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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1234621
審判番号 不服2007-26167  
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-09-25 
確定日 2011-04-01 
事件の表示 特願2001-553330「セル再選択シグナリング方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月26日国際公開、WO01/54442、平成15年 7月 2日国内公表、特表2003-520537〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2001年1月17日(パリ条約による優先権主張2000年1月17日、フィンランド共和国)を国際出願日とする出願であって、平成19年6月20日付けで拒絶査定がされ、これに対して同年9月25日に審判請求がなされるとともに、同年10月15日付けで手続補正がなされ、その後、当審において平成22年7月16日付けで拒絶理由が通知され、これに対して同年10月4日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成19年10月15日付け手続補正書に記載された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「セルラーテレコミュニケーションネットワークにおけるチャネル再選択シグナリング方法において、
接続拒絶メッセージを生成する段階と、
上記セルラーテレコミュニケーションネットワークから移動局に対して上記接続拒絶メッセージを送信する段階と、
を含み、
上記接続拒絶メッセージが、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つの搬送波周波数パラメータの値についての情報を含む、ことを特徴とする方法。」

3.引用例
当審における拒絶の理由で引用した特開平9-307939号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(a)「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、移動無線通信サービスエリアに複数の基地局が配置されており、同一無線チャネルを異なる場所で繰返し利用するセルラーシステムなどの無線通信システムで、かつ、所定の周波数を時間分割したタイムスロットをチャネル毎に割り当てて通信を行うTDMA通信システムにおける制御技術に関わる。」

(b)「【0023】
【実施例】
実施例1.まず、基地局において、隣接の基地局が通信に使用していない空きスロット数の情報をあらかじめ得て、かつ更新しておき、まとめて移動局へ報知する例を説明する。この場合、基地局には図2に示すように空きスロット数情報獲得手段200が設けられ、これにより他局の空きスロット数情報の獲得制御が行われるとともに、獲得した空きスロット数情報をテーブル201に記憶するようになっている。図3は基地局1a1におけるテーブル201の例を示し、基地局1a2、1a3、1a4、1anに関するそれぞれの空きスロット数を記憶しており、新しい情報を受信する度にテーブルを更新する。そして、移動局から2タイムスロット以上の使用要求があり、対応が不可能な場合には隣接基地局の空きスロット数情報を移動局に報知する。移動局は、この報知を受けた空きスロット数情報から次にチャネル要求を出す基地局を選択するものである。
【0024】図4はこのような基地局選択の動作の例を示すシーケンス図である。待受け状態から、移動局1bによる発呼が生起すると、チャネルを割り当てることができる場合にはチャネル要求に対し、位置登録基地局1a1が即座にチャネル割当を行うのみであるが、図1は移動局1bが複数スロット使用のチャネル要求をしたときに、移動局1bが位置登録している基地局1a1において空きスロット数が足りずチャネルを割り当てられない場合の例を示している。
【0025】まず、移動局1bはmスロット使用を必要とする発呼が生起すると、自局の位置登録基地局1a1へmスロット使用の旨を含んだチャネル要求を出す。基地局1a1はチャネル要求信号を受けると、自局の空きスロット状態を確認しmスロット使用に対応できないため、チャネル要求拒否信号とともに隣接基地局の空きスロット数情報を報知する。ここで報知する空きスロット数情報は、基地局1a1が持つテーブルの全て、あるいはそのうちmスロット以上の空きがある基地局についての全て、またはそのうちのいくつか、あるいは一つのみである。
【0026】要求拒否を受けた移動局1bは、同時に報知を受けた空きスロット情報を空きスロット数情報記憶手段103に記憶する。そして、選択手段104はこの記憶された空きスロット数情報に基づき、複数の隣接基地局からmスロット使用の要求に対応可能な一局を選択しチャネル要求を出す。図4の例では、基地局1a1から移動局1bへ図3に示すテーブルの内容全てが報知され、移動局の選択手段104は基地局1a2を選択しており、基地局1a2にチャネル要求を出し、チャネル要求を受けた基地局1a2はmスロット使用に対応できることを確認してチャネル割当てを行う。
【0027】もし基地局1a2がチャネル要求を受けた際にmスロット使用に対応できなくなっている場合にはチャネル要求拒否信号を送る。このチャネル要求拒否信号を受けた移動局1bは位置登録基地局1a1より得たテーブル情報から次の候補を選択し、チャネル要求を出す。最終的にチャネル割当てが受けられず候補基地局がなくなった場合には呼損となる。」

