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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C23C
管理番号 1234017
審判番号 不服2007-27248  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-10-04 
確定日 2011-03-17 
事件の表示 特願2001-332585「薄膜形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 5月14日出願公開、特開2003-138378〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成13年10月30日の出願であって、原審にて平成19年4月27日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し同年7月4日付けで明細書の手続補正がなされたが、同年8月31日付けで拒絶査定がなされたものである。
本件審判は、この査定を不服として、同年10月4日に請求がなされたものであり、同日付けで明細書の手続補正がなされた。
その後、当審にて平成22年6月29日付け、同年9月30日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し同年8月31日付け、同年12月2日付けで意見書の提出と共に明細書の手続補正がなされている。

2.本願発明の認定

本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成22年12月2日付けで手続補正がなされた明細書の特許請求の範囲において、請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりものと認められる。

【請求項1】
固体又は液体原料を気化させた原料ガスを、原料ガス導入機構の原料ガス導入配管を介して、減圧状態に保持されている基体処理室内に導入して、この基体処理室内で化学反応させ、基体処理室内に支持されている基体の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記基板処理室全体の温度を保つ恒温手段として水を使用し、
固体又は液体原料として当該原料及び反応副生成物またはこの中の少なくとも一つの物質の飽和蒸気圧が70℃で、0.001Pa以上かつ500Pa以下のものを用い、
薄膜形成工程の終了後、基体処理室の圧力を下げて薄膜形成工程で表面に薄膜が形成された基体を基体処理室から回収するまでの間に、
基体処理室の圧力をあらかじめ定められている圧力にまで下げる排気工程と、
引き続いて、
前記原料ガス導入配管とは別に設けられた配管により、基体処理室に直接接続されているパージガス導入機構を介して、パージガスを基体処理室に導入して基体処理室の圧力をあらかじめ定められている圧力にまで上げるパージ工程を、
前記排気工程で下げられた圧力と、前記パージ工程で上げられた圧力との間に、少なくとも一桁以上の圧力差を持たせて、前記排気工程、前記パージ工程を1サイクルとして、20回を越えない回数で、複数回繰り返した後、排気工程を行うことを特徴とする薄膜形成方法。

3.当審拒絶の理由

当審で通知した拒絶の理由の一つは、
「本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物、
特開平8-288242号公報 (以下、「引用例1」という。)
特開2000-332020号公報 (以下、「引用例2」という。)
特開2000-58543号公報 (以下、「引用例3」という。)
に記載された発明に基いて、その出願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」
というものである。

4.引用例の記載

引用例1,2には、それぞれ次の記載がある。

4-1.引用例1

摘記1-1(段落0001)
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な配線や電極となる金属薄膜層を有する半導体装置の製造方法に関する。

摘記1-2(段落0240?0242):
【0240】実施例11
図14は、本発明の実施例に係る化学気相成長装置の概略を示す図である。・・・(中略)・・・
【0241】本装置の基本的構成はウエハー上にCuを化学気相成長法によって堆積するためのCVD反応室111、反応室に原料ガスを送り込むためのガス供給系、および反応室内の原料ガス等を排気するための真空排気系から成る。CVD反応室は、ウエハー110を加熱するためのヒータ115、ヒータとウエハーを支持するための支持台113、ウエハーをヒータに密着させ、かつウエハー裏面へのCVD原料ガスの回り込みを防ぐための保持リング112、原料ガスを基板表面に対して均一に供給するためのガス整流板116からなるコールドウォール型の熱CVDである。
【0242】ガス供給系は液体状のCu-CVD原料の貯蔵槽141、貯蔵槽内のCVD原料をバブリングにより気化するための不活性化ガス147の配管、気化した原料ガス142を反応室まで輸送するための配管118からなる。また、排気例は反応室内を高真空まで排気できる主ポンプ131とその補助ポンプ132を備える。以上は一般的な熱CVD装置の構成要件である。・・・(後略)・・・

