段は、
オブジェクト情報として、個々のパーツと他のパーツとの論理的接続情報を含むオブジェクトを各パーツごとに作成し、
コネクション情報作成手段は、
オブジェクト情報に含まれる各パーツのオブジェクトのうち、論理的接続情報を検索することにより配管の両端に接続されているパーツを抽出し、抽出したパーツのオブジェクトからそのパーツに対応する設備を取得することにより、各配管ごとにその配管に接続されている設備との対応関係を示すコネクション情報を自動作成することを特徴とするプラント管理装置。」(【請求項3】)

1-c「本発明は、プラント管理装置に関し、特に石油オフサイトなどのプラントで石油などの物資を所定設備まで輸送するための配管構成を管理するプラント管理装置に関するものである。」(【0001】)

1-d「従来、このようなプラントの配管を管理する管理装置では、予め入力されている各設備間の接続形態やその接続情報に基づき、所定の配管経路を自動的に選択するオートラインアップ機能が用いられている。この場合、画面上で各設備や配管に対応する画像イメージをパーツとして任意に配置して、各設備間の接続形態を示すパス画面を生成しておく。また、これら接続形態を示す実際のデータ、すなわちどの配管がどの設備間を接続しているかを示す接続情報については、パス画面とは別個に操作入力するものとなっていた。」(【0003】)

1-e「次に、本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態であるプラント管理装置のブロック図である。同図において、1はデータ入力部1Aからの指示に基づきプラントで用いられる各種設備や配管の接続形態を設定し、その接続形態に基づき所定の設備間を結ぶ配管経路を示すラインアップ情報を生成するコンフィギュレーション装置である。
コンフィギュレーション装置1において、11はプラントで用いられる各種設備や配管に対応する画像イメージをパーツとして画面上に配置することにより各設備間の接続関係を画面上で編集し、各パーツ間の論理的接続情報を含むオブジェクト情報12を作成するパス画面編集部である。14はこのオブジェクト情報12から各配管ごとに配管とその両端に接続されている設備の対応関係を示すコネクション情報15を作成するコネクション情報作成部である。
また、16はこのコネクション情報15に基づき所定の設備間を結ぶ配管経路を抽出し、その配管経路を示すラインアップ情報17を作成するラインアップ情報作成部、18はラインアップ情報17に基づき任意の配管経路をデータ表示部1Bの画面に強調表示するラインアップ表示部である。
次に、図2を参照して、本発明の動作について説明する。図2はコンフィギュレーション装置での概略処理を示すフローチャートであり、特にコネクション情報の作成までの処理手順が示されている。パス画面編集部11では、データ入力部1Aからの指示に基づき、プラント内の所定設備範囲で用いる各種設備や配管の接続形態が、所定の編集ツールを用いて編集される。
図3はパス画面編集部の画面出力例を示す説明図である。ツールボックス11Bから任意の設備や配管を示す画像イメージすなわちパーツがマウスにより選択され、画面中央のシート画面11A上に配置される。これに応じて、そのパーツに関する各種属性を示す情報管理単位すなわちオブジェクトが生成される(ステップ31)。
タンク、ポンプ、バルブあるいは流量計などの各設備パーツには、配管を示す配管パーツとの接続点すなわちポートが設けられている。ここで、設備パーツまたは配管パーツを配置しあるいは移動させた時点で、設備パーツのポートと配管パーツの端点とがシート画面11A上で同じ位置に存在する場合は、その設備パーツと配管パーツが論理的に接続されたと判断される。
そして、その設備パーツと配管パーツのオブジェクトに、両者の論理的な接続関係が論理的接続情報として格納され、オブジェクトが更新される(ステップ32)。このようにして、各種パーツをシート画面上に配置することにより各パーツのオブジェクトが繰り返し生成更新され、各種設備や配管の接続形態が、これらオブジェクトからなるオブジェクト情報12として出力される。
その後、編集終了に応じて(ステップ33:YES)、オブジェクト情報12に基づき各パーツ間の接続状況がチェックされ(ステップ34)、その接続状況に誤りがあった場合は(ステップ35:NO)、ステップ31に戻って誤りを修正編集する。また、誤りがなく正常であった場合は(ステップ35:YES)、オブジェクト情報12に基づくコネクション情報の自動生成が行われ(ステップ36)、一連の処理を終了する。」(【0010】-【0017】)