(c)「【0074】
【発明の効果】上記のようにこの発明によれば、基地局の空きスロット数が移動局で得られるため、移動局がチャネルを要求する基地局として、空きスロット数が足りない基地局にアクセスすることなく効率良く選択できる。
【0075】また、基地局が他局の空きスロット数情報を獲得して移動局に報知することにより、移動局は各基地局の空きスロット数情報を効率的に獲得できる。
【0076】そして、基地局は移動局からのチャネル要求に対する応答時に空きスロット数情報を移動局に報知することにより、チャネル要求シーケンスにわずかな情報を付加するだけで、移動局は基地局の空きスロット数情報を得ることができる。
【0077】また、基地局はハンドオフを行う移動局を利用して他局の空きスロット数情報を獲得するようにすることにより、空きスロット数情報の報知だけのためのチャネルや回線を設けることを必要とせず、他局の空きスロット数情報を効率的に獲得できる。
【0078】また、基地局が他の基地局の空きスロット数情報を直接受信するようにしたため、基地局それぞれが受信間隔の変更や受信情報の特定を行うことができ、収集情報量の最適化が図れる。
【0079】また、移動局が各基地局の空きスロット数情報を直接受信することにより、移動局は位置登録基地局の空きスロット数をあらかじめ知ることができるため、発着呼の際、位置登録基地局に空きスロットが足りない場合の無駄なアクセスを省略することができる。
【0080】また、移動局がチャネル要求を出す相手局として受信レベルの高い基地局を選択するため、同一チャネルを使用する他局からの干渉に強い通信回線を得ることができる。
【0081】また、移動局がチャネル要求を出す相手局として空きスロット数の多い基地局を選択するため、全てのスロットを使用している基地局の存在率が低減でき、偏ったエリアで呼損が多く発生することを防ぐことができる。
【0082】また、チャネルを割り当てた後に複数スロットの組み合わせが多く残るように、移動局がチャネルを要求する基地局を選択するため、移動局の複数スロット要求に対する呼損の発生が低減できる。」

以上の記載によれば、この引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されていると認められる。

「移動局1bは、自局の位置登録基地局1a1へmスロット使用の旨を含んだチャネル要求を出し、基地局1a1はチャネル要求信号を受けると、自局の空きスロット状態を確認しmスロット使用に対応できないため、チャネル要求拒否信号とともに隣接基地局の空きスロット数情報を報知し、要求拒否を受けた移動局1bは、同時に報知を受けた空きスロット情報を空きスロット数情報記憶手段103に記憶して記憶された空きスロット数情報に基づき、mスロット使用の要求に対応可能な一局を選択しチャネル要求を出すセルラーシステム。」

4.対比
本願発明と引用発明を対比する。

引用発明の「セルラーシステム」、「移動局1b」、「チャネル要求拒否信号」は、本願発明の「セルラーテレコミュニケーションネットワーク」、「移動局」、「接続拒絶メッセージ」にそれぞれ相当する。引用発明では、移動局1bは基地局1a1にチャネル要求を出すと、基地局1a1はチャネル要求拒否信号を移動局1bに報知し、次に移動局1bは隣接基地局にチャネル要求を出す、すなわち、別の基地局を選択してチャネル要求を再度出すので、引用発明の「セルラーシステム」におけるシグナリングの方法はセルラーテレコミュニケーションネットワークにおけるチャネル再選択シグナリング方法といえる。

