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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A47K
審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消す 原査定を取り消し、特許すべきものとする  A47K
管理番号 1234284
審判番号 不服2010-8319  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-04-01 
確定日 2011-04-08 
事件の表示 特願2003-436148「個室トイレ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 6月16日出願公開、特開2005-152573、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,平成15年11月27日の出願であって,平成21年12月21日付けで同年10月7日付け手続補正に対する補正の却下の決定がなされるとともに,同日付けで拒絶査定がなされたものであり,これに対し,平成22年4月1日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

第2.平成21年10月7日付けの手続補正に対する補正の却下の決定の適否
請求人は,審判請求の理由において,平成21年10月7日付けの手続補正に対する補正の却下の決定は不適法である旨主張しているので,上記補正の却下の適否について検討する。

1.平成21年10月7日付け手続補正の内容
平成21年10月7日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1は,以下の通りである。
「【請求項1】
トイレ使用者の身体の一部を支持するための支持部を壁部に設けたことを特徴とするトイレ使用者が立った状態で使用する乗物用個室トイレであって、
前記乗物用個室トイレは、便器が設置された正面壁部と、側壁部とを備え、
前記支持部が、前記乗物用個室トイレの前記側壁部に凹部または凸部として存在し、
前記凹部または凸部が、前記トイレ使用者の肩部ないし上腕部を支持することを特徴とする乗物用個室トイレ。」
(以下,「本件補正発明」という。)

2.審査官による補正の却下の決定の内容
平成21年12月21日付け補正の却下の決定の,本件補正発明に関する説示の概略は以下の通りである。

「引用文献1(特に、段落【0017】、【0033】及び第2A図、第6C図参照等参照)には、トイレ使用者が立った状態で使用するトイレにおいて、使用者がもたれかかることができるようにした『パネル104』(支持部)を、壁面から突出させて(凸部として)設けた構成が記載されている。また、上記使用者がもたれかかることができる支持部を、肩部ないし上腕部をもたれかけて支持できるような高さとすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
引用文献1に記載の発明において、上記支持部を、引用文献2(特に、第8-10図等参照)に記載の『男子小便用トイレルーム101』のような、正面壁部と側壁部とを備えた乗物用個室トイレに設けることは、当業者が容易に想到し得ることである。また、その際に、上記支持部を固定する壁部を、側壁部とすることは、トイレ空間内における支持部の設置可能な位置や、設置のし易さ等を考慮して、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
したがって、当該補正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、この補正は同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により上記結論のとおり決定する。」

3.当審の判断
平成21年10月7日付け補正の却下の決定には,引用文献1及び2が明記されていないが,平成21年6月9日付け拒絶理由通知書に記載された引用文献と同一のものであると推認できるので,引用文献1及び2を,それぞれ以下のものであるとして判断する。

3-1.補正の却下の決定で引用された文献に記載された発明
引用文献1:特開2002-58617号公報
引用文献2:特開平5-155390号公報

(1)引用文献1
本願出願前に頒布された上記引用文献1には,図面とともに,以下の記載がある。
(1a)「【特許請求の範囲】
【請求項1】床面に対して垂直方向に設置されるパネルであって、
パネル端部近傍に貫通孔または窪み部が設けられており、前記貫通孔または窪み部からパネル端部までの部分を手すりとしたことを特徴とするもの。
・・・
【請求項3】請求項1または2のパネルが固定されている家具であって、
家具側面部にパネルが固定されていることを特徴とするもの。
【請求項4】請求項3の家具は、トイレであって、
前記パネルは、
トイレ使用者の少なくとも下半身部が前記トイレ使用者以外の者から遮蔽される位置に固定されていることを特徴とするもの。
・・・」

(1b)「【0004】この発明は、上記のような問題を解決して、複雑なパイプ構造ではなくパネル構造を採用することにより、簡易な構造でありながら身体の保持がしやすく、目隠し効果にも優れた手すり一体型パネルを提供することを目的とする。」

(1c)「【0017】
【発明の実施の形態】1.本発明の一実施形態による、手すり一体型パネルが取り付けられたトイレについて
図2Aに、この発明の一実施形態による、手すり一体型パネルが取り付けられたトイレを示す。便器16の使用者の身体を安定して支えるとともに下半身部がその使用者以外の者から遮蔽されるような位置にパネル10が壁面に取り付けられており、さらに、パネル端部近傍に貫通孔12を設けることによって、貫通孔12からパネル端部までの部分を手すり14としている。・・・」

(1d)「【0030】3.本発明のその他の実施形態
本発明のその他の実施形態として、図6A、B、Cは、手すり一体型パネルの移動が可能となるような金具を取り付けた図である。・・・図6Cでは、パネル104を斜めの方向に移動調整することができることを表している。」

