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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C09D
管理番号 1233034
審判番号 不服2007-31928  
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-11-26 
確定日 2011-03-02 
事件の表示 平成10年特許願第332892号「ジェット印刷用インク組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月13日出願公開、特開2000-160083〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年11月24日の出願であって、平成19年10月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成19年11月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後、平成22年9月9日付けで当審による拒絶理由の通知がなされ、前記当審による拒絶理由の通知の指定期間内である平成22年11月9日に意見書とともに手続補正書が提出されたものである。

そして、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年8月28日付け及び平成22年11月9日付けの手続補正により補正された明細書(以下、当該補正後の明細書を「本願明細書」という。)の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】下記式
【化1】


で示される蛍光材料の含有量が0.01?0.5重量%であり、バインダーとしてポリアミド系樹脂を0.5?10重量%、溶剤としてアルコール系溶剤を80重量%以上含有することを特徴とするジェット印刷用インク組成物。」

2.当審による拒絶の理由
平成22年9月9日付けの当審による拒絶の理由は、理由2として、『この出願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1?4に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。』という理由を含むものであって、当該「刊行物1?4」として、下記の刊行物を提示したものである。



刊行物1:特開昭53-140105号公報
刊行物2:国際公開第97/10307号パンフレット
刊行物3:特開平10-46072号公報
刊行物4:特開平9-188835号公報(原査定の引用文献2に同じ。)

3.刊行物1?4及び周知例A?D
(1)刊行物1及びその記載事項
上記刊行物1には、次の記載がある。

摘記1a:請求項1
「(1)主成分として、水、親水性有機溶剤、水溶性バインダー及びユーロピゥム-テノイルトリフルオロアセトンキレート蛍光体からなる紫外線照射により視認し得るジエツト印刷用水性インク。」

摘記1b:第2頁右上欄第1行?左下欄第3行
「(3)マーキング用として必要な特性。
(イ)インクの乾燥性がよいこと、
(ロ)インクの耐水性がよいこと、
(ハ)インクの被印刷面との付着性がよいこと、
等が挙げられる。…
本発明において着色剤として使用するユーロピウム-テノイルトリフルオロアセトンキレート蛍光体(以下Eu-TTA蛍光体という。)は淡黄色の物質で可視光線下では不可視であるが、紫外線照射下で赤橙色(主波長スペクトル613nm)に発光する物質である。該着色剤は水性インク中0.001?2重量%、特に0.01?1重量%含有するように添加するのが好ましい。」

(2)刊行物2及びその記載事項
上記刊行物2には、和訳にして次の記載がある。

摘記2a:第11頁第2行?第12頁第27行
「本発明は、インクキャリヤ、蛍光着色剤及び任意により1種以上のバインダー樹脂を含むジェットインク組成物を提供する。…
LUMILUX^(TM) Red CD 331、Red CD 332又はRed CD 335が着色剤として用いられる場合、水性キャリヤは着色剤を完全に可溶化するためにエタノールを少なくとも20重量%含有しなければならない。
適量のインクキャリヤが用いられる。キャリヤは、組成物の典型的には約50?約99重量%、好ましくは約80?約97重量%の量で用いられる。」

摘記2b:第14頁第8?27行
「ユーロピウムのアセチルアセトン酸塩は赤領域の放射線で蛍光発光し、このことは白色又は淡色基体上に印刷するのに特に適切である。…好適顔料でありアセトン酸ユーロピウムの誘導体であるRed CD 331は、発光ピーク612nm、融点153?155℃及び密度600kg/m^(3)の黄色粉末である。」

摘記2c:第15頁第24?28行
「着色剤は、ジェットインク組成物の好ましくは約0.1?2重量%の量、更に好ましくは約0.5?約1.6重量%の量で用いられる。過剰量の着色剤は、インク組成物のコストを増大させる。」

摘記2d:第22頁第9?13行
「ジェットインク組成物の調製においては適量のバインダー樹脂が用いられる。バインダー樹脂は、インク組成物の好ましくは約1?約15重量%、更に好ましくは約1?約13重量%の量で用いられる。」

摘記2e:第27頁第10?14行
「成分 %(重量)
エタノール CDA19(200プルーフ) 96.2
LUMILUX Red CD331(Hoechst-Celanese) 0.8
ポリビニルピロリドン(ISP Corp.) 2.5
硝酸リチウム 0.5 」

摘記2f:第28頁の表2
「表2.目に見えない蛍光ジェットインク組成物の代表的処方
処方No. … 3 …
エタノール CDA19-200 プルーフ … 95.2 …
JONCRYL 67 アクリル樹脂 … 3.5 …
LUMILUX Red CD331 … 0.8 …
硝酸リチウム … 0.5 …
全量(重量) … 100 … 」

