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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01Q
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01Q
管理番号 1233760
審判番号 不服2008-29109  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-11-14 
確定日 2011-03-09 
事件の表示 特願2000-300954「アンテナ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月12日出願公開、特開2002-111356〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成12年9月29日の出願であって,平成20年10月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成20年11月14日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,平成22年5月11日付けの審尋について回答がなかったものである。

第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成20年11月14日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本願発明と補正後の発明
上記手続補正(以下,「本件補正」という。)は,平成20年9月19日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「高周波信号を受信するアンテナ素子と,
前記アンテナ素子に接続され,低雑音増幅回路が配設された低雑音増幅回路基板と,
低雑音増幅回路基板を電磁的に遮蔽するシールドケースと,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとが一体とされた状態で収納されるトップカバー及びボトムカバーを有する筐体と,を備えるアンテナ装置であって,
前記ボトムカバーは,前記筐体に収納された前記シールドケースの底面と対向する面に穿設された貫通孔を有し,
前記シールドケースは,前記ボトムカバーと対向する底面であって,前記貫通孔に対応する位置に穿設されたバーリングタップを有し,
前記ボトムカバーの底面側から前記筐体の内部に向かって前記ボトムカバーの貫通孔を貫通して前記シールドケースの前記バーリングタップにネジが螺入され,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとを前記筐体内部の前記ボトムカバー上に固定されることを特徴とするアンテナ装置。」という発明(以下,「本願発明」という。)を,
「高周波信号を受信するアンテナ素子と,
前記アンテナ素子に接続され,低雑音増幅回路が配設された低雑音増幅回路基板と,
低雑音増幅回路基板を電磁的に遮蔽するシールドケースと,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとが一体とされた状態で収納されるトップカバー及びボトムカバーを有する筐体と,を備えるアンテナ装置であって,
前記ボトムカバーは,前記筐体に収納された前記シールドケースの底面と対向する面に穿設された貫通孔を有し,
前記シールドケースは,前記ボトムカバーと対向する底面であって,前記貫通孔に対応し,かつ前記シールドケースの中央部付近の位置に穿設されたバーリングタップを有し,
前記ボトムカバーの底面側から前記筐体の内部に向かって前記ボトムカバーの貫通孔を貫通して前記シールドケースの前記バーリングタップにネジが螺入され,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとを前記筐体内部の前記ボトムカバー上に固定されることを特徴とするアンテナ装置。」という発明(以下,「補正後の発明」という。)に補正することを含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無,補正の目的要件
本件補正は,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において,補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記貫通孔に対応する位置」を「前記貫通孔に対応し,かつ前記シールドケースの中央部付近の位置」と限定することにより,特許請求の範囲を減縮するものであるから,特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成18年法律第55号改正法の附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

(2)独立特許要件
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。

[補正後の発明]
上記「1.本願発明と補正後の発明」の項で「補正後の発明」として認定したとおりである。

[周知発明]
原審の拒絶理由に引用された特開平11-355037号公報(以下,「周知例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

イ.「【請求項1】電波を受信し,電気信号に変換するアンテナユニットにおいて,
前記電波のうち,左旋円偏波を受信する第1のアンテナ素子と,
前記電波のうち,右旋円偏波を受信する第2のアンテナ素子とを有し,
前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とを同一のケース内に一体的に配設することを特徴とするアンテナユニット。
【請求項2】前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子を共に平面アンテナ構造とすることを特徴とする請求項1記載のアンテナユニット。
【請求項3】前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とを同一アンテナ素子基板上に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のアンテナユニット。
【請求項4】前記第1のアンテナ素子により受信される左旋円偏波を増幅する第1の低雑音増幅回路と,
前記第2のアンテナ素子により受信される右旋円偏波を増幅する第2の低雑音増幅回路と,
前記第1の低雑音増幅回路からの出力信号又は前記第2の低雑音回路からの出力信号のどちらか1つを選択して出力する切換回路とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載のアンテナユニット。
【請求項5】前記第1の低雑音増幅回路と,前記第2の低雑音増幅回路と,前記切換回路とを同一基板上に搭載することを特徴とする請求項4記載のアンテナユニット。
【請求項6】前記基板は,一方の面に前記第1の低雑音増幅回路と,前記第2の低雑音回路と,前記切換回路とを搭載され,前記基板の前記第1の低雑音増幅回路と,前記第2の低雑音回路と,前記切換回路とを搭載された面をシールドするシールドケースを有することを特徴とする請求項5記載のアンテナユニット。」(2頁1欄2?35行)

