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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1234249
審判番号 不服2010-14170  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-06-28 
確定日 2011-03-24 
事件の表示 特願2006-201539「携帯電話機」拒絶査定不服審判事件〔平成18年12月 7日出願公開、特開2006-333509〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成8年12月10日に出願された特願平8-330048号の一部を、特許法第44条第1項の規定により、平成18年7月25日に分割出願したものであって、平成22年3月30日付けで平成21年8月27日付けの補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月28日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同日付けで手続補正がなされたものである。
なお、原審の補正却下について、不服の主張はされていない。
第2.補正却下の決定
[結論]
平成22年6月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、補正前の特許請求の範囲の請求項2は、
「【請求項2】
発信者からの伝言メッセージを記憶する留守録機能を有し、当該留守録機能が特別なモード設定なしに動作する携帯電話機であって、
無線信号の送受信を行う無線部と、
録音する伝言の発声を促すメッセージと伝言の録音の完了を知らせる完了応答メッセージを記憶する応答メッセージ記憶部と、
発信者からの伝言メッセージを複数件記憶する受信メッセージ記憶部と、
表示部と、
発呼を受けて呼出を行い、特別なモード設定なしに留守録機能が動作し、前記受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認を行い、前記受信メッセージ記憶部に空きがある場合には、録音する伝言の発声を促すメッセージを送信者に送信し、発信者からの伝言メッセージを受信して前記受信メッセージ記憶部に記憶し、前記表示部に伝言メッセージが記憶されたことを知らせる表示を行って、回線が切断されていなければ前記完了応答メッセージを送信し、前記受信メッセージ記憶部に空きがない場合には、留守録機能の処理を行わないようにし、留守録機能の処理の途中でオフフック操作が行われると、留守録機能の処理を停止して通話処理に移行するように制御する制御部とを有することを特徴とする携帯電話機。」(以下、「補正後発明」という。)と補正された。

2.補正の適否
(1)新規事項の有無、補正の目的要件
本件補正は、
補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された「留守録機能を有する携帯電話機」の構成を「留守録機能を有し、当該留守録機能が特別なモード設定なしに動作する携帯電話機」という構成に、
補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された「録音する伝言の発声を促すメッセージを記憶する応答メッセージ記憶部」の構成を「録音する伝言の発声を促すメッセージと伝言の録音の完了を知らせる完了応答メッセージを記憶する応答メッセージ記憶部」の構成に、
補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された「発呼を受けて呼出を行い、前記受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認」を行う構成を、「発呼を受けて呼出を行い、特別なモード設定なしに留守録機能が動作し、前記受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認」を行う構成に、
補正前の特許請求の範囲の請求項2に記載された制御部に「表示部に伝言メッセージが記憶されたことを知らせる表示を行って、回線が切断されていなければ前記完了応答メッセージを送信」する構成と「留守録機能の処理の途中でオフフック操作が行われると、留守録機能の処理を停止して通話処理に移行」する構成を、それぞれ付加するものであり、
これらの補正事項は、請求人が審判請求書で述べているように、本願の当初明細書に開示された事項であり、しかも、当該補正事項が付加されることによって発明がさらに限定されたということができるから、本件補正は、平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項(新規事項)及び平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項第2号(補正の目的)の規定に適合している。

(2)独立特許要件
上記本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、上記補正後発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下検討する。

[補正後発明]
上記「1.補正後の本願発明」の項で認定したとおりである。

[引用発明及び周知技術]
A.原審の拒絶理由に引用された実願平3-70798号(実開平5-18154号)のCD-ROM(以下、「引用例1」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
(イ)「本考案は、いわゆる留守番機能を有する携帯電話機に関する。」(第4頁第4行)
(ロ)「本考案に係る携帯電話機は、一定時間内に呼信に応答しない場合には、自動応答しメッセージを伝え、相手の音声等を記録するよう構成したものである。」(第4頁第6行-第8行)
(ハ)「携帯電話機1において、アンテナ2で受信された高周波信号は、送受信回路3に送られ復調される。復調された信号は信号ラインを通って、呼信検出回路5で呼信を検出され、通常の場合は呼び出し音を発生し、直接応答を催促する。このとき、呼び出し時間が呼信時間計測部6の時間計測用カウンタ7で計測され、ある決められた一定時間内に直接応答のない場合は、自動着信回路8で着信処理される。着信後、メッセ-ジ送出部10において、メッセ-ジ記憶メモリ11に記憶されたメッセ-ジが、D/A・A/D変換回路9で音声信号に変換され、送受信回路3及びアンテナ2を通して発信者に応答メッセ-ジが送られる。通常はメッセ-ジ送出の後、信号ラインの信号をD/A・A/D変換回路9でデジタル信号に変換し、音声記録部12において、記憶メモリ13に発信者の伝言が記録される。」(第5頁第18行-第28行)
(ニ)「使用者自身が呼信に応答した場合は直接応答となる。」(第6頁第3行)
(ホ)「制御コンピュータ15は、各部に制御ラインで接続され、それぞれのタイミングコントロール・優先順位決定等を行なう。」(第6頁第5行-第6行)
(へ)「携帯電話機は、呼信を検出した後、呼信時間の計測を行い一定時間後、自動着信を行なう。自動着信の後、メッセージの送出の送出を行い、メッセージ送出の後やメッセージ送出の最中から音声記録を行なう。音声記録の所定記録時間後、回線を断つ。」(第6頁第9行-第12行)
(ト)「直接応答は優先順位が高く、呼信計測時間中や自動応答のシ-ケンスの途中であっても、割り込むことができる。」(第6頁第13行-第14行)

