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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1234204
審判番号 不服2008-15061  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-16 
確定日 2011-03-22 
事件の表示 特願2000-351155「ゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 5月28日出願公開、特開2002-153675〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年11月17日にされた出願である。原審において、平成18年3月17日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年4月27日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出された。その後、同年11月6日付けで再度拒絶理由が通知され、これに対して同年12月28日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出されたものの、平成20年5月8日付けで拒絶査定がされた。
上記拒絶査定に対し、同年6月16日に本件の拒絶査定不服審判の請求がされ、同年7月11日付けで手続補正がされた。その後、前置報告書の内容について、審判請求人の意見を求めるために平成21年4月30日付けで審尋がされ、同年7月7日付けで回答書が提出された。更にその後、平成22年7月7日付けで、平成20年7月11日付けの手続補正の却下の決定をするとともにいわゆる最初の拒絶理由を通知したところ、平成22年8月26日付けで意見書が提出された。


第2 本願発明
本願の請求項1ないし請求項4に係る発明は、平成18年12月28日付けの手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
<本願発明>
「 少なくとも1基のカプセルベンダー(1)と;
ゲームに登場するキャラクターを模したフィギュア部(31)と、これを取り付ける台座部(32)とから成り、台座部(32)内部にそれぞれ所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータが記録されたメモリ(33)を有し、上記カプセルベンダー(1)で販売される複数のカプセル入りの立体的物品(3)と;
カプセル(4)から取り出した上記立体的物品(3)の台座部(32)を受け入れ得るデータ読取り/書込み口(21)と、データ読取り/書込み口(21)に受け入れた台座部(32)内のメモリ(33)のデータの読取り/書込み装置とを具備し、メモリ(33)のデータを読み出してゲームを可能とする少なくとも1基のゲーム機(2)と、から構成され;
上記立体的物品(3)のメモリ(33)には、当該立体的物品(3)でゲーム可能な時間が記録されており;
ゲーム機(2)には、データ読取り/書込み口(21)に受け入れた立体的物品(3)によるゲームが行われた時間を計測し、記録されているゲーム可能な時間の記録から、上記ゲームが行われた時間を減算し、上記データの読取り/書込み装置を制御して、メモリに記録されているゲーム可能な時間を書き換える手段と、記録されたゲーム可能な時間が0となったとき当該立体的物品(3)を無効化しゲームを不可能とする手段と、が設けられたこと;
を特徴とするゲームシステム。」


第3 刊行物及び各刊行物の記載事項並びに引用発明の認定
1 引用例1
当審において平成22年7月7日付けで通知した拒絶理由通知書(以下単に「拒絶理由通知書」という。)で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-129682号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある(下記「2 引用発明の認定」において特に関連する部分に下線を引いた。)。
(1) 【特許請求の範囲】の欄
「【請求項1】 初期値として所定の時間データを有し、機器・施設の利用時間に応じてその時間データが減じられていく記録媒体を予め発行し、
その記録媒体の投入により時間データが零を示す値となるまで機器もしくは施設の利用を許可することを特徴とした機器・施設利用管理方法。
【請求項2】 磁気記録層を備えたカード状の記録媒体とすることを特徴とした請求項1記載の機器・施設利用管理方法。」

