• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1233608
審判番号 不服2009-9289  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-30 
確定日 2011-03-10 
事件の表示 特願2002- 77983「アライメント方法及びアライメント装置」拒絶査定不服審判事件〔平成15年10月 3日出願公開、特開2003-282392〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年3月20日の出願であって、平成20年1月10日付けで通知された拒絶理由に対し、同年3月13日に意見書が提出されたが、平成21年3月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年4月30日付けで審判請求がされるとともに、同年5月29日付けで手続補正がなされ、その後、当審から送付した審尋に対し、平成22年10月4日付けで回答書が提出されたものである。

2.平成21年5月29日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成21年5月29日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正事項
平成21年5月29日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲は、出願時の明細書に記載された、

「【請求項1】 ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成された第1のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなる基準アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記基準アライメントマークと前記第1のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1のアライメントマークの位置の検出誤差を求める工程と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1のアライメントマークの位置情報を補正する工程と
を有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項2】 ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成された第1及び第2のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなる基準アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記基準アライメントマークと前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出誤差を求める工程と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1及び第2のアライメントマークの位置情報を補正する工程と
を有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項3】 請求項1又は2記載のアライメント方法において、
前記基準アライメントマークの位置を検出する前に、前記基準アライメントマーク上に形成されている金属膜を除去する工程を更に有する
ことを特徴とするアライメント方法。
【請求項4】 ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成された第1のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなる基準アライメントマークの位置を検出する位置検出手段と、
前記基準アライメントマークと前記第1のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1のアライメントマークの位置の検出誤差を求める検出誤差計測手段と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1のアライメントマークの位置情報を補正する位置情報補正手段と
を有することを特徴とするアライメント装置。
【請求項5】 ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成された第1及び第2のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなる基準アライメントマークの位置を検出する位置検出手段と、
前記基準アライメントマークと前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出誤差を計測する検出誤差計測手段と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1及び第2のアライメントマークの位置情報を補正する位置情報補正手段と
を有することを特徴とするアライメント装置。」

から、

「【請求項1】
ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成され、前記ウェーハの中心に対して左右対称に位置する第1及び第2のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなり、前記ウェーハ外周部近傍に位置する基準アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記基準アライメントマークと前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出誤差を求める工程と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1及び第2のアライメントマークの位置情報を補正する工程と
を有することを特徴とするアライメント方法。
【請求項2】
請求項1記載のアライメント方法において、
前記基準アライメントマークの位置を検出する前に、前記基準アライメントマーク上に形成されている金属膜を除去する工程を更に有する
ことを特徴とするアライメント方法。
【請求項3】
ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成され、前記ウェーハの中心に対して左右対称に位置する第1及び第2のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなり、前記ウェーハ外周部近傍に位置する基準アライメントマークの位置を検出する位置検出手段と、
前記基準アライメントマークと前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出誤差を計測する検出誤差計測手段と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1及び第2のアライメントマークの位置情報を補正する位置情報補正手段と
を有することを特徴とするアライメント装置。」

