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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1233911 |
審判番号 | 不服2010-21873 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-29 |
確定日 | 2011-04-05 |
事件の表示 | 特願2006- 81981「通信端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成19年10月 4日出願公開、特開2007-257388、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成18年3月24日の出願であって、平成22年3月12日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月11日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年6月21付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月29日に拒絶査定に対する審判請求がなさたものである。 第2.本願発明について 1.本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1乃至9に係る発明は、平成22年5月11日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された以下のとおりのものと認める。そして、その請求項1に係る発明を以下、「本願発明」という。 「【請求項1】 ネットワークを介して外部装置と接続される通信端末装置であって、 少なくとも1以上の処理ユニットと、 前記外部装置からユーザ情報を受信する通信手段と、 ユーザに固有のパスコードを取得する取得手段と、 情報を記憶する記憶手段と、 前記通信手段により受信したユーザ情報と前記取得手段により取得したパスコードとを対応付けて登録予約情報として前記記憶手段に記憶させる予約手段と、 個別のユーザに固有の生体情報を受け付ける受付手段と、 ユーザに固有のパスコードを受け付ける入力手段と、 前記入力手段により受け付けたパスコードに基づいて、前記記憶手段に記憶されている登録予約情報の中から、対応するユーザ情報を抽出する抽出手段と、 前記抽出手段により抽出されたユーザ情報と前記受付手段が受け付けた生体情報とを関連付けて登録情報として登録する登録手段と、 前記受付手段が受け付けた生体情報に基づいて認証を行い、前記登録手段により登録された登録情報の中から、特定のユーザ情報を読み出す生体認証手段と、 前記生体認証手段により読み出された特定のユーザ情報に応じて前記少なくとも1以上の処理ユニットを制御する制御手段と、 を備えることを特徴とする通信端末装置。 【請求項2】 請求項1に記載の通信端末装置であって、 前記取得手段は、前記外部装置からパスコードを取得することを特徴とする通信端末装置。 【請求項3】 請求項2に記載の通信端末装置であって、 前記予約手段は、前記取得手段により取得されたパスコードと前記記憶手段に登録予約情報として記憶されているパスコードとを順次比較し、前記取得手段により取得されたパスコードと前記記憶手段に登録予約情報として記憶されているパスコードとが一致した場合には、前記通信手段により受信したユーザ情報を登録予約情報として記憶することを禁止するとともに、前記通信手段にその旨を示す情報を前記外部装置に送信させることを特徴とする通信端末装置。 【請求項4】 請求項3に記載の通信端末装置であって、 前記登録手段は、前記ユーザ情報と前記生体情報とを関連付けて登録する際に、前記ユーザ情報と関連付けられているパスコードを登録予約情報から消去することを特徴とする通信端末装置。 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の通信端末装置であって、 ユーザ情報は、前記通信端末装置の使用権限に関する情報を含むことを特徴とする通信端末装置。 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信端末装置であって、 前記受付手段が受け付ける生体情報は、指紋情報であることを特徴とする通信端末装置。 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通信端末装置であって、 前記通信手段は、前記外部装置にユーザ情報を入力するための所定の入力画面データを送信するとともに、前記所定の入力画面データに対して入力されたユーザ情報を前記外部装置から受信することを特徴とする通信端末装置。 【請求項8】 ネットワークを介して外部装置と接続される通信端末装置であって、 少なくとも1以上の処理ユニットと、 ユーザ情報とユーザに固有のパスコードとを対応付けた登録予約情報を前記外部装置から受信する通信手段と、 個別のユーザに固有の生体情報を受け付ける受付手段と、 ユーザに固有のパスコードを受け付ける入力手段と、 前記入力手段により受け付けたパスコードに基づいて、前記通信手段により受信された登録予約情報の中から、対応するユーザ情報を抽出する抽出手段と、 前記抽出手段により抽出されたユーザ情報と前記受付手段が受け付けた生体情報とを関連付けて登録情報として登録する登録手段と、 前記受付手段が受け付けた生体情報に基づいて認証を行い、前記登録手段により登録された登録情報の中から、特定のユーザ情報を読み出す生体認証手段と、 前記生体認証手段により読み出された特定のユーザ情報に応じて前記少なくとも1以上の処理ユニットを制御する制御手段と、 を備えることを特徴とする通信端末装置。 