(2) 段落【0001】?段落【0019】
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアミューズメント施設等に適用が可能な機器・施設利用管理方法に関するものである。
…(中略)…
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達成するため、初期値として所定の時間データを有し、機器・施設の利用時間に応じてその時間データが減じられていく記録媒体を予め発行し、その記録媒体の投入により時間データが零を示す値となるまで機器もしくは施設の利用を許可するようにしている。
【0007】また、例えば、記録媒体は磁気記録層を備えたカード状のものとすることができる。
【0008】
【作用】本発明の機器・施設利用管理方法にあっては、初期値として所定の時間データを有した、例えばカード状の記録媒体を利用者に対して発行しておく。そして、利用者は機器・施設の利用に際して記録媒体を機器・施設のリーダーライター等に投入することにより機器・施設の利用が許可され、利用時間に応じて記録媒体の時間データが減じられていき。時間データが零を示す値となるまで機器もしくは施設の利用が許可される。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照して説明する。
【0010】図1は本発明の機器・施設利用管理方法の一実施例を示す構成図であり、アミューズメント施設に適用した例である。
【0011】図1において、記録媒体販売機1は料金の投入に応じて記録媒体2を販売するものであり、アミューズメント施設の入口等に備えられる。
【0012】一方、アミューズメント施設内には複数のゲーム機3A,3B,…が設けられ、各ゲーム機3A,3B,…には、記録媒体2を受け入れてその磁気情報の読み出し書き込みを行うリーダーライター32と、ゲーム機の利用時間を計測するタイマー33と、記録媒体2の磁気データの読み出し書き込みおよびゲームの利用可否の制御を行う制御回路34とが、ゲーム機の本来の動作を行うゲーム本体31の他に設けられている。なお、リーダーライター32は外部に設けるようにして、既存のゲーム機への適用を容易にすることもできる。タイマー33,制御回路34についても同様である。
【0013】図2は記録媒体2の一例としてカード状に構成したものの外観を示したものであり、プラスチック等の素材による矩形の薄板で構成される。記録媒体2の一面には券種を示す記号や絵柄等が印刷され、裏面には磁気データの記録が可能な磁気記録層が設けられている。なお、記録媒体2はこのようなカード状のものに限らず、任意の形態をとることができる。また、データの記録は磁気によるものに限られず、光学的なものや機械的なものも利用できる。
【0014】図3は記録媒体2の磁気データフォオーマットの例を示したものであり、発行元を示す発行元識別データ21と、初期の発行値(利用できる時間,分,秒等)を示す発行値データ22と、現時点の残値(利用できる時間,分,秒等)を示す残値データ23と、発行元の裁量で付加するプレミアム値(時間,分,秒等)を示すプレミアム値データ24とを含んでいる。
【0015】次に、図1乃至図3の実施例における動作を説明する。
【0016】先ず、アミューズメント施設の利用者は記録媒体販売機1により、所定の額の現金を投入することにより、所望の利用可能時間の記録媒体2を購入する。なお、残値のある既に購入済の記録媒体2を持っている場合には新たに購入する必要はない。
【0017】今、ゲーム機3Aで遊ぼうとする場合、利用者は記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口(図示せず)に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23(図3参照)が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になる。
【0018】ゲームの実行中においては、タイマー33により経過時間がカウントされ、所定の値毎にリーダーライター32により記録媒体2の残値データ23が減算された値に更新される。
【0019】そして、記録媒体2の残値データ23が零となった場合にはゲームの実行が中止される。なお、遊戯中の利用者の気分を害さないために、残値が少なくなってきたことを予告して新たな記録媒体2の投入を促したり、区切りが付く状態までゲームの実行を中止させないようにしたりすることができる。また、実行が中止されてしまった後であっても、所定時間内に新たな記録媒体2が投入された場合には、中止された時点からゲームを再開できるようにしてもよい。」

2 引用発明の認定
(1)引用例1の段落【0011】の「記録媒体販売機1は料金の投入に応じて記録媒体2を販売するものであり」との記載を参酌すると、引用例1には、「料金の投入に応じて記録媒体2を販売する記録媒体販売機1」が記載されていると認められる。

(2)引用例1の段落【0014】の「図3は記録媒体2の磁気データフォオーマットの例を示したものであり、発行元を示す発行元識別データ21と、初期の発行値(利用できる時間,分,秒等)を示す発行値データ22と、現時点の残値(利用できる時間,分,秒等)を示す残値データ23と、……を含んでいる。」との記載及び段落【0013】の「図2は記録媒体2の一例としてカード状に構成したものの外観を示したものであり、……記録媒体2の一面には券種を示す記号や絵柄等が印刷され、裏面には磁気データの記録が可能な磁気記録層が設けられている。」との記載を参酌すると、引用例1には、「初期の発行値(利用できる時間,分,秒等)を示す発行値データ22と、現時点の残値(利用できる時間,分,秒等)を示す残値データ23とが記録され、一面に絵柄が印刷されたカード状の記録媒体2」が記載されていると認められる。