摘記1-3(段落0260?0263):
【0260】実施例13
この実施例では、Cu-CVDの原料ガスとして1価の銅化合物を用いた場合にCVD反応によって生じる2価の銅化合物を効果的に除去する装置および方法の一例を示す。
【0261】図14中に示すように、本実施例12に係る上記2価銅化合物の除去装置121は、CVD反応室111とCVD反応室内を真空排気するための主ポンプ131の間に設置した。除去装置121内部は図15に示すように、多数枚の円錐型をした銅製の反応面122からなる。反応面は除去装置外側に設置したヒータにより加熱可能である。この除去装置を具備した熱CVD装置を用いてCu-CVDによる堆積を行った。CVD原料ガスは銅の1価化合物である(hfac)Cu(tmvs)を用いた。被堆積基板としてはSiウエハー上に熱酸化膜を100nm形成し、さらにこの上にスパッタリング法により30nmのTi薄膜と60nmのTiN薄膜を積層したものを用いた。
【0262】ウエハーをCVD反応室内に設置した後、バルブ142a、142b、141bを開けて主真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)131、補助ポンプ(ドライポンプ)132により、排気経路117、124を介して、CVD反応室内を10^(-4)Pa台まで真空排気した。次に、ウエハー温度を180℃に設定し、バルブ142aおよび142bを閉め、コンダクタンス可変バルブ141aを開け、排気経路が除去装置121を介するようにした。また、除去装置内の反応面122の温度が250℃となるようにヒータ123にて加熱した。そして、バルブ146を開け、除去装置内に30sccmのO_(2) ガスを導入した。
【0263】その後、バルブ140を開け、CVD原料ガスをCVD反応室内に導入し、CVDを行った。約2μmのCu膜をウエハー上に堆積した後、バルブ140を閉じることによりCVD原料ガスの導入を停止し、反応室内が10^(-2)Paになるまで除去装置を介して真空排気し、その後バルブ141aを閉め、バルブ142aおよび142bを再び開けて、CVD反応室内が10^(-4)Pa台になるまでさらに真空排気を続け、同時にヒータ123を室温まで冷却した。つまり、原料ガス供給中および原料ガス供給停止後しばらくの間、反応室内より排気される原料ガスおよびその反応生成物はすべて除去装置121内でO_(2) と混合された状態で、加熱された銅製の反応面に接しながら真空ポンプへ流れることになる。

摘記1-4(図14)
【図14】


摘記1-5(段落0278)
【0278】更にまた、本発明(請求項29)によれば、CVD原料ガスの反応の結果生じる固体の反応生成物を真空ポンプに流入する前に効率よく除去できるため、ポンプの故障を防止することができ、結果として化学気相成長装置の稼働率をあげることが可能となり、従来よりも工業的生産性をあげることができる。

4-2.引用例2

摘記2-1:(段落0008?0018)
【0008】図1は、本発明に係るCu配線膜形成方法の実施する装置の概略構成の一例を示す。この装置は、少なくとも、MOCVD(Metal Organic Chemical vapour Deposition)チャンバ11、CVDチャンバ12、スパッタエッチングチャンバ13を備えている。この装置の構成によれば、MOCVDチャンバ11、CVDチャンバ12、スパッタエッチングチャンバ13の各々を個別の専用機として備えた構成を示している。
【0009】なお本発明に係るCu配線膜形成方法を実施する装置として、基板搬送機構を内蔵するセパレーションチャンバ(トランスファーチャンバ)を中央に備えたマルチチャンバ方式の装置を用いることができるのは勿論である。マルチチャンバ式の装置では、セパレーションチャンバの周囲に、上記の各チャンバが設けられることになる。この場合、各チャンバでの成膜は、基板搬送機構によりセパレーションチャンバを介して、真空雰囲気に維持されたまま、すなわち大気に晒されることなく真空一貫の構造で、予め定められた手順に従って行われる。
・・・(中略)・・・
【0018】上記の構成において、各チャンバ11,12,13には、それぞれ真空排気機構11a,12a,13aを備える。各チャンバは、その真空排気機構によって内部を適宜な減圧状態すなわち所望の真空状態に保持される。各チャンバには、基板を出し入れしかつ各チャンバの内部の真空状態を隔離して保持するためのゲートバルブが設けられているが、それらの図示は省略されている。また基板を各チャンバに搬送するための基板搬送機構が設けられているが、その図示も省略される。