に補正された。

(2)補正の適否について
上記補正は、補正前の請求項1を削除して、補正前の請求項2,3をそれぞれ補正後の請求項1,2とし、補正後の請求項1に記載した発明を特定するための事項である「第1及び第2のアライメントマーク」に対して、「ウェーハの中心に対して左右対称に位置する」という限定を付加し、同じく補正後の請求項1に記載した発明を特定するための事項である「基準アライメントマーク」に対して、「ウェーハ外周部近傍に位置する」という限定を付加するものである。
また、補正前の請求項4を削除して、補正前の請求項5を補正後の請求項3とし、補正後の請求項1と同様の限定を付加したものである。
ここで、上記補正事項のうち、「ウェーハ外周部近傍に位置する」という事項を付加する補正については、願書に最初に添付された明細書の段落【0044】の「このように、ウェーハ52には、アルミニウム膜が除去されたウェーハ52の外周近傍と、各ショット内にアライメントマークが左右対称に形成されている。」の記載から、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された事項であって、発明の限定的減縮を目的としたものであることは明らかである。
次に、「第1及び第2のアライメントマーク」に対して、「ウェーハの中心に対して左右対称に位置する」という限定を付加する補正について以下に検討する。
かかる補正事項を含む補正後の請求項1には「ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成され、前記ウェーハの中心に対して左右対称に位置する第1及び第2のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなり、前記ウェーハ外周部近傍に位置する基準アライメントマークの位置を検出する工程」と記載されている。
これに対して、これに関する明細書の発明の詳細な説明及び図面には、段落【0045】及び【0046】に以下の記載がある。
「【0045】ウェーハ倍率の計測では、まず、例えば左側の外周近傍のB_(1)と左側ショット内のA_(1)との間の距離S_(S)を計測する。すなわち、B_(1)を基準とした左側ショット内のA_(1)の座標を計測する。このとき計測されるS_(S)は、A_(1)がアルミニウム膜に非対称に被覆されたことにより、B_(1)とA_(1)との間の真の距離S_(s)に誤差を含んだものとして計測される。したがって、S_(S)は、線形誤差及び非線形誤差を考慮すると、S_(s)を用いて次式で表される。
【0046】S_(S)=αSs-Δe
次いで、同様に、B_(1)と右側ショット内のA_(4)との間の距離S_(L)を計測する。すなわち、B_(1)を基準とした左側ショット内のA_(4)の座標を計測する。このとき計測されるS_(L)は、A_(4)がアルミニウム膜に非対称に被覆されたことにより、B_(1)とA_(4)との間の真の距離S_(l)に誤差を含んだものとして計測される。したがって、S_(L)は、線形誤差及び非線形誤差を考慮すると、S_(l)を用いて次式で表される。」
これらの記載から、請求項1に記載された「基準アライメントマーク」、「第1のアライメントマーク」、「第2のアライメントマーク」に対応するのは、「B_(1)」、「A_(1)」、「A_(4)」であることが明らかである。
しかしながら、願書に最初に添付された図面の図4等を参酌しても、アライメントマークA_(1)とA_(4)は、ウェーハの中心に対して左右対称に位置したものではない。
補正後の請求項3に対する補正についても同様である。
してみると、補正後の請求項1及び請求項3に記載された発明は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内ではないものを含むこととなる。

(3)補正の却下の決定についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明
平成21年5月29日付けの手続補正は上述のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願時の明細書に記載された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。

「【請求項1】 ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成された第1のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなる基準アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記基準アライメントマークと前記第1のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1のアライメントマークの位置の検出誤差を求める工程と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1のアライメントマークの位置情報を補正する工程と
を有することを特徴とするアライメント方法。」

(2)引用刊行物
(2-1)引用刊行物1
これに対して、本願の出願前に頒布された特開2001-250763号公報(原査定の引用文献2、以下「引用刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(1a)「【0020】レチクルブラインド9を通過した照明光ILは、第2リレーレンズ8B、及びコンデンサレンズ10を経て、レチクルステージ11上に載置されたレチクルR上を均一な照度分布で照明する。照明光ILによってレチクルRが照明されると、レチクルRに形成されたパターンの像が投影光学系PLを介すことによって投影倍率α(αは例えば1/4,1/5等)で縮小され、この縮小されたパターンの像が、フォトレジストが塗布されたウェハWに設定されたショット領域に転写される。ウェハWは、例えばシリコン又はSOI(Silicon On Insulator)等のウェハ(wafer)である。尚、ここでウェハWの表面には金属膜が成膜されているものとし、この金属膜上にはフォトレジストが塗布されているとする。
【0021】投影光学系PLの側方にはオフアクシス方式のアライメントセンサ12が備えられている。このアライメントセンサ12は、ウェハ上に形成されたアライメントマークを検出するものであり、検出結果は後述する主制御装置30に出力される。主制御装置30はこの検出結果に対して演算処理を施して、ウェハW上に形成されたアライメントマークの位置情報を計測し、この計測情報に基づいてウェハWの位置を制御する。尚、図1において、12aはアライメントセンサ12の照明光を発生するハロゲンランプである。」
(1b)図9は以下のとおりである。

【図9】


図9の記載から、アライメントマークは段差部によりなることが示されているから、これを踏まえると、引用刊行物1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「ウェハ上に形成された段差部よりなり、ウェハの表面には金属膜が成膜されたアライメントマークを検出する工程を有する方法。」

(2-2)引用刊行物2
同じく本願の出願前に頒布された特開平7-273018号公報(原査定の引用文献1、以下「引用刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(2a)「【0012】図2に示すように、アライメントの対象となるウエハ1には、オリフラ1aを基準として所定の方向に配置された複数のアライメントマーク10が設けられている。また、ウエハ1の表面には、ステッパによる露光のためのレジスト2が塗布されている。このようなウエハ1のアライメントを行うには、先ず、図1のステップ1aに示すように、所定のレジスト2を除去する処理を行う。」