(3)引用例1の段落【0012】の「アミューズメント施設内には複数のゲーム機3A,3B,…が設けられ、各ゲーム機3A,3B,…には、記録媒体2を受け入れてその磁気情報の読み出し書き込みを行うリーダーライター32と、ゲーム機の利用時間を計測するタイマー33と、記録媒体2の磁気データの読み出し書き込みおよびゲームの利用可否の制御を行う制御回路34とが、ゲーム機の本来の動作を行うゲーム本体31の他に設けられている。」との記載を参酌すると、引用例1には、「記録媒体2を受け入れてその磁気情報の読み出し書き込みを行うリーダーライター32と、ゲーム機の利用時間を計測するタイマー33と、記録媒体2の磁気データの読み出し書き込みおよびゲームの利用可否の制御を行う制御回路34とが、ゲーム機の本来の動作を行うゲーム本体31の他に設けられている各ゲーム機(3A,3B,…)」が記載されていると認められる。

(4)上記(1)ないし(3)及び技術常識を踏まえると、引用例1に記載された「記録媒体販売機1」、「記録媒体2」及び「各ゲーム機(3A,3B,…)」とから構成されるものは、ゲームシステムであると認められる。

(5)引用例1の段落【0017】の「利用者は記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口(図示せず)に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23(図3参照)が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になる。」との記載、段落【0018】の「ゲームの実行中においては、タイマー33により経過時間がカウントされ、所定の値毎にリーダーライター32により記録媒体2の残値データ23が減算された値に更新される。」との記載、及び、段落【0019】の「記録媒体2の残値データ23が零となった場合にはゲームの実行が中止される。」との記載を参酌すると、引用例1には、「利用者が記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になり、ゲームの実行中においては、タイマー33により経過時間がカウントされ、所定の値毎にリーダーライター32により記録媒体2の残値データ23が減算された値に更新され、記録媒体2の残値データ23が零となった場合にはゲームの実行が中止されること」が記載されていると認められる。

(6)上記(1)ないし(5)を総合すると、引用例1には下記の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「料金の投入に応じて記録媒体2を販売する記録媒体販売機1と;
初期の発行値(利用できる時間,分,秒等)を示す発行値データ22と、現時点の残値(利用できる時間,分,秒等)を示す残値データ23とが記録され、一面に絵柄が印刷されたカード状の記録媒体2と;
記録媒体2を受け入れてその磁気情報の読み出し書き込みを行うリーダーライター32と、ゲーム機の利用時間を計測するタイマー33と、記録媒体2の磁気データの読み出し書き込みおよびゲームの利用可否の制御を行う制御回路34とが、ゲーム機の本来の動作を行うゲーム本体31の他に設けられている各ゲーム機(3A,3B,…)と、
から構成されるゲームシステムであって、
利用者が記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になり、ゲームの実行中においては、タイマー33により経過時間がカウントされ、所定の値毎にリーダーライター32により記録媒体2の残値データ23が減算された値に更新され、記録媒体2の残値データ23が零となった場合にはゲームの実行が中止されるゲームシステム。」