1-f「次に、図9を参照して、コネクション情報作成処理について説明する。図9はコネクション情報作成手順を示すフローチャートであり、(a)はコネクション情報作成処理、(b)はパーツ情報格納処理を示している。コネクション情報作成部14では、前述したオブジェクト情報の接続状況が確認された後、図9に示すコネクション情報作成処理を実行して、オブジェクト情報に基づきコネクション情報を自動作成する。
図10はコネクション情報の構成例を示す説明図である。コネクション情報15(図1参照)とは、各配管ごとに配管とその両端に接続されている設備の対応関係を示す情報であり、図10に示すような項目情報から構成されている。コネクトIDは、各配管に対して固有に付与された名前であり、これにより配管が識別される。
FROM名およびTO名は、その配管の各端点に接続されている設備(パーツ)の名前であり、ここでは便宜的にFROMおよびTOと表現されているが、物資の流れ方向とは一致していない。FROM設備区分およびTO設備区分は、FROM名およびTO名に示された設備の種類を示す区分名である。
また、FROM流路およびTO流路は、FROM名およびTO名に示された設備が有する物資の流れ方向を示す値である。例えば、ポンプ、流量計、バルブなどは、それぞれの設備に固有の流れ方向を有している場合があり、そのような場合には配管が接続されているポートが、その設備の上流側、下流側、あるいはその他(両方向あり)のいずれであるかが示される。」(【0032】-【0035】)

1-g「特に、このような物資の流れ方向を、オブジェクト情報12から抽出してコルクション情報15に自動的に格納するようにしたので、従来のようにオペレータが別途入力する必要がなく、入力ミスを抑止できるとともに作業効率を改善できる。」(【0048】)

1-h「以上説明したように、本発明は、所定操作に応じて各設備や配管を示すパーツを画面上に配置して各設備間の接続形態を表示するとともに各パーツ間の論理的接続情報を含むパス画面を作成するとともに、各配管ごとにその配管に接続されている設備を示すコネクション情報を自動作成するようにしたので、オペレータへの操作負担を大幅に軽減でき、短時間でオートラインアップに必要な情報を作成できる。」(【0049】)

上記記載及び図9、10を参照すると、コネクション情報は、テキストデータで設定されている、配管の各端点に接続された各種設備の名前を少なくとも含む態様が示されており、また、コネクション情報は、自動作成された後格納されている。

上記記載事項からみて、引用例1には、
「石油などの物資の各設備間の輸送を管理する石油オフサイトなどのプラント管理装置であって、
各種データを表示するデータ表示部1Bと、
オペレータが各種データを前記プラント管理装置に入力し、および前記プラント管理装置の各種データを指示するためのデータ入力部1Aと、
テキストデータで設定されている、配管の各端点に接続された各種設備の名前を少なくとも含むコネクション情報15を更新自在に格納するコネクション情報格納手段と、
前記各種設備ごとの画像イメージを格納しているツールボックス11Bと、
前記各種設備ごとの画像イメージが前記輸送に対応した配管を示す画像イメージで連結されたオブジェクト情報12を更新自在に格納するオブジェクト情報格納手段と、
前記オブジェクト情報12を前記データ表示部1Bに表示させて前記データ入力部1Aのマウスによる選択及び配置の操作を受け付けるパス画面編集部11と、
前記パス画面編集部11により作成された前記オブジェクト情報12の選択及び配置の操作に基づいて、前記コネクション情報格納手段に格納されている前記コネクション情報15を自動生成するコネクション情報作成部14と、
を有する石油オフサイトなどのプラント管理装置。」
との発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

同じく、当審の拒絶の理由に引用された特開平5-108152号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面と共に、以下の事項が記載されている。