(2b)「【0025】次に、図7の斜視図に基づきエッジリンスにおけるレジスト除去の例を説明する。すなわち、一般のレジストコーティングにおいては、レジスト2のスピンコーティングを行ってウエハ1の全面にレジスト2を一様に塗布した後、不要となるウエハ1のエッジ部分のレジスト2をエッジリンスによって除去している。
【0026】エッジリンスを行うには、レジスト2が一様に塗布されたウエハ1を回転させ、ウエハ1の外周近傍に配置したノズル7からリンス液71を吐出する。リンス液71は遠心力によってノズル7の位置より外側に広がって塗布され、このリンス液71が接触した部分のレジスト2を溶解除去することができる。
【0027】本実施例では、このエッジリンスの際に除去されたレジスト2の部分に配置されるアライメントマーク10を用いてウエハ1のアライメントを行う。すなわち、予めエッジリンスを行う位置に複数のアライメントマーク10を配置されるように設定しておき、エッジリンスにてウエハ1のエッジ部分のレジスト2を除去した後、除去されたレジスト2の位置のアライメントマーク10からの反射光を図示しない受光装置にて読み取る。
【0028】ウエハ1のアライメントを行うには、この読み取り信号に基づいて所定の統計処理アライメントを行う。このようなエッジリンスを用いてアライメントマーク10部分のレジスト2を除去する場合には、特に新たな工程を追加することなくアライメントマーク10部分のレジスト除去作業を行えるというメリットがある。
【0029】次に、図8から図9に基づき、エッジリンスにてレジスト2を除去した場合の統計処理アライメントを説明する。すなわち、エッジリンスにてレジスト2を除去する場合には、ウエハ1の周辺部分のレジスト2だけしか除去できないため、その周辺部分に配置されたアライメントマーク10だけを用いたアライメントを行うようになる。
【0030】図8(a)は理想的なアライメントを示したものであり、図中○印がエッジリンスにて除去されたレジスト2の位置に配置されるアライメントマーク10a、図中△印がレジスト2が除去されない位置に配置されるアライメントマーク10bの位置をそれぞれ示している。なお、各アライメントマーク10a、10bはステッパにおける露光ショット30の中央に配置されているものとする。この各アライメントマーク10a、10bの中心を結ぶ線が計算上の理想格子21となり、アライメントにおける基準の線となる。
【0031】図8(b)はアライメントマーク10a、10bからの反射光を読み取った後の格子の状態を示している。すなわち、図7に示すようにエッジリンスを行った後、先ずウエハ1の全てのアライメントマーク10からの反射光を読み取る。エッジリンスによりレジスト2が除去された位置にあるアライメントマーク10aからの反射光は、レジスト2による光学干渉の影響を受けないため、図3(b)に示すような左右対称の読み取り信号となる。一方、レジスト2が除去されていない位置にあるアライメントマーク10bからの反射光は、レジスト2による光学干渉の影響を受けるため左右非対称の読み取り信号となる。
【0032】このため、図8(b)に示すように、レジスト2が除去された位置にあるアライメントマーク10aからの反射光によって得られた位置情報は、理想格子21に近くなり(実際には図中○印に示すように理想格子21に対する計測誤差を含んでいる)、レジスト2が塗布された位置にあるアライメントマーク10bからの反射光によって得られる位置情報は、理想格子21から離れたものとなる。そこで、先ず、レジスト2が除去された位置にあるアライメントマーク10aを用いて第1の実際の格子22を求め、レジスト2が塗布された位置にあるアライメントマーク10bを用いて第2の実際の格子23を求める。
【0033】図8(b)に示すように、第2の実際の格子23は、第1の実際の格子22に比べて歪みの大きなものとなる。次に、図9に示すように、第1の実際の格子22と第2の実際の格子23とを用いて所定の補正を行う。すなわち、補正前において図8(b)に示す理想格子21を取り除き(図9(a)参照)、第1の実際の格子22に合わせて第2の実際の格子23を1次変換する補正を行う(図9(b)参照)。第1の実際の格子22は、ウエハ1の位置ずれ量を表す基準となっているため、この第1の実際の格子22に合わせて第2の実際の格子23を1次変換することでレジスト2が除去されていないアライメントマーク10bであってもその位置情報の誤差を最少にすることができる。
【0034】つまり、ウエハ1の周辺部分のアライメントマーク10からの反射光を得るだけでウエハ1上の全てのアライメントマーク10の正確な位置情報を得ることができる。ステッパにおいては、この全アライメントマーク10を用いて各ステップ毎のアライメントを行うことで、全ショットにおいて正確な位置合わせがなされるようになる。特に、ウエハ1の周辺部分のレジスト2では、レジストコーティング時のレジスト2の流速が速いためレジストプロファイルの影響が大きくなる。
【0035】本実施例では、この影響の大きなウエハ1の周辺部分のレジスト2を除去し、そこに配置されたアライメントマーク10を用いてウエハ1のアライメントを行うため、レジスト2を除去しないでアライメントを行う場合と比べて大幅に位置ずれ算出精度が向上することになる。」