3 引用例2
拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平10-156043号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある。
(1)【発明の詳細な説明】の欄
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アミューズメントスペース等に設置される料金徴収装置を備えるゲーム機およびゲームデータ記憶媒体の技術分野に属するものである。
…(中略)…
【0008】また、上記のものにおいて、予め書き込まれたプリペイド度数をゲームデータ記憶媒体から読み込むプリペイド度数読込手段と、読み込んだプリペイド度数から所定の度数を減算してゲームデータ記憶媒体に書き込むプリペイド度数減算書込手段と、プリペイド度数を減算書込みした場合にゲームを開始するゲーム開始手段とを設けたことを特徴とするものである。つまり、小銭を用意することなくゲーム機を利用することができるため、ゲーム利用者の利便性を向上させることができる許りか、コイン式料金徴収装置を不要にしてゲーム機のコストを削減することができる。
…(中略)…
【0011】また、上記の非接触型記憶媒体を、電磁結合もしくは電磁誘導を通信媒体としてゲーム機のリードライト装置と相互にデータ通信を行うデータキャリアとし、該データキャリアを任意形状のケース体に組込んだことを特徴とするものである。つまり、ゲームデータ記憶媒体の外観を、ゲームキャラクター、キーホルダ等の任意の形状にすることができるため、ゲームデータ記憶媒体の所持意欲を高めることができる許りか、ゲームデータ記憶媒体を多機能化して利便性を高めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1はアミューズメントスペースであって、該アミューズメントスペース1には、レースゲーム機2A、格闘ゲーム機2B等の各種ゲーム機2、アミューズメントスペース1への利用者の入場を管理するゲート装置3、後述する記憶媒体4を発行する記憶媒体発行装置5、支払い料金に応じたプリペイド度数(先払い料金度数)を記憶媒体4に書き込むプリペイド装置6、登録された各種ゲーム機2の成績を順位表示するランキング表示装置7等が設置されている。
【0013】前記記憶媒体4は、各種ゲームキャラクタの形状をした複数種のケース8に、読み書き自在な非接触型記憶媒体であるデータキャリア9を組み込んで構成されるが、データキャリア9に組込まれるメモリ10には、後述する経過データ(コンティニューデータ)、成績データ(ハイスコアデータ)、プリペイド度数データ(先払い料金データ)、ハイスコア用名前データ、顧客管理用データ(氏名、住所、電話番号、年齢、性別、職業、IDコード等)等を記憶するための領域が確保されている。
…(中略)…
【0032】また、記憶媒体4にプリペイド度数を書き込むことが可能であるため、小銭を用意することなくゲーム機2A、2Bを利用することができる許りか、コイン式料金徴収装置を不要にしてゲーム機2A、2Bのコストを削減することも可能になり、また、コンティニュー用記憶媒体4をプリペイド用記憶媒体に兼用しているため、複数の記憶媒体を所持する面倒も解消することができる。
…(中略)…
【0034】また、前記記憶媒体4は、電磁結合もしくは電磁誘導を通信媒体としてゲーム機2A、2Bのリードライト装置21と相互にデータ通信を行うデータキャリア9を、ゲームキャラクタ形状のケース8に組込んで構成されるため、記憶媒体4の所持意欲を高めることができる。
【0035】尚、本発明は、前記実施形態に限定されないものであることは勿論であって、例えば記憶媒体は、データキャリアのみならず、磁気カード、ICカード等の様々なものを採用することが可能である。また、図13に示す如く、内部にデータキャリア9を備えると共に、外部に熱書換表示部61(所定の温度で書込みおよび消去が可能なサーマルリードライト素材)を備える複合記憶媒体62に構成することも可能である。そして、この場合には、ゲーム機2A、2Bに、ゲームの経過データに対応する表示データを書き込む表示データ書込装置(図示せず)を設ければ、レースゲームの順位、ロールプレイングゲームのキャラクター、レベル、獲得アイテム等を目に見える状態で記憶媒体62に記録することが可能になり、その結果、記録の確認が容易になる許りか、競争心を刺激してゲーム利用者の利用意欲を高めることができる。」

4 引用例3
拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平2000-113289号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある。
(1)【発明の詳細な説明】の欄
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、遊戯場における課金システムに関する。
…(中略)…
【0003】また、ゲームプレーヤがプレペイドカードを購入し、このプリペイドカードの読み取り装置を各遊技機に設け、遊技機ごとに予め設定されたプレー度数を前記購入したプリペイドカードから差し引くことにより課金していく方法も採られることもある。
…(中略)…
【0014】前記記憶媒体としては、ICカード等の半導体メモリを内蔵したものが好ましく、遊戯場の種類によっては人形等のキャラクタを模した内部に半導体メモリを設け、記憶媒体自体に装飾を施すように構成するように構成してもよい。」