上記(イ)?(ト)の記載及び添付図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると、上記引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。
(引用発明)
「発信者からの伝言を記憶する留守番機能を有し、当該留守番機能が特別なモード設定なしに動作する携帯電話機であって、
アンテナ2で送受信された高周波信号の送受信を行う送受信回路3と、
応答メッセージを記憶するメッセージ記憶メモリ11と、
発信者からの伝言を記録する記憶メモリ13と、
呼信を受けて呼び出しを行い、特別なモード設定なしに留守番機能が動作し、応答メッセージを発信者に送信し、発信者からの伝言を受信して前記記憶メモリ13に記録し、呼信計測時間中や自動応答シーケンスの途中で直接応答が行われると、呼信計測時間中や自動応答シーケンスを停止して直接応答が行なわれるように制御する制御用コンピュータ15とを有する携帯電話機。」

B.原審の拒絶理由に引用例2として引用された特開昭60-250752号公報(以下、「引用例2」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
「本発明は留守番電話装置、特に応答録音モードと応答専用モードの2つの留守番動作モードを備えた留守番電話装置において、その動作モードおよび応答メッセージを自動的に設定する方法に関する。」(1頁左欄第20行-右欄第4行)
「これに反し、何らの操作も行なわれない場合には、所定時間経過後(ステップ119)、応答メッセージテープをいったん始端まで巻戻し(ステップ120)、次いで再生動作を行なって(ステップ121)、はじめの制御信号が検出されたところ(ステップ122)、つまり満杯メッセージの頭出しを行なったところで応答専用モードをセットし(ステップ123)、さらに満杯メッセージ送出フラグをセットして(ステップ124)、デッキ13を停止させる(ステップ114)。
このようにして初期動作を終えた後、着信が検出されれば(ステップ125)、制御回路11はAリレー20を動作させ、接点aにより電話回線に留守番系を接続する(ステップ126)。
次いで制御回路11はアナログスイッチ21をオン状態とするとともにデッキ13を再生動作させることにより、予め頭出しされている応答メッセージがヘッド22からアンプ23およびハイブリッドアンプ24を経て電話回線に送出される(ステップ127)。そして制御信号が検出されたところで(ステップ128)再生を停止し(ステップ129)、前記メモリの内容を読出して、応答録音モードが設定されていれば(ステップ130)、用件メッセージ録音テープが装着されていることを確認した上で(ステップ131)、アナログスイッチ25をオン状態とするとともにデッキ14を録音動作させる。これにより、電話回線に到来する用件メッセージは、ハイブリッドアンプ24およびアンプ26を経てヘッド27に伝えられ録音が行なわれる(ステップ132)。発呼者側のオンフックが検出されるか、または一定時間以上の無音状態の継続が図示しない音声スイッチ等により確認された場合、または録音用タイマ28により所定の最大録音時間に達したことが検出された場合には、用件メッセージの終了と判断し(ステップ133)、録音動作を停止させ(ステップ134)、Aリレー20を復旧させて、回線を開放する(ステップ135)。
一方、応答専用モードが設定されていれば、(ステップ130)、直ちに回線を開放する(ステップ135)。」(3頁上段右欄第4行-下段右欄第5行)
「また、上記録音テープが満杯であれば(ステップ138)、満杯メッセージの頭出しを行ない(ステップ121,122)、応答専用モードをセットし(ステップ123)、満杯メッセージ送出フラグをセットした上で(ステップ124)、デッキ13を停止させた後に(ステップ114)、ステップ125の実行に戻って次の着信を待つ。」(4頁上段左欄第3行-第9行)