(2c)図2,図8,図9は以下のとおりである。

【図2】


【図8】


【図9】


以上のことから、引用刊行物2には以下の事項(以下「引用刊行物2に記載の事項」という。)が記載されているものと認められる。

「ウエハ上に設けられたアライメントマークからの反射光を読み取り、レジストが除去されたアライメントマークを用いて第1の実際の格子を求め、レジストが塗布された位置にあるアライメントマークを用いて第2の実際の格子を求め、ウエハの位置ずれ量を表す基準となっている第1の実際の格子に合わせて、第2の実際の格子を1次変換することで、レジストが除去されていないアライメントマークの位置合わせを行うアライメント方法。」

(2-3)周知例1
同じく本願の出願前に頒布された特開平8-64493号公報(以下「周知例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(3a)「【0005】しかし、上記のアライメントマーク検出方法においては次の問題点がある。例えば、図3(a)に示すようにスパッタ法等により、半導体基板111上の酸化膜112表面上に金属膜114が形成された後に、位置合わせのためのアライメントマーク113の検出を行う場合、スパッタ時のスパッタ粒子の飛散角度の等の条件の違いにより、アライメントマークエッジ部の両端で形成される金属膜114の膜厚や金属膜表面の傾斜角度等が異なってくる。」

(3b)【0007】このため図3(b)に示したアライメント信号より、アライメントマーク113の中心位置を求めると、本来の中心位置γよりアライメント信号の強度が最も低いピークが急峻な方へずれた位置δとなって検出される。このためアライメントマークの中心位置の検出には誤差115がδ-γの距離だけ生じてしまい、後に行われる工程に対して影響を与える結果となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来のアライメントマークの検出方法においては、アラーメントマーク上の金属膜やフォトレジスの成膜状態によって、アライメントマークのエッジ部において、本来左右で対称となるアライメント信号の傾きの変化に誤差が生じ、左右非対称となって検出される。この結果、アライメントマークの中心位置の検出において誤差が生じ、後の工程に影響を与えるという問題点がある。本発明においては、上記の問題点を踏まえ、アライメントマークのエッジ部において金属膜やフォトレジストの成膜状態が左右非対称となっているために、アライメント信号が左右非対称となって検出された場合においても、これらの影響を少なく、高精度でアライメントマークの中心位置の検出を行う事を目的とする。」

(2-4)周知例2
同じく本願の出願前に頒布された特開平5-226219号公報(以下「周知例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付与)。

(4a)「【0006】
【発明が解決しようとする課題】図5及び図6は問題点を説明するための半導体基板の部分断面図である。上述した位置合せ方法では、アライメントマークの形成に際しては種々の問題がある。例えば、図5(a)に示すようなパターン形成後のマークの段差部が図5(b)に示すようにアルミニウムスパッタリングの被着によりその形状が崩れ、この金属層42におけるレーザ光の回折、散乱光が十分検出されず位置合せ精度が極端に悪化する。すなわち、スパッタリングに形成されるアルミニウム膜はカバレッジが悪く、ウェーハ周辺ほどカバレッジが非対称になりやすいため、伸縮補正に誤差が引き起し易い。また、アルミのグレインや表面荒れなども位置合せ精度に悪影響を及ぼすため、シリコン酸化膜で形成したアライメントマークに比べその上にアルミニウムを被着した場合は位置合せばらつきが2倍以上に悪化する。さらに、図6に示すように、酸化膜状に形成されたアライメントマークにフォトレジスト膜45を形成した場合も同様に突出部43の段差部がなだらかになり、段差部の境界が検出にくく、位置決め精度を悪化させる。」