ロ.「【0016】図2は,本発明のアンテナユニットの一実施例の横断面図,図3は,本発明のアンテナユニットの一実施例の縦断面図,図4は,本発明のアンテナユニットの一実施例の分解縦断面図を示す。本実施例のアンテナユニット10は,衛星放送波を受信する平面アンテナ素子20,21,平面アンテナ素子20の右旋円偏波受信用アンテナ素子22で受信した衛星放送信号の右旋円偏波信号と平面アンテナ素子21の左旋円偏波受信用アンテナ素子23で受信した衛星放送信号の左旋円偏波信号とを増幅し,選択して出力する回路が搭載された回路基板28,回路基板28をシールドするシールドケース30,平面アンテナ素子20,21と回路基板28とを一体的に収容するケース40,アンテナユニット10を受信ユニット11に接続するケーブル50から構成される。
【0017】平面アンテナ素子20は,右旋円偏波受信用アンテナ素子22を一体に形成されている。平面アンテナ素子20は,右旋円偏波受信用アンテナ素子22で受信した衛星放送波の右旋円偏波を電気信号に変換し,回路基板28に供給する。ここで,右旋円偏波受信用アンテナ素子は,特許請求の範囲の第2のアンテナ素子に対応する。
【0018】平面アンテナ素子21は,左旋円偏波受信用アンテナ素子23を一体に形成されている。平面アンテナ素子21は,左旋円偏波受信用アンテナ素子23で受信した衛星放送波の左旋円偏波を電気信号に変換し,回路基板28に供給する。ここで,左旋円偏波受信用アンテナ素子は,特許請求の範囲の第1のアンテナ素子に対応する。
【0019】回路基板28は,右旋円偏波受信用アンテナ素子22で受信され変換された衛星放送信号に増幅などの処理を行う右旋円偏波受信信号処理回路31,左旋円偏波受信用アンテナ素子23で受信され変換された衛星放送信号に増幅などの処理を行う左旋円偏波受信信号処理回路32,右旋円偏波受信信号処理回路31で処理された衛星放送信号と左旋円偏波受信信号処理回路32で処理された衛星放送信号とを選択してケーブル50に出力する出力信号切換回路33により構成される。
【0020】右旋円偏波受信用アンテナ素子22で受信され変換された衛星放送信号は,回路基板28の右旋円偏波受信信号処理回路31に供給され,右旋円偏波受信信号処理回路31で処理が行われる。左旋円偏波受信用アンテナ素子23で受信され変換された衛星放送信号は,回路基板28の左旋円偏波受信信号処理回路32に供給され,左旋円偏波受信信号処理回路32で処理が行われる。右旋円偏波受信信号処理回路31で処理された衛星放送信号と左旋円偏波受信信号処理回路32で処理された衛星放送信号とは,回路基板28の出力信号切換回路33に供給される。
【0021】出力信号切換回路33は,右旋円偏波受信信号処理回路31と左旋円偏波受信信号処理回路32とから供給された衛星放送信号のうち,選択された1つの衛星放送信号をケーブル50に出力する。回路基板28の右旋円偏波受信信号処理回路31と左旋円偏波受信信号処理回路32とは,L波帯の高周波で動作するため,ノイズ等の影響を受けないようにシールドケース30で互いに電磁シールドされている。なお,回路基板28は,電磁シールドが必要な部品を一方の面に搭載し,その面にシールドケースを被せている。」(3頁4欄23行?4頁5欄31行)

ハ.「【0026】出力信号切換回路33に相当する切換スイッチ41は,右旋円偏波受信信号処理回路31と左旋円偏波受信信号処理回路32とにより供給された衛星放送信号のうち選択して1つの衛星放送信号をケーブル50に出力する。切換スイッチ41の切換は,電子スイッチにより行う。なお,ケーブル50には,受信ユニット11側から直流電源が供給されており,回路基板28の各回路は,受信ユニット11からケーブル50を介して供給される直流電源により駆動する。平面アンテナ素子20,21,回路基板28,シールドケース30は,トップケース40aとボトムケース40bとからなるケース40に収納されている。」(4頁6欄21?32行)

また,原審の拒絶理由に引用された特開平11-346168号公報(以下,「周知例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