C.原審の補正の却下の決定において周知例として引用された特開平4-252546号公報(以下、「引用例3」という。)には図面とともに以下の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は留守番電話装置に係り、より詳細には、用件が録音された時刻の表示、又は録音が一定時間内に行われたかどうかの表示、若しくはその両方の表示が可能な留守番電話装置に関する。」(2頁第1欄第13行-第17行)
「【0019】この留守番モード時において、電話回線を通じ相手側から着信があると、電話部12は応答メッセージを相手側に送出した後、相手側から送られてくる用件メッセージの録音を開始する。このとき、電話部12から制御部11に対して録音開始を示す信号が送られてくるので、制御部11はこの録音開始を示す信号に基づき、タイマー部13を起動して、一定時間tのカウントを開始させる(ステップS3,S4)。この後、電話部12の録音部による用件録音を終了すると、電話部12から制御部11に対して録音終了を示す信号が送られてくるので、制御部11はこの録音終了を示す信号に基づき、表示部15を起動して、一定時間内の録音であることを示す表示パターン「NEW」の表示を行わせる(ステップS5,S6)。」(3頁第3欄第32行-第4欄第5行)

[対比・判断]
補正後発明と引用発明とを対比する。
補正後発明の「送信者」は、携帯電話に対する発信者でもあり、補正後発明の「送信者」と「発信者」は表現上は相違するものの同じである。したがって、引用発明の「発信者」は、補正後発明の「送信者」に相当する。
引用発明の「伝言」は補正後発明の「伝言メッセージ」に相当し、引用発明において「伝言」は記録されるから、引用発明の「留守番機能」は、補正後発明の「留守録機能」に相当する。
引用発明の「アンテナ2で送受信された高周波信号」は補正後発明の「無線信号」に相当し、引用発明の「高周波回路」は補正後発明の「無線部」に相当する。
引用発明の「応答メッセージ」は、当該応答メッセージ送出後に発信者からの伝言が記録されていることから、録音する伝言の発声を促すものであるといえ、補正後発明の「録音する伝言の発声を促すメッセージ」に相当する。
引用発明の「メッセージ記憶メモリ11」は補正後発明の「応答メッセージ記憶部」に相当する。
引用発明の「記憶メモリ13」において、伝言を複数件記憶することは自明のことにすぎないことから、引用発明の「記憶メモリ13」は補正後発明の「受信メッセージ記憶部」に相当する。
引用発明の「呼信」は補正後発明の「発呼」に相当する。
引用発明の「呼信計測時間中や自動応答シーケンス」は引用発明における「留守番機能」の処理の一部であり、引用発明の「直接応答」は補正後発明の「通話」に相当し、また引用発明の「直接応答」は電話機の操作としてオフフック操作を当然に伴うものであるから、引用発明の「呼信計測時間中や自動応答シーケンスの途中で直接応答が行われると、呼信計測時間中や自動応答シーケンスを停止して直接応答が行なわれるように制御する」ことは、補正後発明の「留守録機能の処理の途中でオフフック操作が行われると、留守録機能の処理を停止して通話処理に移行するように制御する」ことに相当する。
引用発明の「制御用コンピュータ15」は、補正後発明の「制御部」に相当する。

したがって、補正後発明と引用発明は、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「発信者からの伝言メッセージを記憶する留守録機能を有し、当該留守録機能が特別なモード設定なしに動作する携帯電話機であって、
無線信号の送受信を行う無線部と、
録音する伝言の発声を促すメッセージを記憶する応答メッセージ記憶部と、
発信者からの伝言メッセージを複数件記憶する受信メッセージ記憶部と、
発呼を受けて呼出を行い、特別なモード設定なしに留守録機能が動作し、録音する伝言の発声を促すメッセージを送信者に送信し、発信者からの伝言メッセージを受信して前記受信メッセージ記憶部に記憶し、留守録機能の処理の途中でオフフック操作が行われると、留守録機能の処理を停止して通話処理に移行するように制御する制御部とを有する携帯電話機。」

(相違点)
(イ)補正後発明は「伝言の録音の完了を知らせる完了応答メッセージ」を有し、「応答メッセージ記憶部」に記憶する構成であるのに対し、引用発明は当該完了応答メッセージがない点。
(ロ)補正後発明では「表示部」を有するのに対し、引用発明では「表示部」を有するかどうか明記されていない点。
(ハ)補正後発明は上記(イ)、(ロ)に係る構成を有した上で、制御部に関し、留守録機能が動作したとき、「前記受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認を行い、前記受信メッセージ記憶部に空きがある場合には、録音する伝言の発声を促すメッセージを送信者に送信し、発信者からの伝言メッセージを受信して前記受信メッセージ記憶部に記憶し、前記表示部に伝言メッセージが記憶されたことを知らせる表示を行って、回線が切断されていなければ前記完了応答メッセージを送信し、前記受信メッセージ記憶部に空きがない場合には、留守録機能の処理を行わないよう」にしているのに対し、引用発明では、録音する伝言の発声を促すメッセージを送信者に送信し、発信者からの伝言メッセージを受信して受信メッセージ記憶部に記憶しているものの、「受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認」を行い、「受信メッセージ記憶部に空きがある場合」に行う構成とはなっておらず、また、「表示部に伝言メッセージが記憶されたことを知らせる表示を行って、回線が切断されていなければ前記完了応答メッセージを送信」する構成もない。また、「受信メッセージ記憶部に空きがない場合には、留守録機能の処理を行わない」ようにする構成もない。

