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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 H04B 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 取り消して特許、登録 H04B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04B |
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管理番号 | 1234132 |
審判番号 | 不服2008-29499 |
総通号数 | 137 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2011-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-20 |
確定日 | 2011-04-05 |
事件の表示 | 特願2000-196337「光CDMA伝送システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月18日出願公開、特開2002- 16583、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年6月29日の出願であって、平成20年2月21日付けで拒絶理由が通知され、同年4月22日付けで意見書並びに手続補正書が提出されたが、同年10月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月20日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年12月17日に手続補正書が提出されたものである。 なお、平成22年8月27日付けで当審より審尋を発したが、その指定期間内に回答書の提出はなされなかった。 2.平成20年12月17日付けの手続補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成20年12月17日付けの手続補正を却下する。 [理由] (1) 補正の概要 平成20年12月17日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲及び明細書についてするもので、特許請求の範囲の請求項1についての、以下の補正事項(イ)-(ニ)を含むものである。 補正事項(イ) 補正前(平成20年4月22日付け手続補正書参照)請求項1の冒頭に、「複数の情報通信端末と端局との間の光通信回線上に配置され、前記複数の情報通信端末のそれぞれから出力される複数の信号に基づいて生成された光CDMA多重化信号を前記端局に伝送する光CDMA伝送システムであって、」を追加し(下線は、補正により変更された部分を示す。以下同様。)、 補正事項(ロ) 補正前に「情報通信端末所在地内に備えられ、前記情報通信端末所在地外の複数の第1の光伝送路に複数の特定のコードの第1の光信号をそれぞれ送出する複数の符号化手段と、」とあったところを「前記複数の情報通信端末所在地内にそれぞれ備えられ、前記複数の情報通信端末のそれぞれから出力される前記複数の信号に基づいて複数の特定のコードの第1の光信号を生成し、前記複数の情報通信端末所在地外の複数の第1の光伝送路に、前記複数の特定のコードの第1の光信号をそれぞれ光CDMA信号として送出する複数の符号化手段と、」と補正し、 補正事項(ハ) 補正前に「前記第3の光信号を、光CDMA多重化信号である複数の第4の光信号に分けて複数の第4の光伝送路に出力する光分波手段と、」とあったところを「前記第3の光信号を、光CDMA信号である複数の第4の光信号に分けて複数の第4の光伝送路に出力する光分波手段と、」と補正し、 補正事項(ニ) 補正前の「複数の復号手段」と「比較処理手段」との間に、「前記複数の第5の光信号から光CDMA多重化信号である第6の光信号を生成し、該生成された第6の信号を前記端局に送信する光交換手段と、」を追加しようとするものである。 (2)補正の適否 そこで、本件補正が特許法第17条の2第4項各号のいずれかに掲げる事項を目的とするものであるか否かを、上記補正事項(ハ)、(ニ)について検討する。 補正事項(ハ)について 「光CDMA多重化信号」を「光CDMA信号」とする該補正に関して、請求人は、補正後の請求項1において変更された「光分波手段」は、例えば、光分波手段に相当する光分波装置(251)の機能から自明の事項であり、この補正は、誤記の訂正を目的とする補正である旨述べている。 しかし、明細書の段落【0010】-【0011】、【0014】には、「従来の技術」(図9)における「光分波装置(51)、(151)」に関する、次の記載がある。 「光合波装置41および141は、複数の符号化装置21?23から複数の光ファイバにより送信されてきた光CDMA信号を1本の光ファイバ301等で送信できるように合波した合波信号を生成するための、例えば、スターカプラ等の装置である。 ・・・(中略)・・・ 光分波装置51および151は、1本の光ファイバ301、302等により送信されてきた合波信号を光CDMA多重したまま分波する装置であり、光合波装置41および141と同様な構成を有するが入出力方向が逆になる。」(段落【0010】-【0011】) 「合波された信号を受信した端局4内の光分波装置51は、その受信信号を多重化したまま分波して出力する。光分波装置51からの光CDMA信号を受信した復号装置61は、多重化された光CDMA受信信号の中から、特定コードの光信号のみを復調して電気通信信号の受信データとして電気通信回線501に出力する。電話所在地6内のユーザ端末11では、電気通信回線501から受信データを受けてデータ内容に基づいた処理を行う。」(段落【0014】) これらの記載から、「従来の技術」における「光分波装置(51)、(151)」は、受信した信号を、「(光CDMA)多重化したまま」で、すなわち、「光CDMA多重化信号」を出力する、「例えば、スターカプラ等」と同様の装置と認められる。 上記従来技術の「光分波装置(51)、(151)」と同じ名称の、「発明の実施の形態」(図1-図6)における「光分波装置(251)」が、上記従来の技術の「光分波装置(51)、(151)」と、異なる機能である旨の記載はない。 一方、明細書の段落【0012】には,「従来の技術」(図9)において、「光分波装置(51)」に後続する「復号装置(61)-(63)」に関する、次の記載がある。 「復号装置61?63および161?163は、符号化装置21?23および121?123において用いられたものと同様な拡散信号を利用することにより、受信した各光CDMA多重化された光信号から各光CDMA信号を復号して電気通信信号からなる受信データに変換する装置である。」 この記載から、「従来の技術」において、「光分波装置(51)」に後続する「復号装置(61)-(63)」は、「光CDMA多重化された光信号から各光CDMA信号を復号」する、すなわち、「光CDMA多重化信号」を入力して「光CDMA信号」を出力する装置と認められる。 上記従来技術の「復号装置(61)-(63)」と同じ名称の、「発明の実施の形態」(図1-図6)における「復号装置(261)-(263)」について、これが、上記従来の技術の「復号装置(61)-(63)」と、機能が異なる旨の記載はない。 よって、明細書全体の記載に照らしてみれば、請求項1の「光分波手段」が、「光CDMA多重化信号」を出力する点が直ちに誤記であるとは認められない。 したがって、この補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法(以下、「改正前特許法」という。)第17条の2第4項第3号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものに該当するとは認められない。 また、当該補正は、「光CDMA多重化信号」から、多重化されていなくてもよい「光CDMA信号」に変更することを含むものであり、これは補正前の特許請求の範囲の請求項に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しないので、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとは認められない。 また、この補正が、改正前特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」を目的とするものにも、同項第4号に掲げられた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 補正事項(ニ)について 補正事項(ニ)は、請求項1について、新たな発明特定事項である「前記複数の第5の光信号から光CDMA多重化信号である第6の光信号を生成し、該生成された第6の信号を前記端局に送信する光交換手段」を追加することを含むものであり、これは補正前の特許請求の範囲の請求項に記載されたいずれの課題解決手段の下位概念化にも該当しないので、改正前特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するとは認められない。 また、この補正が、改正前特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた「請求項の削除」を目的とするものにも、同項第3号に掲げられた「誤記の訂正」を目的とするものにも、同項第4号に掲げられた「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものにも該当しないことは明らかである。 (3)むすび 以上のとおり、補正事項(ハ)、(ニ)は、改正前特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たしていないので、これらの補正を含む本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成20年12月17日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成20年4月22日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-03-18 |
出願番号 | 特願2000-196337(P2000-196337) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H04B)
P 1 8・ 573- WY (H04B) P 1 8・ 572- WY (H04B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川口 貴裕、木下 直哉 |
特許庁審判長 |
江口 能弘 |
特許庁審判官 |
青木 健 稲葉 和生 |
発明の名称 | 光CDMA伝送システム |
代理人 | 篠原 昌彦 |
代理人 | 前田 実 |
代理人 | 山形 洋一 |