【請求項9】 ユーザ情報とユーザに固有のパスコードとを対応付けた登録予約情報を記憶する外部装置とネットワークを介して接続される通信端末装置であって、 少なくとも1以上の処理ユニットと、 個別のユーザに固有の生体情報を受け付ける受付手段と、 ユーザに固有のパスコードを受け付ける入力手段と、 前記入力手段により受け付けたパスコードを前記外部装置に送信するとともに、前記登録予約情報において前記パスコードに対応付けられているユーザ情報を前記外部装置から受信する通信手段と、 前記通信手段により受信されたユーザ情報と前記受付手段が受け付けた生体情報とを関連付けて登録情報として登録する登録手段と、 前記受付手段が受け付けた生体情報に基づいて認証を行い、前記登録手段により登録された登録情報の中から、特定のユーザ情報を読み出す生体認証手段と、 前記生体認証手段により読み出された特定のユーザ情報に応じて前記少なくとも1以上の処理ユニットを制御する制御手段と、 を備えることを特徴とする通信端末装置。」 2.引用刊行物 原審において引用された刊行物は以下のとおりである。 (1)特開2004-297259号公報 (2)特開2004-288024号公報 上記刊行物(1)には、ユーザ認証に用いられる指紋の登録が容易な画像形成装置として、パーソナルコンピュータとプリントアウト対象のデータの送受信を行う構成を有し、予めユーザ情報が登録されており、指紋を読み取り、指紋の照合が失敗の場合に認証用のユーザ情報をユーザに入力させて、該ユーザ情報が一致する場合に自動的に前記指紋を指紋データベースに登録することで、指紋の登録を容易にする発明が記載されている。 上記刊行物(2)には、複数の親展ボックスにアクセスするための設定を一括して容易に設定させるシステムとして、サーバにて、ユーザ情報と親展ボックス情報とに基づいて、ユーザが操作する各々のクライアントを介してユーザが親展ボックスにアクセスするためのアクセス情報としての設定ファイルを生成し、親展ボックスが設定される複数のデバイスに該設定ファイルを出力することにより、複数のデバイスにおいて、親展ボックスを一括して容易に設定させることができる発明が記載されている。 3.対比・判断 上記いずれの刊行物にも本願発明の構成要件である「外部装置からユーザ情報を受信する通信手段と、ユーザに固有のパスコードを取得する取得手段と、前記通信手段により受信したユーザ情報と前記取得手段により取得したパスコードとを対応付けて登録予約情報として前記記憶手段に記憶させる予約手段」に関する構成は記載されていない。 すなわち、本願発明は、その課題である、使用するユーザに固有のユーザ情報を管理している場合に、使用を許可されたユーザがわざわざ登録されている自分のユーザ情報を呼び出す操作を行うのは手間であること、通信端末装置で数字以外のユーザ情報を入力することは一般に困難であること、という前提で、生体情報をユーザ情報とともに登録する場合のオペレータの負担を軽減することを目的として、前記「外部装置からユーザ情報を受信する通信手段と、ユーザに固有のパスコードを取得する取得手段と、前記通信手段により受信したユーザ情報と前記取得手段により取得したパスコードとを対応付けて登録予約情報として前記記憶手段に記憶させる予約手段」という構成を設けたものである。しかし、上記いずれの刊行物にも前記構成は、記載されていない。また、パーソナルコンピュータとプリントアウト対象のデータの送受信は可能であるものの、ユーザ情報を送受信する構成が無い刊行物(1)に記載の発明、複数の親展ボックスにアクセスするための設定を一括して容易に設定させるシステムである刊行物(2)に記載の発明には、上記本願発明の構成要件を備える動機付けが存在しない。 そして本願発明は当該構成により、オペレータは、外部装置からユーザ情報とパスコードとを対応付けて登録予約情報として記憶させるのみで、登録の際には、ユーザが受け付けたパスコードに基づいて、登録予約情報の中から、対応するユーザ情報を抽出し、抽出されたユーザ情報と受け付けた生体情報とを関連づけて登録することにより、ユーザ情報を外部装置から取得できるので、登録の際のオペレータの負担が軽減されるという本願明細書に記載の作用効果を奏するものと認められるから、本願発明は、上記各刊行物に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものではない。 本願請求項2乃至7に係る発明は本願請求項1を引用する発明であるから同様に、上記各刊行物に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものではない。 また、本願請求項8に係る発明の構成要件である「ユーザ情報とユーザに固有のパスコードとを対応付けた登録予約情報を前記外部装置から受信する通信手段」、本願請求項9に係る発明の構成要件である「登録予約情報において前記パスコードに対応付けられているユーザ情報を前記外部装置から受信する通信手段」に関する構成も記載されていない。 そして、本願請求項8に係る発明、本願請求項9に係る発明は、本願発明と同様に、上記の各構成により上記作用効果を奏するものと認められるから、本願請求項8および9に係る発明は、上記各刊行物に記載された発明に基づいて、容易に発明できたものではない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願の請求項1乃至9に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとした原査定の判断は妥当でない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-03-23 |
出願番号 | 特願2006-81981(P2006-81981) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 平井 誠 |
特許庁審判長 |
鈴木 匡明 |
特許庁審判官 |
吉田 美彦 石井 茂和 |
発明の名称 | 通信端末装置 |
代理人 | 吉竹 英俊 |
代理人 | 有田 貴弘 |