4-3.引用例3

摘記3-1(段落0015?0018):
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を添付図面に基いて詳述する。本発明の第1実施の形態である酸化処理装置の全体構成を示す図1において、1は被処理体である半導体ウエハWを収容し、処理ガスとして水蒸気を供給して例えば850℃程度の高温下で酸化処理する縦型でバッチ式の処理炉で、この処理炉1は上端が閉塞され下端が開放した縦長円筒状の耐熱性を有する例えば石英製の反応管2からなっている。
・・・(中略)・・・
反応管2の下側部には、ガス導入管部7が適宜個数設けられており、その一つには、処理ガス供給手段(水蒸気供給手段)として、水素ガスH_(2)と酸素ガスO_(2)の燃焼反応により水蒸気を発生させて供給する燃焼装置8が接続されている。
【0018】この燃焼装置8は、例えば燃焼ノズルの口径を小さくしたり、燃焼ノズルの形状を改善する等により、水蒸気を微少流量例えば従来毎分6リットル(下限)であったものが毎分0.6?0.3リットル程度で供給することが可能に構成されていることが好ましい。また、燃焼装置8には、水蒸気を希釈化等するために不活性ガス例えば窒素ガスN_(2)を供給する不活性ガス供給部9が設けられている。なお、他のガス導入管部には、その他の処理ガス例えば一酸化窒素ガスNOや一酸化二窒素ガスN_(2)O、あるいは不活性ガス例えばN_(2)等を供給するガス供給源が接続されている(図示省略)。

摘記3-2(段落0024?0031):
【0024】次に、前記酸化処理装置の作用および酸化処理方法について図2を参照して述べる。まず、処理炉1内は、大気に開放されていると共にヒーター6により予め所定の温度例えば300℃に加熱制御されており、この状態で多数枚の半導体ウエハWが保持されたウエハボート4を処理炉1内にロードして処理炉1の炉口を蓋体3で密閉し、処理炉1内を真空排気系20による真空引きにより減圧する。この減圧ないし真空引きは、サイクルパージを含むことが好ましい。前記ロードおよびサイクルパージの際には、半導体ウエハWの表面に自然酸化膜が形成されないように処理炉内に不活性ガス例えばN_(2)が供給されており、また、N_(2)が100%であると、半導体ウエハWの表面が窒化してしまい、この後の酸化工程にて半導体ウエハWの表面が酸化されにくくなるため、これを防止すべくO_(2)が少量例えば1%程度供給されている。
【0025】前記サイクルパージは、処理炉1内を真空引きしながら不活性ガス例えばN_(2)の供給と停止を交互に繰り返すことにより行われる。この場合、排気系を切換弁21,22により真空排気系20に切換え、真空ポンプ27の作動状態で圧力センサ32,33により圧力を検知しつつコンビネーションバルブ26の制御により処理炉1内を所定の圧力例えば10^(-3)Torr程度に減圧排気する。この減圧排気状態で、所定流量に制御された不活性ガス例えばN_(2)を不活性ガス供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給することにより、サイクルパージが行われ、処理炉1内を迅速に減圧して不活性ガスで十分に置換することができる。すなわち、このサイクルパージによって急速な減圧(真空到達時間の短縮)と置換が可能となる。
・・・(中略)・・・
【0027】酸化処理工程を終了したなら、排気系を真空排気系20に切換えて、処理炉1内を再度真空引きにより減圧してから、ヒーター6の制御により処理炉1内の温度を所定の温度例えば300℃程度に降温させ、これと並行して処理炉1内を常圧に戻し、処理炉1内からウエハボート4をアンロードし、クーリング(半導体ウエハを搬送可能な温度に冷却すること)を行えばよい。前記酸化処理工程終了後の減圧ないし真空引きも、サイクルパージを含むことが好ましい。
・・・(中略)・・・
【0029】前記処理炉1を減圧ないし真空引きする工程では、いわゆるサイクルパージを含んでいるため、迅速な減圧と置換が可能となり、スループットの向上が図れる。
・・・(中略)・・・
【0031】なお、酸化処理方法としては、例えば図3に示すように、所望の酸化処理工程の後、処理炉1内を所定の圧力例えば100Torr程度に減圧制御した状態で一酸化窒素ガスNOまたは一酸化二窒素ガスN_(2)Oを供給して拡散処理を行うようにしてもよい。この拡散処理工程の前後には、処理炉1内を真空引きにより減圧することが好ましく、その際には、サイクルパージを伴うことが好ましい。ウエット酸化後、サイクルパージにより処理炉内の水分を十分に取り除いてから一酸化窒素ガスNOまたは一酸化二窒素ガスN_(2)Oを供給するため、腐食性の強い硝酸NH_(3)の発生を十分に抑制することができると共に、絶縁性の高いSiON膜を形成することができ、信頼性の高い膜質への改善が容易に図れる。