ニ.「【請求項1】 衛星からの放送電波を受信する第1のアンテナ素子と,
VHF帯域の地上放送電波を受信する第2のアンテナ素子とを同一のケース内に配設したことを特徴とするアンテナユニット。
【請求項2】 前記第1のアンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とを同一アンテナ素子基板上に形成したことを特徴とする請求項1記載のアンテナユニット。
【請求項3】 前記第1のアンテナ素子,及び,前記第2のアンテナ素子を共に平面アンテナ構造としたことを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナユニット。」(2頁1欄2?12行)

ホ.「【0012】図2に本発明の一実施例のアンテナユニットの横断面図,図3に本発明の一実施例のアンテナユニットの縦断面図を示す。本実施例のアンテナユニット2は,衛星放送波,及び,地上放送波を受信する平面アンテナ装置10,平面アンテナ装置10の衛星放送受信用アンテナ素子11で受信した衛星放送信号とVHF帯放送受信用アンテナ素子12で受信したVHF帯放送信号とを重畳し出力する回路が搭載された回路基板20,回路基板20をシールドするシールドケース30,平面アンテナ装置10,回路基板20を一体的に収容するケース40,アンテナユニット2を受信ユニット3に接続するケーブル50から構成される。
【0013】平面アンテナ素子10は,特許請求の範囲の第1のアンテナ素子に相当する衛星放送受信用アンテナ素子11と特許請求の範囲の第2のアンテナ素子に相当するVHF帯放送受信用アンテナ素子12とが一体に形成さている。平面アンテナ素子10は,衛星放送受信用アンテナ素子11で受信した衛星放送波を電気信号に変換し,回路基板20に供給するとともに,VHF帯放送受信用アンテナ素子12で受信したVHF帯放送波を電気信号に変換し,回路基板20に供給する。
【0014】回路基板20には,衛星放送受信用アンテナ素子11で変換された衛星放送信号に対して増幅,濾波などの処理を行う衛星放送信号処理回路部21,VHF帯放送受信用アンテナ素子12で受信したVHF帯放送信号に対して増幅,濾波などの処理を行うVHF帯放送信号処理回路部22,衛星放送信号処理回路部21で処理された衛星放送信号とVHF帯放送信号処理回路部22で処理されたVHF帯放送信号とを混合する混合回路部23が同一プリント基板上に一体に搭載されている。
【0015】衛星放送受信用アンテナ素子11で変換された衛星放送信号は,回路基板20の衛星放送信号処理回路部21に供給され,VHF帯放送受信用アンテナ素子12で変換されたVHF帯放送信号は,回路基板20のVHF帯放送信号処理回路部22にそれぞれ別々に供給される。衛星放送信号処理回路部21で処理された衛星放送信号とVHF帯放送信号処理回路部22で処理されたVHF帯放送信号とは,回路基板20の混合回路部23に供給され,混合された後,ケーブル50から出力される。
【0016】回路基板20の衛星放送信号処理回路部21,VHF帯放送信号処理回路部22,混合回路部23は,L波帯の高周波で動作するため,ノイズの影響を受け易いので,シールドケース30で互いに電磁シールドされている。ここで,平面アンテナ素子10について図面とともに詳細に説明する。図4に本発明の一実施例の平面アンテナ素子の斜視図,図5に本発明の一実施例の平面アンテナ素子の構成図を示す。図5(A)は平面アンテナ素子10の平面図,図5(B)は平面アンテナ素子10の断面図を示す。」(3頁3欄19行?4欄19行)

ヘ.「【0019】ここで,回路基板20について図面とともに詳細に説明する。図6に本発明の一実施例の回路基板のブロック構成図を示す。回路基板20の衛星放送信号処理回路部21は,主としてブースタ24から構成され,平面アンテナ素子10の衛星放送受信用アンテナ素子11から接続ピン17を介して供給された衛星放送信号をブーストして出力する。回路基板20のVHF帯放送信号処理回路部22は,主としてLNA(Low Noise Amplifier )25から構成され,平面アンテナ素子10のVHF帯放送受信用アンテナ素子12から接続ピン19を介して供給されたVHF帯放送信号を低雑音増幅して出力する。」(3頁4欄38?49行)

また,原審の拒絶理由に引用された特開2000-137067号公報(以下,「周知例3」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