そこで、上記相違点について検討する。
上記引用例2には、留守番電話機(「留守番電話装置」、括弧内は引用例2における表記である。以下、同じ。)において、受信メッセージ記憶部(「用件メッセージ録音テープ」)に空きがあるか(「満杯であるか」)の確認を行い、前記受信メッセージ記憶部に空きがある場合には、録音する伝言の発声を促すメッセージ(「応答録音メッセージ」)を発信者に送信し、発信者からの伝言メッセージ(「用件メッセージ」)を受信して前記受信メッセージ記憶部に記憶し、前記受信メッセージ記憶部に空きがない場合には、留守録機能の処理を行わない構成が記載されており、この引用例2記載の受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認を行う構成を引用発明に適用することは当業者が容易に実施し得ることである。
ここで、表示部を有する携帯電話機は周知のものにすぎないので、引用発明の携帯電話機に表示部を設けることは周知構成の付加にすぎない。また、留守番電話機の機能として、伝言メッセージが記憶されていることを表示部に表示することは上記引用例3に記載されるように周知技術である。
また、留守番電話機の機能として、伝言メッセージの録音終了に伴い、完了応答メッセージを送出した後、回線を切断することは、特開昭63-39252号公報(以下、「周知例」という。)の第3頁左下欄第5-15行目(「・・・終話検出回路が終話を検出した時、又は、一定時間経過後に録音を停止し、第4の応答メッセージ(例えば「ありがとうございました」)を発信者に送出し、回線を切断する。」)に記載されているように周知技術にすぎない。この発信者に送信する完了応答メッセージを、同じく発信者に送信する「録音する伝言の発声を促すメッセージ」とともに記憶するようにすることは設計事項にすぎない。
なお、受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認を、補正後発明では、発呼を受けてから行っているが、引用例2記載の上記構成では通話終了後に行っている。しかしながら、どのタイミングで確認するかによって、当業者が予想しうるタイミングの差に基づく効果を越えた効果が生じるものとは認められず、どのタイミングで判断するように為すかは当業者が適宜行い得る設計的事項にすぎない。
そして、留守番電話機において、発呼を受けてから受信メッセージ記憶部に空きがあるかを判断することも、例えば特開平6-245051号公報の段落【0040】-【0041】に開示されているように周知である。

そして、上記相違点に係る変更によって格別な作用・効果を奏するに至ったともいえない。

したがって、上記補正後発明は上記引用発明1乃至3及び周知技術に基いて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.結語
以上のとおり、本件補正は、平成18年法律第55号附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第5項において準用する特許法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成22年6月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項2に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成20年12月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項2に記載された以下のとおりのものと認める。
「 発信者からの伝言メッセージを記憶する留守録機能を有する携帯電話機であって、
無線信号の送受信を行う無線部と、
録音する伝言の発声を促すメッセージを記憶する応答メッセージ記憶部と、
発信者からの伝言メッセージを複数件記憶する受信メッセージ記憶部と、
表示部と、
発呼を受けて呼出を行い、前記受信メッセージ記憶部に空きがあるかの確認を行い、前記受信メッセージ記憶部に空きがある場合には、録音する伝言の発声を促すメッセージを送信者に送信し、発信者からの伝言メッセージを受信して前記受信メッセージ記憶部に記憶し、前記受信メッセージ記憶部に空きがない場合には、留守録機能の処理を行わない制御部とを有することを特徴とする携帯電話機。」

2.引用発明及び周知技術
引用発明及び周知技術は、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項中の[引用発明及び周知技術]及び[対比・判断]の項で認定したとおりである。

3.対比・判断
そこで、本願発明と引用発明とを対比するに、本願発明は上記補正後発明から、当該補正に係る構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成に上記補正に係る構成を付加した補正後発明が、上記「第2.2.(2)独立特許要件」の項で検討したとおり、上記引用発明1乃至3及び周知技術に基いて容易に発明することができたものであるから、本願発明も同様の理由により、容易に発明できたものである。
そして、本願発明に関する作用・効果も、引用発明1乃至3及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項2に係る発明は、引用発明1乃至3及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2011-01-26 
結審通知日 2011-01-27 
審決日 2011-02-09 
出願番号 特願2006-201539(P2006-201539)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永田 義仁  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 山本 春樹
宮田 繁仁
発明の名称 携帯電話機  
代理人 船津 暢宏  

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