(3)刊行物3及びその記載事項
上記刊行物3には、次の記載がある。

摘記3a:段落0003
「吸液性被印刷体表面が墨等により着色されている場合には、被印刷体表面における蛍光発光強度の不足は顕著であるという課題があった。」

摘記3b:段落0007
「蛍光染料としては、…ユーロピウム-テノイルトリフルオロアセトンキレート体…が代表的なものとして挙げられる。」

摘記3c:段落0011?0012
「本発明で溶媒として使用する有機溶剤は蒸発速度(酢酸ブチルの蒸発速度を100とした相対速度)が150以上のものである。即ち、蒸発速度が150以上の有機溶剤を使用することにより、被印刷体に印刷されたインク中の有機溶剤が速く揮発するため、インクの被印刷体の深部への浸透が抑制され、その結果被印刷体表面に残存する蛍光染料濃度が高くなり、蛍光発光強度が高くなる。…有機溶剤のうちでは、エタノールは無害であり、また誘電率が大きいので本発明で用いるのに特に好適である。」

(4)刊行物4及びその記載事項
上記刊行物4には、次の記載がある。

摘記4a:段落0002?0003
「不可視バーコード等の肉眼では認識できない蛍光印刷層は、可視印刷層の見た目を損なうことなく、その上に必要な情報を記録する手段としても有用である。…
このような蛍光印刷物においては、情報を読み取るために、一定以上の蛍光発光強度を安定して得ることが必要である。特に、基材が有色の場合や、基材が可視印刷層を有する場合は、発光した蛍光の一部が基材に吸収される。また、基材が透明の場合は発光した蛍光の一部が基材の裏側に透過する。そのためこれらの場合、特に高い蛍光強度が必要とされる。」

摘記4b:段落0012?0013
「本発明の蛍光インクは、ビヒクルとして、ポリビニルピロリドンに加えて、他の樹脂を含んでいても良い。そのような樹脂としては、例えば、…ナイロン系〔タイプ6、タイプ66、タイプ610、タイプ11〕…等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂の添加量は、形成される蛍光印刷層の発光強度を考慮して適宜決定することができる。…
本発明の蛍光インクに含まれる蛍光染料は、励起光を照射することにより蛍光を発生する染料であればよく、…ユーロピウム-テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ社製、赤橙色)等を挙げることができる。」

摘記4c:段落0032
「本発明の蛍光インクを用いてインクジェット印刷を行うと、基材の色にかかわらず、高い蛍光強度で発光する蛍光印刷層を形成することができる。その結果、蛍光インクにより印刷された情報の読み取り精度が向上する。また、本発明の蛍光インクを用いると、蛍光印刷層が薄くても十分な蛍光強度が得られるため、低粘度のインクを使用するインクジェット方式により印刷した場合でも高い蛍光強度が得られ、印刷された情報の読み取り精度が高い。」

(5)周知例A(特開平9-241628号公報)
周知例Aには、次の記載がある。

摘記A1:段落0049?0051
「下記化学式で示されるユーロピウム錯体すなわちユーロピウム・トリス(テノイルトリフルオロアセトネート)(E1)




(6)周知例B(特開平8-239609号公報)
周知例Bには、次の記載がある。

摘記B1:段落0011
「バインダー成分は蛍光材料を良好に定着させるためのものであり、…ポリビニルピロリドン、…水溶性ないし水分散性のアクリル系、…ポリアミド系、…等の樹脂が用いられる。」

(7)周知例C(特開平9-249877号公報)
周知例Cには、次の記載がある。

摘記C1:段落0002
「赤外蛍光体は、赤外線励起で赤外線を発光することから可視域での光学特性には影響されず、記録された情報の上が汚れていても正確に情報を読み取ることができる。」

摘記C2:段落0009
「本発明に用いる赤外蛍光体としてバインダーを添加すると更に蛍光体の定着性と分散性を高める上で効果がある。バインダーは…ナイロン樹脂…などが挙げられる。」

(8)周知例D(特表平9-507521号公報)
周知例Dには、次の記載がある。

摘記D1:請求項2
「前記バインダーはポリアミドである請求項1に記載のインク。」

摘記D2:第4頁第22?23行
「インクジェットインクは、着色剤、液体ビヒクルとポリマーを含んでいる。基質へのポリマーの接着力」

摘記D3:第7頁下から13?1行
「本発明者らは、乾燥時間や接着に含まれる因子について詳細に研究した。…かかるバインダーは、ポリアミドが好ましい。バインダーはエタノールまたはIMSに溶解することが好ましい。」