引用発明において、「チャネル要求拒否信号」は基地局で生成されることは明らかである。引用発明の「隣接基地局の空きスロット数情報」は、新しい基地局と接続して通信するためのチャネル要求を出すために用いられるので、引用発明の「隣接基地局の空きスロット数情報」と、本願発明の「新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つの搬送波周波数パラメータの値についての情報」とは、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つのパラメータの値についての情報である点で共通する。さらに、引用発明の「チャネル要求拒否信号とともに隣接基地局の空きスロット数情報を報知」することと、本願発明の「セルラーテレコミュニケーションネットワークから移動局に対して上記接続拒絶メッセージを送信する段階と」、「接続拒絶メッセージが、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つの搬送波周波数パラメータの値についての情報を含む」こととは、セルラーテレコミュニケーションネットワークから移動局に対して上記接続拒絶メッセージを送信する段階と、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つのパラメータの値についての情報を接続拒絶メッセージとともに移動局に対して送信する点で共通する。

したがって、両者は、
「セルラーテレコミュニケーションネットワークにおけるチャネル再選択シグナリング方法において、
接続拒絶メッセージを生成する段階と、
上記セルラーテレコミュニケーションネットワークから移動局に対して上記接続拒絶メッセージを送信する段階と、
を含み、
上記接続拒絶メッセージと、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つのパラメータの値についての情報を上記接続拒絶メッセージとともに移動局に対して送信する方法。」
で一致するものであり、次の点で相違している。

[相違点1]
本願発明では、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関する少なくとも1つのパラメータの値についての情報は搬送波周波数パラメータの値についての情報であるのに対し、引用発明では、隣接基地局の空きスロット数情報であり、搬送波周波数パラメータの値についての情報でない点。

[相違点2]
本願発明では、接続拒絶メッセージに、新たな接続設定試みに使用するための接続設定に関するパラメータの値についての情報を含むのに対し、引用発明では、移動局に報知されるパラメータの値についての情報はチャネル要求拒否信号とともに報知されるものの、チャネル要求拒否信号に含むかどうか明らかでない点。

5.当審の判断
上記相違点1、2について検討する。

[相違点1]について
移動体通信の技術分野において、移動局に通知される接続先の候補としての隣接基地局の情報として、隣接基地局の周波数やチャネル(一般的にチャネルは、特定の「搬送波周波数」が対応付けられており、本願発明の「搬送波周波数パラメータの値についての情報」に相当する。)の情報を含めることは周知技術(例えば、特開平9-9330号公報の「基地局の各各が、隣接する無線ゾーンで使用している前記通信チャネルの情報である隣接ゾーン通信チャネル情報を報知する」(【請求項1】)、「通信チャネル情報は無線チャネル番号と同じ意味を持つ周波数番号とTDMチャネルのスロット番号とからなる。」(【0019】段落)という記載、特開平10-191441号公報の「無線基地局の各々が前記システム情報に各無線基地局に隣接する無線基地局において使用可能なチャンネルの情報を付加して放送し」(【請求項2】)という記載、参照。)であり、引用発明において、チャネル要求拒否信号とともに報知されるパラメータの値についての情報として隣接基地局の搬送波周波数パラメータの値についての情報も含むようにすることは当業者が容易に想到し得たものである。

[相違点2]について
移動体通信の技術分野において、1つの制御メッセージに複数の制御情報を含ませて送信することは周知の事項であり、引用発明において、移動局に報知する隣接基地局の情報を、接続拒絶メッセージとともに送信しても、接続拒絶メッセージに含むように送信しても、同時期に接続拒絶メッセージと隣接基地局の情報の2つの情報が送信されることに変わりなく、どちらを採用するかは当業者が適宜選択すべき設計的事項である。したがって、相違点2に格別のものはない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。