(3)対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「ウェハ」が、本願発明の「ウェーハ」に相当する。また、引用発明におけるアライメントマークの検出は、アライメントマークを設ける目的等を考慮すると、その位置を検出しており、さらに、引用発明の「方法」はその内容からして、本願発明の「アライメント方法」に相当するといえる。

してみると両者は、
「ウェーハ上に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成されたアライメントマークの位置を検出する工程を有するアライメント方法。」
の点で一致し、

以下の点で相違している。
・相違点1
本願発明では、段差部をウェーハ上の絶縁膜に形成されているのに対し、引用発明では、ウェーハ上に絶縁膜を設けることに関する記載はなく、段差部をウェーハ上に直接設けている点。

・相違点2
本願発明では、アライメントマークとして、段差部の上に金属膜が形成された第1のアライメントマークと、ウェーハ上の絶縁膜に形成され、その上に金属膜が形成されていない段差部よりなる基準アライメントマークを設け、両者の位置を検出する工程を有し、基準アライメントマークと第1のアライメントマークの位置の検出結果から、第1のアライメントマークの位置の検出誤差を求める工程と、前記検出誤差を考慮して、ウェーハのアライメントに用いる第1のアライメントマークの位置情報を補正する工程を有するのに対し、引用発明では、アライメントマークとして段差部の上に金属膜が形成された単一のアライメントマークの位置を検出して補正を行っている点。

上記相違点について検討する。

・相違点1について
ウェーハ上に絶縁膜を設け、かかる絶縁膜上に段差部を設けてアライメントマークとすることは、周知(必要であれば、上記周知例1の段落【0005】の、半導体基板上に、絶縁膜である酸化膜を形成して段差部を設けることの記載を参照)であり、引用発明において、ウェーハ上にアライメントマークを設けることに代えて、ウェーハ上に絶縁膜を設けた上で、かかる絶縁膜上に段差部を設けてアライメントマークとすることは、当業者が適宜容易になし得ることである。

・相違点2について
半導体基板のウェハにおいて、レジストの成膜状態や、金属膜の状態によって、アライメントマークに非対称の誤差が生じることは、周知(必要であれば、上記周知例1の段落【0007】,【0008】、周知例2の段落【0006】等参照)である。
ここで、引用刊行物2に記載の事項における、「レジストが除去されたアライメントマーク」、「レジストが塗布された位置にあるアライメントマーク」は、それぞれ本願発明の「基準アライメントマーク」、「第1のアライメントマーク」に相当する。
上記技術が周知であることを前提にして、引用刊行物2に記載の事項に接した当業者であれば、レジストの成膜状態と同じように、引用発明における金属膜の状態によってもアライメントマークの誤差が生じることを認識し、引用刊行物2に記載されている方法を用いた補正方法を適用することを想到することに、格別の困難性は認められない。

効果の点についても、本願発明の効果は、引用発明、引用刊行物2に記載の事項及び周知技術から、当業者が予測しうる程度のものにすぎない。

したがって、本願発明は、引用刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。

(4)補正案について
審判請求人は、審尋に対する回答書の中で、前置報告書の指摘に対応するために、以下の補正案を提示している。

「[請求項1]
ウェーハ上の絶縁膜に形成された段差部よりなり、その上に金属膜が形成され、前記ウェーハの中心に対して左右対称のショット内の対応する位置に設けられた第1及び第2のアライメントマークの位置を検出し、前記ウェーハ上の前記絶縁膜に形成され、その上に前記金属膜が形成されていない段差部よりなり、前記ウェーハ外周部近傍に位置する基準アライメントマークの位置を検出する工程と、
前記基準アライメントマークと前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出結果から前記第1及び第2のアライメントマークの位置の検出誤差を求める工程と、
前記検出誤差を考慮して、前記ウェーハのアライメントに用いる前記第1及び第2のアライメントマークの位置情報を補正する工程と
を有することを特徴とするアライメント方法。 」

上記補正案について検討すると、引用刊行物1においても、レジストが除去されていないアライメントマークは複数存在し、図8を参照すると、ウェハの中心に対して左右対称のショットの対応する位置にもレジストが除去されていないアライメントマークが存在しているものと認められるから、上記補正案についても、本願発明と同様、引用刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用刊行物1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-04 
結審通知日 2011-01-11 
審決日 2011-01-25 
出願番号 特願2002-77983(P2002-77983)
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 木村 史郎
特許庁審判官 一宮 誠
柏崎 康司
発明の名称 アライメント方法及びアライメント装置  
代理人 北野 好人  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