2-a「本発明は複数の貯蔵庫相互間を中継器を介した複数の経路で接続してなる移送システムにおいて、貯蔵庫相互間で新たな複数の移送要求が同時に発生した場合に、各経路の前回の移送情報をも考慮して、その経路を自動的に割付ける移送経路自動割付装置に関する。
例えば、化学工場における原料や製品の貯蔵施設においては、多数のタンクが配設されており、タンク相互間は配管で接続されており、さらに、配管にはポンプが介挿されている。
そして、操作者が一対のタンクを移送元タンクおよび移送先タンクに指定して、移送元タンクに貯蔵された例えば油を移送先タンクに移送する必要が生じた場合には、どの経路を経由して移送するかを決定する必要がある。また、石油の移送システムにおいては、移送される油の種類によっては、他の種類の油に混合することが禁止される場合もある。
油の種類数やタンク数や経路数が少ない場合は、監視員は、現在の使用中の経路や故障点検中の経路を除外した経路の中から、かつその中から前回に同一種類の油を移送した経路を、各経路状態を示す監視盤やCRT表示装置を参照しながら適当な一つの経路を選択すればよい。
しかし、図5に示すように、移送元タンク1の数および移送先タンク2の数が多くなると、必然的に各タンク1,2相互間を接続する配管3a,3bの数も多くなり、配管3a,3bの間に介挿されるポンプ4の数も多くなる。例えば、移送元タンク1の数がLで、移送先タンク2の数がMで、ポンプ4の数がNの場合、移送元タンク1とポンプ4との間の経路が最大 LCN 種類存在し、ポンプ4と移送先タンク2との間の経路が最大 NCM 種類存在する。
また、図示するように、移送元タンク1にそれぞれ異なる種類の油が貯蔵され、a?xの各種類の油を指定された移送先タンク2へ移送する場合には、ポンプ4及び下流側の配管3b及び移送先タンク2には異なった種類の油が通流する場合もある。したがって、各配管や各ポンプ4及び移送先タンク2を必要に応じて洗浄しなければならない。
具体的には、図示するように各ポンプ4の流入口に分岐弁5を設け、洗浄用油タンク6から洗浄用油を洗浄しようとする各ポンプ4および配管3bに通流させて移送先タンク2の流入口に設けられた分岐弁7から洗浄用タンク8に回収する。また、移送先タンク2を介して洗浄用タンク8に回収することによって、移送先タンク2の洗浄も同時に行うことができる。
配管3a,3b及びポンプ4に一旦油が通量すると、管壁が油で汚染されるので、原則として次に他の種類の油を通流させる場合は、これらを前述した手順でもって洗浄する必要がある。なお、油は原油が最もグレードが低く、ナフサ,エチレン、灯油,カソリン等のグレードが高くなるに従って、他の油が混入するのが品質上から禁止される。したがって、グレードの低い油を通流させた後の配管やポンプにグレードの高い油を通流させる場合は必ず洗浄する必要がある。逆に、グレードの高い油を通流させた後にグレードの低い油を通流させる場合は必ずしも洗浄する必要はない。
したがって、常時各配管3a,3b及び各ホンプ4からなる各経路が前回の油輸送においてどの種類の油を通流させたかを記録いておく必要がある。例えば図5の移送システムにおいては、各移送元タンクTI1 ?TIL にそれぞれa?xの種類の油が貯蔵され、各経路における前回通流した油の種類が表1に示されている。例えばポンプP1 から移送先タンクTO1 への配管3bにおいて、前回aの種類の油が移送されたことを示す。なお、「洗浄済」の経路は前回までに洗浄用油でもって洗浄されたことを示す。」(【0001】-【0009】)

2-b「さらに、各移送元タンクTI1 ?TIL に貯蔵されたa?xの各種類の油は相互に表2に示す混合可否条件が設定されている。例えば、bの種類の油は、同一種類の油及び種類cの油が通流した経路に対して必ずしも該当経路を洗浄したのち、該当経路でもつて移送する必要がないが、aの種類の油に対しては必ず該当経路の洗浄を行った後に移送する必要がある。」(【0011】)

上記記載及び表1を参照すると、ポンプからタンクへの複数の経路と複数の油の種類からなる移送情報がテキストデータとして示されている。


4.対比
そこで、本願発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「石油などの物資」、「各設備間」、「輸送」、「石油オフサイトなどのプラント管理装置」、「データ表示部1B」、「オペレータ」、「指示」、「データ入力部1A」、「配管の各端点に接続された各種設備の名前」、「コネクション情報格納手段」、「各種設備ごと」、「画像イメージ」、「格納」、「ツールボックス11B」、「配管を示す画像イメージ」、「オブジェクト情報12」、「オブジェクト情報格納手段」は、それぞれ本願発明の「各種搬送対象」、「送受部位間」、「搬送」、「搬送管理システム」、「画像表示デバイス」、「作業者」、「操作」、「入力操作デバイス」、「搬入元および搬送先の送受部位の識別データ」、「管理記憶手段」、「送受部位ごと」、「ノード画像データ」、「記憶」、「ノード記憶手段」、「リンク画像データ」、「搬送画像データ」、「画像記憶手段」に相当する。