5 引用例4
拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-353373号公報(以下「引用例4」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある。
(1)段落【0008】
「一般的なプリペイドカードの場合、アニメキャラクタ、タレントの写真像、レコードジャケットなど、様々な絵柄をその券面上に印刷して配布することが一般的である。したがって、プリペイドカードの利用者は、カードで商品購入ができるとともに、商品購入に際してプリペイドカードの券面の絵柄を鑑賞して楽しむことができる。さらに、様々な券面のプリペイドカードをコレクションするなど、実利以外の特別な楽しみ方も可能となっている。」

6 引用例5
拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-140950号公報(以下「引用例5」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある。
(1)【特許請求の範囲】の欄
「【請求項】内部にカードを挿入自在にしたカードケース(3)に窓を付け、折り曲げることが可能なカード(6)を出し入れすることによりカード全体の絵が動くことを特徴とする、絵が動き立体になるカード。」

(2)【発明の詳細な説明】の欄
「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カードとカードカバーをつかいカードの絵に動きを持たせ、さらにこの絵が立体になるもので、カードの販売促進また玩具やオブジェなどとして利用でき、プリペイドカードなどの使用後の再利用も目的としたカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりカードは平面の物体として扱われ、片面又は両面印刷されたものが多く、主に乗物、電話、ファーストフード、ホテル、入場関係などのプリペイドカード、クレジットやキャッシュカード、トランプ、花札のプレイングカード、名刺、手紙やメッセージカード、マンガなどのキャラクターカードなどに大量使用され、特にプリペイドカードなどは使用後数多くはゴミとして毎日大量に捨てられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】カードは本来の利用目的が終了した後はそれ以上の使用目的と娯楽性もなく、ごく一部の収集家に収集される以外は毎日ゴミとして大量発生するのが一般的で、一部は駅や電話ボックスなどに捨てられ環境を害している。本発明は、以上の欠点を解決するために発明されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】透明な部分(1)より背景の絵(4)が見える、プラットホームや背景などの絵(2)を表にしたビニールなどでできているカードケース(3)の中に、電車の両側面と屋根の展開図の絵を表にしたカード(6)をいれる。上から見るとプラットホームに電車が止まっている絵に見える。カードケース(3)の裏面には路面の絵(5)がある。以上の構成からなる絵が動き立体になるカード。
【0005】
【作用】本発明を使用するときは、プラットホームや背景などの絵(2)を表にしたカードケース(3)より電車の絵を表にしたカード(6)を引くとホームより電車が出発するように見え、入れると到着するように見えカードの絵に動きがでてくる。カード(6)を抜き取るとカードの絵が展開図になる。その絵の屋根と側面の境目の部分(7)を山折りにすると立体の電車の形(8)になり、カードケースの路面の絵(5)の上に乗せると路面と電車(9)のミニチュア模型のようになる。
…(中略)…
【0007】
【発明の効果】本発明を使用することにより、カードの使用に変化と娯楽性を持たせ、複数の付加価値を付けることができるのでカードの販売促進に役立てることが出来る。従来のカードの目的終了後も玩具やオブジェとして再利用できるので、使用者は保管する可能性がかなり高くなりプリペイドカードなどのゴミは減る。」

7 引用例6
拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平7-275522号公報(以下「引用例6」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある。
(1)段落【0021】
「図5において、各々のゲームピース14’は人形のような形態をしており、野球ゲームがプレイされる場合には野球選手を表わしている。明らかに、他の動作がシミュレートされる場合には、この人形はその動作に関するプレーヤーを表わすものとなる。人形64は、その底部で、通常プラスチックなどから形成される磁性体ではない台座68の開口部をカバーする蓋66に付着されている。台座68の内部には、人形64によって表わされているプレーヤーに関する統計をストアしている再プログラミング可能なメモリデバイス70(すなわちEEPROM等)が封入されている。メモリチップ70は、一組の半田バンプ72の各々を介して、台座68の下部に台座68の内部底部表面を通じて突出している一組のピン74の個々のピンに電気的に接続されている。」