4.刊行物2に記載された発明
摘記2aの「本発明は、インクキャリヤ、蛍光着色剤及び…バインダー樹脂を含むジェットインク組成物を提供する。」との記載、摘記2aの「キャリヤは、組成物の…好ましくは約80?約97重量%の量」との記載、摘記2bの「ユーロピウムのアセチルアセトン酸塩は赤領域の放射線で蛍光発光し…好適顔料でありアセトン酸ユーロピウムの誘導体であるRed CD 331は、発光ピーク612nm…の黄色粉末である。」との記載、摘記2cの「着色剤は、ジェットインク組成物の好ましくは約0.1?2重量%の量…で用いられる。」との記載、摘記2dの「バインダー樹脂は、インク組成物の好ましくは約1?約15重量%」との記載、並びに摘記2e及び2fの具体例において、インクキャリヤとして「エタノール」が、蛍光着色剤として「Red CD 331」が、バインダーとして「ポリビニルピロリドン」ないし「アクリル樹脂」が用いられていることからみて、刊行物2には、
『インクキャリヤとしてエタノールを約80?約97重量%、蛍光着色剤としてユーロピウムのアセチルアセトン酸塩(具体例では、発光ピーク612nmの黄色粉末である「Red CD 331」という製品名のアセトン酸ユーロピウムの誘導体)を約0.1?2重量%、バインダー樹脂としてポリビニルピロリドンないしアクリル樹脂を約1?約15重量%の量で含むジェットインク組成物。』についての発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

5.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「インクキャリヤとしてエタノールを約80?約97重量%」は、エタノールがアルコール系溶剤の一種であることから、本願発明の「溶剤としてアルコール系溶剤を80重量%以上含有する」に相当し、
引用発明の「蛍光着色剤…を約0.1?2重量%」は、本願発明の「蛍光材料の含有量が0.01?0.5重量%」に相当し、
引用発明の「バインダー樹脂…を約1?約15重量%の量で含む」は、本願発明の「バインダー…を0.5?10重量%」に相当し、
引用発明の「ジェットインク組成物」は、本願発明の「ジェット印刷用インク組成物」に相当する。

してみると、本願発明と引用発明は、『蛍光材料の含有量が0.1?0.5重量%であり、バインダーを1?10重量%、溶剤としてアルコール系溶剤を80?97重量%含有するジェット印刷用インク組成物。』に関するものである点において一致し、
(α)蛍光材料の種類が、本願発明においては、本願請求項1に記載された化1の式で示される蛍光材料であるのに対して、引用発明においては、「ユーロピウムのアセチルアセトン酸塩」ないし「Red CD 331」という製品名の蛍光材料であって、その具体的な化学構造が明らかにされていない点、
(β)バインダーの種類が、本願発明においては、「ポリアミド系樹脂」であるのに対して、引用発明においては、「ポリビニルピロリドン」ないし「アクリル樹脂」である点、
の2つの点において相違している。

そこで、上記相違点について検討する。

上記(α)の点について、摘記1bの「着色剤として使用するユーロピウム-テノイルトリフルオロアセトンキレート蛍光体(以下Eu-TTA蛍光体という。)は淡黄色の物質で可視光線下では不可視であるが、紫外線照射下で赤橙色(主波長スペクトル613nm)に発光する物質である。」との記載における「Eu-TTA」は、本願請求項1に記載された化1の式で示される化合物と同一の化学構造を有する蛍光材料であって、その化学構造も、例えば、周知例Aに記載されるように周知である(摘記A1)。
そして、引用発明の「Red CD 331」は、摘記2bの「アセトン酸ユーロピウムの誘導体であるRed CD 331は、発光ピーク612nm…の黄色粉末である。」との記載からみて、主波長スペクトル613nmの淡黄色の物質である「Eu-TTA」と同一の性状を示している「アセトン酸ユーロピウムの誘導体」であると解されるから、本願請求項1に記載された化1の式で示される蛍光材料と同一の物質である蓋然性が高い。
そうしてみると、この点について両者に実質的な差異は認められない。
また、仮に本願発明と引用発明の蛍光材料が相違するとしても、引用文献4には、可視印刷層の上に必要な情報を記録する手段として有用な蛍光印刷層に(摘記4a)、当該「Eu-TTA」を用いること(摘記4b)が記載されており、引用文献3には、墨等により着色されている被印刷体表面における蛍光発光強度の課題に対して(摘記3a)、当該「Eu-TTA」が代表的な蛍光染料となり得ること(摘記3b)が記載されているところ、墨等による可視印刷層が形成された表面に適用されるジェット印刷用インク組成物の蛍光材料として「Eu-TTA」を用いることは、ジェット印刷用インク組成物の技術分野において周知慣用のことと認められる。
そうしてみると、引用発明の「ユーロピウムのアセチルアセトン酸塩」の蛍光着色剤として、引用文献1及び3?4に記載されている周知慣用の「Eu-TTA」を採用することは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲内である。