摘記3-3(図1)
【図1】


摘記2-4(図3):
【図3】


5.引用発明の認定

引用例1には、CVD反応室、反応室に原料ガスを送り込むためのガス供給系、および反応室内の原料ガス等を排気するための真空排気系から成るコールドウォール型の熱CVD装置であって、ガス供給系は、液体状のCu-CVD原料の貯蔵槽、貯蔵槽内のCu-CVD原料をバブリングにより気化するための不活性化ガスの配管、気化した原料ガスを反応室まで輸送するための配管からなり、排気系は、反応室内を高真空まで排気できる主ポンプとその補助ポンプを備えてなる装置が記載され(摘記1-2,1-4参照)、この装置に、Cu-CVD原料として1価の銅化合物(hfac)Cu(tmvs)=ヘキサフルオロアセチルアセトン・トリメチルビニルシラン銅を用いた場合にCVD反応によって生じる2価の銅化合物の除去装置を、反応室と主ポンプの間に設置した上でSiウエハーを反応室内に設置して、反応室内を10^(-4)Pa台まで真空排気した後は排気経路が前記除去装置を介するようにし、原料ガスを反応室内に導入しCu膜をウエハー上に堆積させた後、原料ガスの導入を停止し、反応室内が10^(-2)Paになるまで前記除去装置を介して真空排気し、その後、前記除去装置を介さずに10^(-4)Pa台になるまでさらに真空排気を続けることが記載されている(摘記1-3,1-4参照)。
以上の記載から、引用例1には、次のCu-CVD方法の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「液体状のCu-CVD原料をバブリングにより気化させた原料ガスを、反応室まで輸送するための配管を介して、10^(-4)Pa台まで真空排気された反応室内に導入して、この反応室内でCVD反応させ、反応室内に設置されているSiウエハー上にCu膜を堆積するCu-CVD方法であって、
コールドウォール型の熱CVD装置を使用し、Cu-CVD原料として(hfac)Cu(tmvs)を用い、Cu膜を堆積した後に、反応室内を10^(-4)Pa台になるまで真空排気するCu-CVD方法。」

6.発明の対比

本願発明と引用発明を対比する。

引用発明の「反応室」「反応室まで輸送するための配管」「CVD反応」「Siウエハー」「Cu-CVD方法」「Cu膜を堆積」は、本願発明の「基体処理室」「原料ガス導入機構の原料ガス導入配管」「化学反応」「基体」「薄膜形成方法」「薄膜を形成」に相当する。また、引用発明の「コールドウォール型」とは、反応室の内壁温度を冷却水により保持することを意味する(要すれば、特開平3-112130号公報「産業上の利用分野」欄等参照)から、本願発明の「基板処理室全体の温度を保つ恒温手段として水を使用し(たもの)」に相当する。そして、引用発明のCu-CVD原料の「(hfac)Cu(tmvs)」は、本願発明の実施例で用いた原料の「Cu(Hfac)TMVS」と同一であるから、本願発明の「液体原料として当該原料及び反応副生成物またはこの中の少なくとも一つの物質の飽和蒸気圧が70℃で、0.001Pa以上かつ500Pa以下のもの」に相当すると認められる。

してみると、本願発明のうち、
「液体原料を気化させた原料ガスを、原料ガス導入機構の原料ガス導入配管を介して、減圧状態に保持されている基体処理室内に導入して、この基体処理室内で化学反応させ、基体処理室内に支持されている基体の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法であって、
前記基板処理室全体の温度を保つ恒温手段として水を使用し、
液体原料として当該原料及び反応副生成物またはこの中の少なくとも一つの物質の飽和蒸気圧が70℃で、0.001Pa以上かつ500Pa以下のものを用い、
薄膜形成工程の終了後、基体処理室の圧力を下げる薄膜形成方法。」
の点は引用発明と一致し、次の点で両者は相違する。

相違点1:
本願発明が、「基体処理室の圧力を下げて薄膜形成工程で表面に薄膜が形成された基体を基体処理室から回収する」のに対し、
引用発明は、真空排気後のSiウエハー回収工程が明らかでない点。