その機能をも考慮すると、引用例1発明の「データ入力部1Aのマウスによる選択及び配置の操作を受け付けるパス画面編集部11」は、本願発明の「入力操作デバイスによる編集操作を受け付ける画像操作手段」に相当し、引用例1発明の「パス画面編集部11により作成されたオブジェクト情報12の選択及び配置の操作に基づいて、コネクション情報格納手段に格納されているコネクション情報15を自動生成するコネクション情報作成部14」は、本願発明の「画像操作手段による搬送画像データの編集操作に対応して、管理記憶手段に記憶されている搬送管理データを自動編集する管理処理手段」に相当する。

また、引用例1発明の「テキストデータで設定されている、配管の各端点に接続された各種設備の名前を少なくとも含むコネクション情報15を更新自在に格納するコネクション情報格納手段」と、本願発明の「テキストデータで設定されている、搬入元および搬送先の送受部位の識別データ、搬入および搬出される対象の識別データを少なくとも含む搬送管理データを更新自在に記憶する管理記憶手段」は、「テキストデータで設定されている、搬入元および搬送先の送受部位の識別データを少なくとも含む搬送管理データを更新自在に記憶する管理記憶手段」との概念で共通している。

したがって、両者は
「各種搬送対象の送受部位間の搬送を管理する搬送管理システムであって、
各種データを表示する画像表示デバイスと、
作業者が各種データを前記搬送管理システムに入力し、および前記搬送管理システムの各種データを操作するための入力操作デバイスと、
テキストデータで設定されている、搬入元および搬送先の送受部位の識別データを少なくとも含む搬送管理データを更新自在に記憶する管理記憶手段と、
前記送受部位ごとのノード画像データを記憶しているノード記憶手段と、
前記ノード画像データが前記搬送に対応したリンク画像データで連結された搬送画像データを更新自在に記憶する画像記憶手段と、
前記搬送画像データを前記画像表示デバイスに表示させて前記入力操作デバイスによる編集操作を受け付ける画像操作手段と、
前記画像操作手段による前記搬送画像データの編集操作に対応して、前記管理記憶手段に記憶されている前記搬送管理データを自動編集する管理処理手段と、
を有する搬送管理システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

〔相違点〕
搬送管理データに関し、本願発明は、搬入および搬出される対象の識別データを含むのに対し、引用例1発明は、搬送対象のデータについて明示されていない点。


5.判断
引用例2にも示されるように、搬送管理データ(「移送情報」が相当)に、搬入元および搬送先の送受部位の識別データ(「ポンプからタンクへの複数の経路」が相当)の他に、搬送対象の識別データ(「複数の油の種類」が相当)を含ませることにより、搬送対象の種類をも考慮した適切な管理をなし得るようにすることは、搬送管理システム(「石油の移送システム」が相当)の分野において周知の技術である。
一般に、異なった種類の物品を搬送する際、当該異なった種類の物品の各々に、他の種類と識別可能とするために、フラグ等の何らかの識別可能表示を行うことは常套手段である。
そして、石油などの物資の各設備間の搬送(輸送)を管理する石油オフサイトなどのプラント管理装置である引用例1発明においても、搬送対象である石油の種類をも考慮した適切な管理は当然に要求されるべき課題であるといえるから、かかる課題の下に上記周知の技術を適用し、搬送管理データに搬送対象の識別データを含ませることで、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に考えられるものと認められる。
そして、本願発明の作用効果も、引用例1発明、上記常套手段及び上記周知の技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用例1発明、上記常套手段及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。


6.むすび
したがって、本願発明は、引用例1発明、上記常套手段及び上記周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-12-13 
結審通知日 2010-12-15 
審決日 2011-01-04 
出願番号 特願2002-236443(P2002-236443)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F17D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保 竜一  
特許庁審判長 堀川 一郎
特許庁審判官 仁木 浩
倉橋 紀夫
発明の名称 搬送管理システム  
代理人 宮崎 昭夫  
復代理人 石橋 亮一  
代理人 石橋 政幸  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 石橋 政幸  
代理人 石橋 政幸  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
復代理人 石橋 亮一  
復代理人 石橋 亮一  

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