(2)【図5】


8 引用例7
拒絶理由通知書で引用した、本願出願前に頒布された刊行物である特開平9-285639号公報(以下「引用例7」という。)には、図面とともに、以下の事項の記載がある。
(1)段落【0002】
「【従来の技術】従来、いわゆるカプセル販売機と称せられているものが知られている。これは、景品が収納されたカプセルを取り出す装置として、透明な収納部に不規則に収納されたカプセルを、硬貨を投入しハンドルを回転させることによって、収納されたカプセルを撹拌しつつ払出させるものである。このカプセル販売機に用いる払出装置には、払出するカプセルが一つだけ入れる大きさの選択収納室があり、この選択収納室に入り込んだカプセルが、前記ハンドルの回転に伴って、払出されるように形成されている。従って、該カプセル販売機で使用するカプセルは、選択および払出を支障なく行うために、その外形が球状でなければならない。」


第4 本願発明と引用発明の対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明における「カード状の記録媒体2」と本願発明における「立体的物品」が「プリペイド媒体の機能を有する物品」の点で共通することは当業者には明らかである。

(2)上記(1)も踏まえると、引用発明における「料金の投入に応じて記録媒体2を販売する記録媒体販売機1」と、本願発明における「少なくとも1基のカプセルベンダー(1)」とは、「少なくとも1基の、プリペイド媒体の機能を有する物品のベンダー」の点において共通する。

(3)引用発明における「残値データ23」は、それが零でない場合には各ゲーム機(3A,3B,…)によりゲームをすることが許可され、逆に零である場合にはそれが許可されないのであるから、「所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータ」であるということができる。請求人は、ゲーム可能な時間のデータは「所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータ」には含まれず、当該データは「ゲームに登場するキャラクターの特性、保持するスキル即ち戦闘能力やライフなどのデータ」である旨主張している。しかしながら、前記したとおり、「残値データ23」は文言上「所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータ」の概念に含まれるものであり、明細書の発明の詳細な説明を参酌しても「所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータ」が引用発明の「残値データ23」を除外するように特別に定義されている訳でもない。したがって、請求人の前記主張は採用できない。

(4)上記(1)ないし(3)も踏まえると、引用発明における「料金の投入に応じて記録媒体2を販売する記録媒体販売機1」、「初期の発行値(利用できる時間,分,秒等)を示す発行値データ22と、現時点の残値(利用できる時間,分,秒等)を示す残値データ23とが記録され、一面に絵柄が印刷されたカード状の記録媒体2」及び「利用者が記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になり、ゲームの実行中においては、タイマー33により経過時間がカウントされ、所定の値毎にリーダーライター32により記録媒体2の残値データ23が減算された値に更新され、記録媒体2の残値データ23が零となった場合にはゲームの実行が中止される」という発明特定事項と、本願発明における「ゲームに登場するキャラクターを模したフィギュア部(31)と、これを取り付ける台座部(32)とから成り、台座部(32)内部にそれぞれ所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータが記録されたメモリ(33)を有し、上記カプセルベンダー(1)で販売される複数のカプセル入りの立体的物品(3)と」という発明特定事項とは、「それぞれ所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータが記録されたメモリを有し、ベンダーで販売される複数のプリペイド媒体の機能を有する物品」の点において共通する。