相違点2:
本願発明が、「(薄膜形成工程の終了後、基体処理室の圧力を下げて薄膜形成工程で表面に薄膜が形成された基体を基体処理室から回収する)までの間に、基体処理室の圧力をあらかじめ定められている圧力にまで下げる排気工程と、引き続いて、前記原料ガス導入配管とは別に設けられた配管により、基体処理室に直接接続されているパージガス導入機構を介して、パージガスを基体処理室に導入して基体処理室の圧力をあらかじめ定められている圧力にまで上げるパージ工程を、前記排気工程で下げられた圧力と、前記パージ工程で上げられた圧力との間に、少なくとも一桁以上の圧力差を持たせて、前記排気工程、前記パージ工程を1サイクルとして、20回を越えない回数で、複数回繰り返した後、排気工程を行う」のに対し、
引用発明は、パージガスの導入機構がなくパージ工程を有しない点。

7.容易性の判断

上記相違点について検討する。

相違点1について:
引用例1には、引用発明が、微細な配線となるCu薄膜層を有する半導体装置の製造方法であることが記載されている(摘記1-1参照)。
一方、引用例2には、Cu配線膜形成方法において、基板搬送機構を内蔵するセパレーションチャンバの周囲にCVDチャンバを設け、真空状態で基板の出し入れを行うことが記載されている(摘記2-1参照)。
してみると、引用発明において、真空排気した状態でSiウエハーを回収すること、すなわち、上記相違点1を解消することは、同一技術分野において当業者に知られたセパレーションチャンバを熱CVD装置に組み合わせることにより容易になし得たことである。

相違点2について:
引用例3には、半導体ウエハの酸化処理装置において、半導体ウエハを収容する反応管の下側部に、処理ガスや不活性ガスを供給するガス導入管部を適宜個数接続し(摘記3-1,3-3参照)、酸化処理や拡散処理後に、処理炉(=反応管)内を減圧排気した状態で、所定流量に制御された不活性ガスを供給弁の開閉の繰り返しにより間欠的に供給するサイクルパージを行い、迅速な減圧と置換によるスループットの向上を図ること(摘記3-2,3-4参照)が記載されており、このサイクルパージは、少なくとも一桁以上の圧力差を持って、排気と不活性ガスの供給を20回を越えない回数繰り返すものと認められる(摘記3-4参照)。
ところで、引用発明のCu-CVDは、前記酸化処理や拡散処理同様、ガスを用いた半導体Siウエハの表面処理であって、処理後にガスの真空排気(=減圧置換)工程を有し、生産性の向上を課題とするものと認められる(摘記1-1,1-5参照)。
してみると、引用発明において、Cu膜を堆積した後に、反応室の圧力をあらかじめ定められている圧力にまで下げる排気工程と、引き続いて、原料ガスの配管とは別に設けられた配管により、反応室に直接接続されているパージガス導入機構を介して、パージガスを反応室に導入して反応室の圧力をあらかじめ定められている圧力にまで上げるパージ工程を、前記排気工程で下げられた圧力と、前記パージ工程で上げられた圧力との間に、少なくとも一桁以上の圧力差を持たせて、前記排気工程、前記パージ工程を1サイクルとして、20回を越えない回数で、複数回繰り返した後、排気工程を行うこと、すなわち、上記相違点2を解消することは、半導体表面処理装置における真空排気法として当業者に知られたサイクルパージを採用することにより容易になし得たことである。

そして、引用発明において、相違点1,2を共に解消することにも格別の困難性はなく、本願発明が、相違点1,2により、引用発明から予期し得ない程の顕著な効果を奏するとは認められない。

なお、請求人は意見書で、引用例3の図1(摘記3-3参照)によれば、処理ガスであるNO等とパージガスであるN_(2)等の不活性ガスが同じ配管12,14を介して処理炉(=反応管)に導入されていると主張している。
しかしながら、引用例3には、ガス導入管部を適宜個数設けることと共に、図示省略されたガス導入管部に、NO等の処理ガスやN_(2)等の不活性ガスの供給源が接続されていると記載されており(摘記3-1参照)、それぞれのガスの供給源と接続されるガス導入管部は、それぞれ別個に設けられるものと認められる。また、配管12,14は、排気用の配管と認められる(摘記3-3参照)。
したがって、前記主張は採用できない。

8.むすび

以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物である引用例1?3に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、当審拒絶の理由により拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-12 
結審通知日 2011-01-18 
審決日 2011-01-31 
出願番号 特願2001-332585(P2001-332585)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C23C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡田 隆介  
特許庁審判長 山田 靖
特許庁審判官 植前 充司
大橋 賢一
発明の名称 薄膜形成方法  
代理人 山本 典弘  
代理人 山口 芳広  
代理人 鈴木 一永  
代理人 渡辺 敬介  
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