なお、審判請求人は平成22年10月4日付け意見書の2.(2)で、相違点1について、「よって、チャネルに関する情報に対する単なる言及を取り上げて、チャネルに関連した具体的な情報に関する情報が開示乃至示唆されていると(この具体的な情報に対する明示的な開示がないのに)判断することは、不合理なことであると思料します。したがいまして、仮にチャネルに関連した搬送波周波数が存在していたとしても、チャネル(論理チャネル)自体に関する情報に言及した教示が存在するということを以って、チャネルに関連した搬送波周波数に対する明示的な言及なくして、チャネルに関連した搬送波周波数、又は、チャネルに関連した他の情報が、開示乃至示唆されているものと考えることはできません。」、「他方、引用文献3(特開平10-191441号公報)、引用文献4(特開平9-9330号公報)及び引用文献5(国際公開第98/36607号パンフレット)は、チャネルを一般的なレベルのみにおいて説明するものに過ぎないため、本願発明により必要とされているような、少なくとも1つの搬送波周波数パラメータの値に関する情報については、全く開示乃至示唆することができていません。」と主張している。

しかしながら、周知技術として示した特開平9-9330号公報には、「通信チャネル情報は無線チャネル番号と同じ意味を持つ周波数番号とTDMチャネルのスロット番号とからなる。」(【0019】段落)と記載され、「周波数番号」は本願発明の「搬送波周波数パラメータの値に関する情報」に相当し、「基地局の各各が、隣接する無線ゾーンで使用している前記通信チャネルの情報である隣接ゾーン通信チャネル情報を報知する」(【請求項1】)という記載とから、基地局が隣接する無線ゾーンで使用している1つの搬送波周波数パラメータの値に関する情報を送信することが記載されているといえる。また、周知技術として示した特開平10-191441号公報においては、隣接する無線基地局において使用可能なチャンネルの情報を付加して放送することの記載はあるものの(【請求項2】)、搬送波周波数に関する記載はないが、移動体通信の技術分野において、特定の「チャネル」は特定の「搬送波周波数」に対応付けられることは技術常識であり、「チャネル」は「1つの搬送波周波数パラメータの値に関する情報」ということができ、特開平10-191441号公報には、無線基地局が隣接する無線基地局において使用可能な1つの搬送波周波数パラメータの値に関する情報を送信することが記載されているといえる。
一方、引用発明において、隣接基地局の空きスロット数情報は次の基地局へのアクセスを効率良く行うために報知するものであり、上記特開平9-9330号公報、特開平10-191441号公報で示される周知技術も同様に次の基地局へのアクセスを効率良く行うために行うことであるから、引用発明において、次の基地局へのアクセスの効率良く行うために前記周知技術を適用して、引用発明において、チャネル要求拒否信号とともに報知されるパラメータとして隣接基地局の搬送波周波数パラメータの値についての情報も含むようにすることは当業者が容易に想到し得たものである。

また、審判請求人は平成22年10月4日付け意見書の2.(3)で、相違点2について、「当業者が、例えば、隣接基地局における空きスロット数に関する情報を接続拒絶メッセージに含めることと、この情報を別のメッセージにおいて送信することと、の間において設計変更するときには、当業者は、以下に示す理由により、既に、取るに足らない選択ではなく、システムの性能に対する暗示を含む著しい選択をしていることになります。
i)隣接基地局における空きスロット数に関する情報を接続拒絶メッセージにおいて送信することは、システム資源の効率的な利用につながります。なぜならば、隣接基地局における空きスロット数と、接続要求が拒絶されたという事実と、を示すために、たったの1つのシグナリングメッセージしか必要とされないからです。・・・(中略)・・・よって、審判官が指摘されたような「移動局に報知する隣接基地局の情報を、接続拒絶メッセージとともに送信」するか、「接続拒絶メッセージに含むように送信」するかを選択することは、その意味から離れて考慮すれば、設計的事項に思われるかもしれませんが、当業者であれば、このような変更に関連したシステム/ネットワークに対する著しい技術的寄与及び意味を確実に理解しますので、結果として、このような変更を設計的事項とは考えません。
したがいまして、隣接基地局における空きスロット数に関する情報又は同様な情報を接続拒絶メッセージに含めることが特別な技術的特徴ではないとするご判断が、不合理なものであると思料するとともに、当業者であれば、本願発明には容易に想到することができないものと思料します。」と主張している。