(5)上記(4)も踏まえると、引用発明における「記録媒体2を受け入れてその磁気情報の読み出し書き込みを行うリーダーライター32と、ゲーム機の利用時間を計測するタイマー33と、記録媒体2の磁気データの読み出し書き込みおよびゲームの利用可否の制御を行う制御回路34とが、ゲーム機の本来の動作を行うゲーム本体31の他に設けられている各ゲーム機(3A,3B,…)」、「挿入口」及び「利用者が記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になり」という発明特定事項と、本願発明における「カプセル(4)から取り出した上記立体的物品(3)の台座部(32)を受け入れ得るデータ読取り/書込み口(21)と、データ読取り/書込み口(21)に受け入れた台座部(32)内のメモリ(33)のデータの読取り/書込み装置とを具備し、メモリ(33)のデータを読み出してゲームを可能とする少なくとも1基のゲーム機(2)と」という発明特定事項とは、「プリペイド媒体の機能を有する物品の少なくとも一部を受け入れ得るデータ読取り/書込み口と、プリペイド媒体の機能を有する物品のメモリのデータの読取り/書込み装置とを具備し、プリペイド媒体の機能を有する物品のデータを読み出してゲームを可能とする少なくとも1基のゲーム機」の点において共通する。

(6)上記(1)も踏まえると、引用発明における「初期の発行値(利用できる時間,分,秒等)を示す発行値データ22と、現時点の残値(利用できる時間,分,秒等)を示す残値データ23とが記録され、一面に絵柄が印刷されたカード状の記録媒体2」という発明特定事項と、本願発明における「上記立体的物品(3)のメモリ(33)には、当該立体的物品(3)でゲーム可能な時間が記録されており」という発明特定事項とは、「プリペイド媒体の機能を有する物品のメモリには、当該物品でゲーム可能な時間が記録されており」の点において共通する。

(7)引用発明における「利用者が記録媒体2をゲーム機3Aの挿入口に投入すると、制御回路34の制御のもと、リーダーライター32によりその記録データが読み取られ、その残値データ23が零でない場合にはゲーム本体31に許可を示す信号が与えられ、ゲームが開始可能になり、ゲームの実行中においては、タイマー33により経過時間がカウントされ、所定の値毎にリーダーライター32により記録媒体2の残値データ23が減算された値に更新され、記録媒体2の残値データ23が零となった場合にはゲームの実行が中止される」という発明特定事項と、本願発明における「ゲーム機(2)には、データ読取り/書込み口(21)に受け入れた立体的物品(3)によるゲームが行われた時間を計測し、記録されているゲーム可能な時間の記録から、上記ゲームが行われた時間を減算し、上記データの読取り/書込み装置を制御して、メモリに記録されているゲーム可能な時間を書き換える手段と、記録されたゲーム可能な時間が0となったとき当該立体的物品(3)を無効化しゲームを不可能とする手段と、が設けられた」という発明特定事項とは、「ゲーム機には、データ読取り/書込み口に受け入れた物品によるゲームが行われた時間を計測し、記録されているゲーム可能な時間の記録から、上記ゲームが行われた時間を減算し、上記データの読取り/書込み装置を制御して、メモリに記録されているゲーム可能な時間を書き換える手段と、記録されたゲーム可能な時間が0となったとき当該物品を無効化しゲームを不可能とする手段と、が設けられた」の点において共通する。

(8)上記(1)ないし(7)を総合すると、本願発明と引用発明は、
「少なくとも1基の、プリペイド媒体の機能を有する物品のベンダーと、
それぞれ所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータが記録されたメモリを有し、前記ベンダーで販売される複数のプリペイド媒体の機能を有する物品と、
前記プリペイド媒体の機能を有する物品の少なくとも一部を受け入れ得るデータ読取り/書込み口と、前記プリペイド媒体の機能を有する物品のデータの読取り/書込み装置とを具備し、前記プリペイド媒体の機能を有する物品のメモリのデータを読み出してゲームを可能とする少なくとも1基のゲーム機と、から構成され、
プリペイド媒体の機能を有する物品のメモリには、当該物品でゲーム可能な時間が記録されており、
ゲーム機には、データ読取り/書込み口に受け入れた物品によるゲームが行われた時間を計測し、記録されているゲーム可能な時間の記録から、上記ゲームが行われた時間を減算し、上記データの読取り/書込み装置を制御して、メモリに記録されているゲーム可能な時間を書き換える手段と、記録されたゲーム可能な時間が0となったとき当該物品を無効化しゲームを不可能とする手段と、が設けられたゲームシステム」
の点で一致し、以下の相違点の点において相違すると認められる。