(1e)「【0033】特に、図6Cのようにパネルを斜めの方向に移動調整すれば、使用者が体を斜めにすることによってパネル104にもたれかかることができる。したがって、手すりを握るだけでなく体全体を支える必要がある場合にも、より一層使用者の体を安定させることができる。」

(1f)図2には,トイレ使用者が立った状態で使用するトイレが設置された壁面にパネルが取り付けられた点が開示されている。

以上の記載事項(1a)?(1f)から見て,引用文献1には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「引用文献1記載の発明」という。)

「トイレ使用者が立った状態で使用するトイレが設置された壁面に,トイレ使用者の少なくとも下半身部が前記トイレ使用者以外の者から遮蔽される位置に手すり一体型パネルが取り付けられており,該パネルは斜めの方向に移動調整して使用者が体を斜めにすることによってもたれかかることができるトイレ。」

(2)引用文献2
本願出願前に頒布された上記引用文献2には,図面とともに,以下の記載がある。
(2a)「【請求項1】 航空機内に設備されるラバトリーにおいて、
上記ラバトリーを、少なくとも一つのトイレルームと、洗面化粧ルームとで機能別に構成し、
上記トイレルームと、洗面化粧ルームとは、相互に区画して独立した部屋として構成した、
ことを特徴とする航空機のラバトリー。
【請求項2】 上記トイレルームは、大便用、男子小便用からなり、大便用トイレルームと、小便用トイレルームとは相互に区画して独立した部屋として構成した請求項1の航空機のラバトリー。」

以上の記載事項(2a)から見て,引用文献2には,以下の発明が記載されているものと認められる。(以下,「引用文献2記載の発明」という。)
「大便用,男子小便用からなるトイレルームと,洗面化粧ルームとで機能別に構成し,それぞれ相互に独立した部屋として構成した航空機のラバトリー。」

3-2.対比・判断
本件補正発明と引用文献1記載の発明とを対比すると,刊行物1記載の発明の「手すり一体型パネル」が,本件補正発明の「支持部」に相当し,以下同様に,「壁面」が「正面壁部」に,「使用者が体を斜めにすることによってもたれかかる」が「トイレ使用者の身体の一部を支持する」に,それぞれ相当する。
また,本件補正発明の「乗物用個室トイレ」と刊行物1記載の発明の「トイレ」はいずれも「トイレ」である点で共通している。

よって,両者は,
「トイレ使用者の身体の一部を支持するための支持部を壁部に設けたトイレ使用者が立った状態で使用するトイレであって,
前記トイレは,便器が設置された正面壁部を備え,
前記支持部が存在するトイレ。」
である点で一致し,以下の点で相違している。

(相違点)
本件補正発明は,トイレが正面壁部と側壁部とを備えた乗物用個室トイレであって,支持部が側壁部に設けられ,トイレ使用者の肩部ないし上腕部を支持する凸部であるのに対し,引用文献1記載の発明は,正面壁部(壁面)を備えたトイレであるものの,側壁部をも設けた乗物用個室トイレではなく,支持部が正面壁部に設けられ,トイレ使用者の下半身部を支持する手すり一体型パネルである点。

相違点について検討する。
引用文献2には,独立した部屋として構成した男子小便用からなるトイレルームを有する航空機のラバトリーが開示されており,これが本件補正発明の「トイレ使用者が立った状態で使用する乗物用個室トイレ」に相当する。
一方,引用文献1記載の発明の手すり一体型パネルは,上部が手すりとして機能するようにしたものであり,肩部ないし上腕部を支持する高さとすると,手すりとして機能しなくなってしまい,同パネルをこのような高さにすることには阻害要因が存在する。
また,引用文献1記載の発明の手すり一体型パネルは,トイレ使用者の少なくとも下半身部が前記トイレ使用者以外の者から遮蔽して目隠しとしても機能するようにしたものであり,目隠しとなる側壁が存在しない位置に設けることを意図したものであるから,引用文献2記載の発明のように,乗物用個室トイレが公知の技術であったとしても,トイレ使用者以外の者からの目隠しが必要ない個室トイレにこのようなパネルを設ける動機付けが存在しない。
よって,本件補正発明は,引用文献1及び2記載の発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとは言えない。

4.むすび
したがって,本件補正発明について,特許法第29条第2項の規定に違反し,出願の際独立して特許を受けることができないものとした判断は,妥当なものではない。
以上により,平成21年10月7日付けの手続補正に対する補正の却下の決定は,適法なものとはいえないから,当該決定は取り消すべきものである。

第3.本願発明
以上のとおりであるから,本願の請求項1に係る発明は,平成21年10月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして,本願については,原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2011-02-28 
出願番号 特願2003-436148(P2003-436148)
審決分類 P 1 8・ 121- WYA (A47K)
P 1 8・ 575- WYA (A47K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鷲崎 亮萩田 裕介  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 宮崎 恭
草野 顕子
発明の名称 個室トイレ  
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