ト.「【請求項1】 磁気により吸着可能な磁気吸着手段と,人工衛星から発信されるGPS用の電波を受信するアンテナをその内部に収納すると共に上記磁気吸着手段を係着する収納手段と,を備えるGPS受信装置において,
収納手段に,直径方向に突出する突起をその外面側に有する開口部を備え,その開口部に,磁気吸着手段が填め込まれて固定されていることを特徴とするGPS受信装置。
【請求項2】 磁気吸着手段が,防水性を有する柔軟性シートと圧接していると共に,その柔軟性シートが,アンテナと圧接していることを特徴とする請求項1記載のGPS受信装置。
【請求項3】 磁気吸着手段が,アンテナを支持する鉄製のシールドケースと接して設けられていることを特徴とする請求項1記載のGPS受信装置。」(2頁1欄2?16行)

チ.「【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係るGPS受信装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係るGPS受信装置の一実施の形態を説明する図であり,(a)は断面図,(b)は分解断面図である。また,図2は本発明に係るGPS受信装置の一実施の形態の,変形例を説明する図であり,図3は本発明に係るGPS受信装置の他の実施の形態を説明する断面図である。
【0012】本発明に係るGPS受信装置の一実施の形態は,図1に示すように,人工衛星から発信されるGPS用の電波を受信するアンテナ30をその内部に収納すると共に,磁気により吸着可能な磁気吸着手段10が填め込まれて固定された収納手段20を備えるGPS受信装置である。
【0013】なお,収納手段20は,収納手段底部20aと収納手段蓋部20bとが接着されて形成されている。そして,その収納手段底部20aには,底面を貫通する開口部22が設けられ,この開口部22に,磁気吸着手段10が填め込まれている。なお,この開口部22には,直径方向に突出する突起24が収納手段20の外面側に形成されており,磁気吸着手段10は,その突起24に対応する部分が凹んだ形状に形成されることにより,開口部22に磁気吸着手段10が填め込まれ,抜け落ちないようになっている。
【0014】そのため,開口部22に磁気吸着手段10を填め込むだけで,収納手段20に磁気吸着手段10を固定することができ,製造する際の作業性が優れたGPS受信装置になっている。また,磁気吸着手段10を配置する部分には,収納手段20を形成するプラスチック等の材料が存在しないため,及び,収納手段20に磁気吸着手段10を貼りつけるための粘着テープ等が不要になるため,厚みが薄いGPS受信装置になっている。
【0015】なお,開口部22の形状は,特に限定するものではなく,収納手段底部20aを収納手段蓋部20b側から見た開口部22が,例えば図2(a)や(b)に示すように,円形でも良く,図2(c)や(d)に示すように,方形でも良い。また,開口部22に設ける突起24は,収納手段20の外面側に,開口部22の直径方向に突出するように設けれれていれば良く,例えば図2(a)や(c)に示すように,開口部22の全周に渡って形成されていても良く,図2(b)や(d)に示すように,開口部22の一部に形成されていても良い。なお,図2(d)に示すように,開口部22を四角形に形成すると共に,突起24を対辺に設けるようにすると,磁気吸着手段10の,突起24に対応する部分を凹ませるための加工が,容易になり好ましい。
【0016】また,突起24の断面は,図1に示すような三角や,図3に示すような四角等,特に限定するものではないが,断面三角形状の突起24であると,磁気吸着手段10の,突起24に対応する部分を凹ませるための加工が,容易になり好ましい。
【0017】なお,図1に示すGPS受信装置の磁気吸着手段10の厚みは,開口部22の深さと同じ厚みとなっており,GPS受信装置を移動体に固定する際には,収納手段20と磁気吸着手段10の両者が移動体に接触して,安定した固定ができるようになっている。なお,磁気吸着手段10の厚みを,開口部22の深さよりやや厚くしておき,磁気吸着手段10を開口部22から多少突出するようにしておくと,移動体への固定力が向上し好ましい。
【0018】また,磁気吸着手段10とアンテナ30の間には,防水性を有する柔軟性シート35が設けられており,収納手段底部20aと収納手段蓋部20bとを接着するときに,アンテナ30も収納手段底部20a側に加圧されて,磁気吸着手段10と柔軟性シート35が圧接すると共に,その柔軟性シート35とアンテナ30が圧接するようになっている。そのため,収納手段底部20aと収納手段蓋部20bを接着するだけで,収納手段20の内部に雨水等の侵入を防ぐことが可能になっており,特に製造する際の作業性が優れたGPS受信装置になっている。
【0019】なお,図3に示すように,アンテナ30を実装したプリント配線板33を支持するシールドケース34で開口部22を覆うことにより,柔軟性シート35を設けないようにしても良い。このシールドケース34を用いる場合,シールドケース34を鉄で製造しておくと,シールドケース34が磁気吸着手段10のヨークの作用をするため,磁気による吸着力を高めることができ好ましい。
【0020】本発明に用いる磁気吸着手段10としては,磁気により吸着可能なものであれば特に限定するものではなく,例えば,磁石や,樹脂・ゴム等と磁性体を混合してシート状に形成したマグネットシート等が挙げられる。」(2頁2欄44行?3頁4欄27行)