<相違点>
本願発明においては、プリペイド媒体の機能を有する物品が、ゲームに登場するキャラクターを模したフィギュア部と、これを取り付ける台座部とから成り、所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータが記録されたメモリが台座部の内部にある立体的物品となっており、これに合わせてベンダーがカプセルベンダーであり、プリペイド媒体の機能を有する物品はカプセルベンダーで販売される複数のカプセル入りのものであり、ゲーム機のデータ読取り/書込み口は、カプセルから取り出した上記立体的物品の台座部を受け入れ得るのに対して、引用発明においては、プリペイド媒体の機能を有する物品が一面に絵柄が印刷されたカード状の記録媒体となっており、ベンダー及びゲーム機にプリペイド媒体の機能を有する物品がフィギュア部とこれを取り付ける台座部とからなり、カプセルに入れて販売されることに合わせた特定を有していない点。


第5 相違点の検討・判断
プリペイドカードにおいては、それ自体にコレクション性を備えることにより実利以外の特別な楽しみ方があることは例えば引用例4に記載されているように常識であり、コレクション性を高めることにより販売が促進できることは当業者には自明である。また、プリペイドカードにおいては、それ自体に遊具性を備えることにより、単なるゴミとならないことも例えば引用例5に記載されているように当業者には自明である。したがって、引用発明において、一面に絵柄が印刷されたカード状の記録媒体にコレクション性やそれ自体の遊具性を持たせるようにすることは当業者には自明の課題である。
そして、引用例1の段落【0013】には、「記録媒体2はこのようなカード状のものに限らず、任意の形態をとることができる。」と記載されていることから、カード以外の公知の形状にすることは当業者にとっては設計事項にすぎない。また、プリペイド媒体の機能を有する物品をキャラクタ形状にすることは引用例2や引用例3等に記載されているように当業者に自明な選択肢にすぎず、引用例2にはゲームのキャラクタの形状にすることも記載されている。してみれば、引用発明において、記録媒体2をゲームに登場するキャラクターを模した立体的物品とすることは当業者が適宜設計できることであると認められる。
ここで、立体的物品としては、フィギュア部とこれを取り付ける台座部とからなるものは周知のものであり、台座部の内部にゲームに使うデータを備えるメモリを備えた構造は引用例6に記載されているとおり公知のものであるから、記録媒体2を、ゲームに登場するキャラクターを模したフィギュア部と、これを取り付ける台座部とからなり、所定のゲーム機によりゲームを行うために必要なデータが記録されたメモリが台座部の内部にある立体的物品とすることは、当業者が適宜なし得たことであると認められる。その際、記録媒体の形状の変更に合わせて、ゲーム機のデータ読取り/書込み口も設計変更しなければならないことは当業者には自明であって、当然の配慮事項であるから、ゲーム機のデータ読取り/書込み口を、立体的物品の台座部を受け入れ得るようにすることは、技術の具体的適用に伴う設計変更にすぎない。また、立体的物品の販売のための技術として、立体的物品をカプセルの中に入れてカプセルベンダーで販売することは周知のものであり(引用例7参照)、当該技術を採用することも当業者にとっては自明な選択肢にすぎない。
そして、本願発明が奏する作用効果も、引用発明、引用例2ないし引用例7に記載された事項及び周知の事項から、当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、相違点は格別なものであるとは認めることができず、本願発明は、引用発明、引用例2ないし引用例7に記載された事項及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2ないし引用例7に記載された事項及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-17 
結審通知日 2011-01-20 
審決日 2011-02-01 
出願番号 特願2000-351155(P2000-351155)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安久 司郎  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 村田 尚英
岡田 吉美
発明の名称 ゲームシステム  
代理人 最上 正太郎  
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