次に、上記(β)の点について、引用文献4には、基材が可視印刷層を有する場合に高い蛍光強度が必要とされることを前提に(摘記4a)、その蛍光インクのビヒクルとして、ポリビニルピロリドンに加えて、ナイロン系の樹脂、即ち、ポリアミド系の樹脂を用いること(摘記4b)が記載されている。
また、周知例Bの「バインダー成分は蛍光材料を良好に定着させるため…ポリアミド系」との記載(摘記B1)、周知例Cの「蛍光体の定着性と分散性を高める…バインダーは…ナイロン樹脂」との記載(摘記C2)、インクジェットインクは、基質へのポリマーの接着力や乾燥時間の特性から、IMS(註:工業用変性アルコール)に可溶性のポリアミドが特に好ましい旨の周知例Dの記載(摘記D1?D3)からみて、ジェット印刷用インク組成物のバインダーとしてポリアミド系樹脂を用いることは、ジェット印刷用インク組成物の技術分野において周知慣用のことと認められる。
そうしてみると、引用発明の「バインダー樹脂」として、引用文献4にも記載され、なおかつ、ジェット印刷用インク組成物の技術分野において周知慣用となっている「ポリアミド系樹脂」を、引用発明のバインダー樹脂として採用することは、当業者にとって通常の創作能力の発揮の範囲内である。

そして、本願発明の効果について検討するに、本願明細書の段落0024の表1の比較実験データでは、ポリアミド樹脂Dを用いた「実施例1」の結果も、アクリル樹脂Cを用いた「参考例2」の結果も、その「墨の上での発光強度試験」が「大」という同等の評価になっているから、引用発明の「ポリビニルピロリドン」ないし「アクリル樹脂」に代えて、本願発明の「ポリアミド系樹脂」を採用することによって、当業者にとって格別予想外の顕著な効果が得られたとは認められない。
また、本願明細書の表1の比較例1?2の結果は、溶剤に含まれるアルコールの割合が低い場合の比較例であるところ、比較例2の結果は、溶剤の内容の違いに起因しているのか、蛍光染料の種類の違いに起因しているのか明確ではなく、いずれにせよ、墨等による可視印刷層が形成された表面に適用されるジェット印刷用インク組成物の蛍光材料として「Eu-TTA」が好ましいことは周知なので、蛍光材料として「Eu-TTA」を採用したことの効果が、当業者にとって格別予想外の効果であるとは認められない。

6.審判請求人の主張について
平成22年11月9日付けの意見書における、審判請求人の主張について検討するに、
当該意見書の『刊行物2の蛍光材料のアセトン酸ユーロピウムの誘導体の含有量は0.8重量%であり、本願発明の…範囲外のもの』との主張については、摘記2cの「着色剤は…約0.1ないし2重量%の量」との記載からみて、これを採用できず、
当該意見書の『刊行物2のバインダーはアクリル樹脂であるのに対して、本願発明の…バインダーはポリアミド系樹脂である』との主張についても、バインダーとして「ポリアミド系樹脂」のものは周知であって、先の拒絶理由の通知においても指摘した『バインダーの種類を選択することによって格別予想外の顕著な効果が得られる』ことが、本願明細書の比較実験データ等によって裏付けられているものでもないから、当該主張を採用できず、
当該意見書の『Eu-TAA蛍光体(註:Eu-TTA蛍光体の誤記と思われる。)が記載されたに過ぎない刊行物2、…及びナイロン系の記載はあるものの刊行物1のインク組成を否定的に扱っている刊行物4に記載された上記事項を組み合わせる動機付け又は誘因はなく』という旨の主張についても、刊行物2及び4は両者ともに「蛍光材料を用いたジェット印刷用インク組成物」に関するものであって、その組み合わせを想到し得ない格別の事情は見当たらないから、当該主張も採用できない。

7.まとめ
以上総括するに、本願発明は、刊行物1?4に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-04 
結審通知日 2011-01-05 
審決日 2011-01-19 
出願番号 特願平10-332892
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C09D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 桜田 政美  
特許庁審判長 中田 とし子
特許庁審判官 井上 千弥子
木村 敏康
発明の名称 ジェット印刷用インク組成物  
代理人 山下 穣平  
代理人 永井 道雄  

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