したがって,上記周知例1,周知例2,周知例3等から明らかなように,補正後の発明のうち下記の構成は,周知(以下,「周知発明」という。)といことができる。

「高周波信号を受信するアンテナ素子と,
前記アンテナ素子に接続され,低雑音増幅回路が配設された低雑音増幅回路基板と,
低雑音増幅回路基板を電磁的に遮蔽するシールドケースと,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとが一体とされた状態で収納されるトップカバー及びボトムカバーを有する筐体と,を備えるアンテナ装置であって,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとを前記筐体内部に固定されるアンテナ装置。」

[対比判断]
したがって,補正後の発明と前記周知発明は,前記周知発明の構成を基本とする点で一致し,ただ,補正後の発明中の「アンテナ素子と低雑音増幅回路基板とシールドケース」の具体的な固定手段であるところの,以下の相違点が,前記周知発明に備わっていない点で相違する。
(相違点)
ボトムカバーは,筐体に収納されたシールドケースの底面と対向する面に穿設された貫通孔を有し,
前記シールドケースは,前記ボトムカバーと対向する底面であって,前記貫通孔に対応し,かつ前記シールドケースの中央部付近の位置に穿設されたバーリングタップを有し,
前記ボトムカバーの底面側から前記筐体の内部に向かって前記ボトムカバーの貫通孔を貫通して前記シールドケースの前記バーリングタップにネジが螺入され,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとを前記ボトムカバー上に固定。

[判断]
トップカバーとボトムカバーとからなる筺体に装置類を収納する際,当該装置類をボトムカバー上に固定収納することは,その安定性,作業性等の観点から,一般的行われている技術常識ということができ,たとえアンテナ装置の分野に限っても,原審の拒絶理由で引用された特開2000-137067号公報,あるいは,特開平5-22024号公報,特表2000-500629号公報等に見られる如く,極めて一般的な技術常識であり,またその具体的な固定手段として,ボトムカバー側からネジを使用することも,固着手段としてのネジの使用が最も普通の技術といえる以上,単なる選択でしかなく,また,ナットを省略する技術としてのバーリングタップ技術も古くからよく知られた慣用技術というべきものであるから,これらの周知技術を周知発明に適用して,
「ボトムカバーは,筐体に収納されたシールドケースの底面と対向する面に穿設された貫通孔を有し,
前記シールドケースは,前記ボトムカバーと対向する底面であって,前記貫通孔に対応し,かつ前記シールドケース」「に穿設されたバーリングタップを有し,
前記ボトムカバーの底面側から前記筐体の内部に向かって前記ボトムカバーの貫通孔を貫通して前記シールドケースの前記バーリングタップにネジが螺入され,
前記アンテナ素子と前記低雑音増幅回路基板と前記シールドケースとを前記ボトムカバー上に固定」する程度のことは,当業者が,格別な創意工夫を要することなく達成しうることである。そして,バーリングタップの位置をシールドケースの中央部付近とすることも,「アンテナ素子と低雑音増幅回路基板とシールドケースとが一体とされた」部品の取付に対して求められる,安定性や製造のしやすさ等から決められる単なる設計的事項の域を出ない。
そして,補正後の発明が奏する効果も周知発明,周知技術から容易に予測出来る範囲内のものである。

よって,補正後の発明は,周知発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
以上のとおり,本件補正は,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから,平成18年法律第55号改正法の附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項の規定により準用する同法第126条第5項の規定に適合していない。
したがって,本件補正は,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成20年11月14日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は上記「第2.補正却下の決定」の項中の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりである。

2.周知発明
周知発明は,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項中の[周知発明]で認定したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は上記補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「(2)独立特許要件」の項で検討したとおり,周知発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,周知発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり,本願発明は,周知発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-05 
結審通知日 2011-01-07 
審決日 2011-01-26 
出願番号 特願2000-300954(P2000-300954)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H01Q)
P 1 8・ 121- Z (H01Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮崎 賢司  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 新川 圭二
宮田 繁仁
発明の名称 アンテナ装置  
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