しかしながら、引用発明は、基地局はチャネル要求拒否信号とともに隣接基地局の空きスロット数情報を報知し、移動局ではチャネル要求拒否信号と同時に隣接基地局の空きスロット数情報の報知を受けるものであり、引用例1には、チャネル要求拒否信号と隣接基地局の空きスロット数情報を別の制御メッセージとして送るとは記載されておらず、隣接基地局の空きスロット数情報は1つの基地局についての空きスロット情報のみ報知する場合も記載されており(【0025】)、移動体通信の技術分野において1つの制御メッセージに複数の制御情報を含ませて送信することは周知の事項で、また、1つの制御メッセージでチャネル要求拒否信号とともに隣接基地局の空きスロット数情報を送った場合、別々の制御メッセージとして送るより効率的であることは当然のことである。そして、本願発明のように接続拒絶メッセージにパラメータの値についての情報を含ませて送信する場合でも、パラメータの値についての情報の領域を接続拒絶メッセージに確保しなければならないことには変わりなく、単なる制御メッセージのフォーマットの違いであるから、チャネル要求拒否信号とともに隣接基地局の空きスロット数情報を送信するか、接続拒絶メッセージにパラメータの値についての情報を含ませて送信するかは当業者が適宜選択し得る設計的事項である。

さらに、請求人は、「引用文献1は、最初の基地局が、移動局からのチャネル要求を受け入れらない場合に、その移動局に対して、隣接基地局における空きスロット数に関する情報をチャネル要求拒否信号とともに報知する、ということを開示しています(段落[0024]及び[0025])。その移動局による2番目の基地局に対するチャネル要求であって最初の基地局から受信した情報に基づいたチャネル要求が、受け入れられない場合には、その2番目の基地局は、チャネル要求拒否信号をその移動局に送信します。この結果、その移動局は、最初の基地局から受信した隣接基地局における空きスロット数に関する情報に基づいて、さらなるチャネル要求として、次の基地局を選択します。このように、2番目の基地局は、チャネル要求拒否信号のみを送信するに過ぎず、隣接基地局における空きスロット数に関する情報を提供するものではありません。移動局は、最初の基地局から受信した隣接基地局における空きスロット数に関する情報に基づいてチャネル要求を送信し続けます(段落[0026]及び[0027])。引用文献1に明示的に記載されていますように、このことは、隣接基地局における空きスロット数に関する情報がチャネル要求拒否信号とは別に提供されるということを示唆するものであって、接続拒絶メッセージが少なくとも1つの搬送波周波数パラメータに関連した情報を含むということを必要としている本願発明に逆行するものです。」とも主張しているが、2番目の基地局が隣接基地局における空きスロット数に関する情報を送らず、チャネル要求拒否信号しか送信しないからといって、最初の基地局がチャネル要求拒否信号と隣接基地局における空きスロット数に関する情報を別々の制御メッセージとして送信することを示唆しているとはいえない。

したがって、審判請求人の主張はいずれも採用することができない。

6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-10-29 
結審通知日 2010-11-04 
審決日 2010-11-17 
出願番号 特願2001-553330(P2001-553330)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 博之高木 進  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 清水 稔
青木 健
発明の名称 セル再選択シグナリング方法  
代理人 小川 信夫  
代理人 箱田 篤  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 西島 孝喜  
代理人 大塚 文昭  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 中村 稔  

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